JP4168010B2 - 可変軌道パッド - Google Patents
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例えば下記特許文献1,特許文献2にこれらの技術が開示されている。
一方可変パッドは袋状をなしていて、その内部への液状の硬化性の樹脂の注入及びその後の硬化により、レールを水平且つ適正高さに保持する働きをなす。
同図において200はレールで、202はコンクリート基盤であり、このコンクリート基盤202上に金属製のタイプレート(レール支持体)204が、ボルト206にて絶縁板208を介し固定されている。
ここでボルト206は、コンクリート基盤202内に埋設された埋込栓209にねじ込まれている。
各突出部210にはレール固定用の板ばね212がボルト214及びナット216により取り付けられており、その板ばね212の自由端部が、レール200の基底部200Aを下向きに押圧している。
可変パッド220の内部には液状の硬化性の樹脂が注入され、その後にこれが硬化されている。
可変パッド220は、その液状の樹脂の注入量に応じて膨張によりその厚みを増し、そしてその厚みが適正に調整されることによって軌道パッド218とともに、レール200を適正高さ且つ水平に保持する。
レール200は可変パッド220を膨らませる前に、図15に示すレール高さ調節用のスペーサ222により事前に高さ調整されており、従って図14に示しているように可変パッド220を膨らませる前において、レール200と軌道パッド218との間には隙間Sが生じている。
可変パッド220は、この状態で隙間Sが埋るまで内部に液状の樹脂が注入されて膨張せしめられ、その状態で注入された樹脂が硬化させられて、レール200を予め調整された高さに保持する。
ここで滑り板224は、レール200が熱により膨張或いは収縮したときにレール200を滑り板224の上面で滑らせることで、レール200の膨張,収縮による位置移動により軌道パッド218及び可変パッド220が変形したり、或いはタイプレート204等のレール支持体から位置ずれし、または場合によって外れてしまうのを防ぐ働きをなす。
同図に示しているように軌道パッド218及び可変パッド220をレール200とタイプレート204との間の空間に挿入するには、別体をなす軌道パッド218と可変パッド220とを先ず予め上下に重ねて揃えておき、その状態で軌道パッド218と可変パッド220とを、タイプレート204の一対の突出部210と210との間且つレール200とタイプレート204の上面との間の空間にレール方向に挿入する。
可変パッド220はその収縮状態で軌道パッド218と同等の適正な幅となることが求められ、そのため可変パッド220は液状の樹脂を注入して膨らませる前の状態では、幅方向の寸法が軌道パッド218及び一対の突出部210と210との間の寸法よりも予め大寸法とされている。
このようにして軌道パッド218と可変パッド220とを挿入し終わった状態が図14に示す状態であり、この状態で可変パッド220内に液状の樹脂が注入されてその後硬化せしめられる。
このため必然的に作業は遅くなって、作業に要する時間も長くなる。
またその際に幅広の可変パッド220を、左右の幅方向の両端部で折り曲げた状態で挿入しなければならないため、このことが挿入作業をより困難化する。
図15に示しているように可変パッド220にあっては、内部に液状の樹脂を注入するための注入口228と、内部の空気を排出するための排気口230とが、タイプレート204等のレール支持体に対してレール方向の反対側に設けてあり、しかもその排気口230は、注入口228の側から見てレール200の下側に隠れた状態となる。
可変パッド220への液状の樹脂の注入は、注入口228側で作業者がそこから可変パッド220内部に液状の樹脂を注入し、そして排気口230から液状の樹脂が流出し始めたところで、液状の樹脂の注入を停止するが、上記のように排気口230は注入口228側の作業者から見てタイプレート204の向こう側且つレール200の下側に隠れた状態にあるため、排気口230からの液状の樹脂の流出のし始めの時期を正しく監視することは困難である。
その間の樹脂の無駄な注入量を極力少なくするために、樹脂の注入をゆっくりした速度で行わざるを得ず、これにより注入のための作業に時間がかかってしまって、このこともまたコストを高める要因となっていた。
しかも挿入作業中に軌道パッドと可変パッドとが互いに位置ずれを生ずることが無いので、軌道パッドと可変パッドとを適正な相対関係位置を保った状態でレールとレール支持体との間に挿入することができる。
このようにすることで軌道パッドと可変パッドとを一体化して成る可変軌道パッドの構造を簡素化することができる。
このようにしておけば、レールが膨張,収縮によりレール方向に位置ずれした場合であっても、可変パッド即ち可変軌道パッドがレール支持体に対して前,後方向に位置ずれするのを防止でき、かかる可変軌道パッドがレール支持体から場合によって外れてしまうといったことを防止することができる。
