JP4566400B2 - ソイルセメント合成杭の造成方法及びソイルセメント合成杭 - Google Patents

ソイルセメント合成杭の造成方法及びソイルセメント合成杭 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は先端が支持層に到達するソイルセメント柱と、ソイルセメント柱中に挿入される鋼管杭からなるソイルセメント合成杭を造成するソイルセメント合成杭の造成方法、及びその方法によって完成するソイルセメント合成杭に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
例えば特開平1-250523号のように先端が支持層に到達するソイルセメント柱中に鋼管杭を挿入してソイルセメント合成杭を造成する方法では、ソイルセメント柱の構築時には地盤調査で得られたN値から支持層の深さを知り、その深さを目標深度としてソイルセメント柱を構築することによりソイルセメント柱の先端が支持層に到達したことにしている。
【0003】
しかしながら、地盤調査は施工対象とする領域の内の一部の数地点に対して行われることから、図6に示すように支持層の深度が施工領域の全面において一定でない場合に、深度の浅い地点におけるN値に基づいて支持層の深度を決定したときには深度の大きい地点でのソイルセメント柱の先端を支持層に到達させていない可能性がある。
【0004】
またソイルセメント柱中に鋼管杭を挿入してソイルセメント合成杭を構成する場合、鋼管杭はコンクリート杭より曲げ耐力に優れるものの、外周面における摩擦力のみではソイルセメント柱との一体化の効果が十分とは言えないため、ソイルセメント柱中に鋼管杭を挿入しても、鉛直荷重に対して鋼管杭とソイルセメント柱が一体として挙動できず、そのために地表面付近におけるソイルセメント合成杭としての水平抵抗も期待できない。
【0005】
従って鋼管杭自身の鉛直支持力を発揮させるには鋼管杭の先端を支持層に到達させる必要があるが、支持層の深度が一定でない場合には各ソイルセメント柱の構築位置毎に鋼管杭の全長が相違するため、鋼管杭頭部の切断位置を各挿入位置毎に変えなければならない。
【0006】
また地表面付近における水平抵抗を確保するには鋼管杭の径を大きくする等により鋼管杭自身の曲げ剛性を高める必要があるが、上記のように全鋼管杭頭部を統一して処理できないため、杭頭の処理が難しくなる。
【0007】
この発明は上記背景より、ソイルセメント柱の先端が確実に支持層に到達することを確認でき、また必ずしも鋼管杭の先端を支持層に到達させなくてもソイルセメント合成杭としての鉛直支持力と地表面付近における水平抵抗力を高めるソイルセメント合成杭の造成方法及びソイルセメント合成杭を提案するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明ではソイルセメント柱の先端が支持層に到達していることを掘進抵抗値の変化に基づいて確認することにより、支持層の深度が施工領域の全面において一定でない場合にも全ソイルセメント柱の先端を確実に支持層に到達させる。
【0009】
またソイルセメント柱中に挿入される鋼管杭に、少なくとも頭部付近、先端部付近及び中間部に翼部を有する翼付きの鋼管杭を使用することにより鋼管杭とソイルセメント柱との一体性を強め、鋼管杭の先端が支持層に到達していない場合でもソイルセメント合成杭としての鉛直支持力と地表面付近における水平抵抗力を高める。
【0010】
掘進抵抗値の変化は基本的に掘削ロッドの掘進(降下)速度の変化や掘削ロッドの回転に要するトルク、あるいは掘削ロッドを回転させる駆動モータの電流値等の数値の変化として判明するが、例えば掘削ロッドの掘進速度と、駆動モータの電流値との積として求められる掘削ロッドの仕事量を掘進抵抗値として用いれば、掘進抵抗に変化を与える複数の要素が掘進抵抗値に反映されるため、掘進抵抗値の変化が顕著に表れ、ソイルセメント柱の先端が支持層に到達したことの判断がし易くなる。掘削ロッドの仕事量を用いる場合、掘削ロッドの先端が支持層に到達したときに掘進抵抗値が上昇する。
【0011】
