JP2020026652A - 鉄筋補強構造及び鉄筋補強方法 - Google Patents

鉄筋補強構造及び鉄筋補強方法 Download PDF

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啓介 塩田
Keisuke Shioda
啓介 塩田
泰邦 吉岡
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泰邦 吉岡
仁志 内藤
Hitoshi Naito
仁志 内藤
和樹 有薗
Kazuki Arizono
和樹 有薗
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【課題】孔を開けることなく、鉄筋コンクリート部の内側鉄筋の隅角部側を補強することが可能な技術を提供する。【解決手段】隅角部3cで連結された側壁2c及び底版2b(2つの鉄筋コンクリート部)の少なくとも何れか一方の側壁2cの内面4a側に埋設された内側鉄筋5aの隅角部3c側を補強する補強鉄筋11(補強材)を備えた鉄筋補強構造10であって、補強鉄筋11は、側壁2c及び隅角部3cの各々の内側に亘って固定材13を介して固定され、かつ隅角部3cにおいて側壁2c側とは反対側に曲線状に曲がっている。【選択図】図3

Description

本発明は、鉄筋補強構造及び鉄筋補強方法に関し、特に、鉄筋コンクリート部の内面側に隅角部に亘って埋設された内側鉄筋の隅角部側を補強する鉄筋補強構造及び鉄筋補強方法に適用して有効な技術に関するものである。
鉄筋コンクリート構造物として、例えば、下水や雨水を流す管路、道路、歩道、貯水槽、防火水槽、共同溝、雨水浸透など様々な用途に使用されるボックスカルバートが知られている。このボックスカルバートは、頂版、底版、側壁などの各鉄筋コンクリート部を有し、かつ隣り合う2つの鉄筋コンクリート部が隅角で相対的に折れ曲がるようにして連結された構造になっている。
ところで、地中に埋設されたボックスカルバートでは、大地震時の側方土圧により、側壁と底版との隅角部に設計よりも大きな曲げモーメントが生じ、側壁の内面側に隅角部に亘って埋設された内側鉄筋に過大な引張力が作用する場合がある。
また、水槽として使用されたボックスカルバートでは、水位が設計よりも深くなった場合に側壁に作用する水圧が増大し、側壁と底版との隅角部に過大な曲げモーメントが作用する。
このような場合には、側壁の内面側に隅角部に亘って埋設された内側鉄筋の隅角部側で引張応力が許容値を超過するため、この内側鉄筋の隅角部側での引張力を補強する必要がある。
特許文献1には、壁部から隅角部に亘って鉛直方向に延伸する孔を形成し、この孔に補強鉄筋を挿入することにより、コンクリート構造物の任意の部位に適した補強を施す補強方法が開示されている。
また、特許文献2には、隅角部で連結された2つの鉄筋コンクリート部の各々に各々の内面側から孔を形成し、その後、2つの鉄筋コンクリート部の各々に形成された孔にアンカーボルトを打ち込み、その後、2つの鉄筋コンクリート部の各々に打ち込まれたアンカーボルトに亘って各々の頭部に鉄筋を固定(緊結)し、その後、アンカーボルトの頭部に固定された鉄筋を埋設するように樹脂モルタルを打設することによって隅角部を補強する技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1及び2の何れも鉄筋コンクリート部に孔を開けることを前提としている。鉄筋コンクリート部には多くの既存鉄筋が埋設されているため、特許文献1及び2のように鉄筋コンクリート部に孔を開けることを前提とする技術においては、既存鉄筋を削孔時に損傷させてしまう問題があった。
また、既存鉄筋の損傷を防止するためには、事前に既存鉄筋の探査を行い、既存鉄筋を避けて削孔する必要があり、既存鉄筋を補強するための補強鉄筋を適切な位置に配置することができない問題があった。また、既存鉄筋の探査や削孔の費用が多大であり、経済性に問題があった。
特開2017−8570号公報 特開2005−155273号公報
そこで、本発明者らは、既存鉄筋を補強する補強材の形状に着目し、本発明をなした。
本発明の目的は、孔を開けることなく、鉄筋コンクリート部の内側鉄筋の隅角部側を補強することが可能な技術を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る鉄筋補強構造は、隅角部で連結された2つの鉄筋コンクリート部の少なくとも何れか一方の鉄筋コンクリート部の内面側に埋設された内側鉄筋の隅角部側を補強する補強材を備えた鉄筋補強構造であって、補強材は、一方の鉄筋コンクリート部及び隅角部の各々の内側に各々に亘って固定材を介して固定され、かつ隅角部において一方の鉄筋コンクリート部側とは反対側に曲線状に曲がっている。
また、本発明の一態様に係る鉄筋補強方法は、隅角部で連結された2つの鉄筋コンクリート部の少なくとも何れか一方の鉄筋コンクリート部の内面側に埋設された内側鉄筋の前記隅角部側を補強する鉄筋補強方法であって、一方の鉄筋コンクリート部及び隅角部の各々の内側を一方の鉄筋コンクリート部及び隅角部に亘って延伸し、かつ隅角部において一方の鉄筋コンクリート部側とは反対側に曲線状に曲がる補強材を、一方の鉄筋コンクリート部及び隅角部の各々の内側に固定材を介して固定する。
本発明の一態様によれば、孔を開けることなく、鉄筋コンクリート部の内側鉄筋の隅角部側を補強することが可能となる。
本発明の実施形態1に係る補強構造を説明するための図であって、ボックスカルバートが地中に埋設された状態を示す模式的断面図である。 図1のボックスカルバートの側壁での鉄筋の配筋状態を部分的に示す要部斜視図である。 図1のボックスカルバートの側壁と底版との隅角部付近を拡大して示す要部拡大断面図である。 図3の鉄筋補強構造での鉄筋の配筋状態を部分的に示す要部斜視図である。 図1のボックスカルバートの隅角部に生じる曲げモーメントを説明するための図である。 本発明の実施形態1に係る鉄筋補強構造でボックスカルバートを補強する前において、側壁の内側鉄筋の隅角部側に作用する応力状態を示す図である。 比較例の鉄筋補強構造に作用する応力状態を示す図である。 本発明の実施形態1に係る補強構造に作用する応力状態を示す図である。 本発明の実施形態1に係る鉄筋補強構造において、固定材の非剥離条件1を説明するための図である。 本発明の実施形態1に係る鉄筋補強構造において、固定材の非剥離条件2を説明するための図である。 本発明の実施形態1に係る鉄筋補強方法を説明するための図である。 本発明の実施形態1に係る鉄筋補強方法を説明するための図である。 本発明の実施形態1に係る鉄筋補強方法を説明するための図である。 本発明の実施形態1に係る鉄筋補強方法を説明するための図である。 本発明の実施形態1に係る補強構造の変形例1を示す図である。 本発明の実施形態1に係る補強構造の変形例2を示す図である。 本発明の実施形態1に係る補強構造の変形例3を示す図である。 本発明の実施形態1に係る補強構造の変形例4を示す図である。 本発明の実施形態2に係る鉄筋補強構造が設けられたボックスカルバートの要部断面図である。 本発明の実施形態3に係る鉄筋補強構造が設けられたボックスカルバートの要部斜視図である。 水槽の隅角部に生じる曲げモーメントを説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものではない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
