JP4564868B2 - アンテナ装置、無線モジュールおよび無線システム - Google Patents

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Description

本発明は、無線システムに関し、特に指向性制御が可能なアンテナ装置、無線モジュールおよび無線システムに関する。
無線通信では無指向性アンテナが用いられる場合が多い。同一エリア内で多くの無線通信が使われるようになると、他の無線による電波は所望波にとってノイズ源となり、S/Nを低下させて伝送誤り率を増加させる原因となっていた。また、通信品質を保つためにはより高出力の送信が必要となり、消費電力を増加させる一因にもなっていた。
近年、電波も有限な資源と見なす電波エコロジが提唱され、電波の周波数や電力を効率良く使用するため指向性制御アンテナが注目されている。指向性制御アンテナを用いると、同一エリア内で電波を空間的に分離でき、エリア内での通信容量を飛躍的に向上できる。また、指向性制御アンテナはビームの最大放射角方向で無指向性アンテナより利得が大きいため、受信側に用いると受信電力が大きくなりS/Nが改善される。また、ノイズ源にヌル点を向けると、干渉波の受信強度を小さくでき、同様にS/Nを改善できる。その結果、伝送誤り率を向上できる。
一方、送信側に用いた場合は最大放射角方向で利得が大きいため、同じ情報を送るためには送信電力が少なくて済み、消費電力の低減が期待できる。
また、通常の伝搬環境はマルチパスフェージング環境であり、フェージングを抑制するためダイバーシチィ受信が行われる場合があるが、マルチパスフェージングを根本的に解決する方法は伝搬路を最小にすることであり、その点からも指向性制御アンテナは重要である。
指向性制御アンテナとしては、携帯電話の基地局においてセクタアンテナにより通信路を空間的に分離する方法が採用されている。しかしながら、セクタアンテナはビーム幅を絞ったアンテナを複数本準備し、異なる方向へ個々のアンテナを向ける必要があり、アンテナが大型化して携帯端末や無線LANへの導入は困難である。
また、指向性制御アンテナとしては八木・宇田アンテナが知られている。八木・宇田アンテナとは、ダイポールアンテナの前後にダイポールアンテナよりも電気長の短い導波器と、ダイポールアンテナよりも電気長の長い反射器とを置いて指向性を付与するものである。
八木・宇田アンテナの原理を2次元の指向性制御に用いた例について、図21を参照して説明する(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1では、給電素子の回りに複数の無給電素子を配置し、無給電素子にキャパシタと地板と導通するスイッチを並列に設け、スイッチを導通ないし遮断することによって無給電素子を導波器ないし反射器として作用させて指向性を制御する。特許文献1では、導波器や反射器を共通化できるためアンテナの占有面積を小さくできるが、給電素子や無給電素子にモノポールアンテナを用いるためアンテナが立体的になり、携帯端末や無線LAN端末へは採用できない。
指向性を制御する他の方法について、図22Aおよび図22Bを参照して説明する(特許文献2参照)。特許文献2に記載されたアンテナを図22Aに、その放射パターンを図22Bに示す。特許文献2では、誘電体裏面に地板を設け、誘電体表面には外周部が地板と短絡した円環放射導体を設け、更に円環状導体の内部には地板と短絡するダイオードを配置している。ダイオードのON,OFFにより2つの励振モードを選択でき、TM110モードとTM210モードを同じ周波数にすると2つの放射パターンの切り替えが可能となる。しかしながら選択できる放射パターンは2つに限定され、きめ細かい指向性制御は不可能であり、限定的な用途にしか使えない。
また、フェーズドアレイアンテナやアダプティブアレイアンテナのように複数のアンテナからの放射パターンを合成して指向性を制御する方法もある。フェーズドアレイアンテナでは、アンテナの数だけ移相器とフロントエンド回路が必要で、移相器を制御する演算回路も必要であることから無線モジュールが複雑化・大型化し、現状ではレーダーとして利用されているに過ぎず、携帯端末や無線LANへの導入は困難である。また、移相器の挿入ロスによって送受信の電力が低下する欠点もある。
アダプティブアレイアンテナでは、ベクトル合成するための演算回路と、ベクトル合成をベースバンドで行う場合はアンテナの数だけベースバンド回路やフロントエンド回路が必要である。ベクトル合成をフロントエンドで行う場合はアンテナの数だけフロントエンド回路が必要であり、無線モジュールの複雑化・大型化は避けられない。
しかしながら、空間ビーム形成によって信号を合成するエスパアンテナが提案され、ベクトル合成するための演算回路は必要であるが、ベースバンド回路とフロントエンド回路とが1個で良いことから大きな期待を集めている(例えば、特許文献3および特許文献4参照)。特許文献3および4では、図23に示すように、モノポールアンテナからなる給電素子の回りに複数の可変リアクタンスを装荷した無給電素子を配置し、無給電素子のリアクタンスを変えることで指向性を制御する。しかしながら、特許文献3および4では給電素子の回りに多くの無給電素子を配置する必要があり、アンテナの小型化にも限界がある。またモノポールアンテナを用いるためアンテナが立体化し、携帯端末や無線LAN端末への採用は難しい。更に、エスパアンテナでは指向性を制御するアルゴリズムが複雑であると言われており、ベクトル加算の回路の簡略化にもある程度限界があると思われる。
また、図24に示すように、給電素子の周りに複数の無給電素子を配置し、無給電素子をスイッチによって地板と短絡して無給電素子のインピーダンスを切り替えて指向性を制御する方法が提案されている(例えば、特許文献5および特許文献6参照)。しかしながら、特許文献5および6においても多くの無給電素子が必要であり、かつモノポールアンテナを用いるためアンテナが立体化するため、携帯端末や無線LAN端末へは不向きである。
また、平面アンテナを用いて指向性を制御する方法についても提案されている(例えば、非特許文献1、2、3および4参照)。
Electronically Steering Yagi-Uda Microstrip Patch Antenna arrayでは、図25に示すように、マイクロストリップアンテナを用い、反射器を共通して八木・宇田アンテナを4方向で構成し、給電素子を切り替えることで4方向の指向性制御を実現している。
Electronic beam steering using switched parasitic patch elementsでは、図26に示すように、マイクロストリップアンテナをE面方向で配列し、中心の素子を給電素子、両端の素子を無給電素子とし、無給電素子は励振方向と直交する方向では中央でかつ励振方向では端部に地板と短絡するスイッチを設けている。両端の無給電素子の一方を地板と短絡させることで反射器として機能させ、E面方向で指向性を切り替える。
ビーム成形用マイクロストリップアレーアンテナでは、図27に示すようにマイクロストリップアンテナからなる給電素子の両端に可変リアクタンス回路が装荷された無給電素子を配置し、無給電素子のリアクタンスを変化させH面で指向性制御を行っている。尚、可変リアクタンス回路を装荷する位置は給電素子の給電点と同じ位置、つまり励振方向と直交する方向では中心で、かつ励振方向では無給電素子の入力インピーダンスが給電線の特性インピーダンスと等しい(通常は50Ω)位置にしている。
X字型配列マイクロストリップアレーアンテナは前記の効果を利用したものであり、給電素子の回り4方向に可変リアクタンス回路を装荷した無給電素子を配置し、2次元での指向性制御を実現している。
上記の例はマイクロストリップアンテナを用いているため、特許文献1,エスパアンテナ,特許文献5および特許文献6と異なり低背化されているため、アンテナの小型化には有利である。しかしながらElectronically Steering Yagi-Uda Microstrip Patch Antenna arrayはX方向とY方向で励振される方向が90度異なり、X方向で指向性を切り替える場合はX方向の偏波となり、Y方向で指向性を切り替える場合はY方向の偏波が放射される。そのため同一の偏波では一方向のみの指向性制御となり、指向性の可変範囲は狭くなる。
Electronic beam steering using switched parasitic patch elementsはE面のみで指向性制御が可能であり、同様に指向性の可変範囲は広くない。また、H面で指向性制御を行う条件は文献には全く記載されていない。ビーム成形用マイクロストリップアレーアンテナもH面のみで指向性制御が可能であり、指向性の可変範囲は広くない。
一方、X字型配列マイクロストリップアレーアンテナは、XY方向の2次元で指向性制御が可能であり、かつ励振される方向は1方向なので、1個の偏波で広い可変範囲を実現できる。しかしながら可変リアクタンス回路は可変キャパシタと線路を直列接続した回路から構成され、Electronically Steering Yagi-Uda Microstrip Patch Antenna array やElectronic beam steering using switched parasitic patch elementsのようにスイッチを設ける場合と比較して制御系が複雑になる。
また、現在、携帯電話ではPDC,FOMA,CDMA2000,PHS,等、無線LANではIEEE802.11a,802.11b,802.11gやBluetooth等、ITSではGPS, VICS,ETC等のように複数の無線規格が同時に採用されており、将来も複数の規格が並存する環境が続くと予想される。このような電波環境では偏波を積極的に制御して通信容量を改善する方法も必要となる。既に水平偏波と垂直偏波とを切り替える偏波ダイバーシチィや衛星通信では円偏波が採用されている。
偏波切り替えに特化したアンテナとしては非特許文献5および非特許文献6等がある。Polarization Reconfigurable Patch Antennaでは、図28に示すように、パッチアンテナの直交する2辺に切り欠きを作り、一方の切り欠きにはメタルスタブを持ったMEMSアクチュエータを設けておく。給電はパッチアンテナの頂点からなされる。MEMSアクチュエータがOFFの場合は励振される2方向で位相差が90度となり、円偏波が放射される。MEMSアクチュエータがONの場合はメタルスタブがアンテナに接続されるため一方の共振長が伸びて、2つの励振方向の位相差が90度からずれ楕円偏波あるいは直線偏波が放射される。
偏波切換えマイクロストリップアンテナでは、図29に示すように、マイクロストリップアンテナの地板に2つの励振方向に対応する電磁結合用スロットを2個設け、更に地板に下にY字のマイクロストリップ線路を配置し、Y字の線路の逆向きのPINダイオードを設けて地板と短絡しておく。PINダイオードのON,OFFによって一方の電磁結合用のスロットを選択できるため、直交する2つの偏波を切り替えることができる。