いずれの数値に基づく場合も掘削ロッドの掘進開始時からの数値を座標上にプロットして掘進抵抗値の変化を監視することにより視覚に基づいて直接的に掘削ロッドの先端が支持層に到達した時点を判断することができる。
【0012】
一方、ソイルセメント柱中に翼付きの鋼管杭が挿入されることで、鋼管杭とソイルセメント柱との一体性が強まり、鉛直荷重に対して鋼管杭とソイルセメント柱が一体として挙動でき、鋼管杭が負担する鉛直荷重をソイルセメント柱に確実に伝達できるため、必ずしも鋼管杭の先端が支持層に到達していない場合でもソイルセメント合成杭としての鉛直支持能力が向上する。
【0013】
また頭部付近における翼部によって地表面付近における水平力に対しても鋼管杭とソイルセメント柱の一体性が維持されるため、地表面付近における水平抵抗も向上する。
【0014】
土木・建築構造物の基礎杭においては長期荷重時も短期荷重時も杭頭部に最大の鉛直荷重が作用するが、本発明のソイルセメント合成杭では鋼管杭の頭部、中間部、先端部に翼部が形成されていることで、鋼管杭が負担する鉛直下向きの荷重が各翼部を通じ、圧縮力として軸方向に分散してソイルセメント柱に伝達されるため、ソイルセメント柱の鉛直支持能力が無駄なく発揮される。
【0015】
特に鋼管杭の各部分の翼部が鋼管杭の頭部から作用する鉛直下向きの荷重を鋼管杭の周方向に分散させてソイルセメント柱に伝達する働きをし、鋼管杭の先端部においても先端部付近の翼部がソイルセメント柱の耐力を先端部にまで発揮させるため、ソイルセメント合成杭でありながら、全断面がソイルセメント柱のみからなる場合のソイルセメント柱の径を有効径とする先端支持力と同等以上の先端支持力が得られる。
【0016】
鉛直上向きの荷重(引き抜き力)に対しては鋼管杭が引張力として負担することで抵抗するため、短期荷重時にもソイルセメント合成杭としては高い性能を発揮する。このときも鋼管杭の頭部、中間部、先端部に翼部が分散して形成されていることで、鋼管杭は全長に亘って分散して引張力を負担するため、部分的な引張力の集中は回避される。
【0017】
鋼管杭が水平力による曲げモーメントにより変形しようとするときには、鋼管杭の頭部付近に形成されている翼部により、鋼管杭からはソイルセメント柱に鉛直下向きの押さえ効果が働き、ソイルセメント柱からは鋼管杭を拘束する効果が働くため、ソイルセメント合成杭として杭頭部の水平剛性が高まり、水平抵抗力が大きくなる。
【0018】
以上の通り、ソイルセメント柱の先端が支持層に到達していれば、鋼管杭の少なくとも3箇所に形成されている翼部によってソイルセメント合成杭としては十分に高い鉛直支持力を発揮し、鋼管杭の頭部が基礎杭の杭頭部に位置していれば、杭頭部における水平抵抗力も高まることから、必ずしも鋼管杭の先端が支持層に到達していることは必要ではなくなる。
【0019】
このため支持層の深度が一定であるか否かに関係なく、翼付きの全鋼管杭の頭部のレベルを揃えることを基準として鋼管杭を一定深さまでソイルセメント柱中に挿入すれば、一定長さの鋼管杭を使用することで施工を完了させることができ、施工が単純化される。
【0020】
この場合、ソイルセメント合成杭としての必要な鉛直支持力と水平抵抗力を確保しながらも、支持層の深度が一定でないことを理由に深度の相違する地点毎に異なる長さの鋼管杭を使用する必要がないため、全地点における鋼管杭の長さを統一でき、使用される鋼管杭の規格が統一される。この結果、鋼管杭の挿入位置毎に鋼管杭頭部の切断位置を変える必要がなく、杭頭処理が容易になる。
【0021】
各ソイルセメント柱中に挿入される鋼管杭は単一の鋼管杭で済む場合と複数本の鋼管を継ぎ足して完成する場合があるが、少なくとも鋼管杭からソイルセメント柱への鉛直荷重の伝達効果と、杭頭部における鋼管杭とソイルセメント柱間の相互の拘束効果が発揮されれば足りるため、支持層の深度がソイルセメント合成杭の造成領域全面において一定であれば、全鋼管杭の頭部のレベルを揃えながら、全鋼管杭の先端を支持層に到達させることもある。
【0022】
支持層の深度がソイルセメント合成杭の造成領域全面において一定でない場合には支持層の浅い場所ではソイルセメント柱と鋼管杭が共に支持層に到達し、支持層の深い場所ではソイルセメント柱が支持層に到達し、鋼管杭は支持層に到達しない状態になる