また、以下の実施形態では、空間内で互に直交する三方向において、同一平面内で互に直交する第1の方向及び第2の方向をそれぞれX方向、Y方向とし、第1の方向及び第2の方向のそれぞれと直交する第3の方向をZ方向とする。
また、以下の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
(実施形態1)
この実施形態1では、鉄筋コンクリート構造物としてのボックスカルバートに本発明を適用した一例として、隅角部で連結された側壁及び底版のうちの側壁の内面側に隅角部に亘って埋設された内側鉄筋(主筋)を補強する補強構造及び補強方法について説明する。
≪ボックスカルバートの構造≫
まず、鉄筋補強構造及び鉄筋補強方法を説明する前に、ボックスカルバートの構造について説明する。
図1に示すように、ボックスカルバート1は、例えば地中に埋設されて車両通行用の地下トンネルを構築している。そして、地中に埋設されたボックスカルバート1上には、車両通行用道路が構築されている。
≪鉄筋コンクリート部≫
図1に示すように、ボックスカルバート1は、鉄筋コンクリート部として、頂版2a、底版2b及び2つの側壁2c,2dを有する。頂版2a及び底版2bは、第1の方向としてのX方向(高さ方向)において各々の壁面が互いに向かい合って離間する状態で配置されている。2つの側壁2c,2dの各々は、第2の方向としてのY方向(幅方向)において各々の壁面が互いに向かい合って離間する状態で配置されている。
また、ボックスカルバート1は、頂版2a及び側壁2cが相対的に折れ曲がるようにして連結された隅角部3aと、頂版2a及び側壁2dが相対的に折れ曲がるようにして連結された隅角部3bとを有する。また、ボックスカルバート1は、底版2b及び側壁2cが相対的に折れ曲がるようにして連結された隅角部3cと、底版2b及び側壁2dが相対的に折れ曲がるようにして連結された隅角部3dとを有する。
この実施形態1において、隅角部3a〜3dでは、例えば2つの鉄筋コンクリート部の内角が90°をなす角度で相対的に折れ曲がるようにして頂版2a及び底版2bの各々に2つの側壁2c,2dが連結されている。すなわち、この実施形態1のボックスカルバート1は、4つの鉄筋コンクリート部としての頂版2a,底版2b及び2つの側壁2c,2dが4つの隅角部3a〜3dで連結された角筒構造になっている。
図1から図3に示すように、頂版2a、底版2b及び2つの側壁2c,2dの各々は、各々の厚さ方向において互いに反対側に位置する内面4a及び外面4bを有するコンクリート層4と、このコンクリート層4の内面4a側に埋設された内側鉄筋5a,5bと、このコンクリート層4の外面4b側に埋設された外側鉄筋6a,6bとを具備する。
Y方向において互いに反対側に位置する隅角部3a,3bの各々は、これに限定されないが、Y方向と直交する断面の面積が頂版2aのY方向と直交する断面の面積よりも大きく、X方向と直交する断面の面積が側壁2c,2dのX方向と直交する断面の面積よりも大きいハンチ構造になっている。同様に、Y方向において互いに反対側に位置する隅角部3c,3dの各々も、Y方向と直交する断面の面積が底版2bのY方向と直交する断面の面積よりも大きく、X方向と直交する断面の面積が側壁2c,2dのX方向と直交する断面の面積よりも大きいハンチ構造になっている。このハンチ構造は、隅角部3a〜3dの各々に作用するせん断力や曲げモーメント力に抗するためのものである。そして、このハンチ構造の隅角部3a〜3dの各々は、各々に連結された2つのコンクリート層4,4の各々の内面4a,4aに連結され、かつ2つのコンクリート層4,4の各々の内面4a,4aに対して傾斜した内面4aを有する。
ここで、頂版2a、底版2b、2つの側壁2c,2d、及び4つの隅角部3a〜3dの各々の内面及び外面は、コンクリート層4の内面4a及び外面4bに対応する。したがって、頂版2a、底版2b、2つの側壁2c,2d、及び4つの隅角部3a〜3dの各々の内面及び外面をコンクリート層4の内面4a及び外面4bに置き換えて内面4a及び外面4bと呼ぶこともある。
また、隅角部3a〜3dの各々はハンチ構造になっているので、ハンチ構造の隅角部3a〜3dの各々をハンチ部と呼ぶこともある。
なお、隅角部3cを例示して説明すると、図3に示すように、隅角部3cをハンチ構造で構成した場合は、側壁2cの内面4aと隅角部3cの内面4aとが交わる第1角部4a1が形成され、更に隅角部3cの内面4aと底版2bの内面4aとが交わる第2角部4a2が形成される。一方、図示していないが、隅角部3cをハンチ構造で構成しない場合、すなわち、隅角部3cをY方向と直交する断面の面積が頂版2aのY方向と直交する断面の面積と同一で、X方向と直交する断面の面積が側壁2c,2dのX方向と直交する断面の面積と同一の場合は、隅角部3cの内側において側壁2cの内面4aと底版2bの内面4aとが交わる角部が形成される。
≪鉄筋の配置≫
2つの側壁2c,2dにおいて、図1から図3に示すように、内側鉄筋5a及び外側鉄筋6aの各々は、X方向に延伸し、かつ第1の方向及び第2の方向と直交する第3の方向としてのZ方向(奥行き方向)に所定の配列ピッチで複数本配置されている。また、内側鉄筋5b及び外側鉄筋6bは、Z方向に延伸し、かつX方向に所定の配列ピッチで複数本配置されている。そして、内側鉄筋5aと内側鉄筋5bとは、各々の一部が互いに重なり合い、かつ立体交差するように組まれている。また、外側鉄筋6aと外側鉄筋6bとは、各々の一部が互いに重なり合い、かつ立体交差するようにして組まれている。これらの鉄筋が立体交差する交差部では、細い結束筋や溶接によって固定されている。
なお、頂版2a及び底版2bにおいては詳細に図示していないが、内側鉄筋5a及び外側鉄筋6aの各々は、Y方向に延伸し、かつZ方向に所定の配列ピッチで複数本配置されている。そして、内側鉄筋5b及び外側鉄筋6bの各々は、Z方向に延伸し、かつY方向に所定の配列ピッチで複数本配置されている。
≪主筋及び配力筋≫
内側鉄筋5a及び外側鉄筋6aの各々は、コンクリート層4に作用する曲げモーメントによって生じる引張応力に抵抗する役割を担う。ボックスカルバート1の各コンクリート部(頂版2a、底版2b、2つの側壁2c,2d)では、スパンの短い短辺方向での負荷が大きいため、短辺方向が主筋、長辺方向が配力筋(副筋)となる。この実施形態1では、一例として、X方向及びY方向に延伸する内側鉄筋5a及び外側鉄筋6aの各々が主筋をなし、Z方向に延伸する内側鉄筋5b及び外側鉄筋6bの各々が配力筋をなす。
≪隅角部での配筋≫
図3に示すように、側壁2cの内側鉄筋5a及び外側鉄筋6aの各々は、隅角部3cに亘って延伸している。また、底版2bの内側鉄筋5a及び外側鉄筋6aの各々においても、隅角部3cに亘って延伸している。
側壁2c及び底版2bの各々の内側鉄筋5aの隅角部3c側は、各々の一部が互いに重なり合って立体交差するように組まれており、各々の一部が立体交差する交差部では細い結束筋や溶接によって固定されている。また、側壁2c及び底版2bの各々の外側鉄筋6aの隅角部3c側は、一体に形成されている。
また、隅角部3cには、Z方向に延伸する内側鉄筋5b及び外側鉄筋6bが配置されている。また、隅角部3cには、コンクリート層4の内面4a側に、底版2bの内側鉄筋5a及び側壁2cの内側鉄筋5aに対して傾斜し、かつ側壁2c及び底版2bに亘って延伸するハンチ鉄筋7が埋設されている。
なお、隅角部3a,3b,3dにおいても、隅角部3cと同様に、隅角部で連結された2つの鉄筋コンクリート部(頂版2a及び側壁2c,頂版2a及び側壁2d,底版2b及び側壁2d)の各々の内側鉄筋5a,5b及び外側鉄筋6a,6bが配置され、更にハンチ鉄筋7が配置された構造になっている。したがって、隅角部3a,3b,3dについての説明は省略する。
