JP4578788B2 - ラベル用熱収縮性筒状フイルムとその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多数の折り目を有するラベル用熱収縮性筒状フイルム及びその製造方法に関する。
PETボトル等の印刷ラベルは、一般に熱収縮性筒状ラベルが使用されるが、この使用形態は、一般に次の通りである。
まず主として横方向に延伸された熱収縮性フラットフイルムに所望する絵柄を印刷する。次に両端面をセンターで重合しつつ接着手段(例えば有機溶剤、接着剤等)を介してニップロールにて圧着(シール)して筒状に成形する。このロール圧着により成形された筒状フイルムには、シール部分を挟んで両端に折り目(2本)が付く。一旦ここで圧着し、そのままフラット状でロール巻きにして巻き取る。
次に該ロールから巻き出しつつ、PETボトル等に嵌着装填する1本分のサイズにカットする。カットしたらそのラベルを外側から、例えば吸引パットで引っ張って開口し、そこにPETボトル等を挿入する。そして加熱トンネル中を通過させて該ラベルを熱収縮させる。該ラベルは、主として横方向に収縮して該ボトル等の胴部を中心にて締着固定され、一連の工程を終了する。
ところで前記ラベルは以下の点が要求される。即ち、コストの点からPETボトル等の外径にできるだけ近い直径であること、そしてPETボトル等が迅速に容易に挿入されるように拡開できること、さらには種々の形状の該ボトル等に対しても迅速に容易に挿入できることである。以上のことを成形・開口・挿入の3条件と呼ぶ。
しかしながら、前記従来からの2本折り目の該ラベルに関しては、前記成形・拡開・挿入の3条件のクリアは、不満足なものに終始していた。ましてや最近の飲料等のPETボトルに対しての要望は、多様化し、最早や対応は困難になってきた。そこで最近では従来の2本の折り目に、更に2本の折り目を積極的に付け、合計4本(90度間隔)の折り目の付けられたものに変え、これを吸引パット等で開口して、該ボトル等を挿入する方法に変わってもきている。
前記4本折り目を持つ熱収縮性筒状ラベルは、前記2本折り目のものの場合よりも前記成形・拡開・挿入の3条件をクリヤーするのに有効ではある。しかしながら、この4本折り目でも、なお十分に満足できるレベルにはない。しかも最近の傾向の1つとして該ラベルの厚さをより薄くして、コストを下げることにある。しかしこの薄くすることは、前記成形・開口・挿入の3条件の達成がより困難になる。もう1つの傾向として、PET等ボトルに被せるラベルの長さを長くする傾向にある。より長くすることはラベル厚さが厚くても開口・挿入は難しくなる。もしてや薄くなれば更に困難になる。
本発明は、従来の4本折り目の熱収縮性筒状ラベルよりも高いレベルで前記の成形・開口・挿入の3条件をクリヤーすることができ、且つラベルのPET等ボトルヘの被せ長さが長くなって、更にはラベルの厚さがより薄くなっても、開口・挿入のし易い手段を見出すことを課題として鋭意検討した結果、到達したものである。
前記課題を解決する手段として、6本折り目を有するラベル用熱収縮性筒状フイルムの製造方法提供する。それは次のような手段による。
つまり、次の(A)〜(C)に記載の各工程を順じ行なう。
(A)片面に印刷されたフラット状熱収縮性フイルムの両端面をセンターで重合し、その重合部分に接着媒体を伴いつつ、第1のニップローラを通して圧着すると共に、両端2本の折り目を有する該フイルムを得る工程、
(B)前記(A)により得たフラット状熱収縮性筒状フイルムを拡開した後、前記2本の折り目から50〜70度ずれた位置で第2のニップローラに通し加圧して、更に両端2本の折り目を付け、合計4本折り目を有する該フイルムを得る工程、
(C)前記(B)により得たフラット状熱収縮性筒状フイルムを拡開した後、該(B)の折り目から更に50〜70度ずれた位置で第3のニップローラに通し加圧して、更に両端2本の折り目を付け、合計6本折り目を有する該フイルムを得る工程である。
本発明は前記の通り構成されているので、次のような効果を奏する。
折り目が6本になったその事で、従来の4本折り目を有する熱収縮性筒状ラベルよりも、より容易に迅速に開口ができて、PETボトル等ヘの挿入がし易くなった。
そして、特に熱収縮性筒状ラベルの厚さが薄くなっても、前記開口・挿入がし難くなるようなこともなく、厚さに対する対応がし易くなった。
又、特にラベルのPETボトル等ヘの被せ長さがより長くなっても前記開口・挿入し難くなるようなこともなく、被せ長さに対する対応がし易くなった。
以下本発明を更に詳述する。
本発明のラベル用熱収縮性筒状フィルムとしては特に限定するものではなく、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等によりなる単層又は多層のフィルムが例示できる。
