JP4576788B2 - 位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はドープ流延製膜により製造される位相差フィルムとその製造方法に関するものである。より詳しくは、特に押され等の表面欠陥がなく、レタデーションむらが少なく、遅相軸の長手方向からのずれが小さい位相差フィルムとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、CRTに比べ省スペース化に有効であること、消費電力が低いことなどの特徴があり、モニターなどに広く使用されている。しかし、視野角が狭く、特にデスクトップ型モニターでは、画面が大きく広い視野角が得られることが要求されている。
【0003】
視野角を拡大するには、位相差フィルムを偏光板と液晶セルの間に配置する方法が知られている。特に画面サイズの大きい表示装置では、面内レタデーションが小さく、厚み方向レタデーションが大きい位相差フィルムや更にこの位相差フィルムに光学的異方性を有する液晶化合物層を積層した複合位相差フィルムが知られている。
【0004】
下記特許文献1の特開平11−183724号公報では、面内レタデーションが0〜30nm、厚み方向レタデーションが100〜600nm、遅相軸の角度が0〜30度、レタデーションのばらつきが5nm以下の高分子樹脂位相差フィルムが提案されている。
【0005】
具体的には、ドープを流延したポリカーボネートフィルムをフィルム中に溶媒が残存した状態で逐次二軸延伸法により延伸することにより、面内レタデーション10〜27nm、厚み方向レタデーション130〜260nm、遅相軸の角度10〜26度の位相差フィルムが記載されている。ところが画面サイズは年々大画面化して、位相差フィルムに対する要求品質も益々厳しくなってきており、面内レタデーションや遅相軸の角度むらの更なる低減が必要である。
【0006】
下記特許文献2の特開2002−169023号公報では、レタデーション上昇剤を配合した、面内レタデーションが0〜20nm、厚み方向レタデーションが70〜400nmの延伸されたセルロースアセテートフィルムに光学異方性層を積層した光学補償シートが提案されている。
【0007】
具体的には、ドープを流延したセルロースアセテートフィルムをフィルム中に溶媒が残存した状態で逐次二軸延伸することにより、面内レタデーション4〜9nm、厚み方向レタデーション80〜90nmの延伸セルロースアセテートフィルムを光学異方性層の支持体として用いることにより、TNモードの液晶表示装置の視野角が拡大できることが記載されている。
【0008】
ところが、この光学補償シートに用いられる延伸セルロースアセテートフィルムは、レタデーションむらや遅相軸角度のばらつきが大きいという問題があった。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−183724号公報
【0010】
【特許文献2】
特開2002−169023号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者の検討によると位相差フィルムの面内レタデーションは、0〜10nmの範囲が好ましく、同様に厚み方向レタデーションとしては70〜400nmの範囲が好ましいことがわかった。位相差フィルムの遅相軸の角度むらは、±10度以内、好ましくは±5度以内であることがわかった。
【0012】
面内レタデーションを小さくする方法としては、例えば、特開平10−282336号公報にあるように溶液(ドープ)流延法で製膜する際の乾燥工程でのテンションを極力小さくする方法が知られている。しかし、この方法では、大きな厚み方向レタデーションが得られない。
【0013】
別の方法として、縦横延伸をバランスさせる方法も考えられる。前述した特開平11−183724号や特開2002−169023号の各公報でもこの方法を用いているのであるが、面内レタデーションを小さくしようとすると、僅かな延伸条件の変動などにより遅相軸角度が大きく変化してしまうという問題がある。特にレタデーション上昇剤を配合した場合は、変化が著しく増幅されることがわかった。このように大サイズの製品全体に亘ってレタデーションや遅相軸角度をむらなく均一にすることは困難であることが判明した。
【0014】
遅相軸のずれを小さくする方法としては、特開2002−22943号公報では、テンターで延伸処理した直後にフィルムのガラス転移温度以下で保持することにより遅相軸角度のむらを小さくできることが記載されている。しかしながら、この例は、面内レタデーションが20〜70nmと大きい場合であり、面内レタデーションが小さい場合には必ずしも有効ではなかった。
【0015】
また、延伸方法には、ロールの周速差を利用したロール延伸法も考えられる。
特開平11−95029号公報には、熱可塑性樹脂フィルムを延伸するに際して、Tgを下回る温度からTg以上の温度まで、5〜40℃/mの温度勾配で連続的に温度を上昇させた領域で延伸する方法が開示されている。具体的には、一対のニップロールを備えた縦延伸装置により縦一軸自由幅延伸を行う際に、連続的かつ緩やかに温度上昇させながら延伸を行うことにより、フィルムのネックインによる波板状変形が抑制でき、レタデーションのむらを改善できることが記載されている。しかしながら、このようなロール延伸法では、フィルム表面に傷や押されなどの品質欠陥が発生し易いとの問題がある。
【0016】
なお、「押され」とは、フィルムをロール搬送する際、ロールとフィルムとの間に異物が挾まったり、ロール表面に微細な突起があることにより、フィルムに凸状の変形が発生したもので、目視で確認できるものは、光学的な欠点となり、表示装置の画質を損なうものである。
【0017】
従って、本発明の目的は、液晶表示装置の視野角拡大に有用なレタデーション特性(面内レタデーションが0〜10nm、厚み方向レタデーションが70〜400nm)を有し、フィルムの遅相軸角度むらが小さく、フィルム表面に傷や押されなどの品質欠陥のない位相差フィルムの製造方法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記構成のいずれかを採ることにより達成される。
【0019】
〔1〕 ポリマーと有機溶媒とを含むドープを支持体上に流延して作製したウェブを支持体から剥離した後、剥離したウェブの両端部を把持具で把持しながら乾燥させる位相差フィルムの製造方法において、
実質的に幅保持しながら、ウェブ中の残留溶媒量が10〜30質量%の範囲のとき、乾燥温度を100〜160℃の範囲とし、
かつ、下流側の温度が上流側の温度よりも10〜50℃高くなるように設定した、2つ以上に温度区分された乾燥ゾーンを通し
さらに、前記2つ以上に温度区分された乾燥ゾーンは、ウエブ中の残留溶媒量が第1乾燥ゾーン入口で30質量%以上、第1乾燥ゾーン出口で20質量%以下、第2乾燥ゾーン出口で10質量%以下として
乾燥することを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
【0021】
〕 ウェブ中の残留溶媒量が10〜30質量%の範囲のときに、ウェブの両端部を把持している把持具の間隔を幅方向に0.5〜10%狭めることを特徴とする〔1〕に記載の位相差フィルムの製造方法。
【0022】
〕 ウェブ中の残留溶媒量が、30〜50質量%の範囲で、ウェブの温度を0〜50℃とすることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の位相差フィルムの製造方法。
【0023】
