JP4572341B2 - 液体噴射装置および記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体噴射装置および記録装置に関する。特に本発明は、被記録物を搬送する搬送駆動ローラに対して圧電素子の振動により回転駆動力を与える駆動部を制御する液体噴射装置および記録装置に関する。
インクジェット式記録装置等の記録装置の被記録物を搬送するローラなどの搬送部に対して駆動力を与える駆動部として、例えば、被記録物を搬送する搬送ローラに対して複数のギアを介してモータの駆動力を伝動する形態が知られている。また、モータよりも小型の駆動源として圧電素子を利用した振動体を用いた回転型駆動装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2004−166479号公報
上記特許文献1に開示されている振動体を用いた回転型駆動装置は、例えばカメラのフィルムを巻き上げるフィルム巻き上げ機構などに利用される。この回転型駆動装置に用いられる振動体を記録装置の駆動部として用いる場合に、振動を駆動力として効率的に伝達する配置が好ましいが、一方で、記録装置を小型化するためには、駆動部を配置するスペースが限られるという課題がある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、被記録物を搬送しつつ被記録物に記録する記録装置であって、回転駆動力が与えられることにより回転する搬送駆動ローラと、搬送駆動ローラとの間で被記録物を挟んで連れ回る搬送従動ローラと、搬送駆動ローラに回転駆動力を与える駆動部とを備え、駆動部は、板状の圧電素子および圧電素子を面方向に挟んだ対の電極を少なくとも一つ含み、各々の対の電極間に周期的な電圧を与えることにより、搬送駆動ローラの回転軸に垂直な面に対して圧電素子の面方向に当接および離間する振動体と、圧電素子の面方向を搬送駆動ローラの回転軸に平行に、振動体を支持する振動体保持部とを有する記録装置が提供される。上記の記録装置に配される駆動部は、電動モータなどと比べて小型であるので、駆動部を配する部分のスペースを小さくすることができる。また、振動体は、搬送駆動ローラの回転軸に垂直な面と当接および離間して回転駆動力を与えるので、例えば搬送駆動ローラの外周に対して当接および離間する場合と比べて、振動体の当接部が平面に対して当接しており、回転駆動力の伝達効率を高めることができる。
上記記録装置は、振動体および搬送駆動ローラの回転軸に垂直な面を互いに押し付けあう方向に付勢する付勢部をさらに備えることが好ましい。これにより、振動体の振動に伴う回転軸の振動が抑えられ、搬送駆動ローラが回転する場合における回転軸の位置を安定化することができる。
上記記録装置において、付勢部は、振動体を、搬送駆動ローラに対して付勢してもよい。これにより、振動体の振動に伴う回転軸の振動が抑えられ、搬送駆動ローラが回転する場合における回転軸の位置を安定化することができる。
上記記録装置において、付勢部は、搬送駆動ローラを、振動体に対して付勢してもよい。これにより、振動体の振動に伴う回転軸の振動が抑えられ、搬送駆動ローラが回転する場合における回転軸の位置を安定化することができる。
上記記録装置において、搬送駆動ローラは、板状のフレームに軸支されたシャフト、および、シャフトと一体的に回転し、シャフトの径よりも大きい径の円板状ロータを有し、振動体およびロータは、フレームの外側に配されて、振動体は、ロータにおけるフレームから近い側の面に対して当接および離間してもよい。これにより、簡易な構成により振動体をフレームに固定することができる。
上記記録装置において、搬送駆動ローラは、板状のフレームに軸支されたシャフト、および、シャフトと一体的に回転し、シャフトの径よりも大きい径の円板状ロータを有し、振動体およびロータは、フレームの外側に配されて、振動体は、ロータにおけるフレームから遠い側の面に対して当接および離間してもよい。これにより、圧電素子の交換、および、振動体とロータとの当接力の調整など、振動体を容易にメンテナンスすることができる。
上記記録装置において、搬送駆動ローラは、板状のフレームに軸支されたシャフト、および、シャフトと一体的に回転し、シャフトの径よりも大きい径の円板状ロータを有し、振動体およびロータは、フレームの内側に配されて、振動体は、ロータにおけるフレームから近い側の面に対して当接および離間してもよい。これにより、簡易な構成により振動体をフレームに固定することができる。
