JP4577539B2 - 印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は印刷インキ用バインダー、および当該印刷インキ用バインダーを含有してなる印刷インキ組成物に関する。更に詳しくは、出版グラビアインキなどのインキ組成物用バインダーとして好適であり、しかもトルエンなどの芳香族炭化水素溶剤を含まない印刷インキ用バインダー、および当該印刷インキ用バインダーを含有してなる印刷インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
雑誌、週刊誌、その他の素材に適用されるグラビア印刷インキにおいては、そのバインダーとして、従来、ロジン系化合物と金属化合物との反応生成物(樹脂酸金属塩)のトルエンワニスが汎用されてきた。該バインダーを含有してなる出版グラビア印刷インキは、樹脂組成面からもさまざま改良が加えられ、高速化への対応、印刷時の紙への転移性、印刷後の乾燥性、印刷物の光沢の点で満足できるレベルに達している。しかし、環境問題や労働安全衛生上の見地からトルエンの使用が問題視されている。
【0003】
このような問題点を解消する方法としては、単純には、溶融法により得られる樹脂酸金属塩を非芳香族有機溶剤に溶解させて印刷インキ用バインダーを調製することができるが、溶融法による場合には均一で金属含有量が高い高融点の樹脂酸金属塩を得ることが困難である。該製造法で得られる樹脂酸金属塩は、顔料の分散性、溶剤離脱性、耐熱性等が十分でないため、当該樹脂酸金属塩を用いて調製される印刷インキ用バインダーを使用した場合には、印刷物の光沢、乾燥性が劣る結果となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、環境問題や労働安全衛生上の問題に鑑みてトルエン等の芳香族炭化水素を含まず、しかも紙への転移性、印刷後の乾燥性、印刷物の光沢、印刷物中の溶剤残留率(溶剤離脱性)、高速印刷適性などの諸性能に優れた、新規な印刷インキ用バインダー、および当該バインダーを用いた印刷インキ組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、非芳香族有機溶媒のうち特に脂環族有機溶剤の存在下にロジン系化合物、特定の石油樹脂および金属化合物を反応させることにより、更にはより限定された条件下にロジン系化合物、特定の石油樹脂および金属化合物を反応させることにより、トルエン溶剤系で反応して得られる従来の樹脂金属塩と同様の均一で金属含有量が高い高融点の樹脂酸金属塩が得られることを見出した。また、かかる特定方法で得られる樹脂酸金属塩から調製される印刷インキ用バインダーや印刷インキ組成物は、紙への転移性、乾燥性、印刷物の光沢、印刷物中の溶剤残留率、高速印刷適性などの諸性能に優れる事を見出した。本発明は、斯かる事実に基づき完成されたものである。
【0006】
本発明は、ロジンとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸からなる反応生成物(1)、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸を付加反応させてなる変性石油樹脂(2)および2種以上の金属化合物として、亜鉛化合物ならびにカルシウム化合物および/またはマグネシウム化合物を、メチルシクロヘキサンおよびエチルシクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種の脂環族有機溶剤中で反応させて得られる樹脂酸金属塩(3)を、主成分として含有することを特徴とする印刷インキ用バインダーに関する。更に本発明は、当該印刷インキ用バインダーを含有してなる印刷インキ組成物に関する。
【0007】
本発明では、ロジン、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸、および必要により多価アルコールからなる反応生成物(1)、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸を付加反応させてなる変性石油樹脂(2)、ならびに2種以上の金属化合物として、亜鉛化合物ならびにカルシウム化合物および/またはマグネシウム化合物を、メチルシクロヘキサンおよびエチルシクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種の脂環族有機溶剤中で反応させることにより、反応生成物(1)および変性石油樹脂(2)の分子中に当該金属化合物を多量にしかも均一に導入することができる。そのため、こうして得られる樹脂酸金属塩(3)を使用することにより、トルエンなどの芳香族有機溶剤を含まず、紙への転移性、印刷後の乾燥性、印刷物の光沢、印刷物中の溶剤残留率、高速印刷適性などの諸性能に優れた印刷インキ用バインダーを提供できる。