〕 ポリマーと有機溶媒とを含むドープ中のポリマー含有量が15〜35質量%であり、更にポリマーに対して1.0〜30質量%の可塑剤と有機溶媒に対して1.0〜40質量%の炭素数1〜4のアルコールを含有しているドープを用いることを特徴とする〔1〕〜〔〕のいずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法。
【0024】
〕 全有機溶媒に対して酢酸メチルを50質量%以上含有していることを特徴とする〔〕に記載の位相差フィルムの製造方法。
【0025】
〕 ポリマーとして炭素数2又は3のアシル基の置換度が2.4〜3.0のセルロースエステルを用いることを特徴とする〔1〕〜〔〕のいずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法。
【0026】
〕 位相差フィルムが少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をポリマーに対して0.01〜20質量%含むことを特徴とする〔1〕〜〔〕のいずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法。
【0027】
〕 位相差フィルムが少なくとも一つの1,3,5−トリアジン環を有する芳香族化合物を含むことを特徴とする〔〕に記載の位相差フィルムの製造方法。
【0028】
本発明者等は、面内レタデーションが小さく、厚み方向レタデーションが大きい位相差フィルムを製造する方法について、従来用いていたようなフィルムを2軸延伸する方法ではなく、実質的に延伸しない方法に着目して検討した。その結果、フィルム中の残留溶媒量を特定の範囲とし、実質的に幅保持した状態で下流に行くほど高い温度で乾燥させることにより、所望の厚み方向レタデーション及び面内方向レタデーションが得られ、かつ、両レタデーションのばらつき及び遅相軸のばらつきを小さく抑えられることを見い出し、本発明を完成したものである。
【0029】
本発明の位相差フィルムの製造方法では、特に剥離したウェブ(生乾きのフィルム)を乾燥する方法に特徴がある。つまり支持体から剥離したウェブの両端部を把持具で把持し、実質的に幅保持しながら、ウェブ中の残留溶媒量が10〜30質量%の範囲で、2つ以上に温度区分された乾燥ゾーンを、上流側の温度より下流側の温度が高温になるようにして乾燥する方法である。
【0030】
本発明において、ポリマーを有機溶媒に溶解した溶液のことをドープというが、本発明では、流延用支持体上にドープを流延してウェブとし、該支持体上の剥離位置における温度を好ましくは10〜40℃、より好ましくは15〜30℃とし、且つ該剥離位置におけるウェブの残留溶媒量を30〜120質量%とした時点でウェブを剥離することが好ましい。
【0031】
ウェブの剥離時の残留溶媒量をこの範囲にするには、流延後の流延用支持体の表面温度を制御し、ウェブからの有機溶媒の蒸発を効率的に行う方法を好ましく用いることができる。
【0032】
支持体温度を制御するには、伝熱効率のよい伝熱方法を使用するのがよい。例えば、液体による裏面伝熱方法が好ましい。ベルト(支持体)マシンにおいて、移送するベルトが下側に来た所の温度制御には、緩やかな風でベルト温度を調節することが出来る。支持体の温度は、加熱手段を分割することによって、部分的に支持体温度を変えることが出来、流延用支持体の流延位置、乾燥部、剥離位置等異なる温度とすることが出来る。
【0033】
ウェブを把持する時点のウェブ中の残留溶媒量は、特に限定はないが、残留溶媒量が多すぎると把持部の強度が弱く、破断してしまう場合があるので30〜50質量%が好ましい。
【0034】
ウェブの両端部を把持してから、ウェブ中の残留溶媒量が30〜50質量%の範囲では、ウェブの温度を0〜50℃にすることにより、得られる位相差フィルムの遅相軸の角度むらを小さくすることができるので好ましい。このときウェブ中の残留溶媒量が30〜50質量%の全範囲でウェブ温度を0〜50℃にすることが好ましいが、一部(例えば35〜45質量%の間など)でもウェブ温度を上記の範囲とすれば効果が得られる。ウェブ温度の更に好ましい範囲は、0〜30℃である。
【0035】
ここで、実質的に幅保持するとは、ウェブ把持時のウェブ両端部の把持部距離に対して0.9〜1.03倍の寸法範囲に保持することを意味する。好ましくは0.95〜1.00倍である。倍率が大き過ぎると遅相軸の角度むらが改善されない場合があり、倍率が小さすぎると所望の厚み方向レタデーションが得られない場合がある。
【0036】
温度区分は、多い程本発明の効果が得られるが、5区分以上では効果が飽和してくるので2〜5区分が好ましい。乾燥温度は、40〜160℃の範囲が好ましく用いられる。ウェブ中の残留溶媒量が、10〜30質量%の範囲では、100〜160℃の範囲とすることが好ましい。温度が低すぎると遅相軸の角度むらが改善されない場合があり、温度が高すぎるとウェブ中の可塑剤が揮散してしまう場合がある。温度区分されたゾーン間の温度差は、1℃以上から効果が認められるが、効果を十分に出すには5℃以上とすることが好ましく、特に10〜50℃の範囲が好ましい。
【0037】
本発明では、更にウェブ中の残留溶媒量が10〜30質量%の範囲で、ウェブ両端部の把持具の間隔を幅方向に0.5〜10%狭めることが好ましい。更に好ましい範囲は1〜5%である。
【0038】
上記の方法は、ウェブ中の残留溶媒量が10〜30質量%の全範囲で行うことが好ましいが、その一部(例えばウェブ中の残留溶媒量10〜20質量%など)で行っても効果が得られる。
【0039】
図1は、本発明の位相差フィルムの乾燥方法の実施態様の例を示す概略平面図であり、この例を用いて更に具体的に説明する。
【0040】
支持体から剥離されたウェブ1はテンターの把持開始点2で把持具3によってウェブの両端部を把持される。次いで導入ゾーン4を経て、第1乾燥ゾーン5、第2乾燥ゾーン6で乾燥される。そして冷却ゾーン7で冷却されて把持終了点8で把持具から解放される。ウェブ中の残留溶媒量が第1乾燥ゾーン入口で30質量%以上、第1乾燥ゾーン出口で20質量%以下、第2乾燥ゾーン出口で10質量%以下とし、乾燥ゾーンは40〜160℃の範囲で第1乾燥ゾーンより第2乾燥ゾーンの方が温度が高くなるように設定する。例えば、第1ゾーン40〜99℃、第2ゾーン100〜160℃という具合である。ウェブ両端部の把持部を幅方向に狭める工程は、例えば第2乾燥ゾーンで実施できる。第1乾燥ゾーンと第2乾燥ゾーンの両方で実施してもよい。冷却ゾーンで0〜3%幅方向に狭めると、把持具からウェブが解放しやすくなるので好ましい。導入ゾーン4の温度は第1乾燥ゾーンの温度より低いことが好ましい。あまり低すぎると雰囲気中の水分等がコンデンスする場合があるので、好ましい範囲としては0〜50℃である。冷却ゾーン7の温度は、ウェブのガラス転移温度より低くすることが好ましく、例えば20〜90℃の範囲である。
【0041】
また、導入ゾーン4を乾燥ゾーンとして使用することもできる。例えば、導入ゾーン4、第1乾燥ゾーン、第2乾燥ゾーンの順に乾燥温度が高くなるようにすればよい。
【0042】
各温度区分されたゾーン(図1の場合、導入ゾーン、第1、2乾燥ゾーン、冷却ゾーン)間には、それぞれの温度の独立性を維持するため温度緩衝ゾーン9があることが好ましい。
【0043】
ウェブ両端部の把持部分は通常、フィルムが変形しており製品として使用できないので切除されて、原料として再利用される。切除される幅は狭いほど収率がよくなるので好ましい。通常、10〜100mmの範囲であり、より好ましくは10〜50mmの範囲である。
【0044】
以上の様にして得られた位相差フィルムは、フィルムの遅相軸方向(フィルム面内での屈折率の最大方向)が、巻き取り方向に対して、±10度であることが好ましく、更に±5度の範囲にあることが好ましい。
【0045】
