JP2019119177A - 二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムを含む真空成形用又は真空圧空成形用包材 - Google Patents

二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムを含む真空成形用又は真空圧空成形用包材 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた成形性と光沢性、および印刷ピッチ寸法精度を兼ね備えた真空成形用又は真空圧空成形用包材を提供すること。【解決手段】二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムを少なくとも含む最外層と、酸素バリア層と、シーラント層とを順次積層されてなり、該二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムの4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)すべての引張破断強度が170MPa以上であり、かつ引張破断伸度が50%以上150%以下であることを特徴とする真空成形用又は真空圧空成形用包材。【選択図】なし

Description

本発明は、真空成形用又は真空圧空成形用包材及び深絞り包装体に関するものであり、更に詳しくは、食品や医薬品など、とりわけスライスハムやスライスベーコンなどの食品の包装に適した真空成形用又は真空圧空成形用包材及び深絞り包装体に関するものである。
通常、スライスハムやスライスベーコンなどの食品は深絞り包装体に入れられて、流通・販売される。該深絞り包装体は、例えば図1に示すように、中央部に凹部を有する底材12と蓋材11とをヒートシールなどにより接合して得られるものである。なお、スライスハムやスライスベーコンなどの食品13は、底材12の凹部内に入れられている。
従来、深絞り包装用の底材のほとんどは無地タイプのものであり、印刷加工は密閉シールされる蓋材の方になされるケースが一般的であり、底材に文字や絵柄が必要な場合は、ラベル貼りで済ますケースが多かった。底材の成形、内容物の充填、および蓋材とのシール加工は、深絞り充填シール機によってインラインで行われるが、前記の通り、底材は印刷適性について考慮する必要がないので、底材は一定のピッチ長さだけ流れ方向に間歇的に送られるだけで良かった。
よって、底材に用いられる最外層のフィルムとしては、成形性が良好な無延伸ポリプロピレン(以下、「CPP」とも記載する。)フィルムや無延伸ナイロン(以下、「CNY」とも記載する。)フィルム等のフィルムが長年使用されてきた。一方、蓋材に用いられる最外層のフィルムとしては、印刷ピッチ寸法精度が良好で、かつ腰のある二軸延伸ポリプロピレンフィルムやセロハンあるいは二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(以下、「OPET」とも記載する。)フィルムが使用されてきた。
近年、店頭では消費者に内容物を見えやすくして商品価値を高める目的で、底材を上面に向けて商品を陳列する方法が主流となってきており、それに伴い底材に印刷加工されるケースが増えてきた。これらの背景により、従来、優れた成形性のみが要求されていた底材は、成形性とともに文字や図柄の印刷ピッチ寸法精度が充分に確保されていることが重要となってきた。前述の成形性の良好なCPPフィルムを底材の最外層に用いた場合、印刷ピッチ寸法精度が十分では無く、また未延伸フィルムであるため光沢性が悪く、内容物の視認性を損なう問題があった。一方、印刷ピッチ寸法精度の良いOPETフィルムを底材の最外層に用いた場合、印刷ピッチ寸法精度や光沢性は良好であるものの、成形性が不十分であるので、浅絞りしかできないという問題があった。
これに対して、特許文献1および特許文献2においては、従来の深絞り充填シール機を使用して、OPETフィルムよりも成形性が良好で、かつ印刷ピッチ寸法精度に優れた深絞り容器底材が提案されている。この提案では、底材の最外層に融点が210〜224℃の範囲にあり、かつ印刷ピッチ寸法精度が±0.1%の範囲にある変性ポリエステル系樹脂フィルムを用いることにより、印刷ピッチ寸法安定性と深絞り成形性とを同時に満足することが示されているが、特許文献1および特許文献2で提案された深絞り容器底材は、底材の最外層にCPPフィルムを用いたものと比較すると成形性がまだ十分では無かった。