≪鉄筋補強構造≫
図3に示すように、ボックスカルバート1の隅角部3cの内側には、鉄筋補強構造10が張り付くようにして設けられている。鉄筋補強構造10は、隅角部3cで連結された側壁2c及び底版2b(2つの鉄筋コンクリート部)の少なくとも何れか一方の内面4a側に隅角部3cに亘って埋設された内側鉄筋5aの隅角部3c側を補強する補強材としての補強鉄筋11を備えている。この実施形態1では、側壁2cの内面4a側に埋設された内側鉄筋5aの隅角部3c側を補強し、内側鉄筋5aの隅角部3c側に作用する引張力を補強鉄筋11で低減している。また、鉄筋補強構造10は、これに限定されないが、Z方向に延伸する配力筋12を備えている。
補強鉄筋11は、側壁2c及び隅角部3cの各々の内側(内面4a)に各々に亘って固定材13を介して固定され、かつ隅角部3cにおいて側壁2c側とは反対側に曲線状に曲がっている。ここで、曲線状とは、線や面が連続して滑らかに曲がる状態を言う。
図4に示すように、補強鉄筋11は、Z方向に所定の配列ピッチで複数本配置されている。配力筋12は、補強鉄筋11の延伸方向に沿って所定の配列ピッチで複数本配置され、固定材13を介して底版2b、側壁2c及び隅角部3cの何れかの内面4aに固定されている。そして、補強鉄筋11及び配力筋12は、各々の一部が互いに重なり合って立体交差するように組まれている。そして、補強鉄筋11及び配力筋12が立体交差する交差部では、細い結束筋や溶接によって固定さている。補強鉄筋11及び配力筋12としては、隅角部3cの内側に鉄筋補強構造10を形成する際に隅角部3cの内側で組んでもよいし、予め組んだものを用いてもよい。この実施形態1では、予め補強鉄筋11及び配力筋12が組まれた鉄筋補強ユニット14を用いている。
なお、鉄筋補強構造10は、側壁2dと底版2bとの隅角部3d、側壁2cと頂版2aとの隅角部3a、及び側壁2dと頂版2aとの隅角部3bの各々の内側にもそれぞれ設けられているが、この実施形態1では、隅角部3cにおける内側鉄筋5aの補強を例示して説明し、他の隅角部3a,3b,3dにおける内側鉄筋5aの補強については説明を省略する。
図3に示すように、補強鉄筋11は、側壁2c及び底版2bの各々の内面4aに亘って側壁2c側とは反対側に曲線状に曲がる曲部11aと、この曲部11aの側壁2c側に設けられた補強部11bと、この補強部11bの曲部11a側とは反対側に設けられた第1定着部11cとを有する。また、補強鉄筋11は、曲部11aの側壁2c側とは反対側の底版2b側に設けられた第2定着部11dを有する。曲部11aは固定材13を介して側壁2c、隅角部3c及び底版2bの各々の内面4aに固定されている。補強部11b及び第1定着部11cの各々は、X方向に直線状に延伸し、かつ固定材13を介して側壁2cの内面4aに固定されている。第2定着部11dは、Y方向に直線状に延伸し、かつ固定材13を介して底版2bの内面4aに固定されている。第1定着部11c、補強部11b、曲部11a及び第2定着部11dの各々は、この順で一体に形成されている。
補強鉄筋11の曲部11aは、側壁2cの内面4aと隅角部3cの内面4aとが交わる第1角部4a1を横切り、かつ隅角部3cの内面4aと底版2bの内面4aとが交わる第2角部4a2を横切っている。曲部11aは、円弧形状、二次曲線形状、懸垂曲線形状、これらを複合した曲線形状の何れかで形成することが好ましい。更に、曲部11aは曲率半径Rの円弧形状で形成することがより好ましい。この実施形態1では、曲部11aは円弧形状で形成されている。
なお、この実施形態1では、内側鉄筋5aの隅角部3c側を補強する補強材として鉄筋(補強鉄筋11)を用いているが、この鉄筋に限定されるものではない。補強材の素材としては、例えば、鋼、ステンレス、銅、アルミニウム、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、バサルト繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、高強度繊維補強コンクリート、高強度繊維補強モルタルなどを用いることができる。
また、補強材の形態としては、この実施形態1の補強鉄筋11のようなロッド(棒状)の他に、例えば、ストランド(より線)、組紬、格子、板状のものを用いることができる。
また、固定材13としては、流動性及び硬化性があるものを用いることが好ましい。例えば、コンクリート、モルタル、ポリマーセメントモルタル、無収縮モルタル、樹脂モルタル、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニルエステル系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性樹脂、ジクロロペンダジエン系樹脂などを用いることができる。
≪隅角部に作用する曲げモーメント≫
次に、ボックスカルバート1の隅角部に作用する曲げモーメントについて、図5を用いて説明する。
地中に埋設されたボックスカルバート1では、地震が発生したときに、図5に示すように、地震の揺れに起因した側方土圧Pが側壁2dに加わる。そして、この側方土圧Pが側壁2dに加わることにより、側壁2dと底版2bとの隅角部3dに、側壁2dの外面4b側から内面4a側に向かう方向の曲モーメント(以下、外内方向曲げモーメントBMと呼ぶ)が生じると共に、側壁2cと底版2bとの隅角部3cに、側壁2cの内面4a側から外面4b側に向かう方向の曲げモーメント(以下、内外方向曲げモーメントBMと呼ぶ)が生じる。そして、隅角部3dに外内方向曲げモーメントBMが生じた場合は、側壁2dの外側鉄筋6aの隅角部3d側に引張力(引張応力)が作用する。また、隅角部3cに内外方向曲げモーメントBMが生じた場合は、側壁2cの内側鉄筋5aの隅角部3c側に引張力(引張応力)が作用する。
一方、図示していないが、地震が発生したときは、地震の揺れに起因した側方土圧P(側方土圧Pとは反対方向の側方土圧)が側壁2cに加わる。そして、この側方土圧Pが側壁2cに加わることにより、底版2bと側壁2cとの隅角部3cに、側壁2cの外面4b側から内面4aに向かう方向の外内方向曲げモーメントBMが生じ、側壁2cの外側鉄筋6aの隅角部3c側に引張力(引張応力)が作用する。また、底版2bと側壁2dとの隅角部3dに、側壁2dの内面4a側から外面4bに向かう方向の内外方向曲げモーメントBMが生じ、側壁2dの内側鉄筋5aの隅角部3c側に引張力(引張応力)が作用する。
すなわち、地震が発生したときは、地震の揺れに起因した側方土圧P及び側方土圧Pが2つの側壁2c,2dの各々に加わるため、2つの側壁2c,2dの各々の内側鉄筋5aの隅角部3c,3d側に引張力(引張応力)が作用する。
なお、隅角部3cに内外方向曲げモーメントBMが生じた場合は底版2bの内側鉄筋5aの隅角部3c側にも引張力が作用し、隅角部3dに内外方向曲げモーメントBM2が生じた場合は底版2bの内側鉄筋5aの隅角部3d側にも引張力が作用する。
また、隅角部3aに内外方向曲げモーメントBMが生じた場合も、側壁2c及び底版2bの各々の内側鉄筋5aの隅角部3a側に引張力が作用する。
また、隅角部3bに内外方向曲げモーメントBMが生じた場合も、側壁2d及び頂版2aの各々の内側鉄筋5aの隅角部3b側に引張力が作用する。
≪内側鉄筋に作用する引張応力≫
次に、鉄筋補強構造10で補強する前のボックスカルバート1において、側壁2cの内側鉄筋5aの隅角部3c側に作用する引張力について、図6を用いて具体的に説明する。図6中、Tirは内側鉄筋5aに作用する引張応力度、Atsは内側鉄筋5aの許容引張応力度、Szsは内側鉄筋5aの応力ゼロ基準(正側が引張応力,負側が圧縮応力)、Oveは引張応力度Tirが許容引張応力度を超過した超過範囲である。