より好ましくは、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂のいずれかの樹脂によりなるフィルムである。
なお該フィルムには紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤、滑剤、静電気防止剤、抗菌剤、安定剤等、各種公知の添加剤や異なる樹脂等を合目的的に添加してもよい。
ポリスチレン系樹脂とは、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、グラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−共役ジエンブロックコポリマー、スチレン−共役ジエンブロックエラストマー等、スチレンを構成要素の一つとする樹脂全般をいう。
ポリスチレンとは、スチレンやα−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のスチレン誘導体からなる単独重合体、相互共重合体はもとより、スチレンやスチレン誘導体と共重合可能な単量体、例えばアクリル酸、メタクリル酸、それらの金属塩(例えば、Na、K、Li、Mg、Ca、Zn、Fe等の金属塩)、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の脂肪族不飽和カルボン酸やその誘導体との共重合体も含む。
また、耐衝撃性ポリスチレンとは、ポリスチレンと、例えばポリブタジエンやポリイソプレン等の合成ゴムとの混合物、あるいは、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の合成ゴムにポリスチレンをグラフト重合させたものをいう。
また、グラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレンとは、ポリスチレンからなる連続相に、ポリスチレンを内部に包含し、且つ、ポリスチレンがポリブタジエン等ゴム成分にグラフトしたゴム状重合体からなる粒子が分散する構造を基本としたものをいう。
また、スチレン−共役ジエンブロックコポリマーとは、スチレンブロックと、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエンのブロック及び/又はスチレンと共役ジエンとのランダムブロックとを含み、スチレン含有量51〜99質量%、共役ジエン含有量49〜1質量%のコポリマーをいう。なお、スチレン−ブタジエンブロックコポリマーに他の成分を含めた3元、4元コポリマーも本発明の中に入る。他の成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、それらの金属塩(例えば、Na、K、Li、Mg、Ca、Zn、Fe等の金属塩)、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の脂肪族カルボン酸やその誘導体が例示できる。
さらには共役ジエンに基づく二重結合残基の一部を水添したものも例示できる。
また、スチレン−共役ジエンブロックエラストマーとは、スチレンブロックと、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエンのブロック及び/又はスチレンと共役ジエンとのランダムブロックとを含み、スチレン含有量1〜50質量%、共役ジエン含有量99〜50質量%のエラストマーをいう。
ポリスチレン系樹脂は1種類であってもよいし、2種類以上の混合物としてもよい。
ポリエステル系樹脂としては、好ましくは一般に共重合ポリエステル樹脂と呼ばれる樹脂が挙げられる。共重合ポリエステル樹脂を構成する酸成分としては公知のものでよく、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸類、4,4’−ジカルボン酸ジフェニール等のジカルボキシビフェニール類、5−t−ブチルイソフタル酸等の置換フタル酸類、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸等の置換ジカルボキシルビフェニル類、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸及びその置換体、1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸及びその置換体等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ピメル酸、ウンデカン酸、ドデカンジカルボン酸、ブラシリン酸、テトラデカンジカルボン酸、タブシン酸、ノナデカンジカルボン酸、ドコリンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその置換体、4,4’−ジカルボキシシクロヘキサン等の脂環族ジカルボン酸及びその置換体等が挙げられる。