しかしながら上記のPolarization Reconfigurable Patch Antenna、偏波切換えマイクロストリップアンテナとも偏波切り替えのみが可能であり、指向性制御との両立はできていない。
一方、指向性の可変範囲が広いX字型配列マイクロストリップアレーアンテナは1個の直線偏波にのみ対応しており、偏波切り替えは実現できていない。
一般に1個のマイクロストリップアンテナで水平偏波と垂直偏波に切り替えを行なう場合、励振方向を切り替えるためにマイクロストリップアンテナの中心に対し直交した2点でかつアンテナの入力インピーダンスが給電線の特性インピーダンス(通常は50Ω)になる点に給電点を各々設け、スイッチによって給電点を切り替えれば良い。よってX字型配列マイクロストリップアレーアンテナにおいても水平偏波と垂直偏波とを切り替えるためには給電素子に直交する2方向で各々給電点を設ければ良い。
しかしながら無給電素子に装荷する可変リアクタンス回路の位置は無給電素子の入力インピーダンスが給電線の特性インピーダンス(通常は50Ω)となる位置であることから、水平偏波と垂直偏波の2方向で指向性制御を行う場合は、1個の無給電子に水平偏波と垂直偏波に対応する2個の可変リアクタンス回路を設ける必要があり、回路面積が大きくなる。特にサブミリ波〜ミリ波対応ではマイクロストリップアンテナの面積が小さくなり、1個の無給電素子に2個の可変リアクタンス回路を設けることは実質的に不可能となり、偏波切り替えと指向性制御とは両立できない。
更に、X字型配列マイクロストリップアレーアンテナの構造を円偏波に用いることができるかは文献には全く明記されていない。直線偏波のマイクロストリップアンテナでは、励振方向と直交する方向の中心にリアクタンスを装荷した場合、直交偏波は天頂を向き指向性は変化しない。よって円偏波アンテナで一方向の中心にリアクタンスを装荷した場合は、直交する2方向でビームの向く方向が異なると予想され、X字型配列マイクロストリップアレーアンテナの構造では円偏波での指向性制御は不可能と考えられる。
また、無線通信では単一周波数のアンテナが用いられており、複数の周波数に対応する無線装置では複数のアンテナを設ける必要があり、大型化していた。また、無線装置表面で電波を良好に送受信できる領域は限られており、全てのアンテナを良好な電波環境に設置するには限界があった。そこで近年では1個のアンテナで複数の周波数に対応できる多周波(マルチバンド)対応アンテナが注目されている。
マルチバンド対応アンテナとしては、1つはアンテナに複数の周波数に対応した放射素子を持たせる構造がある。例えば共振長の異なる複数の放射素子を用いた構造が提案されている(例えば、非特許文献7、8および9参照)。
しかしながら上記のアンテナは複数のアンテナを1箇所に配置した構造であり、無線装置表面で電波を良好に送受信できる領域は限られているため所望の電波全てを良好に送受信するのは困難であった。
また1つの放射素子に複数の共振長を持たせた構造も提案されいる(例えば、非特許文献10および11参照)。
しかしながら変形シルピンスキー型マイクロストリップアンテナでは3つのバンドで放射パターンが異なり、同一エリアにおいて3周波を同じ条件で送受信できない課題があった。また2周波スロットボウタイアンテナは構造上3周波程度までしか対応できないと思われる。
そこでアンテナの共振長をスイッチで切り替える方法が提案されている(例えば、特許文献7、8、9および10、非特許文献12および13参照)。
特許文献7では、図30に示すように、金属片をPINダイオードで接続してダイポールアンテナを構成している。PINダイオードにバイアスを印加してPINダイオードの導通/遮断を切り替えて共振長を変化させる。用いられるダイポールアンテナは平衡電流で励振する必要がある。しかしながらRF回路に用いられる線路はマイクロストリップ線路やコプレナー線路等の不平衡電流を用いる場合が多く、平衡電流が必要な場合はアンテナと線路の間にバランを設けなければならない。
一般にバランは帯域が狭いため複数の周波数には対応できず、1個の周波数に対して1個ずつバランが必要となる。そのためマルチバンドに対応するためには、ダイポールアンテナの給電点近傍にマルチバンドの数だけバランを配置する必要があり、バランの設置面積でマルチバンドの数が制限されてしまう。よって特許文献7はデュアルバンド等の周波数帯の少ない場合は使えるが、周波数帯の多いマルチバンドには対応できないと思われる。
特許文献8は、図31に示すように、アンテナ素子18に1個の給電点19と複数の接地点20a,20b,20c,20dを設け、接地点をスイッチSW21a,21b,21c,21dで切り替えて共振長を変化させる。しかしながら特許文献8ではスイッチで短絡点を切り替えるため各周波数でアンテナの入力インピーダンスが変化する。よって整合の取れる範囲内でしか接地点を動かすことができず、マルチバンドで可変しうる周波数範囲を大きくできない。実際に特許文献8で開示された可変周波数帯は1.55〜2.2GHzであり、中心周波数1.8GHzに対して30%と小さい。よって携帯電話等の比較的近接した周波数帯を用いる場合は対応可能であるが、無線LANのように2.4GHz帯と5GHz帯を用いる場合は対応できないと予想される。
特許文献9は、図32Aおよび図32Bに示すように、3つの放射素子20,30,40が切り替え可能な給電点と短絡点を共有しており、スイッチSW60,SW62によって給電点と短絡点を切り替えることで4つの周波数帯を実現している。しかしながら特許文献9では、3つの放射素子を同一平面に配置する必要があり、無線装置表面で電波を良好に送受信できる領域は限られていることから、4つの電波全てを良好に送受信するのは困難である。
特許文献10は、図33に示すように、マトリックス状に配置された要素素子が各々MEMSスイッチで接続される構造となっている。全てのMEMSスイッチをOFF(遮断状態)にした場合は個々の要素素子の1辺が共振長となり、高周波に対応する。一方全てのMEMSスイッチをON(導通状態)にした場合は個々の要素素子は接続されて1個の矩形の放射素子となり、低周波で共振する。
ここで、特許文献10では、線路の特性インピーダンス(通常は50Ωを用いる)と整合するため高周波と低周波で異なる給電点を用いる。そのためマトリックス状に配置されたアレイアンテナに配置できる給電点の数によって対応できるマルチバンドの数が限定される欠点がある。
またMEMSスイッチ上には給電点を設けることが困難といった欠点もある。図33に示す例では1個の要素素子で共振させる給電点(High frequency feed point)と3×3アレイで共振させる給電点(Low frequency feed point)は要素素子上に配置できるが、2×2アレイを共振させたい場合はMEMSスイッチ上に給電点が来るため、3×3アレイを使っても2周波のみにしか対応できない。
更にMEMSスイッチで接続される導体幅は隣接した要素素子の幅よりも小さいため、全てのMEMSスイッチをONにして1個の矩形の放射素子を形成した場合、放射素子の内部には大きな空隙が生じる。その結果放射素子を流れる電流は空隙によって制限され、帯域幅が減少し、通信に必要な帯域幅を確保することが困難になる問題も発生する。
なお上記の積層構造のマルチバンドアンテナ,変形シルピンスキー型マイクロストリップアンテナ,2周波スロットボウタイアンテナ、特許文献7、8、9および10には指向性制御について何らの記載がない。
GTRI Prototype Aperture Antennaは、図34に示すように、マトリックス状に配置された要素素子が各々FETスイッチで接続され、平衡電流によって1箇所の給電点で励振される構造となっている。GTRI Prototype Aperture AntennaはFETスイッチのON,OFFの組み合わせによって放射素子の形状を変化させ、周波数と指向性を切り替えることができる。但しFETスイッチのON,OFFを遺伝的アルゴリズムを用いて選択するため演算回路が複雑になる。
また給電点が1箇所であり、放射素子の入力インピーダンスを給電線の特性インピーダンスに合わせる必要があり、放射素子の形状の自由度が小さく、可変できる周波数範囲が制限される可能性が高い。実際に上記の文献で報告された可変周波数範囲は1GHz〜2GHz程度であり、約±50%の帯域幅に対応できる程度であった。また平衡電流で励振することからRF回路に広く用いられているマイクロストリップ線路やコプレナー線路に接続するためにはバランが必要となる。よってバランの設置面積によってもマルチバンドの数が制限される問題もある。
特開2001−36337号公報 特開平6−112727号公報 特開2001−24431号公報 特開2002−16247号公報 特開平10−154911号公報 特開2002−325012号公報 特開2000−236209号公報 特開2002−261533号公報 特開2003−124730号公報 米国特許第6198438号明細書 特開平10−13141号公報 特開平10−13143号公報 特開平10−173432号公報 特開平11−163626号公報 "Electronically Steering Yagi-Uda Microstrip Patch Antenna array", IEEE Antenna and Propagation Society International Symposium,p1870, 1995 "Electronic beam steering using switched parasitic patch elements", Electronics Letters,vol. 33, No.1, p7-8, 1997 「ビーム成形用マイクロストリップアレーアンテナ」、2002年電子情報通信学会総合大会,講演番号B-1-234、2002 「X字型配列マイクロストリップアレーアンテナによる2次元ビーム成形」、2003年電子情報通信学会総合大会,講演番号B-1-248 "Polarization Reconfigurable Patch Antenna using Microelectromechanical System(MEMS) Actuators", IEEE Antenna and Propagation Society International Symposium Digest,p6〜9, 2002 「ダイオードを用いた偏波切換えマイクロストリップアンテナ」、2003年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会,講演番号B-1-176、2003 「多層板構成の3周波共振アンテナの設計と実測結果」、電子情報通信学会技術報告,AP2002-141,p41〜46,2003年 "Multifrequency Microstrip Patch Antenna Using Multiple Stacked Elements", IEEE Microwave and Wireless Components Letters, vol.13, No.3, pp. 123-124, 2003 「2周波共用マイクロストリップアンテナ構成法の一検討」、2003年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会,講演番号B-1-161、2003 「変形シルピンスキー型マイクロストリップアンテナの放射特性に関する一検討」、 2003年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会,講演番号B-1-162、 2003 「2周波スロットボウタイアンテナ」、 2003年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会,講演番号B-1-176, 2003 "GTRI Prototype Reconfigurable Aperture Design", IEEE Antenna and Propagation Society International Symposium Digest,p473〜476, 2002 "The GTRI Prototype Reconfigurable Aperture Antenna" IEEE Antenna and Propagation Society International Symposium Digest,p683〜686, 2003
