JP4567896B2 - 半導体発光素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光特性の優れた窒化物系半導体発光素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、窒化物半導体は、発光素子やハイパワー半導体デバイスとして利用または研究されている。窒化物半導体発光素子の場合、青色から橙色までの広い色範囲内の発光素子を作製することができる特性を利用して、青色や緑色の発光ダイオードや、青紫色の半導体レーザなどが開発されている。さらに、V族構成元素としてN以外の元素を有する窒化物系半導体材料についても検討がなされており、特開平10−270804号公報では、GaNAs井戸層/GaN障壁層からなる発光層を含む発光素子が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平10−270804号公報に記載のGaNAs/GaN発光層では、井戸層にV族元素としてNの他にAsを含む結晶を用いている。これは六方晶系半導体であるIII族元素窒化物半導体(GaN)と、立方晶系(閃亜鉛構造)半導体であるIII族元素砒化物半導体(GaAs)との混晶半導体であるが、結晶構造が互いに異なっているために、混晶半導体が、V族元素としてNの成分が大部分であるIII族元素窒化物半導体ベースの混晶半導体である場合、III族元素窒化物半導体(GaN)の中に、III族元素砒化物半導体(GaAs)が析出してしまうような相分離を起こしやす傾向がある。そのため、発光層形成後クラッド層もしくはコンタクト層を成長する際に変成し、発光に寄与しない部分が現れる性質があることが、本発明者らにより明らかになった。よって充分に発光効率の高い発光素子が得られにくい問題があった。
【0004】
そこで、本発明では、このようにV族元素にN以外の元素を含有する窒化物系半導体からなる発光層を含む窒化物系半導体発光素子において、その発光層の結晶性の変質を抑制することによって、発光効率を向上させることを主目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体発光素子の製造方法によれば、以下の構成により、上記課題が解決される。
【0006】
本発明の半導体発光素子の製造方法は、基板上に、第1導電型窒化物系半導体層を成長する第1の工程と、N以外のV族元素を構成元素として含む窒化物系半導体を有する発光層を温度T1を含む成長温度で成長する第2の工程と、AlaGa1-aN(0.05≦a≦1)からなる変性防止層を温度T2を含む成長温度で成長する第3の工程と、第2導電型窒化物系半導体層を温度T3(T1<T3,T2<T3)を含む成長温度で成長する第3の工程とを、この順に有することを特徴とする。
【0007】
本発明の半導体発光素子の製造方法において、前記発光層は、井戸層の厚さ0.4〜20nmの範囲内の量子井戸構造として形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明の半導体発光素子の製造方法において、前記変性防止層は、膜厚が1〜200nmであることを特徴とする。
【0009】
本発明の半導体発光素子の製造方法において、前記N以外のV族元素は、Pであって、前記T1は、670〜930℃であることを特徴とする。
【0010】
本発明の半導体発光素子の製造方法において、前記N以外のV族元素は、Asであって、前記T1は、650〜900℃であることを特徴とする。
【0011】
本発明の半導体発光素子の製造方法において、前記N以外のV族元素は、Sbであって、前記T1は、650〜900℃であることを特徴とする。
【0012】
本発明の半導体発光素子の製造方法において、前記T2は、T2≦T1+200℃であることを特徴とする。
【0013】
本発明の半導体発光素子の製造方法において、前記変性防止層は、成長温度を上昇させながら形成されることを特徴とする。
【0014】
本発明の半導体発光素子の製造方法において、前記第2の工程の、前または後の少なくともいずれかに、成長中断期間が設けられることを特徴とする。
【0015】
変性防止層は、AlGaNからなり、少なくともAlを組成0.05含む必要がある。好ましくは、0.05〜0.70が良く、さらには0.1〜0.50が好ましい。Al組成が大き過ぎると活性層周辺層に歪が過大に加わり、原子の活性層へ拡散、活性層からの拡散が生じやすくなるために、好ましくない。なお、AlGaNにこの性質を変化させない程度に微量の他の元素、例えば、B、In、P、As、Sbが含まれていても、本発明の趣旨を逸脱するものではない。
【0016】
変性防止層の膜厚は1〜200nmが好ましく、特には5〜100nmが好ましい。膜厚が薄過ぎる場合、活性層の劣化を防ぐことが困難になり、厚過ぎる場合は、発光に関与するキャリアの障壁となり、また活性層に格子ひずみを与えるために好ましくない。
【0017】
発光層は、量子井戸構造を有している事が望ましく、1層以上で10層以下の井戸層を含んでいることが好ましい。量子井戸層は、0.4nm以上で20nm以下の厚さを有していることが好ましい。障壁層は、1nm以上で20nm以下の厚さを有していることが好ましい。
【0018】
井戸層と障壁層の少なくとも一方は、Si、O、S、Se、C、Ge、Be、Zn、CdおよびMgから選択された少なくとも一種のドーパントが添加されていてもよい。そのようなドーパントの添加量は、1×1016〜1×1020/cm3の範囲内にあることが好ましい。
【0019】
本明細書において、窒化物系半導体とは、そのV族構成元素の主要な元素がNである事を示しており、TN1-UU(TはIII族元素。B、Al、Ga、In、Tlを含む。VはN以外のV族元素。P、As、Sbを含む。ただし、0≦U≦0.3)で表される半導体である。V族元素にNを含む半導体であっても、逆にN以外の元素、例えば、As,P等が主要な元素となっている材料は、母体が違うことから、本願で言うところの窒化物系半導体とは性質が異なっており、窒化物系半導体には含めない。窒化物系半導体発光素子の基板材料としては、GaNが好ましく用いられ得る。以上のような窒化物系半導体発光素子は、光情報読出装置、光情報書込装置、光ピックアップ装置、レーザプリンタ装置、プロジェクタ装置、表示装置、白色光源装置などの種々の光学装置において好ましく用いられ得るものである。
【0020】
また、本明細書において活性層とは、特に半導体レーザである発光素子の発光層を指すものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
これより、本発明を実施した形態を具体的に挙げながら詳細に説明する。窒化物系半導体結晶層を成長させる際には、GaN、サファイア、6H−SiC、4H−SiC、3C−SiC、Si、スピネル(MgAl24)などが基板材料として用いられる。GaN基板と同様に、窒化物系半導体からなる他の基板をも用いることもでき、たとえばAlxGayInzN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)基板を用いることもできる。窒化物系半導体レーザの場合では、垂直横モードの単峰化のためにはクラッド層よりも屈折率の低い層がそのクラッド層の外側に接している必要があり、AlGaN基板を用いることも好ましい。さらに、Si、O、Cl、S、C、Ge、Zn、Cd、Mg、またはBeが基板にドーピングされてもよい。n型窒化物系半導体基板のためには、これらのドーピング材のうちでSi、Ge、O、およびClが特に好ましい。
【0022】