そしてジオール成分としては公知のものでよく、例えば、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール等の脂肪族ジオール類、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール類、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシジフェニル)プロパン、ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン等のビスフェノール系化合物のエチレンオキサイド付加物、キシリレングリコール等の芳香族系のジオール類、あるいはジエチレングリコール等が挙げられる。
共重合ポリエステル樹脂は1種類でもよいし、2種類以上の混合物としてもよい。また、 ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂等を含むものであってもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、好ましくは、エチレン又はプロピレンを主成分とし、それらと共重合可能な他の単量体(オレフィン、ビニル化合物等)とのランダム共重合体、或いは環状オレフィンを含む重合体が挙げられる。
環状オレフィンを含む重合体としては、例えば、(a)エチレンまたはプロピレンと環状オレフィン(例えばノルボルネン及びその誘導体やテトラシクロドデセン及びその誘導体など)とのランダム共重合体、(b)該環状オレフィンの開環重合体またはα−オレフィンとの共重合体、(c)前記(b)の重合体の水素添加物、(d)不飽和カルボン酸及びその誘導体等による前記(a)〜(c)のグラフト変性物などが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂は1種類であってもよいし、2種類以上の混合物としてもよい。
前記熱収縮性フイルムの製造は、例えば次のようにして行なわれる。
まずTダイからの溶融押出法によって前記樹脂をフイルム状に押し出す。そしてこれを所定温度(樹脂の種類によって異なる)の下で、テンターを使って主として横方向に延伸する。そして弛緩させながら熱固定(アニール)し、冷却して巻き取る。
ここで横方向(TD方向)の延伸倍率は、一般には3〜10倍、好ましくは3〜7倍である。縦方向(MD方向)には延伸しなくてもよく、場合によっては1.8倍程度以下の延伸があっても良い。
尚、多層の該フイルムの場合は、複数の押出機に繋がれてなる1台のマルチTダイから同時に溶融押出しを行ない、同様に延伸、熱固定を行なう。
そして、前記得たフイルムに所望する絵柄で、内面又は外面となる部分に印刷を行ない原反フイルムを得る。
尚、この印刷に先行して、印刷性良化のための表面処理(例えばコロナ放電処理)を行なってもよい。中でもポリオレフィン系樹脂による場合は、これを行なうのが望ましい。
そして前記原反フイルムは、長手方向に6本の本数の折り目を有した筒状フイルムに加工され、PETボトル等に被せるラベルとなる。
該フイルムに多数の折り目を付けることで開口し易くなり、又これを開口した場合に、それ自身の強度(例えば圧縮強度)が増すことになり、該フイルムの厚さがより薄くなるとか、該ラベルの長さ(被せる長さ)が長くなるような場合でも、PETボトル等への挿入時にラベルが折れ曲がるようなことなく挿入できると言うものである。
折り目による作用は、前記の通りであるが、ここで本数が偶数本に特定されているのは、例えば後述するニップローラによる折り目形成が有効あることと、偶数本による開口のし易さとその開口ラベルを立てた場合の安定性も良いからである。
ここで10本迄に特定されるのは、これを越しても効果の向上が差ほど認められないからである。
前記折り目の間隔は、適宜設定すれば良いことになるが、例示的に示せば次の通りである。
円周角度360度の中で、折り目6本の場合は、好ましくは50〜70度、更には55〜65度の角度ピッチで、8本の場合は、好ましくは35〜55度、更には40〜50度の角度ピッチで、10本の場合は、好ましくは25〜45度、更には30〜40度の角度ピッチで折り目を付与する。
尚、最も好ましいのは6本の場合が60度、8本の場合が45度、10本の場合が36度であるが、この角度を除く角度でもって振り分ける場合には、同じ角度が続かないように、適宜振り分けるのが良い。(例えば6本の場合最初に50度、次に70度、次に60度位置で両端に同時に折り目を入れと、この角度間隔で6本の折り目が付く)。
次に、前記原反フィルムからの6本折り目付き熱収縮性筒状フイルムを例に採って、その製造方法の好ましい1例について説明する。
