JP4566113B2 - 鉄道レール用の一体型可変軌道パッド - Google Patents
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Description
例えば下記特許文献1,特許文献2にこれらの技術が開示されている。
一方可変パッドは袋状をなしていて、その内部への反応硬化型樹脂の樹脂液の注入及びその後の硬化により、レールを水平且つ適正高さに保持する働きをなす。
同図において200はレールで、202はコンクリート基盤であり、このコンクリート基盤202上に金属製のタイプレート(レール支持体)204が、ボルト206にて絶縁板208を介し固定されている。
ここでボルト206は、コンクリート基盤202内に埋設された埋込栓209にねじ込まれている。
各突出部210にはレール固定用の板ばね212がボルト214及びナット216により取り付けられており、その板ばね212の自由端部がレール200の基底部200-1を下向きに押圧している。
可変パッド220の内部には反応硬化型樹脂の樹脂液が注入され、その後にこれが硬化されている。
可変パッド220は、その樹脂液の注入量に応じて膨張によりその厚みを増し、そしてその厚みが適正に調整されることによって軌道パッド218とともにレール200を適正高さ且つ水平に保持する。
レール200は可変パッド220を膨らませる前に、図17に示すレール高さ調節用のスペーサ222により事前に高さ調整されており、従って図16に示しているように可変パッド220を膨らませる前において、レール200と軌道パッド218との間には隙間Sが生じている。
可変パッド220は、この状態で隙間Sが埋まるまで内部に樹脂液が注入されて膨張せしめられ、その状態で注入された樹脂液が硬化させられて、レール200を予め調整された高さに保持する。
ここで滑り板224は、レール200が熱により膨張或いは収縮したときにレール200を滑り板224の上面で滑らせることで、レール200の膨張,収縮による位置移動により軌道パッド218及び可変パッド220が変形したり、或いはタイプレート204等のレール支持体から位置ずれし、または場合によって外れてしまうのを防ぐ働きをなす。
同図に示しているように軌道パッド218及び可変パッド220をレール200とタイプレート204との間の空間に挿入するには、別体をなす軌道パッド218と可変パッド220とを先ず予め上下に重ねて揃えておき、その状態で軌道パッド218と可変パッド220とを、タイプレート204の一対の突出部210と210との間且つレール200とタイプレート204の上面との間の空間にレール長手方向に挿入する。
可変パッド220はその収縮状態で軌道パッド218と同等の適正な幅となることが求められ、そのため可変パッド220は樹脂液を注入して膨らませる前の状態では、幅方向の寸法が軌道パッド218及び一対の突出部210と210との間の寸法よりも予め大寸法とされている。
このようにして軌道パッド218と可変パッド220とを挿入し終わった状態が図16に示す状態であり、この状態で可変パッド220内に樹脂液が注入されてその後硬化せしめられる。
このため必然的に作業は遅くなって、作業に要する時間も長くなる。
またその際に幅広の可変パッド220を、左右の幅方向の両端部で折り曲げた状態で挿入しなければならないため、このことが挿入作業をより困難化する。
図19はその具体例を示している。
同図において226Aは一体の可変軌道パッドで、弾性板(ここではゴム製)から成る軌道パッド218と可変パッド228とを接合し、一体に組み付けてある。
ここでゴム膜230は、同図中(B)に示しているように軌道パッド218の上端から立ち下がる立下り部232と、その下端の折返し部234で折り返されて立ち上がる立上り部236とから成っており、全体として横断面形状がU字状をなしている。
この図19に示す可変軌道パッド226Aでは、可変パッド228内部に樹脂液を注入すると、同図中(C)の部分拡大図に示しているように折畳み状態のゴム膜230が上向きに延びることによって軌道パッド218が押し上げられ、最終的にレール200に接触せしめられる。
更にまたこの可変軌道パッド226Aは、ゴム膜230の可撓性に基づいて全体が上向きに厚みを増すことができるため、その際に可変軌道パッド226A全体が幅方向に収縮することが無く、従って可変パッド228を予めその挿入空間の幅に合致させておくことができ、このことによっても可変軌道パッド226Aの挿入作業性を良好となすことができる。
更にこれらゴム膜同士の接着による一体化では、軌道パッド218と可変パッド228との固定の信頼性の点で不十分で、部分的若しくは全体的に接着剥れを生じて樹脂液の漏れを生じたり、或いは軌道パッド218と可変パッド228とが部分的に分離してしまう恐れがある。