以下の実施例においては上述のような基板のうちで主にサファイア基板とGaN半導体のC面{0001}基板について説明されるが、その基板の主面となる面方位としては、C面のほかに、{11−20}、{1−102}、または{1−100}を用いてもよい。また、それらの面方位が0.1から2度程度のオフ角度を有する基板であれば、その上に成長させられる半導体結晶層の表面モフォロジが良好になり好ましい。
【0023】
結晶層を成長させる方法としては、有機金属気相成長法(MOCVD)、分子線エピタキシ法(MBE)、ハイドライド気相成長法(HVPE)などが一般的に利用される。これらの中でも、作製される窒化物系半導体層の結晶性や生産性を考慮すれば、基板としてはGaNまたはサファイアを使用し、結晶成長方法としてはMOCVD法を利用するのが最も一般的である。
(実施の形態1)
本実施の形態は、本発明をレーザ素子に適用した例について説明する。
(変性防止層はAl0.15Ga0.85Nであり、該変性防止層の成長温度は活性層成長時と同じ成長温度であり、活性層成長直後に変性防止層を形成し、その後昇温過程を行う。)
図1は、本実施の形態の窒化物系半導体のレーザ素子の製造法により作製した素子の断面図である。基板として、サファイア基板(101)を用い、その上にGaNバッファ層(102)、n型GaNコンタクト層(103)、n型Al0.09Ga0.91Nクラッド層(104)、n型GaNガイド層(105)、活性層(106)が形成される。活性層の上に、Al0.15Ga0.85N変性防止層(107)、p型GaNガイド層(108)、p型Al0.09Ga0.91Nクラッド層(109)、p型GaNコンタクト層(110)が形成され、結晶成長の後に、SiO2絶縁膜(111)、p型電極(112a)、n型電極(112b)が形成される。基板をGaNとしてもよい。
【0024】
図2は、本実施の形態および以下に記載する実施の形態の窒化物系半導体の結晶成長に用いたMOCVD装置の概略図である。図中、(101)は(0001)面を有するサファイア基板であり、本基板は炭素製のサセプタ(202)上の石英トレイ(203)に設置されている。サセプタの中には、やはり炭素でできた抵抗加熱用ヒーターが配置されており、熱電対により基板温度を制御することができる。(204)は二重の石英でできた反応管であり、水冷されている。V族原料は、N供給源としてNH3(209a)、As供給源としてアルシン(以後、AsH3)(209b)、P供給源としてフォスフィン(以後、PH3)(209c)を使用し、III族原料としては、トリメチルガリウム(以後、TMG)(211a)、トリメチルアルミニウム(以後、TMA)(211b)、トリメチルインジウム(以後、TMI)(211c)をN2またはH2(210)でバブリングして使用した。また、n型のドーピング原料としてはシラン(以後、SiH4)(212)を使用し、p型のドーピング原料としては、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(以後、Cp2Mg)(211d)を使用した。n型のドーピング原料としてはシランに変えてジシラン(Si26)あるいはゲルマン(GeH4)を用いる事も好ましい。
【0025】
各原料は、マスフローコントローラ(208)で正確に流量を制御してキャリアガスであるN2またはH2(210)と混合されて、原料入り口より反応管(204)に導入されて、排気ガス出口(205)から配管(206)を通じて排ガス処理装置(207)へと排出される。
【0026】
次に、本実施の形態のレーザ素子作製方法を説明する。
【0027】
まず、基板(101)を洗浄して、結晶成長装置内に設置する。基板は、H2雰囲気中1100℃程度の温度で10分程度熱処理を施し、その後温度を550℃程度に降温する。温度が一定になれば、キャリアガスをN2に替え、N2の全流量を10l/min.NH3を3l/min.流し、数秒後、TMGを20μmol/min.流し、1分間、低温でのGaNバッファー層(102)の成長を行った。成長した膜の厚さは30nmである。その後、TMGの供給を停止し、温度を1050℃まで昇温し、再びTMGを50μmol/min.とSiH4ガスを10nmol/min.供給してn型GaNコンタクト層(103)を4μm成長する。
【0028】
次に、TMAを10μmol/min.追加供給し、厚さ0.80μmのAl0.09Ga0.91Nのn型クラッド層(104)を成長する。次に、TMAの供給を停止し、0.1μm厚さのn型GaNガイド層(105)を形成する。その後、基板温度が750℃に下げられ、厚さ6nmのIn0.02Ga0.98N障壁層の複数と厚さ4nmのGaN1-XAsX(x=0.02)井戸層の複数とが交互に積層された多重量子井戸構造を有する活性層106を形成する。この実施例では、活性層106は障壁層で開始して障壁層で終了する多重量子井戸構造を有し、3層の量子井戸層を含んでいる。これらの障壁層と井戸層の成長の際には、それらの両方が1×1018/cm3のSi不純物濃度を有するように、SiH4が供給された。なお障壁層と井戸層の成長の間または井戸層と障壁層の成長の間に、1秒以上で180秒以下の成長中断期間を挿入してもよい。こうすることによって、障壁層と井戸層の平坦性が向上し、発光半値幅を小さくすることができる。活性層成長後に、TMGを10μmol/min.、TMAを5μmol/min.、及びCp2Mgを0.10nmol/min.供給し、30nmの厚さのAl0.15Ga0.85N(107)を成長する。つまり、変性防止層の成長温度は活性層の成長温度と同じであり、750℃である。その後、TMG、TMA、Cp2Mgの供給を停止し、NH3とN2の雰囲気中で、基板温度を再び1050℃に昇温する。このように昇温の雰囲気にはNH3とN2が含まれていることが好ましい。これにより、N以外のV族元素が含まれる窒化物系半導体結晶の発光層としての品質が劣化しにくくなる。
【0029】
昇温後、TMGを50μmol/min.とCp2Mgを0.20nmol/min.供給し、p型GaNガイド層(108)を0.1μm成長する。次に、TMAを10μmol/min.供給し、厚さ0.5μmのAl0.09Ga0.91Nのp型クラッド層(109)を成長する。その後、TMAの供給を停止し、TMGとCp2Mgを供給し、p型GaNコンタクト層(110)を0.05μm成長し、終了後、TMGとCp2Mgの供給を停止して基板加熱を終了する。
【0030】
次に、この成長膜をフォトリソグラフィとドライエッチング技術により、表面からp型クラッド層(109)途中までをエッチングし、幅2.5μmのリッジストライプ型に作製し、リッジストライプ外部にSiO2絶縁膜(111)を形成した。また、表面からn型GaNコンタクト層に達する溝を作製した後、露出したn型GaNコンタクト層にTi/Alよりなるn型電極(112b)、p型GaNコンタクト層表面に接合するPd/Pt/Auからなるp型電極(112a)を形成した。前記n電極材料としては、他にTi/Al/Mo/Au、Hf/Auを用いても良い。また、前記p型電極材料としては、他にNi/Au、Pd/Mo/Auを用いても良い。
【0031】
次に、ウエハーを劈開することにより、長さ650μmのレーザ共振器(ファブリ・ぺロー共振器)を形成した。前記共振器の帰還手法以外に、DFB(Distributed Feedback)、DBR(Distributed Bragg Reflector)を用いても構わない。
【0032】
また一方の共振器端面には70%の反射率を有する酸化チタン膜と弗化マグネシウムの誘電体多層膜を、前端面には反射率12%のシリコン窒化膜を形成し、最後にスクライブによりチップ分割して、レーザ素子を作製した。
【0033】
