JP4570120B2 - 液体を吸引及び分配するための改良された方法及び装置 - Google Patents

液体を吸引及び分配するための改良された方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
技術分野
本発明は、ある量の液体(例えば全血)を収容物(例えば試験管又は水薬ビン)から吸引し、化学的処理や分析を行う作業端末にその正確な分割量を分配するための方法及び装置の改良に関するものである。本発明は、比較的少ない容量(例えば10〜100マイクロリットル)の血液を、分析のために高精度で吸引及び分配することがしばしば必要とされる、血液学、フローサイトメトリー及び血液化学の分野で特に有用である。
【0002】
背景技術
自動化された血液用機器は、典型的に、開口又は密閉容器から血液サンプルを吸引し、1つ以上の正確な分割量又は容量の吸引されたサンプルを、分析用作業端末に分配する装置を有する。一般的に、そのような液体吸引/分配装置は、2つのタイプのいずれかがある。すなわち、(i)吸引された血液サンプルを、以後の分配のために1つ以上の正確な容量又は分割量に分割する複数の血液サンプリングバルブ(BSV’s)を使用するものと、(ii)正確な血液量を「吸引して吐出する」シリンジポンプを使用するものとである。
【0003】
自動化された血液用機器は、Beckman Coulter社によって製造されており(例えば商標MAXM、商標STKS及び商標GEN・S血液分析装置)、吸引された血液サンプルを分析用に複数の分量に分割するための複数のBSVを採用している。全自動モードにて操作する場合、これらの機器は、吸引針を操作して、(i)血液サンプルを収納する密閉された水薬ビンが有する個々の隔壁に孔を開け、(ii)水薬ビン内の血液サンプルの液面よりも下方に浸漬させ、(iii )比較的大きい量(例えば250マイクロリットル)の血液を、吸引針及び吸引に必要な負圧を発生するために使用される真空ポンプに接続している流体導管の内部に吸引する。流体導管内の吸引プローブからある距離離れた場所にBSVの組立品が配置されており、この組立品は、以後の分配のために、吸引された血液をいくつかの異なった分量に正確に分割する際に役立つ。BSVは、典型的に、同心状に向かい合うように配置された3枚の円盤要素を有し、中央の要素は外側の円盤に対して相対的に回転できるように設置されている。少なくとも1つの円盤要素が、1つ以上の分割チャンバーを、(i)他の円盤の1つが有する類似の平面と向かい合う平面に形成された1本又は複数の溝、(ii)円盤要素の1つが有する互いに反対側の平面を接続する貫通孔並びに(iii )そのような溝及び貫通孔の少なくとも一方に接続される1つ以上の外周の環状導管のうちの、少なくとも1つの形状に形成する。各チャンバーの物理的容積は、所要分割量に等しくなっている。血液用機器にて分析する血液の代表的な分量は、およそ5〜75マイクロリットルである。回転可能な円盤が第1の位置にあるときは、分割チャンバーは、吸引された血液の供給源に作用的に接続され、真空ポンプによる負圧条件下でチャンバー内に血液が流入して充満することを可能にする。回転可能な円盤が第2の位置まで回転すると、血液供給源がせん断により分割チャンバーから分離され、所要量の血液がチャンバー内に捕集される。次に回転可能な円盤が第3の位置まで回転すると、捕集された血液は分割チャンバーから分配可能となり、化学的処理や分析を行う作業端末に移送可能となる。上述のタイプの血液サンプリングバルブは、本願出願人が有する米国特許4,445,391号、4,507,977号、4,702,889号、4,896,546号、5,158,751号、5,255,568号及び5,460,055号に開示されている。
【0004】
BSVが有する分割チャンバーが血液で満たされていることを確実にするために、上記機器に関しては、一対の気泡検出器をバルブ内の反対側にある2つの場所(すなわち上流側と下流側)に配置することが一般的である。この検出器は、回転可能な円盤が第2の位置まで回転して血液供給源をせん断により分離したときに、バルブチャンバーが血液で満たされていないことを示す血液中の全ての気泡を感知するだけでなく、導管を通って移動して吸引された血液の体積の範囲内にバルブが配置されていることを感知することにも役立つ。このような配置は、本願出願人が有する米国特許5,094,961号に記載されている。
【0005】