【0023】
ソイルセメント柱中への鋼管杭の挿入は原則としてソイルセメント柱の構築後、硬化前に鋼管杭外周の翼部を利用して鋼管杭を回転させながら圧入させることにより行われるが、回転圧入時、先端部と中間部の翼部は鋼管杭の回転によりソイルセメント柱から推進力を得るため、鋼管杭の挿入は容易に行われる。
【0024】
翼部の形状は鋼管杭とソイルセメント柱との一体性を確保する上では、曲面を構成する螺旋形に形成される他、平面を構成する三日月形の平板を溶接するだけ等、自由な形に形成されるが、回転を伴う鋼管杭の挿入をソイルセメント柱を乱すことなく、円滑に行う上では螺旋形の翼部が最適である。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1−(a) 〜(d) によりソイルセメント合成杭11の造成手順を説明する。
(a) に示すように少なくとも先端部に掘削翼1と攪拌翼2を有する掘削ロッド3と、掘削ロッド3を回転させる駆動部4を装着した施工機6をソイルセメント合成杭11の造成位置に設置し、掘削ロッド3の先端部付近からセメントミルク等の固化材液を吐出しながら、掘削ロッド3を駆動部4により回転させて地盤5を掘削し、掘削された地盤土と固化材液を攪拌して(b) に示すように先端が支持層8に到達するソイルセメント柱7を構築する。
【0026】
掘削ロッド3の掘進時には駆動部4の駆動モータを駆動させるのに要する電流値やトルク値、あるいは掘削ロッド3の掘進速度と駆動モータの電流値との積として求められる掘削ロッド3の仕事量等、掘進時の抵抗の大きさを示す何らかの数値(掘進抵抗値)が計測され、モニタや紙面上でその掘進抵抗値の変化が監視される。
【0027】
掘削ロッド3の先端の掘削翼1が支持層8に到達したときには、それまでに地盤5から受けた掘進抵抗より大きい掘進抵抗を受け、掘進抵抗値が増大するため、その変化を捉えることにより掘削ロッド3の先端が支持層8に到達したことが地上において確認され、先端が支持層8に到達するソイルセメント柱7を確実に構築することができる。
【0028】
ソイルセメント柱7の構築後、(c) に示すように頭部10b付近、先端部付近及び中間部に翼部9を有する翼付きの鋼管杭10がソイルセメント柱7中に挿入される。
【0029】
鋼管杭10の挿入を効率的に行う上では駆動部4によって鋼管杭10に回転を与えながら圧入することが行われるため、駆動部4には鋼管杭10に回転を与えながらその頭部10bを保持する治具も予め装着されており、鋼管杭10は頭部10bにおいてその治具に保持され、駆動部4から回転を与えられながらソイルセメント柱7中に挿入される。(d) は鋼管杭10の先端をソイルセメント柱7の先端部、すなわち支持層8に到達するまで挿入した様子を示す。
【0030】
鋼管杭10の回転圧入に際しては図3に示すように鋼管杭10の圧入による貫入速度をVp (m/min) 、鋼管杭10に与えられる回転による回転速度をRp (r/min) 、鋼管杭10が1回転する間に貫入される翼部9のピッチ(鋼管杭10の1回転当たりの貫入量)をtp (m) としたとき、Vp ≧Rp ・tp となるように、すなわち鋼管杭10が1回転する間に鋼管杭10の貫入量が翼部9の1ピッチを超えないように貫入量と回転数が制御される。
【0031】
この場合、鋼管杭10の1回転当たりの貫入量が翼部9の1ピッチを超えないことで、構築済みのソイルセメント柱7を翼部9が乱すことがなくなり、鋼管杭10とソイルセメント柱7との一体効果が最も良好となる。
【0032】
鋼管杭10の先端は鋼管杭10自身の先端支持力を上げるために図2に示すように底板10aによって閉塞し、その直上に先端部付近の翼部9が形成される。底板10aによって鋼管杭10の先端を閉塞した場合には鋼管杭10をソイルセメント柱7中に挿入するときに硬化前のソイルセメントが鋼管杭10の回りに押し出され、加圧されるため、ソイルセメントの強度を高める効果が得られる。
【0033】