上記記録装置において、搬送駆動ローラは、板状のフレームに軸支されたシャフト、および、シャフトと一体的に回転し、シャフトの径よりも大きい径の円板状ロータを有し、振動体およびロータは、フレームの内側に配されて、振動体は、ロータにおけるフレームから遠い側の面に対して当接および離間してもよい。これにより、振動体を配する部分のスペースを小さくすることができる。
本発明の第2の形態においては、被記録物を搬送しつつ被記録物に液体を噴射する液体噴射装置であって、回転駆動力が与えられることにより回転する搬送駆動ローラと、搬送駆動ローラとの間で被記録物を挟んで連れ回る搬送従動ローラと、搬送駆動ローラに回転駆動力を与える駆動部とを備え、駆動部は、板状の圧電素子および圧電素子を面方向に挟んだ対の電極を少なくとも一つ含み、各々の対の電極間に周期的な電圧を与えることにより、搬送駆動ローラの回転軸に垂直な面に対して圧電素子の面方向に当接および離間する振動体と、圧電素子の面方向を搬送駆動ローラの回転軸に平行に、振動体を支持する振動体保持部とを有する液体噴射装置が提供される。これにより、第1の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明における液体噴射装置の実施形態であるインクジェット式記録装置10の概略斜視図を示す。図2は、図1のインクジェット式記録装置10を搬送部駆動ギア49の側から見た概略側面図を示す。インクジェット式記録装置10は、装置本体11と、被記録物19を載置する給紙部13と、給紙部13の被記録物19を搬送する搬送部40と、搬送部40により搬送された被記録物19を下方から支持するプラテン15と、プラテン15の上方に配されて被記録物19上に記録をする記録部20と、被記録物19を排紙口17へ排出する排出部60と、搬送部40および排出部60を駆動する駆動部100とを備える。
記録部20は、キャリッジモータ32、タイミングベルト30、キャリッジ22、記録ヘッド24、および、インクカートリッジ26を有する。タイミングベルト30は、装置本体11の幅方向に渡って架け渡されており、キャリッジモータ32から回転駆動力を受けて回転する。キャリッジ22は、タイミングベルト30を把持しており、キャリッジモータ32がタイミングベルト30を回転駆動することで、被記録物19上を往復移動する。記録ヘッド24は、キャリッジ22の下方に保持され、被記録物19へインクを吐出する。インクカートリッジ26は、内部にインクを収容し、キャリッジ22に着脱可能に保持される。
搬送部40は、搬送駆動ローラ41、搬送従動ローラ43、シャフト45、ロータ47、および搬送部駆動ギア49を有し、給紙部13と記録部20との間に配される。シャフト45は、装置本体11の上フレーム80に回転自在に支持される。搬送部駆動ギア49、ロータ47、上フレーム80、搬送駆動ローラ41は、図2の手前側から、シャフト45の軸方向において、この順に配される。搬送駆動ローラ41、ロータ47、および搬送部駆動ギア49は、シャフト45を回転の軸として、それぞれシャフト45と固定されて接続している。搬送従動ローラ43は、装置本体11に回転自在に支持され、搬送駆動ローラ41に連れ回る。
駆動部100は、ロータ47と上フレーム80との間に配されて、駆動部固定フレーム85に固定されている。駆動部固定フレーム85は、上フレーム80に固定されている。駆動部100の一端である当接部230は、円板状であるロータ47の回転軸に対して垂直な面のうち、上フレーム80から近い側(図2における奥側)の面と当接している。駆動部100の詳細については、以下において別途図示して説明する。
排出部60は、排出駆動ローラ61、排出従動ローラ63、シャフト65、および排出部駆動ギア69を有し、記録部20と排紙口17との間に配される。排出駆動ローラ61および排出部駆動ギア69は、シャフト65を回転の軸として、それぞれシャフト65と固定されて接続している。シャフト65は、装置本体11の上フレーム80に回転自在に支持される。排出従動ローラ63は、装置本体11に対して回転自在に支持され、排出駆動ローラ61に連れ回る。