この製造方法としては、前記(A)〜(C)に記載の各工程を順じ行なうことである。これを以下図面を参照しつつ詳述することにする。
まず拡開に関し、それはある拡開手段によって行なわれるが、これには種々考えられる。例えば、テトラガイド(3角形面で形成された4面体の角ガイド)と呼ばれているものによる方法である。しかしこのガイドでは、前記するように筒状フイルム内面が損傷され易いこともあり、本発明では次のような部材による方法がより望ましく例示される。
それは図1(斜視図)に示すリング付き逆T型ガイド4、図2(斜視図)に示す円錐状ガイド4a又は空気圧による空気ガイド4b(図6)である。ここでリング付き逆T型ガイド4(以下単にリングガイド4と呼ぶ。)は、リングは円形又は楕円形で、これは下方がV形状の逆T型を支持シャフトとして、この先に上下可動で付設されている。
一方円錐状ガイド4aの形状は、上底部分が円形又は楕円形、下底部分はV形状で内部空洞、そして筒状フイルムの内面接触面積を少なくするために、部分的に穴が空いている。
これ等両ガイドは、何れも、V形状部分が、ニップローラの間に位置するように、倒立状態で戴置される。筒状フイルムが該ローラから出た直後から拡開がスタートし、円形又は楕円形部分で、所望する状態に拡開される。この状態で次のニップローラに送りこまれると該ローラの配置角度に従って、別の位置に折り目が付けられる。
尚、特に長時間の連続製造では、材質、重量、表面の易滑性も重要な検討要件になるので、形状と共に、この要因についても事前に検討しておく事が望まれる。
以下に説明する拡開手段としては、このリングガイド4又空気ガイド4bによる方法を例示することにする。
まずリングガイド4による場合であるが、これによる(A)〜(C)の工程の流れを図3に示す。
(A)工程では、1個分の筒状ラベルに相当する幅にスリットされた長尺原反フィルムが、該工程に配置されているフオーマーに送られてくる。ここで1aで示す如く、該フイルムの両端面がセンターで重合(ここで印刷が内面になされている場合は、1端面は無印刷にされ、この無印刷部分を上面にして重合)されて、筒状状態1にされる。引き続きその重合部分に接着媒体(ここでは該原反フィルムを溶解又は膨潤させる有機溶剤による)を塗布する。この塗布は自動供給するノズル100によって行なわれる。塗布されたら直ちにニップローラ2を通して圧着され、センターシール部分1bをもってフラット状にある筒状フイルムに成形される。と同時に両端には3(●印)で示すように2本の折り目が付けられ、次の(B)工程に送られる。
(B)工程では、まず(A)工程からのフラット状筒状フイルムを垂直上方に方向転換させるために、ニップローラ2aが水平配置される。この上方向ヘの必要性は、リングガイド4を使って該フイルムを拡開するためである。該ガイドは、ニップローラ2aから送り出される該フイルムの内側に該ガイドが戴置(リング部分を上にし、逆T型シャフトのV字部分が該ローラの間に位置するように配置)されているので、直ちに拡開される。拡開の状態は、円状又は楕円状である。この円状又は楕円状での拡開は、リングの大きさを変える事で達成される。
又、リングが上下可動である事で、拡開の位置が適宜変えられる。これは次のニップローラ5による折り目付与のし易さに有効に作用する。
尚、このリングガイド4は、全体が曲面的であり、該フイルム内面に損傷を与える危険も極めて小さい。
前記拡開された筒状フイルム1cは、水平に配置されたニップローラ2aに対して、50〜70度斜めで水平配置されたニップローラ5に送りこまれる。これによって、加圧ニッピング位置が、前記2本の折り目3から50〜70度(図3では60度の場合を示す)ずれた位置に変わり、且つ更に両端2本の折り目6(●●印)が付けられ、合計4本折り目を有する筒状フイルム1dに変わり、次の(C)工程に送られる。
(C)工程では、ニップローラ5を通過した筒状フイルム1cは、もう1度拡開するために、もう一個のリングガイド4が該フイルム内に前記(B)工程と同じ要領で内設される。該ガイドにより、再度拡開(50〜70度斜めでの拡開)された筒状フイルム1dは、前記50〜70度斜めで水平に配置されたニップローラ5に対して、更に50〜70度斜めで水平配置されたニップローラ7に送り込まれる。これによって、加圧ニッピング位置が、前記折り目6から更に50〜70度ずれた位置に変わり、且つ更に両端2本の折り目8(●●●印)が付けられ、合計6本折り目を有する筒状フイルム1eに変わり、本全工程が終了する。
ここで前記のニップローラ2a、5及び7の配置位置について、正面(該ローラ7の上)から見た図を図4で示す。60度のズレの状態が良く解る。
又、該1eのフラット筒状フイルムのA―A断面を開口して見た図を図5に示しておく。60度ピッチで6本の折り目が付けられている。