また接着による固定と異なって接着剥れにより軌道パッドと可変パッドとが分離してしまう恐れが無く、両者を強固に固定することができるとともに、その固定の信頼性を高めることができる。
即ち、軌道パッドと可変パッドとの互いの位置ずれを気にすること無くレールとレール支持体との間に軌道パッドと可変パッドとを容易に挿入でき、挿入作業性が良好であって挿入作業に要する時間を短縮化することができ、軌道パッド及び可変パッドの施工に要するコストを低減することができる。
更に加えて、図19に示す可変軌道パッドの場合、可変パッドが薄肉ゴム製であるのに対し、本発明ではかかる可変パッドが硬質材で構成されているため、レールとレール支持体との間への挿入を図19に示すものに比べてより簡単に行うことができる。
このようにしておけば、上部と下部とを組み付けるだけで容易に係合凸部と係合凹部とを係合状態として軌道パッドと可変パッド、詳しくは軌道パッドの薄肉ひれ状の弾性膜と可変パッドの周壁部とを結合固定することができる。
このようにすれば、両者の結合固定力を効果的により高強度となすことができるとともに、係合凸部の弾性圧縮に基づいてそこにシール機能を持たせ、或いはシール性を高めることができる。
このようにしておくことで、係合凹部からの係合凸部の抜けをより確実に防止することができる。
このようにしておくことで弾性膜を図19に示す比較例の可変軌道パッドのように折返し形状としておかなくても、樹脂液の注入によってこれを大きく上向きに膨らませ、軌道パッドを上昇させることができる。
即ちこのようにしておくことで、高さ調節機能を効果的に高めることができる。
可変パッド220への樹脂液の注入は、注入口242側で作業者がそこから可変パッド220内部に樹脂液を注入し、そして排気口244から樹脂液が流出し始めたところで、樹脂液の注入を停止するが、上記のように排気口244は注入口242側の作業者から見てタイプレート204の向こう側且つレール200の下側に隠れた状態にあるため、排気口244からの樹脂液の流出のし始めの時期を正しく監視することは困難である。
その間の樹脂液の無駄な注入量を極力少なくするために、樹脂液の注入をゆっくりした速度で行わざるを得ず、これにより注入のための作業に時間がかかってしまって、このこともまたコストを高める要因となっていた。
これにより作業に要する人件費を削減し得て、施工コストを更に低減することができる。
また樹脂液の注入と排気口からの樹脂液の流出とを同一の作業者が行うことで、排気口から樹脂液が流出し始めた段階で直ちに樹脂液の注入を停止でき、従って樹脂液の注入速度を速め得て注入作業自体の時間も短縮化することができる。
先ず図1は、本実施形態の可変軌道パッド10を施工完了状態で表している。
同図において12はレール、14はコンクリート基盤、16は金属製のタイプレート(レール支持体)、18は絶縁板をそれぞれ表している。
タイプレート16はボルト20にて絶縁板18を介してコンクリート基盤14の上面に固定されている。
ここでボルト20は、コンクリート基盤14に埋設された埋込栓22にねじ込まれている。
一対の突出部24と24との間には、レール12の基底部12-1が嵌め込まれて位置決めされ、その基底部12-1が板ばね26の自由端部にて下向きに押圧されている。
そしてレール12の基底部12-1が、可変軌道パッド10を介してタイプレート16により支持されている。
尚この滑り板32は場合により省略可能である。
先ず図4において、可変軌道パッド10はゴム板(弾性板)から成る四角形状の軌道パッド34と、容器状をなす四角形状の可変パッド36とを一体に組み付けて構成してある。
軌道パッド34の上面にはレール長手方向に延びる凹溝38が、その直角方向に所定ピッチで形成されている。
軌道パッド34の下面のこれら中央部40及び凸条部42を除く部分は、中央部40から外周部に向って角度θ(図5(B)参照)で斜め上向きに傾斜する傾斜面44とされている。
この結果、図5(A)にも示しているように傾斜面44と凸条部42との間に段差が生ぜしめられている。
即ちこの軌道パッド34は、その下面が中央部40及び凸条部42と傾斜面44とによって凹凸形状をなしている。
ここで傾斜面44は、容器状を成す可変パッド36の内部に反応硬化型の樹脂液が注入されたときに、内部の空気を中央部から外周部に向って誘導し逃がす働きをなす。
この樹脂溜り部46はまた、傾斜面44の作用によって中央部から外周側に誘導された空気を溜める空気溜り部としての働きも有している。
このゴム膜48は、軌道パッド34の下端部から上向きに延び出している。
このゴム膜48の上端部には水平に折れ曲がった折曲り部50が設けられており、更にこの折曲り部50に続く先端に、上下に突出した、横断面形状が四角形状をなすゴム製の係合凸部52が同じく全周に亘り環状に一体に成形されている。