しかしながら、上述した背景技術には以下の問題がある。
以上のように指向性制御と多周波対応の両方が実現できるアンテナの提案は少ない。両方の機能を持つGTRI Prototype Aperture Antennaにおいても、FETスイッチのON,OFFを遺伝的アルゴリズムを用いて切り替えるため演算回路が複雑で、平衡電流で給電するためバンドの数だけバランが必要となる。また、GTRI Prototype Aperture Antennaは、可変周波数範囲も1〜2GHz程度と狭い等の欠点を持ち、多周波に特化したアンテナと比較して周波数可変のパフォーマンスは非常に悪い。
また、テーパードスロットアンテナに関して提案が行われている(例えば、特許文献11、12、13および14参照)。しかし、テーパードスロットアンテナは指向性の高い円形の放射パターンを得ることができるが、アンテナ単体では指向性を制御することはできない問題がある。
そこで、本発明は、指向性制御および多周波対応の少なくとも一方を実現できるアンテナ装置、無線モジュールおよび無線システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のアンテナ装置は、地板と、前記地板の一主面に形成された誘電体と、前記誘電体に対して前記地板とは反対側の上面に形成された略矩形の給電素子と、前記給電素子に対し電界面および磁界面に沿って対称に配置された略矩形の第1の無給電素子と、前記第1の無給電素子の4つの頂点近傍の領域の少なくとも1箇所に形成され、前記第1の給電素子と前記地板とを短絡する第1のスイッチとを備えることを特徴の1つとする。
このように構成することにより、直線偏波と円偏波の両方において指向性制御を実現できる。
また、本発明の無線モジュールは、上記マイクロストリップアンテナを備えることを特徴の1つとする。
このように構成することにより、直線偏波と円偏波の両方において得られる利得を改善できる。
また、本発明の無線システムは、上記無線モジュールを備えることを特徴の1つとする。
このように構成することにより、直線偏波と円偏波の両方において得られる利得を改善できる。
本発明の実施例によれば、指向性制御および多周波対応の少なくとも一方を実現できるアンテナ装置、無線モジュールおよび無線システムを実現することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
本発明の第1の実施例にかかるアンテナ装置について、図1Aおよび図1Bを参照して説明する。図1Aは上面図、図1Bは図1AのA1−B1線における断面図を示す。
本実施例にかかるアンテナ装置100は、地板102と、地板102の一主面に形成された誘電体104と、誘電体104に対し地板102とは反対の上面に形成された略矩形の給電素子106および給電素子106に対し、電界面(以下、E面と呼ぶ)および磁界面(以下、H面と呼ぶ)に沿って対称に配置された4個の略矩形の第1の無給電素子108と、第1の無給電素子108の4つの頂点の近傍の領域のうち、1箇所に備えられ、第1の無給電素子108と地板102とを短絡する第1のスイッチ110とを備える。
アンテナの構成について詳細に説明する。
例えば比誘電率4.25のガラスからなる誘電体104の下面に、例えばCu層からなる地板102が形成され、誘電体104の上面には、例えばCu層からなる略矩形の給電素子106および給電素子106に対し、4個の略矩形の第1の無給電素子108が、例えばピッチ0.35λo(λo:自由空間での共振長さ)でE面及びH面に沿って対称に配置される。給電素子106に対して、E面の方向をY軸、H面の方向をX軸とし、X軸およびY軸と直交する方向をZ軸とする。給電素子106および第1の無給電素子108の形状は略同一であり、X方向の長さはW1、Y方向の長さはL1である。
また、各々の第1の無給電素子108には4つの頂点近傍の領域うち1箇所に、例えばPINダイオードからなる第1のスイッチ110が設けられる。第1のスイッチ110が導通状態では第1の無給電素子108は地板102と短絡され、第1のスイッチ110が遮断状態では第1の無給電素子108は地板102から開放される。尚、4個の第1の無給電素子108に各々形成された4個の第1のスイッチ108は、図示されていないバイアスラインによって個別に導通・遮断状態が選択できる。
次に、給電点および励振方向について説明する。給電点A112は、給電素子106のX方向の辺の中点を通りX軸に垂直となる垂線上で、かつ給電素子106の入力インピーダンスが給電線の特性インピーダンス(通常は50Ω)と等しくなる点に設けられる。したがって、給電素子106は、Y方向で励振され、共振長はほぼL1となり、Y方向の直線偏波を放射する。尚、給電点A112はアンテナ裏面から同軸線によって給電される。
4個の第1の無給電素子108は、給電素子106と0.35λoのピッチで配置されるため大きな相互結合が生じ、給電素子106から放射されるY方向の直線偏波を受けてY方向で励振され、給電素子106と同じ共振周波数を持つY方向の直線偏波を生じる。ピッチが0.35λoの場合、第1の無給電素子108の電圧は給電素子106の電圧よりも位相が遅れ、第1の無給電素子108は導波器として作用する。
給電素子と無給電素子とをアレイ化したマイクロストリップアンテナでは、無給電素子を地板と短絡する方法によって指向性を制御する方法が知られている。例えば、給電素子とE面で隣接する2個の無給電素子に対し、励振方向と直交する辺の中点近傍に地板と短絡するスイッチを設け、一方のスイッチを地板と短絡することによって、短絡した側の無給電素子に流れる電流を抑制し指向性を切り替える(非特許文献2参照)。他の文献においても地板と短絡するスイッチの位置は無給電素子に対し励振方向と直交する辺の中点の垂線上である。
また、マイクロストリップアンテナは給電点の位置によって直交する2辺を、各々励振できることが知られており、直線偏波切り替えに適したアンテナとなっている。更に、直交する2辺を同時に励振し、かつ各モードに位相差を持たせることによって円偏波が実現できることから非常に有用なアンテナである。
しかしながら、これまでのマイクロストリップアンテナの指向性制御は、一方向の直線偏波に対して行なわれているのみで、直交する2つの直線偏波や円偏波を対象とした方法は全く無かった。直交する2つの直線偏波については、Electronic beam steering using switched parasitic patch elementsの方法から類推すると、1個の無給電素子においてX方向の直線偏波に対しては励振方向と直交する辺、つまりY方向の辺の中点近傍に地板と短絡するスイッチを設け、Y方向の直線偏波に対しては励振方向と直交する辺、つまりX方向の辺の中点近傍に地板と短絡するスイッチを別に設け、偏波毎に1個の無給電素子においても地板と短絡するスイッチを切り替えることで対応できると予想されるが、地板と短絡するスイッチが増加して望ましくない。
本実施例においては、上記の点に鑑み、1個の無給電素子においてX方向とY方向の各モードで励振された電流に対し効果のある短絡点を鋭意検討し、略矩形の無給電素子において、4つの頂点近傍の領域に短絡点を備えることにより、この短絡点はX方向で励振されたモードの電流とY方向で励振されたモードの電流の両方を抑制できることを見出した。
また、短絡点は4つの頂点近傍の領域の全てに設けるのが最良であるが、4つの頂点近傍の領域のうち1箇所のみに設けた場合もX方向とY方向の各モードの電流を抑制できることを発見した。
本実施例では、Y方向に励振される給電素子に対して、E面及びH面に沿って対称に配置された4個の略矩形の第1の無給電素子は、4つの頂点近傍の領域のうち少なくとも1箇所において地板と短絡する第1のスイッチが設けられる。したがって、第1のスイッチを導通状態にして第1の無給電素子を地板と短絡させると、短絡させた第1の無給電素子のY方向の電流は抑制される。そのため、X方向およびY方向の2次元で指向性の切り替えが可能である。
例えば、E面方向での指向性の切り替えは以下のように行う。
E面の沿って配列された第1の無給電素子108の内、上部に配置された第1の無給電素子、すなわち給電素子106に対し+Y方向に配置された第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチ110を導通状態にすることによりE面方向の上部に配置された第1の無給電素子を地板102と短絡する。
一方、E面方向の下部の第1の無給電素子、すなわち給電素子106に対し−Y方向に配置された第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチは遮断状態にしてE面方向の下部に配置された第1の無給電素子を地板と開放する。
このようにすることにより、アンテナ100から放射されるビームは天頂(Z軸)からE面方向下側、すなわち−Y方向に10度〜15度傾く。
逆に、E面方向上部、すなわち+Y方向に配置された第1の無給電素子を地板102と開放し、E面方向下部、すなわち−Y方向に配置された第1の無給電素子を地板102と短絡すると、アンテナから放射されるビームは天頂(Z軸)からE面方向上側、すなわち+Y方向に10度〜15度傾く。
H面方向でも同様であり、H面に沿って配列された第1の無給電素子のうち、左側にある第1の無給電素子、すなわち給電素子106に対し−X方向にある第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチを導通状態にすることによりH面方向左側の第1の無給電素子と地板102とを短絡し、H面方向の右側の第1の無給電素子、すなわち給電素子106に対し+X方向にある第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチを遮断状態にすることによりH面方向右側の第1の無給電素子を地板102から開放することにより、アンテナから放射されるビームは天頂(Z軸)からH面方向右側、すなわち+X方向へ10度〜15度傾く。