全自動モードにて操作する場合、上記のタイプの血液用機器は、連続的な供給源である密閉された水薬ビンから正確に計量された血液を素早く吸引して分配する際に、非常に効果的である。上述したように、各血液サンプルは、吸引針から都合のいい距離だけ離れた場所にBSVを配置できるように、比較的多い量(例えば250マイクロリットル以上)で処理されることが強く望まれる。このような大容量が要求されることは、幼児や新生児から採血する場合のような、血液サンプルの供給量が多くないときに問題となる。少量の「特別な」サンプルを他と同様に分析するために、上記の機器は「ウォークアップ」モードで操作するように設計されており、そのモードにおいては、「特別な」サンプルをBSVへ直接吸引するために、第2の吸引針がBSVに直結(すなわち導管を介さずに)されている。この配置により必要な血液の量が有意義に削減される一方、分割のためにBSVにサンプルが到達する前に、プローブ自体が満たされている必要が依然としてある。また、第2のプローブは密閉された水薬ビンから血液を吸引するようになっていない。従って、「ウォークアップ」モードでは、作業者は、開口した水薬ビンのサンプルを手動で第2の吸引プローブに与えなければならず、かつ、BSVの分割チャンバー内に空気を一切吸引しないように、プローブ先端が水薬ビン中の血液面よりも十分下方にあることを目視で確認しなければならない。
【0006】
液を吸引、分配するためのシリンジポンプ方法については、この方法は、流体回路内を動くプランジャ又はダイアフラムの正確な移動量を必要とする。プランジャ又はダイアフラムが第1の方向へ移動すると、吸引プローブ内が負圧(真空)となり、それにより、液体が、プローブ内及びそれに関連付けられた液体導管内に、プローブ先端を通って吸引される。プランジャ又はダイアフラムが反対側の方向へ移動すると、流路内が正圧となり、流路内のいかなる液体も、プローブ先端を通って放出(分配又は「吐出」)される。この装置の精度は、明らかに可動部材の移動精度に依存する。この装置は、前述のBSV装置の場合と同様に、分割が可能となる前に導管を満たす必要がないので、非常に少量の液量を吸引し分配できるという観点から有利である一方、吸引/分配される液量がプランジャ/ダイアフラムの移動量の繰返し精度に完全に依存するので、BSV装置よりも精度が低い。典型的には、シリンジポンプの精度は、連続作動中に1〜5マイクロリットルほど変動し得る。
【0007】
発明の概要
上述の内容を考慮して、本発明の目的は、改良された前述の種類の液体吸引/分配装置、すなわち、少なくとも、既述のBSV装置が有する精度と既述のシリンジポンプ装置が有する低容量性との双方を提供する、という観点で改良された装置を提供することである。
【0008】
本発明による液体吸引/分配装置は、基本的に、以下のものを有する。
(a)基端部及び容器内の液体に届くようになっている末端部を備える管状ハウジングを具備する吸引プローブであって、その管状ハウジングは、予め定めた最終的な所要量の分配される液体に大体等しい内容積を有する、吸引プローブ(又は針)と、
(b)容器内の液体を、吸引プローブの末端部に流入させて管状ハウジングに完全に満たし、それにより吸引プローブに予め定めた所要量の液体を収納させるような吸引手段と、
(c)吸引された液体が管状ハウジング内に完全に充満したことを感知する感知手段と、
(d)前記感知手段に応答すべく作用的に連結され、吸引プローブ内に吸引された液体を捕集する手段と、
を有する。
【0009】
吸引プローブ内に吸引された液体を捕集する手段は、吸引プローブの基端部に作用的に接続するせん断バルブを有することが好ましい。本発明の好適な実施形態においては、管状ハウジングが吸引された液体によって完全に満たされることを感知する感知手段は、せん断バルブを通過して吸引された液体の存在を感知する液体検出器を有する。加えて、その感知手段は、容器内の液面を検出する手段をさらに有する。液面検出器は、静電容量式センサーや超音波センサーのような、吸引プローブの末端部に接続されるセンサーを有することが好ましい。
【0010】
本発明の一つの重要な点は、吸引プローブを容積の大きいものや小さいものに変更することのみで、必要とされる分配液量を変える機能を有することである。さらに本発明は、吸引のために積極的に配置した(シリンジ)ポンプに起因する、従来技術の精度不足を克服する。特に、吸引プローブが有する管状ハウジングをサンプルの計量手段として使うことにより、分配できる液体の量は全く変化しない。また、吸引プローブ先端と装置が有する分割チャンバーとの間にある全ての導管を完全に排除することにより、前述のBSV装置に比べ、正確な量を分配するために必要な総血液量を最小限にできる。
【0011】
以下の好適な実施形態の記載により、添付図面を参照しながら、本発明がよりよく理解されるであろう。
