JP2016148584A - 液体試料の検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マイクロ流体デバイスに備えられた微小な反応場に対する液体試料の流入及び流出を適切に制御し、前記反応場において液体試料を容易に検査することが可能な、液体試料の検査方法の提供。【解決手段】マイクロ流体デバイス10を使用して、前記液体試料を第1空間部S1に導入し、第一の開口部Taから、微細貫通孔T内に前記液体試料の一部を流入させて、微細貫通孔Tの内側面Yに形成された、前記液体試料に含まれ得る被検出物質を直接又は間接に捕捉可能な膜と前記液体試料とを接触させることにより、前記被検出物質を前記膜に結合させた後、第1空間部S1から前記液体試料を排出し、続いて、前記液体試料の排出の際に微細貫通孔T内に一時的に残留した前記一部の液体試料を、微細貫通孔Tの第一の開口部Taから第1空間部S1へ流出させる操作を含むことを特徴とする液体試料の検査方法。【選択図】図1
Description
本発明は、微細貫通孔を備えたマイクロ流体デバイスを使用して、液体試料を検査する方法に関する。
近年、マイクロスケールからナノスケールの微小な反応場において、抗原抗体反応を利用した免疫学的測定、化学反応、細胞培養等を行うためのマイクロTAS、マイクロ流体デバイス、マイクロミキサ等が注目されている。在宅医療、ポイント・オブ・ケア(POC)、臨床検査、細胞培養等を迅速に少ない試料で行うためには、これらのデバイスの小型化が重要である。
従来のマイクロ流体デバイスとして、流路の途中に細胞培養可能な空間を備え、その下流に細胞が流出しないように堰き止め部を有する流路チップが開示されている(特許文献1)。この堰き止め部の上部には微細な流路が形成されており、細胞は通過し難く、培養液のみが流出し易い構造を有する。培養空間及び流路は透明なプラスチック基板で形成されているため、培養した細胞に対して所望の薬剤を投与し、その反応を光学的に観察することができる。
マイクロ流体デバイスに設けられた反応場に目的の物質が含有される液体を流入させたり、その反応場から液体を流出させたりする送液方法として、シリンジポンプが一般的に使用されている。しかしながら、近年のマイクロ流体デバイスにおいては、流路だけでなく、流路に接続された反応場の微小化(微細化)が進んでいるため、ポンプ操作のみで微小な反応場の内外に液体を送液する場合には、精密な圧力制御を行い得る高価なポンプが必要である。例えば、マイクロ流体デバイスに備えられた反応場において液体試料を検査する場合に、前記反応場に対する液体試料の流入及び流出を適切に制御するために高価なポンプが使用されている。このため、前記検査コストが高騰する、という問題がある。
さらに、マイクロ流体デバイスを構成する流路には、液体だけでなく空気が流入することが一般的であるが、このような気液混合系の流路内における送液をポンプのみで精密に制御することは難しく、前記検査の実施効率が低下する、という問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、マイクロ流体デバイスに備えられた微小な反応場に対する液体試料の流入及び流出を適切に制御し、前記反応場において液体試料を容易に検査することが可能な、液体試料の検査方法の提供を課題とする。
(1)液体試料の検査方法であって、第1空間部を構成する第1内壁面と、第2空間部を構成する第2内壁面と、前記第1内壁面に開口する第一の開口部及び前記第2内壁面に開口する第二の開口部を有し、前記第1空間部と前記第2空間部を空間的に連結する1本以上の微細貫通孔を構成する内側面と、前記内側面に形成された、前記液体試料に含まれ得る被検出物質を直接又は間接に捕捉可能な膜と、を備えるマイクロ流体デバイスを使用して、前記液体試料を前記第1空間部に導入し、前記第一の開口部から、前記1本以上の微細貫通孔内に前記液体試料の一部を流入させて、前記1本以上の微細貫通孔内で、前記液体試料と前記膜を接触させることにより、前記被検出物質を前記膜によって捕捉した後、前記第1空間部から前記液体試料を排出することによって前記第1内壁面に前記液体試料からなる液体膜を形成し、続いて、前記液体膜の乾燥過程に伴う、前記液体膜と前記1本以上の微細貫通孔内に一時的に残留した前記一部の液体試料との張力によって、前記一部の液体試料を、前記1本以上の微細貫通孔の前記第一の開口部から前記第1空間部へ流出させる操作を含むことを特徴とする液体試料の検査方法。
上記(1)の液体試料の検査方法によれば、マイクロ流体デバイスに備えられた微細貫通孔の内部に液体試料を流入させるために、微細貫通孔が本来的に有する毛細管力(毛細管現象)を利用している。また、微細貫通孔内から液体試料を流出させるために、前記液体膜と微細貫通孔内の液体試料との張力差、及びその張力差が前記液体膜の乾燥に伴って変化することを利用している。よって、ポンプで発生した高圧力を微細貫通孔に負荷する必要がないため、穏やか且つ確実に微細貫通孔内へ液体試料を流入させることができる。
液体試料には前記膜(捕捉膜)に捕捉され得る被検出物質が含まれており、前記微細貫通孔内に前記被検出物質は容易に流入される。流入された前記被検出物質は、前記微細貫通孔を構成する内側面に形成された前記膜に接触して結合する。その結果、前記被検出物質は前記膜を介して前記内側面に固定される。その後、前記被検出物質の溶媒である前記液体試料が前記微細貫通孔の外へ流出される。この際、従来行われている様な乱暴なポンプ制御によって、前記微細貫通孔内の液体を大きな流速で激しく流入させたり流出させたりすると、前記被検出物質が前記膜に充分に捕捉されなかったり、前記膜に捕捉された前記被検出物質が前記膜から剥がれたりする恐れがある。しかし、本発明にかかる検査方法においては、毛細管現象によって穏やかに前記液体試料を流入し、その後、前記第1空間部の排出に伴って自発的に起きる流れを利用して、穏やかに前記微細貫通孔から前記液体試料を自然に流出させているため、前記被検出物質が前記膜から剥がれる恐れは殆どない。つまり、本発明の検査方法によれば、従来方法よりも確実に、前記被検出物質を前記微細貫通孔の内側面に形成された前記膜によって捕捉できるため、前記被検出物質を高い精度で検出し、分析することができる。
液体試料には前記膜(捕捉膜)に捕捉され得る被検出物質が含まれており、前記微細貫通孔内に前記被検出物質は容易に流入される。流入された前記被検出物質は、前記微細貫通孔を構成する内側面に形成された前記膜に接触して結合する。その結果、前記被検出物質は前記膜を介して前記内側面に固定される。その後、前記被検出物質の溶媒である前記液体試料が前記微細貫通孔の外へ流出される。この際、従来行われている様な乱暴なポンプ制御によって、前記微細貫通孔内の液体を大きな流速で激しく流入させたり流出させたりすると、前記被検出物質が前記膜に充分に捕捉されなかったり、前記膜に捕捉された前記被検出物質が前記膜から剥がれたりする恐れがある。しかし、本発明にかかる検査方法においては、毛細管現象によって穏やかに前記液体試料を流入し、その後、前記第1空間部の排出に伴って自発的に起きる流れを利用して、穏やかに前記微細貫通孔から前記液体試料を自然に流出させているため、前記被検出物質が前記膜から剥がれる恐れは殆どない。つまり、本発明の検査方法によれば、従来方法よりも確実に、前記被検出物質を前記微細貫通孔の内側面に形成された前記膜によって捕捉できるため、前記被検出物質を高い精度で検出し、分析することができる。
(2)さらに、前記被検出物質に結合可能な検知物質を含む液体試薬を前記第1空間部又は前記第2空間部に導入し、前記第一の開口部又は前記第二の開口部から、前記1本以上の微細貫通孔内に前記液体試薬の一部を流入させて、前記1本以上の微細貫通孔内で、前記膜に捕捉された前記被検出物質と前記液体試薬を接触させることにより、前記膜上において前記被検出物質と前記検知物質が結合した複合体を形成した後、前記液体試薬を導入した前記空間部から前記液体試薬を排出することによって前記空間部を構成する前記第1内壁面又は前記第2内壁面に前記液体試薬からなる液体膜を形成し、続いて、前記液体膜の乾燥過程に伴う、前記液体膜と前記1本以上の微細貫通孔内に一時的に残留した前記一部の液体試薬との張力によって、前記一部の液体試薬を、前記1本以上の微細貫通孔の前記第一の開口部又は前記第二の開口部から、前記液体試薬を排出した前記空間部へ、流出させる操作を含むことを特徴とする上記(1)に記載の液体試料の検査方法。
上記(2)の液体試料の検査方法によれば、マイクロ流体デバイスに備えられた微細貫通孔の内部に液体試薬を流入させるために、微細貫通孔が本来的に有する毛細管力(毛細管現象)を利用している。また、微細貫通孔内から液体試薬を流出させるために、前記液体膜と微細貫通孔内の液体試薬との張力差、及びその張力差が前記液体膜の乾燥に伴って変化することを利用している。よって、ポンプで発生した高圧力を微細貫通孔に負荷する必要がないため、穏やか且つ確実に微細貫通孔内へ液体試薬を流入させることができる。
液体試薬には前記被検出物質に結合し得る検知物質が含まれており、前記微細貫通孔内に前記検知物質を容易に流入される。流入された前記検知物質は、前記微細貫通孔を構成する内側面における前記膜(捕捉膜)に捕捉された被検出物質に接触して結合する。その結果、前記検知出物質は前記被検出物質及び前記膜を介して前記内側面に固定される。すなわち、前記膜上において、前記被検出物質と前記検知物質が結合した複合体が形成される。その後、前記検知物質の溶媒である前記液体試薬が前記微細貫通孔の外へ流出される。この際、従来行われている様な乱暴なポンプ制御によって、前記微細貫通孔内の液体を大きな流速で激しく流入させたり流出させたりすると、前記検知物質が前記被検出物質に充分に結合しなかったり、結合した検知物質が前記被検出物質から剥がれたりする恐れがある。しかし、本発明にかかる検査方法においては、毛細管現象によって穏やかに前記液体試薬を流入し、その後、前記液体試薬を導入した前記第1空間部又は前記第2空間部における前記液体試薬の排出に伴って自発的に起きる流れを利用して、穏やかに前記微細貫通孔から前記液体試薬を自然に流出させているため、前記検知物質が前記膜に捕捉された前記被検出物質から剥がれる恐れは殆どない。つまり、本発明の検査方法によれば、従来方法よりも確実に、前記膜において前記複合体を形成することができるため、高い精度で被検出物質を検出し、分析することができる。
液体試薬には前記被検出物質に結合し得る検知物質が含まれており、前記微細貫通孔内に前記検知物質を容易に流入される。流入された前記検知物質は、前記微細貫通孔を構成する内側面における前記膜(捕捉膜)に捕捉された被検出物質に接触して結合する。その結果、前記検知出物質は前記被検出物質及び前記膜を介して前記内側面に固定される。すなわち、前記膜上において、前記被検出物質と前記検知物質が結合した複合体が形成される。その後、前記検知物質の溶媒である前記液体試薬が前記微細貫通孔の外へ流出される。この際、従来行われている様な乱暴なポンプ制御によって、前記微細貫通孔内の液体を大きな流速で激しく流入させたり流出させたりすると、前記検知物質が前記被検出物質に充分に結合しなかったり、結合した検知物質が前記被検出物質から剥がれたりする恐れがある。しかし、本発明にかかる検査方法においては、毛細管現象によって穏やかに前記液体試薬を流入し、その後、前記液体試薬を導入した前記第1空間部又は前記第2空間部における前記液体試薬の排出に伴って自発的に起きる流れを利用して、穏やかに前記微細貫通孔から前記液体試薬を自然に流出させているため、前記検知物質が前記膜に捕捉された前記被検出物質から剥がれる恐れは殆どない。つまり、本発明の検査方法によれば、従来方法よりも確実に、前記膜において前記複合体を形成することができるため、高い精度で被検出物質を検出し、分析することができる。
(3)前記複合体の形成を測定することにより、前記液体試料に前記被検出物質が含まれることを定性的又は定量的に分析することを特徴とする上記(2)に記載の液体試料の検査方法。
(4)前記複合体の形成を光学的に測定することを特徴とする上記(3)に記載の液体試料の検査方法。
(5)前記検知物質が光学的に測定可能な標識物質を有し、前記標識物質が直接又は間接に発生する光を測定することを特徴とする上記(4)に記載の液体試料の検査方法。
(6)前記標識物質が酵素であることを特徴とする上記(5)に記載の液体試料の検査方法。
(7)さらに、前記酵素の基質を含む基質溶液を前記第1空間部又は前記第2空間部に導入し、前記第一の開口部又は前記第二の開口部から、前記1本以上の微細貫通孔内に前記基質溶液の一部を流入させて、前記1本以上の微細貫通孔内で、前記複合体が有する前記酵素と前記基質試薬を接触させることにより、前記基質を蛍光物質に変換する酵素反応を生じさせる操作を含むことを特徴とする上記(6)に記載の液体試料の検査方法。
(8)前記蛍光物質に対して励起光を照射することにより発生する蛍光を測定することを特徴とする上記(7)に記載の液体試料の検査方法。
(4)前記複合体の形成を光学的に測定することを特徴とする上記(3)に記載の液体試料の検査方法。
(5)前記検知物質が光学的に測定可能な標識物質を有し、前記標識物質が直接又は間接に発生する光を測定することを特徴とする上記(4)に記載の液体試料の検査方法。
(6)前記標識物質が酵素であることを特徴とする上記(5)に記載の液体試料の検査方法。
(7)さらに、前記酵素の基質を含む基質溶液を前記第1空間部又は前記第2空間部に導入し、前記第一の開口部又は前記第二の開口部から、前記1本以上の微細貫通孔内に前記基質溶液の一部を流入させて、前記1本以上の微細貫通孔内で、前記複合体が有する前記酵素と前記基質試薬を接触させることにより、前記基質を蛍光物質に変換する酵素反応を生じさせる操作を含むことを特徴とする上記(6)に記載の液体試料の検査方法。
(8)前記蛍光物質に対して励起光を照射することにより発生する蛍光を測定することを特徴とする上記(7)に記載の液体試料の検査方法。
(9)液体試料の検査方法であって、第1空間部を構成する第1内壁面、第2空間部を構成する第2内壁面、・・・、及び第n空間部(nは3以上の整数を表す。)を構成する第n内壁面、を含むn個の内壁面と、前記第1内壁面に開口する第一の開口部及び前記第2内壁面に開口する第二の開口部を有し、前記第1空間部と前記第2空間部を空間的に連結する1本以上の微細貫通孔を構成する第1内側面、・・・、並びに前記第1内壁面に開口する第一の開口部及び前記第n内壁面に開口する第二の開口部を有し、前記第1空間部と前記第n空間部を空間的に連結する1本以上の微細貫通孔を構成する第(n−1)内側面、を含む(n−1)個の内側面と、前記(n−1)個の内側面のうち少なくとも1個の内側面に形成された、前記液体試料に含まれ得る少なくとも1種の被検出物質を直接又は間接に捕捉可能な、少なくとも1種の膜と、を備えるマイクロ流体デバイスを使用して、前記液体試料を前記第1空間部に導入し、前記(n−1)個の内側面によって構成される各微細貫通孔が有する前記第一の開口部から、前記各微細貫通孔内に前記液体試料の一部を流入させて、前記各微細貫通孔内で、前記液体試料と前記膜を接触させることにより、前記被検出物質を前記膜によって捕捉した後、前記第1空間部から前記液体試料を排出することによって前記第1内壁面に前記液体試料からなる液体膜を形成し、続いて、前記液体膜の乾燥過程に伴う、前記液体膜と前記各微細貫通孔内に一時的に残留した前記一部の液体試料との張力によって、前記一部の液体試料を、前記各微細貫通孔の前記第一の開口部から前記第1空間部へ流出させる操作を含むことを特徴とする液体試料の検査方法。