次に空気ガイト4bを使用する場合の(A)〜(C)の工程について説明する。
この工程の流れは、水平ライン方向で図6で示される。
まずこの工程の特長は、(前記工程のように方向変換することもできるが)横ライン上で行なえる事と筒状フイルム内面への損傷の危険性は全くないことである。
この工程は、拡開手段が空気ガイト4bによって行なわれる以外、前記のリングガイド4による工程と同様であるので、ここでは空気ガイト4bでの拡開方法のみについて説明する。
まず水平に置かれたニップローラ2を通過してきた2本折り目を有する筒状フイルムを水平に置かれた次のニップローラ2a、順次60度の角度をつけた(図6では省略)ニップローラ5及びニップローラ7ヘと送って行く。
次にニップローラ2aは、しっかりとニッピング(内部に供給された空気が洩れないように)しておき、ニップローラ5及びニップローラ7は、空気が入る状態に開けておく。そしてニップローラ7の隙間から空気を送り込む。この空気の量によって拡開の状態が変わるので、折り目6、8が付けられるのに有効な拡開状態になったら、空気の送り込みを停止し、直ちにニップローラ5及びニップローラ7をしっかりとニッピングして、空気が洩れないようにしておく。これで(B)工程と(C)工程の拡開は終了しているので、ニップローラ2aから筒状フイルムを送り込めば順じ折り目が付与され、60度ピッチで付与された6本折り目を有する筒状フイルム1eが得られる。
一方8本又は10本折り目の筒状フイルムについては,前記図3または図6で説明する工程で、更に1対又は2対のニップローラとこれに伴う拡開手段をもって以後に繋ぎ、そして各ニップローラの配置角度を前記角度に調整するだけで同様に得られるので、これについての更なる説明は割愛する。参考までに8本及び10本折り目の場合の、開口断面図を図7及び図8に示しておく。
尚、前記二つの場合の工程は間断なく連続して折り目を付ける場合を示しているが、必ずしも連続して行う必要もない。全体の工程を考え、都合の良いように、適宜折り目用のニッピングローラを配置して、新たな工程を組んでもよい。
かくして、得られた折り目付き筒状フイルムは、PETボトル等1個分のサイズにカットされ、そして開口し、その中にPETボトル等が嵌入され、収縮温度(加熱媒体は水蒸気又は熱風)に温調された加熱トンネル中に通され、主として横方向のみ収縮し密着固定される。
ここで特に問題となるのは、該筒状フイルムの開口である。この開口が円滑に、しかもPETボトル等が狭い隙間でも挿入され易いように簡単に、確実に行なわれなければならない。この開口手段は、一般にはロボットに連動されている吸引パットによる。
つまり、フラット状の該フイルムの両側面から吸引して開口する方法である。従来の2本折り目は勿論、4本折り目のラベルは、開口そのものはできるが、しかしPETボトル等の挿入のし易さの点では必ずしも満足されている状況にない。増してや、該フイルムの厚さがより薄くなるとか、長さがより長くなるとか、該フイルムとPETボトル等との隙間をより狭くして挿入するとか、更にはPETボトル等がより大きくなるような場合には、この従来技術では不可能である程に難しいものになっている。
この従来技術の現状に対して、単に折り目を6本、8本又は10本と多く付与したことで、従来の吸引パットによる方法で簡単・確実に開口でき、以後のPETボトル等の挿入がトラブルなく容易に行うことができると言うものである。
これは、後述する実施例で測定する圧縮強度の値からも知る事ができる。
以下に比較例と共に、実施例によって更に詳述するが、該例で、折り目による強さ(以下折り強度と呼ぶ。)を、圧縮強度の測定を持って行った。
この測定は、つぎの条件で測定し、単位はNである。
各例で得られた筒状フイルムを長さ(主収縮方向の横に対しての縦の長さ)100mm
にカットしたもの5枚を準備し、これを各折り目でもって正確に開口し垂直に立てて、ストログラフ(東洋精機株式会社製)を使い、圧縮モードで、クロスヘッド速度15mm/分で上から押して、つぶれる時の最大値を求めその平均値を表示した。
尚、各例での筒状フイルムの厚さは40μm又は50μm、折径114mm、折り目は等ピッチで4本又は6本又は8本であった。
まずポリオレフィン系熱収縮性フイルム(グンゼ株式会社製、商品名フアンシーラップ、品種FL1、厚さ50μm)の一端を残して(重合部分に相当し、ここは無印刷)、内面にグラビヤで多面付けで印刷した。これを筒状ラベル1枚分に相当する幅(ここでは240mm)にカットし、原反フイルム(長尺)として巻き取った。
そして、この原反フイルムを使って、図3で示す工程によって60度ピッチで6本の折り目の付けられた筒状フイルムを得た。該フイルムを切り出して5枚のサンプルを作り、各々の折り強度を測定し結果を表1に示した。