【0012】
好適な実施形態の詳細な説明
図面を参照すると、図1は、本発明を具体化した好適な液体の吸引及び分配装置10の基本的な構成要素を示している。このような装置は、一般的に、全血Bのような液体を容器Cから吸引し、続いてそのような液体の正確な量を作業端末又はその種の他のもの(例えば分配されたサンプルを分析するようになっている機器が有する混合チャンバー)に分配するようになっている。以下の記述によってより明確となるように、分配すべき液体の正確な量は、サンプルの吸引のために使用する針又はプローブPが有する内腔Lの内容積により決定される。この好適な実施形態においては、装置の操作はコンピュータ制御されており、この装置は、一般的マイクロプロセッサ並びにそれに関連する読取り専用メモリ(ROM)及びランダムアクセスメモリ(RAM)のような、適当にプログラムされた論理・制御ユニット(LCU)から発せられる命令に応答して動作する。さらに以下に説明するように、LCUは、(i)吸引プローブが直結するせん断バルブ30と、(ii)吸引プローブ内を選択的に負圧とする真空ポンプ40と、(iii )吸引された液体を吸引プローブから追い出す(すなわち分配)こと並びに吸引プローブ、せん断バルブ組立品及びそれに関連する吸引された液体が流れる導管を継続的な周期の間で洗浄することの少なくともいずれか一方の目的のために、装置内へ適当な希釈液を導入する希釈液ポンプ50と、(iv)吸引プローブを、真空ポンプ及び希釈液ポンプに選択的に接続するために使用する複数のピンチ弁60、70及び80と、(v)吸引プローブを、液体容器内の圧力を平衡するためのベント95及び真空ポンプ40の双方に選択的に接続するために使用する複動式ピンチ弁90と、を操作することを制御するために動作する。制御信号を上述の構成要素に与える際に、LCUは、せん断バルブ組立品を通過した吸引された液体を検出するために使用する光電液体検出器100及び吸引プローブの末端部が容器C内の液面より十分下にあることを検出する液面センサー102により発せられる入力信号に応答する。
【0013】
本発明の効果的な操作の主要点は、吸引が行われた後に、吸引プローブ内の液体を捕集又は保持する手段である。好適な実施形態によれば、そのような液体捕集手段は、吸引プローブが有する基端部PPと直結するせん断バルブ30として表される。せん断バルブは、一対の相対するセラミックプレート32、34を有していることが好ましく、各セラミックプレートは、好ましくは、環状又は円盤状の形状であり、他方に対して同心状に配置される。それらのプレートは、それぞれ約6mmの厚さであり、他方に対して摺動的に移動可能(例えば回動可能)であるため、プレート34に形成された孔34Aを、プレート32に形成された一対の孔32A及び32Bの双方に対して、選択的に、互いに整合配置できる。せん断バルブは、各孔を整合配置するために、他方に対して直線的に移動する一対の相対する長方形形状のプレートを選択的に有することもできる。
【0014】
図2を参照すると、せん断バルブプレート32に形成された孔32Aは、吸引プローブPの基端部PPを分離可能な状態で支持する。図示されるように、孔32Aは、全長に渡り測定された3つの異なる直径から成る。孔の第1部分32A’は、吸引プローブ内腔Lの内径dと概ね等しい径を有し、それにより吸引液がプローブとせん断バルブの境界面33を通過するように、流れを妨げない平滑な通路を提供する。孔32Aの第2部分32A’’は、プローブ外径と概ね等しい径を有し、その場所において孔32Aのその部分とプローブ基端部との間の圧入が行われる。孔32Aの第3部分32A’’’は、プローブ外径よりも十分に大きい径を有し、例えばエポキシ樹脂のような、プローブをバルブプレートに固着する際に役立つ適当な接着剤37を受容できるようになっている。孔部分32A’’’の外周壁は、プローブ末端部の外壁に形成された溝22と似た形状の溝36を有することが好ましく、そのような溝は、協働してプローブ結合材料を適所に保持する。図1を参照すると、バルブプレート32に形成された第2の孔32Bは、液体導管105に接続するようになっており、液体導管105は、以下に説明するように、ドレーン110に接続可能である。孔32B、34A及び孔部分32A’のそれぞれの直径は、概ね等しい。バルブプレート34が有する孔34Aは、液体導管115に接続され、液体導管115は、以下に説明するように、せん断バルブに液を流入させたり、せん断バルブから液を流出させたりする。
【0015】