このように作製されたレーザ素子の特性を測定したところ、室温において、しきい値電流28mA、微分発光効率0.95W/Aと、低しきい値でかつ発光効率の高いレーザ連続発振が得られた。また、光出力35mWの室温での動作電流値は51.4mA、動作電圧は4.5V(投入電力:231.3mW)、発振波長410nmであった。p型電極を金属薄膜の半透過電極とし、10mAの電流を注入して活性層の発光の状況を観察したところ、均一でむらのない発光が確認できた。
【0034】
比較例として、本実施の形態の変性防止層に相当する層を、p型ガイド層やp型クラッド層と同じ1050℃で成長し、その他の条件を本実施の形態と同じにして成長したレーザ素子の場合、パルス条件での閾値電流は1A程度にもなり、室温での連続発振はしなかった。上記同様にして、活性層の発光の状況を観察したところ、発光に強度のムラが生じており、また、全く発光しない径数10μmの暗点がところどころに見られた。図12に、上記比較例の素子の活性層からの発光パターン(a)と、本実施の形態の素子の活性層からの発光パターン(b)を比較した。図12(a)において、黒い部分は非発光の部分、斜線部分は発光はしているが暗い部分、白い部分が明るく発光している部分である。これに対して、本実施の形態の発光パターン(b)では、非発光部分、暗い部分は観測されなかった。本実施の形態の変性防止層に相当する層をGaNとして形成したレーザ素子の場合、閾値電流は1A以上にもなり、上記同様に発光にムラが見られた。このように、2つの比較例において発光ムラが生じたことは、活性層が、その後の結晶成長過程において劣化したことを示している。このように観察される発光ムラは、半導体レーザにおいては発振に寄与しない部分、LEDにおいては発光に寄与しない部分があることを示しており、素子の発光特性をきわめて悪化させているのである。本実施の形態のように、V族元素として、N以外にAsが加わった窒化物系半導体結晶はNの含有率の高い六方晶系の結晶の中に、III族元素窒化物半導体(GaN)の中に、GaAs等のIII族元素砒化物半導体が析出してしまうような相分離を起こしやす傾向があることが明らかになった。このことは、前記発光ムラを生じたの素子の活性層からの発光パターンを高倍率で目視観察すると、周囲と異なる発光色(赤〜黄色)で発光する輝点が見えることからも確かめられる。このような輝点は、母体の発光(紫もしくは青色に感じられる)とは異なる発光波長を有したGaAs等のIII族元素砒化物半導体の微粒子からの微弱な発光であり、半導体レーザの動作に寄与せず、また、LEDにおいても、所要の発光色での発光に寄与しない。
【0035】
N以外のV族元素が加わった窒化物系半導体結晶においては、このように、六方晶系半導体であるIII族元素窒化物半導体(GaN)と、立方晶系(閃亜鉛構造)半導体であるIII族元素砒化物半導体(GaAs)との混晶半導体であるが、結晶構造が互いに異なっているために、混晶半導体が、V族元素としてNの成分が大部分であるIII族元素窒化物半導体ベースの混晶半導体である場合、III族元素窒化物半導体(GaN)の中に、III族元素砒化物半導体(GaAs)が析出してしまうような相分離を起こしやす傾向があり、そのため、活性層形成後クラッド層もしくはコンタクト層を成長する際に、活性層が変成し、発光に寄与しない部分が現れる性質がある。こうした変性の防止のために、Alを含む層を変性防止層として、その後の結晶成長温度よりも低い温度で形成する事で、N以外にAsが加わった窒化物系半導体結晶を含む発光層の劣化を防止できたものである。なお、N以外のV族元素として、AsをPに変えても、この事情は同じであった。
【0036】
上述のような相分離は、GaNP、GaNSb、GaNAsPSb、InGaNAs、InGaNP、InGaNSb、またはInGaNAsPSb等のように、As、P、またはSbをNと同じに含む他の窒化物系半導体井戸層においても同様に生じ得ることであり、実際にそうなっている事が本発明者らにより明らかになった。このようにAs、P、またはSbを含む窒化物系半導体の井戸層では現在LED等として実用化されているInGaN井戸層に比べて電子とホールの有効質量が小さくなるので、InGaN層を用いた従来のレーザ発振閾値電流密度に比べてその閾値を低くすることが期待できる。このことによって、低消費電力でかつ高出力のレーザ素子やその長寿命化の実現が期待できる。しかしながら、実際には、このような発光層(活性層)では、上述のように変性しやすい性質がある。このような変性の防止のために、Alを含む層を変性防止層として、その後の結晶成長温度よりも低い温度で形成する事で、N以外にAsが加わった窒化物系半導体結晶を含む発光層の劣化を防止できたのである。また、当然ながら、低温で形成したAlを含む層が発光層(活性層)の変性を防止する効果は、N以外にAsがV族元素として加わった窒化物系半導体結晶が障壁層として用いられた発光層や、量子井戸発光層でないいわゆるバルク発光層(活性層)の場合でも、同様に効果を奏し得るものである。ただし、バルク発光層を用いた場合には、成長方向に組成の揺らぎを生じてしまうので、本発明の効果が小さくなってしまう。
【0037】
以下に、実施の形態1の変形例あるいは好ましい範囲について記載するが、これらの記載は、実施の形態2以降のすべての実施の形態においても同様に有効なものである。
【0038】
本実施の形態において、井戸層の組成を上記特定のもので説明したが、井戸層中においてAs、P、またはSbの含有量は、目的とする発光素子の発光波長に応じて調整することができる。例えば、青紫色の410nm近傍の発光波長を得るためには、GaN1-xAsxの場合にはx=0.02、GaN1-yyの場合にはy=0.03、そしてGaN1-zSbzの場合にはz=0.01の程度にすればよい。また、青色の470nm付近の発光波長を得るためには、GaN1-xAsxの場合いはx=0.03、GaN1-yyの場合にはy=0.06、そしてGaN1-zSbzの場合にはz=0.02の程度にすればよい。さらに、緑色の520nm近傍の発光波長を得るためには、GaN1-xAsxの場合にはx=0.05、GaN1-yyの場合にはy=0.08、そしてGaN1-zSbzの場合にはz=0.03の程度にすればよい。さらにまた、赤色の650nm近傍の発光波長を得るためには、GaN1-xAsxの場合にはx=0.07、GaN1-yyの場合にはy=0.12、そしてGaN1-zSbzの場合にはz=0.04の程度にすればよい。
【0039】
さらに、井戸層としてInGaNAs系またはInGaNP系の半導体を用いる場合に目的とする発光波長を得るためには、Inの含有割合yに応じて、表1または表2に示された数値をAsもしくはPの含有割合xの値として採用すればよい。なお、ここに示した組成の数値は一例であり、発光層の構造、サイズ、測定方法等により、変化し得るものであり、要は、必要とする波長に応じて、実験的に多少変化させて適正化すれば良い。
【0040】
【表1】
Figure 0004567896
【0041】
【表2】
Figure 0004567896
【0042】
なお、このように、As、P、またはSbを含む窒化物系半導体結晶の発光層として用いられるに好ましいな形成条件は次のようなものである。
【0043】
まず、結晶成長温度は、N以外のV族元素としてPを用いる場合には、670〜930℃が好ましく、さらには700〜850℃が好ましい。N以外のV族元素としてAsを用いる場合には、650〜900℃が好ましく、さらには700〜850℃が好ましい。N以外のV族元素としてSbを用いる場合には、650〜900℃が好ましく、さらには690〜810℃が好ましい。成長温度が好ましい範囲より低い場合は表面マイグレーションが抑制されて、Nと、AsもしくはP、Sbとを同時に含む発光層の結晶性が低下し、高過ぎる場合は発光層が相分離して好ましくない。成長温度が、さらに好ましい範囲から外れる場合、上述のような周囲と異なる発光色の輝点が出現するようになる。