上述したように、地震が発生したときは、地震の揺れに起因した側方土圧Pが側壁2dに加わり、側壁2cと底版2bとの隅角部3cに内外方向曲げモーメントBMが生じ、側壁2cの内側鉄筋5aの隅角部3c側に引張力が作用する。この内側鉄筋5aの隅角部3c側に作用する引張力は、地震の震度に応じて大きくなる。このため、ボックスカルバート1の設計当初よりも大きな地震が発生した場合には、図6に示すように、側壁2cの内側鉄筋5aに作用する引張応力度Tirは、内側鉄筋5aの隅角部3c側で許容引張応力度Atsを超過し、側壁2cの内面4aと隅角部3cの内面4aが交わる第1角部4a1(側壁2cの根元部)でピークとなる。
近年、想定される強大な地震に対する安全性を確保する目的や、車両重量の増加と共に、道路の拡幅、増設などに伴う車両通行量の増加による建設当初の想定荷重を上回る荷重に対して安全性を確保する目的で、既存の鉄筋コンクリート構造物を補強する補強工事が増加している。既存の鉄筋コンクリート構造物においては、コンクリート層に作用する土圧、水圧、車両の重量や積載荷重、地震力などが設計当初よりも増加することで、コンクリート層中の鉄筋に作用する応力が許容応力度(許容値)を超過するため、コンクリート層に埋設された既存鉄筋を新たな補強材で補強して既存鉄筋に作用する応力を低減する必要がある。
特に、ボックスカルバート1では、内側鉄筋5aの径が外側鉄筋6aの径よりも小さい場合があり、このような場合は内側鉄筋5aの補強が重要となる。
したがって、側壁2cの内側鉄筋5aに作用する引張応力度Tirが側壁2c及び隅角部3cに亘って許容引張応力度Atsを超過する超過範囲Oveを補強することで、大地震に対する安全性や、建設当初の想定を上回る荷重に対する安全性を確保することが可能となる。
≪鉄筋補強構造の効果≫
ところで、この実施形態1の鉄筋補強構造10のように、既存のコンクリート層4の内面4aに固定材13を介して補強鉄筋11を固定する場合は、コンクリート層4と固定材13との界面に作用する剥離応力度Pをコンクリート層4の許容剥離応力度Pa内に収める必要がある(P≦Pa)。これは、コンクリート層4と固定材13との界面に作用する剥離応力度Pがコンクリートの許容剥離応力度Paを超過(P>Pa)すると、コンクリート層4から固定材13が剥離し、補強鉄筋11による補強効果が得られなくなるためである。
そこで、この実施形態1の鉄筋補強構造10の効果について、図7の比較例の鉄筋補強構造20を参照しながら、図8を用いて説明する。
図7に示すように、比較例の鉄筋補強構造20は、実施形態1の鉄筋補強構造10と同様に、隅角部3cの内側に張り付けるようにして設けられている。そして、比較例の鉄筋補強構造20は、側壁2c、隅角部3c及び底版2bの各々の内面4aに沿って折れ曲がり、かつ側壁2c、隅角部3c及び底版2bの各々の内面4aに固定材13を介して固定された補強鉄筋21を備えている。この補強鉄筋21は、実施形態1の補強鉄筋11と同様に、側壁2cの内側鉄筋5aの隅角部3c側を補強し、内側鉄筋5aに作用する引張力(引張応力)を低減している。
しかしながら、この比較例の補強鉄筋21は、実施形態1の補強鉄筋11とは異なり、側壁2cの内面4aと隅角部3cの内面4aとが交わる第1角部4a1に対応した第1屈曲部21a1、及び、底版2bの内面4aと隅角部3cの内面4aとが交わる第2角部4a2に対応した第2屈曲部21a2を有する。
ここで、上述したように、地震力により隅角部3cに内外方向曲げモーメントBMが生じた場合、側壁2cの内側鉄筋5aに引張力が作用する共に、図7に示すように、補強鉄筋21に引張力Tが作用する。このとき、補強鉄筋21の第1屈曲部21a1に引張力Tが集中し、これに伴って隅角部3cの第1角部4a1の付近で既存のコンクリート層4と固定材13との界面に集中的に剥離力Nが作用する。そして、この剥離力Nによって既存のコンクリート層4と固定材13との界面に作用する剥離応力度Pが既存のコンクリート層4の許容剥離応力度Paを超過する場合には、既存のコンクリート層4から固定材13が剥離し、補強鉄筋11による補強効果が得られなくなる。
例えば、
補強鉄筋21をD10(長手方向と直交する断面積Aが78.5mm2)とし、
補強鉄筋21の配列ピッチBをB=100mmとし、
許容応力度を140N/mmとし、
発生応力度を140N/mmとし、
引張力TをT=A×140=78.5×140=10990Nとし、
剥離力NをN=0.76×T=0.76×10990=8353Nとする。
そして、剥離力Nが幅100mm×長さ10mmの範囲に作用すると仮定すると、
剥離応力度PはP=8353/(100×10)=8.4N/mm
となる。
ここで、コンクリート層4の許容剥離応力度PaをPa=1.0N/mmとすると、
P(8.4N/mm)>Pa(1.0N/mm)となり、
既存のコンクリート層4から固定材13が剥離する。
よって、側壁2cの内側鉄筋5aは補強鉄筋21で補強できない。
これに対し、実施形態1の補強鉄筋11は、図8に示すように、側壁2c及び底版2bに亘って側壁2cとは反対側に曲線状に曲がっているため、隅角部3cに作用する内外方向曲げモーメントBMに起因して補強鉄筋11に作用する引張力Tは分散される。そして、隅角部3cでの剥離力Nは、隅角部3cの第1角部4a1の付近における既存のコンクリート層4と固定材13との界面に集中的に作用せず、コンクリート層4と固定材13との界面に平均的に作用する。そのため、剥離応力度Pが小さくなり、比較例の鉄筋補強構造20よりもコンクリート層4の許容剥離応力度Pa内に収めることができる。よって、固定材13の剥離は発生せず、内側鉄筋5aの補強が可能となる。
例えば、剥離応力度Pは、
P=2×T×cos45°/(B×W)
=2×10990×cos45°/(100×450)
=0.37となり、
P(0.37N/mm)<Pa(1.0N/mm
となる。
したがって、この実施形態1の鉄筋補強構造10は、補強鉄筋やアンカーボルトなどを挿入するための孔をコンクリート層4に開けることなく、側壁2cの内側鉄筋5aの隅角部3c側を補強鉄筋11で補強することが可能となる。
また、この実施形態1の鉄筋補強構造10は、既存のコンクリート層4に孔を削孔して補強鉄筋11を定着せず、既存のコンクリート層4の表面に固定材13を介して補強鉄筋11を定着させる方式であることから、コンクリート層4に埋設された内側鉄筋5a,5b、外側鉄筋6a,6bなどの既存鉄筋を損傷することがない。
また、補強鉄筋11を適正に配置することができ、1本の補強鉄筋11よる補強効果を高めることができるので、補強鉄筋11の本数を削減でき、経済的である。
また、コンクリート層4に埋設された内側鉄筋5a,5b、外側鉄筋6a,6bなどの既存鉄筋の探査の費用や、補強筋、アンカーボルトなどを挿入するための削孔の費用が不要で経済的ある。
また、第1定着部11cや第2定着部11dの長さをコンクリート層4(側壁2c及び底版2b)の表面方向に延長することができるので、補強鉄筋11に作用する引張力Tが大きい場合にも補強鉄筋11の確実な定着が可能となる。
なお、図8中、Fは補強鉄筋11の定着力であり、補強鉄筋11に作用する引張力Tに相当する。
≪固定材の非剥離条件≫
ここで、固定材13が剥離しない非剥離条件「P(剥離応力度)≦Pa(許容剥離応力度)」では、許容剥離応力度Paが小さいほど曲部11aの曲率半径Rを大きくする必要がある。そして、側壁2cの内側鉄筋5aの隅角部3c側で補強しなければならない引張力が大きいほど曲部11aの曲率半径Rを大きくする必要がある。