上記(9)の液体試料の検査方法においても、上記(1)の検査方法と同様の効果が奏される。すなわち、本発明にかかる検査方法においては、毛細管現象によって穏やかに前記液体試料を流入し、その後、前記第1空間部の排出に伴って自発的に起きる流れを利用して、穏やかに前記各微細貫通孔から前記液体試料を自然に流出させているため、前記被検出物質が前記膜(捕捉膜)に捕捉された前記被検出物質から剥がれる恐れは殆どない。つまり、本発明の製造方法によれば、従来方法より確実に、前記膜において前記複合体を形成することができる。
(10)さらに、前記被検出物質に結合可能な少なくとも1種の検知物質を含む少なくとも1種の液体試薬を前記第1空間部〜前記第n空間部のうち何れか1つ以上の空間部に導入し、前記液体試薬を導入した前記空間部に開口する前記1本以上の微細貫通孔が有する前記第一の開口部又は前記第二の開口部から、前記1本以上の微細貫通孔内に前記液体試薬の一部を流入させて、前記1本以上の微細貫通孔内で、前記膜に捕捉された前記被検出物質と前記液体試薬を接触させることにより、前記膜上において前記被検出物質と前記検知物質が結合した複合体を形成した後、前記液体試薬を導入した前記空間部から前記液体試薬を排出することによって前記液体試薬を導入した前記空間部を構成する内壁面に前記液体試薬からなる液体膜を形成し、続いて、前記液体膜の乾燥過程に伴う、前記液体膜と前記1本以上の微細貫通孔内に一時的に残留した前記一部の液体試薬との張力によって、前記一部の液体試薬を、前記1本以上の微細貫通孔が有する前記第一の開口部又は前記第二の開口部から、前記液体試薬を排出した前記空間部へ流出させる操作を含むことを特徴とする上記(9)に記載の液体試料の検査方法。
上記(10)の液体試料の検査方法においても、上記(2)の検査方法と同様の効果が奏される。すなわち、本発明にかかる検査方法においては、毛細管現象によって穏やかに各微細貫通孔内に前記液体試薬を流入し、その後、穏やかに各微細貫通孔から前記液体試薬を自然に流出させているため、各微細貫通孔内の前記膜上において形成された前記複合体が、前記膜から剥がれる恐れは殆どない。つまり、本発明の検査方法によれば、従来方法よりも確実に、前記膜において前記複合体を形成することができるため、高い精度で被検出物質を検出し、分析することができる。
また、互いに異なる検知物質を含んだ複数種類の液体試薬を各空間部に対してそれぞれ独立に導入することも可能である。n個の内壁面によって構成される各空間部に対してそれぞれ異なる液体試薬を導入することにより、(n−1)個の内側面によって構成される各微細貫通孔に対してそれぞれ異なる液体試薬を流入させることができる。したがって、(n−1)種類の検査を単一の前記マイクロ流体デバイスにおいて実施することができる。
(11)前記第1内側面〜前記第n内側面に形成された前記膜が、それぞれ互いに異なる被検出物質を捕捉可能であることを特徴とする上記(9)又は(10)に記載の液体試料の検査方法。
(12)前記複合体の形成を測定することにより、前記液体試料に前記被検出物質が含まれることを定性的又は定量的に分析することを特徴とする上記(10)又は(11)に記載の液体試料の検査方法。
(13)前記複合体の形成を光学的に測定することを特徴とする上記(12)に記載の液体試料の検査方法。
(14)前記検知物質が光学的に測定可能な標識物質を有し、前記標識物質が直接又は間接に発生する光を測定することを特徴とする上記(13)に記載の液体試料の検査方法。
(15)前記標識物質が酵素であることを特徴とする上記(14)に記載の検査方法。
(16)さらに、前記酵素の基質を含む基質溶液を前記第1空間部〜前記第n空間部のうち何れか1つ以上の空間部に導入し、前記基質溶液を導入した前記空間部に開口する前記1本以上の微細貫通孔が有する前記第一の開口部又は前記第二の開口部から、前記1本以上の微細貫通孔内に前記基質溶液の一部を流入させて、前記1本以上の微細貫通孔内で、前記複合体が有する前記酵素と前記基質試薬を接触させることにより、前記基質を蛍光物質に変換する酵素反応を生じさせる操作を含むことを特徴とする上記(15)に記載の液体試料の検査方法。
(17)前記蛍光物質に対して励起光を照射することにより発生する蛍光を測定することを特徴とする上記(16)に記載の液体試料の検査方法。
(12)前記複合体の形成を測定することにより、前記液体試料に前記被検出物質が含まれることを定性的又は定量的に分析することを特徴とする上記(10)又は(11)に記載の液体試料の検査方法。
(13)前記複合体の形成を光学的に測定することを特徴とする上記(12)に記載の液体試料の検査方法。
(14)前記検知物質が光学的に測定可能な標識物質を有し、前記標識物質が直接又は間接に発生する光を測定することを特徴とする上記(13)に記載の液体試料の検査方法。
(15)前記標識物質が酵素であることを特徴とする上記(14)に記載の検査方法。
(16)さらに、前記酵素の基質を含む基質溶液を前記第1空間部〜前記第n空間部のうち何れか1つ以上の空間部に導入し、前記基質溶液を導入した前記空間部に開口する前記1本以上の微細貫通孔が有する前記第一の開口部又は前記第二の開口部から、前記1本以上の微細貫通孔内に前記基質溶液の一部を流入させて、前記1本以上の微細貫通孔内で、前記複合体が有する前記酵素と前記基質試薬を接触させることにより、前記基質を蛍光物質に変換する酵素反応を生じさせる操作を含むことを特徴とする上記(15)に記載の液体試料の検査方法。
(17)前記蛍光物質に対して励起光を照射することにより発生する蛍光を測定することを特徴とする上記(16)に記載の液体試料の検査方法。
(18)前記膜が、前記被検出物質を特異的又は非特異的に捕捉する物質によって構成されていることを特徴とする上記(1)〜(17)の何れか一項に記載の液体試料の検査方法。
(19)前記膜を構成する前記物質が高分子であることを特徴とする上記(1)〜(18)の何れか一項に記載の液体試料の検査方法。
(20)前記高分子が、抗体、核酸アプタマー、ペプチド、前記抗体を除くタンパク質又は糖鎖であることを特徴とする上記(19)に記載の液体試料の検査方法。
(19)前記膜を構成する前記物質が高分子であることを特徴とする上記(1)〜(18)の何れか一項に記載の液体試料の検査方法。
(20)前記高分子が、抗体、核酸アプタマー、ペプチド、前記抗体を除くタンパク質又は糖鎖であることを特徴とする上記(19)に記載の液体試料の検査方法。
本発明の検査方法によれば、マイクロ流体デバイスに備えられた微細貫通孔の内部に液体試料を流入させるために、微細貫通孔が本来的に有する毛細管力(毛細管現象)を利用している。ポンプで発生した高圧力を微細貫通孔に負荷する必要がないため、穏やか且つ確実に、微細貫通孔内へ液体試料を流入させることができる。
前記液体試料には前記被検出物質が含まれており、前記微細貫通孔内に前記被検出物質を容易に流入される。流入された前記被検出物質は、前記微細貫通孔の内側面に予め形成された前記膜に捕捉される。その後、前記被検出物質の溶媒である前記液体試料が前記微細貫通孔の外へ流出される。この際、従来行われている様な乱暴なポンプ制御によって、前記微細貫通孔内の液体試料を大きな流速で激しく流入させたり流出させたりすると、前記被検出物質が前記膜に充分に捕捉されなかったり、捕捉された前記被検出物質が前記膜から解離したりする恐れがある。しかし、本発明にかかる検査方法においては、毛細管現象によって穏やかに前記液体試料を流入し、その後、前記液体試料を導入した空間部の排出に伴って自発的に起きる流れを利用して、穏やかに前記微細貫通孔から前記液体試料を自然に流出させているため、前記被検出物質が前記膜から解離する恐れは殆どない。つまり、本発明の検査方法によれば、従来方法よりも確実に、前記被検出物質を前記微細貫通孔内の前記膜において捕捉することができる。
《検査デバイスの製造方法》
図1に示すマイクロ流体デバイス10は、本発明にかかる検査デバイスの製造方法の第一実施形態において使用可能なマイクロ流体デバイスの一例である。図1はマイクロ流体デバイス10の模式的な断面図を示している。
図1に示すマイクロ流体デバイス10は、本発明にかかる検査デバイスの製造方法の第一実施形態において使用可能なマイクロ流体デバイスの一例である。図1はマイクロ流体デバイス10の模式的な断面図を示している。
マイクロ流体デバイス10は、第1空間部S1を構成する第1内壁面w1と、第2空間部S2を構成する第2内壁面w2と、第1内壁面w1に開口する第一の開口部Ta及び第2内壁面w2に開口する第二の開口部Tbを有し、第1空間部S1と第2空間部S2を空間的に連結する一つ以上の微細貫通孔Tを構成する内側面Yと、を含む本体部4を少なくとも備えている。マイクロ流体デバイス10において、本体部4に内在される第1空間部S1及び第2空間部S2は、複数の微細貫通孔Tによって互いに空間的に連結している(連通している)。
第一実施形態の検査デバイスの製造方法においては、第1空間部S1に加工用の液体を導入し、第一の開口部Taから、毛細管現象(毛細管力)により各微細貫通孔T内に前記液体の一部を流入させた後、第1空間部S1から前記液体を排出し、続いて、前記液体の排出の際に各微細貫通孔T内に一時的に残留した前記一部の液体を、各微細貫通孔Tの第一の開口部Taから第1空間部S1へ自動的に流出させる送液方法(1)を採用する。
<送液方法(1)>
送液方法(1)の説明は、流入ステップ、排出ステップ、流出ステップの3ステップに分けられる。
流入ステップは、第1空間部S1に任意の液体を導入するとともに、第1空間部S1に開口する各微細貫通孔Tの第一の開口部Taから、毛細管現象により各微細貫通孔T内に前記液体の一部を流入させるステップである。
排出ステップは、各微細貫通孔T内に流入された前記一部の液体を残したまま、第1空間部S1から前記液体を排出するステップである。
流出ステップは、前記排出の後、各微細貫通孔Tの第一の開口部Taから、各微細貫通孔T内に残留された前記液体を第1空間部S1へ自動的に流出させるステップである。
以下、各ステップを順に説明する。
送液方法(1)の説明は、流入ステップ、排出ステップ、流出ステップの3ステップに分けられる。
流入ステップは、第1空間部S1に任意の液体を導入するとともに、第1空間部S1に開口する各微細貫通孔Tの第一の開口部Taから、毛細管現象により各微細貫通孔T内に前記液体の一部を流入させるステップである。
排出ステップは、各微細貫通孔T内に流入された前記一部の液体を残したまま、第1空間部S1から前記液体を排出するステップである。
流出ステップは、前記排出の後、各微細貫通孔Tの第一の開口部Taから、各微細貫通孔T内に残留された前記液体を第1空間部S1へ自動的に流出させるステップである。
以下、各ステップを順に説明する。
(流入ステップ)
図2に示す様に、マイクロ流体デバイス10を構成する本体部4の表面に開口する開口部から第1空間部S1へ液体Qを導入すると、第1空間部S1に開口する各微細貫通孔Tの第一の開口部Taから、毛細管現象(毛細管力)により各微細貫通孔T内に液体Qの一部が流入する。この際、各微細貫通孔T内の空気は第2空間部S2へ自然に押し出される。
図2に示す様に、マイクロ流体デバイス10を構成する本体部4の表面に開口する開口部から第1空間部S1へ液体Qを導入すると、第1空間部S1に開口する各微細貫通孔Tの第一の開口部Taから、毛細管現象(毛細管力)により各微細貫通孔T内に液体Qの一部が流入する。この際、各微細貫通孔T内の空気は第2空間部S2へ自然に押し出される。
微細貫通孔Tの孔径(長手方向に直交する断面の直径又は長径)は、上記毛細管現象が起きる範囲であれば特に制限されず、使用する液体Qの表面張力や粘度等にもよるが、通常1nm〜1000μmの範囲であることが好ましい。
微細貫通孔Tの第一の開口部Taから流入して進む液体Qの先端部は、第2空間部S2に開口する第二の開口部Tbに達してもよいし、達しなくてもよい。第二の開口部Tbに達した場合、その先端部を構成する液体Qの一部が第二の開口部Tbから流出しても構わないが、基本的には第二の開口部Tbから流出せずに、第二の開口部Tbで液体Qの先端部の進行が止まる。この理由は、毛細管力が液体Qを微細貫通孔T内に留めるため、及び第二の開口部Tbにおいて液体Qの先端部に働く表面張力が液体Qを微細貫通孔T内に留めるため、だと推測される。
第1空間部S1に液体Qが充分に導入されると、各微細貫通孔Tの内部も液体Qの一部によって満たされる(図3参照)。この際、第1空間部S1に継続して液体Qを導入し続けてもよいし、第1空間部S1の液体Qの流通を止めて、第1空間部S1を液体Qで満たした状態を保ってもよい。
(排出ステップ)
次に、図4に示す様に、各微細貫通孔T内に流入された前記一部の液体Qを残したまま、第1空間部S1から液体Qを排出する。排出方法は特に制限されず、重力を利用した自然排出であってもよいし、シリンジポンプ、ペリスターポンプ等を利用した強制排出であってもよい。排出速度は特に制限されず、第1空間部S1が陰圧になる程に勢いよく排出しても構わないが、通常、より穏やかに排出することが好ましい。すなわち、液体Qの排出によって、第1空間部S1が陰圧になってもよいし、陰圧にならなくてもよい。
次に、図4に示す様に、各微細貫通孔T内に流入された前記一部の液体Qを残したまま、第1空間部S1から液体Qを排出する。排出方法は特に制限されず、重力を利用した自然排出であってもよいし、シリンジポンプ、ペリスターポンプ等を利用した強制排出であってもよい。排出速度は特に制限されず、第1空間部S1が陰圧になる程に勢いよく排出しても構わないが、通常、より穏やかに排出することが好ましい。すなわち、液体Qの排出によって、第1空間部S1が陰圧になってもよいし、陰圧にならなくてもよい。
(流出ステップ)
第1空間部S1から液体Qを排出すると、液体Qが排出されて第1空間部S1に空気が流入し、この空気に接した順に、各微細貫通孔Tの第一の開口部Taから、各微細貫通孔T内に残されていた液体Qが自動的に第1空間部S1へ流出する。
第1空間部S1から液体Qを排出すると、液体Qが排出されて第1空間部S1に空気が流入し、この空気に接した順に、各微細貫通孔Tの第一の開口部Taから、各微細貫通孔T内に残されていた液体Qが自動的に第1空間部S1へ流出する。