伝動部50は、搬送部40の回転駆動力を排出部60に伝達する。この伝動部50は、シャフト55、第一伝動ギア57、および第二伝動ギア59を有する。第一伝動ギア57および第二伝動ギア59は、図2における手前側からこの順に配され、シャフト65を回転の軸として、それぞれシャフト55と固定されて接続している。シャフト55は、装置本体11の上フレーム80に回転自在に支持される。
インクジェット式記録装置10の搬送部駆動ギア49、第一伝動ギア57、第二伝動ギア59、および排出部駆動ギア69は、それぞれ外周部分に複数の歯が形成された歯車形状を成しており、搬送部駆動ギア49と第一伝動ギア57、および、第二伝動ギア59と排出部駆動ギア69、はそれぞれ噛み合っている。したがって、例えば、搬送部駆動ギア49が図2における時計回りに回転した場合、それに連動して第一伝動ギア57および第二伝動ギア59は図2における反時計回りに回転し、排出部駆動ギア69は図2における時計回りに回転する。以上により、搬送駆動ローラ41が図2における時計回りに回転した場合、連動して排出駆動ローラ61も時計回りに回転し、これら搬送駆動ローラ41および排出駆動ローラ61にそれぞれ連れ回る搬送従動ローラ43および排出従動ローラ63は、共に反時計回りに回転する。図2において、それぞれのギアの外周部分に形成された歯を省略して歯先円および歯底円を示した。
続いて、インクジェット式記録装置10における記録の動作について説明する。まず、駆動部100がロータ47に対して回転駆動力を与えてロータ47を回転駆動する。これにより、ロータ47とシャフト45で接続した搬送駆動ローラ41が回転駆動し、搬送駆動ローラ41と搬送従動ローラ43と間で被記録物19を挟んで、被記録物19をプラテン15上に搬送する。この状態において、キャリッジモータ32がタイミングベルト30を回転駆動することにより、タイミングベルト30を把持するキャリッジ22が装置本体11の幅方向に往復移動する。キャリッジ22が往復移動するのに伴って、キャリッジ22に保持された記録ヘッド24が、被記録物19上を往復移動しつつ、被記録物19に対してインクカートリッジ26から供給されるインクを吐出し、被記録物19へ記録を行う。記録ヘッド24は、往復移動の両方向に移動しつつインクを吐出してもよいし、いずれか一方向に移動する場合にインクを吐出してもよい。その後、搬送駆動ローラ41および搬送従動ローラ43が被記録物19をさらに微小量だけ搬送し、さらに記録ヘッド24が被記録物19上を往復移動しつつインクを吐出する。この動作を繰り返すことにより、被記録物19の上面全体に記録が行われる。排出駆動ローラ61および排出従動ローラ63は、搬送駆動ローラ41および搬送従動ローラ43に連動して、記録が行われた被記録物19をプラテン15上から排紙口17へ排出する。
図3は、駆動部100の平面図を示す。図3に示すように、駆動部100は、振動体200と、支持体300と、振動体保持部400とを備える。振動体200は、振動体200を振動可能に固定する支持体300を介して振動体保持部400に取り付けられる。振動体保持部400には、取付穴451が複数個(本実施形態では四つ)設けられており、駆動部固定フレーム85の駆動部100を取り付ける位置において取付穴451に対応する位置に空けられた穴に対して、ネジ450で固定して取り付けられる。
図4は、振動体200および支持体300の分解斜視図を示す。振動体200は、平板状の補強板210、および補強板210の表裏両面に設けられた平板状の圧電素子220を有する。補強板210は、例えばステンレス鋼などの材料で構成され、短辺の一端には、幅方向略中央に断面略円弧凸状の当接部230が長手方向に突出するように一体的に形成されている。補強板210の長手方向略中央には、幅方向両側に腕部240が一体的に形成されている。腕部240は、補強板210からほぼ直角に突出しており、これらの端部にはそれぞれ孔241が穿設されている。補強板210の両面の略矩形状部分には、それぞれ圧電素子220が接着される。