本発明のポリマーフィルムがVAモード、TNモード等の液晶セルを用いた液晶表示装置に用いる位相差フィルムの場合は、面内レタデーションを0〜10nm、厚み方向レタデーションを70〜400nmの範囲とすることにより、視野角拡大効果が得られるので好ましい。レタデーションのばらつきは±5nm以内であることが好ましく、更に±3nm以内であることが好ましい。
【0046】
本発明の位相差フィルムは、偏光フィルムの少なくとも片面に張り合わせることにより偏光板とすることができる。
【0047】
偏光フィルムは従来から公知のものを用いることが出来、例えば、ポリビニルアルコールフィルムの如きの親水性ポリマーフィルムを、沃素のような二色性染料で処理して延伸したものである。偏光フィルムは、それ単体では、十分耐久性がないので、一般には、その両面に保護フィルムとしてセルローストリアセテートフィルムを接着してある。
【0048】
偏光板とするには、この保護フィルム付の偏光フィルムと貼り合わせてもよいし、保護フィルムを兼ねて直接偏光フィルムと張り合わせてもよい。張り合わせる方法は、特に限定はないが、水溶性ポリマーの水溶液からなる接着剤により行うことが出来る。この水溶性ポリマー接着剤は完全鹸化型のポリビニルアルコール水溶液が好ましく用いられる。
【0049】
本発明の位相差フィルムには、更に液晶性化合物から形成された光学異方性層を設けることができる。光学異方性層は、円盤状または棒状の液晶化合物の溶液を配向膜上に塗設することで得られる。
【0050】
このようにして得られた偏光板は、液晶表示装置に有効に用いられる。
液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された二枚の偏光板からなり、液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。本発明に係わる偏光板は、液晶セルの一方の面に液晶セル側に本発明の位相差フィルムがくるように配置するか、液晶セルの両面に同様に配置することで視野角拡大効果が得られる。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係わる化合物・ウエブの乾燥方法等をさらに詳述する。
【0052】
先ず、本発明に係わる溶液(ドープ)流延製膜法について説明する。
▲1▼溶解工程:ポリマーに対する良溶媒を主とする有機溶媒に溶解釜中で撹拌しながら溶解し、ドープを作製する工程である。溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、冷却溶解法で行う方法、高圧で行う方法等種々の溶解方法がある。溶解後ドープを濾材で濾過し、脱泡してポンプで次工程に送る。
【0053】
ドープ中には、可塑剤、酸化防止剤、染料等も添加されることがある。これらの化合物は、溶液の調製の際に、ポリマーや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。液晶画面表示装置用には耐熱耐湿性を付与する可塑剤、酸化防止剤や紫外線防止剤などを添加することが好ましい。
【0054】
上記酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、セルロースエステルに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
【0055】
紫外線防止剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。特に好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物やベンゾフェノン系化合物である。中でも、ベンゾトリアゾール系化合物は、セルロースエステルに対する不要な着色が少ないことから好ましい。紫外線吸収剤の含有量は、質量割合で0.01〜5%、特に0.5%以上3%以下である。また、この他、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ等の無機微粒子、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩などの熱安定剤を加えてもよい。更に帯電防止剤、難燃剤、滑剤、油剤等も加える場合がある。
【0056】
▲2▼流延工程:ドープを加圧型定量ギヤポンプを通して加圧ダイに送液し、流延位置において、無限に移送する無端の金属ベルトあるいは回転する金属ドラムの流延用支持体(以降、単に支持体ということもある)上に加圧ダイからドープを流延する工程である。流延用支持体の表面は鏡面となっている。その他の流延する方法は流延されたドープ膜をブレードで膜厚を調節するドクターブレード法、あるいは逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、口金部分のスリット形状を調製出来、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があるが、何れも好ましく用いられる。製膜速度を上げるために加圧ダイを流延用支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。また、共流延により各層が異なる組成の積層構成としてもよい。
【0057】
▲3▼溶媒蒸発工程:ウェブ(流延用支持体上にドープを流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)を流延用支持体上で加熱し支持体からウェブが剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる工程である。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/または支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱の方法が乾燥効率がよく好ましい。またそれらを組み合わせる方法も好ましい。
【0058】
▲4▼剥離工程:支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。剥離する時点でのウェブの残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に支持体上で充分に乾燥させてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりする。
【0059】
製膜速度を上げる方法(残留溶媒量が出来るだけ多いうちに剥離するため製膜速度を上げることが出来る)として、残留溶媒が多くとも剥離出来るゲル流延法(ゲルキャスティング)がある。それは、ドープ中にポリマーに対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。また、ドープ中に金属塩を加える方法もある。支持体上でゲル化させ膜を強くすることによって、剥離を早め製膜速度を上げることが出来るのである。残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時に平面性を損なったり、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易く、経済速度と品質との兼ね合いで剥離残留溶媒量を決められる。
【0060】