尚、ここでのリングガイド4のリングの形状は、以下の各例も同じで、楕円状とし、送られてくる筒状フイルムの内面に軽く接する大きさとした。
又、センターシールは、両端を12mm幅で重合し、接着媒体は(シクロヘキサン+メチルエチルケトン)の混合溶媒として、これを塗布し圧着して行なった(得られたフラット状筒状フイルムの折径は114mm)。
ポリスチレン系熱収縮性フイルム(グンゼ株式会社製、商品名フアンシーラップ、品種GMG、厚さ50μm)の一端を残して(重合部分に相当し、ここは無印刷)、内面にグラビヤで多面付けで印刷した。これを筒状ラベル1枚分に相当する幅(ここでも240mm)にカットし、原反フイルム(長尺)として巻き取った。
そして、この原反フイルムを使って、図3で示す工程によって60度ピッチで6本の折り目の付けられた筒状フイルムを得た。該フイルムを切り出して5枚のサンプルを作り、各々の折り強度を測定し結果を表1に示した。
尚、ここでのセンターシールは、両端を12mm幅で重合し、接着媒体は(nーヘキサン+テトラヒドロフラン)の混合溶媒として、これを塗布し圧着して行なった(得られた筒状フイルムの折径は114mm)。
ポリエステル系熱収縮性フイルム(グンゼ株式会社製、商品名フアンシーラップ、品種TAS、厚さ40μm)の一端を残して(重合部分に相当し、ここは無印刷)、内面にグラビヤで多面付けで印刷した。これを筒状ラベル1枚分に相当する幅(ここでも240mm)にカットし、原反フイルム(長尺)として巻き取った。
そして、この原反フイルムを使って、図3で示す工程によって60度ピッチで6本の折り目の付けられた筒状フイルムを得た。該フイルムを切り出して5枚のサンプルを作り、各々の折り強度を測定し結果を表1に示した。
尚、ここでのセンターシールは、両端を12mm幅で重合し、接着媒体は(nーヘキサン+ジオキソラン)の混合溶媒として、これを塗布し圧着して行なった(得られた筒状フイルムの折径は114mm)。
比較例
前記実施例1、実施例2及び実施例3で使用したのと同じ原反フイルムと各々の接着媒体を使用して、図3で示す(A)工程及び(B)工程を各々に実施した。但し(B)工程におけるニップローラ5の配置角度は、ニップローラ2aに対して、90度とした。得られた各筒状フイルムは、90度ピッチで4本の折り目が付けれていた。該フイルムを切り出して5枚のサンプルを作り、各々の折り強度を測定し結果を表1に示した。
尚、実施例1、実施例2及び実施例3に対応して、比較1、比較2、比較3として表示した。
実施例1で使用したのと同じ原反フイルムを使用して、次の条件で8本折り目を有する筒状フイルムを作製した。
まず基本の製造工程は、図3に示す工程とするが、次のように条件変更をした。それは、更に(D)工程として、リングガイド4とニップローラ200とを増設すると共に、ニップローラ5、7及び200の配置角度を45度づつ水平斜めにずらして配置した。45度ピッチで8本折り目を有する筒状フイルムが得られ、これについても各例と同様に折り強度を測定し結果を表1に示した。
Figure 0004578788
リングガイドを示した斜視図である。 円錐状ガイドを示した斜視図である。 本工程の1例を示した斜視図である。 本工程におけるニップローラの配置角度を示した正面図である。 6本折り目筒状フイルムの開口状態を示した断面図である。 本工程の1例を示した斜視図である。 8本折り目筒状フイルムの開口状態を示した断面図である。 10本折り目筒状フイルムの開口状態を示した断面図である。
符号の説明
1 重合状態の原反フイルム
1b センタシール部分
2 ニップローラ
2a ニップローラ
●3 2本折り目(筒状フイルム1c)
4 リングガイド
4b 空気ガイド
5 ニップローラ
●●6 4本折り目(筒状フイルム1d)
●●●8 6本折り目(筒状フイルム1e)

Claims (1)

  1. 次の(A)〜(C)に記載の各工程を順じ行なうことを特徴とする6本折り目を有するラベル用熱収縮性筒状フイルムの製造方法。
    (A)片面に印刷されたフラット状熱収縮性フイルムの両端面をセンターで重合し、その重合部分に接着媒体を伴いつつ、第1のニップローラを通して圧着すると共に、両端2本の折り目を有する該フイルムを得る工程、
    (B)前記(A)により得たフラット状熱収縮性筒状フイルムを拡開した後、前記2本の折り目から50〜70度ずれた位置で第2のニップローラに通し加圧して、更に両端2本の折り目を付け、合計4本折り目を有する該フイルムを得る工程、
    (C)前記(B)により得たフラット状熱収縮性筒状フイルムを拡開した後、該(B)の折り目から更に50〜70度ずれた位置で第3のニップローラに通し加圧して、更に両端2本の折り目を付け、合計6本折り目を有する該フイルムを得る工程。
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