【0008】
反応生成物(1)の構成成分は、上記のようにロジン、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸であり、必要により多価アルコールを構成成分とすることができる。該ロジンとしては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、重合ロジンなどが使用でき、またα,β−エチレン性不飽和カルボン酸としては、代表的にはマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などの各種を例示できる。更には、多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、3級のアルカノールアミンなどが挙げられる。尚、本発明の目的を逸脱しない範囲で、その他の飽和酸や脂肪酸類、極性基を有する長鎖アルキル化合物、界面活性剤を樹脂中に組み込んだり混合することが可能である。
【0009】
反応生成物(1)は、ロジン、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸、および必要により多価アルコールを用いてエステル化することにより得られる。該反応では、反応温度は通常150〜300℃程度であり、また溶融下で実施されるのが一般的である。該反応に際しての各原料の使用量は、得られるインキ用バインダーの諸性能を考慮して適宜決定されるが、通常は次の範囲内とするのがよい。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の使用量はロジンに対して通常は1.5〜10重量%程度である。1.5重量%未満では導入できる金属量が十分ではなく、また10重量%を越える場合には得られるバインダーの粘度が高くなりすぎ、インキ組成物とした場合には粘度調整面からバインダーの含有量が低下し、結果的にインキの光沢が低下するという不利が生じる。また多価アルコールによるエステル化は、転移性や光沢の向上につながるため、多価アルコールの使用量は、通常は反応生成物(1)のカルボキシル基に対して3〜30当量%程度とされる。3当量%未満では転移性の向上効果が少なく、また30当量%を越える場合は、乾燥性が低下する傾向がある。
【0010】
なお、上記樹脂酸生成物(1)として、各種の市販品をそのまま使用してもよい。該市販品としては、マレイン酸樹脂(荒川化学工業(株)製、マルキードNo.2、マルキードNo.6等)やフマル酸樹脂(荒川化学工業(株)製、マルキードNo.31、マルキードNo.32、マルキードNo.34)が例示できる。
【0011】
変性石油樹脂(2)の構成成分は、前記のように石油樹脂およびα,β−エチレン性不飽和カルボン酸である。該構成成分である石油樹脂は、石油の分解や改質に際して生成する各種の留分を重合して得られる樹脂であり、代表的なものとしては、C9系石油樹脂や、C5系石油樹脂、C5−C9共重合系石油樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)系石油樹脂等があげられる。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸としては上記のものが使用できる。また、変性石油樹脂(2)としては、上記の多価アルコールにより一部エステル化されたものを使用してもよい。
【0012】
変性石油樹脂(2)は、石油樹脂とα,β−エチレン性不飽和カルボン酸とを100〜300℃にて常圧下もしくは加圧下、反応させることにより得られる。この際、ベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイドなどの過酸化物を使用することにより、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の石油樹脂への付加を容易化できる。各原料の使用量は、得られるインキ用バインダーの諸性能を考慮して適宜決定されるが、通常α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の使用量は石油樹脂に対して3〜10重量%程度である。3重量%未満では導入できる金属量が十分ではなく、10重量%を越える場合には得られるバインダーの粘度が高くなりすぎ、インキ組成物とした場合には粘度調整面からバインダーの含有量が低下し、結果的にインキの光沢が低下するという不利が生じる。また、必要に応じて多価アルコールによるエステル化を行う場合には、変性石油樹脂(2)のカルボキシル基に対して30当量%以下とするのがよい。
