JP5860327B2 - 電気融着継手の製造方法 - Google Patents
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Description
この電気融着継手を製造する場合には、はじめに、電熱線を略円柱状に形成されたコア金型(内型)に螺旋状に巻き付ける。次いで、電熱線を取り付けたコア金型を所定のセット位置に搬送し、キャビティ金型(外型)を型締めする。そして、コア金型とキャビティ金型を型締めして形成した射出空間に溶融樹脂を射出し、冷却固化させることで筒状部が成形され、電気融着継手の製造が完了する。
なお、被覆部92の断面形状は、図9のように電熱線91の形状に倣う円形状とされることが多い。また、図9において符号95で示す部分は、仮止めの際に溶融した被覆部92が流れ込むことで隣り合う被覆電熱線90同士を接合するための隙間である。
被覆部92が断面半円形状や断面矩形状である場合、電熱線91から被覆部92の側端に至る被覆部92の厚みTa(電熱線21間のピッチを設定する厚み)と、電熱線から筒状部の内周面に至る被覆部92の厚みTbとを独立して設定できるため、電熱線91の線径に関わらず、筒状部と管材との融着に不具合が生じることはない。
しかしながら、被覆部92が断面半円形状である場合には、図10(b)に示すように、被覆電熱線90をコア金型7に巻き付ける際に、軸線方向に隣り合う被覆電熱線90の一方が他方の曲面部分に乗り上げてしまい、その結果として、電熱線91間のピッチが変化してしまう、という問題がある。
このように本発明の被覆電熱線を巻き付けると、軸線方向に隣り合う四辺形部のうち前述した交差辺同士が互いに面接触するため、従来のように軸線方向に隣り合う被覆電熱線の一方が他方に乗り上げることを確実に防止できる。したがって、電熱線間のピッチを一定に保持しながら被覆電熱線を巻き付けることが可能となる。
なお、被覆電熱線をコア金型に巻き付けた状態では、軸線方向に隣り合う被覆電熱線の凸状部の間に隙間が生じている。
また、巻き付け前の被覆電熱線では、凸状部が四辺形部の一方の辺における中間部の一部に配されていることで、凸状部と四辺形部の一方の辺の両端との間に間隔が生じている。これにより、上述した被覆電熱線の巻き付け後には、軸線方向に隣り合う凸状部間の隙間が互いに面接触する四辺形部の境界を跨ぐように画成されるため、仮止めの際に前記隙間に流れ込む凸状部の溶融部分も、隣り合う四辺形部を跨ぐように形成されることになる。したがって、軸線方向に隣り合う被覆電熱線同士の接合力をさらに向上させることができる。
図1に示すように、本実施形態に係る電気融着継手1は、ソケットであり、筒状部10と、被覆電熱線20と、ターミナル部30と、を備えている。
また、筒状部10には、その内側に挿入される各管材5の挿入位置を規定するストッパ11が形成されている。ストッパ11は、筒状部10の軸線O1方向の中間部において、筒状部の内周面10aから径方向内側に突出している。
また、筒状部10の軸線O1方向の両端に位置する被覆電熱線20の両端部は、筒状部10の内周面10a側から外周面10bに向けて延びている。
このように構成されるターミナル部30には、電熱線21に電流を流すためのコントローラのケーブルコネクタ(不図示)が取り付けられるようになっている。
そして、被覆部22は、電熱線21の長手方向に直交する断面で矩形状に形成された四辺形部(矩形状部)23と、四辺形部23の一辺(一方の辺23a)から突出する凸状部24とを備えている。
電気融着継手1を製造する際には、はじめに、図3,4に示すように、被覆電熱線20を円柱状に形成されたコア金型7の外周面7aに螺旋状に巻き付ける(巻き付け工程)。なお、コア金型7は、筒状部10の成形に使用する金型の一部であり、コア金型7の外周面7aは筒状部10の内周面10aを画成するものである。また、コア金型7の軸線O1方向の中間部には、コア金型7の外周面7aから径方向内側に窪む窪み部7bが形成されている。この窪み部7bは筒状部10のストッパ11に対応している。
そして、この巻き付け工程では、四辺形部23のうち一方の辺23aと平行する反対側の辺(他方の辺23b)がコア金型7の外周面7aに面接触するように、被覆電熱線20を巻き付ける。
なお、巻き付け工程後の状態においては、軸線O1方向に隣り合う被覆電熱線20の凸状部24間に隙間25が生じている。この隙間25は、互いに面接触する四辺形部23の境界を跨ぐように画成されている。
この仮止め工程を実施すると、凸状部24のうちコテ板9によって溶融された部分(溶融部分)が、図4において矢印Xで示すように、軸線O1方向に隣り合う凸状部24間の隙間25に流れ込む。このため、溶融部分によって隣り合う凸状部24同士が一体に固定され、隣り合う被覆電熱線20同士が接合によって仮止めされることになる。
また、仮止め工程においては、凸状部の溶融が不十分あるいは過度にならないように、例えば200〜300℃のコテ板9を凸状部24に2〜3秒押しつけて実施される。
この仮止め工程は、整列巻きされた被覆電熱線20の周方向全体に対して実施されてもよいが、被覆電熱線20の熱変形を小さく抑えるためには、周方向に間隔(例えば45度や60度の間隔)をあけた複数の位置で実施されることがより好ましい。
以上により、電気融着継手1の製造が完了する。
