JP2015124552A - 鋼橋の補修補強方法及び補強構造体 - Google Patents

鋼橋の補修補強方法及び補強構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】高伸度弾性パテ材を介して繊維シートを接着することにより、高応力時や座屈変形時においても繊維シートの剥離を確実に防止することができる、腐食減肉した鋼橋の鋼桁端部における支点上十字柱の補修補強をする鋼橋の補修補強方法及び補強を提供する。【解決手段】鋼橋の鋼桁端部における支点上十字柱10Aに強化繊維を含む繊維シートを樹脂で接着して支点上十字柱を補修補強する鋼橋の補修補強方法であって、(a)支点上十字柱10Aを構成する支点上補剛材14A及び/又は支点上腹板11Aにおける施工対象部分に対して下地処理する工程と、(b)下地処理された支点上補剛材14A及び/又は支点上腹板11Aの表面にポリウレア樹脂パテ材30Aによりパテ層30を形成する工程と、(c)パテ層30の上に、少なくとも1層の繊維シート1を樹脂で接着して繊維強化樹脂層(FRP)20を形成する工程と、を有する。【選択図】図10

Description

本発明は、一般には、連続した強化繊維を含むシート状の強化繊維含有材料(以下、「繊維シート」という。)を使用した鋼構造物の補修補強方法及び補強構造体に関するものであり、特に、腐食減肉した鋼橋の鋼桁端部における支点反力を受ける支点上十字柱を補修補強する鋼橋の補修補強方法及び補強構造体に関するものである。
例えば鋼橋などの鋼構造物は、雨水や海からの飛来塩分、路面に散布される凍結防止剤の飛散などの影響により、供用と共に腐食が進み鋼部材が減肉してくる。
鋼橋の大部分はI桁や箱桁の鈑桁構造であり、桁端部における漏水や、通気や水はけの悪さなどの影響によりフランジの腐食のみならず、腹板の腐食損傷が数多く発生する。
従来、このような場合の対策としては、鋼材を用いた部材取替えや当て板が一般的であったが、補修範囲が局部的であっても一定の架設機材や専門技術者が必要となり、補修費が著しく割高となっている。
特許文献1は、本願添付の図18に示すように、鋼構造物(鋼材)100の表面にポリウレア樹脂パテ剤を塗布して硬化させた弾性層104を形成し、該弾性層104が形成された鋼構造物100の表面に強化繊維fを含む繊維シート1を接着剤105により接着して繊維シート層(繊維強化樹脂層)106を形成する鋼構造物の補強構造体200及び補修補強方法を開示している。
また、特許文献2は、本願添付の図19(a)、(b)に示すように、鋼橋100の腹板11と、フランジ12、13と、補剛材14、とを有した鋼桁(鋼部材)10において、腹板11に繊維強化樹脂層20を設置するに際して、鋼桁腹板11と繊維強化樹脂層20との間にポリウレア系樹脂とされるパテ層30を設け、それにより、鋼桁腹板10の終局耐荷力を回復増強するものである。即ち、斯かる特許文献2に記載の発明は、特に、鋼部材10に繊維強化樹脂層20を剥離しないように貼り付け、せん断力を受ける鋼部材、即ち、鋼桁10の腹板11の座屈耐荷力を向上させんとするものである。
一方、鋼橋桁端部においては、図19(a)にて、鋼橋における伸縮装置110からの漏水に起因して、腹板11の損傷のみならず、特に、支承130を介して橋台120に支持されている支点上十字柱を構成している支点上垂直補剛材14Aやその近傍の腹板11Aに腐食損傷が生じ、鋼桁端部の腐食が断面欠損に至るまで進行することもある。これらの損傷は、橋梁の支持機能の低下に結びつく。従来、このような場合の対策としては、鋼材を用いた部材取替えや当て板が一般的であったが、補修範囲が局部的であっても一定の架設機材や専門技術者が必要となり、補修費が著しく割高となっている。
国際公開番号WO2012/029966号公報 特開2012−52293号公報
そこで、本発明者らは、主として、鋼桁端部の、支点上補剛材14Aと腹板(支点上補剛材の中心から腹板厚の12倍の範囲)11Aから成る支点上十字柱10Aに対しても繊維強化樹脂(FRP)を貼り付けることによる鋼橋100の補修補強について研究実験を行った結果、繊維強化樹脂をポリウレア樹脂パテ材を介して設けることにより、繊維強化樹脂が適切に追従して、支点上十字柱10Aの耐荷力(支持機能)の向上を図ることができ補修効果が得られることを見出した。
本発明は、斯かる本発明者らの新規な知見に基づきなされたものである。
本発明の目的は、高伸度弾性パテ材を介して繊維シートを接着することにより、高応力時や座屈変形時においても繊維シートの剥離を確実に防止することができる、腐食減肉した鋼橋の鋼桁端部における支点上十字柱の補修補強をする鋼橋の補修補強方法及び補強を提供することである。
上記目的は本発明に係る鋼橋の補修補強方法及び補強構造体にて達成される。要約すれば、第1の本発明は、鋼橋の鋼桁端部における支点上十字柱に、強化繊維を含む繊維シートを樹脂で接着して前記支点上十字柱を補修補強する鋼橋の補修補強方法であって、
(a)前記支点上十字柱を構成する支点上補剛材及び/又は支点上腹板における施工対象部分に対して下地処理する工程と、
(b)前記下地処理された前記支点上補剛材及び/又は前記支点上腹板の表面にポリウレア樹脂パテ材によりパテ層を形成する工程と、
(c)前記パテ層の上に、少なくとも1層の前記繊維シートを樹脂で接着して繊維強化樹脂層を形成する工程と、
を有することを特徴とする鋼橋の補修補強方法である。
第1の本発明にて一実施態様によると、前記支点上腹板は、前記支点上補剛材の中心から腹板厚の12倍の範囲の腹板である。
第1の本発明にて他の実施態様によると、前記繊維強化樹脂層の下端を、前記鋼桁の下フランジの表面に定着する。
第1の本発明にて他の実施態様によると、前記支点上補剛材及び/又は前記支点上腹板の欠損部には、欠損断面の剛性と同等以上の剛性の前記繊維強化樹脂層を形成する。
第1の本発明にて他の実施態様によると、前記施工対象部分に設置される複数層の前記繊維強化樹脂層の全部又は一部を、前記支点上十字柱を構成する他の前記支点上補剛材及び/又は他の前記支点上腹板に分散又は集約して設置する。
第1の本発明にて他の実施態様によると、前記繊維シートは、
(1)少なくとも、シート軸方向へと一方向に引き揃えた強化繊維を含む強化繊維を互いに線材固定材にて固定した繊維シートであるか、
(2)強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され、硬化された連続した繊維強化プラスチック線材を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、線材を互いに線材固定材にて固定した繊維シートであるか、又は、