この自動的な流出が発生する要因の一つとして、第1空間部S1から液体Qを排出した直後に、各微細貫通孔Tの第一の開口部Taが開口する第1空間部S1の第1内壁面w1に、液体Qからなる薄い膜Mが形成されることが挙げられる。この膜Mが第1空間部S1に流入した空気によって徐々に乾燥し、その膜Mの厚みが徐々に薄くなり、最終的には膜Mが無くなる。この乾燥過程に伴って、各微細貫通孔T内の液体Qと膜Mの間に張力が働き、各微細貫通孔T内の液体Qが膜Mの方向に引き寄せられて第一の開口部Taから流出する、というメカニズムが働いている。このメカニズムにより、空気に触れる順番が速い第一の開口部Taを有する微細貫通孔Tから順に(図4においては、紙面の上から下に並んだ複数の微細貫通孔Tのうち、上側の微細貫通孔Tから順に)、ある程度の時間差を伴って、各々の微細貫通孔Tの内部に残された液体Qが第1空間部S1へ自動的に流出する。
以上の各ステップにより、第1空間部S1に導入した液体Qの一部を各微細貫通孔T内に流入させ、所望に応じてその状態を保持し、続いて、第1空間部S1から液体Qを排出することにより、前記液体Qの排出時に一時的に各微細貫通孔T内に残された液体Qの一部を第1空間部S1へ流出させることができる。
以上の説明においては、第1空間部S1に液体Qを導入する場合を説明したが、この場合と同様に第2空間部S2に液体Qを導入すれば、第2空間部S2に開口する各微細貫通孔Tの第二の開口部Tbから各微細貫通孔T内に液体Qの一部を流入させることができる。次いで、第2空間部S2内の液体Qを排出することにより、各微細貫通孔T内の液体Qを第二の開口部Tbから第2空間部S2へ流出させることができる。第1空間部S1と第2空間部S2の構造及び構成は互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
<検査デバイスの製造方法の第一実施形態>
前述した送液方法(1)の液体Qとして、微細貫通孔Tの内側面Yを加工する液体(加工用液体)を使用することにより、マイクロ流体デバイス10を材料として検査デバイス10’を製造することができる。
前述した送液方法(1)の液体Qとして、微細貫通孔Tの内側面Yを加工する液体(加工用液体)を使用することにより、マイクロ流体デバイス10を材料として検査デバイス10’を製造することができる。
第一実施形態の検査デバイスの製造方法においては、加工用液体として、検査対象である液体試料に含まれ得る被検出物質を直接又は間接に捕捉可能な膜を形成するための前記膜の前駆物質が含まれた液体を使用する。この加工用液体をマイクロ流体デバイス10の第1空間部S1に導入し、第一の開口部Taから、毛細管現象により微細貫通孔T内に加工用液体の一部を流入させた後、第1空間部S1から加工用液体を排出し、続いて、加工用液体の排出の際に微細貫通孔T内に一時的に残留した前記一部の加工用液体を、微細貫通孔Tの第一の開口部Taから第1空間部S1へ自動的に流出させる。
前記自動的な流出の後、微細貫通孔Tの内側面上には加工用液体からなる薄層(薄い膜)Rが形成される(図5参照)。
薄層Rが形成されるメカニズムとして、加工用液体の大部分が微細貫通孔Tから流出する際に、加工用液体の残部と微細貫通孔Tの内側面Yとの摩擦により、加工用液体の残部が微細貫通孔Tの内側面Yに取り残される、という現象が起きていると考えられる。
薄層Rの形成に続いて、薄層Rが微細貫通孔Tの内側面Yから消失し、その内側面Yに前駆物質によって構成された膜Jが形成される。
薄層Rが微細貫通孔Tの内側面Yから消失するメカニズムとしては、薄層Rを構成する加工用液体自身が有する張力の影響によって、薄層Rを構成する加工用液体が流動し、微細貫通孔Tの外へ流出する第一のメカニズム、及び、薄層Rを構成する加工用液体の成分である溶媒が蒸発(乾燥)する第二のメカニズム、のうち少なくとも一方の現象が起きていると考えられる。
第一のメカニズムが働いた場合における膜Jの形成メカニズムとしては、加工用液体に含まれていた前駆物質が内側面Yに接触して、前駆物質と内側面Yとの分子間力及びクーロン力等による物理化学的結合により吸着する、という現象が起きていると考えられる。また、第二のメカニズムが働いた場合における膜Jの形成メカニズムとしては、加工用液体に含まれていた前駆物質の溶解度が低下し、前駆物質が内側面Y上に析出する、という現象が起きていると考えられる。何れのメカニズムによっても、検査対象である液体試料に含まれる被検出物質を捕捉する能力が互いに同等の膜Jが形成されると考えられる。
微細貫通孔Tの内側面Yに形成された膜Jは、検査対象である液体試料に含まれる1種又は2種以上の被検出物質を直接又は間接に捕捉することができる。
膜Jが被検出物質を直接に捕捉する場合、膜Jに接触した液体試料中の被検出物質は、非特異的に膜Jに捕捉されてもよいし、特異的に膜Jに捕捉されてもよい。具体的には例えば、前記前駆物質が生体適合性(親和性)を有する高分子、低分子又は金属であり、膜Jが生物由来の多くの物質に対して親和性を有する場合、その膜Jは非特異的に生物由来の物質を被検出物質として捕捉することができる。他の具体例として、前記前駆物質が抗原特異性を有する抗体であり、膜Jが前記抗体を含む場合、その膜Jは前記抗原を被検出物質として捕捉することができる。
膜Jが被検出物質を間接に捕捉する場合、まず膜Jに媒介物質が吸着し、さらに前記媒介物質を介して液体試料中の被検出物質が、非特異的に膜Jに捕捉されてもよいし、特異的に膜Jに捕捉されてもよい。具体的には例えば、前記前駆物質が生体適合性を有する高分子、低分子又は金属である場合、まず膜Jに対して前記媒介物質としての抗体が吸着した後、さらに膜Jが前記抗体を介して液体試料中の被検出物質(この場合は抗原)を間接的に捕捉することができる。前記抗体が抗原特異性を有する場合には、被検出物質を特異的に捕捉することができる。また、抗原特異性が低い抗体を使用することにより、多種類の抗原を被検出物質として非特異的に捕捉することも可能である。
膜Jの厚みは被検出物質を直接又は間接に捕捉可能な厚みであれば特に限定されず、被検出物質の種類および微細貫通孔Tの孔径にもよるが、例えば、1nm〜1μm程度が好適である。膜Jの厚みが薄過ぎると被検出物質の捕捉確率が低くなる恐れがある。膜Jの厚みが厚過ぎると、微細貫通孔Tにおける液体試料の流入及び流出を妨げたり、その流入及び流出によって膜Jが剥離したりする恐れがある。
膜Jは、1種類の前駆物質によって構成されていてもよいし、2種類以上の前駆物質によって構成されていてもよい。
前記前駆物質は、微細貫通孔Tの内側面Yに膜Jを形成可能な物質であり、検査対象である液体試料に含まれる被検出物質に対する親和性を有する物質であることが好ましい。前記前駆物質として、例えば、生体適合性(生体分子に対する親和性)を有する高分子、低分子、金属が挙げられる。
前記高分子として、例えば、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、シリコーン樹脂、水溶性コラーゲン、ポリアクリルアミド、その他の公知の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。また、前記高分子として、抗体、その他のタンパク質、ペプチド(ペプチドアプタマー)、DNAアプタマー、RNAアプタマー、DNA及びRNA以外の核酸からなるアプタマー、糖鎖等が挙げられる。ここで、高分子とは、分子量Mwが10000以上である分子をいう。
前記低分子として、ヘム(二価鉄とポルフィリンの錯体)、ペプチド、種々のアミノ酸、核酸、糖等が挙げられる。また、前記低分子として、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン等のリン脂質、その他の公知の両親媒性脂質、コレステロール、等の細胞膜を構成する親油性物質が挙げられる。
前記金属として、例えば、金、銀、銅、チタン、クロム等の成膜可能な公知の金属が挙げられる。
前記前駆物質を含む加工用液体の溶媒は、前記前駆物質を溶解又は分散可能な溶媒であれば特に限定されず、例えば、水、有機溶媒等が使用できる。
加工用液体に含まれる前記前駆物質の濃度は、加工用液体の粘度、形成する膜Jの厚み等を勘案して適宜調整される。
加工用液体に含まれる前記前駆物質の濃度は、加工用液体の粘度、形成する膜Jの厚み等を勘案して適宜調整される。
第一実施形態の検査デバイスの製造方法によれば、マイクロ流体デバイス10に備えられた微細貫通孔Tの内部に加工用液体を流入させるために、微細貫通孔Tが本来的に有する毛細管力(毛細管現象)を利用している。ポンプで発生した高圧力を微細貫通孔Tに負荷する必要がないため、穏やか且つ確実に微細貫通孔T内へ加工用液体を流入させることができる。加工用液体には前記前駆物質が含まれているため、マイクロ流体デバイス10に備えられた各微細貫通孔T内に前記前駆物質を容易に流入させることができる。
本実施形態の検査デバイスの製造方法においては、毛細管現象によって穏やかに加工用液体を流入し、その後、第1空間部S1における加工用液体の排出に伴って自発的に起きる流れを利用して、穏やかに各微細貫通孔Tから加工用液体を自然に流出させている。このため、前記加工用液体からなる薄層Rを内側面Yに形成し、続いて、前記加工用液体に含まれる前記前駆物質によって構成される膜Jを内側面Yに形成することが容易である。つまり、第一実施形態の検査デバイスの製造方法によれば、従来方法よりも確実に、前記前駆物質によって構成された、被検出物質を捕捉可能な膜Jを各微細貫通孔Tの内側面Yに容易に形成することができる。
このように製造された検査デバイス10’を使用して前記送液方法を実施することにより、各微細貫通孔Tを物理、化学、生物学(バイオテクノロジー)に関する反応場として利用することができる。具体的には、例えば、免疫化学反応を利用した生化学的検査デバイスとして、検査デバイス10’を使用することができる。
《検査方法(1)》
前述した送液方法(1)を利用して、検査デバイス10’を使用することにより、被検出物質を含んでいる又は含んでいる可能性がある液体試料を検査することができる。
前述した送液方法(1)を利用して、検査デバイス10’を使用することにより、被検出物質を含んでいる又は含んでいる可能性がある液体試料を検査することができる。
本発明にかかる液体試料の検査方法の第一実施形態においては、第1空間部S1を構成する第1内壁面w1と、第2空間部S2を構成する第2内壁面w2と、第1内壁面w1に開口する第一の開口部Ta及び第2内壁面w2に開口する第二の開口部Tbを有し、第1空間部S1と第2空間部S2を空間的に連結する1本以上の微細貫通孔Tを構成する内側面Yと、内側面Yに形成された、前記液体試料に含まれ得る被検出物質を直接又は間接に捕捉可能な膜(不図示)と、を備える図1に示すマイクロ流体デバイス10(検査デバイス10’)を使用する。
第一実施形態の検査方法は、前記液体試料を第1空間部S1に導入し、第一の開口部Taから、毛細管現象により微細貫通孔T内に前記液体試料の一部を流入させて、微細貫通孔T内で、前記液体試料と前記膜を接触させることにより、前記被検出物質が前記膜に対して特異的又は非特異的に捕捉された後、第1空間部S1から前記液体試料を排出し、続いて、前記液体試料の排出の際に微細貫通孔T内に一時的に残留した前記一部の液体試料を、微細貫通孔Tの第一の開口部Taから第1空間部S1へ自動的に流出させる操作を含む検査方法である。
第一実施形態の検査方法においては、さらに、前記被検出物質に結合可能な少なくとも1種の検知物質を含む液体試薬を第1空間部S1又は前記第2空間部S2に導入し、第一の開口部Ta又は第二の開口部Tbから、すなわち、
第1空間部S1に前記液体試薬を導入した場合には、第一の開口部Taから、
第2空間部S2に前記液体試薬を導入した場合には、第二の開口部Tbから、
毛細管現象により微細貫通孔T内に前記液体試薬の一部を流入させることができる。
第1空間部S1に前記液体試薬を導入した場合には、第一の開口部Taから、
第2空間部S2に前記液体試薬を導入した場合には、第二の開口部Tbから、
毛細管現象により微細貫通孔T内に前記液体試薬の一部を流入させることができる。
前記流入により、微細貫通孔T内において、前記膜に捕捉された前記被検出物質と前記液体試薬を接触させることにより、前記膜において前記被検出物質と前記検知物質が結合した複合体を形成することができる。
その後、前記液体試薬を導入した前記空間部である、第1空間部S1又は第2空間部S2から前記液体試薬を排出し、続いて、前記液体試薬の排出の際に微細貫通孔T内に一時的に残留した前記一部の液体試薬を、
第一の開口部Ta又は第二の開口部Tbから、すなわち、
前記液体試薬を導入した前記空間部が第1空間部S1である場合には、微細貫通孔Tの第一の開口部Taから、
前記液体試薬を導入した前記空間部が第2空間部S2である場合には、微細貫通孔Tの第二の開口部Tbから、
前記液体試薬を排出した前記空間部へ、自動的に流出させる。
第一の開口部Ta又は第二の開口部Tbから、すなわち、
前記液体試薬を導入した前記空間部が第1空間部S1である場合には、微細貫通孔Tの第一の開口部Taから、
前記液体試薬を導入した前記空間部が第2空間部S2である場合には、微細貫通孔Tの第二の開口部Tbから、
前記液体試薬を排出した前記空間部へ、自動的に流出させる。
前記流出により、前記膜に結合しない物質が前記液体試料に含まれている場合には、微細貫通孔Tから前記液体試料が流出する際に、前記液体試料とともに微細貫通孔Tから前記物質が除外される。つまり、B/F分離(前記膜に結合した物質(被検出物質)と、結合しなかった物質の分離)が効率的に行われる。
第一実施形態の検査方法において、前記複合体の形成を測定することにより、前記液体試料に前記被検出物質が含まれることを定性的又は定量的に分析することができる。
前記複合体の形成を測定する方法は特に限定されず、例えば、微細貫通孔T内を検鏡する方法や、微細貫通孔T内で形成された前記複合体から直接又は間接に発信されるシグナルを測定する方法が挙げられる。前記シグナルとしては、マイクロ流体デバイスの外部から測定し易いシグナルが好ましく、例えば、光、放射線等が挙げられる。これらのうち、前記シグナルを光学的に測定する方法が容易に実施できるため好ましい。
前記複合体の形成を測定する方法は特に限定されず、例えば、微細貫通孔T内を検鏡する方法や、微細貫通孔T内で形成された前記複合体から直接又は間接に発信されるシグナルを測定する方法が挙げられる。前記シグナルとしては、マイクロ流体デバイスの外部から測定し易いシグナルが好ましく、例えば、光、放射線等が挙げられる。これらのうち、前記シグナルを光学的に測定する方法が容易に実施できるため好ましい。