図1の装置は、さらに図3〜図5を参照すると、その操作に関して最もよく記述されている。仮に液体容器Cがゴム製キャップのような薄くて柔軟なシール又は隔壁で覆われている場合、吸引プローブが容器内に入ったときに、吸引プローブが有するテーパの付いた末端部PDにより、そのシール又は隔壁が穿刺される可能性がある。明らかにその装置は、図解目的のために容器に対して必要以上に大きく図示されている。以降にさらなる詳細を説明するように、装置は以下の一連の手順、すなわち(a)容器の通気、(b)容器内のサンプルの吸引、(c)吸引されたサンプルの吸引プローブへの分割、(d)以後の使用のための、せん断バルブ及び関連する導管の洗浄又は濯ぎ、(e)分割されたサンプルの分配及び(f)引き続いて使用する前に行われる、吸引プローブ、せん断バルブ及びそれらに関連するとともに全ての液体に関する全ての導管の浄化、を実行するようにプログラムされている。
【0016】
通気
図1を参照すると、容器シールSを穿刺する前は、ピンチ弁60及び80は「閉」(すなわちOFF)になっており、これによりプローブ内部は全ての流体回路要素から隔離される。このとき、ピンチ弁70は開いており、かつ複動式ピンチ弁90は図1に示す状態であり、すなわち、弁60がベント95と接続し、排水チャンバー110と作動中に排水チャンバー内を真空引きする真空ポンプ40とは分離している。全ての導管は、以下に述べる浄化工程の結果、無液状態となる。プローブは、容器シールを穿刺した後、プローブ先端に保持された液面センサー102が吸引された液体の液面よりもプローブ先端が十分下方にあるという信号を発する位置まで、容器内に進入する。LCUは、信号を受けた後にピンチ弁60を開くよう動作し、それにより容器C内部がベント95を通って大気中と通気する。そのような通気は、せん断バルブ30、ピンチ弁60及び90を通るとともにベントと連通している導管115、120、122及び124を通って行われる場合に効果的である。言及したように、通気操作は、容器内の圧力を大気と等しくするために行われる。
【0017】
吸引
LCUは、容器を通気した後、複動式ピンチ弁90の状態を切り替え、それにより、ベント95と密閉容器との間の流体的な連通が遮断され、真空ポンプ40と密閉容器との間が流体的に連通する。ピンチ弁60及び70は「開」を維持し、ピンチ弁80は「閉」を維持する。図3を参照のこと。LCUは、収納された液面よりプローブ先端が下方にあるという液面センサー102からの信号を受けた後、吸引プローブを通して血液Bの吸引を開始するために、真空ポンプ40を起動する。無論、吸引は、導管125、126、128、120及び115を通して使用される真空ポンプ40によるプローブ内の負圧により発生するものである。真空ポンプ40の代わりに、ダイアフラムポンプ又は装置内に差圧を生じさせる他の方法を選択的に用いてもよい。液面センサー102は、例えば本願出願人が有する米国特許4,276,260号及び4,326,851号に開示された種類のものが使用できる。吸引された血液は、プローブに流入した後、続けてプローブ内腔Lを満たし、せん断バルブ30を連続的に通り、導管115内を満たし、終には導管115内に配置された液体検出器100を通り越す。液体検出器は、例えば本願出願人が有する米国特許4,752,690号に開示された種類のものが使用でき、せん断バルブの下流側に対して極めて短い間隔にて配置される。その間隔は小さい程良く、その理由は、せん断バルブと検出器との間の導管内の血液量は、バルブプレート34が有する孔内の全ての血液と同様に、使用(すなわち分配)されずに結局は排水されて無駄となるからである。液体検出器に到達するまで10マイクロリットル以下しか必要としないような間隔が好ましい。吸引された血液サンプルが液体検出器を通り越した瞬間に、検出器は、これ以上の吸引を停止する電気信号をLCUに伝送する。
【0018】
分割
LCUは、検出器100からの信号を受けた後、ピンチ弁60を閉じて真空発生源40を無効にする。図4を参照すると、次にLCUはせん断バルブ30に電気信号を送り、作業端末に分配する準備としてプローブ内腔内部に吸引された液体を効果的に捕集するために、プレート34を回転するよう指示する。血液は外気圧力によってプローブ内に保持される。次に吸引プローブは、液体容器から移動し、作業端末に対して適切に配置され、捕集された血液を分配する。
【0019】
洗浄