逆に、H面方向左側の第1の無給電素子を地板102と開放し、H面方向右側の第1の無給電素子と地板とを短絡することにより、アンテナから放射されるビームは天頂からH面方向左側、すなわち−X方向に10度〜15度傾く。
指向性制御に関与しない第1の無給電素子、例えばE面方向での指向性切り替えでは、H面に沿って配列された第1の無給電素子は第1のスイッチを導通して地板102と短絡させておけば良い。
以上のように構成することにより、X、Yの2次元で指向性を切り替えることができるため、所望の方向にアンテナの最大放射角を向けることができ、良好な通信が可能となる。
本実施例においては、第1のスイッチ110としてPINダイオードを用いた場合について説明した。PINダイオードは安価なチップ部品が入手でき、かつ20GHzまでは良好に高周波信号を遮断できることから、2.4GHzや5GHzを用いた無線LANや携帯端末での指向性制御に適している。
PINダイオードの実装は誘電体104裏面(下面)の地板102を一部切り欠き、その領域に表面実装によって設置し、PINダイオードの一端を地板102と接続し、他端を誘電体104を貫通するビアホールを介して第1の無給電素子108と接続するようにすればよい。PINダイオードのバイアスラインにはケーブル等を用いことができる。
また、第1のスイッチ110としては、例えばMEMSスイッチも使用できる。MEMSスイッチを用いた場合は100GHz程度までの高周波信号も良好に遮断でき、更に挿入ロスも小さいことから、より高い周波数、例えばサブミリ波〜ミリ波を対象とした指向性制御アンテナを構成することができる。
MEMSスイッチも表面実装によって誘電体104の下面に設置すればよい。また、第2の基板にMEMSスイッチ(第1のスイッチ)をバルクマイクロマシーンプロセスまたは表面マイクロマシンプロセスによって形成した後、誘電体104の下面に第2の基板を貼り付け、MEMSスイッチの一端を地板102と接続し、他端を誘電体104を貫通するビアホールを介して第1の無給電素子108と接続するようにしてもよい。このような方法を用いることにより、MEMSスイッチを駆動するバイアスラインを第2の基板上に形成できる。
尚、本実施例では、第1の無給電素子108の4つの頂点近傍の領域のうち、1箇所に地板102と短絡する第1のスイッチ110を設ける場合について説明した。しかし、1箇所に限定される必要はなく、第1の無給電素子108の4つの頂点近傍の領域のうち2〜4箇所に、第1の無給電素子108と地板102とを短絡する第1のスイッチ110を設けるようにしてもよい。第1のスイッチ110の数を多くすることにより、第1の無給電素子108に励起される電流をより効率的に抑制でき、ビームのチルト角を大きくできる。後述する実施例においても同様である。
また、ビームのチルト角は給電素子106と第1の無給電子108との間のピッチ、つまり給電素子106と第1の無給電子108との相互結合の大きさによっても制御することができる。したがって、アンテナに必要とされるビームのチルト角可変範囲にしたがって第1のスイッチ110の数や給電素子106と第1の無給電素子108のピッチを最適化すればよい。
また、本実施例においては、給電素子106と第1の無給電素子108との外形が略同一である場合について説明した。しかし、給電素子106のY方向の直線偏波によって第1の無給電素子108が励振できればよいので、同一である必要はない。
次に、本発明の第2の実施例にかかるアンテナ装置について、図2Aおよび図2Bを参照して説明する。図2Aは上面図、図2Bは図2AのA2−B2線における断面図を示す。
本実施例にかかるアンテナ装置100は、第1の実施例において説明したアンテナ装置と、給電素子上での給電点の位置が異なる。
本実施例にかかるアンテナ装置における給電点B116は給電素子106のY方向の辺の中点を通りY軸に垂直となる垂線上で、かつ給電素子106の入力インピーダンスが給電線の特性インピーダンス(通常は50Ω)と等しくなる点に設けられる。そのため、給電素子106はX方向で励振され、共振長はほぼW1となり、X方向の直線偏波を放射する。
本実施例においては、給電素子106に対して、E面の方向をX軸、H面の方向をY軸とし、X軸およびY軸と直交する方向をZ軸とする。
また、4個の第1の無給電素子108は給電素子106との相互結合によって、給電素子106から放射されるX方向の直線偏波を受けてX方向で励振され、給電素子106と同じ共振周波数を持つX方向の直線偏波を生じる。ここで、給電素子106と第1の無給電素子108との間のピッチは第1の実施例と同じく0.35λoである。したがって、第1の無給電素子108は、その電圧の位相が給電素子106の電圧の位相より遅れるため、導波器として働く。
本実施例では、X方向に励振される給電素子106に対して、E面およびH面に沿って対称に配置された4個の略矩形の第1の無給電素子108は、4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に第1の無給電素子108と地板102とを短絡する第1のスイッチ110が設けられる。したがって、第1のスイッチ110を導通状態にして第1の無給電素子108を地板102と短絡させることにより、短絡した第1の無給電素子108のX方向の電流は抑制される。そのため、X、Y方向の2次元で指向性の切り替えが可能である。
H面方向(Y方向)での指向性の切り替えでは、H面に沿って配列された2個の第1の無給電素子のうち一方の第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチを導通状態にして地板102と短絡し、他方のH面配列された第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチは遮断状態にして地板102を開放する。これにより、アンテナから放射されるビームは天頂(Z軸)からH面方向で短絡された第1の無給電素子108とは反対側へ10度〜15度傾く。
E面方向(X方向)の指向性の切り替えにおいても同様であり、E面に沿って配列された2個の第1の無給電素子のうち一方の第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチを導通状態にして地板102と短絡し、他方のE面に沿って配列された第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチは遮断状態にして地板102と開放することにより、ビームを天頂からE面方向で短絡された無給電素子とは反対側へ10度〜15度傾かせることができる。
尚、本実施例においても、第1の実施例と同様に指向性制御に関与しない配列の第1の無給電素子は第1のスイッチを導通して地板102と短絡させておけばよい。また、ビームのチルト角は給電素子106と第1の無給電子との間のピッチや1個の無給電素子106に設ける第1のスイッチの数によって制御することができる。
次に、本発明の第3の実施例にかかるアンテナ装置について、図3Aおよび図3Bを参照して説明する。図3Aは上面図、図1Bは図3AのA3−B3線における断面図を示す。
本実施例にかかるアンテナ装置は、円偏波に対応したアンテナ装置であり、第1および第2の実施例と給電素子上での給電点の位置が異なる。
本実施例にかかるアンテナ装置の給電点C118は給電素子106の対角線上でかつ給電素子106の入力インピーダンスが給電線の特性インピーダンス(通常は50Ω)と等しくなる点に設けられる。そのため、給電素子106はX、Y方向の2方向で同時に励振され、共振長はX方向でほぼW1、Y方向ではL1となる。ここで、W1とL1の長さの比を適切に選ぶことによりX方向のモードとY方向のモードでは位相差が90度となり円偏波を放射できる。
具体的にはX、Yの両辺が等しい正方形マイクロストリップアンテナの無負荷QをQoとした場合、L1<W1の場合は、式(1)とすることにより円偏波となる。
W1/L1=1+(1/Qo) (1)
なお、本実施例によれば、軸比が1からずれた楕円偏波についても同様に適用できる。
また、給電素子106と第1の無給電素子108との間のピッチは第1の実施例と同じく0.35λoであるため、4個の第1の無給電素子108は給電素子106との相互結合によって、給電素子106から放射される円偏波を構成するX方向、Y方向の2つのモードを受けてX、Y方向で同時に励振される。給電素子106の2つのモードの位相差は90度であるため第1の無給電素子106に励振される2つのモードの位相差もほぼ90度となり、給電素子106と同じ共振周波数で同一旋回方向の円偏波を生じる。尚、本実施例においてもピッチが0.35λoであるため、第1の無給電素子108は導波器として作用する。
また、本実施例においては、円偏波を放射する給電素子106に対してE面およびH面に沿って対称に配置された4個の略矩形の第1の無給電素子108は4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に地板102と短絡する第1のスイッチ110が設けられる。
第1のスイッチ110を導通状態にして第1の無給電素子108と地板102とを短絡させると、短絡させた第1の無給電素子108では地板102への短絡点、つまり導通状態の第1のスイッチ110が無給電素子108の頂点近傍の領域にあるためX方向、Y方向の2つのモードとも電流が抑制される。そのためX、Y方向の2次元で円偏波を実現しながら指向性の切り替えが可能である。
次に、指向性の制御について説明する。本実施例にかかるアンテナ装置における指向性制御も第1および第2の実施例と同様な方法を用いる。
Y方向での指向性の切り替えでは、Y方向に配列された2個の第1の無給電素子のうち一方の第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチ110を導通状態にして地板102と短絡し、他方のY方向に配列された第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチは遮断状態にして地板102と開放する。これにより、アンテナ100から放射されるビームは天頂(Z軸)からY方向で短絡させた第1の無給電素子とは反対側へ傾く。
X方向での指向性の切り替えにおいても同様であり、X方向に配列された2個の第1の無給電素子のうち、一方の第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチを導通状態にして地板102と短絡し、他方のX方向に配列された第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチは遮断状態にして地板102と開放することにより、ビームを天頂からX方向で短絡させた第1の無給電素子とは反対側へ傾かせることができる。