これにより作業に要する人件費を削減し得て施工コストを更に低減することができる。
また同一作業者が液状の樹脂の注入作業と排気口からの液状の樹脂の流出の監視作業とを行うことができるため、別の作業者がそれらを行った場合に比べて、排気口から液状の樹脂が流出し始めた段階で直ちに液状の樹脂の注入を停止することができ、従って液状の樹脂の注入速度を速め得て、注入作業自体も短縮化することができる。
先ず図1は、本実施形態の可変軌道パッド10を施工完了状態で表している。
同図において12はレール、14はコンクリート基盤、16は金属製のタイプレート(レール支持体)、18は絶縁板をそれぞれ表している。
タイプレート16はボルト20にて絶縁板18を介しコンクリート基盤14の上面に固定されている。
ここでボルト20は、コンクリート基盤14に埋設された埋込栓22にねじ込まれている。
一対の突出部24と24との間にはレール12の基底部12Aが嵌め込まれて位置決めされ、その基底部12Aが板ばね26の自由端部にて下向きに押圧されている。
そしてレール12の基底部12Aが可変軌道パッド10を介してタイプレート16により弾性的に支持されている。
尚46はSUS鋼板から成る滑り板である。
先ず図4及び図5に示しているように、可変軌道パッド10はゴム板(弾性板)から成る軌道パッド32と、袋状をなす可変パッド34とを有している。
本実施形態において可変軌道パッド10は、これら軌道パッド32と可変パッド34とを一体化した構造をなしている。
軌道パッド32の上面には図2,図3,図4に示しているように前後方向に延びる凹溝36が左右方向に所定ピッチで形成されている。
即ちこの実施形態では、軌道パッド32の一部が同時に可変パッド34の一部を成している。
詳しくは、可変パッド34への後述の液状の硬化性の樹脂の注入前において可変パッド34の上面部35と下面部42とが重なり合った状態の下で、それら凹部40と凸部44とが凹凸嵌合し、これにより上面部35と下面部42とがずれ防止されている。
一方ゴム板から成る軌道パッド32の周縁部には、全体として断面U字状に折り畳まれた可撓膜50B,50C(図4の部分拡大図参照)が設けられている。
詳しくは、軌道パッド32の上端周縁から可撓膜50Bが下向きに延び出しており、そして折返し部54で折り返すようにして可撓膜50Cが上向きに延び出している。
ここで可撓膜50B,50Cは、軌道パッド32の周縁に沿って環状に形成されている。
そして上向きに延びた可撓膜50Cの上端部(上接合部)52が、半体48の可撓部50Aの上端部(下接合部)56に接着固定されている。
そして図5に示しているようにそれら前,後端部のはみ出し部66に凹所58が設けられていて、それら凹所58により樹脂溜り部60が形成されている。
尚図4の部分拡大図に示しているように、可変パッド34の右側部と左側部とにおいても、ゴム板から成る軌道パッド32と可撓膜50Bとの間に小寸法の樹脂溜り部60が形成されている。
そして図6に示しているようにその注入口62及び排気口64のそれぞれの半体62A,64Aが軌道パッド32の側に、また注入口62及び排気口64のそれぞれの他方の半体62B,64Bが可変パッド34の下半分を構成する半体48の側に一体に成形されている。
これら各半体62A,62B及び64A,64Bは、軌道パッド32と可変パッド34とを接着により一体構造となしたとき、それらが互いに合わさって注入口62と排気口64とを構成する。
図8(I)はタイプレート16を敷設した状態を表しており、この後において図8(II)に示すようにレール12がタイプレート16の一対の突出部24と24との間に嵌め入れられ、且つ高さ調節された上でレール12の基底部12Aとコンクリート基盤14との間にスペーサ68が挿入されてレール12が調整高さに仮止めされる。
このときレール12とタイプレート16との間には空間が存在する。
このようにしてレール12の高さ調整を行ってスペーサ68により仮止めした後において、図11に示すようにして可変軌道パッド10をタイプレート16の突出部24と24との間にレール方向に挿入する。
また挿入後において軌道パッド32と可変パッド34との相対関係位置を適正関係位置に保持した状態で、それら全体を適正な位置に挿入セット状態とすることができる。
このようにして可変軌道パッド10を突出部24と24との間に挿入した状態において、図9(III)に示しているように軌道パッド32とレール12の基底部12Aとの間には隙間Sが存在している。
この隙間Sは概略3〜14mm程度の隙間である。
この液状の樹脂としては2液混合型の反応硬化型樹脂を用いることができる。
この液状の樹脂の注入は、注入口62と同じ側にある排気口64から液状の樹脂が流出するまで行う。
この液状の樹脂の排気口64からの流出は、液状の樹脂の注入により可変パッド34が上下方向に膨らんで、可変軌道パッド10とレール12との間の隙間Sがゼロになったところで生ずる。
