JP4565876B2 - コンクリート構造物の補強方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば鉄筋コンクリート構造(以下RC構造)、PC構造、PRC構造、SRC構造等の補強方法に関する。
従来より、RC構造の柱や橋脚を補強する方法として、柱や橋脚に補強用繊維シート成形物を巻き付けて補強する方法が知られている。
この補強方法としては、例えば下記手順にて補強方法する補強方法A〜Cが知られている(特許文献1〜3参照)。
<補強方法A>
1.コンクリート表面のサンディング処理(レイタンス除去)
2.プライマー塗布
3.パテ材塗布
3.含浸接着剤下塗り
4.補強用繊維シート成形物貼りつけ
5.含浸接着剤塗布
6.保護塗装
<補強方法B>
1.コンクリート表面のサンディング処理
2.接着剤塗布
3.補強用繊維シート成形物貼りつけ
4.保護塗装
<補強方法C>
1.コンクリート表面のサンディング処理
2.補強用繊維シート成形物を仮固定し、シート側面をシール
3.接着剤をコンクリートと補強用繊維シート成形物との間に注入
4.保護塗装
特開平2004−27718号公報 (第8頁) 特開平2004−44322号公報 (第4頁) 特許第3477118号公報 (第3頁)
しかしながら、前記特許文献1〜3の技術では、鉛直方向に配置される柱や橋脚の補強には有効であるが、水平方向に配置される床版や梁の強度補強には、必ずしも十分では無いという問題があった。
例えばコンクリート版の下面に補強用繊維シート成形物を貼り付けた供試体に、曲げ強度試験を実施すると、所定強度以上では、コンクリート下面の表面層が補強用繊維シート成形物に付着した状態で剥離し、コンクリート構造物が破壊されるので、強度の点で一層の改善が望まれていた。
本発明は上記問題点を解決するものであり、その目的は、補強強度の高いコンクリート構造物の補強方法を提供することである。
(1)請求項1の発明では、コンクリート構造物の引張応力が加わる側の表面を長方形状で溝状に切削して、粗骨材を露出させ、該粗骨材が露出した箇所の底面全体を覆うように、前記引張応力の引張方向に沿って補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物を接着する。
コンクリートは細骨材、粗骨材がセメントペーストの接着力によって固形したものである。粗骨材の表面に補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物を接着する利点は、粗骨材の表面以外の部分は強固なコンクリート内に埋め込まれた状態であり、容易に剥がれることがないことにある。コンクリートの表面付近はセメントペースト分が多いため、粗骨材表面に接着するのに比べ、接着効果が低い。
従って、本発明では、表面層に補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物を貼り付けるのではなく、コンクリート構造材の内部に食い込んでいる粗骨材が露出した箇所に、その部分を覆うように補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物を接着する。
即ち、コンクリート構造物の引張応力(曲げ応力)が加わる側の表面を(例えばコンクリート構造物の長手方向に沿って)長方形状で溝状に切削して、粗骨材が露出させ、その該粗骨材が露出した箇所の底面全体を覆うように、引張応力の引張方向に沿って補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物を接着する。
従って、極めて補強強度が高いという利点がある。
これによって、特に桁、床版や梁等のコンクリート構造物に大きな力(引張応力;曲げ応力)が加わった場合でも、単にコンクリート表面に補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物を接着した場合に比べて、補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物に接着された状態で表面層が剥離することがなく、強固に接着するので、コンクリート構造材に破壊が発生し難く、極めて補強強度が高いという効果がある。
尚、前記粗骨材としては、砂利や砕石などの骨材のうち、5mmふるいに85%以上とどまる材料が挙げられる。
記補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物としては、1枚のシート又は複数枚のシートを積層した積層シートを用いることができる。また、1枚のシートの厚みとしては、0.1〜1mmが挙げられる。積層枚数としては、2〜10枚程度が挙げられる。前記積層シートは、コンクリート構造体に順次シートを貼り付けることにより形成でき、積層シートの方が補強強度が高い。