(3)強化繊維を一方向に引き揃えた強化繊維シートに樹脂を含浸して、前記樹脂が硬化された樹脂含浸硬化繊維シートか、又は、一方向に引き揃えた強化繊維束に樹脂を含浸して、前記樹脂が硬化された樹脂含浸硬化繊維シートを、少なくとも1層含む繊維シートである。
第1の本発明にて他の実施態様によると、前記繊維シートの強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用する。
第1の本発明にて他の実施態様によると、前記接着剤は、常温硬化型若しくは熱硬化型のエポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル樹脂、MMA樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、又は、光硬化型樹脂である。
第2の本発明は、鋼橋の鋼桁端部における支点上十字柱を構成する支点上補剛材及び/又は支点上腹板に繊維強化樹脂層を設置して前記支点上十字柱の局部座屈耐荷力を回復又は強化する補強構造体であって、
(a)前記支点上補剛材及び/又は支点上腹板の表面にポリウレア樹脂パテ剤を塗布して形成した弾性層と、
(b)前記弾性層が形成された前記支点上補剛材及び/又は支点上腹板の表面に接着剤により接着された、樹脂含浸された繊維強化樹脂層と、
を有することを特徴とする鋼橋の補強構造体である。
第2の本発明にて一実施態様によると、前記弾性層は、硬化時における引張伸びが300%以上、引張強度が8N/mm2以上、引張弾性率が55N/mm2以上75N/mm2以下である。
本発明によれば、高伸度弾性パテ材を介して繊維シートを接着することにより、高応力時や座屈変形時においても繊維シートの剥離を確実に防止することができ、また、腐食減肉した鋼橋の鋼桁端部における支点上十字柱の補修補強をすることができる。
図1は、鋼橋の鋼桁端部の斜視図である。 図2(a)、(b)は、鋼橋の鋼桁端部における支点上十字柱の照査方法を説明する図であり、図2(a)は支点上十字柱の側面図であり、図2(b)は、図2(a)の線A−Aに取った断面図である。 図3は、本発明に従った補修補強態様を説明する鋼桁端部の斜視図である。 図4は、本発明の鋼橋の補修補強方法に使用し得る繊維シートの一実施例を示す図である。 図5は、本発明の鋼橋の補修補強方法に使用し得る繊維シートの他の実施例を示す図である。 図6は、本発明の鋼橋の補修補強方法に使用し得る繊維シートの一実施例を示す斜視図である。 図7(a)、(b)は、本発明の鋼橋の補修補強方法に使用し得る繊維シートを構成する繊維強化プラスチック線材の例の断面図である。 図8(a)、(b)は、本発明の鋼構造物の補修補強方法に使用し得る繊維シートの他の実施例を示す斜視図である。 図9は、本発明の鋼橋の補修補強方法の一実施例を説明する工程図である。 図10は、本発明に従った鋼橋の補強構造体の一実施例を説明する図である。 図11は、本発明に従った鋼橋の補強構造体の他の実施例を説明する図である。 図12は、本発明に従った補修補強態様の他の実施例を説明する鋼桁端部の斜視図である。 図13は、本発明に従った補修補強態様の他の実施例を説明する支点上十字柱の断面図である。 図14は、本発明に従った補修補強態様の他の実施例を説明する支点上十字柱の断面図である。 図15は、本発明に従った補修補強方法にて、積層する繊維シートの積層数を調整する方法を説明する支点上十字柱の断面図である。 図16は、本発明に従った補修補強方法の効果を立証するための実験例を説明する図である。 図17は、本発明に従った補修補強方法の効果を立証するための圧縮試験結果を示す図である。 図18は、従来の鋼構造物の補修補強方法を説明する補強構造体の断面図である。 図19(a)及び図19(b)は、それぞれ、従来の鋼構造物の補修補強方法を説明する鋼橋の鋼桁端部の正面図及び断面図である。
以下、本発明に係る鋼橋の補修補強方法及び補強構造体を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
本発明によれば、鋼構造物である鋼橋鋼桁端部の支点上十字柱を補修補強することができる。鋼橋に使用される鋼桁(鋼I桁)10は、図1及び図2に示すように、上フランジ12と下フランジ13を備えた腹板11、及び上フランジ12と下フランジ13の間に設置された垂直補剛材14で形成され、特に、鋼桁端部は、支承130を介して橋台120に支持されている。図19を参照して説明したように、上フランジ12の上にはコンクリート床版101が載置されている。コンクリート床版101の端部には橋梁の伸縮を吸収伸縮装置110が設けられている。従来、上述したように、鋼橋桁端部においては、鋼橋100における伸縮装置110からの漏水に起因して、腹板パネルの損傷のみならず、支点部垂直補剛材14Aやその近傍の腹板11Aに腐食損傷が生じ、鋼桁端部の腐食が断面欠損に至るまで進行することもある。これらの損傷は、橋梁の支持機能の低下に結びつく。
本発明によれば、鋼桁端部にて支点反力を受ける支点上十字柱10Aを補修補強することができる。
本発明にて支点反力を受ける支点上十字柱10Aとは、図2に示すように、支点上垂直補剛材(本明細書では「支点上補剛材」という。)14Aと、該支点上補剛材14Aの近傍の腹板であって、支点上補剛材14Aの中心から腹板厚(tw)の12倍の範囲(道路橋示方書での規定)の腹板(本明細書では「支点上腹板」という。)11Aとにて構成される横断面形状が十字形状とされる鋼桁端部の横断面が十字状とされる鋼部材10Aをいう。
例えば、図3に示すように、本発明によれば、支点上十字柱10Aの下方部に生じた欠損部を繊維強化樹脂層(FRP)20を設置して補修補強することができる。図3には、本発明にて支点上十字柱10Aの下方部に生じた欠損部を補修補強する態様を示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、支点上十字柱10Aの上端部や中間部の補修補強に適用することもできる。
図3、図10を参照すると、本発明の鋼橋の補修補強方法の特徴は、
鋼橋100の鋼桁端部における支点上十字柱10Aに強化繊維を含む繊維シートを樹脂で接着して支点上十字柱を補修補強する鋼橋の補修補強方法であって、
(a)支点上十字柱10Aを構成する支点上補剛材14A及び/又は支点上腹板11Aにおける施工対象部分に対して下地処理する工程と、
(b)下地処理された支点上補剛材14A及び/又は支点上腹板11Aの表面にポリウレア樹脂パテ材30Aによりパテ層30を形成する工程と、
