JP4574881B2 - 電気融着継手の製造方法 - Google Patents

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    • B29C66/71General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts characterised by the composition, physical properties or the structure of the material of the parts to be joined; Joining with non-plastics material characterised by the composition of the plastics material of the parts to be joined

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  • Branch Pipes, Bends, And The Like (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂管、特にガスや水道用の配管材に有用なポリエチレン樹脂管の接続に使用する電気融着継手の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンは化学的に極めて安定であり、可塑剤を必要としないので、水道用配管材として有用であるが、その優れた化学的安定性のために、接着剤を介しての接続が困難である。
そこで、ポリエチレン管用継手として、ポリエチレン管との接合面に電熱線を埋設した電気融着継手、例えば、ポリエチレン樹脂製の継手本体の内周面に抵抗線を埋設し、この抵抗線の両端に接続した端子ピンを継手本体の外面に突設したものが知られている(例えば、特開平2−30517号公報)。
【0003】
この電気融着継手を製造するには、継手本体と同じポリエチレンを押出被覆した被覆抵抗線をマンドレルに螺旋状に巻き付けると共にこの被覆抵抗線の両端に端子金具を接続し、この抵抗線巻き付けマンドレルの周りに外型を配置して両端子金具を外型のピン孔で支持すると共にキャビティを形成し、このキャビティに溶融樹脂を圧入し、ついで、冷却固化させている(特開平2−30517号公報、特開平2−30508号公報、特開平4−10915号公報等)。
しかしながら、この製造方法では、被覆抵抗線のコストが高く、電気融着継手のコストアップが避けられない。
【0004】
裸の抵抗線を使用する場合は、前記の溶融樹脂の圧入時に巻き付け抵抗線が相互に接触したりすることのないように、安定強固な巻き付けが要求される。
そこで、熱可塑性樹脂の内筒部材に間隔を隔てて第1端子金具と第2端子金具とを突設し、抵抗線の一端を第1端子金具に溶接してその抵抗線を内筒部材に充分な引っ張り張力のもとで巻き付け、この巻き付け抵抗線の他端を第2端子金具に溶接し、更にこの抵抗線巻き付け内筒部材を金型に配置して内筒部材の周りに外筒部材成形用キャビティを形成し、このキャビティに樹脂を圧入充填する方法が知られている(以下、インナー・アウター方式という。この製造方法については、例えば、特公平1−45410号公報、特許第2963082号公報等参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のインナー・アウター方式では、内筒部材に抵抗線を巻き付けたのち、この巻き付け端を第2端子金具に溶接する際、巻き付け抵抗線の巻緩みを防止するために抵抗線を引張り状態にしてその溶接を行う必要があり、溶接熱で軟化されて引っ張り強度が一時的に低くなった溶接点近傍の抵抗線箇所が断線し易い。
前記抵抗線には、通常ニクロム線が、端子金具には通常銅合金が用いられるが、それらの溶接が難しく、溶接強度を抵抗線の引っ張り強度以上とすることが至難である。
而るに、前記溶融樹脂のキャビティへの圧入においては、キャビティの厚みが比較的薄く、奥行きが相当に深いために、それだけ射出圧力を高圧にする必要があり、キャビティ内の溶融樹脂の流れが高速であり、上記溶接強度が低いことと相俟って樹脂の圧入充填時に、溶接箇所が剥離され易い。
更に、前記の圧入充填されたキャビティ内樹脂が冷却固化される際、樹脂の熱収縮率が抵抗線の熱収縮率に較べて著しく大きく(約30倍)、樹脂の継手重心(図心)に向かう熱収縮移動に対し、抵抗線がその剛性のために実質上固定であり、一方端子金具が樹脂の上記移動と共に移動されようとするから(端子金具を外型に固定しても、脱型後でも樹脂が収縮するから、程度の差があっても同様な現象が生じる)、前記の樹脂の熱収縮移動により溶接箇所が開劈されて剥離されることがある。