尚、補強用アラミド繊維シート成形物とは、補強用アラミド繊維シートの材料である繊維を、エポキシ、ウレタン、アクリル系の樹脂等をバインダーとして固定して成形物としたものである。(以下同様
)請求項の発明では、切削した箇所(溝)の深さとして、鉄筋が露出する位置までの範囲を採用する。
本発明は、溝の深さを例示したものである。つまり、コンクリートの品質あるいは状態が悪い場合にはコンクリート粒子間の結合が安定した深さまで溝を削り、場合によっては鉄筋が露出する位置まで削る必要がある、一方、浅過ぎると、粗骨材が十分に露出しないので、この範囲(例えば2〜30mmの深さ)が好適である。
)請求項の発明では、複数の補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物を交差して配置して接着する。
これにより、補強強度を高めることができる。例えば直交して配置する方法を採用できる。なお、溝を交差させて形成し、その両方の溝に補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物を貼り付けることが望ましいが、交差させる一方にのみ溝を形成してもよい。
)請求項の発明では、複数の補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物を、並列に配置して接着する。
これにより、補強強度を高めることができる。
)請求項の発明では、コンクリート構造物として、水平方向、垂直方向、鉛直方向、又は斜め方向に配置される構造物が挙げられる。
特に、水平方向に配置される床版や梁の様な場合には、床版においては短辺方向、また梁においては軸方向に対して垂直に大きな力(曲げ応力)が発生するが、本発明の場合には十分な補強強度を有する。
尚、床版や梁などの水平方向に配置される構造材の場合には、力が加わる方向と反対側の面(裏面:下面)〔引張応力側〕に、溝を形成して補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物を接着するので、引張強度が高い補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物の特性を生かすことができ、補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物が破損し難く、又雨水等の水分が侵入し難いので望ましい。
また、コンクリート構造物としては、鉄筋コンクリート床版、PC床版、PRC床版、PC桁(プレストレスコンクリート桁)、RC桁(鉄筋コンクリート桁)、PRC桁、鉄筋コンクリート擁壁等が挙げられる。
)請求項6〜8の発明は、コンクリート構造物の表面を切削して補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物を接着する工程を例示したものであり、この方法により、容易に又確実にコンクリート構造物の補強を行うことができる。
次に、本発明の最良の形態の例(実施例)について説明する。
a)まず、本実施例のコンクリート構造物の補強方法により補強された構造物を、図1及び図2に基づいて説明する。
図1に示す様に、本実施例では、コンクリート構造物である床版1の表面、即ち床版1の下面(同図では下面を上方にしてある)3の一部を切削して、長方形状(帯状)の溝5が設けられ、その溝5に、補強用のアラミド繊維シート成形物7が接着されている。
尚、図示しないが、コンクリート構造物の内部には、軸方向に複数の主鉄筋が配置され、その主鉄筋の周囲を囲む様に多数の帯鉄筋が巻かれている。
前記溝5は、例えば約縦410mm×横50mm×平均の深さ7mmの帯状であり、下面3の中央に形成されている。また、溝5の底面9は、粗骨材が露出するまで削られている。尚、溝5の深さとしては、例えば鉄筋位置までの範囲で、適宜設定することができる。
前記アラミド繊維シート成形物7は、前記溝5の平面形状とほぼ同様(僅かに小さい寸法)である。つまり、アラミド繊維シート成形物7は、例えば約縦410mm×横50mm×厚み0.572mmの1枚のシートであり、溝5の底面9全体を覆うように、溝5に嵌め込まれて接着されている。尚、アラミド繊維シート成形物7の厚みとしては、例えば0.1〜1mmの範囲で、適宜設定することができる。また、アラミド繊維シート成形物7は、1枚を用いてもよいが複数枚積層してもよい。
図2に、図1のA−A断面を示すが、本実施例では、下面3に形成された溝5の断面コ字状の内周面11を覆う様に、プライマー層13が形成され、プライマー層13の上にパテ材層14が形成され、パテ材層14の上に接着層15が形成され、接着層15の上にアラミド繊維シート成形物7が配置された構成を有している。
