JP4578693B2 - プラズマcvd装置およびプラズマcvd装置を用いたシリコン系膜の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプラズマCVD装置およびプラズマCVD装置を用いたシリコン系膜の製造方法に関し、特に、大面積で均一な半導体薄膜を高速度で製造するために好ましく用いられ得るプラズマCVD装置の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
今日、プラズマCVD装置は、複写機の感光ドラム上の感光層、液晶表示パネルの透明基板上に形成されるTFT(薄膜トランジスタ)アレイ、薄膜太陽電池などにおける種々の半導体層の形成のために利用されている。ここで、液晶表示パネルはその画面の大型化が望まれており、薄膜太陽電池においても大きな発電能力と生産効率の向上のために大面積化が求められている。すなわち、プラズマCVD装置において、大面積の半導体薄膜を製造することが求められている。
【0003】
図8においては、大面積の半導体薄膜の製造に適した縦型のプラズマCVD装置の一例が模式的な断面図で図解されている。なお、本願の各図において、長さ、幅、厚さ、間隔などの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法関係を表わしてはいない。
【0004】
この縦型プラズマCVD装置は、真空ポンプ(図示せず)によって減圧可能なプラズマ反応室1内において、基板4を支持するための基板支持電極2を備えている。また、反応室1内において、基板支持電極2に対面して配置された対向電極(ガス吹出電極)3も設けられている。対向電極3は、基板4に向けてプラズマCVD反応ガス5を吹出すための複数の孔3bを含むガス吹出面板3aを有している。プラズマCVD反応を生じさせるときには、基板支持電極2と対向電極3との間に、高周波電源6によって通常は13.56MHzの高周波電力が印加される。
【0005】
一般に、ガス吹出面板3aとしては、アルマイト表面処理されたアルミ合金板やステンレス鋼板が用いられ、約3〜6mmの範囲内の一定厚さTを有している。ガス吹出孔3bは約0.2〜0.8mmの範囲内の一定断面直径φDgを有し、その孔3bの長さHgはそれが貫通するガス吹出面板3aの一定厚さTに等しい。そして、複数のガス吹出孔3bは、3〜15mmの範囲内の一定のピッチPgで配列されている。
【0006】
ところで、近年では薄膜太陽電池も多様化し、従来の非晶質薄膜太陽電池の他に比較的長波長の光をも光電変換し得る結晶質薄膜太陽電池も開発され、非晶質光電変換ユニットと結晶質光電変換ユニットを積層したハイブリッド薄膜太陽電池も実用化されつつある。ここで、光吸収係数の大きな非晶質シリコン光電変換層は光吸収のためには0.3μm以下の厚さでも十分であるが、光吸収係数の小さな結晶質シリコン光電変換層は長波長の光をも十分に吸収するためには2〜3μm程度の厚さを有することが好ましい。すなわち、結晶質光電変換層は、通常は、非晶質光電変換層に比べて、約10倍程度の大きな厚さを有することが望まれる。
【0007】
特開平11−330520は、従来から比較的薄い非晶質光電変換層の堆積の場合に用いられていた133Pa(1Torr)以下のプラズマ反応室内圧力の代わりに、667Pa(5Torr)以上の高い反応室の圧力を利用することによって、厚い結晶質光電変換層を高速度で堆積し得ることを開示している。
【0008】
ところで、図8に示されているような平行平板型高周波プラズマCVD装置において、プラズマ放電を発生させて維持するためには、一般に、プラズマ反応室内のガス圧と平行平板電極間距離とは逆の関係にある。すなわち、ガス圧が小さいときには電極間距離を比較的大きくしなければならず、逆にガス圧が大きいときには電極間距離を小さくしなければならない。そこで、特開平11−330520は、電極間距離を変えることができる可動式の平行平板電極を備えたプラズマCVD装置を開示している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