本実施例においても第1および第2の実施例と同様に、指向性の制御に関与しない配列の第1の無給電素子は第1のスイッチ110を導通させて地板102と短絡させておけばよい。
また、ビームのチルト角は給電素子106と第1の無給電素子108との間のピッチや1個の第1の無給電素子108に設ける第1のスイッチ110の数によって制御することができる。
以上述べたように給電素子106を中心として、E面およびH面に沿って対称に4個の略矩形の第1の無給電素子を配置し、かつ第1の無給電素子の4つの頂点近傍の領域のうち少なくとも1箇所に地板102と短絡させる第1のスイッチを設けることにより直線偏波と円偏波の両方で指向性の切り替えを実現できる。
次に、本発明の第4の実施例にかかるアンテナ装置について、図4Aおよび図4Bを参照して説明する。図4Aは上面図、図4Bは図4AのA4−B4線における断面図を示す。
本実施例にかかるアンテナ装置100は、地板102と、地板102の一主面に形成された誘電体104と、誘電体104に対し地板102とは反対の上面に形成された略矩形の給電素子106および給電素子106を取り囲むようにマトリックス状に配置された8個の略矩形の第1の無給電素子108と、第1の無給電素子108の4つの頂点近傍の領域のうち、1箇所に備えられ、第1の無給電素子108と地板102とを短絡する第1のスイッチ110とを備える。給電素子106に対して、E面の方向をY軸、H面の方向をX軸とし、X軸およびY軸と直交する方向をZ軸とする。
アンテナ装置の構成について詳細に説明する。
例えば比誘電率2.6のテフロン(登録商標)ガラスファイバー基板からなる誘電体104の下面に、例えばCu層からなる地板102が形成される。誘電体104の上面には、例えばCu層からなる略矩形の給電素子106および給電素子106を取り囲むようにマトリックス状に配置された8個の略矩形の第1の無給電素子108がX、Y方向ともピッチ0.4λo(λo:自由空間での共振長さ)で配置される。つまり給電素子106と第1の無給電素子108は給電素子106を中心にしてピッチ0.4λoの3×3マトリックス配置となる。
給電素子106および第1の無給電素子108は全てその形状が略同一であり、X方向の長さはW1、Y方向の長さはL1である。また、8個の第1の無給電素子108には4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に、例えばPINダイオードからなる第1のスイッチ110が設けられており、第1のスイッチ110が導通状態では第1の無給電素子108と地板102とが短絡され、第1のスイッチ110が遮断状態では第1の無給電素子108は地板102から開放される。
尚、8個の第1の無給電素子108に各々接続された8個の第1のスイッチ110は図示されていないバイアスラインによって個別に導通・遮断状態が選択できる。
次に、給電点および励振方向について説明する。
給電点A112は、給電素子106のX方向の辺の中点を通りX軸に垂直となる垂線上で、かつ給電素子106の入力インピーダンスが給電線の特性インピーダンス(通常は50Ω)と等しくなる点に設けられる。したがって、給電素子106はY方向で励振され、共振長はほぼL1となり、Y方向の直線偏波を放射する。
尚、給電点A112は第1〜第3の実施例と同様にアンテナ裏面から同軸線によって給電される。
8個の第1の無給電素子108は、給電素子106と0.4λoのピッチで配置される。このため、第1の無給電素子108と給電素子106とは、大きな相互結合が生じ、給電素子106から放射されるY方向の直線偏波を受けてY方向で励振され、給電素子106と同じ共振周波数を持つY方向の直線偏波を生じる。ピッチが0.4λoの場合、第1の無給電素子108の電圧は給電素子106の電圧よりも位相が遅れるため、第1の無給電素子108は導波器として作用する。
本実施例ではY方向に励振される給電素子に対して、8個の略矩形の第1の無給電素子108がE面およびH面に沿って対称に配置されており、かつ8個の第1の無給電素子108は4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に地板102と短絡する第1のスイッチ110が設けられているので、X、Y方向の2次元で第1の実施例よりも細かい方位角で指向性切り替えが可能である。
E面方向すなわちY方向と、H面方向すなわちX方向では、第1の実施例で述べた方法によって指向性切り替えが可能である。しかし、本実施例では給電素子106に対し45度方向で配列された1組の第1の無給電素子を用いることにより、45度方向での指向性切り替えが実現できる。
例えば、H面から方位角45度と225度に配列された1組の第1の無給電素子において、45度の第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチを導通状態にして地板102と短絡し、225度の第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチは遮断状態にして地板102と開放する。このようにすることにより、アンテナ装置から放射されるビームは天頂からH面を基準として225度方向、つまり短絡した第1の無給電素子とは反対側へ傾く。同様な方法によってビームを天頂(Z軸)からH面を基準として45°、135°、225°、315°方向へ傾かせることができる。
また、本実施例ではX方向、Y方向で隣接した2個の第1の無給電素子(無給電素子Aおよび無給電素子Bとする)と地板102とを短絡し、給電素子106を中心として、無給電素子Aおよび無給電素子Bとは対称の位置にある2個の第1の無給電素子(無給電素子Cおよび無給電素子Dとする)を地板102から開放することにより、ビームを無給電素子Cおよび無給電素子Dの間に傾かせることも可能である。
尚、本実施例においても第1〜第3の実施例と同様に指向性制御に関与しない配列の第1の無給電素子は第1のスイッチ110を導通して地板102と短絡させる。また、ビームのチルト角は給電素子106と第1の無給電素子108との間のピッチや1個の第1の無給電素子108に設ける第1のスイッチ110の数によって制御することができる。
以上のように、給電素子106を取り囲むように第1の無給電素子108をマトリックス状に配置することにより、X,Yの2次元でより細かい指向性制御が可能となる。その結果、所望の方向にアンテナの最大放射角をより向けやすくなり、良好な通信が可能となる。
尚、本実施例ではY方向の直線偏波に対応したアンテナについて説明したが、第2の実施例において説明したように給電素子のY方向の辺の中点を通りY軸に垂直となる垂線上で、かつアンテナの入力インピーダンスが給電線の特性インピーダンスと等しくなる位置に給電点を設けることによりX方向の直線偏波でX、Yの2次元でより細かい指向性制御が可能となる。
また、第3の実施例において説明したように給電素子106の対角線上で、かつアンテナの入力インピーダンスが給電線の特性インピーダンスと等しくなる位置に給電点を設け、更にX、Yの両辺が等しい正方形マイクロストリップアンテナの無負荷QをQoとした場合、L1<W1の場合は、上述した式(1)のようにすることにより、円偏波でX、Yの2次元でより細かい指向性制御が可能なアンテナを実現できる。
次に、本発明の第5の実施例にかかるアンテナ装置について、図5Aおよび図5Bを参照して説明する。図5Aは上面図、図5Bは図5AのA5−B5線における断面図を示す。
本実施例にかかるアンテナ100は、第1の実施例において説明したアンテナに、誘電体104の上面に、第1の無給電素子108に対して給電素子106とは反対側の外周に、例えばCu層からなる略矩形の第2の無給電素子120を、第1の無給電素子108に対して各々1個ずつ、計4個配置された構造である。
アンテナ装置の構造について詳細に説明する。
給電素子106と第1の無給電素子108との間のピッチ、第1の無給電素子108と第2の無給電素子120との間のピッチはいずれも0.35λo(λo:自由空間での共振長さ)であり、給電素子106を中心として対称に配置される。
また、給電素子106、第1の給電素子108、第2の給電素子120は、全ての形状が略同一であり、X方向の長さはW1、Y方向の長さはL1である。
本実施例においても第1の無給電素子108には4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に例えばPINダイオードからなる第1のスイッチ110が設けられており、第1のスイッチ110が導通状態では第1の無給電素子108と地板102とは短絡され、第1のスイッチ110が遮断状態では第1の無給電素子108は地板102から開放される。
尚、4個の第1の無給電素子108に各々接続された4個の第1のスイッチ110は図示されていないバイアスラインによって個別に導通・遮断状態が選択できる。
次に、給電点および励振方向について説明する。
給電点A112は、給電素子106のX方向の辺の中点を通りX軸に垂直となる垂線上で、かつ給電素子106の入力インピーダンスが給電線の特性インピーダンス(通常は50Ω)と等しくなる点に設けられる。したがって、給電素子106はY方向で励振され、共振長はほぼL1となり、Y方向の直線偏波を放射する。給電点A112はアンテナ裏面から同軸線によって給電される。
第1の無給電素子108と第2の無給電素子120との間は、0.35λoのピッチで配置されるため大きな相互結合が生じる。一方、給電素子106と第2の無給電素子120との間のピッチは0.70λoであるため大きな相互結合は生じない。そのため、第1の無給電素子108に設けられた第1のスイッチ110が地板102と遮断されて地板102から開放されている場合は、第1の無給電素子108は給電素子106から放射されるY方向の直線偏波を受けてY方向で励振され、給電素子106と同じ共振周波数を持つY方向の直線偏波を生じる。
また、地板102から開放されている第1の無給電素子に隣接した第2の無給電素子120は第1の無給電素子108から放射されるY方向の直線偏波を受けてY方向で励振され、給電素子106と第1の無給電素子108と同じ共振周波数を持つY方向の直線偏波を生じる。
ここで、第1の無給電素子108と第2の無給電素子120との間のピッチは0.35λoである。このため、第2の無給電素子120の電圧は第1の無給電素子108の電圧よりも位相が遅れ、第2の無給電素子120は第1の無給電素子108に対して導波器として作用する。したがって、給電素子106には導波器が2個配列された形となる。
一方、第1の無給電素子108に設けられた第1のスイッチ110が地板102と導通して地板102と短絡されている場合は、第1の無給電素子108は給電素子106から放射されるY方向の直線偏波を受けてもY方向の電流は抑制され、強度の小さなY方向の直線偏波しか放射されない。そのため、地板102と短絡している第1の無給電素子108に隣接した第2の無給電素子120に励起されるY方向の電流は非常に小さくなる。