b)次に、本実施例のコンクリート構造物の補強方法を説明する。
1)まず、床版1の下面1に対して、溝削り処理を行う。
具体的には、ダイモンドカッター・ショットブラスト・サンドブラスト・ジェットタガネ・ウォータージェットなどを用いて、床版1の下面1を、その表面から鉄筋位置までの範囲で削り、前記図1に示す溝5を形成する。これにより、コンクリートの(セメントペーストや細骨材等からなる)表面層が除去され、粗骨材が露出した底面9が得られる。
2)次に、形成された溝5の内周面11に、プライマーを塗布する。これにより、プライマー層13が形成される。尚、このプライマーとしては、例えば溶剤含有エポキシ樹脂であるジョリシールJBX−87(アイカ工業株式会社製)を用いることができる。
3)次に、プライマー層13の上に、(パテ材層14となる)パテ材を塗布して溝内の凹凸を平坦な面が形成される。このパテ材としては、例えばエポキシ樹脂であるジョリシールJB−88(アイカ工業株式会社製)を用いることができる。次に、含浸接着剤を塗布する。これにより、接着層15が形成される。尚、この含浸接着剤としては、例えばエポキシ樹脂であるジョリシールJBX−95(アイカ工業株式会社製)を用いることができる。
4)次に、含浸接着剤が乾く前に、この接着層15の上に、アラミド繊維シート成形物7を貼り付ける。これにより、含浸接着剤が内側からアラミド繊維シート成形物7内に侵入し、アラミド繊維シート成形物7が強固に接着されることになる。
5)次に、アラミド繊維シート成形物7の上に、含浸接着剤を塗布する。これにより、含浸接着剤が外側からアラミド繊維シート成形物7内に侵入し、アラミド繊維シート成形物7が強固に接着されることになる。
6)次に、アラミド繊維シート成形物7の上に、保護塗装を行う。尚、保護塗装材としては、例えば中塗はエポキシ樹脂塗料であるジョリシールJBX−91(アイカ工業株式会社製)、上塗りはウレタン樹脂塗料であるジョリエースJUX−29(アイカ工業株式会社製)を採用できる。
従って、上述した方法により、床版1の補強を行うことができる。
c)次に、本実施例の効果を確認するために行った実験例について説明する。
ここでは、下記表1に示す様に、試料No.1〜10の試料を用いた実験例について説明する。尚、表1では、試料No.6〜10(実施例1〜4)が本発明の例であり、試料No.1〜6(ブランク、比較例1〜5)が本発明の範囲外の例である。
本実験例では、上述した縦600mm×横150mm×厚み150mmのコンクリート構造材を用いた。尚、このコンクリート構造材の圧縮強度は、24.0N/mm2(設計基準強度)、30.4N/mm2(配合強度)である。
・そして、ブランクとして、シートを貼り付けないものを使用し、その曲げ強度及び歪みを調べた。曲げ強度は、図3(a)に示す様に、スパン:450mmで、3等分載荷曲げ試験を行った(JIS A 1106)。その試験の破断時の曲げ強度と歪みを、下記表1に記す。(以下試験方法は同様)
尚、図3及び図4の左図は長手方向に沿って破断した縦断面図、右図は長手方向の中央にて長手方向と垂直に破断した横断面図である。
・比較例1として、図3(b)に示す様に、サンディング処理を実施した下面に、その長手方向に沿って、長さ410mm×幅50mm×厚み0.572mmの1枚のアラミド繊維シート成形物を貼り付けた。
・比較例2として、図3(c)に示す様に、サンディング処理を実施した下面に、格子状にアラミド繊維シート成形物を貼り付けた。つまり、長手方向に、長さ410mm×幅50mm×厚み0.572mmの1枚のアラミド繊維シート成形物を貼り付けるとともに、それと直交する様に、短手方向に、長さ150mm×幅50mm×厚み0.572mmの1枚のアラミド繊維シート成形物を等間隔で3枚貼り付けた。
・比較例3として、図3(d)に示す様に、サンディング処理を実施した下面に、平行にアラミド繊維シート成形物を貼り付けた。つまり、長手方向に、長さ410mm×幅25mm×厚み0.572mmの1枚のアラミド繊維シート成形物を、30mmの間隔を開けて平行に貼り付けた。
・比較例5として、図3(e)に示す様に、サンディング処理を実施した下面に、格子状にアラミド繊維シート成形物を貼り付けた。つまり、長手方向に、長さ410mm×幅25mm×厚み0.572mmの1枚のアラミド繊維シート成形物を貼り付けるとともに、それと直交する様に、短手方向に、長さ150mm×幅25mm×厚み0.572mmの1枚のアラミド繊維シート成形物を等間隔で5枚貼り付けた。
・比較例6として、図3(f)に示す様に、サンディング処理を実施した下面に、長さ410mm×幅150mm×厚み0.572mmの1枚のアラミド繊維シート成形物を貼り付けた。これにより、下面の左右両端を除いて、下面全体をシートで覆った。
