JP4574831B2 - レンズ枠の心出し加工機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズ枠に組込んだレンズを鏡筒に複数組み付けた際に、それぞれのレンズの光軸が一致するようにレンズ枠を加工するレンズ枠の心出し加工機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般的には、レンズをレンズ枠に組み付けた組み上がりレンズを鏡筒に挿入しそれぞれのレンズの光軸を一致させるために、レンズ枠を挿入した後、反射あるいは透過式の偏心測定機を用いた調整方法でレンズの心出しを行い、硬化剤や接着剤で固定、またはレンズ押さえ環等で押さえ固定していた。
【0003】
また、他の方法としては、例えば特開平6−130265号公報に開示されたレンズ鏡筒心出し加工装置によるものがある。この心出し加工装置は、図7に示すように、レンズ102を組み付けるレンズ鏡筒101を加工する加工手段106と、前記レンズ102の外周上に心出し基準位置を印す基準位置マーキング手段103と、前記レンズ102の光軸の偏心を測定する光学式偏心測定機からなる偏心測定手段104と、この偏心測定手段104により得られた測定結果を前記加工手段106に転送する測定結果転送手段105とからなっている。
【0004】
前記加工装置により心出し加工を行う際には、まず、レンズ102の外周上に心出し基準位置マーキング手段103により心出し基準位置を印す。そして、レンズ102の光軸を光学式偏心測定機からなる偏心測定手段104により測定し、前記心出し基準位置を基準にした光軸の偏芯量とその方向を求める。この偏心測定手段104により得られたレンズ102の測定結果を測定結果転送手段105によりレンズ鏡筒101の加工手段106に受け渡し、レンズ102を組み付けるレンズ鏡筒101の端面に前記加工手段106によって鏡筒側の心出し基準位置を刻印するとともに、測定結果転送手段105から受け取ったレンズ102の測定結果に基づいて、前記鏡筒側の心出し基準位置を基準にしてレンズ鏡筒101のレンズ102を取り付ける部分を加工手段106により加工する。このようにして加工したレンズ鏡筒101に複数のレンズ102をそれぞれ互いに印してある心出し基準位置を合わせて組み付けることにより、レンズ鏡筒101に対して各レンズ102の光軸を精度良く組み上げることができる。また、この加工装置による加工方法では、レンズ102を組込んだレンズ枠107をレンズ鏡筒101に組み付ける際にあってもレンズ102の光軸を精度良く組み上げることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術では、以下のような問題がある。前記レンズ枠に組み付けた組み上がりレンズをレンズ鏡筒に組み付けて固定する前に心出しを行う方法では、レンズとレンズ鏡筒の組立てに手間のかかる心出し調整が必要なため、組立てが煩雑なものとなり時間がかかり、その組立て装置の構成も心出し機構が必要となるため複雑となっていた。
【0006】
また、特開平6−130265号公報記載のレンズ鏡筒の心出し加工装置では、レンズ102の偏心を測定してレンズ102あるいはレンズ枠107を取り付けるレンズ鏡筒101の取り付け部分を前記測定結果に基づいて切削加工するわけだが、このときレンズ102とレンズ枠107の外径は設計値を基準にしている。しかし、量産品の場合、ロットにより外径寸法にバラツキがあり、レンズ102あるいはレンズ枠107とレンズ鏡筒101のクリアランスを小さくすることができない。また、レンズ側の心出し基準位置と鏡筒側の心出し基準位置を正確に一致させる必要があり、手間がかかる。
【0007】
本発明は、前記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、レンズを組み付けたレンズ枠を鏡筒に組み込む際にレンズの心出し作業を不要とするとともに、レンズを組み付けたレンズ枠の外径や鏡筒の内径にバラツキがあっても、レンズ枠の外径を切削し、複数のレンズの光軸を高精度に一致させて鏡筒に組み込めることができるレンズ枠の心出し加工機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に係るレンズ枠の心出し加工機は、レンズを組込んだレンズ枠を鏡筒に組み込むため、前記レンズ枠の