図2ではこの先端部付近の翼部9と頭部10b付近の翼部9との間の2箇所の計4箇所に中間部の翼部9を形成しているが、翼部9はソイルセメント柱7中に挿入された一本、もしくは溶接やねじ継手等により継ぎ足された複数本の鋼管からなる鋼管杭10の全長で先端部付近と頭部10b付近を含めて3箇所以上形成されていれば足りるため、複数本の鋼管を継ぎ足して鋼管杭10とする場合は先端に位置する鋼管の先端部と最後に挿入される鋼管の頭部10bの他、中間のいずれかの鋼管のいずれかの部分に翼部9が形成される。
【0034】
図2ではまた、翼部9の形状を螺旋状にしているが、翼部9は三日月形の平板を軸方向に連続的に、もしくは断続的に溶接することによっても形成される。
鋼管杭10の底板10aの外周には図示しないが、鋼管杭10の外周面に沿って掘削爪を突設することもある。掘削爪を突設した場合は鋼管杭10の回転圧入時の挿入が容易になる上、鉛直精度が向上する。
【0035】
図2において鋼管杭10とソイルセメント柱7との一体化の効果と、翼部9を通じての鋼管杭10からのソイルセメント柱7への鉛直荷重の分散効果を有効に発揮させる上では、鋼管杭10の翼部9を除く部分の直径(外径)dと、翼部9の部分の直径Dとの関係で言えば、D=1.5 d〜3d程度の範囲に設定される。
【0036】
D<1.5 dの場合、すなわち鋼管杭10の本体に対して翼部9が小さい場合は、鉛直荷重は翼部9からソイルセメント柱7に分散して伝達されるものの、その効果は小さい。逆にD>3dとなり、鋼管杭10の本体に対して翼部9が大きくなれば、翼部9からソイルセメント柱7へ伝達される鉛直荷重が大きくなる分、翼部9の付け根に作用する曲げ応力が過大になることから、翼部9の付け根部分の厚さを増し、且つ鋼管杭10本体への固着を強固にする必要が生ずるため、鋼管杭10の製作コストが上昇する。
【0037】
一方、鋼管杭10の翼部9の部分の直径Dと、ソイルセメント柱7の直径Dc との関係で言えば、鋼管杭10とソイルセメント柱7との一体化と鉛直荷重分散の効果を発揮させる上で、Dc =1.2 D〜2.5 D程度の範囲に設定される。
【0038】
c <1.2 Dの場合、すなわち翼部9の外周の縁からソイルセメント柱7の回りの地盤までの距離が小さければ、翼部9を包囲するソイルセメントの半径方向の厚さが小さくなるため、翼部9からの鉛直荷重がその周辺の限られた部分に集中する他、翼部9を含めた鋼管杭10の寸法に対してソイルセメント柱7の寸法が相対的に小さくなり、ソイルセメント柱7の周面積が小さくなるため、鋼管杭10が負担する鉛直荷重に対して抵抗すべき周辺地盤との間の摩擦力が低減し、ソイルセメント合成杭11の支持力が低下する。
【0039】
逆にDc >2.5 Dとなり、翼部9の縁からソイルセメント柱7回りの地盤までの距離が大きければ、ソイルセメントへの応力集中やソイルセメント合成杭11の支持力低下の問題は発生しないものの、一体化と荷重分散の効果が格別増大することにならないにも拘わらず、必要以上に広範囲の地盤に対してソイルセメント柱7を構築することになるため、不経済な結果となる。
【0040】
ソイルセメント柱7の径に対して鋼管杭10の径を小さくすることによりDc >2.5 Dとした場合には、鋼管杭10自身の絶対的な支持力が低下するため、ソイルセメント合成杭11とすることの意義が失われ、翼部9による鉛直荷重のソイルセメント柱7への伝達効果も発揮されなくなる。
【0041】
図2に示すように鋼管杭10の先端を閉塞した場合には最終的に鋼管杭10の内部が中空になることから、ソイルセメント合成杭11の完成後に鋼管杭10の内部にセメントミルク、モルタル、コンクリート等の充填物を充填することが可能であり、充填物の充填により鋼管杭10の有効断面積が増加するため、鋼管杭10の支持力と曲げ剛性を増大させることができる結果、ソイルセメント合成杭11としての鉛直支持力と水平荷重に対する抵抗力が大きくなる。
【0042】
この場合、ソイルセメント柱7への鋼管杭10の挿入後に鋼管杭10の上端から内部に良質なセメントミルクやモルタル、コンクリート等を自由に調合して充填することができるため、鋼管杭10の支持力と曲げ剛性を調整することができる。
【0043】