【0044】
また、本実施の形態では、NとAsもしくはP、Sbとを同時に含む窒化物系半導体からなる井戸層と、窒化物半導体からなる障壁層とを同一の成長温度で形成したが、これは必ずしも同一である必要は無い。N以外のV族元素をより大きい組成で含むほうの層を、より低温で形成する事も好ましいことである。例えば、本実施の形態において、障壁層を井戸層よりも50〜100℃程度高い温度で形成してもよい。
【0045】
また、量子井戸構造を用いる事が、組成の安定、発光効率の改善の点から、好ましく、その際、井戸層の厚さは0.4〜20nmの範囲内にあることが良い。
井戸層の厚さが20nm以下であれば成長方向に相分離を起こすことを抑制することができ、均質な結晶を得やすいからである。他方、井戸層の厚さが0.4nm以上であることを要するのは、この厚さより薄ければ井戸層が発光領域として作用しなくなるからである。
【0046】
活性層の不純物の添加に関しては、本実施例では井戸層と障壁層の両方に不純物としてSiを添加したが、片方の層のみに添加してもよいし、両層ともに添加されなくてもレーザ発振は可能である。しかし、フォトルミネッセンス(PL)測定によれば、井戸層と障壁層との両方にSiを添加した場合に、添加しない場合に比べてPL発光強度が約1.2倍から1.4倍程度強くなった。このように、本発明の発光素子においては、発光層中にSiなどの不純物を添加する方が好ましかった。本実施例ではSiを1×1018/cm3の濃度で添加したが、Si以外にO、S、C、Geなどを添加しても同様の効果が得られる。また、これらの添加原子の濃度は約1×1016〜1×1020/cm3程度が好ましい。一般に、レーザ素子の場合には、障壁層のみに不純物を添加する変調ドープを行えば、井戸層内でのキャリア吸収がないために閾値電流密度が低下するが、むしろ本発明の井戸層においては不純物を添加した方がレーザの閾値が低かった。これは、各層が格子不整合系として結晶成長を進めているので、結晶欠陥が多く、井戸層内での不純物によるキャリア吸収を考慮するよりも不純物を添加して結晶性を向上させた方がレーザ閾値電流密度の低減に有効であったと考えられる。
【0047】
また、このように、As、P、またはSbを含む窒化物系半導体発光層の変性防止層として用いられるに好ましい形成条件は次のようなものである。
【0048】
変性防止層の形成温度は、その上に形成される層(p型光ガイド層、p型クラッド層、p型コンタクト層)よりも低温である必要があり、さらに、好ましい形成温度は、発光層中のAs、P、またはSbを含む窒化物系半導体の形成温度に依存し、これから+200℃以下であることが好ましい。本実施の形態では、井戸層と同一温度で形成したが、井戸層よりもさらに低い形成温度で成長すれば、発光層の変性を防止する機能がより強くなり、特に、N以外のV族元素が15%以上含まれるような、特に組成分離が起こりやすいような発光層を用いる場合に効果がある。逆に、井戸層の形成温度以上、その上に形成される層(p型光ガイド層、p型クラッド層、p型コンタクト層)よりも低温で形成してもよい。変性防止層の形成温度の絶対値としては、800から950℃という温度が好ましく用いられ得る。この場合、変性防止層の結晶性が向上し、ドーピングされるMgが活性化しやすくなる。このことにより、変性防止層のキャリア濃度が本実施の形態よりも改善され、発光素子の温度特性がよくなる。つまり、温度変化に対しての特性の変化が小さくなる。
【0049】
変性防止層の組成は、AlGaNであり、少なくともAlの組成0.05を含む必要がある。Alの組成が0.05未満の場合、本実施の形態比較例の変性防止層に相当する層がGaNの場合と同じ結果になってしまう。好ましくは、0.05〜0.70が良く、さらには0.1〜0.50が好ましい。Al組成が大き過ぎると活性層周辺層に歪が過大に加わり、原子の活性層へ拡散、活性層からの拡散が生じやすくなるために、好ましくない。なお、変性防止層はAlGaNである事が望ましいが、AlGaNに変性防止層としての性質を大きく劣化させない程度で若干の他の元素、例えば、B、In、P、As、Sbが含まれていても、本発明の趣旨を逸脱するものではない。この、性質を大きく劣化させない程度とは、含まれる元素がInの場合には、Al組成の1/4程度以下であり、含まれる元素がP、As、Sbの場合、Al組成の1/8程度以下である。変性防止層の膜厚は1〜200nmが好ましく、特には5〜100nmが好ましい。膜厚が薄過ぎる場合、活性層の劣化を防ぐことが困難になり、厚過ぎる場合は、発光に関与するキャリアの障壁となり、また活性層に格子ひずみを与えるために好ましくない。
【0050】
また、本実施の形態のように、成長基板上にn型層から成長を行う場合は、変性防止層はp型が望ましく、この場合のドーパントは、Zn、Mgとなり、ドーパント濃度は1×1016〜1×1022cm-3が好ましく、さらには1×1018〜1×1021cm-3が好ましい。ドーパント濃度が低過ぎると、抵抗が大きく、素子の動作電圧が大きくなり、特性が低下するため好ましくなく、ドーパント濃度が高過ぎると、ドーパントが拡散し、素子特性が低下し、好ましくない。ドーパントはZn、Mgそれぞれ単独に添加を行っても、同時に添加をしても効果があることを確認している。また同時にSi、OをZn、Mg等の添加量未満の濃度添加することも好ましい。
【0051】
また、本実施の形態では、(0001)面を有するサファイア基板を使用した例について記述したが、他の面のサファイア基板、GaN、SiC、スピネル、マイカ等が適用でき、いずれの基板でも本実施の形態と同様の効果が現われることを確認している。
【0052】
また、サファイア、GaN、六方晶SiCのc面基板を用いる場合、基板面の垂直方向(結晶の積層方向)と成長基板のc軸が0.1度以上2度以下の任意の方向へのオフアングルを持っている場合、より好ましくは0.1度〜0.3度の任意の方向へのオフアングルを持っている場合、変性防止層の平坦性が促進され、素子の特性がさらに向上することを確認している。
【0053】
また、基板としてGaNを使用する場合には、H2雰囲気中の熱処理と低温でのバッファー層の成長は行う必要がなく、昇温は、不活性ガスを主とするキャリアガスとNH3雰囲気中で行い、TMG及び/またはSiH4の導入と同時に下層のGaN膜の成長から行うことができ、このときも作製された発光素子は本実施の形態と同様の効果が現われている。
【0054】
また、本実施の形態では、低温バッファー層としてGaN膜を成長した場合について記述したが、低温バッファー層としてはAlηGa1-ηN(0≦η≦1)を使用しても、さらにZnOを用いた場合も、発光素子を作製する上で何ら問題がなく、いずれの場合でも本実施の形態と同様の効果が現われている。
【0055】
また、本実施の形態の変性防止層の効果は、窒化物系半導体レーザ素子だけでなく、発光ダイオードの特性にも充分な効果があることを確認している。
(実施の形態2)
本実施の形態では、変性防止層の成長温度プロファイルを変化させて、窒化物系半導体レーザ素子を作製した結果について説明する。
【0056】
本実施の形態の窒化物系半導体レーザ素子の製造法により作製した膜の断面図は、実施の形態1の説明に用いた図1と同一のものである。
【0057】
図6、図7、図8、図9、及び図10は、実施の形態1、本実施の形態の窒化物系半導体のレーザ素子の製造法の活性層近傍の成長温度プロファイルを示す図である。
【0058】