心出しを行うレンズ枠の心出し加工機において、前記レンズ枠を保持しシフト・チルト調整を行うアライメントステージと、前記アライメントステージを回転させる測定・加工用の主軸と、前記レンズの偏心を測定する偏心測定手段と、前記偏心測定手段により測定されたレンズの偏心と前記加工用の主軸とを一致させるよう前記シフト・チルト調整した後、前記レンズの光軸方向の位置を検出するレンズ位置検出手段と、前記レンズ枠を組込む鏡筒の内径を測る内径測定機と、前記レンズ枠の加工手段と、前記レンズの光軸方向の位置と、前記鏡筒の内径とを基に、前記鏡筒の内径に合わせて前記レンズ枠の外径及び上下当て付け面を加工するよう前記加工手段を制御する制御装置とから構成したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に係るレンズ枠の心出し加工機は、請求項1の構成において、前記内径測定機を移動可能に設け、径の異なる段付き状の内径を有する鏡筒の各内径を測定可能にしたことを特徴とする。
【0010】
すなわち、本発明の請求項1に係るレンズ枠の心出し加工機は、図1の概念図に示すように、レンズ1を組込んだレンズ枠2を保持およびチルト・シフト調整するアライメントステージ3と、アライメントステージ3を回転してレンズ枠2をレンズ1の光軸回りに回転させる主軸4と、アライメントステージ3に保持したレンズ1の上面 1aおよび下面1bの偏芯量をそれぞれ測定する偏心測定手段5と、チルト・シフト調整したレンズ1の加工機上での光軸方向の位置を測定するレンズ位置検出手段6と、レンズ枠2を組込む鏡筒7の内径を測る内径測定機8と、レンズ枠2の外径を加工する加工手段10と、レンズ1のレンズデータおよび測定データを基に加工手段10を制御する制御装置9とから構成されている。
【0011】
前記構成によれば、まず、レンズ1を組込んだレンズ枠2をアライメントステージ3で保持する。そして、偏心測定手段5によりレンズ1の偏芯量を測定し、その測定結果を基にアライメントステージ3によりチルト・シフト調整を行い、レンズ1の光軸を主軸4の回転軸に一致させた後、レンズ位置検出手段6でレンズ1の加工機上での光軸方向の位置を測定する。次に、内径測定機8によりレンズ枠2を嵌合する鏡筒7の内径を測る。そして、レンズ位置検出手段6と内径測定器8の測定データおよびあらかじめ制御装置9に入力しておいたレンズデータを基に制御装置9により加工手段10を制御し、主軸4によりアライメントステージ3を介してレンズ枠2をレンズ1の光軸回りに回転させてレンズ枠2の外径を鏡筒7の内径に合わせて加工するとともに、レンズ枠2のおよび上下当て付け面を加工する。これにより、レンズ1の光軸およびレンズ1の光軸方向の位置を基準にレンズ枠2を加工できる。
【0012】
次に、図2に示すように、加工した複数のレンズ枠2を鏡筒7に組込むことにより各レンズ1の光軸を高精度に一致させ、かつレンズ間隔を精度良く組立てることができる。
【0013】
また、本発明の請求項2に係るレンズ枠の加工機によれば、鏡筒の径寸法の異なる各内径を測定し、その各内径に合わせて外径の異なるレンズ枠の心出し加工を行う。これにより、スムーズにレンズ枠を鏡筒に挿入することが可能になり、複数のレンズ枠の鏡筒内への組立てを容易に行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
図3および図4は本発明の実施の形態1を示し、図3は概略構成図、図4はレンズを組込んだレンズ枠を鏡筒に組立てた状態の断面図である。
【0015】
レンズ枠の心出し加工機は、図3に示すように、レンズ1を組込んだレンズ枠2を保持し、後述する偏心測定手段5の測定結果に基づいてレンズ枠2と共にレンズ1のチルト・シフト調整するアライメントステージ3と、アライメントステージ3を介してレンズ枠2をレンズ1の光軸回りに回転させる主軸4と、アライメントステージ3に保持されたレンズ1の上面1aおよび下面1bの偏芯量をそれぞれ測定する上下一対の偏心測定手段5と、チルト・シフト調整した後のレンズ1の加工機上での光軸方向の位置を測定するレンズ位置検出手段としてのプローブ16と、レンズ枠2を組込む鏡筒7の内径を測る内径測定機8と、レンズ2の外径を加工する上下移動可能でレンズ枠2の外周面に対して接離移動可能な切削工具10aを有する加工手段10と、レンズ1のレンズデータおよび測定データを基に加工手段10を制御する制御装置9とから構成されている。