(c)パテ層30の上に、少なくとも1層の繊維シート1を樹脂で接着して繊維強化樹脂層(FRP)20を形成する工程と、
を有する構成にある。
また、本発明によれば、支点上補剛材14A及び/又は支点上腹板11Aの欠損部には、欠損断面の剛性と同等以上の剛性の繊維強化樹脂層20を形成する。また、施工対象部分に設置される複数層の繊維強化樹脂層20の全部又は一部を、支点上十字柱10Aを構成する他の支点上補剛材14A及び/又は他の支点上腹板11Aに分散又は集約して設置することができる。
次に、本発明にて使用する各材料について説明する。
(繊維シート)
本発明においては種々の形態の繊維シート1を使用することができる。繊維シート1の実施例を具体的に具体例1〜3として説明するが、本発明で使用する繊維シート1の形態は、これら具体例に示すものに限定されるものではない。
具体例1
図4に、本発明にて使用することのできる繊維シート1の一実施例を示す。本実施例にて繊維シート1は、連続した強化繊維fを一方向に引き揃えてシート状に構成される樹脂未含浸の繊維シート1Aとされる。
即ち、繊維シート1Aは、一方向に引き揃えた連続した強化繊維fから成る強化繊維シートをメッシュ状の支持体シートなどとされる線材固定材3にて保持した構成とすることができる。例えば、強化繊維fとして炭素繊維を使用した場合には、例えば平均径7μmの単繊維(炭素繊維モノフィラメント)fを6000〜24000本収束した樹脂未含浸の単繊維束を複数本、一方向に平行に引き揃えて使用される。炭素繊維シート1Aの繊維目付は、通常、30〜1000g/m2とされる。
線材固定材3としてのメッシュ状の支持体シートを構成する縦糸4及び横糸5の表面に低融点タイプの熱可塑性樹脂を予め含浸させておき、メッシュ状支持体シート3をシート状に配列した炭素繊維の片面或いは両面に積層して加熱加圧し、メッシュ状支持体シート3の縦糸4及び横糸5の部分を炭素繊維シートに溶着する。
メッシュ状支持体シート3は、2軸構成のほかに、ガラス繊維を3軸に配向して形成したり、或いは、ガラス繊維を一方向に配列された炭素繊維に対して直交する横糸5のみを配置した、所謂、1軸に配向して形成して前記シート状に引き揃えた炭素繊維に接着することもできる。
又、上記線材固定材3の糸条としては、例えばガラス繊維を芯部に有し、低融点の熱融着性ポリエステルをその周囲に配したような二重構造の複合繊維も又好ましく用いられる。
上記説明では、繊維シート1における強化繊維fはシート軸方向へと一方向に引き揃えられるものとして説明したが、強化繊維が二方向に配向された繊維シートであっても良く、また、二方向織物などであっても良い。ただ、繊維シート1は、少なくともシート軸方向に引き揃えられた強化繊維を含むものとされる。
具体例2
また、繊維シート1は、図5に示すように、複数の強化繊維fを一方向に引き揃えた強化繊維シート、例えば、図4に示すような繊維シート1Aに樹脂Reを含浸し、前記樹脂が硬化された繊維シート(所謂、FRP板)1Bとすることもできる。
上記具体例1、2で説明した繊維シート1A、1Bにおいて、強化繊維fとしては、炭素繊維に限定されるものではなく、炭素繊維の他にガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維、更には、ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;更には、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用することができる。
また、具体例2における繊維シート1Bの場合の樹脂Reとしては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を使用することができ、熱硬化性樹脂としては、常温硬化型若しくは熱硬化型のエポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂などが好適に使用され、又、熱可塑性樹脂としては、ナイロン、ビニロンなどが好適に使用可能である。又、樹脂含浸量は、30〜70重量%、好ましくは、40〜60重量%とされる。
上記説明では、繊維シート(FRP板)1Bは強化繊維fを一方向に引き揃えて作製した強化繊維シート、例えば図4に示す繊維シート1Aに樹脂を含浸し硬化したものとして説明したが、例えばプルトルージョン法などにより一方向に引き揃えた強化繊維束に樹脂を含浸させシート状とし次いで硬化した繊維シート(FRP板)とすることもできる。
また、樹脂含浸硬化繊維シート(FRP板)としては、上述したような強化繊維(又は強化繊維束)が一方向に引き揃えられた少なくとも1層のFRP板の表面にクロスやマット層を配置した積層板とすることができる。
具体例3
更には、図6及び図7に示すように、繊維シート1としては、マトリクス樹脂Rが含浸され硬化された細径の連続した繊維強化プラスチック線材2を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、各線材2を互いに線材固定材3にて固定した繊維シート(ストランド型繊維シート)1Cを使用することもできる。
繊維強化プラスチック線材2は、直径(d)が0.5〜3mmの略円形断面形状(図7(a))であるか、又は、幅(w)が1〜10mm、厚み(t)が0.1〜2mmとされる略矩形断面形状(図7(b))とし得る。勿論、必要に応じて、その他の種々の断面形状とすることができる。
上述のように、一方向に引き揃えスダレ状とされた繊維シート1Cにおいて、各線材2は、互いに空隙(g)=0.05〜3.0mmだけ近接離間して、線材固定材3にて固定される。
このようにして形成された繊維シート1(1A、1B、1C)の長さ(L)及び幅(W)は、補強される構造物の寸法、形状に応じて適宜決定されるが、取扱い上の問題から、一般に、全幅(W)は、100〜1000mmとされる。又、長さ(L)は、1〜5m程度の短冊状のもの、或いは、100m以上のものを製造し得るが、使用時においては、適宜切断して使用される。また、繊維シート1(1A、1B、1C)の長さ(L)を1〜5m程度として、幅Wをこれより長く1〜10m程度として製造することも可能である。