計量されたサンプルを作業端末又はその種の他のものに分配する前に、本発明では、せん断バルブプレート及び導管115の内部から過剰の吸引された液体(血液)を除去することを考慮している。そのような液体の除去は、せん断バルブ30が有するプレート34を回転し、孔32B及び34Aを整合配置させ(図4及び図5に図示)、導管105を経由して排水チャンバー110へ向かう流路を提供することで達成される。図5を参照すると、過剰の吸引された液体は、ピンチ弁60を閉じることと、ピンチ弁80を開くことと、希釈液ポンプ50から導管130及び115まで予め定めた量の希釈液若しくは溶剤を導入することとによって移動する。希釈液の導入操作は、整合配置された孔32Bと34Aを通して、過剰の吸引された液体を排水チャンバーへ押し動かすために行われる。前述の方法で過剰の液体が移動した後は、吸引プローブが分配できる位置に移動する。
【0020】
分配
捕集された液を吸引プローブへ分配するために、せん断バルブが有するプレート34は、LCUの指示により図1の位置に回転して戻り、孔34Aが再びプローブ内腔内部と流体的に連通する。図6を参照のこと。このとき、依然として、ピンチ弁80は開いており、ピンチ弁60は閉じている。次にLCUは希釈液ポンプ50を起動し、予め定めた量の希釈液が導管130及び115内へポンプ輸送される。ポンプ輸送された希釈液の作用により、プローブ内腔内部にある吸引され分割された液体がそこから分配される。本発明による吸引/分配装置を血液分析機器として使用するときは、通常は、分配されたサンプルを、おそらく約1000倍まで希釈することが要求される。このことは、混合チャンバーMC内において、吸引された血液サンプルを分配し終えた後に希釈液を続けて流すことにより、容易に成し遂げられる。図6において、混合チャンバーMC内に二重クロスハッチングで示すように、プローブ内の吸引液はポンプ50により供給された希釈液によって希釈される。このことは、プローブ内面を以後の使用のために濯ぐという付加的な効果である。
【0021】
浄化
プローブ内の液体が分配されかつ必要に応じて希釈された後は、続いて吸引されるサンプルの汚染を防止するために、プローブの内側に極僅かに存在する計量された液体及び残存する希釈液を浄化することが要求される。この浄化を行うために、吸引プローブが作業端末から移動して大気中に曝される。次に図7を参照すると、LCUは、(i)ピンチ弁80を閉じて希釈液の供給を遮断し、(ii)ピンチ弁60を開けて、それにより既に真空に連結した状態の弁90及び70を通じて吸引プローブを真空発生源に連結し、(iii )真空ポンプ40を起動して、それによりプローブ、せん断バルブ及び関連する導管の内部に残存する全ての液体を吸引して除去する操作を行う。この残存する液体は、真空ポンプの作用により排水110へ流れる。
【0022】
上述した吸引工程は、密閉容器内の圧力が、容器を穿刺する間及び通気する前は大気圧よりも低いことを前提とする。仮に容器内部の圧力が大気圧よりも高い場合は、その高い圧力により、通気中に吸引プローブ及び関連付けられた導管内へ液体が流入することが認められるであろう。もし容器内の圧力が液体検出器100を通り越して上昇するほど高い場合は、真空による吸引工程を開始する必要はない。その代わりに、検出器100を通り越した血液の流れは、プローブ内腔が血液で満たされ、それにより分配の準備が完了したことを示している。このときLCUは、ベント110と密閉容器との間の連通を遮断するよう弁60に信号を送り、さらにせん断バルブプレート34に対して図4の位置にまで回転する指示を出し、プローブ内の液体を分割して希釈液ポンプ50と排水110との間の流体的な連通を提供して、せん断バルブ30及び導管115内に残存する過剰の吸引された液体を除去できるようにする。
【0023】
上述の吸引プロセスを達成するにあたり、図1に示す種類のような、1つの内腔を有する吸引プローブを使用することが好ましい。既述したように、プローブ内腔の内容積は、分配すべき所要量の液体サンプルと正確に等しくあるべきである。従って、本発明の特徴は、使用者が、吸引プローブを所要量のサンプルの体積と等しい内腔容積を有するものに変更することのみにより、分割できるサンプル所要量を変え得ることである。
【0024】
図8は、LCUとその各構成要素であるROM及びRAMとにより実行される、好適なプログラムを図解したフローチャートを示している。LCUは、プローブが密閉容器を穿刺する前は、弁60及び80を閉じて流体の流れが一切ない状態にするとともに、弁90を、導管122と124を流体的に連通させると同時に導管128と126を連通させない位置とするようにプログラムされている。プローブが密閉容器を穿刺した後は、LCUは以下のようにプログラムされている。先ず、密閉容器内に吸引すべき液体(例えば血液)があるかどうかを確認する。この情報は、プローブ末端部に位置する液面センサー102から与えられる。もし液体が感知されなければ、エラー信号が発せられ、LCUによって装置が停止する。液面センサーが容器内の液体を検出すれば、装置は密閉容器内部を大気と通気する工程へ進む。