前記複合体の形成を光学的に測定する方法としては、例えば、前記複合体を構成する前記検知物質が光学的に測定可能な標識物質を有する場合、前記標識物質が直接又は間接に発生する光を測定する方法が挙げられる。
前記標識物質が蛍光物質である場合、微細貫通孔T内に励起光を照射して、前記蛍光物質から発せられる蛍光の有無を検出することにより、複合体形成の有無を調べることができる。すなわち、前記液体試料に前記被検出物質が含まれることを定性的に調べることができる。また、測定された蛍光強度に基づいて、前記液体試料に含まれる前記被検出物質の含有量を定量的に分析することもできる。
前記標識物質が酵素である場合、さらに、前記酵素の基質を含む基質溶液を第1空間部S1又は第2空間部S2に導入し、第一の開口部Ta又は第二の開口部Tbから、毛細管現象により微細貫通孔T内に前記基質溶液の一部を流入させて、微細貫通孔T内で、前記複合体が有する前記酵素と前記基質試薬を接触させることにより、前記基質を蛍光物質に変換する酵素反応を生じさせる操作を行うことができる。
前記酵素反応の後、励起光を照射して、生成された蛍光物質から発せられる蛍光の有無を検出することにより、複合体形成の有無を調べることができる。すなわち、前記液体試料に前記被検出物質が含まれることを定性的に調べることができる。また、測定された蛍光強度に基づいて、前記液体試料に含まれる前記被検出物質の含有量を定量的に分析することもできる。
前記酵素反応を継続することによって生成される蛍光物質の量を増加させることができるので、蛍光測定が容易になり、形成された前記複合体の検出感度が一層高まる。このため、前標識物質として酵素を用いることがより好ましい。
前記酵素反応を継続することによって生成される蛍光物質の量を増加させることができるので、蛍光測定が容易になり、形成された前記複合体の検出感度が一層高まる。このため、前標識物質として酵素を用いることがより好ましい。
<検査方法(1)の具体例>
検査デバイス10’の製造と使用の一例として、マイクロ流体デバイス10に備えられた微細貫通孔Tに、前記前駆物質からなる膜Jが形成された検査用デバイス10’の製造と使用が挙げられる。以下に、図6A〜図6Iを参照して説明する。
検査デバイス10’の製造と使用の一例として、マイクロ流体デバイス10に備えられた微細貫通孔Tに、前記前駆物質からなる膜Jが形成された検査用デバイス10’の製造と使用が挙げられる。以下に、図6A〜図6Iを参照して説明する。
まず、前駆物質としてポリスチレンを含む第一の液体Q1(加工用液体の一例)が第1空間部S1に導入されると、液体Q1が第1空間部S1を徐々に満たすとともに、毛細管力によって各微細貫通孔Tの第一の開口部Taから内部へ液体Q1が流入する(図6A)。各微細貫通孔Tに流入した液体Q1に含まれる前記前駆物質の一部は各微細貫通孔Tの内側面Yに物理化学的に吸着する。
全ての微細貫通孔T内に液体Q1が満たされた後、第1空間部S1から液体Q1を排出すると、第1空間部S1に空気が流入する。第1空間部S1に開口する各微細貫通孔Tの第一の開口部Taのうち、空気に接触した順序が速い第一の開口部Taから順に、各微細貫通孔Tの内部に残された液体Q1が第1空間部S1へ流出する(図6B)。その結果、各微細貫通孔Tの内側面Yに液体Q1によって構成される薄層Rが一時的に形成されて(図6B)、続いて、前記前駆物質を含む膜Jが形成される(図6C)。このようにして、前記前駆物質によって構成された膜Jが各微細貫通孔Tの内側面Yにほぼ均一に形成された検査デバイス10’を製造することができる。
ここで、前記前駆物質を吸着させたくない箇所が流路内にある場合には、当該箇所の撥水性を高めるコーティング等の表面処理を予め施しておくことにより、不要な吸着を防ぐことができる。
続いて、抗原Ag(被検出物質の一例)及び夾雑物質F(被検出物質以外の物質の一例)を含む第二の液体Q2(液体試料の一例)が第1空間部S1に導入されると、液体Q2が第1空間部S1を徐々に満たすとともに、毛細管力によって各微細貫通孔Tの第一の開口部Taから内部へ液体Q2が流入する(図6D)。各微細貫通孔Tに流入した液体Q2に含まれる抗原Ag及び夾雑物質Fは、各微細貫通孔Tの内側面Yに形成された膜Jに対する親和性によって非特異的に吸着する。
全ての微細貫通孔T内に液体Q2が満たされた後、第1空間部S1から液体Q2を排出すると、第1空間部S1に空気が流入する。第1空間部S1に開口する各微細貫通孔Tの第一の開口部Taのうち、空気に接触した順序が速い第一の開口部Taから順に、各微細貫通孔Tの内部に残された液体Q2が第1空間部S1へ流出する(図6E)。各微細貫通孔Tの内部の液体Q2が全て排出された後においても、各微細貫通孔T内の抗原Ag及び夾雑物質Fは、膜Jに固定された状態を維持する(図6F)。
前記流出により、膜Jに結合しない物質が前記液体試料に含まれている場合には、微細貫通孔Tから前記液体試料が流出する際に、前記液体試料とともに微細貫通孔Tから前記物質が除外される。つまり、B/F分離(膜Jに結合した物質(被検出物質)と、結合しなかった物質の分離)が効率的に行われる。
続いて、抗原Ag及び夾雑物質Fが吸着していない、膜Jが露出している領域がある場合には、前記領域をブロッキング処理してもよい。例えば、スキムミルクを含むブロッキング溶液を微細貫通孔T内に流入させることによって、スキムミルクを構成するアルブミン等のタンパク質が前記領域に吸着する。このようにブロッキング処理を行うと、後段で微細貫通孔T内に流入する液体Q3に含まれる抗体Abが、膜Jに非特異的に吸着することを防止することができる。ブロッキング処理後、微細貫通孔T内からブロッキング溶液を流出させて、次の操作に移る。なお、微細貫通孔Tにおけるブロッキング溶液の流入及び流出は、液体Q2の場合と同様に行えばよい。
次に、抗原Agに対する結合性が予め付与された抗体Abを含む第三の液体Q3が第2空間部S2に導入されると、液体Q3が第2空間部S2を徐々に満たすとともに、毛細管力によって各微細貫通孔Tの第二の開口部Tbから内部へ液体Q3が流入する(図6G)。各微細貫通孔Tに流入した液体Q3に含まれる抗体Abは、各微細貫通孔Tの膜Jに固定された抗原Agを認識して、抗原抗体反応によって結合し、抗原Agと抗体Abの複合体Comp.を形成する。
全ての微細貫通孔T内に液体Q3が満たされた後、第2空間部S2から液体Q3を排出すると、第2空間部S2に空気が流入する。第2空間部S2に開口する各微細貫通孔Tの第二の開口部Tbのうち、空気に接触した順序が速い第二の開口部Tbから順に、各微細貫通孔Tの内部に残された液体Q3が第2空間部S2へ流出する(図6H)。各微細貫通孔Tの内部の液体Q3が全て排出された後においても、各微細貫通孔T内の複合体Comp.は、膜Jに固定された状態を維持する(図6I)。
抗体Abには、予め発光性標識物質が結合(コンジュゲート)されているため、例えば、微細貫通孔Tに励起光を照射すると、微細貫通孔Tの膜Jに形成された複合体Comp.に含まれる発光性標識物質が蛍光を発する。この蛍光の発光量は複合体Comp.の存在量に依存する。したがって、蛍光の発光量を測定することにより、液体Q2に含まれていた抗原Agの含有量を定量することができる。
励起光照射による蛍光測定を実施する前に、微細貫通孔T内の膜J又は抗原Agに対して非特異的に吸着した抗体Abを洗浄する目的で、洗浄液を微細貫通孔T内に流入した後、流出させてもよい。
通常、微細貫通孔T内の洗浄は、次の何れか1つ以上の段階で行われることが好ましい。
・膜Jが微細貫通孔Tの内側面Yに形成された後
・抗原Ag及び夾雑物質Fを含む液体Q2が微細貫通孔Tに流入及び流出した後
・スキムミルクを含むブロッキング溶液が微細貫通孔Tに流入及び流出した後
・抗体Abを含む液体Q3が微細貫通孔Tに流入及び流出した後
・膜Jが微細貫通孔Tの内側面Yに形成された後
・抗原Ag及び夾雑物質Fを含む液体Q2が微細貫通孔Tに流入及び流出した後
・スキムミルクを含むブロッキング溶液が微細貫通孔Tに流入及び流出した後
・抗体Abを含む液体Q3が微細貫通孔Tに流入及び流出した後
抗体Abが結合する発光性標識物質としては、外部からの光照射を受けて励起された発光性標識物質自身が蛍光を発する蛍光物質であってもよいし、他の基質を化学発光する発光物質に変換する触媒物質であってもよい。
前記蛍光物質としては、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、量子ドット等が挙げられる。前記触媒物質としては、例えば、ELISAで使用される公知の酵素が適用可能であり、具体例として、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、イクオリン等の酵素が挙げられる。この酵素の基質としては、例えば、3−(p−ハイドロオキシフェノール)プロピオン酸及びその類似体、ルシフェリン及びルシフェリン類似体、セレンテラジン及びセレンテラジン類似体等が挙げられる。
1種類の発光性標識物質が単独で使用されてもよいし、2種類以上の発光性物質が併用されてもよい。2種類以上の蛍光物質が併用されてもよいし、2種類以上の酵素及び基質が併用されてもよいし、1種類以上の蛍光物質と、1種類以上の酵素及び基質とが併用されてもよい。抗体Abに種々の発光性標識物質を結合させる方法は特に限定されず、公知方法が適用可能である。
微細貫通孔T内に存在する物質をトレースするための標識物質は、上記の様に発光性標識物質であってもよいし、非発光性標識物質であってもよい。非発光性標識物質としては、例えば、公知のラジオイムノアッセイ法で使用される様な放射性標識物質が挙げられる。
以上で説明した検査デバイスの使用の一例は、検査対象である液体Q2中に抗原Agが含有されるか否かを定性的に分析すること、又は液体Q2中に含まれる抗原Agの含有量を定量的に分析することを目的として、一般にサンドイッチイムノアッセイと呼ばれる形式を採用している。このため、抗原Agに対して特異的又は非特異的に結合する抗体Abを予め準備しておく必要がある。このような抗体は公知方法により取得される。
本発明にかかる検査デバイスを使用した検査においては、上記のサンドイッチイムノアッセイ形式に代えて、間接抗体イムノアッセイ形式、ブリッジングイムノアッセイ形式等の他の公知のイムノアッセイ形式を採用してもよい。また、抗体及び抗原の少なくとも何れか一方を利用しない、他の分子間相互作用を利用した検査を実施してもよい。これらのイムノアッセイ形式及びその他の分子間相互作用を利用した検査の基本的な方法は何れも公知であるため、ここでは簡単な説明に留める。
間接抗体イムノアッセイ形式を採用する場合は、抗原Ag(前駆物質の一例)によって構成される膜Jを微細貫通孔Tの内側面Yに形成した後、一次抗体Ab1、二次抗体Ab2が順に微細貫通孔T内に導入される。この形式によれば、検査対象である液体試料中に一次抗体Ab1(被検出物質の一例)が含有されている可能性が有る場合に、その一次抗体Ab1の含有の有無又は含有量を分析することができる。
ブリッジングイムノアッセイ形式を採用する場合は、抗原Ag(前駆物質の一例)によって構成される膜Jを微細貫通孔Tの内側面Yに形成した後、一次抗体Ab1、標識物質を有する抗原Agが順に微細貫通孔T内に導入される。この形式によれば、検査対象である液体中の一次抗体Ab1(被検出物質の一例)の有無又は含有量を分析することができる。
<液体試料>
検査対象である液体試料に含まれる被検出物質は特に限定されず、例えば、所定の抗体に対して特異的又は非特異的に結合し得る抗原、所定の抗原に対して特異的又は非特異的に結合し得る抗体、任意の有機化合物、無機化合物、金属等が挙げられる。
前記抗原の種類は特に制限されず、検査の目的に応じて適宜選定される。前記抗原の具体例としては例えば、風邪、肝炎、後天的免疫不全等を惹起するウイルス、細菌等の病原体に由来するタンパク質、ペプチド、核酸、脂質、糖鎖等が挙げられる。
液体試料に含まれ得る被検出物質は1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
検査対象である液体試料に含まれる被検出物質は特に限定されず、例えば、所定の抗体に対して特異的又は非特異的に結合し得る抗原、所定の抗原に対して特異的又は非特異的に結合し得る抗体、任意の有機化合物、無機化合物、金属等が挙げられる。
前記抗原の種類は特に制限されず、検査の目的に応じて適宜選定される。前記抗原の具体例としては例えば、風邪、肝炎、後天的免疫不全等を惹起するウイルス、細菌等の病原体に由来するタンパク質、ペプチド、核酸、脂質、糖鎖等が挙げられる。
液体試料に含まれ得る被検出物質は1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
<マイクロ流体デバイス>
本発明にかかる検査デバイスの製造方法において使用可能なマイクロ流体デバイスの例として、以下に、マイクロ流体デバイス10,20,30,40の構成を説明する。
本発明にかかる検査デバイスの製造方法において使用可能なマイクロ流体デバイスの例として、以下に、マイクロ流体デバイス10,20,30,40の構成を説明する。
図1に示すマイクロ流体デバイス10を構成する複数の微細貫通孔Tは、それぞれ第1空間部S1を構成する第1内壁面w1に開口する第一の開口部Taと、第2空間部S2を構成する第2内壁面w2に開口する第二の開口部Tbとを有する。各微細貫通孔Tは、マイクロ流体デバイス10を構成する本体部4に内在して第一の流路を形成する第1空間部S1と、本体部4に内在して第二の流路を形成する第2空間部S2とを空間的に連結している(連通している)。つまり、各微細貫通孔Tの第一の端部が第一の開口部Taを構成し、各微細貫通孔Tの第二の端部が第二の開口部Tbを構成している。
本体部4に内在する第1空間部S1は、本体部4が有する第1内壁面w1によって形成されている。第1空間部S1は本体部4の表面の任意の箇所に少なくとも2つの開口部を有する。何れかの開口部から任意の液体Qを注入すると、第1空間部S1内に液体Qが導入される。その後、所望のタイミングで第1空間部S1内の液体Qを何れかの開口部から排出する。第1空間部S1における液体Qの導入及び排出を制御するために、マイクロ流体デバイス10にポンプ又はバルブが取り付けられてもよい。
第1空間部S1の形状は、第一の開口部Taが開口する第1内壁面w1を有する形状であれば特に限定されず、例えば、公知の流体デバイスを構成する流路と同じ形状であってもよいし、立方体、直方体、球、回転楕円体等の任意の立体形状であってもよい。第1空間部S1の形状が長手方向を有する形状である場合、その長手方向に直交する断面の形状は矩形、円形、楕円形等の任意の形状でよい。前記断面の面積は特に限定されず、例えば、1mm2〜400mm2程度が好ましい。この範囲であると、第1空間部S1に開口する各微細貫通孔T内に対して、穏やか且つ確実に、液体Qが流入し得る。