【0006】
しかしながら、前記したインナー・アウター方式を開示している文献は、前記の外筒射出成形における樹脂の圧入充填や冷却固化時の樹脂収縮等が抵抗線の溶接箇所に及ぼす支障に対する対策を開示するところがなく、これらの対策が要請される。
【0007】
本発明の目的は、熱可塑性樹脂の内筒部材に間隔を隔てて端子金具を突設し、抵抗線の一端を端子金具に溶接してその抵抗線を内筒部材に巻き付け、この巻き付け抵抗線の他端を他方の端子金具に溶接し、更にこの抵抗線巻き付け内筒部材を金型に配置して内筒部材の周りに外筒部材成形用キャビティを形成し、このキャビティに樹脂を圧入充填し、更に、この充填樹脂を冷却固化する方法において、抵抗線の断線や端子金具と端子金具との溶接箇所の剥離を確実に防止して、電気融着継手の製造の歩留を向上させることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の電気融着継手の製造方法は、熱可塑性樹脂の内筒部材に間隔を隔てて端子金具を突設し、抵抗線の一端を一方の端子金具に溶接してその抵抗線を内筒部材に巻き付け、この巻き付け抵抗線の他端を他方の端子金具に溶接し、更にこの抵抗線巻き付け内筒部材を金型に配置して内筒部材の周りに外筒部材成形用キャビティを形成し、このキャビティに樹脂を圧入充填し、更に、充填樹脂を冷却固化する方法において、前記内筒部材における他方の端子金具の近傍に突部を設け、この突部に抵抗線を折り曲げて掛支し巻き付け抵抗線の引張り張力を支持させて上記他方の端子金具と抵抗線との溶接を行うことを特徴とする構成である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1の(イ)は本発明により製造する電気融着継手の一例を示す縦断面図、図1の(ロ)はその電気融着継手における抵抗線巻き付け内筒部材を示す平面図である。
図1において、11は熱可塑性樹脂製の内筒部材である。12は内筒部材11に巻き付けた抵抗線であり、図1の(ロ)に示すように、既成形の内筒部材11の長手方向に間隔を隔てて第1端子金具131と第2端子金具132を突設し、この内筒部材11に抵抗線12を巻き付け、各端子金具131,132と抵抗線12の各端とを溶接してある。2は抵抗線巻き付け内筒部材上に一体に成形した熱可塑性樹脂製の外筒部である。
上記内筒部材及び外筒部の熱可塑性樹脂には、例えば、ポリエチレンやポリブデン等を用いることができる。端子金具には銅合金、鉄を使用でき、ニッケル、銅、亜鉛等でメッキされていてもよい。抵抗線にはニクロム線、銅ニッケル線、鉄クロム線等を用いることができる。
本発明により製造する電気融着継手の種類は限定されず、図1の片受けソケットの他、両受けソケット、エルボー、チーズ、分水栓のサドル等を挙げることができる。
【0012】
本発明において使用する基本的な製造工程は次の(1)〜(4)の通りである。
(1)〔内筒部材11の成形〕この成形には、通常、射出成形が使用される。この内筒部材の成形時に内筒部材に端子金具嵌合用ボスを成形し、成形後、このボスに端子金具131,132を嵌合してもよく、また、内筒部材の成形時に端子金具をインサートしてもよい。
(2)〔抵抗線の巻き付け〕通常、第1端子金具の側面に抵抗線の先端を溶接したのち、抵抗線を所定の張力で内筒部材に巻き付けたうえで第2端子金具の側面に溶接し、所定のはみ出し長さを残して切断する。この場合、抵抗線を内筒部材上に浮きなく密接させて巻き付け得るように抵抗線に充分な張力をかける必要がある。溶接には、抵抗溶接を使用することができ、抵抗溶接には、図2の(イ)に示すように、端子金具131(132)の側面に抵抗線12を当接し、これらを上下のピン電極141,142で挾持して通電するスポット溶接を使用できる。
(3)〔金型への内筒部材の組込み〕図2の(ロ)に示すように、射出成形金型の内型31に前記した抵抗線12巻き付け内筒部材11を装着し、外筒成形用キャビティを確保するように外型32を配置する。外型32におけるスプール、ランナー、ゲート等は図示されていない。
(4)〔外筒部材の成形〕前記のようにして抵抗線を巻き付けた内筒部材を金型にセットしたのち、射出機により、溶融樹脂を前記キャビティ内に圧入する。この圧入によりキャビティを充填したのち、充填樹脂が冷却固化されていき、所定強度への固化をまって脱型し、これにて電気融着継手の製造を終了する。
【0013】