薄膜太陽電池は、前述のように、より大きな発電能力と生産効率の向上のために大面積化が求められている。ところが、平行平板電極を有するプラズマCVD装置を利用して大きな基板上に形成された薄膜太陽電池においては、その光電変換特性が基板上の局所的な平面位置に依存して変動する傾向が強くなるという事実がある。そして、この傾向は、異常放電が生じ易くなる高い反応ガス圧、基板と対向電極との間の小さな間隔および高い高周波パワー密度の条件のもとで堆積された結晶質光電変換層を含む結晶質薄膜太陽電池またはハイブリッド薄膜太陽電池において顕著になる。なお、ここで異常放電とは、プラズマ強度に不均一な分布を生じたり、平行平板電極の平行間隔以外の部分で放電を生じることを意味する.他方、結晶質光電変換層を含む薄膜太陽電池では、生産効率のさらなる向上のために、その比較的厚い結晶質光電変換層の堆積速度をさらに高めることが望まれている。
【0010】
ところで、特公平3−25510は、窒化珪素膜、酸化珪素膜、または酸窒化珪素膜の堆積速度を高めるために、図9(A)および(B)の断面部分図に示されているように、末広ノズル形状のガス吹出孔3bを有するガス吹出面板3aを対向電極3において用いることを提案している。そして、特公平3−25510によれば、このような末広ノズル状のガス吹出孔3bに反応ガスを通しながら高周波電力6を印加することによってプラズマ密度が増大し、それに伴って反応ガスのかい離と反応性が増大して膜堆積速度も増大するとされている。
【0011】
しかしながら、ガス吹出面板3aにおいて、図9(A)や(B)に示されているような複雑な末広ノズル形状の孔3bを加工形成することは困難である。そのような加工が可能であるとしても、大面積のガス吹出面板3aに多数の末広ノズル状ガス吹出孔3bを形成することは、非常に多額の加工費用を要することになる。
【0012】
たとえば、1m×1mの大きな面積を有するガス吹出面板3aに5mm間隔でガス吹出孔3bを形成するとすれば、それらの孔3bの総数は4万個にもなる。
したがって、これらのガス吹出孔3bの1つを複雑な末広ノズル形状に加工する費用を約200円程度に見積もったとしても、4万個もの孔を加工するためには総額で約800万円もの費用を要することになる。
【0013】
また、末広ノズル状ガス吹出孔3bにおいては、プラズマ反応が促進される末広ノズル内の喉部(付け根部)に不所望のパーティクル状のダストが生成して付着しやすくなり、その細い喉部がダストで詰まるおそれが高くなる。
【0014】
このような状況に鑑み、本発明は、大きな基板面上の平面的位置に依存することなく均一で優れた特性を有する半導体薄膜をより高速度で堆積するために好ましく用いられ得るプラズマCVD装置を低コストで提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明によるプラズマCVD装置は、プラズマCVD反応室と、この反応室内において成膜用基板を支持するための基板支持電極と、基板に対面すべき対向電極とを備え、この対向電極は中空であってかつ基板に向けて反応ガスを吹出すために複数のガス吹出孔を有するガス吹出面板を含み、このガス吹出面板が基板と対向する面にはプラズマの発生を促進するためのプラズマ促進溝が形成されていることを特徴としている。
【0016】
ガス吹出孔は、プラズマ促進溝の底面に配置されていることが好ましい。しかし、ガス吹出孔は、プラズマ促進溝を除く平面領域に配置されてもよい。
【0017】
ガス吹出孔の長さはガス吹出面板の厚さより小さく、そのガス吹出孔の入口側がその孔径よりも大きな径の差圧調整孔に接続されている。
【0018】
以上のようなプラズマCVD装置を用いて、反応室内のガス圧が533Pa以上、ガス吹出面板と基板との間隔が15mm以下、そして基板支持電極と対向電極との間に印加される高周波電力が300mW/cm2以上のパワー密度に設定される条件のもとで、異常放電を防止しつつシリコン系膜の高速度成膜を可能にするプラズマCVD法を行うことができる。
【0019】
また、このようなプラズマCVD装置は、特に、大面積の結晶質シリコン系光電変換層を含む薄膜太陽電池の製造に好ましく用いられるものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は本発明によるプラズマCVD装置において好ましく用いられ得るガス吹出面板3aの一例の断面を模式的に示し、図2は図1のガス吹出面板3aの基板対向面を表わしている。すなわち、このガス吹出面板3aの基板対向面において、プラズマの発生を促進するために、台形状の横断面形状と深さHpを有する複数の溝3gが形成されている。これらのプラズマ促進溝3gは、ピッチPpで直交する格子状に配列されている。そして、これらの溝3gの各交差部の中心において一定断面直径φDgを有するガス吹出孔3bが形成されている。したがって、これらのガス吹出孔3bの配列ピッチPgも、プラズマ促進溝3gの配列ピッチPpに一致している。