【0013】
反応生成物(1)および変性石油樹脂(2)を、樹脂酸金属塩(3)に誘導するために使用する金属化合物としては、カルシウム、マグネシウム、亜鉛の各種金属の酸化物、水酸化物、有機酸塩類などが挙げられる。これらのうち、好ましいものとしては水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酢酸亜鉛などを例示できる。該金属化合物の使用量は、樹脂酸生成物(1)および変性石油樹脂(2)中のカルボキシル基と酸無水物基(以下、併せてカルボキシル基と称す)の合計に対して通常70当量%以上、好ましくは80当量%以上が反応するに相当する量とされる。該範囲に満たない場合は、乾燥性、光沢、溶剤残留率およびインキの経時安定性が低下する傾向がある。
【0014】
本発明では、得られるバインダーの顔料分散性やインキ組成物の光沢を向上させたり、更にはバインダー中の金属分の導入量を高めて乾燥性を改良し溶剤残留率を低下させる観点から、金属化合物を2種類使用することが必須とされる。通常、出版グラビヤ印刷では、黄、紅、藍、墨の4色のインキが使用されるが、金属化合物の種類により顔料分散性や光沢が大きく影響されるからであり、特にカルシウム−亜鉛、マグネシウム−亜鉛、カルシウム−マグネシウム−亜鉛などの組合せが好ましい。また、2種以上の金属化合物を使用する意義は、1種類の金属化合物を反応させた場合には、通常カルボキシル基に対する金属導入量が70当量%をこえると反応物が結晶化しゲル化してしまう不利を解消するためであり、2種以上の金属化合物を使用し金属導入量を高め、得られるバインダーの乾燥性を向上させ、印刷物中の溶剤残留率を低下させることにある。ここに、カルシウムおよび/またはマグネシウムは導入金属の合計量に対して30〜70当量%程度、亜鉛は30〜70当量%程度の範囲で使用される。
【0015】
前記の通り、溶融法による場合は、樹脂酸生成物(1)および変性石油樹脂(2)と金属化合物との反応が十分進行せず、得られる樹脂酸金属塩(3)の中に未反応金属化合物が残ってしまうため、外観の濁りを生じてしまう。また濾過によりこの未反応金属化合物を除くことは極めて困難であり、また経済的でない。溶融法による場合ほどではないが、脂環族炭化水素溶剤中で反応させた場合にも、トルエン溶剤系で得られる場合に比べ、反応生成物(1)および変性石油樹脂(2)と金属化合物との反応の進行が不完全であり、得られるバインダーの外観に多少ながら濁りがある。そのため、当該バインダーから調製されるインキ組成物は、トルエン溶剤系で得られる従来の樹脂酸金属塩を用いたインキ組成物に比べて、光沢、安定性にやや劣る傾向がある。
【0016】
本発明における樹脂酸金属塩(3)は、以下の特定条件下にて製造される。すなわち、前記反応生成物(1)と変性石油樹脂(2)を脂環族有機溶剤に溶解させ、溶液状態にて前記金属化合物と反応させることにより目的物である樹脂酸金属塩(3)を得ることができる。脂環族炭化水素溶剤中で、反応生成物(1)および変性石油樹脂(2)と金属化合物との反応を一層促進させるために、当該反応系に水と触媒を共存させるのが得策である。当該反応系における水の使用量は、反応生成物(1)および変性石油樹脂(2)の合計に対し0.25〜10重量%以上、好ましくは0.5〜5重量%である。水の使用量が0.25重量%未満では、反応促進効果が不十分であり、また10%以上では反応上の問題はないものの、反応終結後の脱水還流工程に時間を要すことから経済的でない。触媒使用量は反応生成物(1)および変性石油樹脂(2)の合計に対し0.025〜3重量%以上、好ましくは0.05〜1重量%である。触媒使用量が0.025重量%未満では、反応促進効果が不十分であり、また3重量%を超える場合は反応上の問題はないものの、反応終結後に濾過除去すべき触媒量が増えるため好ましくない。当該触媒としては、特に限定されないが、特に、炭素数1〜7の有機酸又はその金属塩が有効である。例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等、又はそれらの酸とLi、Na、K、Ca、Mg、Zn、Al等との塩があげられる。
【0017】
上記反応系で使用する脂環族有機溶剤としては、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンが挙げられる。これら有機溶剤中での反応温度は特に制限はされないが、通常は40〜150℃程度、好ましくは50〜90℃の範囲で金属化合物と反応させ、その後徐々に昇温し、反応生成水と脂環族有機溶剤の共沸脱水により反応を完結させる。
【0018】