▲5▼乾燥工程:ウェブを千鳥状に配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置及び/又はクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター装置を用いてウェブを乾燥する工程である。乾燥の手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウェーブを当てて加熱する手段もある。あまり急激な乾燥は出来上がりのフィルムの平面性を損ね易い。高温による乾燥は残留溶媒が8質量%以下くらいから行うのがよい。全体を通して、通常乾燥温度は40〜250℃で、70〜180℃が好ましい。使用する溶媒によって、乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶媒の種類、組合せに応じて乾燥条件を適宜選べばよい。
【0061】
▲6▼巻き取り工程:ウェブを残留溶媒量が2質量%以下となってからフィルムとして巻き取る工程である。残留溶媒量を0.4質量%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることが出来る。巻き取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力が一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使いわければよい。
【0062】
残留溶媒量は下記の式で表せる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
【0063】
位相差フィルムの膜厚は、使用目的によって異なるが、仕上がりフィルムとして、通常20〜200μmの範囲が好ましく、更に30〜120μmの範囲が好ましく、特に35〜100μmの範囲が好ましい。薄すぎるとフィルムの腰が弱くハンドリング性に劣る場合がある。厚すぎると表示装置が厚くなり例えば、携帯性が損なわれる場合がある。膜厚の調節には、所望の厚さになるように、ドープ濃度、ポンプの送液量、ダイの口金のスリット間隙、ダイの押し出し圧力、流延用支持体の速度等をコントロールするのがよい。また、膜厚を均一にする手段として、膜厚検出手段を用いて、プログラムされたフィードバック情報を上記各装置にフィードバックさせて調節するのが好ましい。
【0064】
溶液流延製膜法を通しての流延直後からの乾燥までの工程において、乾燥装置内の雰囲気を、空気とするのもよいが、窒素ガスや炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気で行ってもよい。ただ、乾燥雰囲気中の蒸発溶媒の爆発限界の危険性は常に考慮されなければならないことは勿論のことである。
【0065】
本発明で使用するポリマーは、溶液流延製膜に使用できるものであれば、特に制限はなく、例えば、セルロースエステル、ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。特に、光弾性係数の小さいポリマーを用いることが、熱歪みによる位相差ムラを抑制できるので好ましく、セルロースエステルやポリオレフィンなどが好ましく用いられる。最も好ましいのはセルロースエステルである。
【0066】
セルロースエステルとしては、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、またはセルロースアセテートプロピオネートブチレートなどが例示できる。
【0067】
中でも本発明のセルロースエステルは、炭素数2又は3のアシル基の置換度が2.4〜3.0であることが好ましく、更に2.6〜2.9であることが好ましい。炭素数2又は3のアシル基の置換度がこの範囲にあることにより所望のレタデーション特性を得るのが容易となる。置換度が低過ぎると、位相差フィルムとしての耐熱耐湿性に劣る場合があり、置換度が大きすぎると波長分散特性が負の特性となったり、十分なレタデーションが得られなくなる場合がある。
【0068】
本発明に用いられるセルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることが出来る。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することが出来る。
【0069】
本発明のセルロースエステルは、セルロース原料をアシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて反応される。アシル化剤が酸クロライド(CH3COCl、C25COCl、C37COCl)の場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行われる。具体的には特開平10−45804号公報に記載の方法で合成することが出来る。
【0070】
セルロースエステルはアシル基がセルロース分子の水酸基に反応する。セルロース分子はグルコースユニットが多数連結したものからなっており、グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換度という。例えば、セルローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水酸基全てがアセチル基が結合している。
【0071】
アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96に準じて測定することが出来る。
【0072】
本発明のセルロースエステルの数平均分子量は、60000〜300000の範囲が、得られるフィルムの機械的強度が強く好ましい。更に70000〜250000が好ましい。
【0073】
本発明の有機溶媒は、ポリマーの溶解性に優れ、乾燥負荷が少ないなど溶液流延製膜法に適したものであれば制限はなく、例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン(沸点39.8℃)が挙げられる。非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル(沸点56.9℃)、酢酸エチル(沸点77.1℃)、アセトン(沸点56.1℃)、テトラヒドロフラン(沸点66℃)、1,3−ジオキソラン(沸点74℃)、1,4−ジオキサン(沸点101.1℃)、シクロヘキサノン(沸点155.6℃)、ギ酸エチル(沸点53℃)、2,2,2−トリフルオロエタノール(沸点73.6℃)、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(沸点109℃)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール(沸点60℃)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(沸点58℃)、ニトロエタン(沸点101.2℃)等を挙げることができる。ポリマーがセルロースエステルの場合では、特に塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用し得る。特に酢酸メチルを有機溶剤中に50質量%以上含有させることにより、支持体から剥離したウェブの強度が高くなり延伸時の破断頻度が減少できるので好ましい。
【0074】
本発明のポリマー溶液には、上記有機溶媒の他に、炭素数1〜4のアルコールを1.0〜40質量%含有させることが好ましい。これらはドープを流延用支持体に流延後溶媒が蒸発し始めアルコールの比率が多くなるとウェブがゲル化し、ウェブを丈夫にできるのでテンターで延伸する場合の破断を防止するのに有効であるばかりでなく、ウェブ中のレタデーション上昇剤等がウェブ中を自由に移動することを防止でき、レタデーションや遅相軸角度のむらを抑制するのに有効である。炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることが出来る。これらのうちドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性も良く、且つ毒性がないこと等からエタノールが最も好ましい。