特許第3150230号公報 特許第3191155号公報
以上の通り、これまでCPPフィルムを最外層とした、真空成形や真空圧空成形などの深絞り成形用包材は優れた成形性を有するものの、未延伸フィルムであるため、印刷ピッチ寸法安定性、および光沢性が不十分であり、また特許文献1および特許文献2で提案された深絞り成形性を改良した変性ポリエステル系樹脂フィルムを最外層としたものは、印刷ピッチ寸法安定性、および光沢性は良好であるものの、深絞り成形性は未だ改良の余地があった。
したがって、本発明の目的は、優れた成形性と光沢性を有し、且つ印刷ピッチ寸法精度に優れた真空成形用又は真空圧空成形用包材を提供するものである。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、最外層と酸素バリア層とシーラント層との順で積層されてなる真空成形用又は真空圧空成形用包材において、該最外層に二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(以下、「OPBT」とも記載する。)フィルムを用いることにより、優れた成形性と光沢性を有し、且つ印刷ピッチ寸法精度に優れることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の真空成形用又は真空圧空成形用包材及び深絞り包装体を提供する。
[1]二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムを少なくとも含む最外層と、酸素バリア層と、シーラント層とを順次積層されてなり、
該二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムの4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)すべての引張破断強度が170MPa以上であり、かつ引張破断伸度が50%以上150%以下であることを特徴とする真空成形用又は真空圧空成形用包材。
[2]前記二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムの4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)の引張破断強度のうち、最大値と最小値の比が1.5以下であることを特徴とする、[1]に記載の真空成形用又は真空圧空成形用包材。
[3]前記二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムのJIS−K7105に準じて測定したグロス値が100%以上であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の真空成形用又は真空圧空成形用包材。
[4]前記最外層と前記酸素バリア層との間に印刷層を設けたことを特徴とする、[1]乃至[3]のいずれかに記載の真空成形用又は真空圧空成形用包材。
[5]前記酸素バリア層がエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物からなることを特徴とする、[1]乃至[4]のいずれかに記載の真空成形用又は真空圧空成形用包材。
[6]深絞り包装用底材を備えた深絞り包装体であって、該深絞り包装用底材は[1]乃至[5]のいずれかに記載の真空成形用又は真空圧空成形用包材を用いて作製されてなることを特徴とする包装体。
本発明によれば、優れた成形性と高い光沢性を有し、且つ印刷ピッチ寸法精度に優れた真空成形用又は真空圧空成形用包材を提供することができる。
また、本発明によれば、文字や図柄などを印刷可能な底材を備えた深絞り包装体を提供することができる。
図1は深絞り包装体の一例を示す概略断面図である。 図2は本発明の真空成形用又は真空圧空成形用包材の概略断面図である。 図3はチューブラー同時二軸延伸装置の概略図である。
以下に、本発明を実施するための形態について具体的に説明する。