圧電素子220の材料は、特に限定されず、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT(登録商標))、水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン、亜鉛ニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等の各種材料を用いることができる。圧電素子220の両面には、ニッケルまたは金などによる電極221、222、223、224がめっき、スパッタ、蒸着等の方法で形成されている。これらの電極221、222、223、224のうち、圧電素子220の補強板210に対向する側の面には、圧電素子220の全面にわたって電極224が形成されている。また、圧電素子220の補強板210に対向しない側の面には、圧電素子220の長手方向に沿った中心線を軸として線対称に複数の電極221、222、223が形成されている。これらの電極221、222、223は、溝251、252によって互いに電気的に絶縁されており、圧電素子220を挟んで電極224とそれぞれ対を成す。
すなわち、圧電素子220を幅方向にほぼ三等分するように二本の溝251が形成され、これらの溝251で三つに分割された電極のうち両側の電極ではさらに圧電素子220の長手方向をほぼ二等分するように溝252が形成されている。これらの溝251、252により、圧電素子220の表面には、圧電素子220の幅方向略中央の電極221と、電極221の両側に対角線上両端の電極をそれぞれ対とする電極222、223とが形成される。なお、これらの電極221、222、223は、補強板210を挟んで設けられた表裏両方の圧電素子220の補強板210に対向しない側の面に同様に形成されており、例えば振動体200における電極221の裏面側には電極221が形成されている。
図3に示すように、駆動部100の振動体保持部400には、導通ピン350が振動体200の両側に二つずつ、計四つ設けられている。これら四つの導通ピン350は、周囲に介装された絶縁部材360で互いに絶縁され、また、振動体保持部400とも絶縁されている。電極221、222、223、224は、それぞれ別の導通ピン350にリード線(図示せず)で電気的に接続している。また、これら四つの導通ピン350は、圧電素子220に交流電圧を印加する印加装置(図示せず)にも電気的に接続している。導通ピン350は、例えば金属などの導電性を有する材料で構成され、表面には、導通抵抗を小さくするために金めっきが施されていることが好ましい。
圧電素子220の寸法、厚さ、および電極の分割形態などは、圧電素子220に印加装置から繰り返し電圧が印加された時に、圧電素子220が長手方向に伸縮する、いわゆる縦振動と、圧電素子220の平面中心に対して点対称に、縦振動に直交する方向に屈曲する、いわゆる屈曲振動とが同時に現れるように適宜設定される。この時、縦振動の共振周波数と、屈曲振動の共振周波数とは互いに近接するように設定されていることが望ましく、縦振動の共振周波数に対する屈曲振動の共振周波数はほぼ等しく、その差は3%以下であることが望ましい。また、圧電素子220の長辺と短辺との長さ比は、長辺を1とすると短辺が0.274以上であることが望ましい。なお、圧電素子220の寸法を、長辺の長さを1とした時に短辺の長さを0.274より小さくすると、縦振動の共振周波数が屈曲振動の共振周波数より大きくなり、当接部230において良好な楕円軌道を得ることができない。この時、縦振動の共振周波数に対する屈曲振動の共振周波数はほぼ等しくなる。また、両振動の共振周波数の差が3%よりも大きいと、縦振動の共振点と屈曲振動の共振点とが離れてしまい、両振動の振幅が同時に大きくなる振動周波数を設定することができない。
圧電素子220に印加される電圧の周波数は、縦振動の共振周波数と屈曲振動の共振周波数との間、より好ましくは反共振周波数と屈曲振動の共振周波数との間で両方の振動が良好に現れる周波数を適宜選択する。なお、圧電素子220に印加される電圧の波形は特に限定されず、例えばサイン波、矩形波、台形波などが採用できる。
図4に示すように、支持体300は、振動体200が固定される一対の固定部310、および、これらの固定部310の間に一体的に形成され、振動体保持部400にスライド可能に支持されるスライド部320を有する。支持体300には、例えば硬質プラスチックなど、振動体200による振動に対して要求される耐久性を有する材料であれば所望の材料を用いてもよい。固定部310には、腕部240の孔241に対応する位置にネジ穴311が形成されている。このネジ穴311に孔241を貫通してネジ260が螺合されることにより振動体200が固定部310に固定されている。従って、ネジ260の螺合を外せば、振動体200を支持体300(振動体保持部400)から取り外すことができる。スライド部320は、振動体保持部400に凹状に形成されたスライド溝420(図3)に配され、幅方向略中央には、支持体300がロータ47に対して近接離間する方向に平行となるように長孔321が複数箇所(本実施形態では二箇所)形成されている。この長孔321には、ネジ421(図3)が貫通して配され、このネジ421は、振動体保持部400に形成されたネジ穴422に螺合されている。これにより、支持体300は長孔321の長手方向、すなわち、ロータ47において当接部230が当接される位置からロータ47の回転軸に沿った方向だけにスライドすることができる。