第2空間部S2の形状及びサイズは、第1空間部S1と同じであってもよいし、異なっていてもよい。第2空間部S2が構成する第二の流路の経路と、第1空間部S1が構成する第一の流路の経路とは互いに異なるが、両方の経路の一部が重複したり交差したりしても構わない。各流路における液体Qの流れの制御は、公知方法で行えばよく、例えば流路上に設けられたバルブ又はポンプ(不図示)によって制御することができる。その他の第2空間部S2に関する説明は、上記の第1空間部S1の説明と同様であるため省略する。
微細貫通孔Tの孔径、すなわち微細貫通孔Tの長手方向に直交する断面の直径又は長径(最大径)は、上記毛細管力による液体Qの流入及び上記自動的な液体Qの流出が容易になるため、第一の開口部Taから第二の開口部Tbまで均一であることが好ましい。前記孔径は、前述した様に1nm〜1000μm程度の範囲であることが好ましい。この範囲であると、上記毛細管力による液体Qの流入及び上記自動的な液体Qの流出が、穏やか且つ確実に行われ得る。
微細貫通孔Tの第一の開口部Ta及び第二の開口部Tbの形状(微細貫通孔Tの両端部が第1内壁面w1及び第2内壁面w2にそれぞれ形成する縁の輪郭)は、上記毛細管力による液体Qの流入及び上記自動的な液体Qの流出が起こることを妨げる形状でなければ特に制限されない。上記流入及び流出がより容易に起きるため、第一の開口部Ta及び第二の開口部Tbの形状は、これら開口部Ta,Tbを両端に有する微細貫通孔Tの長手方向に直交する断面の形状と同じであることが好ましい。
微細貫通孔Tの第一の開口部Taと第二の開口部Tbの形状は互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、マイクロ流体デバイス10の様に、微細貫通孔Tがデバイス内に複数備えられている場合には、各微細貫通孔Tの長手方向に直交する断面の形状、及び各微細貫通孔Tの開口部Ta、Tbの形状は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
マイクロ流体デバイスが有する複数の微細貫通孔Tを図7AのA−A’方向で切断したときの各微細貫通孔Tの断面形状の具体例を次に示す。図7Bは楕円形状の断面を有する複数の微細貫通孔Tが直線的に配列された例である。図7Cは矩形状の断面を有する複数の微細貫通孔Tが直線的に配列された例である。図7Dは楕円形状の断面を有する複数の微細貫通孔Tが三本の直線状に配列された例である。図7Eは図7Bよりも扁平で長径の方向が異なる楕円形状の断面を有する複数の微細貫通孔Tが直線的に配列された例である。マイクロ流体デバイスに備えられた複数の微細貫通孔Tは、互いに同じ断面形状を有していてもよいし、異なる断面形状を有していてもよい。
微細貫通孔Tの長手方向の長さは、上記毛細管力による液体Qの流入及び上記自動的な液体Qの流出が起こる長さであれば特に制限されず、例えば、0.5mm〜15mm程度が好ましい。この範囲であると、微細貫通孔Tにおける液体Qの流入及び流出を、穏やか且つ確実に起こすことができる。
マイクロ流体デバイス10に備えられた微細貫通孔Tが複数である場合、各微細貫通孔T同士の距離(離間距離)及び各微細貫通孔Tの開口部Ta,Tb同士の距離(離間距離)は特に制限されず、例えば1μm〜100μm程度が好ましい。各微細貫通孔Tの長手方向に沿う中心軸線の方向(中心軸が指す方向)は、互いに平行であってもよいし、非平行であってもよい。
マイクロ流体デバイス10の本体部4において、微細貫通孔Tが連通する第1空間部S1及び第2空間部S2は、二つの平行な流路を形成している。各流路において、微細貫通孔Tの長手方向に沿う中心軸線が各流路を通過する方向の流路径は特に限定されないが、各流路から微細貫通孔T内へ液体が流入し易くなる観点から、例えば0.5mm〜20mm程度が好ましい。
前記各流路の長手方向に沿う中心軸線と、各微細貫通孔Tの長手方向に沿う中心軸線との「なす角」は特に制限されず、90度であってもよいし、鈍角であってもよいし、鋭角であってもよい。前記なす角が特に制限されない理由は、各微細貫通孔Tにおける液体Qの流入及び流出に対して支配的な力は、上記毛細管力、及び、各第一の開口部Ta周辺の第1空間部S1を構成する第1内壁面w1において形成される液体Qからなる膜Mの移動(乾燥)の際に発生する張力であり、上記なす角の寄与は小さいからである。
マイクロ流体デバイス10においては、第1空間部S1及び第2空間部S2を構成する第1内壁面w1及び第2内壁面w2、並びに複数の微細貫通孔Tを構成する内側面Yが、本体部4を構成する基材(基板)に含まれている。
次に、マイクロ流体デバイス10の変形例として、マイクロ流体デバイス20(図8参照)、マイクロ流体デバイス30(図9参照)を説明する。
マイクロ流体デバイス20,30を使用して、前述したマイクロ流体デバイス10と同様に、流入ステップ、排出ステップ及び流出ステップによって送液することができる。
したがって、マイクロ流体デバイス10を使用して検査デバイス10’を製造する方法と同様に、前述した送液方法(1)により、マイクロ流体デバイス20,30を使用して検査デバイス20’,30’を製造することができる。
マイクロ流体デバイス20,30を使用して、前述したマイクロ流体デバイス10と同様に、流入ステップ、排出ステップ及び流出ステップによって送液することができる。
したがって、マイクロ流体デバイス10を使用して検査デバイス10’を製造する方法と同様に、前述した送液方法(1)により、マイクロ流体デバイス20,30を使用して検査デバイス20’,30’を製造することができる。
図8に示すマイクロ流体デバイス20は、第1空間部S1を構成する第1内壁面w1及び第2空間部S2を構成する第2内壁面w2を含む本体部4と、第1空間部S1に面して開口する第一の開口部Ta及び第2空間部S2に面して開口する第二の開口部Tbを有し、第1空間部S1と第2空間部S2を空間的に連結する(連通する)一つ以上の微細貫通孔Tを構成する内側面Yを含む副本体部5(チップ)と、を備えている。
マイクロ流体デバイス20においては、副本体部5が本体部4の内部に設置されている。副本体部5の第一の表面5uは、本体部4の第1内壁面w1と一体化して第1空間部S1を構成している。副本体部5に含まれる各微細貫通孔Tの第一の開口部Taは、第1空間部S1に面するように第一の表面5uに開口している。同様に、副本体部5の第二の表面5vは、本体部4の第2内壁面w2と一体化して第2空間部S2を構成している。副本体部5に含まれる各微細貫通孔Tの第二の開口部Tbは、第2空間部S2に面するように第二の表面5vに開口している。
図9に示すマイクロ流体デバイス30は、第1空間部S1を構成する第1内壁面w1及び第2空間部S2を構成する第2内壁面w2を含む本体部4と、第1空間部S1を構成する第1副内壁面ww1及び第2空間部S2を構成する第2副内壁面ww2を含み、更に、第1副内壁面ww1に開口する第一の開口部Ta及び第2副内壁面ww2に開口する第二の開口部Tbを有し、第1空間部S1と第2空間部S2を空間的に連結する(連通する)一つ以上の微細貫通孔Tを構成する内側面Yを含む副本体部5(チップ)と、を備えている。
マイクロ流体デバイス30においては、副本体部5が本体部4の内部に設置されている。副本体部5の第1副内壁面ww1は、本体部4の第1内壁面w1に接続されて、全体として一つの第1空間部S1を形成している。副本体部5に含まれる各微細貫通孔Tの第一の開口部Taは、第1空間部S1に面するように第1副内壁面ww1に開口している。同様に、副本体部5の第2副内壁面ww2は、本体部4の第1内壁面w2に接続されて、全体として一つの第2空間部S2を形成している。副本体部5に含まれる各微細貫通孔Tの第二の開口部Tbは、第2空間部S2に面するように第2副内壁面ww2に開口している。
マイクロ流体デバイス20,30を構成する副本体部5(チップ)は、本体部4から取り外すこと及び本体部4に取り付けることが可能なように設置されていてもよいし、本体部4から取り外すことができないように接着又は接合された状態で設置されていてもよい。
副本体部5を構成する基体の形状は、本体部4に設置可能な形状であれば特に限定されない。前記基体の形状としては、例えば直方体、立方体等の箱型形状(チップ形状)が挙げられる。前記基体の材料は特に限定されず、本体部4を構成する基体の材料と同じ材料が適用可能である。
本体部4又は副本体部5を構成する基体に、微細貫通孔T、第1空間部S1及び第2空間部S2を形成する方法は特に限定されず、公知の微細加工技術を適用できる。マイクロ流体デバイス10の製造方法を代表例として、後で詳述する。
以上で説明したマイクロ流体デバイス10,20,30は、2つの空間部S1、S2を備えたデバイスである。
以下に、3つ以上の空間部を備えたマイクロ流体デバイス40を、図10を参照して例示する。
以下に、3つ以上の空間部を備えたマイクロ流体デバイス40を、図10を参照して例示する。
マイクロ流体デバイス40は、第1空間部S1を構成する第1内壁面w1と、第2空間部S2を構成する第2内壁面w2と、・・・第n空間部Snを構成する第n内壁面wnと、の合計n個の内壁面を含む。前記「n」は3以上の整数(序数)を表す。
さらに、マイクロ流体デバイス40は、第1内壁面w1に開口する第一の開口部Ta及び第2内壁面w2に開口する第二の開口部Tbを有し、第1空間部S1と第2空間部S2を空間的に連結する一つ以上の微細貫通孔Tを構成する第1内側面Y1と、・・・第1内壁面w1に開口する第一の開口部Ta及び第n内壁面wnに開口する第二の開口部Tbを有し、第1空間部S1と第n空間部Snを空間的に連結する(連通する)一つ以上の微細貫通孔Tを構成する第(n−1)内側面Y(n−1)と、の合計(n−1)個の内側面を含む。1つの内側面は1本以上の微細貫通孔を構成する。前記「n」は3以上の整数(序数)を表す。
ここで、「第1空間部S1を構成する第1内壁面w1と、第2空間部S2を構成する第2内壁面w2と、・・・第n空間部Snを構成する第n内壁面wn」の表記における「・・・」は、第3空間部S3を構成する第3内壁面w3、第4空間部S4を構成する第4内壁面w4、第5空間部S5を構成する第5内壁面w5、・・・の順序で、任意のn個の空間部が繰り返されることを表す。前記「n」は3以上の整数(序数)を表し、図10においてはn=5の場合を例示している。
同様に、「・・・第1内壁面w1に開口する第一の開口部Ta及び第n内壁面に開口する第二の開口部Tbを有し、第1空間部S1と第n空間部Snを空間的に連結する(連通する)一つ以上の微細貫通孔Tを構成する第(n−1)内側面Y(n−1)と、」の表記における「・・・」は、
第1内壁面w1に開口する第一の開口部Ta及び第3内壁面に開口する第二の開口部Tbを有し、第1空間部S1と第3空間部S3を空間的に連結する(連通する)一つ以上の微細貫通孔Tを構成する第2内側面Y2と、
第1内壁面w1に開口する第一の開口部Ta及び第4内壁面に開口する第二の開口部Tbを有し、第1空間部S1と第4空間部S4を空間的に連結する(連通する)一つ以上の微細貫通孔Tを構成する第3内側面Y3と、・・・
の順序で、任意の(n−1)個の内側面が繰り返されることを表す。前記「n」は3以上の整数(序数)を表し、第n空間部Snにおける「n」と同一の整数である。よって、図10においてはn=5の場合を例示している。
第1内壁面w1に開口する第一の開口部Ta及び第3内壁面に開口する第二の開口部Tbを有し、第1空間部S1と第3空間部S3を空間的に連結する(連通する)一つ以上の微細貫通孔Tを構成する第2内側面Y2と、
第1内壁面w1に開口する第一の開口部Ta及び第4内壁面に開口する第二の開口部Tbを有し、第1空間部S1と第4空間部S4を空間的に連結する(連通する)一つ以上の微細貫通孔Tを構成する第3内側面Y3と、・・・
の順序で、任意の(n−1)個の内側面が繰り返されることを表す。前記「n」は3以上の整数(序数)を表し、第n空間部Snにおける「n」と同一の整数である。よって、図10においてはn=5の場合を例示している。
マイクロ流体デバイス40は、第1空間部S1と第2空間部S2を連通する一つ以上の微細貫通孔Tからなる第1微小空間群G1、第1空間部S1と第3空間部S3を連通する一つ以上の微細貫通孔Tからなる第2微小空間群G2、・・・第1空間部S1と第n空間部Snを連通する一つ以上の微細貫通孔Tの第(n−1)微小空間群G(n−1)を有する。ここでも、「・・・」の表記は前述と同様の順序で、任意の(n−1)個の微小空間群が繰り返されることを表す。前記「n」は3以上の整数(序数)を表し、第n空間部Snにおける「n」と同一の整数である。よって、図10においてはn=5の場合を例示している。
<送液方法(2)>
マイクロ流体デバイス40における第一の送液方法(送液方法(2))は、前述したマイクロ流体デバイス10等と同様に、流入ステップ、排出ステップ及び流出ステップによって実施することができる。
マイクロ流体デバイス40における第一の送液方法(送液方法(2))は、前述したマイクロ流体デバイス10等と同様に、流入ステップ、排出ステップ及び流出ステップによって実施することができる。
第一の送液方法において、流入ステップは、第1空間部S1に液体Qを導入するとともに、第1空間部S1に開口し、第1微小空間群G1を構成する各微細貫通孔Tの第一の開口部Ta、・・・及び第1空間部S1に開口し、第(n−1)微小空間群G(n−1)を構成する各微細貫通孔Tの第一の開口部Taから、毛細管現象により各微細貫通孔T内に液体Qの一部をそれぞれ流入させるステップである。排出ステップは、各微細貫通孔T内に流入された前記一部の液体Qを残したまま、第1空間部S1から液体Qを排出するステップである。流出ステップは、前記排出後、各微細貫通孔Tの第一の開口部Taから、各微細貫通孔T内の液体Qを第1空間部S1へ自動的に流出させるステップである。なお、nは3以上の整数(序数)を表す。
第一の送液方法においては、マイクロ流体デバイス40が有する第1微小空間群〜第(n−1)微小空間群を構成する各微細貫通孔Tの第一の開口部Taが共通に開口している第1空間部S1に、液体Qを導入することによって、第1微小空間群〜第(n−1)微小空間群の各微細貫通孔Tに同一の液体Qを流入し、その後流出させている。
<検査デバイスの製造方法の第二実施形態>
前述した送液方法(2)の液体Qとして、微細貫通孔の内側面を加工する液体(加工用液体)を使用することにより、マイクロ流体デバイス40を材料として検査デバイス40’を製造することができる。
前述した送液方法(2)の液体Qとして、微細貫通孔の内側面を加工する液体(加工用液体)を使用することにより、マイクロ流体デバイス40を材料として検査デバイス40’を製造することができる。