・実施例1として、図4(g)に示す様に、コンクリート構造体の下面において、その長手方向に、溝削り取り処理により、長さ410mm×幅50mm×深さ7mmの溝を形成した。次に、この溝に、ほぼ同様な平面寸法で厚み0.572mmの1枚のアラミド繊維シート成形物を貼り付けた。
・実施例2として、図4(h)に示す様に、コンクリート構造体の下面に、格子状に溝を形成し、その溝に格子状にアラミド繊維シート成形物を貼り付けた。つまり、長手方向に、長さ410mm×幅50mm×深さ7mmの溝を形成するとともに、短手方向に、長さ150mm×幅50mm×深さ5mmの溝を等間隔に3箇所形成し、その溝の底面を覆う様に、溝内に、厚み0.572mmの1枚のアラミド繊維シート成形物を縦横格子状にそれぞれ貼り付けた。
・実施例3として、図4(i)に示す様に、コンクリート構造体の下面に、平行に溝を形成し、その溝に平行にアラミド繊維シート成形物を貼り付けた。つまり、長手方向に、長さ410mm×幅25mm×深さ7mmの溝を30mmの間隔を開けて形成し、その溝の底面を覆う様に、厚み0.572mmmの1枚のアラミド繊維シート成形物を平行にそれぞれ貼り付けた。
・実施例4として、図4(j)に示す様に、コンクリート構造体の下面に、格子状に溝を形成するとともに、その溝に格子状にアラミド繊維シート成形物を貼り付けた。つまり、長手方向に、長さ410mm×幅25mm×深さ7mmの溝を形成するとともに、それと直交する様に、短手方向に、長さ150mm×幅25mm×深さ5mmの溝を、等間隔で5箇所形成し、その溝の底面を覆う様に、厚み0.572mmの1枚のアラミド繊維シート成形物を格子状に貼り付けた。
Figure 0004565876
この表1から明らかな様に、本発明の範囲の実施例1〜4の試料は、同様な寸法のアラミド繊維シート成形物を用いた場合でも、曲げ強度が高く(比較例のアラミド繊維シート成形物同一貼り方に対して1.2〜1.7倍)、大きく歪んでも(比較例のアラミド繊維シート成形物同一貼り方に対して1.5〜2.3倍)破断に到り難いという顕著な効果を奏する。
それに対して、比較例のものは、曲げ強度及び歪みの点で劣っており、好ましくない。
この様に、本実施例では、床版等のコンクリート構造体の下面等に、粗骨材が露出するまで溝を形成し、その溝を埋める様にアラミド繊維シート成形物を接着するので、その曲げ強度及び歪みの特性が優れているという顕著な効果を奏する。
また、アラミド繊維シート成形物をコンクリート構造物の全表面に貼るのではなく、一方向に(又並列に)貼ったり格子状に貼ることにより、コンクリート構造物に入るひび割れ等の劣化状況の目視が容易にできるという利点がある。
更に、雨水等の水分が常時供給される屋外では、コンクリート面に水分が徐々に浸透することにより、コンクリートにアラミド繊維シート成形物を全面貼りすると滞水が発生し、水分によるフクレや剥がれ等の不具合が生じたり、鉄筋を腐食させたり、擦り磨きによるコンクリートの耐力低下などの不具合を生じることがあるが、本実施例では、コンクリート構造物の底面にアラミド繊維シート成形物を貼り付けないことから、滞水することがなくその様な心配はない。
次に、実施例2のコンクリート構造物の補強方法を説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例は、前記実施例1とは、その補強の手順等が異なるが、コンクリート構造物の構造等は、前記実施例1とほぼ同様であるので、図面は省略する。
1)まず、床版の下面に対して、溝削り処理を行う。
具体的には、ダイモンドカッター・サンドブラスト・ショットブラスト・ジェットタガネ・ウォータージェットなどを用いて、床版の下面を、その表面から鉄筋位置までの範囲で削り、前記実施例1と同様な溝を形成する。
2)次に、形成された溝の内周面に、前記実施例1と同様なパテ材と含浸接着剤を塗布する。
3)次に、含浸接着剤が乾く前に、アラミド繊維シート成形物を貼り付ける。これにより、含浸接着剤が内側からアラミド繊維シート成形物内に侵入し、アラミド繊維シート成形物が強固に接着される。
4)次に、アラミド繊維シート成形物の上に、保護塗装を行う。
従って、上述した方法により、床版の補強を行うことができる。
本実施例によっても、前記実施例1と同様な効果を奏する。
次に、実施例2のコンクリート構造物の補強方法を説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例は、前記実施例1とは、その補強の手順等が異なるが、コンクリート構造物の構造等は、前記実施例1とほぼ同様であるので、図面は省略する。
1)まず、床版の下面に対して、溝削り処理を行う。