したがって、固定材13の非隔離条件「P(剥離応力度)≦Pa(許容剥離応力度)」を曲部11aの曲率半径Rから求めることができる。以下に固定材13の非剥離条件1及び2について説明する。
<非剥離条件1>
まず、固定材13が既存のコンクリート層4から剥離しない非剥離条件1について、図9を用いて説明する。
補強鉄筋11の曲部11aの曲率半径をR、曲率半径Rの原点をE、曲部11aと補強部11bとの境界点をE、曲部11aと第2定着部11dとの境界点をE、原点Eと境界点Eとを直線で結ぶ仮想線をFとする。そして、原点Eと境界点Eとを直線で結ぶ仮想線をF、境界点Eと境界点Eとを直線で結ぶ仮想線をF、仮想線Fと仮想線Fとがなす角度をθ、隅角部3cで側壁2cと底版2bとがなす角度を2・θとする。
そして、補強鉄筋11の長手方向と直交する断面積をA、補強鉄筋11のZ方向の配列ピッチ(分担幅)をB、補強鉄筋11の応力度をσ、コンクリート層4の許容剥離応力度をPa、補強鉄筋11の定着部の許容せん断付着応力度をSaとする。
そして、補強鉄筋11に作用する引張力TをT=σ・A、補強鉄筋11に作用する剥離力NをN=2×T×cosθ、境界点Eと境界点Eとを直線で結ぶ剥離抵抗長さWをW=2×R×sinθとしたとき、剥離力Nによって既存のコンクリート層4と固定材13との界面に作用する剥離応力度Pは、次の(1)式より求まる。
P=N/(W×B)
=2×T×cosθ/(2×R×sinθ×B)
=T/(R×B×tanθ)
=σ・A/(R×B×tanθ) ……(1)
そして、固定材13がコンクリート層4から剥離しない条件「P(剥離応力度)≦Pa(許容応力度)」は、
σ・A/(R×B×tanθ)≦Pa
R≧σ・A/(Pa×B×tanθ)
と表せる。
そして、上記(2)式を曲率半径Rとして解くと、次の(2)式となる。
R=σ・A/(Pa×B×tanθ) ……(2)
したがって、コンクリート層4からの固定材13の剥離を回避するための曲部11aの曲率半径Rは、上記(2)式より求まる。
一例として、補強鉄筋11がD10、A=78.5mm、B=100mm、σ=140N/mm、Pa=0.4N/mm、Sa=0.3N/mmとしたとき、補強鉄筋11の剥離を回避する曲部11aの曲率半径Rは、
R=140×78.5/(0.4×100×1.0)
=274.75mm
となる。
次に、上記の(2)式より一般的な適用範囲を導く。
一般に、隅角部3cの角度2・θ=90°、tanθ=tan45°=1のとき、上記の(2)式は、次の(3)式となる。
R=σ・A/(P×B) ……(3)
ここで、補強鉄筋11の材料として鋼材を用いた場合、鋼材の基準強度f(N/mm)は、JIS規格品において、400N級⇒235N/mm、490N級⇒325N/mm、520N級⇒355N/mmであり、これらの値が短期許容応力度として用いられる。
よって、一般の最大許容応力度σmaxは、520N級の基準強度から、
σmax=355N/mm
となる。
一方、鋼材を補強鉄筋11として用いた場合には、補強鉄筋11の効果を発揮させるために、一般に、補強鉄筋11の応力度は100N/mm以上とされることが多いことから、最小許容応力度σminは、次の(4)式となる。
σmin=100N/mm ……(4)
よって、補強鉄筋応力度σは、次の(5)式となる。
100≦σ≦355(N/mm) ……(5)
また、補強鉄筋11の固定材13として、ポリマーセメントモルタルを用いる場合、ポリマーセメントモルタルと既存のRC部材の付着応力度の特性値Pkは、「PAE系ポリマーセメントモルタルを用いたコンクリート構造物の補修・補強に関する設計・施工マニュアル(案)、2014年12月:一般財団法人 PCM工法協会、第17頁」に記載された次の(6)式とされる。
Pk=1.5N/mm ……(6)
これを参考にして、許容剥離応力度Paを、次の(7)式の通り設定する。
1.0(Pk/1.5)≦Pa≦1.5(Pk)(N/mm)……(7)
上記の(5)式及び(7)式より、次の(8)式が求まる。
67≦σ/Pa≦355 ……(8)
そして、上記の(3)式及び(8)式より、次の(9)式が求まる。
67・A/B≦R≦355・A/B(mm) ……(9)
したがって、補強鉄筋11の曲部11aを曲率半径Rの円弧形状とするとき、既存のコンクリート層4と固定材13との剥離を回避することができる最小の曲率半径Rは、上記の(9)式を満たしている。
ここで、補強材として、400N級、490N級、520N級の鋼材を用いた場合、常時の設計に用いられる許容応力度は、鋼材の基準強度f(N/mm)について、f/1.5が採用されるため、それぞれの材質について、235/1.5=156N/mm、325/1.5=216N/mm、355/1.5=236N/mmが長期許容応力度となる。また、上記の(7)式より、許容剥離応力度の最小値は1.0N/mmである。よって、上記の(3)式を用いると、それぞれの材質の鋼材を補強材として用いた場合に、次の(3a)式から(3c)式の範囲であれば既存のコンクリート層4と固定材13との剥離を回避することができる。
400N級の場合:R≧156/1.0・A/B=156・A/B……(3a)
490N級の場合:R≧216/1.0・A/B=216・A/B……(3b)
520N級の場合:R≧236/1.0・A/B=236・A/B……(3c)
また、鉄筋を補強材として用いた場合には、異形鉄筋の長期許容応力度は、SD295A、及びSD295Bの場合で295/1.5=196N/mm、SD345の場合で345/1.5=230N/mm、SD390の場合で390/1.5=260N/mmであり、上記の(7)式より、許容剥離応力度の最小値は1.0N/mmである。よって、上記の(3)式を用いると、それぞれの材質の鉄筋を補強材として用いた場合に、次の(3d)式から(3f)式の範囲であれば既存のコンクリート層4と固定材13との剥離を回避することができる。
SD295A及びSD295Bの場合:R≧196/1.0・A/B=196・A/B……(3d)
SD345の場合:R≧230/1.0・A/B=230・A/B……(3e)
SD390の場合:R≧260/1.0・A/B=260・A/B……(3f)
なお、補強鉄筋11の定着部(11c,11d)の必要長さLは、Saを許容せん断付着応力度とした場合に、次の(10)式より求まる。
T≦Sa×B×L
L≧T/(Sa×B)
L=σ×A/(As×B) ……(10)
一例として、補強鉄筋11がD10、A=78.5mm、B=100mm、σ=140N/mm、Sa=0.3N/mmとしたとき、補強鉄筋11の定着部の必要長さLは、
L=140×78.5/(0.3×100)
=366.3mm
となる。
<非剥離条件2>
次に、固定材13が既存のコンクリート層4から剥離しない非剥離条件2について、図10を用いて説明する。
側壁2c(コンクリート層4)の厚さをH、補強鉄筋11の曲部11aの曲率半径をR、曲率半径Rの原点をE、側壁2cの内面4aに沿う仮想線Fと底版2bの内面4aに沿う仮想線Fとが交わる点をEとする。そして、側壁2cの内面4aと隅角部3cの内面4aとが交わる第1角部4a1を点E、底版2bの内面4aと隅角部3cの内面4aとが交わる第2角部4b2を点E、曲率半径Rの原点Eと点Eとを直線で結ぶ仮想線をFとする。そして、仮想線Fと隅角部3cの内面4aとが交差する点をE、点Eと点Eとを直線で結ぶハンチ高さ及び点Eと点Eとを直線で結ぶハンチ高さをD、原点Eと点Eとを直線で結ぶ仮想線をF、仮想線Fと仮想線Fとがなす角度θを22.5°としたとき、点Eと点Eとを直線で結ぶ距離Cは、次の(11)式で求まる。
C=D/√2=R・tan22.5 ……(11)
そして、上記の(11)式を