なお、電熱線21の線径dが1.1mmである場合、電熱線21間のピッチを設定するための被覆部の厚みTaは、例えば1.0〜1.1mm(線径dの約三倍)に設定されるが、融着効率を設定する被覆部22の厚みTbは、例えば0.5〜0.6mmに設定されることが好ましい。
なお、被覆電熱線20の乗り上げをより確実に防止するためには、交差辺23cの長さ寸法(四辺形部23の高さ寸法H3)を1mm以上に設定することがより好ましい。
特に、本実施形態の被覆電熱線20によれば、整列巻きされた状態において軸線O1方向に隣り合う凸状部24間の隙間25が、互いに面接触する四辺形部23の境界を跨ぐように画成されるため、仮止め工程において隙間25に流れ込む凸状部24の溶融部分も、隣り合う被覆電熱線20を跨ぐように形成されることになる。これにより、隣り合う被覆電熱線20同士の接合力をさらに向上させることができる。
以上のように隣り合う被覆電熱線20同士の接合力を十分に確保できることから、仮止め工程後から成形工程までの間に、電熱線21間のピッチが変化することを確実に防止できる。
例えば、上記実施形態では、凸状部24の高さ寸法が、その幅方向にわたって一定に設定されているが、例えば図6に示すように、凸状部24の頂部から幅方向の両端に向かうにしたがって低くなるように設定されてもよい。
なお、図6に示す凸状部24は、その全体あるいは突出方向の先端部分が断面半円状となるように形成されているが、これに限ることはなく、例えば階段状に形成されてもよいし、断面三角形状に形成されてもよい。また、図6に示す凸状部24の突出方向先端には、例えば上記実施形態の場合と同様の平坦部24bが形成されていてもよい。
また、凸状部24の突出方向基端の幅寸法が四辺形部23の一方の辺23aの幅寸法よりも小さい場合、凸状部24は、図2や図6(a)に示すように、四辺形部23の一方の辺23aの中間部に配されることに限らず、少なくとも被覆電熱線20を整列巻きした状態で、軸線O1方向に隣り合う凸状部24の間に隙間25が形成されるように、四辺形部23の一方の辺23aに配されていればよい。したがって、凸状部24は、例えば図7に示すように、一方の辺23aの端部に寄せた位置に配されてもよい。
さらに、断面平行四辺形状に形成された四辺形部23における角部は、上記実施形態のように尖っていてもよいが、例えば丸みを帯びていてもよい。
さらに、被覆部22は、筒状部10と被覆電熱線20とを一体に固定することを考慮すれば、筒状部10と同一の合成樹脂からなることが最も好ましいが、例えば、筒状部10をなす合成樹脂の融点と同じあるいは融点に近い合成樹脂からなっていてもよい。
さらに、本発明の被覆電熱線及びこれを用いて製造される電気融着継手は、上記実施形態のようなソケットに限らず、例えばエルボ、チーズ、サドルなどの継手にも適用可能である。
10 筒状部
20 被覆電熱線
21 電熱線
22 被覆部
23 四辺形部
23a 一方の辺(一辺)
24,24A 凸状部
24b 平坦部
H3 高さ寸法
H4 高さ寸法
O1 軸線
Claims (4)
- 電熱線の外周面に合成樹脂製の被覆部を形成してなり、前記被覆部が、前記電熱線の長手方向に直交する断面で平行四辺形状に形成された四辺形部と、該四辺形部の一辺から突出する凸状部と、を備え、かつ、前記凸状部が、前記四辺形部の一辺における中間部の一部に配されている被覆電熱線を用意した上で、
円柱状に形成されたコア金型の外周面に対し、前記四辺形部のうち前記一辺と平行する反対側の辺が前記コア金型の外周面に面接触するように、かつ、前記コア金型の軸線方向に隣り合う前記被覆電熱線同士が互いに接するように、前記被覆電熱線を螺旋状に巻き付ける巻き付け工程と、
コテ板によって、螺旋状に巻き付けられた前記被覆電熱線の前記凸状部を前記四辺形部の前記一辺に向けて押さえつけながら加熱溶融し、前記軸線方向に隣り合う前記被覆電熱線同士を仮止めする仮止め工程と、を順番に実施し、
前記仮止め工程では、前記凸状部のうち前記コテ板によって溶融された溶融部分が、前記軸線方向に隣り合う前記凸状部間の隙間に流れ込み、前記軸線方向に隣り合う前記被覆電熱線を跨ぐように形成されることを特徴とする電気融着継手の製造方法。 - 前記巻き付け工程の前に用意される前記被覆電熱線では、前記凸状部の頂部に、前記四辺形部の一辺に平行する平坦部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気融着継手の製造方法。
- 前記巻き付け工程の前に用意される前記被覆電熱線では、前記凸状部の高さ寸法が、該凸状部の頂部から両端に向かうにしたがって低くなっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気融着継手の製造方法。
- 前記仮止め工程では、前記凸状部が前記コテ板によって押さえつけられることで、前記四辺形部の前記一辺と同一の寸法を有する断面矩形状に変形し、
変形後の前記凸状部の高さ寸法が、前記四辺形部の高さ寸法の50%以上となることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電気融着継手の製造方法。
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