よって、E面またはH面に沿って対称に配列された一対の第1の無給電素子108において、一方の第1の無給電素子108に形成された第1のスイッチ110を導通状態にし、他方の第1の無給電素子108に形成された第1のスイッチ110を遮断状態にすることにより、上記の2つの効果によって、第1の実施例において説明したアンテナよりもビームを天頂からより大きく傾けることができる。
指向性制御に関与しない配列の第1の無給電素子108は、本実施例においても第1のスイッチ110を導通させ地板102と短絡させておけばよい。本実施例ではE面、H面方向とも天頂から、例えば25°〜35°ビームを傾かせることができる。
以上のように本実施例にかかるアンテナ装置によれば、X、Yの2次元でより低角方向にアンテナの最大放射角を向けることができ、より良好な通信が可能となる。
また、本実施例にかかるアンテナ装置では、ビームのチルト角は第1の無給電素子108に設けられる第1のスイッチ110の数と、給電素子106と第1の無給電子108との間のピッチに加え、第1の無給電素子108と第2の無給電素子120との間のピッチ、つまり第1の無給電素子108と第2の無給電子120との相互結合の大きさによっても制御することができる。したがって、本実施例にかかるアンテナでは、アンテナに必要とされるビームのチルト角可変範囲にしたがって、第1のスイッチ110の数、給電素子106と第1の無給電素子108との間のピッチ、および第1の無給電素子108と第2の無給電素子120との間のピッチを最適化すればよい。
また、本実施例では、給電素子106、第1の無給電素子108、第2の無給電素子120の形状は全て略同一である場合について説明した。しかし、給電素子106のY方向の直線偏波によって第1の無給電素子108が励振され、第1の無給電素子108のY方向の直線偏波によって第2の無給電素子120が励振できればよいので、同一である必要はない。
尚、本実施例では、第1の実施例にかかるアンテナにおいて、第1の無給電素子108の外周に略矩形の第2の無給電素子120を1周配置する例について説明したが、1周に限定される必要はなく、第2の無給電素子120を複数周配置してもよい。その場合は給電素子106に更に多くの導波器が配置された構造を実現できるのでビームを天頂からより大きく傾けることが可能となる。
また、本実施例では給電素子106に対し第2の無給電素子120をX方向、Y方向で同じ個数配置した場合について説明したが、少なくとも4個の第1の無給電素子108のみで指向性切り替えは可能であり、第2の無給電素子120はその効果をエンハンスする機能を有する。したがって、第2の無給電素子120を給電素子106に対してX,Yの4方向で異なる個数配置してもよく、特定の方向は第2の無給電素子120を配置しなくても何ら構わない。
また、本実施例では第1の実施例にかかるアンテナ装置において、第1の無給電素子108の外周に略矩形の第2の無給電素子120を配置した例について説明したが、第2〜第4の実施例にかかるアンテナ装置においても第1の無給電素子108の外周に略矩形の第2の無給電素子120を配置することにより、ビームを天頂から更に大きく傾かせることができる。
次に、本発明の第6の実施例にかかるアンテナ装置について、図6Aおよび図6Bを参照して説明する。図6Aは上面図、図6Bは図6AのA6−B6線における断面図を示す。
本実施例にかかるアンテナは、第4の実施例にかかるアンテナ装置に、誘電体104の上面に第1の無給電素子108を取り囲むように、例えばCu層からなる16個の略矩形の第3の無給電素子122がマトリックス状に配置される。また、第3の無給電素子122の4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に地板102と短絡する第1のスイッチ110が設けられる。
アンテナ装置の構造について詳細に説明する。
隣接した素子、すなわち給電素子106、第1の無給電素子108、第3の無給電素子122のピッチはいずれも0.4λo(λo:自由空間での共振長さ)であり、給電素子106を8個の第1の無給電素子108が取り囲み、その外周を16個の第3の無給電素子122が取り囲み、全体で5×5のマトリックスを構成する。
給電素子106、第1の給電素子108、第3の給電素子122は全ての形状が略同一であり、X方向の長さはW1、Y方向の長さはL1である。本実施例においても第1の無給電素子108の4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に、例えばPINダイオードからなる第1のスイッチ110が設けられる。第1のスイッチ110が導通状態では第1の無給電素子108は地板102と短絡され、第1のスイッチ110が遮断状態では第1の無給電素子は地板102から開放される。
第3の無給電素子122は4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に、例えばPINダイオードからなる第1のスイッチ110が設けられる。第1のスイッチ110が導通状態では第3の無給電素子122は地板102と短絡され、第1のスイッチ110が遮断状態では第3の無給電素子122は地板102から開放される。また、16個の第3の無給電素子122に各々接続された16個の第1のスイッチ110は図示されていないバイアスラインによって個別に導通・遮断状態が選択できる。
次に、給電点および励振方向について説明する。
給電点A112は給電素子106のX方向の辺の中点を通りX軸に垂直となる垂線上で、かつ給電素子106の入力インピーダンスが給電線の特性インピーダンス(通常は50Ω)と等しくなる点に設けられる。よって、給電素子106はY方向で励振され、共振長はほぼL1となり、Y方向の直線偏波を放射する。尚、給電点A112は第1〜第5の実施例と同様にアンテナ裏面から同軸線によって給電される。
第1の無給電素子108と第3の無給電素子122との間は0.4λoのピッチで配置される。このため、第1の無給電素子108と第3の無給電素子122との間には大きな相互結合が生じる。一方、給電素子106と第3の無給電素子122との間のピッチは0.8λoであるため大きな相互結合は生じない。そのため、第1の無給電素子108に設けられた第1のスイッチ110が地板102と遮断されて地板102から開放されている場合、第1の無給電素子108は給電素子106から放射されるY方向の直線偏波を受けてY方向で励振され、給電素子106と同じ共振周波数を持つY方向の直線偏波を生じる。
更に、地板102から開放されている第1の無給電素子108に隣接した第3の無給電素子122(第3の無給電素子Aと略す)は、第1の無給電素子108から放射されるY方向の直線偏波を受けてY方向で励振される。ここで、第3の無給電素子Aに設けられている第1のスイッチ110を遮断状態にして、第3の無給電素子Aを地板102から開放すると、第3の無給電素子AはY方向の電流が抑制されないので、給電素子106と第1の無給電素子108とは同じ共振周波数を持つY方向の直線偏波を放射する。
また、第1の無給電素子108と第3の無給電素子122との間のピッチは0.4λoであるので、第3の無給電素子Aの電圧は第1の無給電素子108の電圧よりも位相が遅れ、第3の無給電素子Aは第1の無給電素子108に対して導波器として作用する。したがって、給電素子106には導波器が2個配列された形となる。
一方、第1の無給電素子108に設けられた第1のスイッチ110が地板102と導通して地板102と短絡されている場合は、第1の無給電素子108は給電素子106から放射されるY方向の直線偏波を受けてもY方向の電流が抑制されるため強度の小さなY方向の直線偏波しか放射されない。そのため、地板102と短絡している第1の無給電素子108に隣接した第3の無給電素子122(第3の無給電素子Bと略す)に励起されるY方向の電流は非常に小さくなる。
更に、第3の無給電素子Bに設けられている第1のスイッチ110を導通状態にして第3の無給電素子Bと地板102とを短絡させると、第3の無給電素子Bの短絡点が頂点近傍の領域にあるため第3の無給電素子Bに流れるY方向の電流は更に抑制される。
よって、誘電体104上に、給電素子106に対して、E面、H面、45°面に沿って対称に配列された一対の第1の無給電素子108と第3の無給電素子122において、一方の第1の無給電素子108と第3の無給電素子122の第1のスイッチ110を各々導通状態にし、他方の第1の無給電素子108と第3の無給電素子122の第1のスイッチ110を各々遮断状態にすることにより、上記の2つの効果によって第4の実施例において説明したアンテナよりもビームのチルト角を大きくできる。
また、地板102から開放されている第1の無給電素子108に隣接した第3の無給電素子Aの第1のスイッチ110を導通状態にして第3の無給電素子Aと地板102と短絡させると、第3の無給電素子Aに流れるY方向の電流は抑制されて第3の無給電素子122は導波器として機能しない。その結果、給電素子106には1個の導波器のみが配列された形となり、第4の実施例において説明したアンテナと同程度のチルト角となる。
以上のように本実施例にかかるアンテナ装置では給電素子106に対し、一方向で対称に配列された第1の無給電素子108および第3の無給電素子122の第1のスイッチ110の導通、遮断の組み合わせによって天頂方向からのビームのチルト角を制御できる。本実施例によればE面、H面方向、45°方向に沿って配置された第1の無給電素子108および第3の無給電素子122の第1のスイッチ110の導通、遮断の組み合わせによって、天頂から、例えば10°〜15°および25°〜35°の2領域でビームを傾かせることができる。
以上のように本実施例によれば、X、Yの2次元で、より低角方向にアンテナの最大放射角を向けることができる。またチルト角自体も制御可能となることから、所望の方向に最大放射角を更に向けやすくなり、更に良好な通信が可能となる。
また、本実施例においてはビームのチルト角は第1の無給電素子108に設ける第1のスイッチ110の数、給電素子106と第1の無給電素子108との間のピッチに加え、第1の無給電素子108と第3の無給電素子122と間のピッチ、つまり第1の無給電素子108と第3の無給電子122との相互結合の大きさおよび第3の無給電素子122に設ける第1のスイッチの数によって制御することができる。したがって、アンテナ装置に必要とされるビームのチルト角可変範囲にしたがって、第1のスイッチ110の数、給電素子106と第1の無給電素子108との間のピッチ、および第1の無給電素子108と第3の無給電素子122との間のピッチを最適化すればよい。
また、本実施例では、給電素子106、第1の無給電素子108、第3の無給電素子122の形状は全て略同一とした場合について説明した。しかし、給電素子106のY方向の直線偏波によって第1の無給電素子108が励振され、第1の無給電素子108のY方向の直線偏波によって第3の無給電素子122が励振できればよいので同一である必要はない。