この可変パッド36の底部54の上面には平坦な中央部58と、その中央部58から外周部に向って放射状に延びる凹条部60が設けられている。
そして底部54の上面はこれら中央部58,凹条部60を除く部分が、中央部58から外周部に向って角度θ(図6(B)参照)で斜め上向きに傾斜する傾斜面62とされている。
ここで中央部58,凹条部60及び傾斜面62は、それぞれ軌道パッド34における下面の中央部40,凸条部42,傾斜面44に対応する位置において対応する形状で設けられており、樹脂液を注入する前の状態では、図4(B)に示しているように軌道パッド34底面の凸条部42と可変パッド36における底部54上面の凹条部60とが互いに凹凸嵌合している。
このガラスクロス64はまた、硬化樹脂に埋設されることによってこれを補強する働きもなす。
この排気口68はまた、過剰量の樹脂液を外部に排出する働きも成す。
周壁部56にはまた、この係合凹部70に続いてスリット72が環状に形成されており、そこにゴム膜48の水平な折曲り部50が挿入せしめられている。
ここで上部74と下部76とは接着により固定されている。
また本実施形態においては下部76の上面に対して、詳しくはスリット72を形成する上面に対して、軌道パッド34のゴム膜48における折曲り部50が下向きに接着され、周壁部56に対し液密にシールされている。
尚このとき、上部74と下部76とはゴム膜48の折曲り部50を上下に挟んだ状態となる。
尚上部74は下部76に対し上記のように接着により固定される。
可変パッド36の注入口66から反応硬化型樹脂の樹脂液を注入すると、同図に示しているようにその注入量の増大につれて軌道パッド34が、ゴム膜48を撓ませながら上向きに押し上げられて行く。即ち可変軌道パッド10が上下方向の厚みを増して行く(図8(I),(II)参照)。
可変軌道パッド10は図8(III)に示しているようにゴム膜48の下端(基端側)がその上端(係合凸部52側)を越えて上昇し、そしてゴム膜48が伸び切るまで厚みを増すこと、即ち軌道パッド34の高さを高くすることができる。
図9(I)は、タイプレート16を敷設した状態を表しており、この後において図9(II)に示しているようにレール12がタイプレート16の一対の突出部24と24との間に嵌め入れられ且つ高さ調節された上でスペーサ78により支持される。
このとき、レール12とタイプレート16との間には隙間が存在する。
本実施形態において、可変軌道パッド10は左右方向の寸法を特に変化させること無くゴム膜48によって上下方向の厚みを厚く変化させ得るものであり、従って可変軌道パッド10は、予めその左右寸法を突出部24と24との間の寸法と略同等寸法(ないし僅かに小さい寸法)となしておくことができる。
この樹脂液の注入は、注入口66と同じ側にある排気口68から樹脂液が流出するまで行う。
この樹脂液の排気口68からの流出は、樹脂液の注入により可変軌道パッド10が上向きに膨らんで、軌道パッド34がレール12との間の隙間S(図10(III)(B)参照)を埋めたところで生ずる。
換言すればこの排気口68から樹脂液が流出し始めたときが、レール12と軌道パッド34との間の隙間Sがゼロとなったときである。従ってその時点で樹脂液の注入を停止する。
ここにおいて適正高さに調節されたレール12が、可変軌道パッド10によりその調整高さに支持される状態となる。
この樹脂液の硬化後においては軌道パッド34の下面の凸条部42が樹脂の硬化時に生じた凹部に、また相対的に凹形状となる傾斜面44の位置する部分が同じく樹脂の硬化時に生じた凸部にそれぞれ凹凸嵌合し、これによって樹脂の硬化後においてはそれらの凹凸嵌合に基づいて軌道パッド34が硬化した樹脂に対しずれ防止される。
また一方可変パッド36の上面の凹凸形状が同じく樹脂の硬化時に生じた凹凸部に凹凸嵌合して可変パッド36が硬化した樹脂に対し凹凸嵌合しずれ防止される。
図13はスペーサ78を取り外した状態で可変軌道パッド10がレール12を支持した状態を表している。
また接着による固定と異なって、接着剥れにより軌道パッド34と可変パッド36とが離れてしまう恐れが無く、両者を強固に固定することができるとともにその固定の信頼性を高めることができる。
更に加えて本実施形態の可変軌道パッド10の場合、可変パッド36が硬質の樹脂にて構成されているため、レール12とタイプレート16との間への挿入をより簡単に行うことができる。
尚この接着は上下方向の接着であって内外方向(図中左右方向)の接着では無く、加えてゴム膜48における外周端部の接着相手が硬質の樹脂であるため、接着を容易に行うことができる。