【0075】
ドープ中のポリマー含有量は15〜35質量%、ドープ粘度は10〜70Pa・Sの範囲に調製されることが良好なフィルム面品質を得る上で好ましい。
【0076】
本発明のドープに可塑剤を配合することにより、フィルムの脆弱性が改善されて強靱性が向上されるので、テンターで延伸した際の破断を防止するのに有効であり好ましい。可塑剤としては、従来公知のポリマーとの相溶性がある化合物から適宜選択できる。ポリマーがセルロースエステルの場合は特にリン酸エステルやカルボン酸エステルが好ましく用いられる。リン酸エステルとしては、例えばトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、フェニルジフェニルホスフェート等を挙げることが出来る。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステル等、フタル酸エステルとしては、例えばジメチルフタレート、ジエチルホスフェート、ジオクチルフタレート及びジエチルヘキシルフタレート等、またクエン酸エステルとしてはクエン酸アセチルトリエチル及びクエン酸アセチルトリブチルを挙げることが出来る。またその他、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバチン酸ジブチル、トリアセチン、等も挙げられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートもこの目的で好ましく用いられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートのアルキルは炭素原子数1〜8のアルキル基である。アルキルフタリルアルキルグリコレートとしてはメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、プロピルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等を挙げることが出来、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートが好ましく、特にエチルフタリルエチルグリコレートが好ましく用いられる。またこれらアルキルフタリルアルキルグリコレートを2種以上混合して使用してもよい。
【0077】
これらの化合物の添加量は目的の効果の発現及びフィルムからのブリードアウト抑制などの観点から、ポリマーに対して1.0〜30質量%が好ましい。
【0078】
本発明の位相差フィルムには、レタデーションを調整するためにレタデーション上昇剤を含有させることが好ましい。
【0079】
レタデーション上昇剤は、ポリマーに対して、0.01〜20質量%含有させることが好ましく、0.1〜10質量%の範囲で使用することがより好ましく、0.2〜5質量%の範囲で使用することがさらに好ましく、0.5〜2質量%の範囲で使用することが最も好ましい。二種類以上のレタデーション上昇剤を併用してもよい。レタデーション上昇剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましい。レタデーション上昇剤は、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
【0080】
また、レタデーション上昇剤としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物を用いることが好ましい。本明細書において、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましい。
【0081】
レタデーション上昇剤が有する芳香族環の数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜6であることが最も好ましい。二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
【0082】
(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環およびチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環およびキノリン環が好ましい。
【0083】
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
【0084】
(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
【0085】
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
芳香族環および連結基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香族性複素環基が含まれる。
【0086】
アルキル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチルおよび2−ジエチルアミノエチルが含まれる。アルケニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル、アリルおよび1−ヘキセニルが含まれる。アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブチニルおよび1−ヘキシニルが含まれる。
【0087】
脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル、プロパノイルおよびブタノイルが含まれる。脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシが含まれる。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシが含まれる。アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノおよびエトキシカルボニルアミノが含まれる。
【0088】
これらの化合物は、溶液の調製の際に、ポリマーや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。
【0089】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されるものではない。
【0090】
実施例中の各測定及び評価方法は以下の方法で行った。
〈フィルムの面内方向のレタデーションRe値、厚み方向のレタデーションRt値、及び遅相軸の角度θ〉
フィルムの幅方向に100mm間隔で10点測定用サンプルを切り出し、下記の方法で面内方向のレタデーションRe値、厚み方向のレタデーションRt値、及び遅相軸の角度θを求めた。各値は、得られた値の平均値で表した。また、ばらつきは、最大値と最小値の差で表した。
【0091】
自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器社製)を用いて23℃、55%RHの雰囲気下で590nmの波長において3次元屈折率測定を行い、遅相軸の縦方向とのなす角度および遅相軸方向の屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向の屈折率nzを求める。面内方向のレタデーション(Re値)および厚み方向のレタデーション(Rt値)を下記式から算出した。なお、式中dはフィルムの厚み(nm)である。
【0092】
Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
Ro=(nx−ny)×d
〈フィルム表面の欠陥〉