請求項1に係る発明においては、図3の(イ)に示すように、内筒部材11の第2端子金具132の近傍に抵抗線掛支用の突部130を形成しておき、内筒部材11に充分な張力Tで巻き付けた抵抗線12を折り曲げて突部130に掛支し、抵抗線12の巻き付け張力Tを突部130で支えた状態で抵抗線12と第2端子金具132との溶接を行う。
この場合、抵抗線12の巻き付け張力をT、抵抗線の断面積をsとすれば、図3の(イ)の位置n−nの抵抗線断面に剪断応力T/sが作用するが、この応力は通常抵抗線の剪断弾性限界内にあり、抵抗線12の巻き付け張力Tを突部130の掛支で安定に支持できる。従って、突部130から第2端子金具132側への抵抗線部分を無張力状態にでき、第2端子金具132と抵抗線12との溶接箇所近傍の抵抗線部分120の引っ張り強度が溶接熱のために一時的に低下されるにもかかわらず、その抵抗線部分の断線を防止できる。
【0014】
上記において、突部130に掛支する抵抗線の折り曲げ角θは、図3の(ロ)に示すように90°以下が好ましいが、余り小さくすると抵抗線の折り曲げたぐり量が多くなる。従って、90°≧θ≧30°とすることが好ましい。
請求項1に係る電気融着継手の製造方法によれば、内筒部材に充分な張力で緊密に巻き付けた抵抗線を第2端子金具に断線なく溶接できる。このことは、次の実施例と比較例との対比からも確認できる。
【0015】
【実施例】
〔実施例1〕図3の(イ)において、抵抗線にニクロム線を使用し、第1端子金具と抵抗線とを溶接したうえで抵抗線を内筒部材に浮きの発生のないように充分な張力で巻き付け、突部に抵抗線をほぼ直角に折り曲げて掛支し、ついで抵抗線と第2端子金具とをスポット溶接したところ、断線発生率は5%に過ぎなかった(試料数50箇)。
【0016】
〔比較例1〕実施例1と同じニクロム線を抵抗線として使用したが、抵抗線の突部130への折り曲げ掛支を行わずに抵抗線に張力を加えた状態で抵抗線と第2端子金具とをスポット溶接した。断線率は20%にも達した。
【0017】
〔実施例2〕抵抗線に銅ニッケル線を使用した以外、実施例1に同じとした。断線率は、0%であった。
【0018】
〔比較例2〕実施例2と同じ銅ニッケル線を抵抗線として使用したが、抵抗線の突部130への折り曲げ掛支を行わずに抵抗線に張力を加えた状態で抵抗線と第2端子金具とをスポット溶接した。断線率は10%にも達した。
【0019】
〔実施例3〕抵抗線に鉄クロム線を使用した以外、実施例1に同じとした。断線率は、5%であった。
【0020】
〔比較例3〕実施例3と同じ銅ニッケル線を抵抗線として使用したが、抵抗線の突部130への折り曲げ掛支を行わずに抵抗線に張力を加えた状態で抵抗線と第2端子金具とをスポット溶接した。断線率は25%にも達した。
【0026】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、熱可塑性樹脂の内筒部材に間隔を隔てて第1端子金具と第2端子金具とを突設し、抵抗線の一端を第1端子金具に溶接してその抵抗線を内筒部材に巻き付け、この巻き付け抵抗線の他端を第2に溶接し、更にこの抵抗線巻き付け内筒部材を金型に配置して内筒部材の周りに外筒部材成形用キャビティを形成し、このキャビティに樹脂を圧入充填し、ついでこの充填樹脂を冷却固化して電気融着継手を製造する場合、巻き付けた抵抗線をその巻き付け状態を保持しつつ断線なく第2端子金具に溶接でき、製品の歩留を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により製造される電気融着継手の一例を示す図面である。
【図2】本発明に係る電気融着継手の製造に使用する射出成形及び端子金具と抵抗線とのスポット溶接を示す図面である。
【図3】請求項1の電気融着継手の製造方法の一実施例を示す図面である。
【符号の説明】
11 内筒部材
12 抵抗線
131 端子金具
132 端子金具
130 抵抗線掛支用突部
31 内型
32 外型

Claims (1)

  1. 熱可塑性樹脂の内筒部材に間隔を隔てて端子金具を突設し、抵抗線の一端を一方の端子金具に溶接してその抵抗線を内筒部材に巻き付け、この巻き付け抵抗線の他端を他方の端子金具に溶接し、更にこの抵抗線巻き付け内筒部材を金型に配置して内筒部材の周りに外筒部材成形用キャビティを形成し、このキャビティに樹脂を圧入充填し、更に充填樹脂を冷却固化する方法において、前記内筒部材における他方の端子金具の近傍に突部を設け、この突部に抵抗線を折り曲げて掛支し巻き付け抵抗線の引張り張力を支持させた状態で上記他方の端子金具と抵抗線との溶接を行うことを特徴とする電気融着継手の製造方法。
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