具体的には、ダイモンドカッター・ショットブラスト・ショットブラスト・ジェットタガネ・ウォータジェットなどを用いて、床版の下面を、その表面から5〜30mmの範囲まで削り、前記実施例1と同様な溝を形成する。
2)次に、形成された溝内に、アラミド繊維シート成形物を配置し、このアラミド繊維シート成形物をアンカー及びファスナーで固定する。
3)次に、アラミド繊維シート成形物の側面を例えば、エポキシ樹脂パテ材、ジョリシールJB−2(アイカ工業株式会社製)等のシール材によりシールする。
4)次に、アラミド繊維シート成形物とコンクリートとの間に、前記実施例1と同様な含浸接着剤を注入して、アラミド繊維シート成形物とコンクリートとを接着する。
5)次に、アラミド繊維シート成形物の上に、保護塗装を行う。
従って、上述した方法により、床版の補強を行うことができる。
本実施例によっても、前記実施例と同様な効果を奏する。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
実施例1のコンクリート構造物を示す説明図である。 実施例1のコンクリート構造物を破断して示す断面図である。 実験例を示す説明図である。 実験例を示す説明図である。
符号の説明
1…床版
3…下面
5…溝
7…アラミド繊維シート成形物
9…底面

Claims (8)

  1. コンクリート構造物の引張応力が加わる側の表面を長方形状で溝状に切削して、粗骨材を露出させ、該粗骨材が露出した箇所の底面全体を覆うように、前記引張応力の引張方向に沿って補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物を接着することを特徴とするコンクリート構造物の補強方法。
  2. 前記表面を切削した部分の深さが、鉄筋位置までの範囲であることを特徴とする前記請求項1に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  3. 複数の前記補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物を、交差して配置して接着することを特徴とする前記請求項1又は2に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  4. 複数の前記補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物を、並列に配置して接着することを特徴とする前記請求項1又は2に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  5. コンクリート構造物が、水平方向、鉛直方向、垂直方向、又は斜め方向に配置される構造物であることを特徴とする前記請求項1〜のいずれかに記載のコンクリート構造物の補強方法。
  6. 下記手順にて、前記補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物を接着することを特徴とする前記請求項1〜のいずれかに記載のコンクリート構造物の補強方法。
    1.コンクリート表面を切削
    2.切削した箇所にプライマー塗布
    3.パテ材塗布
    3.含浸接着剤下塗り
    4.補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物貼りつけ
    5.含浸接着剤塗布
    6.保護塗装
  7. 下記手順にて、前記補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物を接着することを特徴とする前記請求項1〜のいずれかに記載のコンクリート構造物の補強方法。
    1.コンクリート表面を切削
    2.切削した箇所に接着剤塗布
    3.補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物貼りつけ
    4.保護塗装
  8. 下記手順にて、補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物を接着することを特徴とする前記請求項1〜のいずれかに記載のコンクリート構造物の補強方法。
    1.コンクリート表面を切削
    2.切削した箇所に補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物を仮固定し、シート側面をシール
    3.接着剤をコンクリートと補強用アラミド繊維シート又は補強用アラミド繊維シート成形物との間に注入
    4.保護塗装
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