R=C/tan22.5
=D/(√2×tan22.5)
=D/(1.14×0.4142)
=D/0.586
=1.71×D
に変換する。
ここで、一般にハンチ高さDは、0.3H≦D≦1.3Hの範囲に設定される。
よって、
R=1.71×Dを、
1.71×0.3×H≦R≦1.71×1.3×Dに変換することで、次の(12)式となる。
0.5H≦R≦2.3H ……(12)
したがって、補強鉄筋11の曲部11aを曲率半径Rの円弧形状とするとき、補強鉄筋11を側壁2c、隅角部3c、底版2bに沿った円弧形状に配置することができて、既存のコンクリート層4と固定材13との剥離を回避するために有効な補強鉄筋11の曲率半径Rは、上記の(12)式を満足している。
≪鉄筋補強方法≫
次に、この実施形態1の鉄筋補強方法について、図11から図14を用いて説明する。
まず、補強鉄筋11を準備する。この実施形態1では、一例として、補強鉄筋11及び配力筋12の各々が予め立体交差するように行列状に複数本組まれた鉄筋補強ユニット14を準備する。
次に、固定材13の定着力を高めるため、図11に示す側壁2c、隅角部3c及び底版2bの各々の内面4aの補強構造形成領域4frに表面切削加工を施し、その後、表面切削加工が施された補強構造形成領域4frを清掃する。表面切削加工は、例えばコンクリートブレーカー、ウォータージェットなどを使用して行う。清掃は、例えばディスクサンダー、ウォータージェットなどを使用して行う。
次に、図12に示すように、表面切削加工及び清掃が施された側壁2c、隅角部3c及び底版2bの各々の内面4aの補強構造形成領域4frに硬化前の固定材13を塗布して接着層13aを形成する。
次に、図13に示すように、側壁2c、隅角部3c及び底版2bの各々の内面4aの補強構造形成領域4frに接着層13aを介して鉄筋補強ユニット14を配置する。この工程において、補強鉄筋11の曲部11aは、側壁2c、隅角部3c及び底版2bの各々の内面4aの補強構造形成領域4frに接着層13aを介して配置され、かつ側壁2c及び底版2bに亘って側壁2c側に直線状に曲がっている。また、補強鉄筋11の補強部11b及び第1定着部11cの各々は、側壁2cの内面4aの補強構造形成領域4frに接着層13aを介して配置される。また、補強鉄筋11の第2定着部11dは、底版2bの内面4aの補強構造形成領域4frに接着層13aを介して配置される。
次に、図14に示すように、側壁2c、隅角部3c及び底版2bの各々の内面4aの補強構造形成領域4frに接着層13aを介して配置された鉄筋補強ユニット14を埋設するように硬化前の固定材13を塗布して被覆層13bを形成する。この工程において、補強鉄筋11及び配力筋12の各々は、接着層13a及び被覆層13bを含む硬化前の固定材13の中に埋設される。
次に、接着層13a及び被覆層13bからなる固定材13を硬化させる。そして、硬化した固定材13に表面仕上げを施す。この工程により、側壁2c、隅角部3c及び底版2bの各々の内側(内面4a)に亘って延伸し、かつ隅角部3cにおいて側壁2c側とは反対側に曲線状に曲がる補強鉄筋11を側壁2c、隅角部3c及び底版2bの各々の内側に固定材13を介して固定することができると共に、この補強鉄筋11が側壁2c、隅角部3c及び底版2bの各々の内側に固定材13を介して固定された鉄筋補強構造10がほぼ完成する。
なお、この実施形態1では、固定材13を接着層13aと被覆層13bとの2回に分けて塗布する場合について説明したが、固定材13は補強構造形成領域4frに鉄筋補強ユニット14を配置した後に1回で塗布するようにしてもよい。
また、接着層13aと被覆層13bとは同一の材料で形成することが好ましいが、異なる材料で形成してもよい。何れにおいても、固定材13として上述した流動性及び硬化性を有する材料を用いることが好ましい。
以上のように、この実施形態1の鉄筋補強方法は、側壁2c及び底版2bの各々の内側(内面4a)に亘って延伸し、かつ隅角部3cにおいて側壁2c側とは反対側に直線状に曲がる補強材を、側壁2c、隅角部3c及び底版2bの各々の内側に各々に亘って固定材13を介して固定するので、補強鉄筋やアンカーボルトなどを挿入するための孔をコンクリート層4に開けることなく、側壁2cの内側鉄筋5aの隅角部3c側を補強鉄筋11で補強することが可能となる。
(実施形態1の変形例)
上述の実施形態1では、曲部11a、補強部11b、第1定着部11c及び第2定着部11dを有する補強鉄筋11について説明したが、本発明はこの実施形態1の補強鉄筋11に限定されない。以下、図15から図18を用いて実施形態1の変形例を説明する。なお、図15から図18では、図面を見易くするため、図3に示す配力筋12の図示を省略している。
(変 形 例1)
図15に示すように、変形例1の補強鉄筋11は、曲部11aの補強部11b側とは反対側で終端し、実施形態1の第2定着部11dを設けない構成となっている。この変形例1においても、曲部11aは、第1角部4a1及び第2角部4a2を横切って側壁2c、隅角部3c及び底版2bの各々の内側に固定材(図示せず)を介して固定され、かつ側壁2c及び底版2bに亘って側壁2c側とは反対側に曲線状に曲がっている。補強部11b及び第1定着部11cも側壁2cの内側に固定材を介して固定されている。この変形例1においても、上述の実施形態1と同様の効果が得られる。
(変 形 例2)
図16に示すように、変形例2の補強鉄筋11は、上述の変形例1において、補強部11bと第1定着部11cとの間に屈曲部11bcを設けた構成となっている。この変形例2においても、上述の実施形態1と同様の効果が得られる。
(変 形 例3)
図17に示すように、変形例3の補強鉄筋11は、上述の実施形態1の曲部11aに換えて、第1曲部11a1と、この第1曲部11a1の側壁2c側とは反対側に設けられた直線部11a2と、この直線部11a2の第1曲部11a1側とは反対側に設けられた第2曲部11a3とを有する構成となっている。第1曲部11a1は、第1角部4a1を横切るようにして側壁2c及び隅角部3cの各々の内側に固定材を介して固定され、かつ側壁2c及び隅角部3cに亘って側壁2cとは反対側に曲線状に曲がっている。直線部11a2は、隅角部3cの内側に固定材を介して固定されている。第2曲部11a3は、第2角部4a2を横切って隅角部3c及び底版2bの各々の内側に固定材を介して固定され、かつ隅角部3c及び底版2bの各々の内側に亘って隅角部3c側及び底版2b側に凸となるように曲線状に曲がっている。この変形例3においても、上述の実施形態1と同様の効果が得られる。
(変 形 例4)
図18に示すように、変形例4の補強鉄筋11は、実施形態1の曲部11a及び第2定着部11dに換えて、曲部11eと、この曲部11eの補強部11b側とは反対側に設けられた第2定着部11fを有する構成になっている。曲部11eは、第1角部4a1を横切って側壁2c及び隅角部3cの各々の内側に固定材を介して固定され、かつ側壁2c及び隅角部3cに亘って側壁2c側とは反対側に曲線状に曲がっている。第2定着部2fは、曲部11e側とは反対側が隅角部3cで終端し、隅角部3cの内側に固定材を介して固定されている。補強部11b及び第1定着部11cは、実施形態1と同様に側壁2cの内側に固定材を介して固定されている。この変形例4においても、上述の実施形態1と同様の効果が得られる。
(実施形態2)
この実施形態2に係る鉄筋補強構造10Aは、上述の実施形態1の鉄筋補強構造10と基本的にほぼ同様の構成になっており、以下の構成が異なっている。すなわち、図19に示すように、この実施形態2の鉄筋補強構造10Aは、側壁2c、隅角部3c及び底版2bの各々の内面4aに亘って設けられた凹部15に配置されている。凹部15は、固定材13が凹部15の中に収まる程度の深さで形成することが好ましい。