フィルム1m×1mの範囲を目視で、傷、押されの有無を評価した。目視で確認できる場合を×、確認出来ない場合を○とした。
【0093】
実施例1
アセチル基の置換度1.95、プロピオニル基の置換度0.7、数平均分子量75000のセルロースアセテートプロピオネート100質量部、トリフェニルフォスフェイト10質量部、エチルフタリルエチルグリコレート2質量部、酢酸メチル(沸点56.9℃)300質量部、エタノール90質量部を加圧密閉容器に投入し、80℃に加温して容器内圧力を2気圧とし、撹拌しながらセルロースエステルを完全に溶解させドープを得た。溶液を安積濾紙社製の安積濾紙No.244を使用して濾過し製膜に供した後、ドープを50℃まで下げて一晩静置して、脱泡操作を施した。
【0094】
上記のドープを、ダイからステンレスベルト上に流延した。ステンレスベルトの裏面から温水を接触させて55℃に温度制御されたステンレスベルト上で1分間乾燥した後、更にステンレスベルトの裏面に、15℃の冷水を接触させて10秒間保持した後、ステンレスベルトからウェブ(生乾きのフィルム)を剥離した。剥離時のウェブ中の残留溶媒量は70質量%であった。
【0095】
次いで剥離したウェブを、40℃で30秒間搬送しながら乾燥させてウェブ中の残留溶媒量を50質量%とした後、図1に示すテンターを用いて更に乾燥した。この際、テンターの温度条件は、導入ゾーン30℃、第1乾燥ゾーン100℃、第2乾燥ゾーン135℃、冷却ゾーン50℃に設定した。レールパターンは導入ゾーン〜第2乾燥ゾーンまでは、入口幅に対し1.0倍とし、冷却ゾーンでは1%幅を狭めた。
【0096】
ウェブ中の残留溶媒量は、第1乾燥ゾーンの入口で30質量%、第2乾燥ゾーン入口で20質量%、出口で10質量%、冷却ゾーン出口で7質量%であった。
【0097】
次いでロール搬送させながら110℃で20分間乾燥し、膜厚80μmのセルロースエステルフィルムを得た。得られたフィルムの残留溶媒量は0.2質量%、Re値は5±2nm、Rt値は120±5nm、遅相軸の角度むらは±3度、フィルム表面に傷や押され等の欠陥なく位相差フィルムとしての使用に耐えるものであった。
【0098】
実施例2
テンターの温度条件を、導入ゾーン30℃、第1乾燥ゾーン115℃、第2乾燥ゾーン125℃、冷却ゾーン50℃に設定した以外は実施例1と同様にして行った。
【0099】
ウェブ中の残留溶媒量は、第1乾燥ゾーンの入口で30質量%、第2乾燥ゾーン入口で17質量%、出口で10質量%、冷却ゾーン出口で7質量%であった。
【0100】
次いでロール搬送させながら110℃で20分間乾燥し、膜厚80μmのセルロースエステルフィルムを得た。得られたフィルムの残留溶媒量は0.2質量%、Re値は5±3nm、Rt値は120±5nm、遅相軸の角度むらは±4度、フィルム表面に傷や押され等の欠陥なく位相差フィルムとしての使用に耐えるものであった。
【0101】
参考例
テンターの温度条件を、導入ゾーン30℃、第1乾燥ゾーン90℃、第2乾燥ゾーン140℃、冷却ゾーン50℃に設定した以外は実施例1と同様にして行った。
【0102】
ウェブ中の残留溶媒量は、第1乾燥ゾーンの入口で30質量%、第2乾燥ゾーン入口で25質量%、出口で10質量%、冷却ゾーン出口で7質量%であった。
【0103】
次いでロール搬送させながら110℃で20分間乾燥し、膜厚80μmのセルロースエステルフィルムを得た。得られたフィルムの残留溶媒量は0.2質量%、Re値は6±3nm、Rt値は120±5nm、遅相軸の角度むらは±5度、フィルム表面に傷や押され等の欠陥がなく位相差フィルムとしての使用に耐えるものであった。
【0104】
比較例1
テンターの温度条件を、導入ゾーン70℃、第1乾燥ゾーン120℃、第2乾燥ゾーン120℃、冷却ゾーン30℃に設定した以外は実施例1と同様にして行った。
【0105】
ウェブ中の残留溶媒量は、第1乾燥ゾーンの入口で27質量%、第2乾燥ゾーン入口で17質量%、出口で10質量%、冷却ゾーン出口で7質量%であった。
【0106】
次いでロール搬送させながら110℃で20分間乾燥し、膜厚80μmのセルロースエステルフィルムを得た。得られたフィルムの残留溶媒量は0.2質量%、Re値は14±5nm、Rt値は120±8nm、遅相軸の角度むらは±10度とむらが大きいものであった。なお、フィルム表面に傷や押され等の欠陥はかった。
【0107】
実施例4
レールパターンを導入ゾーンでは入口幅に対して1.0倍とし、第1乾燥ゾーン〜第2乾燥ゾーン間で、4%幅を狭め、更に冷却ゾーンで1%幅を狭めた以外は実施例1と同様にして行った。
【0108】
ウェブ中の残留溶媒量は、第1乾燥ゾーンの入口で30質量%、第2乾燥ゾーン入口で20質量%、出口で10質量%、冷却ゾーン出口で7質量%であった。
【0109】
次いでロール搬送させながら110℃で20分間乾燥し、膜厚80μmのセルロースエステルフィルムを得た。得られたフィルムの残留溶媒量は0.2質量%、Re値は3±2nm、Rt値は125±5nm、遅相軸の角度むらは±2度、フィルム表面に傷や押され等の欠陥なく位相差フィルムとして良好な品質であった。
【0110】
参考例
アセチル基の置換度1.95、プロピオニル基の置換度0.7、数平均分子量75000のセルロースアセテートプロピオネート100質量部、トリフェニルフォスフェイト10質量部、エチルフタリルエチルグリコレート2質量部、塩化メチレン(沸点39.8℃)328質量部、エタノール62質量部を加圧密閉容器に投入し、60℃に加温して容器内圧力を2気圧とし、撹拌しながらセルロースエステルを完全に溶解させドープを得た。溶液を安積濾紙社製の安積濾紙No.244を使用して濾過し製膜に供した後、ドープを35℃まで下げて一晩静置して、脱泡操作を施した。
【0111】
上記のドープを、ダイからステンレスベルト上に流延した。ステンレスベルトの裏面から温水を接触させて30℃に温度制御されたステンレスベルト上で1分間乾燥した後、更にステンレスベルトの裏面に、15℃の冷水を接触させて10秒間保持した後、ステンレスベルトからウェブを剥離した。剥離時のフィルム中の残留溶媒量は100質量%であった。
【0112】
次いで剥離したウェブを、40℃で30秒間搬送しながら乾燥させてウェブ中の残留溶媒量を30質量%とした後、図1に示すテンターを用いて更に乾燥した。この際、テンターの温度条件は、導入ゾーン50℃、第1乾燥ゾーン100℃、第2乾燥ゾーン135℃、冷却ゾーン50℃に設定した。レールパターンは導入ゾーン〜第2乾燥ゾーンまでは、入口幅に対し1.0倍とし、冷却ゾーンでは1%幅を狭めた。
【0113】
ウェブ中の残留溶媒量は、第1乾燥ゾーンの入口で20質量%、第2乾燥ゾーン入口で15質量%、出口で8質量%、冷却ゾーン出口で5質量%であった。
【0114】
次いでロール搬送させながら110℃で20分間乾燥し、膜厚40μmのセルロースエステルフィルムを得た。得られたフィルムの残留溶媒量は0.2質量%、Re値は8±2nm、Rt値は80±5nm、遅相軸の角度むらは±3度、フィルム表面に傷や押され等の欠陥なく位相差フィルムとしての使用に耐えるものであった。
【0115】
実施例6
アセチル基の置換度2.89、数平均分子量150000のセルロースアセテート100質量部、トリフェニルフォスフェイト8質量部、ビフェニルジフェニルホスフェート4質量部、下記のレタデーション上昇剤7.8質量部、塩化メチレン300質量部、メタノール54質量部、1−ブタノール11質量部を加圧密閉容器に投入し、60℃に加温して容器内圧力を2気圧とし、撹拌しながらセルロースエステルを完全に溶解させドープを得た。溶液を安積濾紙社製の安積濾紙No.244を使用して濾過し製膜に供した後、ドープを35℃まで下げて一晩静置して、脱泡操作を施した。
【0116】
【化1】
Figure 0004576788