繊維シート1Cの場合においても、強化繊維fとしては、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;更には、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用することができる。また、繊維強化プラスチック線材2に含浸されるマトリクス樹脂Rは、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を使用することができ、熱硬化性樹脂としては、常温硬化型若しくは熱硬化型のエポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂などが好適に使用され、又、熱可塑性樹脂としては、ナイロン、ビニロンなどが好適に使用可能である。又、樹脂含浸量は、30〜70重量%、好ましくは、40〜60重量%とされる。
又、各線材2を線材固定材3にて固定する方法としては、図6に示すように、例えば、線材固定材3として横糸を使用し、一方向にスダレ状に配列された複数本の線材2から成るシート形態とされる線材、即ち、連続した線材シートを、線材に対して直交して一定の間隔(P)にて打ち込み、編み付ける方法を採用し得る。横糸3の打ち込み間隔(P)は、特に制限されないが、作製された繊維シート1の取り扱い性を考慮して、通常10〜100mm間隔の範囲で選定される。
このとき、横糸3は、例えば直径2〜50μmのガラス繊維或いは有機繊維を複数本束ねた糸条とされる。又、有機繊維としては、ナイロン、ビニロンなどが好適に使用される。
各線材2をスダレ状に固定する他の方法としては、図8(a)に示すように、線材固定材3としてメッシュ状支持体シートを使用することができる。
つまり、シート形態を成すスダレ状に引き揃えた複数本の線材2、即ち、線材シートの片側面、又は、両面を、例えば直径2〜50μmのガラス繊維或いは有機繊維にて作製した、上記具体例1で説明したと同様の構成とされるメッシュ状の支持体シート3により支持した構成とすることもできる。
更に、各線材2をスダレ状に固定する他の方法としては、図8(b)に示すように、線材固定材3として、例えば、粘着テープ又は接着テープなどとされる可撓性帯材を使用することができる。可撓性帯材3は、シート形態を成すスダレ状に引き揃えた各繊維強化プラスチック線材2の長手方向に対して垂直方向に、複数本の繊維強化プラスチック線材2の片側面、又は、両面を貼り付けて固定する。
つまり、可撓性帯材3として、幅(w1)2〜30mm程度の、塩化ビニルテープ、紙テープ、布テープ、不織布テープなどの粘着テープ又は接着テープが使用される。これらテープ3を、通常、10〜100mm間隔(P)で各繊維強化プラスチック線材2の長手方向に対して垂直方向に貼り付ける。
更に、可撓性帯材3としては、ナイロン、EVA樹脂などの熱可塑性樹脂を帯状に、線材2の長手方向に対して垂直方向に片側面、又は、両面に熱融着させることによっても達成される。
(補強方法)
次に、図3、図9〜図11を参照して、鋼構造物である鋼橋の補強方法について説明する。本発明によれば、前述のようにして作製された繊維シート1を用いて、特に、鋼橋100の鋼桁端部の支点上十字柱10Aの補修補強を行うことができる。
つまり、本発明の鋼橋の補修補強方法によれば、例えば、繊維シート1として、上記具体例1で説明した強化繊維fを一方向に引き揃えて作製された繊維シート1Aを使用することができ、この繊維シート1Aが鋼橋の鋼部材、特に、鋼桁10の支点上十字柱10Aの表面に高伸度弾性パテ材10Aにて形成されたパテ層(即ち、弾性層)30を介して接着剤にて接着して一体化される。この時、繊維シート1Aの鋼部材への接着と同時に、この接着剤による繊維シート1Aに対する接着剤(マトリクス樹脂)含浸をも行うことができる。
これにより、弾性層30と、樹脂含浸された繊維シート1Aが接着された繊維シート層(繊維強化樹脂層)20を有する補強構造体50が形成される。
本発明にて、支点反力を受ける部材は、力学的には軸方向力(圧縮力)を受ける部材であって、鋼桁端部の支点上十字柱10Aの補修補強に際して、支点反力を受ける部材の主応力方向は鉛直方向となるため、繊維の方向は鉛直方向とするのを基本とする。
以下に説明する本発明の鋼橋の補修補強方法においては、図4に示す構成の繊維シートであって、繊維シートの強化繊維としては炭素繊維を使用することが極めて好適であり、従って、本実施例では繊維シート1としては一方向炭素繊維シートを使用した場合について説明する。つまり、以下の実施例の説明では、繊維シート1は炭素繊維シートとして説明し、また、樹脂含浸された繊維シート、即ち、繊維強化樹脂(FRP)は、炭素繊維強化樹脂(CFRP)として説明する。しかし、本発明の補修補強方法は使用する強化繊維を炭素繊維に限定するものではなく、上述した他の強化繊維を使用し得るものである。
本実施例にて好適に使用される炭素繊維シートの特性は、下記表1に示す通りである。
Figure 2015124552
本発明の補修補強方法は、鋼桁支点反力作用部の局部座屈耐荷力を回復又は強化することを目的としている。本発明者らの研究実験によれば、これらの補修補強効果を得るためには炭素繊維シートの弾性係数が高い方が積層数を少なくすることが可能で、工費縮減や工期短縮の面で有利となることが分かっている。そこで、本実施例では、高弾性型炭素繊維シートを使用することを標準とした。弾性係数の規格値は、現在流通している高弾性型炭素繊維シートのうち最大である6.4×105N/mm2以上とした。
本実施例では、1900N/mm2以上の炭素繊維シートを用いることを標準としたが、これは、終局時に座屈が懸念される部材では、鋼材の変形が十分追随して座屈に対する耐荷力を向上させる必要があること、また、引張強度が低く破断歪の小さい炭素繊維シートを用いると施工時の折り曲げや局部的応力集中の影響などにより炭素繊維が破損する恐れがあるためである。
本実施例では、繊維目付量300g/m2の一方向炭素繊維シートを所要の方向に接着することを標準とした。
1.下地処理(S1)
鋼橋鋼桁10の端部における支点上十字柱10Aを構成する支点上補剛材11A及び/又は支点上腹板14Aとされる既設鋼部材の表面は、ブラストとやディスクサンダーなどの適切な下地処理方法により、塗料や錆などを除去し、その後、有機溶剤を用いて表面を清掃し、油分や汚れのない状態にする。
2.プライマー塗布(S2)
下地処理後の鋼材表面の錆防止と炭素繊維シート1との接着性を向上させるために、プライマーを塗布する。一般にプライマーとしては、常温硬化型のエポキシ樹脂を使用することができる。
3.不陸修正(S3)
鋼材表面の平坦性が炭素繊維シート1の接着性を左右するので、段差や孔食部などプライマー塗布後の凹凸のある範囲は、樹脂パテ(不陸修正材)40Aを用いて平坦に仕上げる。
コーナー部(入隅部)を樹脂パテを用いて成形する場合は、円弧状に平滑に仕上げる。なお、炭素繊維シート1の定着部には、不陸修正材40Aは塗布しない。
本工程の施工は、上記工程S2にて塗布したプライマーが指触乾燥したことを確認した後に行う。