まず、実施の形態1の窒化物系半導体レーザ素子の製造法における変性防止層の成長プロセスの場合は、活性層成長温度と同じ成長温度で変性防止層を形成を完了し、その後昇温してからp型光ガイド層を形成している。(図6)
次に、活性層の成長後、昇温中に変性防止層を形成する、本実施の形態の場合について説明する。
【0059】
成長方法は、変性防止層以外は、実施の形態1と同様の方法である。図7のように、活性層成長後、昇温中に、TMGを10μmol/min.、TMAを5μmol/min.、及びCp2Mgを0.10nmol/min.供給し、30nmの厚さのAl0.15Ga0.85N変性防止層(107)を成長する。その後、TMAの供給を停止し、p型光ガイド層を成長する。その後は、実施の形態1と同様の方法で成長を続行し、結晶成長終了後、成長結晶を処理し、レーザ素子を作製した。
【0060】
このレーザ素子の特性を測定したところ、低しきい値で、発光効率の高いレーザ連続発振が得られた。光出力35mWの室温での投入電力は225.6mWであり、実施の形態1で述べた比較例よりも、素子の性能は向上していることがわかる。変性防止層が実施の形態1の場合よりもより高温で成長される部分があることからこの層の結晶性が向上したためと考えられる。
【0061】
図8、及び図9に示すように、活性層成長終了後に昇温を開始し、昇温と同時に、変性防止層の成長を行い、一定時間の成長中断の後に光ガイド層を成長させた場合にも、本実施の形態と同様の効果があることを確認している。この際の成長中断は昇温中であっても、p型光ガイド層成長温度まで昇温後の一定温度であっても、同様の効果を得られる。
【0062】
また、図10に示すように、活性層成長後に、活性層成長温度と同じ温度で変性防止層の形成を完了し、そのまま同じ温度で一定時間の成長中断の後に昇温を実施し光ガイド層を成長させた場合にも、本実施の形態と同様の効果があることを確認している。
【0063】
また、図6、図7、図8、図9、及び図10に示すプロセスにおいて、活性層成長後に成長中断プロセスを挿入した場合にも、本実施の形態と同様の効果があることを確認している。この中断の時の温度は、活性層成長温度と同じ温度であっても、昇温中でよい。更に昇温中の成長中断の場合、成長中断を終わって、変性防止層の成長を始める時の温度は、p型光ガイド層成長温度よりも低い温度にする必要がある。
【0064】
また、変性防止層成長中に成長中断を行い、さらに変性防止層の成長を行ってもよい。
【0065】
また、2回以上の成長中断を行ってもよい。この場合、初回の変性防止層と2回目以降の変性防止層の組成及びドーピング濃度は異なっていても本実施の形態と同様の効果があることを確認している。例えば、Al0.1Ga0.9Nに続いて、第2の変性防止層Al0.15Ga0.85N、第3の変性防止層Al0.20Ga0.80Nを成長させてもよい。また、連続的にAl0.15Ga0.85NからAl0.20Ga0.80Nまで変化させても良い。変性防止層成長中は、一定温度、昇温、降温等の2種類以上のプロセスを組み合わせてもよい。
【0066】
また、本実施の形態では、活性層の障壁層成長後に変性防止層を成長させているが、変性防止層の成長は、井戸層形成後に行っても本実施の形態と同様の効果があることを確認している。活性層の形成時に井戸層、及び障壁層形成後にそれぞれ成長中断時間を設けて、活性層の結晶性を整えてから、変性防止層を形成すれば素子特性がさらに向上することを確認している。
【0067】
また、本実施の形態では、変性防止層の昇温中の成長開始温度は、発光層の成長温度と同じとしたが、発光層中のAs、P、またはSbを含む窒化物系半導体の成長温度以上であれば、同じである必要は無い。これら発光層を有効に変性防止する為には、発光層中のAs、P、またはSbを含む窒化物系半導体の成長温度から+200℃以下である成長温度から成長開始することがよい。本実施の形態では、井戸層と同一温度から成長開始したが、井戸層よりもさらに低い形成温度から成長開始すれば、発光層の変性を防止する機能がより強くなり、特に、N以外のV族元素が15%以上含まれるような、特に組成分離が起こりやすいような発光層を用いる場合に効果がある。
【0068】
また、発光ダイオードの場合は、上記の説明におけるp型クラッド層が用いられる必要は殆どないので、p型クラッド層を省略した構造で、上記の成長方法で本実施の形態と同様の効果があることを確認している。
【0069】
本実施の形態において、活性層もしくは変性防止層成長中もしくは成長前後における成長中断を行った場合については、成長中断を行わない場合よりも、投入電力が比較的小さかった。これは活性層、もしくは変性防止層の成長後、N2およびNH3雰囲気中で熱にさらし、時間をおくことで、表面原子のマイグレーション等により、各層の表面平坦性が促進されて、界面が急峻になり、結果として、素子全体の結晶性が向上することにより、低しきい値でかつ発光効率の高いレーザが得られたと考えられる。
【0070】
成長中断は、1秒から5分が好ましく、さらには10秒から1分が好ましい。
中断時間が短すぎるとガスの追い出し効果が低下し、中断時間が長すぎると再蒸発等で成長表面が荒れ好ましくない。
【0071】
本実施の形態では、成長中断中の雰囲気ガスとしてN2とNH3を使用しているが、N2のみを使用しても本実施の形態と同様の効果が現われることを確認している。
【0072】
また、本実施の形態に記載の変性防止層形成プロセス(温度プロファイル)を以下に記載の他の実施の形態の半導体発光素子に適用してもよく、この場合も本実施の形態と同様の効果が得られた。
(実施の形態3)
本実施の形態では、変性防止層にn型の不純物を添加した例について説明する。図3は、本実施の形態の窒化物系半導体のレーザ素子の製造法により作製した素子の断面図である。
【0073】
基板として、サファイア基板(101)を用い、その上にGaNバッファ層(502)、p型GaNコンタクト層(503)、p型クラッド層(504)、p型GaNガイド層(505)、活性層(506)が形成される。活性層の上に、AlGaN変性防止層(Al組成0.05以上)(507)、n型GaNガイド層(508)、n型クラッド層(509)、n型GaNコンタクト層(510)が形成され、結晶成長の後に、SiO2絶縁膜(511)、n型電極(512a)、p型電極(512b)が形成される。
【0074】
次に、レーザ素子作製方法を述べる。
【0075】
まず、基板(101)を洗浄して、結晶成長装置内に設置する。基板は、H2雰囲気中1100℃程度の温度で10分程度熱処理を施し、その後温度を550℃程度に降温する。温度が一定になれば、キャリアガスをN2に替え、N2の全流量を10l/min.NH3を3l/min.流し、数秒後、TMGを20μmol/min.流し、1分間、低温でのGaNバッファー層(502)の成長を行った。成長した膜の厚さは30nmである。その後、TMGの供給を停止し、温度を1050℃まで昇温し、再びTMGを50μmol/min.とCp2Mgを0.20nmol/min.供給してp型GaNコンタクト層(503)を4μm成長する。
【0076】
次に、TMAを10μmol/min.追加供給し、厚さ0.80μmのAl0.09Ga0.91Nのp型クラッド層(504)を成長する。次に、TMAの供給を停止し、0.1μm厚さのp型GaNガイド層(505)を形成する。p型GaNガイド層(505)成長後、Cp2MgとTMGの供給を停止し、基板の温度を730℃まで低下させ、温度が安定すると、実施の形態1と同じ活性層を同様に成長した。活性層成長後に、TMGを10μmol/min.、TMAを5μmol/min.、及びSiH4を10nmol/min.供給し、30nmの厚さのAl0.15Ga0.85N変性防止層(507)を成長する。その後、TMG、TMA、SiH4の供給を停止し、NH3とN2の雰囲気中で、基板温度を再び1050℃に昇温する。