【0021】
ただし、プラズマ促進溝3gとガス吹出孔3bの配列は直交格子状のパターンに限られず、他の種々のパターンでも配列され得ることはいうまでもない。
【0022】
ここで重要なことは、図9に示されているように複雑な末広ノズル形状のガス吹出孔と異なって、プラズマ促進溝3gはフライス盤や平削盤などを用いて、はるかに容易かつ安価に形成され得ることである。また、本実施の形態におけるガス吹出孔3bは一定の横断面直径φDgを有しているので、末広ノズル形状のガス吹出孔の場合のようにそのノズルの喉部にダストが付着し易くなるという問題を生じることがない。
【0023】
ガス吹出面板3aは、従来と同様にアルミ合金板またはステンレス鋼板などを利用して形成することができる。このガス吹出面板においては、深さHpの溝3gを形成することが可能であってかつ反応ガス圧に対して十分な平面精度を維持し得る強度を有することが必要であり、その厚さTは3mm以上であることが望まれ、4mm以上であることが好ましい。他方、ガス吹出面板3aは、CVD装置のメンテナンス作業の際にその洗浄時のハンドリングが可能で、かつ対向電極3に取付けたときにその電極本体の強度が耐えられる重さでなければならない。
この観点から、アルミ合金のガス吹出面板の場合で、その厚さTは15mm以下であることが望まれ、10mm以下であることが好ましい。
【0024】
溝3gの深さHpとしては、いわゆるホロー(窪み)カソード効果(日刊工業新聞社出版、小沼光晴著、「プラズマと成膜の基礎」pp.58−60参照)に類似してプラズマ発生の促進が期待されるように1mm以上であることが望ましく、2.5mm以上であることが好ましい。他方、ガス吹出面板3aの強度維持の観点から、その面板がアルミ合金の場合に、溝深さHpは13mm以下であることが望まれ、7.5mm以下であることが好ましい。
【0025】
溝幅Bpとしては、溝3gの内部でプラズマ発生を促進させるホロー効果が期待できるように1.6mm以上であることが望まれ、2.0mm以上であることが好ましい。他方、溝幅Bpが大きくなりすぎれば、ガス吹出面板3aの基板対向面のうちで溝部3g以外の島領域と基板4との間で放電が強くなって、溝3gによるプラズマ促進効果が得られなくなる。そして、溝部3gとそれ以外の島部に対応して、基板4上で形成される膜において厚さ変動を生じる場合もある。したがって、溝幅Bpは基板4とガス吹出面板3との間の距離E/Sより小さく設定され、8mm以下であることが好ましく、6mm以下であることがより好ましい。
【0026】
溝ピッチPpに関しては、まず溝幅Bp以上のピッチでなければ、理論的に溝3gを配置することができない。また、溝3g以外の島部分の幅は加工の観点から最低でも1mmは必要である。したがって、溝ピッチPpは2.6mm以上であることが望まれ、3.5mm以上であることが好ましい。他方、溝3g以外の島部分の幅が大きくなれば、溝3gによるプラズマ促進効果が連続的でなくなり、基板4上に堆積される膜の厚さ分布に悪影響を与える。したがって、溝ピッチPpは25mm以下であることが望まれ、8.5mm以下であることが好ましい。
【0027】
ガス孔3bの深さHgに関しては、ガス吹出の分散と均一性が保たれるような差圧(ガス孔の入口側と出口側との差圧)が得られる深さであることが望まれ、1.0mm以上であることが好ましく、1.5mm以上であることがより好ましい。他方、ガス孔深さHgが大きくなりすぎれば、その加工が困難になる。この加工は通常はドリルを用いて行なわれるが、孔径の小さな加工であるので、その深さが大きくなればドリルの破損が多くなる。そして、ドリルの破損のたびにボール盤を止めて破損ドリルを加工途中の孔から取除き、ドリルの交換とその後の再加工が必要となる。しかも、前述のように、大面積のガス吹出面板のガス吹出孔加工では数万個の加工が必要である。したがって、ガス孔深さHgはドリルの破損のおそれの少ない5mm以下であることが好ましく、4mm以下であることがより好ましい。なお、ガス孔深さHgが3mm程度以下ならばレーザ加工も可能となり、加工時間と費用の節減も可能になる。
【0028】