上記のようにして得られる樹脂酸金属塩(3)は、金属分の含有量が比較的高いため、融点も高い。当該融点は通常150〜260℃程度であり、好ましくは200〜260℃とされる。当該融点が150℃未満の場合は、これを用いてなる印刷インキ組成物が印刷時に汚れを生じたり、印刷直後の印刷物のブロッキングなどが発生するおそれがある。なお、樹脂酸金属塩(3)の諸特性のうち、印刷物中の溶剤残留率とは、当該印刷物の製造初期の残存溶剤量に対する所定時間放置後の残存溶剤量の比率をいう。脂環族有機溶剤下に反応させて得られる本発明の樹脂酸金属塩(3)を用いた場合は、従来の芳香族溶媒下に製造される樹脂酸金属塩に比べて、意外にも溶剤離脱性がよく、印刷物中の溶剤残留率が小さくなるという特徴がある。樹脂酸金属塩(3)は、そのまま印刷インキ用バインダーとして使用することが可能であるが、場合によっては顔料分散剤、界面活性剤、帯電防止剤などの添加剤を加えて所望の印刷インキ用バインダーを調製することもできる。印刷インキ用バインダーや印刷インキ組成物を調製やそれらの性能の観点から判断して、当該バインダーの不揮発分および粘度が適宜に決定されるが、それぞれ30〜65重量%、0.035〜1Pa・s/25℃の範囲が一般的である。当該バインダーの不揮発分が30%未満である場合は、インキ組成物中の樹脂酸金属塩(3)の量が少なくなり、インキ光沢が低下する傾向がある。また、65%を超える場合は、インキからの溶剤離脱性が低下し、十分な乾燥性が得られにくくなる。当該粘度が0.035Pa・s未満の場合は、実用的な粘度のインキ組成物を調製することができず、また1Pa・sを超える場合には製品であるバインダーのハンドリング上の支障をきたしやすくなる。本発明の印刷インキ用バインダーを用いて印刷インキ組成物を調製するにあたっては、該バインダーを必要に応じて脂環族有機溶剤に溶解して粘度調整したのち、各種公知の顔料、ワックス、添加剤等を混練すればよい。なお、本発明の目的を逸脱しない範囲で、公知の樹脂酸金属塩を併用してもよい。
【0019】
【発明の効果】
本発明により、トルエンなどの芳香族炭化水素を含まず、紙への転移性、乾燥性、印刷物の光沢、印刷物中の溶剤残留率、高速印刷適性などの諸性能に優れた印刷インキ用バインダー、および印刷インキ組成物、特に出版グラビア印刷インキ組成物を提供することができる。
【0020】
【実施例】
以下に、製造例、実施例および比較例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、部および%は重量基準である。
【0021】
製造例1
撹拌機、温度計、冷却管、分水器および窒素ガス導入管を備えたフラスコに、ガムロジン1000部を仕込み加熱溶融した後、フマル酸50部を添加し、200℃で1時間反応した。ついで、ペンタエリスリトール20部を加え250℃にて5時間エステル化を行い、酸価178の反応生成物(1)−Aを得た。
【0022】
製造例2
製造例1と同様のフラスコに、トール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融した後、無水マレイン酸60部を添加し、200℃で1時間反応した。ついで、グリセリン30部を加え250℃にて5時間エステル化を行い、酸価177の反応生成物(1)−Bを得た。
【0023】
製造例3
製造例1と同様のフラスコに、ガムロジン1000部を仕込み加熱溶融した後、フマル酸55部を添加し、200℃で1時間反応し、酸価213の反応生成物(1)−Cを得た。
【0024】
製造例4
製造例1と同様のフラスコに、軟化点60℃、臭素価50、数平均分子量900のC5−C9系石油樹脂1000部を仕込み加熱溶融した後、無水マレイン酸40部およびジターシャリーブチルパーオキサイド1部を添加し、150℃にて2時間保温した。その後、200℃に昇温し、減圧により揮発分を除去することにより、酸価44、数平均分子量950の変性石油樹脂(2)−Aを得た。
【0025】
製造例5
製造例1と同様のフラスコに、軟化点90℃、臭素価40、数平均分子量900のC5−C9系石油樹脂1000部を仕込み加熱溶融した後、無水マレイン酸30部およびジターシャリーブチルパーオキサイド1部を添加し、150℃にて2時間保温した。その後、200℃に昇温し、減圧により揮発分を除去することにより、酸価33、数平均分子量940の変性石油樹脂(2)−Bを得た。
【0026】
製造例6
製造例1と同様のフラスコに、軟化点140℃、臭素価55、数平均分子量500のDCPD系石油樹脂1000部を仕込み加熱溶融した後、無水マレイン酸100部を添加し、170℃にて2時間保温した。その後、260℃に昇温し、減圧により揮発分を除去することにより、酸価104、数平均分子量780の変性石油樹脂(2)−Cを得た。
【0027】
製造例7