【0077】
昇温後、TMGを50μmol/min.とSiH4を供給し、n型GaNガイド層(508)を0.1μm成長する。次に、TMAを10μmol/min.供給し、厚さ0.05μmのAl0.09Ga0.91Nのn型クラッド層(509)を成長する。その後、TMAの供給を停止し、TMGとSiH4を供給し、n型GaNコンタクト層(510)を0.5μm成長し、終了後、TMGとSiH4の供給を停止して基板加熱を終了する。
【0078】
次に、この成長膜をフォトリソグラフィとドライエッチング技術により、表面からn型クラッド層(509)表面までをエッチングし、幅3μmのリッジストライプ型に作製し、リッジストライプ外部にSiO2絶縁膜(511)を形成し、また、表面からp型GaNコンタクト層に達する溝を作製した後、露出したp型GaNコンタクト層にPd/Pt/Auよりなるp型電極(512b)、n型GaNコンタクト層表面に接合するTi/Alよりなるn型電極(512a)を形成した。
【0079】
次に、GaN系結晶を劈開することにより、長さ650μmのレーザ共振器を形成した。レーザ出射面側の共振器端面には、反射率12%のシリコン窒化膜を形成し、反対側の共振器端面には70%の反射率を有する酸化チタン膜と弗化マグネシウムの誘電体多層膜を形成し、最後にスクライブによりチップ分割して、レーザ素子を作製した。
【0080】
このレーザ素子の特性を測定したところ、低しきい値で、発光効率の高いレーザ連続発振が得られた。光出力35mWの室温での投入電力は、279.7mWであった。本実施の形態の活性層の発光パターンもムラが無く、実施の形態1と同様に活性層の変性防止の効果が見られた。
(実施の形態4)
本実施の形態では、変性防止層のAl組成を活性層およびp型ガイド層に近づくにつれて低減させた窒化物系半導体レーザ素子を作製した結果について説明する。本実施の形態の窒化物系半導体のレーザ素子の製造法により作製した膜の断面図は、実施の形態1の説明に用いた図1と同一のものである。
【0081】
図4は、本実施の形態の窒化物系半導体のレーザ素子の製造法における変性防止層成長時の各原料の供給量の経時変化を示す図である。変性防止層作製時以外の成長方法は、実施の形態1と同様の方法である。
【0082】
活性層成長後に、成長温度はそのままで、図4のように、TMGを10μmol/min.、Cp2Mgを0.10nmol/min.、TMAを供給し、30nmの厚さのAlGaN変性防止層(107)を成長する。形成されたAlGaN変性防止層のAl組成は、低いところで0.05、高いところで0.3であった。その後、TMAの供給を停止し、NH3とN2の雰囲気中で、基板温度を再び1050℃に昇温する。
【0083】
昇温後、TMGを50μmol/min.とCp2Mgを0.20nmol/min.供給し、p型GaNガイド層(108)を0.1μm成長する。その後は、実施の形態1と同様の方法で成長を行い、結晶膜を処理し、レーザ素子を作製した。成長終了後は、実施の形態1と同様の方法で成長結晶を処理し、レーザ素子を作製した。
【0084】
このレーザ素子の特性を測定したところ、低しきい値で、発光効率の高いレーザ連続発振が得られた。光出力35mWの室温での投入電力:211.3mWであり、p型クラッド層のAl高混晶層のAl組成を変化させない素子と比して、発光特性は向上していることを確認した。また、寿命特性も向上していた。これは、変性防止層のAl組成を活性層、および光ガイド層に近い範囲では、小さくし、中間部分で大きくすることで、活性層の劣化を防ぎ、なおかつ活性層と光ガイド層に与える格子ひずみを抑えられ、原子の拡散を抑制する効果が発揮された結果、投入電力−光出力の関係が良好なものになったためと考えられる。
【0085】
また、本実施の形態では、活性層の障壁層成長後に変性防止層を成長させているが、変性防止層の成長は、井戸層形成後に行っても本実施の形態と同様の効果があることを確認している。
(実施の形態5)
本実施の形態では、クラッド層にIn1-wGawN(0<w<1)クラック防止層を組込んだ窒化物系半導体レーザ素子を作製した結果について説明する。図5は、本実施の形態の窒化物系半導体のレーザ素子の製造法により作製した素子の断面図である。基板として、サファイア基板(101)を用い、その上にGaNバッファ層(102)、n型GaNコンタクト層(103)が形成される。その上にIn0.1Ga0.9Nクラック防止層(713)が形成される。クラック防止層の上に、n型Al0.09Ga0.91Nクラッド層(104)が形成され、その上に、n型GaNガイド層(105)、活性層(106)、Al0.15Ga0.85N変性防止層(107)、p型GaNガイド層(108)、p型Al0.09Ga0.91Nクラッド層(109)が形成される。p型クラッド層(109)の上にはp型GaNコンタクト層(110)が形成され、結晶成長の後に、SiO2絶縁膜(111)、p型電極(112a)、n型電極(112b)が形成される。
【0086】
n型コンタクト層の形成までは、実施の形態1の方法と同様である。n型コンタクト層形成後、次に、TMAの供給を停止して、SiH4を5.0nmol/min.、TMGを10μmol/min.、TMIを50μmol/min.供給し、In0.2Ga0.8NからなるIn0.1Ga0.9Nクラック防止層(713)を0.1μmの厚さになるように成長した。その後、TMAを10μmol/min.追加供給し、厚さ0.80μmのAl0.09Ga0.91Nのn型クラッド層(104)を成長する。後の工程は、実施の形態1と同様の方法でn型GaNガイド層(105)、活性層(106)、Al0.15Ga0.85N変性防止層(107)、p型GaNガイド層(108)、p型Al0.09Ga0.91Nクラッド層(109)、p型GaNコンタクト層(110)の成長を行い、結晶膜を処理し、レーザ素子を作製した。
【0087】
このレーザ素子の特性を測定したところ、低しきい値で、発光効率の高いレーザ連続発振が得られた。光出力35mWの投入電力は、203.5mWであり、また、寿命特性も向上していた。本実施の形態の活性層の発光パターンもムラが無く、実施の形態1と同様に活性層の変性防止の効果が見られた。
【0088】
本実施の形態のように、Al0.15Ga0.85N変性防止層が具備された発光素子に、クラック防止層を導入した場合、光出力35mWに必要とされる投入電力は減少していた。この原因は、クラック防止層によって、歪が減少したことで、原子の拡散を促進する要因が減り、活性層の結晶性が向上し、変性防止の効果が高まったためと考えられる。
【0089】
本実施の形態においては、クラック防止層の挿入位置は、n型コンタクト層とn型クラッド層の間であるが、その他に、n型コンタクト中、n型クラッド層中、ないしはn型クラッド層とn型ガイド層の間でも、本実施の形態と同様の効果が得られる。また、挿入箇所も1つに限定されない。また、p型コンタクト層から成長する場合、クラック防止層の挿入位置は、p型コンタクト層とp型クラッド層の間、p型コンタクト中、p型クラッド層中、ないしはp型クラッド層とp型ガイド層の間でも、本実施の形態と同様の効果が得られる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、成長用基板としてGaN基板を用いて、本発明を適用して窒化物系半導体レーザ素子を作製した結果について説明する。図11は、本実施の形態の窒化物系半導体のレーザ素子の製造法により作製した素子の断面図である。基板として、n型GaN基板(801)を用い、その上にn型GaN層(802)、n型Al0.09Ga0.91Nクラッド層(803)が形成される。n型Al0.09Ga0.91Nクラッド層(803)の上に、n型GaNガイド層(804)、活性層(805)、Al0.3Ga0.7N変性防止層(806)、p型GaNガイド層(807)、p型Al0.09Ga0.91Nクラッド層(808)が形成される。p型Al0.09Ga0.91Nクラッド層(808)の上にはp型GaNコンタクト層(809)が形成され、結晶成長の後に、SiO2絶縁膜(810)、p型電極(811a)、n型電極(811b)が形成される。