また、図4に示すように、支持体300において、固定部310およびスライド部320とは段差を有して形成されている。したがって、固定部310およびスライド部320によって中央に凹状部分が形成される。これにより、振動体200が固定部310に取り付けられた時に振動体200とスライド部320との間には隙間が形成されるので、振動体200が振動してもスライド部320およびネジ421に干渉することがない。
図4に示すように、支持体300の両側の固定部310において、振動体200の当接部230から遠い側の端部側面には、円柱状に突出したバネ取付部331が形成されている。図3に示すように、このバネ取付部331は、バネ340の一端に挿入されている。また、バネ340の他端には円柱状の当接ピン431が挿入されている。この当接ピン431は、振動体保持部400に設けられた係止片430に固定されている。このように配されたバネ340は、振動体200が固定された支持体300および振動体保持部400を振動体200の長手方向に離間するようにこれらに対して弾性力を与える。
以下において、駆動部100における振動体200の動作について説明する。図5は、振動体200の動作の模式図を示す。図5(A)は振動体200の縦振動を、図5(B)は振動体200の屈曲振動を、図5(C)は当接部230の振動軌跡を、それぞれ示す。振動体200は、電極221、222、223と電極224との間に交流電圧を印加することで振動する。電極221と電極224との間、および電極222と電極224との間に交流電圧を印加した場合、図5(A)に示すように、主に電極221と電極224との間の圧電素子220が長手方向に伸縮することにより、圧電素子220は縦振動を励振する。さらに、図5(B)に示すように、電極221の両側の電極222と電極224との間の圧電素子220が伸縮することにより、圧電素子220は、上記の縦振動に直交する方向に、圧電素子220の平面中心に対して点対称に屈曲する屈曲振動を励振する。
これらの縦振動および屈曲振動が同時に現れることにより、振動体200の当接部230は図5(C)に示すように、略楕円軌道を描いて振動する。当接部230は、この楕円軌道の一部においてロータ47を押圧することによってロータ47を回転させる。これを所定周波数で繰り返すことにより、ロータ47は一方向に、この場合では図2の時計回りに、所定の回転速度で回転する。また、ロータ47を反対方向に回転させる場合には、電圧を印加する電極221、222、224を、振動体200の長手方向に沿った中心線を軸として線対称に切り替える。すなわち、圧電素子220の電極221と電極224との間、および電極223と電極224との間に所定周波数の電圧を印加すれば、当接部230は反対方向の楕円軌道を描いて振動する。これにより、ロータ47は反対方向に回転する。
図6は、インクジェット式記録装置10における駆動部100の配置の一例を模式的に示す。ここで、図6は、インクジェット式記録装置10の搬送部40を排紙口17の側から見た模式図である。図6に示すように、ロータ47は、上フレーム80の外側に配され、ロータ47と上フレーム80との間には、駆動部100が配される。駆動部100の振動体保持部400は、駆動部固定フレーム85に固定されており、この駆動部固定フレーム85は、下フレーム83に固定されている。また、駆動部100の一端である当接部230は、円板状であるロータ47の回転軸に対して垂直な面のうち、上フレーム80と対向する側の面と当接している。また、振動体保持部400は、駆動部100を下記姿勢で保持する。駆動部100は、振動体200の長手方向、すなわち縦振動の方向がロータ47の回転軸に対して平行であり、さらに、振動体200の面方向が、ロータ47の中心と当該ロータ47における当接部230に当接する部分とを結ぶ直線に直交するように配される。振動体200の当接部230の先端は、円板状であるロータ47の回転軸に対して垂直な面のうち、上フレーム80から近い側の面と当接している。