本発明の真空成形用又は真空圧空成形用包材は、図2に示したように、最外層21、酸素バリア層22及びシーラント層23がこの順で積層されてなる。
また、本発明の真空成形用又は真空圧空成形用包材は、最外層21と酸素バリア層22との間に印刷層を設けてもよく、また本発明の真空成形用又は真空圧空成形用包材は、最外層21、酸素バリア層22及びシーラント層23の各層間に接着樹脂層などの中間層を1層以上設けてもよい。
[真空成形用又は真空圧空成形用包材]
<最外層>
本発明の真空成形用又は真空圧空成形用包材の最外層は、二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムを少なくとも含むものである。すなわち、本発明の真空成形用又は真空圧空成形用包材において、最外層はOPBTフィルム単独またはOPBTフィルムとCNYフィルムやOPETフィルム等の他基材との併用で構成することが出来る。その中でも、本発明の真空成形用又は真空圧空成形用包材がより優れた成形性、光沢性及び印刷ピッチ寸法精度を有する観点から、最外層の外面はOPBTフィルムで構成されていることが好ましい。
(OPBTフィルムの原料)
OPBTに用いられる原料は、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルであれば特に限定されるものでは無いが、具体的にはグリコール成分としての1,4−ブタンジオール、又はそのエステル形成性誘導体と、二塩基酸成分としてのテレフタル酸、又はそのエステル形成性誘導体を主成分とし、それらを縮合して得られるホモ、またはコポリマータイプのポリエステルである。最適な機械的強度特性を付与するためには、ポリブチレンテレフタレート(以下、「PBT」とも記載する。)樹脂のうち、融点200〜250℃、IV値1.10〜1.35dl/gの範囲のものが好ましく、さらには融点215〜225℃、IV値1.15〜1.30dl/gの範囲のものが特に好ましい。
なお、本発明に使用されるPBT樹脂には、必要に応じて滑剤、アンチブロッキング剤、無機増量剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、着色剤、結晶化抑制剤及び結晶化促進剤等の添加剤を加えても差し支えない。また、使用されるPBT樹脂ペレットは加熱溶融時の加水分解による粘度低下を避けるため、加熱溶融前に水分率が0.05質量%以下、好ましくは0.01質量%以下になるように十分予備乾燥を行った上で使用するのが好ましい。
(PBT未延伸原反の製造方法)
OPBTフィルムを安定的に製造するには、延伸前未延伸原反の結晶化を極力抑制する必要があり、押出されたPBT溶融体を冷却して製膜する際、該PBTの結晶化温度領域をある速度以上で冷却する、すなわち原反冷却速度が重要な因子となる。その原反冷却速度は200℃/秒以上、好ましくは250℃/秒以上、特に好ましくは350℃/秒以上であり、高い冷却速度で製膜された未延伸原反は極めて低い結晶状態を保っているため、延伸時のバブルの安定性が飛躍的に向上する。さらに高速での製膜も可能になることから
、生産性も向上する。冷却速度が200℃/秒未満では、得られた未延伸原反の結晶性が高くなり延伸性が低下する虞があるばかりでなく、極端な場合には延伸バブルが破裂し、延伸が継続しない場合がある。
原反製膜方式は、前記原反冷却速度を満たす方法であれば特に限定されるものでは無いが、急冷製膜の点では内外直接水冷式がもっとも適している。その内外直接水冷式による原反製膜法の概要を以下に説明する。
まず、PBT樹脂は210〜280℃の温度に設定された押出機によって溶融混練され、Tダイ製膜の場合は、シート状の溶融樹脂を水槽に浸漬することにより内外とも直接水冷する。一方、環状製膜の場合は、押出機に下向きに取り付けられた環状ダイより下方に押し出され、溶融管状薄膜が成形される。次に環状ダイに連結されている冷却マンドレルに導かれ、冷却マンドレル各ノズルから導入された冷却水が溶融管状薄膜の内側に直接接触して、溶融管状薄膜が冷却される。同時に、冷却マンドレルと組み合わせて使用される外部冷却槽からも冷却水が流され、溶融管状薄膜の外側にも冷却水が直接接触して、溶融管状薄膜が冷却される。内部水、および外部水の温度は30℃以下が好ましく、急冷製膜の観点では20℃以下が特に好ましい。30℃より高くなると、原反の白化や冷却水の沸騰による原反外観不良等を招き、延伸も徐々に困難になる場合がある。