【0117】
上記のドープを、ダイからステンレスベルト上に流延した。ステンレスベルトの裏面から温水を接触させて20℃に温度制御されたステンレスベルト上で45秒間乾燥した後、更にステンレスベルトの裏面に、10℃の冷水を接触させて10秒間保持した後、ステンレスベルトから生乾きのフィルムを剥離した。剥離時のフィルム中の残留溶媒量は100質量%であった。
【0118】
次いで剥離したウェブを、40℃で30秒間搬送しながら乾燥させてウェブ中の残留溶媒量を50質量%とした後、図1に示すテンターを用いて更に乾燥した。この際、テンターの温度条件は、導入ゾーン15℃、第1乾燥ゾーン100℃、第2乾燥ゾーン135℃、冷却ゾーン50℃に設定した。レールパターンは導入ゾーン〜第2乾燥ゾーンまでは、入口幅に対し1.0倍とし、冷却ゾーンでは1%幅を狭めた。
【0119】
ウェブ中の残留溶媒量は、第1乾燥ゾーンの入口で30質量%、第2乾燥ゾーン入口で20質量%、出口で10質量%、冷却ゾーン出口で7質量%であった。
【0120】
次いでロール搬送させながら110℃で20分間乾燥し、膜厚80μmのセルロースエステルフィルムを得た。得られたフィルムの残留溶媒量は0.2質量%、Re値は3±2nm、Rt値は150±5nm、遅相軸の角度むらは±3度、フィルム表面に傷や押され等の欠陥なく位相差フィルムとして良好な品質であった。
【0121】
比較例2
アセチル基の置換度2.89、数平均分子量150000のセルロースアセテート100質量部、トリフェニルフォスフェイト8質量部、ビフェニルジフェニルホスフェート4質量部、上記のレタデーション上昇剤7.8質量部、塩化メチレン300質量部、メタノール54質量部、1−ブタノール11質量部を加圧密閉容器に投入し、60℃に加温して容器内圧力を2気圧とし、撹拌しながらセルロースエステルを完全に溶解させドープを得た。溶液を安積濾紙社製の安積濾紙No.244を使用して濾過し製膜に供した後、ドープを35℃まで下げて一晩静置して、脱泡操作を施した。
【0122】
上記のドープを、ダイからステンレスベルト上に流延した。ステンレスベルトの裏面から温水を接触させて20℃に温度制御されたステンレスベルト上で15秒間乾燥した後、更にステンレスベルトの裏面に、10℃の冷水を接触させて10秒間保持した後、ステンレスベルトから生乾きのフィルムを剥離した。剥離時のフィルム中の残留溶媒量は120質量%であった。
【0123】
次いで剥離したウェブを、40℃で15秒間搬送しながら乾燥させてウェブ中の残留溶媒量を100質量%とした後、図1に示すテンターを用いて更に乾燥した。この際、テンターの温度条件は、導入ゾーン30℃、第1乾燥ゾーン100℃、第2乾燥ゾーン135℃、冷却ゾーン50℃に設定した。レールパターンは導入ゾーン〜第2乾燥ゾーンまでは、入口幅に対し1.0倍とし、冷却ゾーンでは1%幅を狭めた。
【0124】
ウェブ中の残留溶媒量は、第1乾燥ゾーンの入口で65質量%、第2乾燥ゾーン入口で約50質量%、出口で約35質量%、冷却ゾーン出口で30質量%であった。
次いでロール搬送させながら110℃で20分間乾燥し、膜厚40μmのセルロースエステルフィルムを得た。得られたフィルムの残留溶媒量は0.7質量%、Re値は25±7nm、Rt値は65±15nm、遅相軸の角度むらは±15度、フィルム表面にはガイドロール周期の押されが多発していた。
【0125】
比較例3
アセチル基の置換度2.89、数平均分子量150000のセルロースアセテート100質量部、トリフェニルフォスフェイト8質量部、ビフェニルジフェニルホスフェート4質量部、上記のレタデーション上昇剤7.8質量部、塩化メチレン300質量部、メタノール54質量部、1−ブタノール11質量部を加圧密閉容器に投入し、60℃に加温して容器内圧力を2気圧とし、撹拌しながらセルロースエステルを完全に溶解させドープを得た。溶液を安積濾紙社製の安積濾紙No.244を使用して濾過し製膜に供した後、ドープを35℃まで下げて一晩静置して、脱泡操作を施した。
【0126】
上記のドープを、ダイからステンレスベルト上に流延した。ステンレスベルトの裏面から温水を接触させて20℃に温度制御されたステンレスベルト上で15秒間乾燥した後、更にステンレスベルトの裏面に、10℃の冷水を接触させて10秒間保持した後、ステンレスベルトから生乾きのフィルムを剥離した。剥離時のフィルム中の残留溶媒量は120質量%であった。
【0127】
次いで剥離したウェブを、50℃で1分間搬送しながら乾燥させてウェブ中の残留溶媒量を15質量%とした後、図1に示すテンターを用いて更に乾燥した。
この際、テンターの温度条件は、導入ゾーン30℃、第1乾燥ゾーン100℃、第2乾燥ゾーン135℃、冷却ゾーン50℃に設定した。レールパターンは導入ゾーン〜第2乾燥ゾーンまでは、入口幅に対し1.0倍とし、冷却ゾーンでは1%幅を狭めた。
【0128】
ウェブ中の残留溶媒量は、第1乾燥ゾーンの入口で9質量%、第2乾燥ゾーン入口で約6質量%、出口で約5質量%、冷却ゾーン出口で4質量%であった。
次いでロール搬送させながら110℃で20分間乾燥し、膜厚40μmのセルロースエステルフィルムを得た。得られたフィルムの残留溶媒量は0.1質量%であった。また、得られたフィルムのRe値は0±15nm、Rt値は85±20nm、遅相軸の角度むらは±60度とばらつきが大きいものであった。なお、フィルム表面の傷や押されの発生はなかった。
【0129】
比較例4
アセチル基の置換度2.89、数平均分子量150000のセルロースアセテート100質量部、トリフェニルフォスフェイト8質量部、ビフェニルジフェニルホスフェート4質量部、上記のレタデーション上昇剤7.8質量部、塩化メチレン300質量部、メタノール54質量部、1−ブタノール11質量部を加圧密閉容器に投入し、60℃に加温して容器内圧力を2気圧とし、撹拌しながらセルロースエステルを完全に溶解させドープを得た。溶液を安積濾紙社製の安積濾紙No.244を使用して濾過し製膜に供した後、ドープを35℃まで下げて一晩静置して、脱泡操作を施した。
【0130】
上記のドープを、ダイからステンレスベルト上に流延した。ステンレスベルトの裏面から温水を接触させて20℃に温度制御されたステンレスベルト上で45秒間乾燥した後、更にステンレスベルトの裏面に、10℃の冷水を接触させて10秒間保持した後、ステンレスベルトから生乾きのフィルムを剥離した。剥離時のフィルム中の残留溶媒量は100質量%であった。
【0131】
次いで剥離したウェブを、40℃で1分間搬送しながら乾燥させてウェブ中の残留溶媒量を50質量%とした後、図1に示すテンターを用いて更に乾燥した。
この際、テンターの温度条件は、導入ゾーン40℃、第1乾燥ゾーン150℃、第2乾燥ゾーン100℃、冷却ゾーン50℃に設定した。レールパターンは導入ゾーン〜第2乾燥ゾーンまでは、入口幅に対し1.0倍とし、冷却ゾーンでは1%幅を狭めた。
【0132】
ウェブ中の残留溶媒量は、第1乾燥ゾーンの入口で25質量%、第2乾燥ゾーン入口で10質量%、出口で約7質量%、冷却ゾーン出口で5質量%であった。
次いでロール搬送させながら110℃で20分間乾燥し、膜厚40μmのセルロースエステルフィルムを得た。得られたフィルムの残留溶媒量は0.1質量%であった。また、得られたフィルムのRe値は2±8nm、Rt値は50±15nm、遅相軸の角度むらは±25度とばらつきの大きいものであった。なお、フィルム表面に傷や押され等の発生はなかった
実施例7
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で4倍に延伸して偏光フィルムを作った。この偏光フィルムの片面に鹸化処理した80μmのセルローストリアセテートフィルム(コニカタック)を完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として用いて貼り合わせた。同様にして保護フィルムのない面に、実施例1で得られた位相差フィルムを貼り合わせて偏光板を作製した。なお、位相差フィルムの遅相軸と偏光フィルムの透過軸とのなす角度は、平行になるように貼り合わせた。