また、図6に示すように、シャフト45の上フレーム80に支持されている部分における上フレーム80の両側には軸止め部70が配されている。軸止め部70は、シャフト45の回転の妨げとならないように、シャフト45における上フレーム80の両側に、上フレーム80の厚さよりも大きい間隔をもって配される。したがって、シャフト45は、上フレーム80に対して、軸止め部70の間隔から上フレーム80の厚さを除いた分の間隔だけシャフト45の軸方向に移動することができる。以下において、シャフト45がシャフト45の軸方向に対してこのように移動できる距離をシャフト45の可動距離と称する。
駆動部100の支持体300が振動体保持部400に対して移動することができる距離は、上記シャフト45の可動距離よりも大きく設定される。これにより、例えばインクジェット式記録装置10の転倒もしくは落下による衝撃により、ロータ47がシャフト45とともにシャフト45の可動距離の間で急激に移動して、駆動部100に衝撃力が加えられても、駆動部100の支持体300がこの衝撃力に追従し振動体保持部400に対して移動することができる。よって、シャフト45から受けた衝撃力により駆動部100が破壊することを防ぐことができる。
さらに、シャフト45の可動距離とバネ340のバネ定数との積が、駆動部100に加えられる衝撃力よりも大きくなるようにバネ定数が設定されることが好ましい。ここで、衝撃力の大きさは、落下の衝撃による重力係数にシャフト45およびロータ47等の重力を掛けた大きさと見積もられる。これにより、インクジェット式記録装置10が転倒もしくは落下してその衝撃力が駆動部100に加えられた場合でも、衝撃力は駆動部100のバネ340によって吸収または緩和されるので、駆動部100における振動体200の当接部230および圧電素子220などの損傷をより確実に防ぐことができる。
以上において説明したように、駆動部100は、圧電素子220を有する振動体200の振動によりロータ47を回転駆動することで、搬送駆動ローラ41を回転駆動する。また、駆動部100は、電動モータなどと比べて小型であるので、インクジェット式記録装置10における設置スペースを小さくすることができる。さらに、振動体200は、搬送駆動ローラ41の回転軸であるシャフト45に垂直な面と当接および離間して回転駆動力を与えるので、例えばロータ47の外周に対して当接および離間する場合と比べて、振動体200の当接部230が平面に対して当接しており、回転駆動力をより効率的に伝達することができる。
図7は、インクジェット式記録装置10における駆動部100の配置の他の一例を模式的に示す。図7は、インクジェット式記録装置10の搬送部40を排紙口17の側から見た模式図である。図7に示すように、ロータ47は、上フレーム80の外側に配され、ロータ47における上フレーム80と対向する側と反対の側には、駆動部100が配される。駆動部100の振動体保持部400は、駆動部固定フレーム85に固定されており、この駆動部固定フレーム85は、下フレーム83に固定されている。また、駆動部100の一端である当接部230の先端は、円板状であるロータ47の回転軸に対して垂直な面のうち、上フレーム80から遠い側の面と当接している。インクジェット式記録装置10において、駆動部100をこのように配することで、圧電素子220の交換、および、駆動部100の振動体200とロータ47との当接力の調整など、振動体200を容易にメンテナンスすることができる。
図8は、インクジェット式記録装置10における駆動部100の配置のさらに他の一例を模式的に示す。図8は、インクジェット式記録装置10の搬送部40を排紙口17の側から見た模式図である。図8に示すように、ロータ47は、上フレーム80の内側に配され、ロータ47と上フレーム80との間には、駆動部100が配される。駆動部100の振動体保持部400は、駆動部固定フレーム85に固定されており、この駆動部固定フレーム85は、下フレーム83に固定されている。また、駆動部100の一端である当接部230の先端は、円板状であるロータ47の回転軸に対して垂直な面のうち、上フレーム80から近い側の面と当接している。インクジェット式記録装置10は、上フレーム80の内側におけるシャフト45と下フレーム83との間に空間があることが多いが、そのようなインクジェット式記録装置10において、駆動部100をこのように配することで、駆動部100を上フレーム80の外側に配する場合と比べて、インクジェット式記録装置10をより小型化することができる。