(OPBTフィルムの製造方法)
PBT未延伸原反は、25℃以下、好ましくは20℃以下の雰囲気温度に保ちつつ延伸ゾーンまで搬送する必要があり、当該温度管理下では滞留時間に関係無く、製膜直後の未延伸原反の結晶性を維持することが出来る。この延伸開始点までの結晶化制御は、前記未延伸原反の製膜技術とともに、PBT樹脂の二軸延伸を安定して行う上で重要なポイントと言える。
二軸延伸法は、特に限定される訳では無く、例えばチューブラー方式、あるいはテンター方式で縦横同時、または逐次二軸延伸する方式等から適宜選択される。得られるOPBTフィルムの周方向の物性バランスの点で、チューブラー法による同時二軸延伸法が特に好ましい。図3はチューブラー法同時二軸延伸装置の概略図である。延伸ゾーンに導かれた未延伸原反31は、一対のニップロール32間に挿通された後、中に空気を圧入しながらヒーター33で加熱するとともに、延伸終了点で冷却リング34よりエアーを吹き付けることにより、チューブラー法によるMD、およびTD同時二軸延伸フィルム37が得られる。
延伸倍率は、延伸安定性や得られるOPBTフィルムの強度物性、透明性、および厚み均一性を考慮すると、MD、およびTDそれぞれ2.7〜4.5倍の範囲であることが好ましい。延伸倍率が2.7倍未満である場合、得られるOPBTフィルムの引張強度や衝撃強度が不十分となる可能性があり好ましくない。また4.5倍超の場合、延伸により過度な分子鎖のひずみが発生するため、延伸加工時に破断やパンクが頻繁に発生し、安定的に生産出来ない可能性がある。
延伸温度は、40〜80℃の範囲が好ましく、特に好ましくは45〜65℃である。前記の高い冷却速度で製造した未延伸原反は、結晶性が低いため、比較的低温域の延伸温度で安定して延伸可能である。80℃を超える高温延伸では、延伸バブルの揺れが激しくなり、大きな延伸ムラが発生して厚み精度の良好なフィルムが得られない可能性がある。一方、40℃未満の延伸温度では、低温延伸による過度な延伸配向結晶化が発生し、フィルムの白化等を招き、場合によって延伸バブルが破裂し延伸継続困難となる。このように二軸延伸加工を施すことにより、特に強度物性が飛躍的に向上し、かつ異方性が少ないOPBTフィルムを得ることが出来る。
得られたOPBTフィルムを熱ロール方式またはテンター方式、あるいはそれらを組み合わせた熱処理設備に任意の時間投入し、180〜240℃、特に好ましくは190〜2
10℃で熱処理を行うことにより、熱寸法安定性に優れたOPBTフィルムを得ることができる。熱処理温度が240℃よりも高い場合は、ボーイング現象が大きくなり過ぎて幅方向での異方性が増加する、または結晶化度が高くなり過ぎるため強度物性が低下する可能性がある。一方、熱処理温度が180℃よりも低い場合は、フィルムの熱寸法安定性が大きく低下するため、ラミネートや印刷加工時にフィルムが縮み易くなり、実用上問題が生じる可能性がある。
(OPBTフィルム)
本発明に用いられるOPBTフィルムの4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)における引張破断強度は、いずれも170MPa以上であり、180MPa以上であることが好ましく、190MPa以上であることがより好ましく、200MPa以上であることが特に好ましい。これにより優れた成形性が得られ、かつ耐衝撃性や耐屈曲性、耐突刺し性、および印刷ピッチ寸法安定性等の二次加工適性等が格段に向上する。上記の引張破断強度が170MPaより小さい場合、十分な成形性が得られず、また成形体の破袋等の原因にもなるため好ましくない。
また、本発明に用いられるOPBTフィルムの4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)の引張破断強度のうち、最大値と最小値の比が1.5以下に調整することが好ましく、特に好ましくは1.3以下である。これによりさらに優れた成形性を付与することが可能となる。
