JP4566572B2 - 車載レーダ装置 - Google Patents
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Description
上記従来装置の場合、自車両の速度を得るための車速センサと、変調制御電圧発生器と、76GHz〜77GHz程度の送信周波数を有する電磁波を発生する電圧制御発振器と、電磁波電力を送信用アンプまたは受信側ミキサに切り替えて供給する送受切替スイッチと、電磁波電力を増幅する送信用アンプと、増幅された電磁波を空間に送信する送信用アンテナと、目標物体(検出対象)で反射された送信電磁波の反射波を受信する受信用アンテナと、受信電磁波を増幅する受信用アンプと、送信用電磁波および反射電磁波をミキシングして目標物体までの距離および目標物体の相対速度に応じたビート信号を出力するミキサと、カットオフ周波数を送信パルス時間幅の逆数にするローパスフィルタと、反射波の受信電力に応じてゲインを調整するAGCアンプと、ビート信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、ビート信号のA/D変換値に基づいて目標物体までの距離および目標物体の相対速度を計算する距離演算部と、を備えている。
距離演算部は、距離補正部を有しており、算出された距離および相対速度、距離ゲートおよび自車速度などに基づいて算出された距離を補正するようになっている。
まず、電圧制御発振器は、変調制御電圧発生器からの電圧信号に応じて変調された電磁波を出力する。この変調電磁波は、送受切替スイッチを介して送信用アンプに供給され、増幅された後、送信用アンテナから空間に出力される。
また、送信用アンテナから空間に出力された電磁波は、33.3nsだけ出力されるパルス波となり、自車両から或る距離だけ離れた目標物体で反射されて受信される。この受信電磁波は、送信電磁波に対して、目標物体までの距離に依存する遅延時間をもって受信用アンテナに入力される。
受信用アンテナから入力された電磁波は、受信用アンプにより増幅され、ミキサにより電圧制御発振器からの送信用電磁波とミキシングされ、ビート信号を出力する。
得られたビート信号は、たとえばカットオフ周波数が30MHzのフィルタを通過し、送信波の周波数と受信波の周波数との周波数差(以下、「ビート周波数」と称する)成分を持つ信号となり、AGCアンプにより増幅されてA/D変換器に入力され、デジタル信号に変換される。
ここでは、説明を簡略化するため、電圧制御発振器でFM変調を行わず、送信周波数を76.5GHzとする。
所定の速度分解能(=1km/h)を得たい場合、ドップラ周波数の分解能Δfは、以下の式(1)となる。
ここで、最大計測距離を150mとした場合、送信波出力周期は、33.3ns×30(=1μs)となるので、速度分解能「1km/h」を得るためには、ビート信号を、距離ゲート毎に送信波出力(=7060回分)を取得し、すべてのデータを距離ゲート毎にFFT演算する必要がある。これにより、検出時の距離ゲートで、ドップラシフトが出力される。
ここで、目標物体までの距離Rg、目標物体の相対速度Vは、以下の式(2)、(3)のように計算される。
このとき、送信用アンテナから電磁波が出力され、目標物体に反射して、受信用アンテナに入力されるまでの時間tは、以下の式(4)で求められる。
このとき、送信用アンテナから電磁波が出力され、目標物体に反射して、受信用アンテナに入力されるまでの時間tの間に、送信周波数は下降しているので、ビート周波数fbdは、距離に応じた送信周波数と受信周波数との差fb2’と、相対速度によるドップラ周波数fb1’との和となる。
なお、周波数下降の間の距離および相対速度は、周波数上昇時と変わらないものと見なしても支障がない。また、周波数一定上昇の割合と、周波数一定下降の割合とは、等しいので、fb1=fb1’、fb2’=−fb2と見なすことができる。したがって、周波数下降時のビート周波数fbdは、以下の式(6)のように表される。
したがって、距離分解能ΔRは、周波数差fb2の周波数分解能をΔf(=1/(Tm/2))とすると、以下の式(10)のように表される。
また、何らかの原因でノイズが発生し、或る距離ゲートにおいて、ノイズによるビート周波数が検出されたとしても、式(2)により求めた距離Rgと、式(9)により求めた距離Rbとの誤差が、距離ゲートの幅(=5m)以上であれば、ノイズと判定して検出データから除去される。
ここで、素子のばらつきや温度変化などの原因により、電圧制御発振器に与える電圧の誤差(「電圧制御発振器の電圧」−「発振周波数変換」の誤差)が発生し、帯域幅Bが0.9倍になった場合、式(2)により求めた距離Rgは50mとなるが、式(9)により求めた距離Rbは52/0.9(≒58m)となる。