また、本実施例では、第4の実施例にかかるアンテナ装置において、第1の無給電素子108の外周に略矩形の第3の無給電素子122を1周配置した例について説明したが、第3の無給電素子122が第1の無給電素子108を取り囲んでマトリックス状に配置されていれば良く、第3の無給電素子122を複数周配置するようにしてもよい。その場合は、給電素子106に更に多くの導波器が配置された構造を実現でき、ビームを天頂からより大きく傾けることができる。加えて第3の無給電素子122の導通,遮断の組み合わせによってチルト角を広い範囲で制御できる。
また、本実施例では給電素子106に対して、第3の無給電素子122をX方向、Y方向で同じ個数配置した場合について説明したが、少なくとも4個の第1の無給電素子108のみで指向性の切り替えは可能であり、第3の無給電素子122はその効果をエンハンスする機能を有する。したがって、第3の無給電素子122を給電素子106に対してX方向、Y方向に配置される第3の無給電素子122の4方向で異なる個数配置するようにしてもよい。
また、本実施例では、Y方向の直線偏波に対応したアンテナ装置を例にして説明したが、第4の実施例と同様な構造によってX方向の直線偏波や円偏波に対応したアンテナについても、本実施例のアンテナ装置を適用することによりX方向、Y方向の2次元でより低角方向にアンテナ装置の最大放射角を向けることができる。またチルト角自体も制御可能である。
次に、本発明の第7の実施例にかかるアンテナ装置について、図7Aおよび図7Bを参照して説明する。図7Aは上面図、図7Bは図7AのA7−B7線における断面図を示す。
本実施例にかかるアンテナ装置100は、地板102と、地板102の一主面に形成された誘電体104と、誘電体104に対し地板102とは反対の上面に形成された略矩形の給電素子106および給電素子106に対しE面およびH面に沿って対称に配置された4個の略矩形の第1の無給電素子108と、第1の無給電素子108に対し給電素子106とは反対側の外周に各々1個ずつ配置された略矩形の第2の無給電素子12とを備える。
また、第1の無給電素子108の4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に、第1の無給電素子108と地板102とを短絡する第1のスイッチ110が設けられ、更に、給電素子106上には給電素子106の直交する2辺、つまりX方向およびY方向の中点を通り、それぞれX軸およびY軸に垂直となる垂線上と、給電素子106の対角線上の3箇所に給電点(給電点A、給電点Bおよび給電点C)があり、給電点は第2のスイッチ126によって切り替えられる。
アンテナの構成について、詳細に説明する。
例えば、比誘電率4.25のガラスからなる誘電体104の下面にCu層からなる地板102が形成される。地板102の下には、例えばアルミナからなる第2の基板124が積層される。誘電体104の上面には、例えばCu層からなる略矩形の給電素子106および給電素子106に対してE面およびH面に沿って対称に4個の略矩形の第1の無給電素子108がピッチ0.35λo(λo:自由空間での共振長さ)で配置され、更に第1の無給電素子108の外周には各々1個ずつ略矩形の第2の無給電素子120がピッチ0.35λo(λo:自由空間での共振長さ)で配置される。
給電素子106、第1の無給電素子108、第2の無給電素子120は全て形状が略同一であり、X方向の長さはW1、Y方向の長さはL1であり、更にX、Yの両辺が等しい正方形マイクロストリップアンテナの無負荷QをQoとした場合、L1<W1の場合は、上述した式(1)となる。
また、各々の第1の無給電素子108には4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に、例えばMEMSスイッチからなる第1のスイッチ110が設けられる。第1のスイッチ110が導通状態では第1の無給電素子108は地板102と短絡され、第1のスイッチ110が遮断状態では第1の無給電素子108は地板102から開放される。
第1のスイッチ110は、可動電極、固定電極、可動電極に接続されたヒンジ、バイアスラインから構成される。第1のスイッチ110の可動電極にバイアスラインからバイアスが印加されると可動電極と固定電極間に静電引力が生じ、可動電極が下方に動いて第1の無給電素子108に設けられたビアと地板102に接触し、第1の無給電素子108を短絡させる。また、可動電極のバイアスを遮断すると可動・固定電極間の静電引力が無くなり、可動電極はヒンジの剛性によって元に戻り、ビアと地板102から遮断され、第1の無給電素子108を地板102から開放する。尚、4個の第1の無給電素子108に各々接続された4個の第1のスイッチ110は個別に導通・遮断状態が選択できる。
また、給電素子106のX方向の辺の中点を通り、X軸に垂直となる垂線上で、かつアンテナの入力インピーダンスが給電線の特性インピーダンス(通常は50Ω)と等しくなる位置には給電点A112が形成される。また、給電素子106のY方向の辺の中点を通り、Y軸に垂直となる垂線上で、かつアンテナの入力インピーダンスが給電線の特性インピーダンス(通常は50Ω)と等しくなる位置には給電点B116が形成される。また、給電素子106の対角線上で、かつアンテナの入力インピーダンスが給電線の特性インピーダンス(通常は50Ω)と等しくなる位置には給電点C118が形成される。
給電点A、給電点Bおよび給電点Cは、誘電体104と第2の基板124を貫通したビアを介して第2の基板上に形成された第2のスイッチ126に各々接続され、第2の基板上に形成されたマイクロストリップ線からなる給電線128によって給電される。
第2のスイッチ126も、例えばMEMSスイッチから構成され、上部電極132と、下部電極130と、上部電極132に接続されたヒンジと、バイアスラインとから構成され、上部電極132はヒンジによって可動して給電点を切り替える。第2のスイッチ126の上部電極132にバイアスラインからバイアスが印加されると上部電極132と下部電極130間に静電引力が生じ、上部電極132が上方に動いて給電線と接触し、所望の給電点を選択できる。また、上部電極132のバイアスを遮断すると上下電極間の静電引力が無くなり、上部電極132はヒンジの剛性によって下方へ動き、給電線と遮断される。その場合は別の給電点に接続された別の第2のスイッチを導通状態にすることにより別の給電点を選択できる。
次に、本実施例にかかるアンテナ装置の動作を説明する。
給電点A112に接続された第2のスイッチ126のみを導通し、他の2個の第2のスイッチを遮断状態にして給電点A112を選択すると、給電点A112はX方向の辺の中点を通りX軸に垂直となる垂線上にあるので、給電素子106はY方向の直線偏波を放射する。
ここで、給電素子106の回りにはE面、H面に沿って対称に4つの第1の無給電素子108が配置され、第1の無給電素子108の外周には第2の無給電素子120が配置され、かつ第1の無給電素子108には4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に地板102と短絡する第1のスイッチ110が設けられる。
したがって、第5の実施例において説明したようにE面あるいはH面に沿って対称に配置された一対の第1の無給電素子108において、一方の第1の無給電素子108に設けられた第1のスイッチを導通して第1の無給電素子108を地板102と短絡し、他方の第1の無給電素子108に設けられた第1のスイッチ110を遮断して第1の無給電素子108を地板102から開放することによって、X方向、Y方向の2次元でビームの切り替えができる。
また、給電点B116に接続された第2のスイッチ126のみを導通し、他の2個の第2のスイッチを遮断状態にして給電点B116を選択すると、給電点BはY方向の辺の中点を通りY軸に垂直となる垂線上にあるので、給電素子106はX方向の直線偏波を放射する。ここで給電素子106の回りにはE面、H面に沿って対称に4つの第1の無給電素子が配置され、第1の無給電素子108の外周には第2の無給電素子12が配置され、かつ第1の無給電素子108には4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に地板102と短絡する第1のスイッチ110が設けられているので、上述した実施例と同様にE面あるいはH面に沿って対称に配置された一対の第1の無給電素子108の第1のスイッチ110の導通、遮断の組み合わせによって、X方向の直線偏波でもX方向、Y方向の2次元でビームの切り替えができる。
また、給電点C118に接続された第2のスイッチ126のみを導通し、他の2個の第2のスイッチを遮断状態にして給電点C118を選択すると、給電点C118は給電素子106の対角線上にあり、かつ給電素子106のX、Y方向の辺が、上述した式(1)を満足しているので、給電素子は円偏波を放射する。
ここで、給電素子106の回りにはE面、H面に沿って対称に4つの第1の無給電素子108が配置され、第1の無給電素子108の外周には第2の無給電素子が配置され、かつ第1の無給電素子108には4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に地板102と短絡する第1のスイッチ110が設けられているので、上述した実施例と同様にE面あるいはH面に沿って対称に配置された一対の第1の無給電素子の第1のスイッチの導通、遮断の組み合わせによって、円偏波においてもX、Yの2次元でビームの切り替えができる。
以上のように本実施例にかかるアンテナ装置によれば、偏波切り替えと指向性切り替えの2つの機能が可能となる。
また、本実施例では第2のスイッチ126として、例えばMEMSスイッチを用いている。MEMSスイッチは100GHz程度までの高周波信号を良好に遮断できる。更に、MEMSスイッチは、挿入ロスも小さいことから、高い周波数,例えばサブミリ波〜ミリ波を対象とした偏波切り替えに対応でき、指向性制御アンテナを構成することができる。
また、第2のスイッチ110としては、例えばPINダイオードも使用できる。PINダイオードは安価なチップ部品が入手でき、かつ20GHzまでは良好にRF信号を遮断できることから、2.4GHzや5GHzを用いた無線LANや携帯端末での偏波切り替えに対応でき、指向性制御アンテナに適している。
本実施例においては第2のスイッチ126は誘電体104の下層に積層された第2の基板124に形成される。そのため、第2のスイッチ126を駆動するバイアスラインを第2の基板上に形成できる。
また、一般にMEMSスイッチやPINダイオードは1mm□以下の大きさである。一方、マイクロストリップアンテナは60GHzのミリ波に対応するとした場合、誘電体104の比誘電率が4.25の時はほぼ1mm□となり、X方向、Y方向の2次元で指向性の制御を行うためには少なくとも3mm□程度が必要である。したがって、本実施例にかかるアンテナ装置では、第2の基板上において給電素子106と第1の無給電素子108の占有面積に相当するエリア内に第2のスイッチ126を全て集積することができる。