第二実施形態の検査デバイスの製造方法においては、加工用液体として、検査対象である液体試料に含まれ得る被検出物質を直接又は間接に捕捉可能な膜を形成するための前記膜の前駆物質が含まれた液体を使用する。この加工用液体をマイクロ流体デバイス40の第1空間部S1に導入し、微細貫通孔Tの各々が有する第一の開口部S1から、毛細管現象により各微細貫通孔T内に加工用液体の一部を流入させた後、第1空間部S1から加工用液体を排出し、続いて、加工用液体の排出の際に各微細貫通孔T内に一時的に残留した前記一部の加工用液体を、各微細貫通孔Tの第一の開口部Taから第1空間部S1へ自動的に流出させる。
前記自動的な流出の後、微細貫通孔Tを構成する各内側面には加工用液体からなる薄層(薄い膜)Rが形成される。薄層Rの形成に続いて、薄層Rが微細貫通孔Tを構成する各内側面から消失し、その消失に伴って各内側面に、前駆物質によって構成された膜Jが形成される。薄層R及び膜Jが形成されるメカニズムは、前述した第一実施形態の製造方法と同様であると考えられる。
第二実施形態の検査デバイスの製造方法によれば、第一実施形態の検査デバイスの製造方法と同様の効果が奏される。すなわち、第二実施形態の検査デバイスの製造方法においては、毛細管現象によって穏やかに加工用液体を流入し、その後、第1空間部S1の排出に伴って自発的に起きる流れを利用して、穏やかに各微細貫通孔Tから加工用液体を自然に流出させることができる。このため、薄層Rを形成し、更に前記前駆物質によって構成される膜Jを容易に形成することができる。つまり、第二実施形態の検査デバイスの製造方法によれば、従来方法より確実に、前記前駆物質からなる膜Jを各微細貫通孔Tの内側面Yに形成することができる。
第二実施形態の製造方法によって製造された検査デバイス40’においては、各微小空間群G1〜G(n−1)のそれぞれに対して独立に、種々の互いに異なる液体を流入させたり流出させたりすることができる。よって、検査デバイス40’に備えられた各微小空間群における微細貫通孔Tを独立した反応場として使用することができる。
<送液方法(3)>
前述の第一の送液方法(送液方法(2))とは異なる第二の送液方法(送液方法(3))として、第1微小空間群〜第(n−1)微小空間群のそれぞれの群に対して、異なる液体を流入及び流出させることも可能である。
前述の第一の送液方法(送液方法(2))とは異なる第二の送液方法(送液方法(3))として、第1微小空間群〜第(n−1)微小空間群のそれぞれの群に対して、異なる液体を流入及び流出させることも可能である。
マイクロ流体デバイス40における第二の送液方法(送液方法(3))は、前述の流入ステップ、排出ステップ及び流出ステップの一部を変更して実施される。第二の送液方法においては、各微細貫通孔Tが有する第二の開口部Tbから液体Qを流入する。
マイクロ流体デバイス40における各微細貫通孔Tの第二の開口部Tbは、第2空間部〜第n空間部の何れかにそれぞれ開口している。これら各空間部に第1液体〜第(n−1)液体をそれぞれ導入すると、これら各液体が、第2空間部〜第n空間部に開口する各微細貫通孔T、すなわち第1微小空間群〜第(n−1)微小空間群、の内部に毛細管力によって流入する。各空間部における各液体の導入及び排出は、それぞれ独立に制御することができるため、第2空間部〜第n空間部に開口する各微細貫通孔Tに対して、個別の液体を、所望のタイミングで、それぞれ独立に流入させたり流出させたりすることができる。
以下に、第二の送液方法(送液方法(3))を具体的に詳述する。
以下に、第二の送液方法(送液方法(3))を具体的に詳述する。
マイクロ流体デバイス40を使用した第二の送液方法においては、第1微小空間群〜第(n−1)微小空間群の各群がそれぞれ独立に、流入ステップ、排出ステップ及び流出ステップを行う。その流入ステップにおいては、各群を構成する各微細貫通孔Tの第二の開口部Tbが群ごとに個別に開口する、第2空間部S2〜第n空間部Snのそれぞれに対して所望の液体を導入する。
第1微小空間群G1を構成する各微細貫通孔Tに所定の液体Aを流入及び流出させる際には、第2空間部S2において液体Aを導入及び排出すればよい。この第1微小空間群G1における液体Aの流入及び流出とは独立に、第(n−1)微小空間群G(n−1)に液体Bを流入及び流出させる際には、第n空間部Snに液体Bを導入し、その後排出すればよい。
第2空間部S2に導入された液体Aの一部は、第1微小空間群G1を構成する各微細貫通孔Tの第二の開口部Tbから各微細貫通孔T内に流入する。次いで、第2空間部S2から液体Aを排出すると、第1微小空間群G1を構成する各微細貫通孔T内に一時的に残留した液体Aの一部が第二の開口部Tbから第2空間部S2へ流出する。
第n空間部Snに導入された液体Bの、第(n−1)微小空間群G(n−1)における流入及び流出についても、第2空間部S2に導入された液体Aの場合と同様である。
第n空間部Snに導入された液体Bの、第(n−1)微小空間群G(n−1)における流入及び流出についても、第2空間部S2に導入された液体Aの場合と同様である。
つまり、第二の送液方法は、本体部4と、本体部4に内在する第1空間部S1、第2空間部S2、・・・及び第n空間部Sn(nは3以上の整数を表す。)と、本体部4に内在し、第1空間部S1と第2空間部S2を連通する一本以上の微細貫通孔Tからなる第1群G1、・・・及び第1空間部S1と第n空間部Snを連通する一本以上の微細貫通孔Tからなる第(n−1)群G(n−1)と、を備えたマイクロ流体デバイス40を使用して、以下で説明するように、第1微小空間群G1における送液、・・・、第(n−1)微小空間群G(n−1)における送液をそれぞれ独立に行う送液方法である。
ここでも、「・・・」の表記は前述と同様の順序で、任意の(n−1)個の微小空間群が繰り返されることを表す。前記「n」は3以上の整数(序数)を表し、第n空間部Snにおける「n」と同一の整数である。よって、図10においてはn=5の場合を例示している。
第1微小空間群G1における送液は、第2空間部S2に第1の液体を導入するとともに、第2空間部S2に開口する第1微小空間群G1を構成する各微細貫通孔Tの第二の開口部Tbから、毛細管現象により各微細貫通孔T内に前記液体の一部を流入させる流入ステップと、第1微小空間群G1を構成する各微細貫通孔T内に流入された前記一部の液体を残したまま、第2空間部S2から前記液体を排出する排出ステップと、前記排出後、第1微小空間群G1を構成する各微細貫通孔Tの第二の開口部Tbから、各微細貫通孔T内の液体を第2空間部S2へ自動的に流出させる流出ステップと、を有する。
第(n−1)微小空間群G(n−1)における送液は、第n空間部Snに第(n−1)の液体を導入するとともに、第n空間部Snに開口する第(n−1)微小空間群G(n−1)を構成する各微細貫通孔Tの第二の開口部Tbから、毛細管現象により各微細貫通孔T内に前記液体の一部を流入させる流入ステップと、第(n−1)微小空間群G(n−1)を構成する各微細貫通孔T内に流入された前記一部の液体を残したまま、第n空間部Snから前記液体を排出する排出ステップと、前記排出後、第(n−1)微小空間群G(n−1)を構成する各微細貫通孔Tの第二の開口部Tbから、各微細貫通孔T内の液体を第n空間部Snへ自動的に流出させる流出ステップと、を有する。
マイクロ流体デバイス40を使用した第二の送液方法においては、各群に対してそれぞれ独立に、同一の液体を送液してもよいし、異なる液体を送液してもよい。
<検査デバイスの製造方法の第三実施形態>
前述した送液方法(3)の液体Qとして、微細貫通孔の内側面を加工する液体(加工用液体)を使用することにより、マイクロ流体デバイス40を材料として検査デバイス40”を製造することができる。
前述した送液方法(3)の液体Qとして、微細貫通孔の内側面を加工する液体(加工用液体)を使用することにより、マイクロ流体デバイス40を材料として検査デバイス40”を製造することができる。
第三実施形態の検査デバイスの製造方法においては、加工用液体として、検査対象である液体試料に含まれ得る被検出物質を直接又は間接に捕捉可能な膜を形成するための前記膜の前駆物質がそれぞれ含まれた第1液体〜第(n−1)液体を使用する。
第三実施形態の検査デバイスの製造方法は、第1操作〜第(n−1)操作を有する。ここで、nは3以上の整数であり、マイクロ流体デバイス40が有する「第n空間部」における「n」と同じ整数である。
第1操作は、検査対象である液体試料に含まれ得る被検出物質を直接又は間接に捕捉可能な第1膜を形成するための第1前駆物質が含まれた第1液体を、第2空間部S2に導入し、第1内側面Y1によって構成される1本以上の微細貫通孔T(微小空間群G1)が有する各第二の開口部Tbから、毛細管現象により各微細貫通孔T内に第1液体の一部を流入させた後、第2空間部S2から第1液体を排出し、続いて、第1液体の排出の際に各微細貫通孔T内に一時的に残留した前記一部の第1液体を、各微細貫通孔の第二の開口部から第2空間部S2へ自動的に流出させて、更に、前記1本以上の微細貫通孔Tを構成する第1内側面Y1に、前記液体試料に含まれ得る被検出物質を直接又は間接に捕捉可能な、第1前駆物質によって構成された第1膜を形成する操作である。
第(n−1)操作は、検査対象である液体試料に含まれ得る被検出物質を直接又は間接に捕捉可能な第(n−1)膜を形成するための第(n−1)前駆物質が含まれた第(n−1)液体を、第n空間部Snに導入し、第(n−1)内側面(n−1)によって構成される1本以上の微細貫通孔T(微小空間群G(n−1))が有する第二の開口部Tbから、毛細管現象により各微細貫通孔T内に第(n−1)液体の一部を流入させた後、第n空間部Snから第(n−1)液体を排出し、続いて、第(n−1)液体の排出の際に各微細貫通孔T内に一時的に残留した前記一部の第(n−1)液体を、各微細貫通孔Tの第二の開口部Tbから第n空間部Snへ自動的に流出させて、更に、前記1本以上の微細貫通孔Tを構成する第(n−1)内側面に、前記液体試料に含まれ得る被検出物質を直接又は間接に捕捉可能な、第(n−1)前駆物質によって構成された第(n−1)膜を形成する操作である。
第三実施形態の検査デバイスの製造方法においては、(n−1)個の操作を行う。すなわち、第1操作、第2操作、第3操作、第4操作、・・・、及び第(n−1)操作を行う。
ここで、nは、全て同一の3以上の整数(序数)であり、使用するマイクロ流体デバイス40が有する「第n空間部」を表すnと一致する整数である。
ここで、nは、全て同一の3以上の整数(序数)であり、使用するマイクロ流体デバイス40が有する「第n空間部」を表すnと一致する整数である。
上記の各操作は独立に制御可能であるため、各操作を同時に行ってもよいし、個別に所望のタイミングで行ってもよい。
第1液体に含まれる第1前駆物質と、・・・、第(n−1)液体に含まれる第(n−1)前駆物質とが、それぞれ互いに異なる前駆物質であってもよい。この場合、第1微小空間群〜第(n−1)微小空間群を構成する各微細貫通孔T内に形成される、第1膜〜第(n−1)膜が互いに異なる前駆物質によって構成されているため、各膜の被検出物質に対する捕捉性能が相違する。このように製造された検査デバイスにおいては、各膜において互いに異なる被検出物質を捕捉することができる。
第1液体に含まれる第1前駆物質、・・・、及び第(n−1)液体に含まれる第(n−1)前駆物質からなる前駆物質群の中に、少なくとも1組の同じ前駆物質が含まれていてもよい。この場合、第1微小空間群〜第(n−1)微小空間群を構成する各微細貫通孔T内に形成される、第1膜〜第(n−1)膜のうち、少なくとも1組の膜は同じ前駆物質によって構成されているため、同じ被検出物質を捕捉可能な少なくとも1組の膜を形成することができる。このように製造された検査デバイスを使用して、単一の液体試料を各微細貫通孔に流入させると、同じ被検出物質を捕捉可能な膜が形成された微細貫通孔においては、同じ(同等の)結果が得られるはずである。つまり、単一の液体試料を複数の微細貫通孔で重複して検査することができるので、検査精度を向上させることができる。
第1液体に含まれる第1前駆物質と、・・・、第(n−1)液体に含まれる第(n−1)前駆物質とが、全て同じ前駆物質であってもよい。この場合、第1微小空間群〜第(n−1)微小空間群を構成する各微細貫通孔T内に形成される、第1膜〜第(n−1)膜の全てが同じ前駆物質によって構成されているため、全ての微細貫通孔T内において同じ被検出物質を捕捉可能な膜を形成することができる。このように製造された検査デバイスを使用して、単一の液体試料を各微細貫通孔に流入させると、同じ被検出物質を結合可能な膜が形成された微細貫通孔においては、同じ(同等の)結果が得られるはずである。つまり、単一の液体試料を複数の微細貫通孔で重複して検査することができるので、検査精度を向上させることができる。また、互いに異なる複数の液体試料を、上記検査デバイスに備えられた各微細貫通孔にそれぞれ流入させると、各液体試料に含有され得る共通の被検出物質を単一の検査デバイスで分析することができる。すなわち、多検体測定を効率よく実施することができる。
ここで、同じ被検出物質を捕捉可能な前駆物質が2つある場合、両前駆物質は物質として同じであってもよいし、異なっていてよい。
第1膜〜第(n−1)膜は、前記被検出物質を特異的に結合してもよいし、非特異的に結合してもよい。また、第1前駆物質〜第(n−1)前駆物質は、前記被検出物質を特異的に結合可能な前駆物質であってもよいし、前記被検出物質を非特異的に結合可能な物質であってもよい。また、第1前駆物質〜第(n−1)前駆物質のうち、少なくとも1つの前駆物質が前記高分子であってもよいし、前記低分子であってもよいし、前記金属であってもよい。
第三実施形態の検査デバイスの製造方法によれば、第一実施形態の検査デバイスの製造方法と同様の効果が奏される。すなわち、第三実施形態の検査デバイスの製造方法においては、第2空間部〜第n空間部に対する加工用液体の導入をそれぞれ独立に制御して、毛細管現象によって穏やかに加工用液体を各微細貫通孔Tに流入し、その後、第2空間部〜第n空間部においてそれぞれ独立に制御される加工用液体の排出に伴って自発的に起きる流れを利用して、穏やかに各微細貫通孔Tから加工用液体を自然に流出させることができる。このように、各微細貫通孔Tにおける加工用液体の流入及び流出を穏やかに行うことができるため、薄層Rを形成し、更に前記前駆物質によって構成される膜Jを容易に形成することができる。つまり、第三実施形態の検査デバイスの製造方法によれば、従来方法より確実に、前記前駆物質からなる膜Jを各微細貫通孔Tの内側面Yに形成することができる。
第三実施形態の製造方法によって製造された検査デバイス40”においては、各微小空間群G1〜G(n−1)のそれぞれに対して独立に、種々の互いに異なる液体を流入させたり流出させたりすることができる。よって、検査デバイス40”に備えられた各微小空間群における微細貫通孔Tを独立した反応場として使用することができる。
《検査方法(2)》
前述した送液方法(2)及び送液方法(3)を利用して、検査デバイス40’又は検査デバイス40”を使用することにより、被検出物質を含んでいる又は含んでいる可能性がある液体試料を検査することができる。