因みに従来の可変パッドの場合、高さ調節可能な範囲が3〜14mm程度であったのが、本実施形態によれば3〜20mmの範囲内で高さ調節することが可能である。
これにより作業に要する人件費を削減し得て、施工コストを更に低減することができる。
また樹脂液の注入と排気口68からの樹脂液の流出とを同一の作業者が行うことで、排気口68から樹脂液が流出し始めた段階で直ちに樹脂液の注入を停止でき、従って樹脂液の注入速度を速め得て注入作業自体も短縮化することができる。
この例は、可変パッド36の周壁部56における上部74に、下向きに延びる弾性アーム80及びその先端の掛止爪82を設ける一方、下部76に掛止段部84を設けて、そこに掛止爪82を弾性的に掛止させることで、上部74を下部76に対して組付固定するようになしたものである。
この例の場合、上部74を下部76に対して組み付けるに際し、上記実施形態のように接着固定を必要とせず、より簡単に上部74と下部76とを組付固定することができる。
このようにすれば両者の結合固定力を効果的により高強度となすことができるとともに、係合凸部52の弾性圧縮に基づいてそこにシール機能を持たせ、或いはシール性を高める機能を持たせることができる。
例えば上記係合凸部の形状はあくまで一例であって、これを他の様々な角形状となすことができるし、或いはまた可変パッドにおける周壁部の上部と下部との組付構造を上例以外の他の様々な組付構造となすことも可能である。
更に容器状を成す可変パッドを樹脂以外の他の硬質材で構成するといったことも可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
12 レール(鉄道レール)
16 タイプレート(レール支持体)
34 軌道パッド
36 可変パッド
48 ゴム膜(弾性膜)
52 係合凸部
54 底部
56 周壁部
66 注入口
68 排気口
70 係合凹部
74 上部
76 下部
S 隙間
Claims (8)
- 鉄道レールとタイプレート等のレール支持体との間に挿入され、鉄道車両の走行の際の緩衝材として働くゴム等の弾性板から成る軌道パッドと、該軌道パッドとともに且つ該軌道パッドの下側において前記レールとレール支持体との間に挿入され、反応硬化型樹脂の樹脂液が内部に注入されることで厚みを増し、前記軌道パッドと前記レールとの間の隙間を埋める可変パッドとを有しており、
前記軌道パッドには薄肉ひれ状の弾性膜が外周に沿って環状に一体に設けられているとともに、該弾性膜の外周端には上下方向に突出した形態の係合凸部が全周に亘って一体に設けられており、
また前記可変パッドは底部と、該底部の外周端から立ち上がる環状の周壁部を備えた、前記軌道パッドよりも硬質の容器状をなしていて、該容器内部への前記樹脂液の注入により該軌道パッドを押し上げるものとされているとともに、前記周壁部には前記係合凸部を係入させて抜止めする係合凹部が該周壁部に沿って環状に設けられており、それら係合凸部と係合凹部との係合に基づいて前記軌道パッドと可変パッドとが前記挿入前において予め一体に組み付けられていることを特徴とする鉄道レール用の一体型可変軌道パッド。 - 請求項1において、前記可変パッドは樹脂にて構成されていることを特徴とする鉄道レール用の一体型可変軌道パッド。
- 請求項1,2の何れかにおいて、前記可変パッドの周壁部は、前記係合凹部の位置で上部と下部とに分割されていて、該上部と下部とを上下に組み付けることにより前記係合凹部が形成されるとともに、同時に前記弾性膜の係合凸部を上下に挟み込んで該係合凹部に係入状態とするものであることを特徴とする鉄道レール用の一体型可変軌道パッド。
- 請求項3において、前記上部と下部とは組付時に前記係合凸部を上下に弾性圧縮するものとなしてあることを特徴とする鉄道レール用の一体型可変軌道パッド。
- 請求項3において、前記下部の上面に対して前記弾性膜の外周端部が下向きに接着してあることを特徴とする鉄道レール用の一体型可変軌道パッド。
- 請求項1〜5の何れかにおいて、前記係合凸部は横断面形状が角形状をなしていることを特徴とする鉄道レール用の一体型可変軌道パッド。
- 請求項1〜6の何れかにおいて、前記弾性膜は前記軌道パッドの下端部から上向きに延び出しており、前記樹脂液の注入前の状態において該下端部より上方位置において前記係合凸部が前記周壁部の係合凹部に係入していることを特徴とする鉄道レール用の一体型可変軌道パッド。
- 請求項1〜7の何れかにおいて、前記可変パッドの周壁部には前記樹脂液の注入口と、前記容器内部の空気を排出する排気口とが設けられており、且つ該排気口が前記レール支持体に対しレール長手方向において前記注入口と同じ側に設けられていることを特徴とする鉄道レール用の一体型可変軌道パッド。
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