このことはピンチ弁60を開くことで達せられる。通気中は、液体検出器100が、導管115を通って流れる液体の存在を感知する。流れが検出器100により感知されたら、LCUは、弁60を閉じ、作業端末に液体サンプルを分配する準備としてせん断バルブ30が有するプレート34を回転させる操作を行う。しかし、仮に予め定めた時間を経過しても流れが感知されないときは、LCUは、複動式弁90の状態を切り替えて、導管122と124はもはや流体的に連通させず、代わりに導管128と126との間に流体的な連通を確立する。続いてLCUは、真空ポンプ40に対して密閉容器から液体の吸引を開始するよう指示する。上述したように、真空ポンプは、排水チャンバー110及びピンチ弁70を通って導管126内を真空引きする操作を行う。吸引中は、液面センサー102が、プローブ末端部を通って流入する液体中に気泡がないかを継続的に監視する。もし流入する液体中から空気が検出されたら、LCUは吸引工程を停止し、エラーが表示される。さもなければ、液体検出器100が導管115を通る血液の流れを検出するまで吸引が続く。
【0025】
血液の流れが液体検出器100を通り越したことが検出されたら、LCUは、真空ポンプ40に吸引の停止を指示し、さらに、プローブ内腔内部の血液を分割し又は捕集するために、せん断バルブ30が有するプレート34の回転を命ずる。ここでLCUは、弁80を開けて弁60を閉じる操作を行い、希釈液ポンプ50に対して、導管130及び115内へ予め定めた量の希釈液を導入するよう指示する。それにより、せん断バルブ30及び導管115内から、せん断バルブ内に整合配置された孔34A及び32Bを通して、吸引された過剰の血液サンプルを濯ぐことが可能となる。このときLCUは、分配をする位置へプローブを移送し始める。分配位置への到着後は、プレート34は、LCUの命令により元の位置へ回転し、プローブ内に捕集された吸引液が分配容器内へ一気に流入する。このことを実行するために、LCUは、希釈液ポンプ50に対して、プローブ内へ流入してプローブ内腔からサンプルを一気に押し流すような、予め定めた量の希釈液を放出するよう指示する。次に、プローブが分配する位置から移送され、LCUが、真空ポンプ40に対して、装置内に残留する全ての液体を吸引するよう指示する。この全体的な巡回操作は、液体が浄化されると、次の吸引/分配サイクルの準備が完了する。
【0026】
図9は、前述した装置の変形例を示しており、複数の吸引プローブP1〜P4が単純なせん断バルブVと記載された方法で連結されている。この配置は、複数のサンプル容器C1〜C4からサンプルを同時に吸引することを可能にし、それにより装置の処理能力が増加する。吸引プローブは、選択的に異なる内容積を有することができ、同一(又は異なる)容器から全ての吸引を同時に行うことと、独自の内容積を有する故に各々異なる容量を分配することとが可能である。
【0027】
図10〜図12には、一般的な血液サンプリングバルブの分割特性と、本発明による分割プローブとを結合させた「ハイブリッド」液体吸引/分配装置が示されている。図10〜図12の装置が図1に示されたものと同一である範囲内で、同じ参照記号が使用される。上述の装置と比べて、図10〜図12の装置は、3枚のプレートから成るせん断バルブ組立品30’を使用し、その組立品はプレート36、37及び38を有する。前述のせん断バルブ30の場合は、最下プレート38が吸引プローブPの基端部を支持する。中間プレート37は、以下に説明するように、以後の分配のために、予め定めた分割量の吸引された液体を収納する機能を有する。吸引段階では、プレート36、37及び38にそれぞれ形成された孔36A、37A及び38Aが互いに整合配置され、それにより導管115内の血液検出器100への流路が提供される。容器C内の液体が全血である場合、白いセルを用いた分析には比較的多い分割量の全血の分配が求められ、赤いセルを用いた分析にはかなり少ない分割量の全血の分配が求められることが、頻繁にある。プローブを通って導管115内上方へ全血サンプルを吸引するに伴い、せん断バルブが吸引された血液を分割するために作動する。図11を参照すると、3枚のせん断バルブプレートが互いに相対的に移動し、それにより、孔37A内に吸引された比較的少ない量の血液が、プレート36及び38にそれぞれ形成された孔36C及び38Bと流体的に連通する。この配置において、赤いセルを用いた分析のための分配準備が完了する。同時に、せん断バルブプレート36A及び導管115内に吸引された血液が、プレート37及び38にそれぞれ形成された孔37C及び38Cと流体的に連通する。この配置において、せん断バルブ及び導管は、希釈液ポンプ50から供給される希釈液による濯ぎの準備が完了する。上述したように、吸引プローブ自体が以降の分配のために血液を正確な量に分割する動作を行い、この比較的多い分割量(プレート37に収納された量と比べて)は、以後は白いセルを用いた分析に使用される。