前述した送液方法(2)及び送液方法(3)を利用して、検査デバイス40’又は検査デバイス40”を使用することにより、被検出物質を含んでいる又は含んでいる可能性がある液体試料を検査することができる。
本発明にかかる液体試料の検査方法の第二実施形態においては、第1空間部S1を構成する第1内壁面w1、第2空間部S2を構成する第2内壁面w2、・・・、及び第n空間部(nは3以上の整数を表す。)を構成する第n内壁面wn、を含むn個の内壁面と、第1内壁面w1に開口する第一の開口部Ta及び第2内壁面w2に開口する第二の開口部Tbを有し、第1空間部S1と第2空間部S2を空間的に連結する1本以上の微細貫通孔Tを構成する第1内側面Y1、・・・、並びに第1内壁面w1に開口する第一の開口部Ta及び第n内壁面wnに開口する第二の開口部Tbを有し、第1空間部S1と第n空間部Snを空間的に連結する1本以上の微細貫通孔Tを構成する第(n−1)内側面、を含む(n−1)個の内側面と、前記(n−1)個の内側面のうち少なくとも1個の内側面に形成された、前記液体試料に含まれ得る少なくとも1種の被検出物質を直接又は間接に捕捉可能な、少なくとも1種の膜と、を備える図10に示すマイクロ流体デバイス(検査デバイス40’又は検査デバイス40”)を使用する。
第二実施形態の検査方法は、まず、前述した第一の送液方法(送液方法(2))によって、前記液体試料を第1空間部S1に導入し、前記(n−1)個の内側面によって構成される各微細貫通T孔が有する第一の開口部Taから、毛細管現象により各微細貫通孔T内に前記液体試料の一部を流入させて、各微細貫通孔T内で、前記液体試料と前記膜を接触させることにより、前記被検出物質を前記膜によって捕捉した後、第1空間部S1から前記液体試料を排出し、続いて、前記液体試料の排出の際に各微細貫通孔T内に一時的に残留した前記一部の液体試料を、各微細貫通孔Tの第一の開口部Taから第1空間部S1へ自動的に流出させる操作を含む検査方法である。
第二実施形態の検査方法においては、さらに、前記被検出物質に結合可能な少なくとも1種の検知物質を含む液体試薬を第1空間部S1〜第n空間部Snから任意に選ばれる何れか1つ以上の空間部に導入し、
第一の開口部Ta又は第二の開口部Tbから、すなわち、
第1空間部S1に前記液体試薬を導入した場合には、第一の開口部Taから、
第2空間部S2〜第n空間部Snの何れかに前記液体試薬を導入した場合には、第二の開口部Tbから、
毛細管現象により、各空間部に開口する各微細貫通孔T内に前記液体試薬の一部を流入させることができる。
第一の開口部Ta又は第二の開口部Tbから、すなわち、
第1空間部S1に前記液体試薬を導入した場合には、第一の開口部Taから、
第2空間部S2〜第n空間部Snの何れかに前記液体試薬を導入した場合には、第二の開口部Tbから、
毛細管現象により、各空間部に開口する各微細貫通孔T内に前記液体試薬の一部を流入させることができる。
前記流入により、各微細貫通孔T内で、前記膜に捕捉された前記被検出物質と前記液体試薬を接触させることにより、前記膜上において前記被検出物質と前記検知物質が結合した複合体を形成することができる。
次に、前述した第二の送液方法(送液方法(3))によって、前記液体試薬を導入した前記各空間部のうち少なくとも何れか1つの空間部から前記液体試薬を排出し、続いて、前記液体試薬の排出の際に前記空間部に開口する微細貫通孔T内に一時的に残留した前記一部の液体試薬を、
微細貫通孔Tが有する第一の開口部Ta又は第二の開口部Tbから、すなわち、
前記液体試薬を導入した前記空間部が第1空間部S1である場合には、微細貫通孔Tの第一の開口部Taから、
前記液体試薬を導入した前記空間部が第2空間部S2〜第n空間部Snの何れかの空間部である場合には、前記空間部に開口する微細貫通孔Tの第二の開口部Tbから、
前記液体試薬を排出した前記空間部へ自動的に流出させる。
微細貫通孔Tが有する第一の開口部Ta又は第二の開口部Tbから、すなわち、
前記液体試薬を導入した前記空間部が第1空間部S1である場合には、微細貫通孔Tの第一の開口部Taから、
前記液体試薬を導入した前記空間部が第2空間部S2〜第n空間部Snの何れかの空間部である場合には、前記空間部に開口する微細貫通孔Tの第二の開口部Tbから、
前記液体試薬を排出した前記空間部へ自動的に流出させる。
前記流出により、前記膜に結合しない物質が前記液体試料に含まれている場合には、微細貫通孔Tから前記液体試料が流出する際に、前記液体試料とともに微細貫通孔Tから前記物質が除外される。つまり、B/F分離(前記膜に結合した物質(被検出物質)と、結合しなかった物質の分離)が効率的に行われる。
第二実施形態の検査方法において、前記複合体の形成を測定することにより、前記液体試料に前記被検出物質が含まれることを定性的又は定量的に分析することができる。
前記複合体の形成を測定する方法は特に限定されず、前述した第一実施形態の検査方法において説明した測定方法を同様に適用することができる。
前記複合体の形成を測定する方法は特に限定されず、前述した第一実施形態の検査方法において説明した測定方法を同様に適用することができる。
第二実施形態の検査方法において、各空間部に導入する前記液体試薬は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、前記各空間部に導入する前記液体に含まれる前記検知物質は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
例えば、互いに異なる検知物質を含んだ複数の液体試薬を各空間部に対してそれぞれ独立に導入し、n個の内壁面によって構成される各空間部に対してそれぞれ異なる液体試薬を導入することにより、(n−1)個の内側面によって構成される各微細貫通孔に対してそれぞれ異なる液体試薬を流入させることができる。したがって、(n−1)種類の検査を単一の前記マイクロ流体デバイスにおいて実施することができる。
<検査方法(2)の具体例>
検査デバイス40”を使用した第二の送液方法(送液方法(3))においては、各微小空間群G1〜G(n−1)に対してそれぞれ独立に、同一の液体を送液してもよいし、異なる液体を送液してもよい。例えば、各微小空間群G1〜G(n−1)において異なる抗原を検出するELISAを実施することができる。各微小空間群におけるELISAは独立に行うことができるため、複数のELISAを同時並行で実施することも可能である。
検査デバイス40”を使用した第二の送液方法(送液方法(3))においては、各微小空間群G1〜G(n−1)に対してそれぞれ独立に、同一の液体を送液してもよいし、異なる液体を送液してもよい。例えば、各微小空間群G1〜G(n−1)において異なる抗原を検出するELISAを実施することができる。各微小空間群におけるELISAは独立に行うことができるため、複数のELISAを同時並行で実施することも可能である。
本実施形態の検査方法において、第二の送液方法と第一の送液方法を組み合わせた送液方法を実施してもよい。この送液方法により、各微小空間群の独立性を活かして、効率の良い送液を実現することができる。具体例として、以下のように、検査デバイス40”の製造と使用(検査)を連続して行う例が挙げられる。
まず、マイクロ流体デバイス40において、第一の送液方法によって、全ての微小空間群G1〜G(n−1)を構成する微細貫通孔Tに対して一括して、プロテインAを含む溶液を送液する。この送液によって、各微小空間群を構成する各微細貫通孔Tの内側面Y1〜Y(n−1)にプロテインAによって構成された膜Jを形成した後、第一の送液方法によって、スキムミルクが含まれた溶液を送液して、全ての微小空間群を構成する各微細貫通孔Tの内側面Y1〜Y(n−1)をブロッキングする。このプロテインAは前記前駆物質に該当し、プロテインAからなる膜が微細貫通孔Tの内側面に形成されたマイクロ流路デバイス40は、検査デバイス40”である。
上記のように製造(作製)された検査デバイス40”において、第二の送液方法によって、各微小空間群に対してそれぞれ独立に、所望の抗原特異性を有する個別の一次抗体を含む溶液を送液する。この送液によって、前記プロテインAと一次抗体が結合して、各微小空間群を構成する各微細貫通孔Tの内側面Y1〜Y(n−1)に個別の一次抗体が固定される。
次に、第一の送液方法によって、全ての微小空間群G1〜G(n−1)を構成する微細貫通孔Tに対して一括して、洗浄液を送液した後、全ての微小空間群に対して一括して、検査対象の液体試料を送液する。この送液によって、液体試料に含まれる被検出物質が、各微小空間群の各微細貫通孔Tに固定された一次抗体に結合し得る。続いて、第一の送液方法によって、全ての微小空間群に対して一括して、標識物質が結合された二次抗体を含む溶液を送液する。この送液によって、各微小空間群の各微細貫通孔T内において、一次抗体−被検出物質−二次抗体からなる三者複合体が形成され得る。その後、二次抗体に結合された標識物質を検出又は測定することにより、各微小空間群において、それぞれ独立したELISAを実施することができる。
《マイクロ流体デバイスの製造方法》
前述したマイクロ流体デバイスは公知の微細加工技術を適用することにより製造することができる。
マイクロ流体デバイスの本体部4の材料は特に制限されず、例えば、ガラス、プラスチック(樹脂)、半導体、金属、セラミックス等が挙げられる。本体部4の形状は特に制限されず、本体部4を他のデバイス(例えばポンプ、試薬瓶、廃液溜め等)に接続したり、設置したりすることが容易になるため、立方体、直方体等の箱型の形状であることが好ましい。このような形状の本体部4を「基板」と称する。以下、本体部4が基板によって構成されている場合のマイクロ流体デバイスの製造方法を説明するが、本体部4が基板以外の形状であっても同様に製造することができる。
前述したマイクロ流体デバイスは公知の微細加工技術を適用することにより製造することができる。
マイクロ流体デバイスの本体部4の材料は特に制限されず、例えば、ガラス、プラスチック(樹脂)、半導体、金属、セラミックス等が挙げられる。本体部4の形状は特に制限されず、本体部4を他のデバイス(例えばポンプ、試薬瓶、廃液溜め等)に接続したり、設置したりすることが容易になるため、立方体、直方体等の箱型の形状であることが好ましい。このような形状の本体部4を「基板」と称する。以下、本体部4が基板によって構成されている場合のマイクロ流体デバイスの製造方法を説明するが、本体部4が基板以外の形状であっても同様に製造することができる。
基板(本体部4)に内在する微細貫通孔Tを形成する方法として、例えば、第一の形成方法と第二の形成方法の2つの形成方法が例示できる。
(第一の形成方法)
第一の形成方法は、図11及び図12に示す様に、第一基板4Aの表面に溝Ya(凹部)を形成し、その表面に第二基板4Bを接合して、溝Yaに天井を形成することにより微細貫通孔Tを形成する方法である。
第一の形成方法は、図11及び図12に示す様に、第一基板4Aの表面に溝Ya(凹部)を形成し、その表面に第二基板4Bを接合して、溝Yaに天井を形成することにより微細貫通孔Tを形成する方法である。
図11及び図12は、本体部4の微細貫通孔Tを含む要部を拡大した模式的な断面図である。本体部4は、第一基板4Aと第二基板4Bを接合してなる。微細貫通孔Tは、両基板の界面に形成されている。図11の場合は、断面が矩形状の微細貫通孔Tを1つ形成した場合である。図12の場合は、断面が矩形状の微細貫通孔Tを複数形成した場合である。
図12に示す様に、溝Yaの高さH1が、隣接する微細貫通孔T同士の離間距離L2よりも大きい場合(H1>L2の場合)、各微細貫通孔Tの表面積(微細貫通孔を構成する内側面の面積)の合計は、図11に示した一つの大きな微細貫通孔Tの表面積(微細貫通孔を構成する内側面の面積)よりも大きくなる。したがって、本体部4に内在される微細貫通孔Tが有する表面積、すなわち液体Qと微細貫通孔Tを構成する内側面との接触面積、を増やしたい場合は、図12の様に微細貫通孔Tを複数形成すればよい。前記表面積(接触面積)を更に増やすためには、各微細貫通孔Tのアスペクト比(高さH1/底辺L1)を1より大きくすればよい。アスペクト比を大きくする程、前記表面積を増やすことができる。
第一基板4Aに溝Yaを形成する方法として、第一基板4Aの材料に応じて種々の公知方法が挙げられる。
第一基板4Aとして樹脂基板を使用する場合には、例えば、ソフトリソグラフィ技術によって作製した微細なパターンを転写して形成するモールディング、ナノインプリント、射出成形などの公知方法を適宜組み合わせる形成方法が挙げられる。
第一基板4Aとしてガラス基板を使用する場合には、例えば、フォトリソグラフ、レーザー加工、機械加工、ドライエッチング、ウェットエッチングなどの公知方法を適宜組み合わせる方法が挙げられる。ナノスケールの溝Yaを形成する場合には、短パルスレーザー加工による基板改質とウェットエッチングの組み合わせが好ましい。
第一基板4Aと第二基板4Bとを接合する方法としては、例えば、接着剤によって接着する方法、陽極接合法、自己溶着法、表面改質を併用した低温圧着法等の公知方法が挙げられる。
第一基板4Aと第二基板4Bの材質は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。具体的には、両基板ともガラス基板であってもよいし、ガラス基板とシリコン基板との組み合わせであってもよいし、ガラス基板とプラスチック基板との組み合わせであってもよいし、両基板とも樹脂基板であってもよい。
プラスチック基板の種類は特に限定されず、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PS(ポリスチレン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、AS(アクリロニトリルスチレン)樹脂、PC(ポリカーボネート)、PLA(ポリ乳酸)等が挙げられる。ガラス基板を構成するガラスの種類も特に限定されず、例えば、石英ガラス、ホウ珪酸ガラス、ソーダ石灰ガラス等が挙げられる。
(第二の形成方法)
第二の形成方法は、図13、図14及び図15に示す様に、第一基板4Cの内部に微細貫通孔Tを直接的に形成する方法である。基板の内部に短パルスレーザー光の焦点(集光部)を結び、基板内に微細貫通孔Tを形成する部位を走査することにより、その走査した部位(改質部)のエッチング耐性を弱める様に改質する。その後、ウェットエッチングによって基板内から改質部を除去することにより、基板内部に微細貫通孔Tを形成することができる。
第二の形成方法は、図13、図14及び図15に示す様に、第一基板4Cの内部に微細貫通孔Tを直接的に形成する方法である。基板の内部に短パルスレーザー光の焦点(集光部)を結び、基板内に微細貫通孔Tを形成する部位を走査することにより、その走査した部位(改質部)のエッチング耐性を弱める様に改質する。その後、ウェットエッチングによって基板内から改質部を除去することにより、基板内部に微細貫通孔Tを形成することができる。