図9は、インクジェット式記録装置10における駆動部100の配置のさらに他の一例を模式的に示す。図9は、インクジェット式記録装置10の搬送部40を排紙口17の側から見た模式図である。図9に示すように、ロータ47は、上フレーム80の内側に配され、ロータ47における上フレーム80と対向する側と反対の側には、駆動部100が配される。駆動部100の振動体保持部400は、駆動部固定フレーム85に固定されており、この駆動部固定フレーム85は、下フレーム83に固定されている。また、駆動部100の一端である当接部230の先端は、円板状であるロータ47の回転軸に対して垂直な面のうち、上フレーム80から遠い側の面と当接している。インクジェット式記録装置10において、駆動部100をこのように配することで、図8に示す配置と同様に、駆動部100を上フレーム80の外側に配する場合と比べて、インクジェット式記録装置10をより小型化することができる。
図10は、インクジェット式記録装置10における駆動部100の配置の一例を模式的に示す。ここで、図10は、インクジェット式記録装置10の搬送部40を排紙口17の側から見た模式図である。図10に示すインクジェット式記録装置10は、円板状であるロータ47が上フレーム81の外側に配され、ロータ47の回転軸に対して垂直な面のうち、上フレーム81と対向する側の面には、上フレーム81の貫通穴87において上フレーム81の内側から突出する振動体200の当接部230が当接している。この振動体200は、図4および図5に示す駆動部100の振動体200と同じものであり、その長手方向はシャフト45の回転軸と平行に配されている。また、振動体200の腕部240は、下フレーム83に固定された振動体支持部500の上に配されている。この振動体支持部500には、腕部240の孔241に対応する位置にネジ穴511が形成されている。このネジ穴511に孔241を貫通してネジ260が螺合されることにより振動体200が振動体支持部500に固定されている。
図10に示すように、シャフト45の上フレーム81、82に支持されている部分における上フレーム81の外側には軸止め部71が、上フレーム82の外側には軸止め部72がそれぞれ配されている。また、軸止め部72と上フレーム82との間にはバネ600が配されている。このバネ600は、軸止め部72を上フレーム82と離間する方向に付勢している。したがって、ロータ47および振動体200は、互いに付勢して当接している。
図10に示す実施形態によれば、図6に示す実施形態と同様に、駆動部100は、電動モータなどと比べて小型であるので、インクジェット式記録装置10における設置スペースを小さくすることができる。特に、駆動部100の大部分が上フレーム81の内側に配されて、貫通孔87から一部が上フレーム81の外側に突出するので、駆動部100の設置スペースおよびロータ47の軸方向の設置スペースをさらに小さくすることができる。さらに、振動体200は、搬送駆動ローラ41の回転軸であるシャフト45に垂直な面と当接および離間して回転駆動力を与えるので、例えばロータ47の外周に対して当接および離間する場合と比べて、振動体200の当接部230が平面に対して当接しており、回転駆動力をより効率的に伝達することができる。
ここで、本実施形態のインクジェット式記録装置10は、液体噴射装置の一例である。また、インクジェット式記録装置10の記録ヘッド24は、液体噴射装置の液体噴射ヘッドの一例である。記録ヘッド24に設けられる吐出口は、液体噴射ヘッドの噴射口の一例である。しかしながら、実施の形態はこれらに限られない。液体噴射装置の他の例は、液晶ディスプレイのカラーフィルタを製造するカラーフィルタ製造装置が挙げられる。この場合、カラーフィルタ製造装置の色材噴射ヘッドが液体噴射ヘッドの一例である。液体噴射装置のさらに他の例は、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極形成装置である。