【0028】
図12を参照すると、装置は、ピンチ弁81及び82を開くとともにWBCポンプ51及びRBCポンプ52を起動することにより、分割された血液サンプルを分配するよう動作する。ポンプ51は、予め定めた量の溶解した試液を導管116内部へ計量して送液し、それにより吸引プローブ内に捕集された血液サンプルをWBC槽内に分配する。同時に又は順々に、RBCポンプは、予め定めた量の希釈液を導管117内部へ計量して送液し、それによりプレート37内に捕集された血液サンプルをRBC槽内に分配する。分配されたサンプルは、ポンプにより計量された流体の体積に基づいてそれぞれの槽内で希釈される。一方、導管115及び孔36A、37C及び38Cは希釈液ポンプ50の作動により濯がれる。
【0029】
先の記載から、改良された液体の吸引及び分配装置が提供されたことが理解されるであろう。このような装置は、記述のBSV装置に比べて、相当少ない量のサンプルしか操作のために必要としないという点で有利である。シリンジポンプ方法と比較して、本発明による装置は、より正確かつ反復性の高い量の液体を分配する。
【0030】
本発明が、いくつかの好適な実施形態を参照しながら記載されているが、本発明の精神から逸脱せずに、変形や修正を行うことが可能であることが理解されるであろう。そのような変形や修正は、添付の特許請求の範囲内に含まれることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を示す液吸引/分配装置について、容器を通気する工程を示す概要図である。
【図2】 図1が示す吸引プローブとせん断バルブ組立品との間における、好適な連結状態を示す図である。
【図3】 図1の装置について、液の吸引工程における各構成要素を示す概要図である。
【図4】 図1の装置について、液の分割工程における各構成要素を示す概要図である。
【図5】 図1の装置について、プローブ洗浄工程における各構成要素を示す概要図である。
【図6】 図1の装置について、液の分配工程における各構成要素を示す概要図である。
【図7】 図1の装置について、液の浄化工程における各構成要素を示す概要図である。
【図8】 本発明の好適な実施形態を含む、プログラム可能な論理・制御ユニットにより実行可能な一連の好適な操作を示すフローチャートである。
【図9】 1つのせん断バルブに接続する、複数の吸引プローブを示す概要図である。
【図10】 分割用の血液サンプリングバルブを、本発明の分割プローブと組み合わせて使用する、ハイブリッド吸引/分配装置を示す図である。
【図11】 分割用の血液サンプリングバルブを、本発明の分割プローブと組み合わせて使用する、ハイブリッド吸引/分配装置を示す図である。
【図12】 分割用の血液サンプリングバルブを、本発明の分割プローブと組み合わせて使用する、ハイブリッド吸引/分配装置を示す図である。

Claims (10)

  1. 容器から任意量の液体を吸引し、吸引された液体の予め定めた所要量を引き続いて分配するための装置であって、
    (a)基端部及び容器内の液体に届くようになっている末端部を備え、前記予め定めた所要量の分配される液体に大体等しい内容積を有する管状ハウジングを具備する、少なくとも1つの吸引プローブと、
    (b)前記容器内の液体を、前記吸引プローブの前記末端部に流入させて前記管状ハウジングに完全に満たし、前記吸引プローブに前記予め定めた所要量の液体を収納させる吸引手段と、
    (c)(i)吸引された液体が前記吸引プローブを完全に通過したことを感知する第1液体検出器、及び(ii)前記吸引プローブの前記末端部が、吸引操作中は収納された液体中にあることを感知する第2液体検出器を有し、吸引された液体が前記管状ハウジング内に完全に充満したことを感知する感知手段と、
    (d)前記感知手段に応答すべく作用的に連結され、前記吸引プローブ内に前記吸引された液体を捕集するとともに、吸引プローブの基端部に作用的に接続されるせん断バルブを有する捕集手段と、
    (e)前記吸引プローブの前記末端部から吸引され捕集された液体を分配する分配手段と、
    を有する装置。