【0090】
本実施の形態で使用したMOCVD装置の概略図は、実施の形態1の説明に用いた図2と同一のものである。基板として(0001)面を有するn型GaN基板を用い、窒化物系半導体層を成長していく。
【0091】
まず、n型GaN基板(801)を洗浄して、結晶成長装置内に設置する。基板は、NH3雰囲気中1050℃まで昇温し、TMGを50μmol/min.とSiH4ガスを10nmol/min.供給してn型GaN層(802)を4μm成長する。
【0092】
次に、TMAを10μmol/min.追加供給し、厚さ0.80μmのn型n型Al0.09Ga0.91Nクラッド層(803)を成長する。次に、TMAの供給を停止し、0.1μm厚さのn型GaNガイド層の製造(804)を行う。n型GaNガイド層(804)成長後、SiH4とTMGの供給を停止し、基板の温度を730℃まで低下させ、実施の形態1の場合と同様にして活性層を成長した。活性層成長後に、TMGを10μmol/min.、TMAを9μmol/min.、及びCp2Mgを0.10nmol/min.供給し、30nmの厚さのAl0.3Ga0.7N変性防止層(806)を成長する。
【0093】
その後、TMG、TMA、Cp2Mgの供給を停止し、基板温度を再び1050℃に昇温する。昇温後、TMGを50μmol/min.とCp2Mgを0.20nmol/min.供給し、p型GaNガイド層(807)を0.1μm成長する。次に、TMAを10μmol/min.追加供給し、厚さ0.80μmのp型Al0.09Ga0.91Nクラッド層(808)を成長する。成長終了後、TMAの供給を停止し、TMGとCp2Mgを供給し、p型GaNコンタクト層(809)を0.1μm成長し、終了後、TMGとCp2Mgの供給を停止して基板加熱を終了する。
【0094】
次に、この成長膜をフォトリソグラフィとドライエッチング技術により、GaN系の結晶の<1−100>方向に平行に、表面からp型クラッド層(808)表面までをエッチングし、幅1.6μmのリッジストライプ型に作製し、リッジストライプ外部にTiO2絶縁膜(810)を形成し、また、n型GaN基板裏面にTi/Alよりなるn型電極(811b)、p型GaNコンタクト層表面に接合するPd/Auからなるp型電極(811a)を形成した。
【0095】
次に、(1−100)面にて、GaN系結晶を劈開することにより、長さ500μmのレーザ共振器を形成した。光出射側の共振器端面に反射率12%のシリコン窒化膜を形成し、反対側の共振器端面には70%の反射率を有する酸化チタン膜と弗化マグネシウムの誘電体多層膜を、形成し、最後にスクライブによりチップ分割して、レーザ素子を作製した。
【0096】
このように作製されたレーザ素子の特性を測定したところ、光出力35mWの室温での投入電力は191.3mWであった。本実施の形態の活性層の発光パターンもムラが無く、実施の形態1と同様に活性層の変性防止の効果が見られた。
【0097】
本実施の形態では、GaN基板を用いることで、n電極作製のためのエッチング工程がなくなり、また基板と素子の劈開方向が同一なので、チップの切り出しが容易になり、歩留まりが大幅に向上する。
(実施の形態7)
本実施の形態の窒化物系半導体のレーザ素子の製造法により作製したレーザ素子の断面図は、実施の形態1の説明に用いた図1と同様のものであり、これを流用して説明する。本実施の形態で使用したMOCVD装置の概略図は、実施の形態1の説明に用いた図2と同一のものである。本実施の形態の窒化物系半導体のレーザ素子の製造法における変性防止層成長時の各原料の供給量の経時変化を示す図は、図6に示す実施の形態1のものと同様である。実施の形態1との違いは活性層の材料が異なる点である。
【0098】
活性層成長前までは、実施の形態1の方法と同様である。n型GaNガイド層(105)成長後、SiH4とTMGの供給を停止し、基板の温度を730℃まで低下させ、温度が安定すると、TMGを10μmol/min.、TMIを10μmol/min.で供給し、In0.05Ga0.95Nからなる活性層の障壁層を5nmの厚さになるように成長した。活性層成長時には、SiH4を10nmol/min.程度流しても良い。その後、TMGを10μmol/min.、TMIを50μmol/min.、AsH3を10nmol/min.供給し、In0.1Ga0.90.95As0.05からなる活性層の井戸層を3nmの厚さになるように成長した。その後、TMIを10μmol/min.に変更し、In0.05Ga0.95Nからなる活性層の障壁層を5nmの厚さになるように成長した。この活性層となる障壁層と井戸層の成長を繰り返し、3層の多重量子井戸層を成長した後、最後に障壁層を成長して活性層(106)の成長を終了する。活性層成長後に、TMGを10μmol/min.、TMAを5μmol/min.、及びCp2Mgを0.10nmol/min.供給し、15nmの厚さのAl0.4Ga0.6N変性防止層(107)を成長する。その後、TMG、TMA、AsH3、Cp2Mgの供給を停止し、NH3とN2の雰囲気中で、基板温度を再び1050℃に昇温する。その後は、実施の形態1と同様の方法で成長を続け、その後の素子化工程を経て、レーザ素子を作製した。
【0099】
このように作製されたレーザ素子の特性を測定したところ、光出力35mWの室温での投入電力は178.8mWであった。活性層からの発光パターンを観察したところ、変性防止層を設けない場合のようなムラが見られなかった。
(実施の形態8)
本実施の形態においては、実施の形態1ないし7における活性層中の井戸層と障壁層に不純物Siの代わりに1×1020/cm3のCが添加された。このように、井戸層と障壁層において不純物Siの代わりにCを用いた場合にも、各実施の形態同様、活性層変性防止同様の効果が得られた。
(実施の形態9)
本実施の形態においては、実施の形態1ないし7における活性層に含まれる井戸層と障壁層が5周期のGaN0.980.02井戸層(厚さ2nm)/Al0.01In0.06Ga0.93N障壁層(厚さ4nm)に変更されたが、それぞれの各実施の形態同様、活性層変性防止同様の効果が得られた。
(実施例の形態10)
本実施の形態においては、実施の形態1ないし9における活性層に含まれる井戸層と障壁層が10周期のGaN0.95Sb0.05井戸層(厚さ0.4nm)/GaN障壁層(厚さ1nm、Al濃度5×1018/cm3)に変更されたが、それぞれの各実施の形態同様、活性層変性防止同様の効果が得られた。
(実施例の形態11)
本実施の形態においては、実施の形態1ないし9における活性層に含まれる井戸層と障壁層が2周期のGaN0.97As0.03井戸層(厚さ6nm)/In0.04Al0.02Ga0.940.990.01障壁層(厚さ6nm)に変更されたが、それぞれの各実施の形態同様、活性層変性防止同様の効果が得られた。
(実施例の形態12)
本実施の形態においては、実施の形態1ないし9における活性層に含まれる井戸層と障壁層が4周期のGaN0.98As0.02井戸層(厚さ4nm)/Al0.01Ga0.990.99As0.01障壁層(厚さ10nm)に変えられたが、それぞれの実施例と同様の効果が得られた。