そこで、自車速度=0[km/h]と判定されたとき(エンジン始動時などの停車時)には周囲の停止物の相対速度が0[km/h]となること、周囲の目標物体としては停止している物体が多いこと、を考慮して、距離補正部は、検出された目標物体の中から相対速度が0[km/h]になる目標物体を選び、式(2)、(9)で求めた距離Rg、Rbが距離ゲートの幅(=5m)以上に異なる場合は、帯域幅Bに誤差が生じていると判定する。
実際に検出した距離ゲートは、n=10であり、したがって、このときの補正値kは、以下の式(11)のように表される。
距離補正値の算出処理ルーチンはメイン制御処理から一定周期で呼び出される。
まず、自車速度が0[km/h]よりも大きければ、算出処理ルーチンを実行せずにメイン制御処理に戻り、自車速度が0[km/h]であれば、注目距離ゲートを最小距離ゲートに初期化する。
一方、周波数上昇時のビート周波数成分fbu[i]のすべてがチェック済みでなければ、ビート周波数成分fbu[i]から未チェック成分を1つ選択し、選択した未チェック成分のチェックフラグをチェック済みにする。
一方、周波数下降時のビート周波数成分fbd[j]のすべてがチェック済みでなければ、ビート周波数成分fbd[j]から未チェック成分を1つ選択し、選択した未チェック成分のチェックフラグをチェック済みにする。
続いて、距離Rbが正、且つ相対速度Vが0[km/h]の判定条件を満たさなければ、上記周波数下降時のビート周波数成分fbd[j]のチェック済み判定処理に戻る。
一方、距離Rbが正、且つ相対速度Vが0[km/h]であれば、注目距離ゲートから、式(2)に基づいて距離Rgを算出し、距離補正値のN個目の算出結果の配列である距離補正値k[N]に格納する。
なお、距離補正値の算出回数Nおよび距離補正値k[i]は、メイン制御処理においてあらかじめ初期化されている。
また、パルス幅(すなわち、距離ゲート)を狭く設定して距離補正値の精度を向上させることも考えられるが、この場合には、パルス幅が狭くなるほど受信波のS/Nが悪くなるので、検出確率が低下してしまうという課題があった。
さらに、距離補正値を算出する際に、車速センサからの車速情報を用いる必要があり、コストダウンを実現することができないという課題があった。
また、車載レーダ装置における異常状態の発生を検出することができる。
図1はこの発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置を示すブロック構成図である。
図1において、車載レーダ装置は、車両から目標物体までの距離を検出するために、変調用電圧発生器1と、電圧制御発振器2と、送受信切替スイッチ3と、送信用アンプ4と、送信用アンテナ5と、受信用アンテナ7と、受信用アンプ8と、ミキサ9と、ローパスフィルタ10と、AGCアンプ11と、A/D変換器12と、演算装置13とを備えている。
また、受信用アンテナ7、受信用アンプ8、ミキサ9、ローパスフィルタ10、AGCアンプ11およびA/D変換器12は、送信波W1が目標物体6(検出対象)で反射された反射波を受信波W2として、送信波W1のパルス幅と同じ間隔の距離ゲート毎に受信するための受信手段を構成している。
送受切替スイッチ3は、電圧制御発振器2からの電磁波電力を、送信用アンプ4側または受信側ミキサ9側に切り替えて供給する。
送信用アンプ4は送信用の電磁波電力を増幅し、送信用アンテナ5は、増幅された電磁波を、送信波W1として空間に送信する。
ミキサ9は、受信用アンプ8で増幅された受信波(反射電磁波)と送信用電磁波とをミキシングして、目標物体6までの距離Rおよび目標物体6の相対速度Vに応じたビート信号を出力する。
ローパスフィルタ10は、カットオフ周波数を送信パルス時間幅の逆数にし、AGCアンプ11は、反射波の受信電力に応じてゲインを調整する。
A/D変換器12は、ビート信号をデジタル信号に変換して演算装置13に入力する。
距離補正部15は、距離演算部14で算出された距離Rおよび相対速度Vと、距離ゲートに関する情報(後述する)とに基づいて、距離演算部14で算出された距離Rを補正する。
また、距離補正部15は、距離誤差から距離補正量を算出し、車両から目標物体6までの距離Rを補正する。
具体的には、距離補正部15は、記憶部16に蓄積されたデータのうち、所定の距離誤差データ範囲内から外れたデータを削除し、残りのデータから距離誤差を算出する。
さらに、距離補正部15は、隣接する距離ゲートでほぼ同じ振幅となる周波数差成分のデータが隣接する距離ゲート内に1つしかない場合のみに、距離誤差を検出するようにも構成され得る。