  2. 前記せん断バルブが、隣接して配置される第1プレート及び第2プレートを有し、各プレートは、互いに反対側の一対の平面と該プレートを通って液が流れるようにするそれら平面間の孔とを有し、前記第1プレート及び前記第2プレートは、互いに対して摺動式に移動可能であって、前記容器から前記バルブを通して血液サンプルを吸引できるようにそれら各プレートのそれぞれの孔が整合配置される第1の位置と、前記バルブを通る液体の流れを防止するとともに吸引された液体を前記吸引プローブの前記管状ハウジング内部に捕集するよう該それぞれの孔が不整合配置される第2の位置との間を移動する、請求項1に記載の装置。
  3. 前記第2プレートが、前記第1プレートの前記孔内の液体を抜き出せるようにする第2孔をさらに有し、前記第2孔は、前記第1プレート及び前記第2プレートが互いに対して前記第2の位置にあるときに、前記第1プレートの前記孔に整合配置され、前記第2プレートの前記第2孔は、ドレーンに接続され、前記ドレーンがさらに真空発生源に接続される、請求項2に記載の装置。
  4. 前記吸引プローブの前記末端部が、テーパを有しかつ前記容器上のシールを穿刺するようになっている請求項1に記載の装置。
  5. 前記吸引手段が、前記吸引針の前記管状ハウジング内に前記密閉容器内の圧力に対して負圧を発生させるために前記吸引プローブに接続されている真空発生源を有する請求項1に記載の装置。
  6. 前記吸引手段が、前記密閉容器内の圧力を大気圧と平衡させるために前記吸引プローブに選択的に接続できる通気手段をさらに有する請求項1に記載の装置。
  7. 複数の吸引プローブが、予め定めた量の複数の液体を1つ以上の容器から同時に吸引するために、前記せん断バルブに作用的に接続され、前記複数の吸引プローブが、前記所要量の分配される液体と概ね等しい内容積を各々有する請求項1に記載の装置。
  8. 容器から任意量液体を吸引し、続いて、吸引された液体の少なくとも2つの予め定めた所要量を分配する装置であって、
    (a)基端部及び容器内の液体に届くようになっている末端部を備え、前記予め定めた所要量の1つに大体等しい内容積を有する管状ハウジングを具備する吸引プローブと、
    (b)前記吸引プローブの基端部に直結されるとともに、もう1つの前記予め定めた所要量に大体等しい容積を有する分割チャンバーを備え、吸引された液体を前記吸引プローブ及び前記分割チャンバー内に捕集するように作動できる、せん断バルブと、
    (c)前記容器内の液体を、前記吸引プローブの前記末端部に流入させて前記吸引プローブの前記管状ハウジング及び前記せん断バルブの前記分割チャンバーの内容積部に完全に満たし、前記吸引プローブに前記予め定めた所要量の液体を収納させる、吸引手段と、
    (d)前記管状ハウジングが吸引された液体で完全に満たされていることを感知する感知手段と、
    (e)前記感知手段に応答すべく作用的に連結され、前記せん断バルブを作動して、前記吸引された液体を前記吸引プローブ内及び前記せん断バルブの前記分割チャンバー内に捕集する捕集手段と、
    (f)前記プローブ内及び前記分割チャンバー内にある吸引され捕集された液体を分配する分配手段と、
    を有する装置。
  9. 前記せん断バルブが、隣接して配置される第1プレート、第2プレート及び第3プレートを有し、前記第2プレートは、前記第1プレートと前記第3プレートとの間に配置され、前記吸引プローブは、前記第1プレートに直結され、前記プレートの各々は、該プレートを通って液体が流れるようにする互いに反対側の一対の平面とそれら平面間の第1孔とを有し、前記第1プレート、前記第2プレート及び前記第3プレートは、互いに対して摺動式に移動可能であって、前記容器から前記バルブを通して血液サンプルを吸引できるようにそれらプレートのそれぞれの第1孔が整合配置される第1の位置と、前記バルブを通る液体の流れを防止するとともに吸引された液体を前記吸引プローブの前記管状ハウジング内部及び前記第2プレートの前記第1孔内部に捕集するように該それぞれの第1孔が不整合配置される第2の位置との間を移動する、請求項8に記載の装置。
  10. 前記第1プレート、前記第2プレート及び前記第3プレートの各々は、前記第2プレートの前記第1孔内に捕集された液体を分配できるようにするとともに前記第3プレートの前記第1孔内に捕集された液体を濯げるようにする第2孔及び第3孔をさらに有し、前記第1プレート、前記第2プレート及び前記第3プレートが互いに対してそれぞれ第2の位置にあるときに、前記第1プレートの前記孔内で、それらプレートのそれぞれの第2孔と、それらプレートのそれぞれの第3孔とが互いに整合配置される、請求項9に記載の装置。
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