4.高伸度弾性パテ材用プライマー塗布(S4)
高伸度弾性パテ材30Aとして使用するポリウレア樹脂パテ材との接着性を向上させるために、鋼材表面及び不陸修正材表面にポリウレア樹脂パテ材用プライマーを塗布する。施工は、上記工程S3にて塗布した不陸修正材40Aが初期硬化したことを確認した後に行う。
ポリウレア樹脂パテ材用プライマーとしては、エポキシ変性ウレタン樹脂プライマーを好適に使用し得るが、プライマーとしては、エポキシ変性ウレタン樹脂系に限ることなくMMA系樹脂など、鋼材或いは不陸修正材と、ポリウレア樹脂パテ材との接着性を十分確保できるものが適宜選定される。
5.高伸度弾性パテ材塗布(S5)
上記工程S4にてポリウレア樹脂パテ材用プライマーを塗布した後、炭素繊維シート1の貼付け範囲にポリウレア樹脂パテ材30Aを塗布する。施工はポリウレア樹脂パテ材用プライマーが指触乾燥したことを確認した後に行う。また、所要の補修、補強効果を発揮するために、設計厚さ通りに極力均一に塗布する。
一般に、ポリウレア樹脂パテ材30Aの塗布厚さ(T)は、鋼部材10の被接着面の表面の凹凸、炭素繊維シート1の厚さに応じて適宜設定されるが、一般にT=0.2〜10mmとされ、本実施例では、0.8mm程度とした。
本発明にて使用する高伸度弾性パテ材30Aとしてのポリウレア樹脂パテ材は、主材に芳香族アミンを用い、硬化材にイソシアネートプレポリマーを使用する2液性(2液混合型)のポリウレア樹脂とされる。
本発明にて好適に使用されるポリウレア樹脂パテ材30Aの特性は、下記表2に示す通りである。
Figure 2015124552
高伸度弾性パテ材30A(即ち、弾性層30)は、高応力下や座屈による面外変形時にも、積層された炭素繊維強化樹脂(CFRP)20が鋼板10から剥離することなく所要の補修補強を発揮するために、鋼板10とCFRP20を接合するものである。
高伸度弾性パテ材30Aの引張弾性係数が大きいと、鋼板10が局部座屈を生じて面外変形しようとするときにCFRP20が変形に十分追従することができない。一方、引張弾性係数が小さいと、CFRP20を鋼板10の変形に追従させることができるがCFRP20の接着効果が十分に得られない。また、高伸度弾性パテ材30Aの引張最大荷重伸びが小さいと、局部座屈により鋼板10が大きく変形した際に高伸度弾性パテ材30Aが破断してCFRP20が剥離するようになり、一方、引張最大荷重時伸びが大きいと、その引張弾性係数との共存が困難である。
そこで、本発明においては、高伸度弾性パテ材30Aとして、上記表2に示される特性を有したポリウレア樹脂パテ材が好適に使用される。
また、高伸度弾性パテ材30Aは、ガラス転移点温度以下では、ゴム状の柔軟性を失い脆化して所要の剥離防止性能を発揮することができない。そのため冬季の低温環境下でも所要の柔軟性を維持できるようにガラス転移点温度の上限を設定した。鋼材接着強度に関しては、他の樹脂材料(接着剤)の規定と同様である。
6.炭素繊維シート接着(S6)
ポリウレア樹脂パテ材30Aが初期硬化したことが確認されると、このポリウレア樹脂パテ材30Aにて形成された弾性層30の上に炭素繊維シート1が接着される。炭素繊維シート接着施工手順の一例を示せば次の通りである。
尚、本発明において、鋼部材10である支点上十字柱10Aは、上述したように、力学的に軸方向力(圧縮力)を受ける部材であり、主応力方向は鉛直方向となるため繊維方向は鉛直方向となることを基本とする。
(1)施工面にローラー刷毛にて、含浸接着樹脂を均一に塗布する。
(2)含浸接着樹脂の塗布面に炭素繊維シート1を押し付け、繊維の方向に気泡を除去しながら貼り付ける。
(3)気泡ローラーやゴムヘラを使用し、空気たまりを除去すると共に、含浸接着樹脂を十分に炭素繊維シート1に含浸させる。
(4)貼り付けられた炭素繊維シート1の上に、再度含浸接着樹脂をローラー刷毛にて均一に塗布し、有害な浮き及び膨れがないよう、含浸接着樹脂の含浸を十分に行う。
なお、含浸接着樹脂、即ち、接着剤は、ポリウレア樹脂パテ材30A(弾性層30)の上に塗布するものとして説明したが、勿論、炭素繊維シート1に塗布することもでき、また、ポリウレア樹脂パテ材30A(弾性層30)の表面及び炭素繊維シート1の接着面の両面上に塗布しても良い。
(5)炭素繊維シート1を2層以上を積層する場合には、上記(1)〜(4)の作業を繰り返す。
(6)炭素繊維シート1の長手方向の端部ずらし量Lmは、下記の要領で行う。
つまり、上記(5)に記載するように、必要補強量が多い場合には構造物表面に複数層の炭素繊維シート1を接着することが可能であるが、ただ、複数層の炭素繊維シート1を積層して接着すると、端部に応力集中が生じ、剥離破壊抵抗が低下することがある。
そこで、剥離破壊を防止するために、図10に示すように、各層の炭素繊維シート1の繊維方向のシート長さ(Ls)を変化させるのが好ましい。例えば、複数層積層する炭素繊維シート1の繊維方向の長さLsは、鋼部材10の表面(1層目の炭素繊維シート)から離間する外層(最外層の炭素繊維シート)に行くに従って順に短くして、炭素繊維シート1の上端部1aを階段状に積層する。下方の下端部1bは、図10に示すように、下フランジ13の手前までとするか、或いは、図11に示すように、下フランジ13の上面まで延在し、接着させる。ずらし量Lmは、5〜100mmと程度とするのが適当である。つまり、複数層積層する炭素繊維シート1の長さ(Ls)を外層へと順に5〜100mm程度短くして端部1aを階段状に積層することにより、シート端部1aでの応力集中を低減し、剥離抵抗を向上させることが可能である。
炭素繊維シート1の長さLs、定着長Lf、ずらし量Lmについては、後で更に詳しく説明する。
次に、炭素繊維シート1に含浸され、且つ、炭素繊維シート1を含浸接着するための樹脂(接着剤)について説明する。
炭素繊維シート1は、繊維の間に樹脂が良好に含浸した状態で、繊維と樹脂の複合材料(CFRP)として強度、弾性率を発現するものである。含浸接着樹脂は、鋼材10との接着強度、炭素繊維シート1の引張強度及び継手強度を確保できるものでなければならない。
本実施例にて使用する含浸接着樹脂としては、2液性(2液混合型)の常温硬化型のエポキシ樹脂とされる。本実施例にて使用するエポキシ樹脂の物性は、下記表3に示す通りである。
Figure 2015124552
なお、本発明にて使用し得る接着剤としては、上記常温硬化型エポキシ樹脂の他に、熱硬化型のエポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル樹脂、MMA樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、又は、光硬化型樹脂等が好適とされる。