ガス孔径φDgに関しては、これが小さすぎれば差圧が大きくなりすぎて必要な反応ガス流量の確保が困難になる。また、成膜時に発生し得るパーティクルなどのダストが細いガス孔に詰まるおそれもある。さらに、ガス孔径φDgが小さすぎれば、その加工も困難になる。したがって、ガス孔径φDgは0.1mm以上であることが望まれ、0.2mm以上であることが好ましい。他方、ガス孔径φDgが大きすぎれば、ガス吹出の分散と均一性が保たれるために十分な差圧が得られにくくなる。したがって、ガス孔径φDgは0.8mm以下であることが望まれ、0.6mm以下であることが好ましい。
【0029】
なお、具体的にガス吹出面板3aを設計する際には、ガス孔3bの深さHg、径φDg、およびピッチPgは、反応ガス流量やガスの分散性などを考慮して、上述のそれぞれの範囲内で最適な値を選択することができる。
【0030】
図1および図2に示されているようなプラズマ促進溝3g付きのガス吹出面板3aを用いることによって、そのガス吹出面板において基板対向面の表面積の増大によって均一で安定したプラズマを得ることができる。特に、高い反応ガス圧のもとでハイパワーの高周波電力を印加する場合に、電極間距離を狭くしたときに異常放電を起こすことなく、均一な分布のプラズマを得ることができる。また、それらの溝3gによって前述のホロー効果が期待され、成膜速度のさらなる向上が期待され得る。さらに、溝3gのエッジ部や溝の交差部におけるような突起部分からの2次電子放出が増大するので、これによる成膜速度の向上も期待され得る。
【0031】
より具体的には、図1および図2に示されているようなガス吹出面板3aを用いることによって、シランと水素を含む反応ガス圧533Pa以上のもとで1μm/hr以上のシリコン膜堆積速度が十分に可能であって、好ましく用いられる電源周波数範囲も10〜50MHzに広がるとともに、印加され得るパワー密度の範囲も50〜1500mW/cm2に広げられ得る。さらに、533Pa以上の反応ガス圧のもとにおいても、プラズマを発生させ得る対向電極と基板との間隔E/Sの可能範囲も5〜30mmまで広げられ得る。
【0032】
ところで、図1および図2に示された実施形態では横断面形状が台形のプラズマ促進溝3gを含むガス吹出面板が用いられているが、本発明はこれらの溝形態に限られず、図3に示されているような矩形の横断面を有する溝3g、図4に示されているような三角形の横断面を有する溝3g、または図5に示されているようなドーム状の横断面を有する溝3gのいずれを含むガス吹出面板3aも同様に好ましく用いられ得ることが理解されよう。
【0033】
図6と図7においては、さらに他の実施形態によるガス吹出面板3aが示されている。図6と図7に示されたガス吹出面板3aは、図1と図2に示されたものに類似して、その基板対向面において台形状の横断面形状を有する複数のプラズマ促進溝3gが形成されており、これらの溝は直交する格子状に配列されている。しかし、ガス吹出孔3bは、それらの溝3gに囲まれた島部の中心に配置されている。このように図6と図7に示されたガス吹出面板においても、図1と図2に示されたものと同様の効果を発揮し得ることが理解されよう。
【0034】
ただし、ガス吹出面板3aの厚さTが所望のガス吹出孔3bの深さHgより大きくなる場合には、そのガス吹出孔3bのガス入口側において、たとえば太いドリル孔からなる差圧調整孔3cを形成すればよい。このような太いドリル孔は細いドリル孔に比べて容易に形成され得ることが理解されよう。これによって、ガス吹出孔3bの所望の深さHgを設定することができ、そのガス入口側と出口側との間の調整された差圧によってガスの分散性と均一性を確保することができる。
【0035】
また、上述の種々の実施形態におけるいずれのプラズマ促進溝3gも、図9に示されているように複雑な末広ノズル形状のガス吹出孔と異なって、フライス盤や平削盤を用いてはるかに容易かつ安価に形成され得ることが理解されよう。
【0036】
さらに、上述の種々の実施形態におけるいずれのガス吹出孔3bも、末広ノズル形状のガス吹出孔の場合のようにそのノズルの喉部にダストが付着し易くなるという問題を生じることのないことを理解されよう。
【0037】
(実施例1)
ガス吹出面板3aとして、厚さT=6.4mmのステンレス鋼板が用いられた。そして、溝深さHp=3.4mm、溝ピッチPp=5.3mm、溝幅Bp=2.4mm、ガス孔深さHg=3.0mm、そしてガス孔径φDg=0.45mmに設定された。
【0038】