製造例1と同様のフラスコに、製造例1で得た反応生成物(1)−Aを1000部と製造例4で得た変性石油樹脂(2)−Aを300部仕込み、さらにメチルシクロヘキサン1600部を加え溶解させた。次に、酸化亜鉛41.0部と酢酸カルシウム2部及び水15部を添加し75℃にて1時間保温した後、水酸化カルシウム82.1部を加え徐々に昇温後、101℃にて2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行い、不揮発分46%、融点250℃、粘度0.20Pa・sの樹脂組成物Aを得た。
【0028】
製造例8
製造例1と同様のフラスコに、製造例2で得た反応生成物(1)−Bを1000部と製造例5で得た変性石油樹脂(2)−Bを200部仕込み、さらにメチルシクロヘキサン1460部を加え溶解させた。次に、酸化亜鉛33.3部と酢酸カルシウム2部及び水15部を添加し75℃にて1時間保温した後、水酸化マグネシウム66.7部を加え徐々に昇温後、101℃にて2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行い、不揮発分45%、融点225℃、粘度0.20Pa・sの樹脂組成物Bを得た。
【0029】
製造例9
製造例1と同様のフラスコに、製造例3で得た反応生成物(1)−Cを1000部と製造例4で得た変性石油樹脂(2)−Aを400部仕込み、さらにメチルシクロヘキサン1800部を加え溶解させた。次に、酸化亜鉛38.3部と酢酸カルシウム2部を及び水15部を添加し75℃にて1時間保温した後、水酸化マグネシウム76.6部を加え徐々に昇温後、101℃にて2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行い、不揮発分44%、融点245℃、粘度0.20Pa・sの樹脂組成物Cを得た。
【0030】
製造例10
製造例1と同様のフラスコに、製造例3で得た反応生成物(1)−Cを1000部と製造例6で得た変性石油樹脂(2)−Cを80部仕み、さらにメチルシクロへキサン1200部を加え溶解させた。酸化亜鉛36.0部と酢酸カルシウム2部および水15部を添加し75℃にて1時間保温した後、水酸化マグネシウム72.0部を加え徐々に昇温後101℃にて2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行い、不揮発分48%、融点250℃、粘度0.20Pa・sの樹脂組成物Dを得た。
【0031】
製造例11(触媒として水のみを使用した場合)
製造例1と同様のフラスコに、製造例1で得た反応生成物(1)−Aを1000部と製造例4で得た変性石油樹脂(2)−Aを300部仕込み、さらにメチルシクロヘキサン1600部を加え溶解させた。次に、酸化亜鉛41.0部と水15部を添加し75℃にて1時間保温した後、水酸化カルシウム82.1部を加え徐々に昇温後、101℃にて2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行い、不揮発分47%、融点247℃、粘度0.20Pa・sの樹脂組成物Eを得た。樹脂組成物Eには顕著な濁りが認められた。
【0032】
製造例12(触媒として有機酸のみ使用した場合)
製造例1と同様のフラスコに、製造例1で得た反応生成物(1)−Aを1000部と製造例4で得た変性石油樹脂(2)−Aを300部仕込み、さらにメチルシクロヘキサン1600部を加え溶解させた。次に、酸化亜鉛41.0部と酢酸カルシウム2部を添加し75℃にて1時間保温した後、水酸化カルシウム82.1部を加え徐々に昇温後、101℃にて2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行い、不揮発分48%、融点244℃、粘度0.20Pa・sの樹脂組成物Fを得た。樹脂組成物Fには顕著な濁りが認められた。
【0033】
製造例13(トルエン溶剤系反応)
製造例1と同様のフラスコに、製造例1で得た反応生成物(1)−Aを1000部と製造例4で得た変性石油樹脂(2)−Aを300部仕込み、さらにトルエン300部を加え溶解させた。次に、酸化亜鉛68.5部と酢酸カルシウム2部を添加し75℃にて1時間保温した後、水酸化カルシウム60.5部を加え徐々に昇温後、110℃にて2時間保温し、トルエン還流下に脱水反応を行い、不揮発分50%、融点255℃、粘度0.20Pa・sの樹脂組成物Gを得た。
【0034】
製造例14(溶融法反応)
製造例1と同様のフラスコに、製造例1で得た反応生成物(1)−Aを1000部と製造例4で得た変性石油樹脂(2)−Aを300部仕込み加熱溶融した後、水酸化カルシウム50.5部及び酢酸亜鉛5部を添加し220℃にて1時間保反応させ、酸価60、融点165℃の樹脂を得た。この樹脂をメチルシクロヘキサンに溶解し不揮発分54%、粘度0.20Pa・sの樹脂組成物Hを得た。
【0035】
実施例1〜4および比較例1〜4