この実施形態2に係る鉄筋補強構造10Aにおいても、上述の実施形態1と同様の効果が得られる。
また、この実施形態2に係る鉄筋補強構造10Aによれば、鉄筋補強構造10Aがコンクリート層4(側壁2c,隅角部3c,底版2b)の内面4aから突出する突出量を少なく、又はゼロにすることができ、コンクリート層4の内側の形状変化や内側容積縮小を最小限に抑えることができる。よって、内部の水流の流れや交通に対する影響が少ない鉄筋補修を行うことができる。この実施形態2では、鉄筋補強構造10Aはコンクリート層4の内面4aから若干突出しているが、凹部15を更に深くすることで凹部15の中に収まった鉄筋補強構造10Aとすることができる。
なお、この実施形態2においても、上述の実施形態1の変形例1から4のように補強鉄筋11の構成を変更することができる。
(実施形態3)
この実施形態3は、図20に示すように、補強材としての補強鉄筋11に換えて補強板16を用いたものである。すなわち、この実施形態3の鉄筋補強構造10Bは、側壁2c、隅角部3c及び底版2bの各々の内側に固定材13を介して固定され、かつ側壁2c及び底版2bに亘って側壁2c側とは反対側に曲線状に曲がる補強板16を備えている。補強板16は、X方向及びY方向に延伸し、かつZ方向に延伸している。補強板16は、これに限定されないが、表面が固定材13から露出するように固定材13を介して側壁2c、隅角部3c及び底版2bの各々の内側(内面4a)に固定されている。
補強板16は、上述の実施形態1の補強鉄筋11と同様に、側壁2c及び底版2bの各々の内面4aに亘って側壁2c側とは反対側に曲線状に曲がる曲部16aと、この曲部16aの側壁2c側に設けられた補強部16bと、この補強部16bの曲部16a側とは反対側に設けられた第1定着部16cとを有する。また、補強板16は、曲部16aの側壁2c側とは反対側の底版2b側に設けられた第2定着部16dを有する。曲部16aは、第1角部4a1及び第2角部4a2を横切って側壁2c、隅角部3c及び底版2bの各々の内面4aに固定材13を介して固定されている。補強部16b及び第1定着部16cの各々は、X方向に直線状に延伸し、かつ側壁2cの内面4aに固定材13を介して固定されている。第2定着部16dは、Y方向に直線状に延伸し、かつ固定材13を介して底版2bの内面4aに固定されている。
このように構成された実施形態3の鉄筋補強構造10Bにおいても、上述の実施形態1と同様の効果が得られる。
なお、この実施形態3の鉄筋補強構造10Bは、上述の実施形態2のように、隅角部3c及び底版2bの各々の内面4aに亘って設けられた凹部15に配置してもよい。
また、この実施形態3の補強板16は、上述の実施形態1の変形例1から4に示す補強鉄筋11のように構成を変更することができる。
また、この実施形態3の補強板16の素材としては、上述したように、例えば、鋼、ステンレス、銅、アルミニウム、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、バサルト繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、高強度繊維補強コンクリート、高強度繊維補強モルタルなどを用いることができる。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、地中に埋設されたボックスカルバート1の内側鉄筋5aの補強について説明した。しかしながら、本発明は、このボックスカルバート1の内側鉄筋5aの補強に限定されるものではない。例えば、本発明は、鉄筋コンクリート構造物として、図21に示す水槽17にも適用することができる。
水槽17は、鉄筋コンクリート部として、底版18bと、Y方向において互いに向かい合って離間された2つの側壁18c,18dとを有する。また、水槽17は、側壁18c及び底版18bが相対的に90°を成す角度で折れ曲がるようにして連結された隅角部19cと、底版18b及び側壁18dが相対的に90°をなす角度で折れ曲がるようにして連結された隅角部19dとを有する。そして、水槽17は、上述の実施形態1のボックスカルバート1とは異なり、底版18bと反対側が開放されている。
底版18b及び2つの側壁18c,18dの各々は、上述の実施形態1のボックスカルバート1と同様に、各々の厚さ方向において互いに反対側に位置する内面4a及び外面4bを有するコンクリート層4と、このコンクリート層4の内面4a側に埋設された内側鉄筋5aと、このコンクリート層4の外面4b側に埋設された外側鉄筋(図示せず)とを具備する。
側壁18cの内側鉄筋5a及び外側鉄筋の各々は、隅角部19cに亘って延伸している。また、図示していないが、底版18bの内側鉄筋及び外側鉄筋の各々においても、隅角部19cに亘って延伸している。また、側壁18dの内側鉄筋5a及び外側鉄筋の各々は、隅角部19dに亘って延伸している。また、図示していないが、底版18bの内側鉄筋及び外側鉄筋の各々においても、隅角部19dに亘って延伸している。
このように構成された水槽17では、貯水した水の水圧Pが側壁18c及び側壁18dの各々に加わる。この水圧Pが側壁18c及び側壁18dの各々に加わることにより、側壁18cと底版18bとの隅角部19cに、側壁18cの内面4a側から外面4b側に向かう方向の外内方向曲げモーメントBMが生じると共に、側壁18dと底版18bとの隅角部19dに、側壁18dの内面4a側から外面4b側に向かう方向の内外方向曲げモーメントBMが生じる。そして、隅角部19cに生じた内外方向曲げモーメントBMにより、側壁18cの内側鉄筋5aの隅角部19c側に引張力(引張応力)が作用する。また、隅角部19dに生じた内外方向曲げモーメントBMにより、側壁18dの内側鉄筋5aの隅角部19d側に引張力(引張応力)が作用する。
水槽17では、水位が設計よりも深くなった場合に側壁18c,18dの各々に作用する水圧が増大し、側壁18cと底版18bとの隅角部19cに過大な内外方向曲げモーメントBMが作用すると共に、側壁18dと底版18bとの隅角部19dに過大な内外方向曲げモーメントBMが作用する。
したがって、このような水槽17においても、内側鉄筋5aの補強が必要になることから、本発明の鉄筋補強構造及び鉄筋補強方法を適用することにより、補強鉄筋やアンカーボルトなどを挿入するための孔をコンクリート層4に開けることなく、側壁18cの内側鉄筋5aの隅角部3c側及び側壁18dの内側鉄筋5aの隅角部3d側を補強材(補強鉄筋11,補強板16)で補強することが可能となる。
なお、上述の実施形態1から3及び変形例では、4つの隅角部3a,3b,3c,3dのうちの隅角部3cの内側に鉄筋補強構造を設けて内側鉄筋5aを補強する場合について説明した。しかしながら、本発明は、この隅角部3cの内側に鉄筋補強構造を設けて内側鉄筋5aを補強する場合に限定されるものではなく、他の隅角部3a,3b,3dの何れにも鉄筋補強構造を設けて内側鉄筋を補強することができる。