【0133】
VAモード液晶セルを使用した液晶表示装置(VL−1530S、富士通社製)に設けられている表側の偏光板及び位相差フィルムを剥がし、代わりに上記の偏光板を、実施例1で作製した位相差フィルムが液晶セル側で、かつ偏光板の透過軸が上下方向となるように粘着剤で貼り合わせた。上下左右方向いずれの視野角とも80度以上であり良好な視野角特性であった。
【0134】
参考例
参考例5で得られた位相差フィルム上に、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml/m塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。次に、セルロースアセテートフイルムの長手方向と平行な方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
【0135】
配向膜塗布液組成
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
【0136】
【化2】
Figure 0004576788
【0137】
(光学異方性層の形成)
配向膜上に、下記の円盤状液晶性化合物41.01g、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学社製)4.06g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.90g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.23g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.35g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬社製)0.45gを、102gのメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#3.6のワイヤーバーで塗布した。これを130℃の恒温ゾーンで2分間加熱し、円盤状液晶性化合物を配向させた。次に、60℃の雰囲気下で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し円盤状液晶性化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を形成し、光学補償シート(KH−01)を作製した。波長546nmで測定した光学異方性層のReレタデーション値は43nmであった。また、円盤面と第1透明支持体面との間の角度(傾斜角)は平均で42°であった。
【0138】
【化3】
Figure 0004576788
【0139】
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で4倍に延伸して偏光フィルムを作った。この偏光フィルムの片面に鹸化処理した80μmのセルローストリアセテートフィルム(コニカタック)を完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として用いて貼り合わせた。
【0140】
同様にして保護フィルムのない面に、上記光学補償シートを位相差フィルム側が偏光フィルム側になるように貼り合わせて偏光板を作製した。なお、位相差フィルムの遅相軸と偏光フィルムの透過軸とのなす角度は、平行になるように貼り合わせた。
【0141】
TNモード液晶セルを使用した液晶表示装置(6E−A3、シャープ社製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに上記の偏光板を、光学補償シート側が液晶セル側となるように粘着剤で貼り合わせた。一対の偏光板の透過軸は直交するように配置した。左右の視野角(コントラスト比10以上の範囲)は約80度であり十分な視野角が得られた。
【0142】
【発明の効果】
本発明により、液晶表示装置の視野角拡大に有用なレタデーション特性(面内レタデーションが0〜10nm、厚み方向レタデーションが70〜400nm)を有し、フィルムの遅相軸角度むらが小さく、フィルム表面に傷や押されなどの品質欠陥のない位相差フィルムとその製造方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乾燥方法の実施形態の例を示す概略平面図。
【符号の説明】
1 ウェブ
2 把持開始点
3 把持具(クリップ)
4 導入ゾーン
5 第1乾燥ゾーン
6 第2乾燥ゾーン
7 冷却ゾーン
8 把持終了点
9 温度緩衝ゾーン

Claims (8)

  1. ポリマーと有機溶媒とを含むドープを支持体上に流延して作製したウェブを支持体から剥離した後、剥離したウェブの両端部を把持具で把持しながら乾燥させる位相差フィルムの製造方法において、
    実質的に幅保持しながら、ウェブ中の残留溶媒量が10〜30質量%の範囲のとき、乾燥温度を100〜160℃の範囲とし、
    かつ、下流側の温度が上流側の温度よりも10〜50℃高くなるように設定した、2つ以上に温度区分された乾燥ゾーンを通し
    さらに、前記2つ以上に温度区分された乾燥ゾーンは、ウエブ中の残留溶媒量が第1乾燥ゾーン入口で30質量%以上、第1乾燥ゾーン出口で20質量%以下、第2乾燥ゾーン出口で10質量%以下として
    乾燥することを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
  2. ウェブ中の残留溶媒量が10〜30質量%の範囲のときに、ウェブの両端部を把持している把持具の間隔を幅方向に0.5〜10%狭めることを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルムの製造方法。
  3. ウェブ中の残留溶媒量が、30〜50質量%の範囲で、ウェブの温度を0〜50℃とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の位相差フィルムの製造方法。
  4. ポリマーと有機溶媒とを含むドープ中のポリマー含有量が15〜35質量%であり、更にポリマーに対して1.0〜30質量%の可塑剤と有機溶媒に対して1.0〜40質量%の炭素数1〜4のアルコールを含有しているドープを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法。
  5. 全有機溶媒に対して酢酸メチルを50質量%以上含有していることを特徴とする請求項4に記載の位相差フィルムの製造方法。
  6. ポリマーとして炭素数2又は3のアシル基の置換度が2.4〜3.0のセルロースエステルを用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法。
  7. 位相差フィルムが少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をポリマーに対して0.01〜20質量%含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法。
  8. 位相差フィルムが少なくとも一つの1,3,5−トリアジン環を有する芳香族化合物を含むことを特徴とする請求項7に記載の位相差フィルムの製造方法。
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