【0016】
次に前記構成による作用を説明する。まず、図3に示すように、鏡筒7を鏡筒保持部15に保持し、レンズ枠2を嵌合する鏡筒7の部分に内径測定機8をセットし、鏡筒7の内径寸法を測定してその測定結果を制御装置9に入力する。また、レンズ1が組込まれたレンズ枠2をアライメントステージ3で保持する。そして、偏心測定手段5によりレンズ1の上面1aおよび下面1bの偏芯量をそれぞれ測定し、その結果を基にアライメントステージ3により、レンズ1の光軸と主軸4の回転軸を平行にするチルト調整と、レンズ1の光軸と主軸4の回転軸を同一軸線上に位置させるシフト調整を行い、レンズ1の光軸を主軸4の回転軸、つまり加工手段10の加工軸に一致させる。これにより、レンズ枠2の外径2aをレンズ1の光軸基準で加工、すなわちレンズ枠2の外径中心とレンズ1の光軸とを一致させるように加工できる。また、プローブ16をレンズ上面1aの中心に当て、チルト・シフト調整した後のレンズ1の加工機上での光軸方向の位置を測定し、その測定結果を制御装置9に入力する。
【0017】
そして、レンズ1の位置測定データ、鏡筒7の内径測定データおよびあらかじめ制御装置9に入力しておいたレンズデータを基に制御装置9により加工手段10を制御し、主軸4を回転させてレンズ1の光軸回りに回転しているレンズ枠2の外径2aおよび上下当て付け面2b,2cを加工手段10の切削工具10aで加工する。これにより、レンズ1の光軸およびレンズ1の光軸方向の位置を基準にレンズ枠2を加工し、レンズ枠2の外径中心とレンズ1の光軸を一致させた状態でレンズ枠2の外径2aを鏡筒7の内径に合わせることができ、さらに、チルト調整によるレンズ枠2の上下当て付け面2b,2cの傾きを訂正するとともに複数のレンズ枠2をその上下当て付け面2b,2cで当て付けた際にレンズ1の間隔を所望の距離にすることができる。
【0018】
次に、図4に示すように、加工した複数のレンズ枠2を、その外径2aと鏡筒7の内径を嵌合させつつ上下当て付け面2b,2cを当接させて鏡筒7に組込み、レンズ枠2の挿入側から押さえ環12によりレンズ枠2を押さえることにより、各レンズ1の光軸を一致させ、かつレンズ1の間隔を精度良く組立てることができる。
【0019】
本実施の形態によれば、レンズ枠2を挿入する鏡筒7の内径寸法を測定し、その測定データを基にレンズ枠2の外径2aを加工することにより、鏡筒7内径の加工誤差をキャンセルでき、鏡筒7に組立てた各レンズ1の光軸を一致させることができる。また、レンズ枠2の外径中心はレンズ1の光軸と一致しているので、レンズ枠2を鏡筒7に嵌合するだけで容易に各レンズ1の光軸を一致させた状態にすることができる。
【0020】
(実施の形態2)
図5および図6は本発明の実施の形態2を示し、図5は概略構成図、図6はレンズを組込んだレンズ枠を鏡筒に組立てた状態の断面図である。
【0021】
本実施の形態は、基本的に実施の形態1と同じ構成であるが、複数のレンズ枠を組立てる鏡筒の内径が変化する場合にも対応してレンズ枠の心出し加工を行える構成となっている。以下、実施の形態1と異なる本実施の形態の構成を説明し、実施の形態1と同一構成部分には同一番号を付して、その説明を省略する。
【0022】
レンズ1を組込んだ外径寸法の異なるレンズ枠2を組み付ける鏡筒13の内径は、レンズ枠2毎に異なった直径で加工されており、その内径はレンズ枠2の挿入側から順次小径となるように段付き状に形成されている。また、鏡筒13の内径寸法を測定する内径測定機8は、移動ステージ11に取付けられている。移動ステージ11は、制御装置9により制御され、内径測定機8を鏡筒13の径の異なる内径部分に順次移動し、内径測定機8によりそれぞれの内径を測定可能にしている。そして、内径測定機8の測定結果は制御装置9に入力される。
【0023】
次に前記構成による作用は、基本的に実施の形態1と同じ作用を有しており、以下、実施の形態1と異なる作用について説明し、実施の形態1と同じ作用については、その説明を省略する。
【0024】