一方、本発明に用いられるOPBTフィルムの引張破断伸度は50%以上150%以下であり、好ましくは90%以上150%以下である。150%より大きい、あるいは50%より小さい場合、印刷やラミネート工程時、または成形加工中にOPBTフィルムの破断や伸び等が発生しやすくなるため好ましくない。
本発明の真空成形用又は真空圧空成形用包材の最外層がOPBTフィルムのみで構成される場合、OPBTフィルムの厚みは好ましくは5〜100μmであり、より好ましくは10〜30μmである。厚みが5μmよりも小さい場合は、真空成形用又は真空圧空成形用包材の耐屈曲ピンホール性や耐衝撃性がより低くなり、落袋時に破袋が生じやすくなる。また同様に厚くしすぎても耐屈曲ピンホール性は悪くなる虞がある。
一方、本発明の真空成形用又は真空圧空成形用包材の最外層がOPBTフィルムと他基材との併用で構成される場合、OPBTフィルムの厚みは好ましくは5〜50μmであり、より好ましくは10〜30μmであり、また他基材の厚みは好ましくは5〜50μmであり、より好ましくは10〜30μmである。OPBTフィルムと他基材との厚みが10μmよりも小さい場合は、真空成形用又は真空圧空成形用包材の耐屈曲ピンホール性や耐衝撃性がより低くなり、落袋時に破袋が生じやすくなる。また同様に厚くしすぎても耐屈曲ピンホール性は悪くなる虞がある。
<酸素バリア層>
本発明の真空成形用又は真空圧空成形用包材の酸素バリア層は、酸素バリア性を付与するものであって、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、「EVOH」とも記載する。)を好ましく使用できる。その中でも、EVOH中のエチレン含有量は好適には3〜70モル%である。優れた酸素バリア性を付与するという観点からは、上記エチレン含有量は好適には10〜65モル%、さらに好適には20〜65モル%、最適には25〜60モル%であるものが好ましい。さらに、EVOHのケン化度は好ましくは80%以上であり、より好ましくは95%以上、更に好ましくは99%以上である。上記エチレン含有量が70モル%を超える場合は、酸素バリア性が低下する虞がある。また、上記ケン化度が80%未満では、十分な酸素バリア性が得られない虞がある。
酸素バリア層の厚みは特に限定されるものではないが、求める酸素バリア性に応じて5〜100μm程度とすればよい。
<シーラント層>
本発明の真空成形用又は真空圧空成形用包材のシーラント層は特に限定されるものではないが、未延伸ポリエチレン系フィルム、未延伸ポリプロピレン系フィルム、未延伸ポリ塩化ビニルフィルム、エチレン−酢酸ビニルフィルム、アイオノマーフィルム、その他エチレンコポリマー系フィルム等を使用できる。
シーラント層の厚みは特に限定されるものではないが、耐ピンホール性の観点から、30〜100μm程度とすればよい。
(真空成形用又は真空圧空成形用包材の構成)
本発明の真空成形用又は真空圧空成形用包材は、OPBTフィルムを少なくとも含む最外層、酸素バリア層及びシーラント層の順で積層されてなる。
最外層はOPBTフィルム単独またはOPBTフィルムと他基材との併用で構成することができ、最外層の外面はOPBTフィルムで構成されていることが好ましい。
また、本発明の真空成形用又は真空圧空成形用包材には、最外層と酸素バリア層との間に印刷層を設けてもよい。
印刷層を形成する方法としては特に限定されないが、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、シルク印刷、活版印刷及びインクジェット印刷などの公知の印刷方式を単独で又は組み合わせて用いることにより形成することができる。
また、印刷層に用いるインキとしては、グラビア印刷方式の場合、ウレタン系の1液又は2液のインキが好ましく使用できる。
印刷層の厚みは特に限定されるものではないが、好ましくは1〜5μmである。
さらに、本発明の真空成形用又は真空圧空成形用包材には、最外層、酸素バリア層及びシーラント層の各層間に、酸素バリア性維持層や接着樹脂層などの中間層を1層以上設けてもよい。
上記酸素バリア性維持層は酸素バリア性の低下を抑制するものであって、酸素バリア層の両側若しくは片側に設けることができる。該酸素バリア性維持層としては、ポリオレフィン系樹脂層、ポリアミド系樹脂層及びポリブチレンテレフタレート樹脂層などを使用できる。これにより、本発明の真空成形用又は真空圧空成形用包材の酸素バリア性及び耐ピンホール性をさらに改良することができる。