このようなガス吹出面板3aを用いて、91cm×91cmの大きな面積と4mmの厚さを有するガラス基板4上にシリコン薄膜がプラズマCVDで堆積された。反応ガスとしては、シランとその100倍の流量の水素が反応室内に導入され、反応室内ガス圧は533Paに設定された。また、ガス吹出面板3aと基板4との間隔(E/S)は15mmに設定された。このような条件下で300mW/cm2のパワー密度で高周波電力を印加したところ、異常放電を生じることなく安定した高密度のプラズマが生成され、1μm/hr以上の速い堆積速度で均一な結晶質シリコン膜が形成された。
【0039】
(実施例2)
実施例2では、反応室内ガス圧が667Paに増大されるとともにE/S間隔が12mmに減少されたことのみにおいて、実施例1と異なっていた。このような実施例2においても、1μm/hr以上の速い堆積速度で均一な結晶質シリコン膜が形成された。
【0040】
(実施例3)
実施例3では、反応室内ガス圧が1000Paに増大されるとともにE/S間隔が10mmに減少され、さらに高周波パワー密度が500mW/cm2に増大されたことのみにおいて、実施例1と異なっていた。このような実施例3においては、1.5μm/hr以上のより速い堆積速度で均一な結晶質シリコン膜が形成された。
【0041】
(実施例4)
実施例4では、反応室内ガス圧が1330Paに増大されるとともにE/S間隔が8mmに減少され、さらに高周波パワー密度が800mW/cm2に増大されたことのみにおいて、実施例1と異なっていた。このような実施例4においては、2.0μm/hr以上の非常に速い堆積速度で均一な結晶質シリコン膜が形成された。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、大きな基板上の平面的位置に依存することなく均一で優れた特性を有する半導体薄膜をより高速度で堆積するために好ましく用いられ得るプラズマCVD装置を低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマCVD装置において好ましく用いられ得る対向電極のガス吹出面板の一例を示す模式的な断面図である。
【図2】 図1のガス吹出面板の基板対向面を示す平面図である。
【図3】 他の形態によるガス吹出面板を示す模式的な断面図である。
【図4】 他の形態によるガス吹出面板を示す模式的な断面図である。
【図5】 他の形態によるガス吹出面板を示す模式的な断面図である。
【図6】 本発明の実施形態によるガス吹出面板を示す模式的な断面図である。
【図7】 図6のガス吹出面板の基板対向面を示す平面図である。
【図8】 大面積の基板上に半導体薄膜を堆積するために好ましく用いられ得る縦型CVD装置の一例を示す模式的な断面図である。
【図9】 先行技術によるガス吹出面板における末広ノズル状のガス吹出孔を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
1 プラズマ反応室、2 基板支持電極、3 対向電極、3a ガス吹出面板、3bガス吹出孔、3c 差圧調整孔、3g プラズマ促進溝、4基板、5反応ガス、6 高周波電源。
Claims (4)
- プラズマCVD反応室と、前記反応室内において成膜用基板を支持するための基板支持電極と、前記基板に対面すべき対向電極とを備え、
前記対向電極は中空であって、前記基板に向けて反応ガスを吹出すために、複数のガス吹出孔および複数の差圧調整孔を有するガス吹出面板を含み、前記差圧調整孔は前記ガス吹出孔の入口側の孔径よりも大きな径を有し、
前記ガス吹出孔の長さが前記ガス吹出面板の厚さより小さく、そのガス吹出孔の入口側が前記差圧調整孔に接続されており、
前記ガス吹出面板が前記基板と対向する面において、プラズマの発生を促進するためのプラズマ促進溝が形成されていることを特徴とするプラズマCVD装置。 - 前記ガス吹出孔は前記プラズマ促進溝の底面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマCVD装置。
- 前記ガス吹出孔は前記プラズマ促進溝を除く平面領域に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマCVD装置。
- 請求項1から3のいずれかの項に記載されたプラズマCVD装置を用いて、シリコン系膜を製造する方法であって、
前記反応室内のガス圧が533Pa以上、前記ガス吹出面板と前記基板との間隔が15mm以下、そして前記基板支持電極と前記対向電極との間に印加される高周波電力が300mW/cm2以上のパワー密度に設定される条件のもとでプラズマCVDが行われる、シリコン系膜の製造方法。
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