7.保護層の接着(S7)
必要に応じて、炭素繊維シート1の保護層として、2方向アラミド繊維シートの貼付けを行うことができる。
繊維シート1として、例えば、本発明の実施例のように、炭素繊維シートを使用した場合には、炭素繊維シートは、屋外暴露試験や促進暴露試験により耐久性に優れていることが確認されている。しかしながら、含浸接着樹脂は紫外線やオゾンの作用により劣化し、白化や黄変など変色し美観を損なうことがある。また、炭素繊維シートは黒色であり、日光の直射を受けると表面温度が上昇するため、樹脂の耐熱温度を超えないように、保護工を施工するのが好ましい。
炭素繊維シート1の保護層に使用するアラミド繊維シートは、角部での折れ曲がりがあるため2方向材を使用する。アラミド繊維は耐衝撃性に優れており、柔軟性があることから部材角部への巻き付けが可能である。
8.養生(S8)
含浸接着樹脂が初期硬化するまでは、雨水や砂、ホコリなどの付着を防止すると共に、気象の急変などによる悪影響を受けないように、必要に応じてビニールシートなどで養生する。
9.仕上げ塗装(S9)
上記工程S7の保護工に使用するアラミド繊維シートは、有機系繊維のために紫外線劣化が生じることから、表面保護塗装を行うのが好ましい。
本発明の補修補強方法に従って、上記工程S1〜S9を実施することにより、図3及び図10、図11に示すように、
(a)支点上十字柱10Aを構成する支点上補剛材14A及び/又は支点上腹板11Aの表面にポリウレア樹脂パテ剤30Aを塗布して形成した弾性層30と、
(b)弾性層30が形成された支点上補剛材14A及び/又は支点上腹板11Aの表面に接着剤により接着された、樹脂含浸された繊維強化樹脂層(FRP)20と、
を有することを特徴とする鋼橋の鋼桁端部における支点上十字柱の補強構造体50が提供される。弾性層30は、硬化時における引張伸びが300%以上、引張強度が8N/mm2以上、引張弾性率が55N/mm2以上75N/mm2以下とされる。
次に、炭素繊維シート1を複数層支点上十字柱に積層する態様について、更に詳しく説明する。
本発明の支点上十字柱10Aを構成する支点上補剛材14A及び/又は支点上腹板11Aの補修補強方法では、CFRP接着の対象は、支点上補剛材14Aと支点上腹板11Aから成る支点上十字柱10Aの範囲であり、炭素繊維シート1の積層数は、下記式(1)を満足するように決定される。
Figure 2015124552
ただし、支点上十字柱10Aを構成する各部の断面欠損量に応じて、補修量を適切に割り付ける。
つまり、支点反力は、支点上十字柱10Aを構成する支点上補剛材14A及び支点上腹板11Aで受け持つため、これを支点反力を受ける部材のCFRP接着範囲として設定した。上記式(1)では、支点上十字柱10Aを構成する各部材の合計補修補強必要断面積に相当するCFRP接着量を確保することとしているが、一般に支点上十字柱10Aを構成する各部で腐食による断面欠損量が異なるため、各部の断面欠損量の比率に応じてCFRP接着量を割り付けることを基本とする。但し、施工性も考慮して、これらを厳密に分割する必要はない。
なお、炭素繊維シート1の設計厚さtcf、炭素繊維シートの鋼換算断面積Acf,s等は、次式(2)にて求められる。
Figure 2015124552
本実施例で使用する高弾性型炭素繊維を用いた炭素繊維シート(Ecf=640kN/mm2、繊維目付量w=300g/m2、ρ=2.1×106g/m3)の場合、炭素繊維1層あたりの設計厚さはtcf=0.143mm、鋼換算厚さtcf,s=0.457mmとなる。
また、鋼部材の補修補強必要断面積Aslを算定し、必要となるCFRP積層数を決定するが、炭素繊維シートの設計厚さtcfは、炭素繊維のみの断面積を用いる。つまり、樹脂の弾性係数は、本実施例のように、強化繊維が炭素繊維である場合には、炭素繊維の弾性係数Ecfの1/100以下程度であり、樹脂の体積比が70〜80%であることから、CFRP全体の引張剛性に及ぼす樹脂の影響は5%程度である。そのため、CFRPの計算には炭素繊維シート1の断面積とする。樹脂の断面積は設計には見込んでいない。
CFRPを接着した鋼材は、CFRPの積層数に応じた応力改善効果を得られることが確認されているが、本発明の方法では、弾性係数が65N/mm2程度(鋼材の約1/3000)の高伸度弾性パテ材(ポリウレア樹脂パテ材)を接着層に塗布することとしており、これにより高応力時や座屈変形時においてもCFRPの剥離が確実に防止できる。
鋼部材の合計補修補強必要断面積Asl,cは、腐食による鋼部材の欠損断面積以上で、且つ、次の条件で算定した鋼部材応力度の合計が許容応力度以内となるように決定する。
(1)支点上補剛材及び腹板は、軸方向力を受ける柱として設計する。
(2)CFRP接着前に既に作用している死荷重は、既設鋼断面で負担する。ここで、既設鋼断面は、支点上十字柱の合計断面欠損量が最大の一の断面積を用いて算定する。
(3)活荷重及びCFRP接着後に作用する死荷重は、鋼とCFRPの合成断面で負担する。
(4)照査に用いる許容圧縮応力度は、鋼とCFRPとの合成断面の緒元より設定してもよい。
ただし、腐食による断面欠損量が局部的で軽微な場合には、支点上十字柱を構成する各部の欠損の欠損断面積を必要断面積とし、応力度照査は省略してもよい。
なお、支点反力を受ける部材は軸方向力を受ける柱として照査することとした(図2参照)。ここで、許容圧縮応力度算定時の断面緒元をCFRP接着後の合成断面としたのは、CFRPを貼付けることにより圧縮応力度の改善に加え、座屈耐荷力の改善を図れることが実験により確認されているからである。
また、支点反力を受ける部材に対しても欠損断面積以上のCFRPを貼付けるとともに、CFRP接着前後の荷重状態を考慮して応力度照査することを基本としているが、腐食による断面欠損が局部的で軽微な場合は、断面欠損が生じている鋼材面に欠損断面積に相当するCFRP積層数を貼り付けることで、応力度照査を省略してもよい。断面欠損量が軽微な場合とは欠損断面積に相当するCFRP積層するが5層程度以下の時と考えることができる。
炭素繊維シート1の長さLcfは、下記式(3)を満足するように決定する。
Figure 2015124552
本発明にて、積層される複数層の炭素繊維シート1(即ち、CFRP20)の上側の接着端1aは、図10に示すように、鉛直方向に炭素繊維シート1を1層ごとに25mmずらして接着し、下フランジ側の接着端1bは下フランジ13と支点上補剛材14A或いは腹板11Aとの溶接ビードWb手前までとする。