製造例7〜10、製造例11〜14で得られた樹脂組成物(A〜D、E〜H)を夫々の反応溶剤で溶液の粘度を0.035Pa・s/20℃に調整後、それぞれの樹脂溶液88部に紅顔料(カーミン6B)を12部混合し、サンドミルを用いて1時間混練りし、更に夫々の反応溶剤を追加し粘度0.085Pa・s/25℃の紅グラビアインキを得た。上記において、カーミン6Bに代えて、黄顔料(ベンジジンイエロー)を使用した他は同様にして、黄グラビアインキを得た。得られた紅インキおよび黄インキ8点につき、それぞれ簡易グラビア印刷機を用いてコート紙に印刷し、転移性および光沢を目視により下記基準で5段階評価した。耐摩擦性は印刷物の印刷面同士を重ね合わせ、指で挟んで擦ったときの印刷面の状態を、下記基準で5段階評価した。また、乾燥性はインキをバーコター#10を用いてコート紙に展色後、指触により下記基準で5段階評価した。
◎:非常に良好 ○:良好 △:普通 ×:劣る ××:非常に劣る
評価結果は表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
表1から明らかなように、本発明の印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ組成物(実施例1〜4)は、芳香族有機溶剤を含有せずしかも各種のインキ特性に優れる。すなわち、本発明の印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ組成物従来のトルエン溶剤系で得られる樹脂酸金属塩から調製される印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ組成物(比較例3)と遜色が無いインキ特性を有することが分かる。また本発明の印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ組成物は、溶融法反応で得られた樹脂酸金属塩から調製されるバインダー等(比較例4)に比し、各種インキ特性が格段に優れることが分かる。更には、本発明の印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ組成物は、反応触媒として水と有機酸又は有機酸金属化合物のどちらか一方のみを使用し、非芳香族有機溶剤反応系で得られた樹脂酸金属塩から調製されるバインダー等(比較例1、2)に比しても、各種インキ特性に優れることが分かる。
Claims (10)
- ロジンとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸からなる反応生成物(1)、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸を付加反応させてなる変性石油樹脂(2)および2種以上の金属化合物として、亜鉛化合物ならびにカルシウム化合物および/またはマグネシウム化合物を、メチルシクロヘキサンおよびエチルシクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種の脂環族有機溶剤中で反応させて得られる樹脂酸金属塩(3)を、主成分として含有することを特徴とする印刷インキ用バインダー。
- 前記反応生成物(1)が、追加構成成分として多価アルコールを用いてなるものである請求項1記載の印刷インキ用バインダー。
- 脂環族有機溶剤中での反応温度が40〜150℃である請求項1または2に記載の印刷インキ用バインダー。
- 脂環族有機溶剤中での反応が、水および触媒存在下で行われる請求項1〜3のいずれかに記載の印刷インキ用バインダー。
- 前記触媒が炭素数1〜4の有機酸又はその金属塩である請求項4記載の印刷インキ用バインダー。
- 水の使用量が前記反応生成物(1)および変性石油樹脂(2)の合計に対し0.25〜10重量%であり、かつ前記触媒の使用量が前記反応生成物(1)および変性石油樹脂(2)の合計に対し0.025〜3重量%である請求項4または5記載の印刷インキ用バインダー。
- 樹脂酸金属塩(2)が、前記反応生成物(1)および前記変性石油樹脂(2)中のカルボキシル基と酸無水物基の合計に対して70当量%以上が金属化合物と反応してなるものである請求項1〜6のいずれかに記載の印刷インキ用バインダー。
- 樹脂酸金属塩(3)の融点が150〜260℃である請求項1〜7のいずれかに記載の印刷インキ用バインダー。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の印刷インキ用バインダーを含有してなる印刷インキ組成物。
- 出版グラビア印刷インキ組成物である請求項9記載の印刷インキ組成物。
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