(実施例の形態13)
本実施の形態においては、実施の形態1ないし9における活性層に含まれる井戸層と障壁層が3周期のGaN0.970.03井戸層(厚さ18nm)/Al0.01Ga0.990.980.02障壁層(厚さ20nm)に変えられたが、それぞれの実施例と同様の効果が得られた。
(実施例の形態14)
本実施の形態においては、実施の形態1ないし9における活性層に含まれる井戸層と障壁層が3周期のGaN0.970.03井戸層(厚さ5nm)/Al0.1Ga0.90.940.06障壁層(厚さ5nm)に変えられた。変性防止層が、Al0.4Ga0.55In0.05N(すなわち、Inの組成はAl組成の1/8)に変更されたが、それぞれの実施例と同様の効果が得られた。
(実施例の形態15)
本実施の形態においては、実施の形態1ないし9における活性層に含まれる井戸層と障壁層が3周期のIn0.05Ga0.950.980.02井戸層(厚さ4nm)/Al0.01In0.06Ga0.93N障壁層(8nm)に代えられたが、それぞれの実施例と同様の効果が得られた。
(実施例の形態16)
本実施の形態においては、実施の形態1ないし9における活性層に含まれる井戸層と障壁層が5周期のIn0.1Ga0.90.94As0.06井戸層(2nm)/Al0.01In0.06Ga0.93N障壁層(4nm)に代えられたが、それぞれの実施例と同様の効果が得られた。
(実施例の形態17)
本実施の形態においては、実施の形態1ないし9における活性層に含まれる井戸層と障壁層が5周期のAl0.01In0.1Ga0.890.94As0.06井戸層(2nm)/Al0.01In0.06Ga0.93N障壁層(4nm)に代えられたが、それぞれの実施例と同様の効果が得られた。
(実施例の形態18)
本実施の形態においては、実施の形態1ないし9における活性層に含まれる井戸層と障壁層が5周期のAl0.01In0.05Ga0.940.960.04井戸層(4nm)/Al0.01In0.06Ga0.93N障壁層(8nm)に代えられたが、それぞれの実施例と同様の効果が得られた。
【0100】
【発明の効果】
上記のように、本発明を適用することで、発光層の劣化が無く、発光効率が高い窒化物系半導体の発光素子を製造することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の窒化物系半導体のレーザ素子の製造法により作製した素子の断面図である。
【図2】本発明の窒化物系半導体のレーザ素子の製造に用いたMOCVD装置の概略図である。
【図3】実施の形態3の窒化物系半導体のレーザ素子の製造法により作製した素子の断面図である。
【図4】実施の形態4の窒化物系半導体のレーザ素子の製造法における変性防止層成長時の各原料の供給量の経時変化を示す図である。
【図5】実施の形態5の窒化物系半導体のレーザ素子の製造法により作製した素子の断面図である。
【図6】実施の形態1の窒化物系半導体のレーザ素子の製造法の活性層近傍の成長温度プロファイルを示す図である。
【図7】実施の形態2の窒化物系半導体のレーザ素子の製造法の活性層近傍の成長温度プロファイルを示す図である。
【図8】実施の形態2の窒化物系半導体のレーザ素子の製造法の活性層近傍の成長温度プロファイルを示す図である。
【図9】実施の形態2の窒化物系半導体のレーザ素子の製造法の活性層近傍の成長温度プロファイルを示す図である。
【図10】実施の形態2の窒化物系半導体のレーザ素子の製造法の活性層近傍の成長温度プロファイルを示す図である。
【図11】実施の形態6の窒化物系半導体のレーザ素子の製造法により作製した素子の断面図である。
【図12】実施の形態1の窒化物系半導体のレーザ素子の製造法により作製した素子およびその比較例素子の活性層からの発光パターンを示した図である。(a)が比較例素子、(b)が実施の形態1の素子の発光パターンである。
【符号の説明】
101…サファイア基板
102…GaNバッファ層
103…n型GaNコンタクト層
104…n型Al0.09Ga0.91Nクラッド層
105…n型GaNガイド層
106…活性層
107…Al0.15Ga0.85N変性防止層
108…p型GaNガイド層
109…p型Al0.09Ga0.91Nクラッド層
110…p型GaNコンタクト層
111…SiO2絶縁膜
112a…p型電極
112b…n型電極
502…GaNバッファ層
503…p型GaNコンタクト層
504…p型Al0.09Ga0.91Nクラッド層
505…p型GaNガイド層
506…活性層
507…Al0.15Ga0.85N変性防止層
508…n型GaNガイド層
509…n型Al0.09Ga0.91Nクラッド層
510…n型GaNコンタクト層
511…SiO2絶縁膜
512a…n型電極
512b…p型電極
713…In0.1Ga0.9Nクラック防止層
801…GaN基板
802…n型GaN層
803…n型Al0.09Ga0.91Nクラッド層
804…n型GaNガイド層
805…活性層
806…Al0.3Ga0.7N変性防止層
807…p型GaNガイド層
808…p型Al0.09Ga0.91Nクラッド層
809…p型GaNコンタクト層
810…TiO2絶縁膜
811a…p型電極
811b…n型電極

Claims (9)

  1. 基板上に、第1導電型窒化物系半導体層を成長する第1の工程と、N以外のV族元素を構成元素として含む窒化物系半導体を有する発光層を温度T1を含む成長温度で成長する第2の工程と、AlaGa1-aN(0.05≦a≦1)からなる変性防止層を温度T2を含む成長温度で成長する第3の工程と、第2導電型窒化物系半導体層を温度T3(T1<T3,T2<T3)を含む成長温度で成長する第3の工程とを、この順に有することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
  2. 前記発光層は、井戸層の厚さ0.4〜20nmの範囲内の量子井戸構造として形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子の製造方法。
  3. 前記変性防止層は、膜厚が1〜200nmであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
  4. 前記N以外のV族元素は、Pであって、前記T1は、670〜930℃であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
  5. 前記N以外のV族元素は、Asであって、前記T1は、650〜900℃であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
  6. 前記N以外のV族元素は、Sbであって、前記T1は、650〜900℃であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
  7. 前記T2は、T2≦T1+200℃であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
  8. 前記変性防止層は、成長温度を上昇させながら形成されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
  9. 前記第2の工程の、前または後の少なくともいずれかに、成長中断期間が設けられることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
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