バリア性維持層の厚みは特に限定されるものではないが、求める耐ピンホール性の程度に応じて5〜30μm程度とすればよい。
上記接着樹脂層は各層を接着するためのものであって、該接着樹脂層に使用される接着樹脂としては、ポリオレフィン系接着樹脂を好ましく使用でき、不飽和カルボン酸またはその誘導体から選ばれた少なくとも1種のモノマーをグラフトした変性ポリオレフィン系樹脂を好適に使用できる。
接着樹脂層層の厚みは特に限定されるものではないが、2〜30μm程度とすればよい。
また、本発明の真空成形用又は真空圧空成形用包材には、最外層と酸素バリア層との間にラミネート用接着剤を介した通常のドライラミネート法、またはホットメルト接着剤等をコーティングする方法を用いて接着剤層を形成することが出来る。
接着剤層の厚みは特に限定されるものではないが、1〜10μm程度とすればよい。
(真空成形用又は真空圧空成形用包材の製造方法)
本発明の真空成形用又は真空圧空成形用包材の製造方法は特に限定されないが、最外層
、酸素バリア層及びシーラント層をそれぞれ別々に作製した後、ドライラミネート法、プレス法や押出ラミネート法などにより各層を積層する方法や、Tダイ法やチューブラ法などにより、酸素バリア層とシーラント層との複合層を作製した後、ドライラミネート法、プレス法や押出ラミネート法などにより最外層と、複合層とを積層する方法などが挙げられる。
[深絞り包装体]
本発明の真空成形用又は真空圧空成形用包材は、深絞り包装機を用いて内容物に対応した大きさ及び形状を有する深絞り包装体に成形することができる。また、本発明の深絞り包装体は、底材と蓋材とをヒートシール等の接着手段により接着させることによって作製することができる。
本発明の深絞り包装体は、例えば、本発明の真空成形用又は真空圧空成形用包材を深絞り成形型で所望の形状及び大きさに成形して底材とした後(フィルム供給工程及びフィルム成形工程)、その中にスライスハム等の内容物を充填し(内容物充填工程)、さらにその上から蓋材フィルムでシールして(蓋材フィルム供給工程及びシール工程)、真空包装し(真空包装工程)、冷却し(冷却工程)、カットすることにより(切断工程)、製造することができる。
本発明の深絞り包装体の蓋材として使用されるフィルムとしては、例えば、延伸ポリプロピレン樹脂層と透明蒸着ポリエチレンテレフタレート系樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)層をラミネートしたものや、延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂と共押出フィルム(EVOHとNYを含み、LLDPEをシール層としたフィルム)をラミネートしたものを挙げることができる。
本発明の真空成形用又は真空圧空成形用包材は、深絞り包装体の底材や蓋材などに使用することができ、その中でも、深絞り包装体の底材に使用することが好ましい。
以下に実施例および比較例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<製造例1:OPBTフィルムの製造>
140℃で5時間熱風乾燥機にて乾燥したPBT樹脂ペレット(ホモタイプ、融点=224℃、IV値=1.26dl/g)を押出機中、シリンダーおよびダイ温度210〜275℃の各条件で溶融混練して溶融管状薄膜を環状ダイより下方に押し出した。引き続き、冷却マンドレルの外径を通しガイドロールで折り畳んだ後、引取ニップロールにより1.2m/分の速度で製膜引取りを行った。溶融管状薄膜に直接接触する冷却水の温度は内側、外側ともに20℃であり、原反冷却速度は416℃/秒であった。未延伸原反の厚みは185μm、折径は143mmであり、PBT樹脂中にはあらかじめ滑剤としてステアリン酸マグネシウムを1000ppm添加した。図3に示す構造のチューブラー同時二軸延伸装置にて、上記の条件で製膜した未延伸原反31を20℃の雰囲気中でニップロール32まで搬送し、縦横同時二軸延伸を行った。延伸倍率はMDが3.2倍、TDが3.2倍であり、延伸温度は60℃であった。次に、この二軸延伸フィルム37を熱ロール式熱処理設備、次いでテンター式熱処理設備に投入し、210℃で熱処理を施すことによりOPBTフィルムを得た。