異常判定部18は、距離補正部15で算出された距離誤差が所定量よりも大きい場合、または変調制御電圧補正量が所定量よりも大きい場合に、異常状態の発生を判定する。
なお、図2および図3の処理ルーチンはメイン制御処理から一定周期で呼び出されるものとする。
また、距離ゲートのうち、注目対象となる注目距離ゲートを、最小距離ゲートに初期設定する(ステップS101)。
一方、ステップS102において、注目距離ゲート≦最終距離ゲート−1(すなわち、NO)と判定されれば、注目距離ゲート内の周波数上昇時のビート周波数fbu[i](i=0、1、・・・)の全成分のチェックフラグをリセットする(ステップS103)。
一方、ステップS104において、周波数上昇時のビート周波数fbu[i]の中に未チェック成分がある(すなわち、NO)と判定されれば、ビート周波数fbu[i]のうちの未チェック成分を1個選択する(ステップS106)。
ステップS108において、N=0(すなわち、YES)と判定されれば、距離補正値の平滑値kとして、1測定周期前の距離補正値の平滑値を設定し、1測定周期前の算出値で代用して(ステップS109)、図2の処理ルーチンを終了する。
一方、ステップS108において、N>0(すなわち、NO)と判定されれば、ステップS109を実行せずに、図2の処理ルーチンを終了し、メイン制御処理に戻る。
図3において、まず、選択した注目距離ゲート内の周波数上昇時のビート周波数fbu[i]の振幅Lu[i]と、「注目距離ゲート+1」内の周波数上昇時のビート周波数fbu’[i]の振幅Lu’[i]と、がほぼ等しくなるビート周波数fbu’[i]の成分を選択する(ステップS201)。
なお、Lu[i]≒Lu’[i]の判定は、|Lu[i]−Lu’[i]|≦ΔLiを満たすか否かにより行われ、所定値ΔLiは、要求される判定精度に応じて任意に設定され得る。
一方、ステップS204において、ビート周波数成分fbd[j]の中に未チェック成分が存在する(すなわち、NO)と判定されれば、ビート周波数成分fbd[j]から選択した未チェック成分のチェックフラグをチェック済みに設定する(ステップS205)。
なお、Lu[i]≒Ld[j]の判定は、|Lu[i]−Ld[j]|≦ΔLを満たすか否かにより行われ、所定値ΔLは、要求される判定精度に応じて任意に設定され得る。
また、距離補正値k[N]の算出回数Nを「1」だけインクリメントし(ステップS212)、距離補正値の平滑値kを距離補正値k[N]の平均値として算出して(ステップS213)、ステップS104に戻る。
図4は距離Rに対するビート周波数成分の振幅Lの変化を示す説明図であり、自車両から目標物体6までの距離Rを「0」から「最大検出距離」まで変化させたときの、距離ゲート「n」、「n+1」での目標物体6によるビート周波数成分の振幅変化を、それぞれ、実線および破線で示している。
したがって、上記ステップS211、213による距離補正値k[N]、距離補正値の平滑値kの算出精度も、従来装置の場合と比べて非常に高くすることができる。
また、演算装置13において、自車両の速度情報は不要となるので、車速センサが不要となり、コストダウンを実現することができる。
すなわち、ステップS211において、周波数上昇時のビート周波数fbu[i]と周波数下降時のビート周波数fbd[j]との各振幅Lbu[i]、Lbd[j]がほぼ等しいときのみに、距離補正値k[N]を算出している。これにより、高精度に距離補正値k[N]を算出することができる。
これにより、周波数上昇時のビート周波数fbu[i]と周波数下降時のビート周波数fbd[j]との組み合わせの確度を向上させることができる。
そして、パルス動作モードにおける距離ゲートに相当する距離と、送信周波数と受信周波数との周波数差から求めた距離とを比較して、FMCW動作モードにおける送信周波数の上昇および下降の変調帯域幅の誤差による距離誤差を検出する。
このように距離誤差を検出する車載レーダ装置においても、前述と同様に、距離誤差検出精度を向上させることができる。
また、距離誤差から距離補正量k[N]を算出し、目標物体6までの距離Rを補正することにより、検出距離の精度を向上させることができる。
また、電圧補正部17において、距離誤差から変調電圧補正量を算出して、変調制御電圧を補正することにより、送信波の変調幅精度および検出距離精度を向上させることができる。
同様に、異常判定部18において、変調電圧補正量が所定量よりも大きい場合に装置の異常状態を判定することにより、車載レーダ装置の信頼性を向上させることができる。
また、記憶部16に距離誤差データを蓄積し、蓄積したデータに基づいて距離誤差を算出することにより、距離誤差の検出精度を向上させることができる。