なお、支点上補剛材下端の断面欠損を模擬した試験体を用いて行なった実験結果より、CFRP20(20−1、20−2、・・・・20−n)を、図11に示すように下フランジに定着した場合と、図10に示すようにCFRP20(20−1、20−2、・・・・20−n)を下フランジ13に定着しない場合のCFRP接着による強度増加は、ほぼ同等であることが確認された。このことから、作業性を考慮して支点反力を受ける部材のCFRP貼付方法は、下フランジ13に定着しないことを基本とする。
なお、下フランジ13の防食効果を期待する場合には、図11に示すように、腹板11A又は支点上補剛材14Aと下フランジ13との接合部をR50mmの円弧状にパテ40Aで成形した上で、弾性パテ材30Aを塗布し、CFRP20を下フランジ13まで接着するのが良い。なお、下フランジ部材縁端の控え量Lsは、下地処理やプライマー塗布、含浸接着時の作業性を考慮して5mm以上とする。ただし、図11に示すように、CFRP20を下フランジ13まで接着する場合において、しかも、図12に示すように、腹板11Aと支点上補剛材14AにCFRP20を接着する場合には、支点上腹板11A、支点上補剛材14A及び下フランジ13が互いに交差する交点領域Scは、腹板11Aと補剛材14Aの不陸パテ材40AによるR仕上げが干渉するため、交点領域Scにはシートを貼ることができない。従って、腹板11Aと支点上補剛材14A双方のCFRP20の接着幅が大きく制限されることになるため、注意が必要である。
一方、上側接着端部1aについては、実験の結果、定着量100mm及びずらし量25mmが好ましいことが分かった。
ここで、図10に示すように、CFRP20を下フランジ13に定着しない場合には、繊維シート1として、図6〜図8を参照して説明したストランド型炭素繊維シート1Cを使用することができる。この場合、例えば繊維目付量600g/m2の場合は上側接着端部の定着長は113mm程度、ずらし量は50mmとし、また、繊維目付量900g/m2の場合は上側接着端部の定着長は225mm程度、ずらし量は75mmとし得ることが分かった。
支点上補剛材14Aに接着する炭素繊維シート1の幅Bcf,s,sは、図13に示すように、腹板11Aとの溶接ビード手前から補剛材縁端より控え量Lh=5mmだけ控えた範囲とする。また、腹板11Aに接着する炭素繊維シート1の幅Bcf,s,wは、支点上補剛材14Aとの溶接ビード手前から支点上補剛材14Aの中心より腹板厚(健全部の板厚)twの12倍の範囲、所謂、支点上腹板11Aの範囲とする。
つまり、腹板のCFRPの接着幅Bcf,s,wは、道路橋示方書での規定に準拠した腹板厚twの12倍を片側当たりの有効幅として設定した。ただし、桁端部側の腹板において、腹板厚の12倍の範囲外にも腐食が広がっている場合には、図14に示すように、安全側の配慮として、その範囲にも同僚のCFRPを接着するのが望ましい。
溶接ビード付近及び部材縁端の控え量Lhは、下地処理やプライマー塗布、含浸接着時の作業性を考慮して設定する。
図15(a)、(b)に示すように、支点上十字柱10Aのうち、特定の面の腐食量が多く、断面欠損量に応じた補修量の割り付けが困難な場合には、対象となる同一の支点上十字柱の範囲内で分散又は集約してCFRP20を接着してもよい。つまり、特定面の断面欠損に対し、CFRP20の必要積層数を分散又は集約して接着した場合、強度回復効果はやや低下するものの柱断面としての所要強度を回復できることが実験により確認されている。
図15(a)は、鋼桁端部の支点上腹板11Aに生じた欠損部40の補修の例を示しており、(a−1)に示すように、鋼桁端部の支点上腹板11Aに生じた欠損部40に対してCFRPを18層、その対向面にCFRPを6層が貼付されている。これに対して、(a−2)に示すように、欠損部40にCFRPを12層、その対向面にCFRPを12層貼付してもよく、更には、(a−3)に示すように、欠損部40にCFRPを4層、その対向面にCFRPを4層を貼付し、且つ、支点上補剛材14Aに対してもその両面にそれぞれCFRP4層を貼付することもできる。
図15(b)は、鋼桁端部の支点上補剛材14Aの一方に生じた欠損部40の補修の例を示しており、(b−1)に示すように、支点上補剛材14Aの一方側に生じた欠損部40に対してCFRPを18層、その対向面にCFRPを6層が貼付されている。これに対して、(b−2)に示すように、欠損部40にCFRPを12層、その対向面にCFRPを12層貼付してもよく、更には、(b−3)に示すように、欠損部40にCFRPを6層、その対向面にCFRPを6層を貼付し、且つ、他方の支点上補剛材14Aに対してもその両面にそれぞれCFRP6層を貼付することもできる。更には、(b−4)に示すように、欠損部40にCFRPを3層、その対向面にCFRPを3層を貼付し、且つ、他方の支点上補剛材14Aに対してもその両面にそれぞれCFRP3層を貼付し、更に、支点上補剛材14Aの両側に位置する支点上腹板11Aに対してもその両面にそれぞれCFRP3層を貼付することもできる。
更に、場合によっては、欠損部40に炭素繊維シート1を貼付することができないか、極めて困難な場合には、その近傍の支点上補剛材14A及び/又は支点上腹板11Aに対して、当該欠損部40に必要とされる炭素繊維シート1の積層数を分散或いは集約して貼付することも可能である。
以上説明した支点反力を受ける部材の補修補強方法及び補強構造体の有効性を立証するために行なった実験結果を次に示す。
(実験例)
図16に本実験例で使用した試験体を示す。本実験例では、試験体の支点上腹板11Aと支点上補剛材14Aには、鋼桁端部で事例の多い腐食形状を模擬して下端から高さ100mmの範囲に50%程度の断面欠損を与え、補修の有無それぞれに対し圧縮試験を実施した。
CFRPの合計積層数は、上記式(1)を満足するように定めており、CFRPの貼付け個所は、必要補修量の合計を支点上補剛材に集約したケース(補修方法A)、支点上腹板11Aに集約したケース(補修方法B)、各面の断面欠損量に応じて支点上補剛材14Aと支点上腹板11AにCFRP20を割り付けたケース(補修方法C)の3ケースとした。
ここで、支点上補剛材14Aへの接着では下端側でCFRP20の定着は行なわず、支点上腹板11Aへの接着では下フランジ13へCFRP20を定着することとして、図10及び図11に示した2種類の構造細目の妥当性についても併せて検証した。
ここで、目標とした強度回復が得られていることを確認するために、事前にFEM解析により健全時と断面欠損時の耐荷力を算定しておき、これに試験結果を比較した。試験結果をFEM解析値と併せて図17に示す。