換言すれば、この排気口64から液状の樹脂が流出し始めたときが隙間Sがゼロとなったときである。
従ってその時点で液状の樹脂の注入を停止する。図9(IV)はこのときの状態を示している。
このとき伸縮部50の伸長による可変パッド34の膨張は、折畳み状態にある可撓膜50A,50B,50C(特に50B)が上下方向に延びることによって行われるため、全体として可変パッド34の左右方向幅は、液状の樹脂の注入による膨張によって特に小さく変化することはない。
換言すれば、液状の樹脂の注入によって可変パッド34が幅寸法を小さくしないために、予め可変パッド34の左右方向寸法をタイプレート16における突出部24と24との間の寸法に合せておくことができる。
ここにおいて適正高さに調整されたレール12が可変軌道パッド10によりその調整高さに保持される状態となる。
この樹脂の硬化後においては、上面部35の凹部40が硬化時に生じた凸部に、また下面部42の凸部44が同じく樹脂の硬化時に生じた凹部にそれぞれ凹凸嵌合し、これによって樹脂の硬化後においてはそれらの凹凸嵌合に基づいて、上面部35及び下面部42がそれぞれずれ防止される。
このようにして可変軌道パッド10にレール12に対する支持力が生じたところで、図10(V)に示しているようにレール高さ調整用のスペーサ68を取り外す。
しかも挿入作業中に軌道パッド32と可変パッド34とが互いに位置ずれを生ずることが無いので、軌道パッド32と可変パッド34とを適正な相対関係位置を保った状態でレール12とタイプレート16との間に挿入することができる。
また同一作業者が液状の樹脂の注入作業と排気口64からの液状の樹脂の流出の監視作業とを行うことができ、排気口64から液状の樹脂が流出し始めた段階で直ちに液状の樹脂の注入を停止することができるため、別の作業者がそれらを行った場合に比べて樹脂の注入速度自体も速め得て注入作業時間も短縮化することができる。
例えば本発明は上面に滑り板の固着されていない軌道パッドを用いて可変軌道パッドを構成することも可能であるなど、その趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
12 レール
16 タイプレート(レール支持体)
32 軌道パッド
34 可変パッド
35 上面部
40 凹部
42 下面部
44 凸部
46 滑り板
48 半体(シート)
52 上端部(上接合部)
56 上端部(下接合部)
62 注入口
64 排気口
66 はみ出し部
S 隙間
Claims (7)
- (イ)レールとタイプレート等のレール支持体との間に挿入され、レール上を鉄道車両が走行する際の緩衝材として働くゴム等の弾性板から成る軌道パッドと、(ロ)扁平な袋状をなし、該軌道パッドの下側において前記レールとレール支持体との間に挿入され、且つ挿入状態で内部への液状の硬化性の樹脂の注入により膨らんで上下方向の厚みを増し、該軌道パッドとレールとの間の隙間を埋めて該軌道パッドを該レールに接触せしめる可変パッドとを、該レールと前記レール支持体との間への挿入前において予め一体化してあることを特徴とする可変軌道パッド。
- 請求項1において、前記弾性板から成る軌道パッドの下面部が前記扁平な袋状をなす可変パッドの上面部を構成しており、該軌道パッドの一部が該可変パッドの一部を成していることを特徴とする可変軌道パッド。
- 請求項2において、前記可変パッドの下面部を構成するシートの周縁部に下接合部を、また前記軌道パッドの周縁部に上接合部をそれぞれ設けて、それら下接合部と上接合部とを接着により互いに接合して前記可変パッドを構成してあることを特徴とする可変軌道パッド。
- 請求項3において、前記可変パッドは前記レールとレール支持体との間への挿入状態で前端部と後端部とが該レール支持体から前,後にはみ出す大きさとなしてあるとともに、少なくともそれら前,後へのはみ出し部が柔軟に形成してあり、該可変パッド内部への前記液状の樹脂の注入により前記前,後のはみ出し部が下向きに膨出して該レール支持体を前,後から挟み込むようになしてあることを特徴とする可変軌道パッド。
- 請求項1〜4の何れかにおいて、前記可変パッドの上面部と下面部とには、前記液状の樹脂の注入前の重なり状態で互いに嵌合する凹部と凸部とが形成してあることを特徴とする可変軌道パッド。
- 請求項1〜5の何れかにおいて、前記可変パッドには前記液状の樹脂の注入口と、袋の内部の空気を排出する排気口とが設けられており、且つ該排気口が前記レール支持体に対しレール方向において前記注入口とは反対側には設けられておらず、該注入口と同じ側にだけ設けられていることを特徴とする可変軌道パッド。
- 請求項1〜6の何れかにおいて、前記軌道パッドの上面には滑り板が一体に固着してあることを特徴とする可変軌道パッド。
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