なお、フィルムの厚みは15μmであった。
<製造例2:共押出しフィルムの製造>
共押出しフィルム1:CNY(30μm)/EVOH(10μm)/CNY(30μm
)/LLDPE(60μm)の未延伸複合フィルムを共押出環状ダイを使用した下向冷水成型法により製造した。
共押出しフィルム2:EVOH(10μm)/CNY(30μm)/LLDPE(60μm)の未延伸複合フィルムを共押出環状ダイを使用した下向冷水成型法により製造した。
共押出しフィルム3:CPP(40μm)/CNY(20μm)/EVOH(10μm)/LLDPE(60μm)の未延伸複合フィルムを共押出環状ダイを使用した下向冷水成型法により製造した。
共押出しフィルム4:CNY(15μm)/EVOH(10μm)/CNY(30μm)/LLDPE(60μm)の未延伸複合フィルムを共押出環状ダイを使用した下向冷水成型法により製造した。
<実施例1>
製造例1で得られたOPBTフィルムの表面に、通常のポリウレタン系インキからなる通常のグラビアインキ組成物を使用して、グラビア印刷方式で所望の印刷模様を形成した。次にOPBTフィルムの印刷模様が形成された面にドライラミネート用接着剤(2液硬化型ポリウレタン)を塗布・乾燥して、接着剤層(3.5μm)を形成した後、該接着剤層の表面と共押出しフィルム1のCNY面とを張合せて真空成形用又は真空圧空成形用包材を得た。得られた真空成形用又は真空圧空成形用包材の構成を表1に示す。
<実施例2>
共押出しフィルム1を共押出しフィルム2に替えた以外は実施例1と同様の操作で、真空成形用又は真空圧空成形用包材を得た。得られた真空成形用又は真空圧空成形用包材の構成を表1に示す。
<比較例1>
製造例1において、MDの延伸倍率を3.0倍、TDの延伸倍率を2.5倍に変更して得られたOPBTフィルムに替えた以外は実施例1と同様の操作で、真空成形用又は真空圧空成形用包材を得た。得られた真空成形用又は真空圧空成形用包材の構成を表1に示す。
<比較例2>
製造例1において、MDの延伸倍率を2.8倍、TDの延伸倍率を2.5倍に変更して得られたOPBTフィルムに替えた以外は実施例2と同様の操作で、真空成形用又は真空圧空成形用包材を得た。得られた真空成形用又は真空圧空成形用包材の構成を表1に示す。
<比較例3>
OPBTフィルムをOPETフィルム[東レフィルム加工株式会社製「ルミラー」(登録商標)F865]に替えた以外は実施例1と同様の操作で、真空成形用又は真空圧空成形用包材を得た。得られた真空成形用又は真空圧空成形用包材の構成を表1に示す。
<比較例4>
OPBTフィルムをOPETフィルム(東洋紡株式会社製E5100)に替えた以外は実施例1と同様の操作で、真空成形用又は真空圧空成形用包材を得た。得られた真空成形用又は真空圧空成形用包材の構成を表1に示す。
<比較例5>
OPBTフィルムをCPPフィルム(フタムラ化学株式会社製FHK2)に替えた以外は実施例1と同様の操作で、真空成形用又は真空圧空成形用包材を得た。得られた真空成
形用又は真空圧空成形用包材の構成を表1に示す。
<比較例6>
製造例2で得られた共押出しフィルム3におけるCPP表面に、実施例1と同様の操作で、所望の印刷模様を形成し、これを真空成形用又は真空圧空成形用包材とした。得られた真空成形用又は真空圧空成形用包材の構成を表1に示す。
<比較例7>
製造例2で得られた共押出しフィルム4におけるCNY表面に、実施例1と同様の操作で、所望の印刷模様を形成し、これを真空成形用又は真空圧空成形用包材とした。得られた真空成形用又は真空圧空成形用包材の構成を表1に示す。
各真空成形用又は真空圧空成形用包材について、成形性、グロス値、引張破断強伸度及び印刷ピッチずれを評価した。各評価の手順を以下に示す。
(成形性の評価方法)
深絞り包装機(MULTIVAC製R535)を用いて、真空成形用又は真空圧空成形用包材を100℃に加熱し、加圧時間0.25秒、加工速度6.7c/分で真空圧空成形して、成形サイズ100mm×100mm、深さ5〜30mmの底材を得た。成形可能であった絞り深さを表1に示した。
(グロス値)
JIS K7105に準拠して測定した。結果を表1に示した。
(引張破断強伸度の評価方法)