また、上述の実施形態1から3及び変形例では、隅角部3cで連結された側壁2c及び底版2bのうちの側壁2cの内側鉄筋5aの隅角部3c側を補強材(補強鉄筋11,補強板16)で補強する鉄筋補強構造及び鉄筋補強方法について説明した。しかしながら、本発明は、この側壁2cの内側鉄筋5aの隅角部3c側を補強材(補強鉄筋11,補強板16)で補強する補強構造及び補強鉄筋方法に限定されるものではない。例えば、本発明は、隅角部3cで連結された側壁2c及び底版2bのうちの底版2bの内側鉄筋5aの隅角部3c側を補強材(補強鉄筋11,補強板16)で補強する鉄筋補強構造及び鉄筋補強方法にも適用することができる。この場合、補強材は、底版2b側において曲部と第2定着部との間に補強部を設けた構成とする。また、隅角部3cで連結された側壁2c及び底版2bの各々の内側鉄筋の隅角部側を補強材で補強する鉄筋補強構造及び鉄筋補強方法にも適用することができる。この場合、補強材としては、側壁2cに固定される第1定着部及び第1補強部と、隅角部3cに固定される曲部と、底版2bに固定される第2補強部及び第2定着部とを有する構成とする。
また、上述の実施形態及び変形例では、ハンチ構造の隅角部に鉄筋補強構造を設けた場合について説明した。しかしながら、本発明は、このハンチ構造の隅角部に限定されるものではない。例えば、本発明は、側壁の内面と底版の内面とが交わる角部を有する隅角部の場合にも適用することができる。
以上、本発明を上記実施形態及び変形例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
例えば、本発明は、橋梁や桟橋の梁,床版,橋脚、トンネルや立孔の覆工コンクリート、ボックスカルバート、擁壁、ケーソンなどの土木構造物において、隅角部で連結された2つの鉄筋コンクリート部を有する鉄筋コンクリート構造物の補強に適用することができる。
また、本発明は、ビルや建屋の床スラブ,梁,柱、煙突、サイロなどの建築構造物において、隅角部で連結された2つの鉄筋コンクリート部を有する鉄筋コンクリート構造物の補強に適用することができる。
1…ボックスカルバート(コンクリート構造物)
2a…頂版(鉄筋コンクリート部)
2b…底板(鉄筋コンクリート部)
2c,2d…側壁(鉄筋コンクリート部)
3a,3b,3c,3d…隅角部
4…コンクリート層
4a…内面
4b…外面
5a,5b…内側鉄筋
6a,6b…外側鉄筋
7…ハンチ鉄筋
10…鉄筋補強構造
11…補強鉄筋(補強材)
12…配力筋
13…固定材
14…鉄筋補強ユニット
15…凹部
16…補強板
17…水槽
18b…底版
18c,18d…側壁
19c,19d…隅角部
20…鉄筋補強構造
21…補強鉄筋

Claims (15)

  1. 隅角部で連結された2つの鉄筋コンクリート部の少なくとも何れか一方の鉄筋コンクリート部の内面側に埋設された内側鉄筋の前記隅角部側を補強する補強材を備えた鉄筋補強構造であって、
    前記補強材は、前記一方の鉄筋コンクリート部及び前記隅角部の各々の内側に各々に亘って固定材を介して固定され、かつ前記隅角部において前記一方の鉄筋コンクリート部とは反対側に曲線状に曲がっていることを特徴とする鉄筋補強構造。
  2. 前記補強材は、前記一方の鉄筋コンクリート部及び前記隅角部に亘って前記一方の鉄筋コンクリート部とは反対側に曲線状に曲がる曲部と、前記曲部の前記一方の鉄筋コンクリート部側に設けられた補強部と、前記補強部の前記曲部側とは反対側に設けられた定着部とを有することを特徴とする請求項1に記載の鉄筋補強構造。
  3. 前記補強材は、前記2つの鉄筋コンクリート部に亘って前記一方の鉄筋コンクリート部側に曲線状に曲がる曲部と、前記曲部の前記一方の鉄筋コンクリート部側に設けられた補強部と、前記補強部の前記曲部側とは反対側に設けられた定着部とを有することを特徴とする請求項1に記載の鉄筋補強構造。
  4. 前記補強材は、前記2つの鉄筋コンクリート部に亘って前記一方の鉄筋コンクリート部側とは反対側に曲線状に曲がる曲部と、前記曲部の前記一方の鉄筋コンクリート部側に設けられた補強部と、前記補強部の前記曲部側とは反対側に設けられた第1定着部と、前記曲部の前記補強部側とは反対側に設けられた第2定着部とを有することを特徴とする請求項1に記載の鉄筋補強構造。
  5. 前記隅角部は、前記2つの鉄筋コンクリート部の各々の内面に対して傾斜した内面を有し、
    前記曲部は、前記一方の鉄筋コンクリート部の内面と前記隅角部の内面とが交わる角部を横切っていることを特徴とする請求項2から請求項4の何れか一項に記載の鉄筋補強構造。
  6. 前記隅角部は、前記2つの鉄筋コンクリート部の各々の内面に対して傾斜した内面を有し、
    前記曲部は、前記2つの鉄筋コンクリート部の各々の内面と前記隅角部の内面とが交わる2つの角部を横切っていることを特徴とする請求項2から請求項4の何れか一項に記載の鉄筋補強構造。
  7. 前記曲部は、円弧形状、二次曲線形状、懸垂曲線形状、これらを複合した曲線形状の何れかで形成されていることを特徴とする請求項2から請求項6の何れか一項に記載の鉄筋補強構造。
  8. 前記曲部は、曲率半径をRとし、補強する前記内側鉄筋が埋設された前記一方の鉄筋コンクリート部の厚さをHとしたとき、0.5H≦R≦2.3Hを満たす円弧形状になっていることを特徴とする請求項2から請求項6の何れか一項に記載の鉄筋補強構造。
  9. 前記補強材は、鋼材からなる補強鉄筋であり、
    前記曲部は、曲率半径をRとし、前記補強鉄筋の長手方向と直交する断面積をAとし、前記補強鉄筋の配列ピッチをBとしたとき、67・A/B≦R≦355・A/B(mm)を満たす円弧形状になっていることを特徴とする請求項2から請求項6の何れか一項に記載の鉄筋補強構造。
  10. 前記補強材は、前記2つの鉄筋コンクリート部及び前記隅角部の各々の内側に亘って形成された凹部に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項9の何れか一項に記載の鉄筋補強構造。
  11. 前記補強材の素材は、鋼、ステンレス、銅、アルミニウム、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、バサルト繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、高強度繊維補強コンクリート、高強度繊維補強モルタルの何れかであり、
    前記補強材の形態は、棒状、より線、組紬、格子、板状の何れかであることを特徴とする請求項1から請求項10の何れか一項に記載の鉄筋補強構造。
  12. 隅角部で連結された2つの鉄筋コンクリート部の少なくとも何れか一方の鉄筋コンクリート部の内面側に埋設された内側鉄筋の前記隅角部側を補強する鉄筋補強方法であって、
    前記一方の鉄筋コンクリート部及び前記隅角部の各々の内側に亘って延伸し、かつ前記隅角部において内方に曲線状に曲がる補強材を、前記一方の鉄筋コンクリート部及び前記隅角部の各々の内側に固定材を介して固定することを特徴とする鉄筋補強方法。
  13. 前記補強材は、前記一方の鉄筋コンクリート部及び前記隅角部に亘って内方側に曲線状に曲がる曲部と、前記曲部の前記一方の鉄筋コンクリート部側に設けられた補強部と、前記補強部の前記曲部側とは反対側に設けられた定着部とを有することを特徴とする請求項12記載の鉄筋補強方法。
  14. 前記補強材は、前記2つの鉄筋コンクリート部に亘って内方側に曲線状に曲がる曲部と、前記曲部の前記一方の鉄筋コンクリート部側に設けられた補強部と、前記補強部の前記曲部側とは反対側に設けられた定着部とを有することを特徴とする請求項12に記載の鉄筋補強方法。
  15. 前記補強材は、前記2つの鉄筋コンクリート部に亘って内方側に曲線状に曲がる曲部と、前記曲部の前記一方の鉄筋コンクリート部側に設けられた補強部と、前記補強部の前記曲部側とは反対側に設けられた第1定着部と、前記曲部の前記補強部側とは反対側に設けられた第2定着部とを有することを特徴とする請求項12に記載の鉄筋補強方法。
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