ソイルセメント柱7への鋼管杭10の挿入によるソイルセメントの加圧効果を特に期待しなければ、鋼管杭10の先端が開放している場合でも、鋼管杭10の挿入によって鋼管杭10の内部にソイルセメントが充填されるため、鋼管杭10の先端が閉塞し、内部に充填物を充填しない場合より鋼管杭10の支持力と曲げ剛性を増大させる効果を得ることはできる。
【0044】
図4−(a) ,(b) は支持層8の深度がソイルセメント合成杭11の造成領域全面において一定である場合のソイルセメント合成杭11の造成例を示す。いずれもソイルセメント柱7の先端は支持層8に到達しているが、鋼管杭10の先端はソイルセメント柱7の中間部に留まり、支持層8には到達していない。(a) は表層土と支持層8間が軟弱粘土層である場合、(b) は表層土と支持層8間の中間に中間砂層が存在する場合を示す。
【0045】
図5−(a) ,(b) は支持層8の深度がソイルセメント合成杭11の造成領域全面において一定でない場合のソイルセメント合成杭11の造成例を示す。この場合、ソイルセメント柱7の構築地点毎に支持層8までの深度が相違するため、全ソイルセメント柱7の全長は同一ではないものの、全ソイルセメント柱7は先端が支持層8に到達するまで構築される。全鋼管杭10の全長は同一であるが、挿入地点毎に支持層8までの深度が相違することで、先端が支持層8に到達している鋼管杭10と到達していない鋼管杭10がある。
【0046】
図5−(a) はソイルセメント柱7の全長に亘って一定の固化材液と地盤土との混合割合で構築した場合、(b) は鋼管杭10の先端部が位置する深度以深において固化材液の濃度を高くし、強度を高めた根固め部7aを構築し、鋼管杭10の先端部を根固め部7a中に定着させた場合を示す。
【0047】
図5−(b) は特に先端が支持層8に到達していない鋼管杭10も先端部がソイルセメント柱7の根固め部7a中に定着されることで、鋼管杭10は高い鉛直支持力を発揮する。(a) の場合でも支持層8の深度に関係なく全ソイルセメント柱7が支持層8に到達しているため、ソイルセメント合成杭11が支持する上部構造物12を不同沈下させることはない。
【0048】
これに対し、地盤調査で得られたN値を基準にして得た支持層までの深度を頼りに、先端までの全長を統一したソイルセメント柱を構築した場合を示す図6によれば、深度の大きい地点ではソイルセメント柱の先端を支持層に到達させていないことがある。
【0049】
この場合、鋼管杭がソイルセメント柱の先端にまで挿入されているとしても、先端が支持層に到達しないソイルセメント合成杭の鉛直支持力は支持層に到達しているソイルセメント合成杭の鉛直支持力より低下しているため、その支持力を超える鉛直荷重が作用したときに、または支持力以下でも継続的に高い鉛直荷重が作用し続けたときにソイルセメント柱の先端に破壊が起こり、上部構造物の不同沈下を招くことになる。
【0050】
図7は図1−(d) に示すように支持層8に到達するソイルセメント柱7中に頭部10b付近、先端部付近及び中間部に翼部9を有する鋼管杭10を挿入して形成される本発明のソイルセメント合成杭11の水平荷重と水平変位量との関係を示す。
図7中、◇でプロットした曲線が本発明の場合を示す。
【0051】
図7では比較のため、地中にソイルセメント柱7を構築することもプレボーリングすることもなく、翼部9を有する鋼管杭10を地中に回転圧入した鋼管杭10単体と、ソイルセメント柱7中に翼部9が全くない鋼管杭を挿入して形成したソイルセメント合成杭の水平荷重と水平変位量との関係も併せて示している。△でプロットした曲線が鋼管杭10単体の場合を、破線の曲線が翼部9を持たない鋼管杭を使用したソイルセメント合成杭の場合を示す。
【0052】
図7より、本発明のソイルセメント合成杭11は他の二例より一定の水平荷重に対する水平変位量が小さく、高い水平剛性と水平抵抗力を保有していることが分かる。
【0053】
【発明の効果】
ソイルセメント柱の先端が支持層に到達していることを掘進抵抗値の変化に基づいて確認してソイルセメント柱を構築するため、支持層の深度が施工領域の全面において一定でない場合にも全ソイルセメント柱の先端を確実に支持層に到達させることができる。
【0054】