この場合、電極形成装置の電極材(電導ペースト)噴射ヘッドが液体噴射ヘッドの一例である。液体噴射装置のさらに他の例は、バイオチップを製造するバイオチップ製造装置である。この場合、バイオチップ製造装置の生体有機物噴射ヘッドおよび精密ピペットとしての試料噴射ヘッドが液体噴射ヘッドの一例である。上記の液体噴射装置は、産業用途を有するその他の液体噴射装置も含む。また被記録物19とは、液体が噴射されることにより記録または印刷が行われる物であり、例えば記録用紙、ディスプレイの電極等の回路パターンが印刷される回路基板、ラベルが印刷されるCD−ROM、DNA回路が印刷されるプレパラートが含まれる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることができることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
本発明における液体噴射装置の実施形態であるインクジェット式記録装置10の概略斜視図を示す。 図1のインクジェット式記録装置10を搬送部駆動ギア49の側から見た概略側面図を示す。 駆動部100の平面図を示す。 振動体200および支持体300の分解斜視図を示す。 振動体200の動作を示す模式図を示す。 インクジェット式記録装置10における駆動部100の配置の一例を模式的に示す。 インクジェット式記録装置10における駆動部100の配置の他の一例を模式的に示す。 インクジェット式記録装置10における駆動部100の配置のさらに他の一例を模式的に示す。 インクジェット式記録装置10における駆動部100の配置のさらに他の一例を模式的に示す。 インクジェット式記録装置10における振動体200の配置の一例を模式的に示す。
符号の説明
10 インクジェット式記録装置、11 装置本体、13 給紙部、15 プラテン、17 排紙口、19 被記録物、20 記録部、22 キャリッジ、24 記録ヘッド、26 インクカートリッジ、30 タイミングベルト、32 キャリッジモータ、40 搬送部、41 搬送駆動ローラ、43 搬送従動ローラ、45 シャフト、47 ロータ、49 搬送部駆動ギア、50 伝動部、55 シャフト、57 第一伝動ギア、59 第二伝動ギア、60 排出部、61 排出駆動ローラ、63 排出従動ローラ、65 シャフト、69 排出部駆動ギア、70、71、72 軸止め部、80、81、82 上フレーム、83 下フレーム、85 駆動部固定フレーム、87 貫通穴、100 駆動部、200 振動体、210 補強板、220 圧電素子、221 電極、222 電極、223 電極、224 電極、230 当接部、240 腕部、241 孔、251 溝、252 溝、260 ネジ、300 支持体、310 固定部、311 ネジ穴、320 スライド部、321 長孔、331 バネ取付部、340 バネ、350 導通ピン、360 絶縁部材、400 振動体保持部、420 スライド溝、421 ネジ、422 ネジ穴、430 係止片、431 当接ピン、450 ネジ、451 取付穴、500 振動体支持部、511 ネジ穴、600 バネ

Claims (1)

  1. 被記録物を搬送しつつ前記被記録物に記録する記録装置であって、
    回転駆動力が与えられることにより回転する搬送駆動ローラと、
    前記搬送駆動ローラとの間で前記被記録物を挟んで連れ回る搬送従動ローラと、
    前記搬送駆動ローラを内側に収め、前記搬送駆動ローラの回転軸を回転自在に支持するフレームと、
    前記フレームの外側において、前記回転軸と接合され、前記回転軸に垂直な面を有するロータと、
    前記搬送駆動ローラに回転駆動力を与える駆動部と
    を備え、
    前記駆動部は、
    板状の圧電素子および前記圧電素子を面方向に挟んだ対の電極を少なくとも一つ含み、各々の前記対の電極間に周期的な電圧を与えることにより、前記ロータの前記回転軸に垂直な面に対して前記圧電素子の面方向に当接および離間する振動体と、
    前記圧電素子の面方向を前記回転軸に平行に、前記振動体を支持する振動体保持部とを有し、
    前記駆動部は、前記フレームの内側に配され、前記振動体が前記フレームに設けられた貫通孔から突出して前記ロータの前記回転軸に垂直な面に当接および離間する
    記録装置。
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