また、距離誤差データを蓄積し、或る距離誤差データ範囲内から外れた距離誤差データは削除し、残りの距離誤差データから距離誤差を算出することにより、距離誤差の検出精度をさらに向上させることができる。
また、距離誤差の検出に利用可能な周波数差成分のデータが隣接する距離ゲート内に1個のみしかない場合の周波数差成分のデータのみを利用することにより、距離誤差量を誤算出すること回避することができる。
Claims (9)
- 車両に搭載されたFMパルスドップラレーダを用いた車載レーダ装置であって、
上昇および下降を繰り返す周波数を有する変調波をパルス変調して、送信波として送信する送信手段と、
前記送信波が目標物体で反射された反射波を受信波として、前記送信波のパルス幅と同じ間隔の距離ゲート毎に受信する受信手段と、
前記距離ゲートに相当する距離と、前記送信波の周波数と前記受信波の周波数との周波数差成分から求めた距離とを比較して、前記送信波の周波数の上昇および下降の変調帯域幅の誤差による距離誤差を検出する演算手段とを備え、
前記車両から前記目標物体までの距離を検出する車載レーダ装置において、
前記演算手段は、前記周波数差成分の振幅が、隣接する距離ゲートでほぼ同じとなる距離範囲に基づいて、前記距離誤差を検出することを特徴とする車載レーダ装置。 - 車両に搭載された車載レーダ装置であって、
一定周波数の信号を、パルス変調して送信波として送信する送信手段と、
前記送信波が目標物体で反射された反射波を受信波として、前記送信波のパルス幅と同じ間隔の距離ゲート毎に受信する受信手段と、
前記受信波に基づいて、前記車両から前記目標物体までの距離を検出する演算手段と、
前記送信手段および前記演算手段の動作モードをパルス動作モードと周波数変調連続波によるFMCW動作モードとに適時切り替える動作モード切替手段とを備え、
前記パルス動作モードにおいて、前記送信手段は、前記一定周波数の信号を送信し、前記演算手段は、前記距離ゲートに相当する距離に基づいて前記車両から前記目標物体までの距離を求め、
前記FMCW動作モードにおいて、前記送信手段は、上昇および下降を繰り返す周波数を有する変調波を送信し、前記演算手段は、前記送信波の周波数と前記受信波の周波数との周波数差に基づいて、前記車両から前記目標物体までの距離と前記目標物体の相対速度とを求め、
前記演算手段は、前記パルス動作モードにおける前記距離ゲートに相当する距離と、前記送信波の周波数と前記受信波の周波数との周波数差成分から求めた距離とを比較して、前記FMCW動作モードにおける前記送信波の周波数の上昇および下降の変調帯域幅の誤差による距離誤差を検出するレーダ装置において、
前記演算手段は、前記周波数差成分の振幅が、隣接する距離ゲートでほぼ同じとなる距離範囲に基づいて、前記距離誤差を検出することを特徴とする車載レーダ装置。 - 前記距離誤差から距離補正量を算出し、前記車両から前記目標物体までの距離を補正することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載レーダ装置。
- 異常状態の発生を判定する異常判定手段を備え、
前記異常判定手段は、前記距離誤差が所定量よりも大きい場合に、前記異常状態の発生を判定することを特徴とする請求項3に記載の車載レーダ装置。 - 前記送信波に対する変調制御電圧を補正する変調制御電圧補正手段を備え、
前記変調制御電圧補正手段は、前記距離誤差から変調制御電圧補正量を算出し、前記変調制御電圧補正量に基づいて前記変調制御電圧を補正することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載レーダ装置。 - 異常状態の発生を判定する異常判定手段を備え、
前記異常判定手段は、前記変調制御電圧補正量が所定量よりも大きい場合に、前記異常状態の発生を判定することを特徴とする請求項5に記載の車載レーダ装置。 - 前記距離誤差のデータを蓄積する記憶手段を備え、
前記演算手段は、前記記憶手段に蓄積されたデータに基づいて前記距離誤差を算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載レーダ装置。 - 前記演算手段は、前記記憶手段に蓄積されたデータのうち、所定の距離誤差データ範囲内から外れたデータを削除し、残りのデータから前記距離誤差を算出することを特徴とする請求項7に記載の車載レーダ装置。
- 前記演算手段は、隣接する距離ゲートでほぼ同じ振幅となる周波数差成分のデータが隣接する距離ゲート内に1つしかない場合のみに、前記距離誤差を検出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載レーダ装置。
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