鏡筒13の内径測定個所のデータをあらかじめ制御装置9に入力しておき、移動ステージ11の鏡筒保持部15に鏡筒13をセットしたら、内径測定機8が制御装置9の制御により内径測定個所のデータを基に自動で内径測定個所に動き、鏡筒13の所定箇所の内径を順次測定する。そして、プローブ16によるレンズ1の位置測定データ、鏡筒13の内径測定データおよびあらかじめ制御装置9に入力しておいたレンズデータを基に制御装置9により加工手段10を制御し、径の異なる内径部分に嵌合させるレンズ枠2毎にそれぞれの内径部分に対応させてレンズ枠2の外径2aおよび上下当て付け面2b,2cを加工する。
【0025】
次に、図6に示すように、加工した複数のレンズ枠2を径の小さい方から順次鏡筒13に組込み、レンズ枠2の挿入側から押さえ環12によりレンズ枠2を押さえることにより、各レンズ1の光軸を一致させ、かつレンズ1の間隔を精度良く組立てることができる。
【0026】
本実施の形態によれば、鏡筒13の内径に段差をつけ、レンズ枠2の挿入側から順次に内径を小径に形成することにより、スムーズにレンズ枠2を鏡筒13内に挿入することができ、組立てを容易に行うことができる。その他の効果は、実施の形態1と同様である。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に係るレンズ枠の心出し加工機によれば、レンズの組込まれたレンズ枠を偏心調整し、レンズの光軸とレンズ枠の外径中心を一致させた状態にレンズ枠の外径を切削加工することができる。さらに、この切削加工の際に、レンズ枠が嵌合する鏡筒の取り付け部分の径を測定し、その径に合わせてレンズ枠の外径を切削加工することできる。そのため、レンズ枠の外径を鏡筒の取り付け部分に嵌合させてレンズ枠を鏡筒に組込むことによって、同様に加工した複数のレンズ枠にそれぞれ組込んだ各レンズの光軸を一致させることができ、高精度なレンズ群を容易に製作することができる。
【0028】
また、本発明の請求項2に係るレンズ枠の心出し加工機によれば、径の異なる鏡筒のレンズ枠取付け部分の径をそれぞれ測定し、各径に合わせてレンズ枠2の外径を切削して外径の異なるレンズ枠をそれぞれ心出し加工することができる。
そのため、複数のレンズ枠を鏡筒に嵌合させてレンズ枠を鏡筒に組込む作業をスムーズに行い、径の異なる複数のレンズ枠にそれぞれ組込んだ各レンズの光軸を一致させた高精度なレンズ群を容易に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を示す概念図である。
【図2】本発明で心取り加工したレンズ枠を鏡筒に組立てた状態を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1を示す概略構成図である。
【図4】本発明の実施の形態1で心取り加工したレンズ枠を鏡筒に組立てた状態を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2を示す概略構成図である。
【図6】本発明の実施の形態2で心取り加工したレンズ枠を鏡筒に組立てた状態を示す断面図である。
【図7】従来の技術を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 レンズ
2 レンズ枠
3 アライメントステージ
4 主軸
5 偏心測定手段
6 レンズ位置検出手段
7,13 鏡筒
8 内径測定機
9 制御装置
10 加工手段
11 移動ステージ
16 プローブ
Claims (2)
- レンズを組込んだレンズ枠を鏡筒に組み込むため、前記レンズ枠の心出しを行うレンズ枠の心出し加工機において、
前記レンズ枠を保持しシフト・チルト調整を行うアライメントステージと、
前記アライメントステージを回転させる測定・加工用の主軸と、
前記レンズの偏心を測定する偏心測定手段と、
前記偏心測定手段により測定されたレンズの偏心と前記加工用の主軸とを一致させるよう前記シフト・チルト調整した後、前記レンズの光軸方向の位置を検出するレンズ位置検出手段と、
前記レンズ枠を組込む鏡筒の内径を測る内径測定機と、
前記レンズ枠の加工手段と、
前記レンズの光軸方向の位置と、前記鏡筒の内径とを基に、前記鏡筒の内径に合わせて前記レンズ枠の外径及び上下当て付け面を加工するよう前記加工手段を制御する制御装置とから構成したことを特徴とするレンズ枠の心出し加工機。 - 前記内径測定機を移動可能に設け、径の異なる段付き状の内径を有する鏡筒の各内径を測定可能にしたことを特徴とする請求項1記載のレンズ枠の心出し加工機。
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