図13、図14及び図15は、本体部4に形成された複数の微細貫通孔Tを含む要部の模式的な断面図である。本体部4は、単一の基板4Cによって構成されている。微細貫通孔Tは、基板4Cの内部に形成されている。
図13の場合は、複数の楕円状の断面を有する微細貫通孔Tが、基板厚さ方向Kと直交する方向(基板の平面方向)に一列で配列した場合である。前記楕円の長径は基板厚さ方向Kに沿っているため、前記断面が真円である場合よりも、基板の平面方向における微細貫通孔4の集積密度を高めることができる。集積密度を高めることにより、単位体積当たりの計測サンプル数が増加するため、測定精度が向上し得る。
図14の場合は、複数の楕円状の断面を有する微細貫通孔Tが、基板厚さ方向Kと直交する方向(基板の平面方向)に二列で配列した場合である。図において上段に配列された微細貫通孔Tと下段に配列された微細貫通孔Tとは、基板の厚み方向Kに見て互いに重ならない様に配列している。このように配列することにより、各微細貫通孔Tを基板厚さ方向Kに観察する際の容易さを損なうことなく、複数の微細貫通孔Tの集積密度を高めることができる。
図15の場合は、複数の楕円状の断面を有する微細貫通孔Tが、基板厚さ方向Kに一列で配列した場合である。このように配列すると、微細貫通孔Tの長径が基板平面方向に沿っている(微細貫通孔Tの短径が基板厚さ方向Kに沿っている)ため、基板厚み方向Kに沿って光(例えば、励起光、内部を観察するためのバックライト等)を微細貫通孔Tに照射した際、その照射光が屈折され難く、照射光を透過させ易い。したがって、微細貫通孔Tの内部に光を照射し易く、微細貫通孔T内部における発光を基板の厚み方向Kから観察し易い。
(第二の形成方法の具体例)
本具体例においては、フェムト秒レーザーであるチタンサファイアレーザー光を発生する装置を使用するが、他の種類のレーザー光を発生する装置を使用しても構わない。
まず、精密ステージに設置した石英ガラス基板の第一面からレーザー光を基板内部に入射させ、レーザー光の焦点を基板内部の所定位置に結び、レーザー光の伝搬方向(光軸)に対して垂直の方向にレーザー光の焦点を走査する。この際、走査方向に対してレーザー偏波が垂直であると、ナノオーダー(例えば10nm〜500nm程度)の短径を有する微細貫通孔Tを容易に形成することができる。また、レーザー光の照射強度は、加工下限閾値以上且つ加工上限閾値未満に設定されることが好ましい。最適な照射強度は、予め同じ種類の石英ガラス基板を用いて調べておくことが好ましい。
一例として、例えば以下の照射条件が挙げられる。
本具体例においては、フェムト秒レーザーであるチタンサファイアレーザー光を発生する装置を使用するが、他の種類のレーザー光を発生する装置を使用しても構わない。
まず、精密ステージに設置した石英ガラス基板の第一面からレーザー光を基板内部に入射させ、レーザー光の焦点を基板内部の所定位置に結び、レーザー光の伝搬方向(光軸)に対して垂直の方向にレーザー光の焦点を走査する。この際、走査方向に対してレーザー偏波が垂直であると、ナノオーダー(例えば10nm〜500nm程度)の短径を有する微細貫通孔Tを容易に形成することができる。また、レーザー光の照射強度は、加工下限閾値以上且つ加工上限閾値未満に設定されることが好ましい。最適な照射強度は、予め同じ種類の石英ガラス基板を用いて調べておくことが好ましい。
一例として、例えば以下の照射条件が挙げられる。
・波長(中心波長)=800nm、スペクトル幅=10nm(±5nm)、パルス時間幅=〜250fs、対物レンズの開口数(N.A.)=0.5、偏波=直線偏波、光軸と走査方向とのなす角度=約90度
・ピーク強度(1パルス当りのレーザーフルエンス/パルス時間幅)=9TW/cm2
・走査速度(μm/sec)=1,000μm/sec、繰り返し周波数(kHz)=200kHz
・1パルス毎の焦点が重なるようにシフトさせながら一定の速度で走査
・ピーク強度(1パルス当りのレーザーフルエンス/パルス時間幅)=9TW/cm2
・走査速度(μm/sec)=1,000μm/sec、繰り返し周波数(kHz)=200kHz
・1パルス毎の焦点が重なるようにシフトさせながら一定の速度で走査
上記のように石英基板に対してレーザー光を照射することにより、レーザー光の焦点及びその周辺を含む集光部が走査した領域に、エッチング耐性が低下した改質部が形成される。例えば、基板表面に対して略平行に延在し、その延在する方向に対して直交方向の断面の形状が楕円形(略矩形)である改質部を形成することができる。一例として、長径(縦の長さ)(基板厚み方向Kの長さ)が約5μmであり、短径(横の長さ)(基板平面方向の長さ)が約30nmである改質部を形成することができる。このようなレーザー加工によって、互いに平行に並んだ複数の改質部を形成することができる。
次に、各改質部の両端が表面に露出した石英基板を、フッ酸又は水酸化カリウム水溶液に浸漬してエッチングを行う。このエッチングにおいて、各改質部の両端から各改質部の内部にエッチング溶液が浸透し、各改質部が石英基板内から除去される。この結果、石英基板を貫通する複数の微細貫通孔Tを形成することができる。一例として、両端部が石英基板の表面に開口し、長手方向に対して直交する方向の断面の形状が楕円形(略矩形)であり、長径(縦の長さ)(基板厚み方向Kの長さ)が約5.5μmであり、短径(横の長さ)(基板平面方向の長さ)が約300nmである微細貫通孔を形成することができる。
石英基板に改質部を形成した際に、その改質部の両端部が基板表面に露出していない場合には、エッチングの前に、フォトリソグラフ、研削、研磨等の方法により、改質部の両端部が基板表面に露出するように予備加工すればよい。
以上で説明した各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項(クレーム)の範囲によってのみ限定される。
本発明にかかる液体試料の検査方法は、医療検査の分野等に広く利用することができる。
10,20,30,40…マイクロ流体デバイス、S1…第1空間部、S2…第2空間部、S3…第3空間部、S4…第4空間部、S5…第5空間部、w1…第1内壁面、w2…第2内壁面、w3…第3内壁面、w4…第4内壁面、w5…第5内壁面、Ta…第一の開口部、Tb…第二の開口部、T…微細貫通孔、Y…内側面、4…本体部、5…副本体部、M…液体からなる膜、G1…第1微小空間群、G2…第2微小空間群、G3…第3微小空間群、G4…第4微小空間群、Q…液体、Q1…第一の液体、Q2…第二の液体、Q3…第三の液体、Ab1…一次抗体、Ab2…二次抗体、Ag…抗原、Comp.…三者複合体
Claims (20)
- 液体試料の検査方法であって、
第1空間部を構成する第1内壁面と、第2空間部を構成する第2内壁面と、前記第1内壁面に開口する第一の開口部及び前記第2内壁面に開口する第二の開口部を有し、前記第1空間部と前記第2空間部を空間的に連結する1本以上の微細貫通孔を構成する内側面と、前記内側面に形成された、前記液体試料に含まれ得る被検出物質を直接又は間接に捕捉可能な膜と、を備えるマイクロ流体デバイスを使用して、
前記液体試料を前記第1空間部に導入し、前記第一の開口部から、前記1本以上の微細貫通孔内に前記液体試料の一部を流入させて、前記1本以上の微細貫通孔内で、前記液体試料と前記膜を接触させることにより、前記被検出物質を前記膜によって捕捉した後、前記第1空間部から前記液体試料を排出することによって前記第1内壁面に前記液体試料からなる液体膜を形成し、続いて、前記液体膜の乾燥過程に伴う、前記液体膜と前記1本以上の微細貫通孔内に一時的に残留した前記一部の液体試料との張力によって、前記一部の液体試料を、前記1本以上の微細貫通孔の前記第一の開口部から前記第1空間部へ流出させる操作を含むことを特徴とする液体試料の検査方法。 - さらに、前記被検出物質に結合可能な検知物質を含む液体試薬を前記第1空間部又は前記第2空間部に導入し、前記第一の開口部又は前記第二の開口部から、前記1本以上の微細貫通孔内に前記液体試薬の一部を流入させて、前記1本以上の微細貫通孔内で、前記膜に捕捉された前記被検出物質と前記液体試薬を接触させることにより、前記膜上において前記被検出物質と前記検知物質が結合した複合体を形成した後、
前記液体試薬を導入した前記空間部から前記液体試薬を排出することによって前記空間部を構成する前記第1内壁面又は前記第2内壁面に前記液体試薬からなる液体膜を形成し、続いて、前記液体膜の乾燥過程に伴う、前記液体膜と前記1本以上の微細貫通孔内に一時的に残留した前記一部の液体試薬との張力によって、前記一部の液体試薬を、
前記1本以上の微細貫通孔の前記第一の開口部又は前記第二の開口部から、前記液体試薬を排出した前記空間部へ、流出させる操作を含むことを特徴とする請求項1に記載の液体試料の検査方法。 - 前記複合体の形成を測定することにより、前記液体試料に前記被検出物質が含まれることを定性的又は定量的に分析することを特徴とする請求項2に記載の液体試料の検査方法。
- 前記複合体の形成を光学的に測定することを特徴とする請求項3に記載の液体試料の検査方法。
- 前記検知物質が光学的に測定可能な標識物質を有し、前記標識物質が直接又は間接に発生する光を測定することを特徴とする請求項4に記載の液体試料の検査方法。
- 前記標識物質が酵素であることを特徴とする請求項5に記載の液体試料の検査方法。
- さらに、前記酵素の基質を含む基質溶液を前記第1空間部又は前記第2空間部に導入し、前記第一の開口部又は前記第二の開口部から、前記1本以上の微細貫通孔内に前記基質溶液の一部を流入させて、前記1本以上の微細貫通孔内で、前記複合体が有する前記酵素と前記基質試薬を接触させることにより、前記基質を蛍光物質に変換する酵素反応を生じさせる操作を含むことを特徴とする請求項6に記載の液体試料の検査方法。
- 前記蛍光物質に対して励起光を照射することにより発生する蛍光を測定することを特徴とする請求項7に記載の液体試料の検査方法。
- 液体試料の検査方法であって、
第1空間部を構成する第1内壁面、第2空間部を構成する第2内壁面、・・・、及び第n空間部(nは3以上の整数を表す。)を構成する第n内壁面、を含むn個の内壁面と、
前記第1内壁面に開口する第一の開口部及び前記第2内壁面に開口する第二の開口部を有し、前記第1空間部と前記第2空間部を空間的に連結する1本以上の微細貫通孔を構成する第1内側面、・・・、並びに前記第1内壁面に開口する第一の開口部及び前記第n内壁面に開口する第二の開口部を有し、前記第1空間部と前記第n空間部を空間的に連結する1本以上の微細貫通孔を構成する第(n−1)内側面、を含む(n−1)個の内側面と、
前記(n−1)個の内側面のうち少なくとも1個の内側面に形成された、前記液体試料に含まれ得る少なくとも1種の被検出物質を直接又は間接に捕捉可能な、少なくとも1種の膜と、を備えるマイクロ流体デバイスを使用して、
前記液体試料を前記第1空間部に導入し、前記(n−1)個の内側面によって構成される各微細貫通孔が有する前記第一の開口部から、前記各微細貫通孔内に前記液体試料の一部を流入させて、前記各微細貫通孔内で、前記液体試料と前記膜を接触させることにより、前記被検出物質を前記膜によって捕捉した後、
前記第1空間部から前記液体試料を排出することによって前記第1内壁面に前記液体試料からなる液体膜を形成し、続いて、前記液体膜の乾燥過程に伴う、前記液体膜と前記各微細貫通孔内に一時的に残留した前記一部の液体試料との張力によって、前記一部の液体試料を、前記各微細貫通孔の前記第一の開口部から前記第1空間部へ流出させる操作を含むことを特徴とする液体試料の検査方法。 - さらに、前記被検出物質に結合可能な少なくとも1種の検知物質を含む少なくとも1種の液体試薬を前記第1空間部〜前記第n空間部のうち何れか1つ以上の空間部に導入し、前記液体試薬を導入した前記空間部に開口する前記1本以上の微細貫通孔が有する前記第一の開口部又は前記第二の開口部から、前記1本以上の微細貫通孔内に前記液体試薬の一部を流入させて、前記1本以上の微細貫通孔内で、前記膜に捕捉された前記被検出物質と前記液体試薬を接触させることにより、前記膜上において前記被検出物質と前記検知物質が結合した複合体を形成した後、
前記液体試薬を導入した前記空間部から前記液体試薬を排出することによって前記液体試薬を導入した前記空間部を構成する内壁面に前記液体試薬からなる液体膜を形成し、続いて、前記液体膜の乾燥過程に伴う、前記液体膜と前記1本以上の微細貫通孔内に一時的に残留した前記一部の液体試薬との張力によって、前記一部の液体試薬を、前記1本以上の微細貫通孔が有する前記第一の開口部又は前記第二の開口部から、前記液体試薬を排出した前記空間部へ流出させる操作を含むことを特徴とする請求項9に記載の液体試料の検査方法。 - 前記第1内側面〜前記第n内側面に形成された前記膜が、それぞれ互いに異なる被検出物質を捕捉可能であることを特徴とする請求項9又は10に記載の液体試料の検査方法。
- 前記複合体の形成を測定することにより、前記液体試料に前記被検出物質が含まれることを定性的又は定量的に分析することを特徴とする請求項10又は11に記載の液体試料の検査方法。
- 前記複合体の形成を光学的に測定することを特徴とする請求項12に記載の液体試料の検査方法。
- 前記検知物質が光学的に測定可能な標識物質を有し、前記標識物質が直接又は間接に発生する光を測定することを特徴とする請求項13に記載の液体試料の検査方法。
- 前記標識物質が酵素であることを特徴とする請求項14に記載の液体試料の検査方法。
- さらに、前記酵素の基質を含む基質溶液を前記第1空間部〜前記第n空間部のうち何れか1つ以上の空間部に導入し、前記基質溶液を導入した前記空間部に開口する前記1本以上の微細貫通孔が有する前記第一の開口部又は前記第二の開口部から、前記1本以上の微細貫通孔内に前記基質溶液の一部を流入させて、前記1本以上の微細貫通孔内で、前記複合体が有する前記酵素と前記基質試薬を接触させることにより、前記基質を蛍光物質に変換する酵素反応を生じさせる操作を含むことを特徴とする請求項15に記載の液体試料の検査方法。
- 前記蛍光物質に対して励起光を照射することにより発生する蛍光を測定することを特徴とする請求項16に記載の液体試料の検査方法。
- 前記膜が、前記被検出物質を特異的又は非特異的に捕捉する物質によって構成されていることを特徴とする請求項1又は9に記載の液体試料の検査方法。
- 前記膜を構成する前記物質が高分子であることを特徴とする請求項18に記載の液体試料の検査方法。
- 前記高分子が、抗体、核酸アプタマー、ペプチド、前記抗体を除くタンパク質又は糖鎖であることを特徴とする請求項19に記載の液体試料の検査方法。
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