この結果より、CFRP20を必要量貼付けることで、目標値(健全時)まで強度回復していることが分かる。更に、CFRP20を各面の欠損量に応じて割付けた補修方法Cの効果が最も高いが、補修方法A、Bの結果より、支点上補剛材14A又は支点上腹板11AにCFRP20の合計必要量を集約して接着しても、十分な強度回復効果を得られることが確認できる。従って、施工条件等により各面の腐食量に応じた割付が困難となる場合でも、支点上十字柱10Aとして必要となる合計補修量を確保すれがよい。また、下フランジ13への定着の有無それぞれで、ほぼ同等の補修効果が期待できることも確認された。
なお、FEM解析では溶接による残留応力の影響を考慮していないため、断面欠損(無補修)モデルの解析値は、実験値と比較してやや高めの最大荷重となっている。したがって、解析より算定した強度目標値は、やや高めに設定されていると考えられる。
いずれのCFRPの補修試験体も、最大荷重到達までにCFRPの剥離は生じず、断面欠損部の局部座屈による変形が進むにつれて部分的に剥離が生じたものの、急激な耐荷力低下は認められず安定した補修効果を発揮することが確認された。
本実施例では、本発明の鋼橋の補修補強方法及び補強構造体においては、繊維シート1の強化繊維としては炭素繊維を使用する場合について説明したが、本発明の補修補強方法及び補強構造体に使用する強化繊維を炭素繊維に限定するものではなく、上述した他の強化繊維をも使用し得るものである。上記説明にて理解されるように、定着長、ずらし量、FRP積層数はそれぞれの使用する強化繊維の種類に応じて適宜変更して設定することができる。
1 繊維シート
10 鋼桁
10A 支点上十字柱
11 腹板
11A 支点上腹板
12、13 フランジ
14 補剛材
14A 支点上補剛材
20 繊維強化樹脂層
30 パテ層(弾性層)
30A ポリウレア樹脂パテ材(高伸度弾性パテ材)
40A 不陸修正材
40 欠損部
50 補強構造体

Claims (12)

  1. 鋼橋の鋼桁端部における支点上十字柱に、強化繊維を含む繊維シートを樹脂で接着して前記支点上十字柱を補修補強する鋼橋の補修補強方法であって、
    (a)前記支点上十字柱を構成する支点上補剛材及び/又は支点上腹板における施工対象部分に対して下地処理する工程と、
    (b)前記下地処理された前記支点上補剛材及び/又は前記支点上腹板の表面にポリウレア樹脂パテ材によりパテ層を形成する工程と、
    (c)前記パテ層の上に、少なくとも1層の前記繊維シートを樹脂で接着して繊維強化樹脂層を形成する工程と、
    を有することを特徴とする鋼橋の補修補強方法。
  2. 前記支点上腹板は、前記支点上補剛材の中心から腹板厚の12倍の範囲の腹板であることを特徴とする請求項1に記載の鋼橋の補修補強方法。
  3. 前記繊維強化樹脂層の下端を、前記鋼桁の下フランジの表面に定着することを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼橋の補修補強方法。
  4. 前記支点上補剛材及び/又は前記支点上腹板の欠損部には、欠損断面の剛性と同等以上の剛性の前記繊維強化樹脂層を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の鋼橋の補修補強方法。
  5. 前記施工対象部分に設置される複数層の前記繊維強化樹脂層の全部又は一部を、前記支点上十字柱を構成する他の前記支点上補剛材及び/又は他の前記支点上腹板に分散又は集約して設置することを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の鋼橋の補修補強方法。
  6. 前記繊維シートは、少なくとも、シート軸方向へと一方向に引き揃えた強化繊維を含む強化繊維を互いに線材固定材にて固定した繊維シートであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の鋼橋の補修補強方法。
  7. 前記繊維シートは、強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され、硬化された連続した繊維強化プラスチック線材を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、線材を互いに線材固定材にて固定した繊維シートであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の鋼橋の補修補強方法。
  8. 前記繊維シートは、強化繊維を一方向に引き揃えた強化繊維シートに樹脂を含浸して、前記樹脂が硬化された樹脂含浸硬化繊維シートか、又は、一方向に引き揃えた強化繊維束に樹脂を含浸して、前記樹脂が硬化された樹脂含浸硬化繊維シートを、少なくとも1層含む繊維シートであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の鋼橋の補修補強方法。
  9. 前記繊維シートの強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用することを特徴とする請求項1〜8のいずれかの項に記載の鋼橋の補修補強方法。
  10. 前記接着剤は、常温硬化型若しくは熱硬化型のエポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル樹脂、MMA樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、又は、光硬化型樹脂であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかの項に記載の鋼橋の補修補強方法。
  11. 鋼橋の鋼桁端部における支点上十字柱を構成する支点上補剛材及び/又は支点上腹板に繊維強化樹脂層を設置して前記支点上十字柱の局部座屈耐荷力を回復又は強化する補強構造体であって、
    (a)前記支点上補剛材及び/又は支点上腹板の表面にポリウレア樹脂パテ剤を塗布して形成した弾性層と、
    (b)前記弾性層が形成された前記支点上補剛材及び/又は支点上腹板の表面に接着剤により接着された、樹脂含浸された繊維強化樹脂層と、
    を有することを特徴とする鋼橋の補強構造体。
  12. 前記弾性層は、硬化時における引張伸びが300%以上、引張強度が8N/mm2以上、引張弾性率が55N/mm2以上75N/mm2以下であることを特徴とする請求項11に記載の鋼橋の補強構造体。
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