引張破断強伸度は、(株)オリエンテック製テンシロン万能試験機(RTC−1210−A)を使用し、試料幅15mm、チャック間100mm、引張速度200mm/分の条件で、0℃(MD)方向/45°方向/90°(TD)方向/135°方向の4方向それぞれについて測定を行った。得られた応力−ひずみ曲線に基づいて求めた、各方向の引張破断強度および引張破断伸度、ならびに4方向の引張破断強度のうち最大値と最小値の比を表1に示した。
(印刷ピッチずれ評価)
真空成形用又は真空圧空成形用包材に、グラビア印刷で8色を順に重ねて印刷した。そして、印刷模様のピッチ寸法精度は、1色目を基準とし、2色目以降の各色との寸法差が全て±0.1%以内であった場合○、1色でも±0.1%を超えた場合×とした。
Figure 2019119177
表1に示すように、真空成形用又は真空圧空成形用包材において、OPBTフィルムを少なくとも含む最外層と、酸素バリア層と、シーラント層とが順次積層されてなる構成と
することで、優れた成形性、印刷加工適性、および光沢性を同時に満足する底材を得られることがわかった。
本発明のOPBTを含む真空成形用又は真空圧空成形用包材は真空成形や真空圧空成形などの深絞り成形をすることが可能で、光沢性に優れ、且つ印刷ピッチ寸法精度が良好なOPETフィルムと同じように印刷加工が可能な包材であるため、近年増加傾向である、商品の正面になる深絞り包装用底材に好適に利用可能な真空成形用又は真空圧空成形用包材である。
10 深絞り包装体
11 蓋材
12 底材
13 食品
21 最外層
22 酸素バリア層
23 シーラント層
31 未延伸原反
32 ニップロール
33 ヒーター
34 冷却リング
35 ガイドロール
36 ニップロール
37 二軸延伸フィルム

Claims (6)

  1. 二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムを少なくとも含む最外層と、酸素バリア層と、シーラント層とを順次積層されてなり、
    該二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムの4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)すべての引張破断強度が170MPa以上であり、かつ引張破断伸度が50%以上150%以下であることを特徴とする真空成形用又は真空圧空成形用包材。
  2. 前記二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムの4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)の引張破断強度のうち、最大値と最小値の比が1.5以下であることを特徴とする、請求項1に記載の真空成形用又は真空圧空成形用包材。
  3. 前記二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムのJIS−K7105に準じて測定したグロス値が100%以上であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の真空成形用又は真空圧空成形用包材。
  4. 前記最外層と前記酸素バリア層との間に印刷層を設けたことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の真空成形用又は真空圧空成形用包材。
  5. 前記酸素バリア層がエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物からなることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の真空成形用又は真空圧空成形用包材。
  6. 深絞り包装用底材を備えた深絞り包装体であって、該深絞り包装用底材は請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の真空成形用又は真空圧空成形用包材を用いて作製されてなることを特徴とする包装体。
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