またソイルセメント柱中に挿入される鋼管杭に、少なくとも頭部付近、先端部付近及び中間部に翼部を有する翼付きの鋼管杭を使用することで、鋼管杭とソイルセメント柱との一体性が強まり、鋼管杭が負担する鉛直荷重をソイルセメント柱に確実に伝達できるため、鋼管杭の先端が支持層に到達していない場合でもソイルセメント合成杭としての鉛直支持力と地表面付近における水平抵抗力を高めることができる。
【0055】
特に鋼管杭の頭部、中間部、先端部に翼部が形成されていることで、鋼管杭が負担する鉛直下向きの荷重が各翼部を通じ、圧縮力として軸方向に分散してソイルセメント柱に伝達されるため、ソイルセメント柱の鉛直支持能力が無駄なく発揮され、ソイルセメント柱の径を有効径とする先端支持力と同等以上の先端支持力が得られる。
【0056】
また鋼管杭が水平力による曲げモーメントにより変形しようとするときには、鋼管杭の頭部付近に形成されている翼部により、鋼管杭からはソイルセメント柱に鉛直下向きの押さえ効果が働き、ソイルセメント柱からは鋼管杭を拘束する効果が働くため、ソイルセメント合成杭として杭頭部の水平剛性が高まり、水平抵抗力が大きくなる。
【0057】
ソイルセメント柱の先端が支持層に到達していれば、ソイルセメント合成杭としては十分に高い鉛直支持力を発揮し、鋼管杭の頭部が基礎杭の杭頭部に位置していれば、杭頭部における水平抵抗力も高まることから、必ずしも鋼管杭の先端が支持層に到達していることは必要ではないため、全鋼管杭の頭部のレベルを揃えることを基準として鋼管杭を一定深さまでソイルセメント柱中に挿入すれば、一定長さの鋼管杭を使用することで施工を完了させることができ、施工が単純化され、使用される全鋼管杭の規格を統一することもできる。
【0058】
この結果、鋼管杭の挿入位置毎に鋼管杭頭部の切断位置を変える必要がなく、杭頭処理が容易になる。
またソイルセメント柱の先端が支持層に到達していれば、ソイルセメント合成杭としては十分に高い鉛直支持力を発揮するため、鋼管杭の先端が支持層に到達していなくても、上部構造物を不同沈下させることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a) 〜(d) はソイルセメント合成杭の造成手順を示した立面図である。
【図2】翼付きの鋼管杭とソイルセメント柱との関係を示した立面図である。
【図3】鋼管杭の貫入量と回転数の関係を示した説明図である。
【図4】 (a) ,(b) は支持層の深度が一定である場合のソイルセメント合成杭の造成例を示した立面図である。
【図5】 (a) ,(b) は支持層の深度が一定でない場合のソイルセメント合成杭の造成例を示した立面図である。
【図6】支持層の深度が一定でない場合の従来のソイルセメント合成杭の造成例を示した立面図である。
【図7】本発明のソイルセメント合成杭その他の水平荷重と水平変位量との関係を示したグラフである。
【符号の説明】
1……掘削翼、2……攪拌翼、3……掘削ロッド、4……駆動部、5……地盤、6……施工機、7……ソイルセメント柱、7a……根固め部、8……支持層、9……翼部、10……鋼管杭、10a……底板、10b……頭部、11……ソイルセメント合成杭、12……上部構造物。

Claims (2)

  1. 支持層の深さが一定でない地盤において、掘進抵抗値の変化により先端が支持層に到達していることを確認してソイルセメント柱を構築した後、少なくとも頭部付近、先端部付近及び中間部に翼部を有する翼付きの鋼管杭をソイルセメント柱中に挿入し、支持層の浅い場所ではソイルセメント柱と鋼管杭が共に支持層に到達し、支持層の深い場所ではソイルセメント柱が支持層に到達し、鋼管杭は支持層に到達していないソイルセメント合成杭を造成するソイルセメント合成杭の造成方法。
  2. 請求項1に記載のソイルセメント合成杭の造成方法に使用され、先端が支持層に到達するソイルセメント柱と、各ソイルセメント柱中に挿入され、少なくとも頭部付近、先端部付近及び中間部に翼部を有する翼付きの鋼管杭から構成されるソイルセメント合成杭。
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