第2の基板の比誘電率を大きくして波長短縮を大きくすれば給電素子106と第1の無給電素子108の大きさも小さくなるが、アンテナの放射効率も同時に低下するため好ましくなく、アンテナアレイの縮小には限界があり、第2の基板124に形成される第2のスイッチ126が占有する面積がアンテナアレイの占有面積から著しく大きくなることはない。
以上のように本実施例では誘電体104に給電素子106、第1の無給電素子108、第2の無給電素子120が形成され、第2の基板124には第2のスイッチ126が形成され、誘電体104と第2の基板124は積層される。したがって、誘電体104の面積でアンテナモジュールの面積がほぼ決まり、アンテナモジュールを小型化できる。
尚、本実施例では2つの直線偏波と円偏波の切り替えが可能な指向性制御アンテナを例にして説明したが、3つの偏波全てに対応できる必要はなく給電素子106の直交する2辺をX軸およびY軸とした場合、この2辺の各中点を通り、それぞれX軸およびY軸に垂直となる垂線上と、対角線上の3箇所のうち2箇所に給電点を設け、第2のスイッチ126によって2個の給電点を切り替えて2つの偏波に対応させるようにしてもよい。
また、第1〜第3の実施例にかかるアンテナ装置に給電素子の直交する2辺の各中点を通り、それぞれX軸およびY軸に垂直となる垂線上と、対角線上の3箇所のうち少なくとも2箇所に給電点を設け、給電点を第2のスイッチ126によって切り替えるようにしてもよい。
本実施例においても、ビームのチルト角は第1の無給電素子108に設ける第1のスイッチ110の数と、給電素子106と第1の無給電素子との間のピッチと、第1の無給電素子108と第2の無給電素子120との間のピッチとによって制御することができる。したがって、アンテナ装置に必要とされるビームのチルト角の可変範囲にしたがって、第1のスイッチ110の数、給電素子106と第1の無給電素子108との間のピッチ、および第1の無給電素子108と第2の無給電素子120との間のピッチを最適化すればよい。
また、本実施例では給電素子106、第1の無給電素子108、第2の無給電素子120の形状は全て略同一とした場合について説明したが、給電素子106によって第1の無給電素子108が励振され、第1の無給電素子108によって第2の無給電素子120が励振できればよいので、同一である必要はない。
次に、本発明の第8に実施例にかかる指向性制御アンテナについて、図8Aおよび図8Bを参照して説明する。図8Aは上面図、図8Bは図8AのA8−B8線における断面図を示す。
本実施例にかかるアンテナ装置は、地板102と、地板102の一主面に形成された誘電体104と、誘電体104に対し地板102とは反対側の上面に形成された略矩形の給電素子106および給電素子106を取り囲みマトリックス状に配置された8個の略矩形の第1の無給電素子108とを備える。
また、第1の無給電素子108は4つの頂点近傍の領域のうち1箇所には地板102と短絡する第1のスイッチ110が設けられる。更に、給電素子106上には給電素子106の直交する2辺、つまりX方向およびY方向の各中点を通り、それぞれX軸およびY軸に垂直となる垂線上と、対角線上の3箇所に給電点(給電点A、BおよびC)を備え、給電点は第2のスイッチ126によって切り替えることができる。
アンテナ装置の構成について、詳細に説明する。
例えば、比誘電率2.6のテフロン(登録商標)ガラスファイバー基板からなる誘電体104の下面に、たとえばCu層からなる地板102が形成され、地板102に対して誘電体104とは反対の下面には、例えば石英からなる第2の基板124が積層される。誘電体104の上面には、例えばCu層からなる略矩形の給電素子106および給電素子106を取り囲みマトリックス状に配置された8個の略矩形の第1の無給電素子108がX、Y方向ともピッチ0.4λo(λo:自由空間での共振長さ)で配置される。
つまり、給電素子106と第1の無給電素子108は給電素子106を中心にしてピッチ0.4λoの3×3マトリックス配置となる。給電素子106および第1の無給電素子108は全て形状が略同一であり、X方向の長さはW1、Y方向の長さはL1である。更に、X方向、Y方向の両辺が等しい正方形マイクロストリップアンテナの無負荷QをQoとした場合、L1<W1の場合は、上述した式(1)となる。
また、8個の第1の無給電素子108には、4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に、例えばPINダイオードからなる第1のスイッチ110が設けられる。第1のスイッチ110が導通状態では第1の無給電素子108は地板102と短絡され、第1のスイッチ110が遮断状態では第1の無給電素子108は地板102から開放される。
また、8個の第1の無給電素子108に各々接続された8個の第1のスイッチ110は図示されていないバイアスラインによって個別に導通・遮断状態が選択できる。
更に、給電素子106のX方向の辺の中点を通りX軸に垂直となる垂線上で、かつアンテナの入力インピーダンスが給電線の特性インピーダンス(通常は50Ω)と等しくなる位置には給電点A112が形成される。また、給電素子106のY方向の辺の中点を通りY軸に垂直となる垂線上で、かつアンテナの入力インピーダンスが給電線の特性インピーダンス(通常は50Ω)と等しくなる位置には給電点B116が形成される。
また、給電素子106の対角線上で、かつアンテナの入力インピーダンスが給電線の特性インピーダンス(通常は50Ω)と等しくなる位置には給電点C118が形成される。
給電点A、給電点Bおよび給電点Cは、誘電体104と第2の基板124を貫通したビアを介して第2の基板上に形成された第2のスイッチ126に各々接続され、第2の基板上に形成されたマイクロストリップ線からなる給電線128によって給電される。
第2のスイッチは、例えばMEMSスイッチから構成され、上部電極132と、下部電極130と、上部電極132に接続されたヒンジと、バイアスラインとから構成され、上部電極132はヒンジによって可動して給電点を切り替える。
次に本実施例にかかるアンテナ装置の動作を説明する。
給電点A112に接続された第2のスイッチ126のみを導通し、他の2個の第2のスイッチを遮断状態にして給電点A112を選択すると、給電点A112はX方向の辺の中点を通りX軸に垂直となる垂線上にあるので、給電素子106はY方向の直線偏波を放射する。
ここで、給電素子106の回りには8個の第1の無給電素子108がマトリックス状に配置され、第1の無給電素子108には4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に地板102と短絡する第1のスイッチ110が設けられる。したがって、第4の実施例において説明したように、一方向で対称に配置された一対の第1の無給電素子108において、一方の第1の無給電素子108の第1のスイッチ110を導通して第1の無給電素子108を地板102と短絡し、他方の第1の無給電素子108の第1のスイッチ110を遮断して第1の無給電素子108を地板102から開放することによって、X方向、Y方向の2次元でビームの切り替えができる。
また、給電点B116に接続された第2のスイッチ126のみを導通し、他の2個の第2のスイッチ126を遮断状態にして給電点B116を選択すると、給電点B116はY方向の辺の中点を通りY軸に垂直となる垂線上にあるので、給電素子106はX方向の直線偏波を放射する。
ここで、給電素子106の回りには8個の第1の無給電素子108がマトリックス状に配置され、第1の無給電素子108には4つの頂点近傍の領域うち1箇所に地板102と短絡する第1のスイッチ110が設けられる。したがって、一方向で対称に配置された一対の第1の無給電素子108の第1のスイッチ110の導通、遮断の組み合わせによって、X方向の直線偏波でもX方向、Y方向の2次元で指向性切り替えを行うことができる。
また、給電点C118に接続された第2のスイッチ126のみを導通し、他の2個の第2のスイッチ126を遮断状態にして給電点C118を選択すると、給電点C118は給電素子106の対角線上にあり、かつ給電素子106のX方向、Y方向の辺が、上述した式(1)を満足しているので、給電素子は円偏波を放射する。
ここで、給電素子106の回りには8個の第1の無給電素子108がマトリックス状に配置されており、第1の無給電素子108には4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に地板102と短絡する第1のスイッチ110が設けられている。したがって、一方向で対称に配置された一対の第1の無給電素子108の第1のスイッチ110の導通、遮断の組み合わせによって、円偏波でもX方向、Y方向の2次元で指向性切り替えを実現できる。
以上のように本実施例にかかるアンテナ装置によれば、偏波切り替えと指向性制御の2つの機能が可能となる。更に、X方向、Y方向の2次元での方位角は第7の実施例よりも細かく設定できる。
尚、本実施例では2つの直線偏波と円偏波の切り替えが可能なアンテナ装置を例にして説明したが、3つの偏波全てに対応できる必要はなく、給電素子106の直交する2辺をX軸およびY軸とした場合において、これら2辺の各中点を通り、それぞれX軸およびY軸に垂直となる垂線上と、対角線上の3箇所のうち2箇所に給電点を設け、第2のスイッチ126によって2個の給電点を切り替えて2つの偏波に対応するアンテナを構成するようにしてもよい。更に、第6の実施例にかかるアンテナ装置に、給電素子106の直交する2辺の各中点を通り、それぞれX軸およびY軸に垂直となる垂線上と、対角線上の3箇所のうち少なくとも2箇所に給電点を設け、給電点を第2のスイッチによって切り替えるようにしてもよい。
尚、本実施例においても、ビームのチルト角は第1の無給電素子108に設ける第1のスイッチ110の数と、給電素子106と第1の無給電子108との間のピッチによって制御することができる。したがって、アンテナに必要とされるビームのチルト角可変範囲にしたがって、第1のスイッチ110の数、給電素子106と第1の無給電素子108との間のピッチを最適化すれよい。また、本実施例では給電素子106および第1の無給電素子108の形状は全て略同一である場合について説明したが、給電素子106によって第1の無給電素子108が励振できればよいので、同一である必要はない。
次に、本発明の第9の実施例にかかるアンテナ装置について、図9Aおよび図9Bを参照して説明する。図9Aは上面図、図9Bは図9AのA9−B9線におけるの断面図を示す。
本実施例にかかるアンテナ装置100は、地板102と、地板102の一主面に形成された誘電体104と、誘電体104に対し地板102とは反対の上面に形成された略矩形の給電素子106および給電素子106を取り囲むようにマトリックス状に配置された8個の略矩形の第1の無給電素子108と、第1の無給電素子108を取り囲むようにマトリックス状に配置された略矩形の複数の第3の無給電素子122とを備える。
また、第1の無給電素子108および第3の無給電素子122の4つの頂点近傍の領域のうち1箇所には地板102と短絡する第1のスイッチ110が設けられる。更に、給電素子106、第1の無給電素子108および第3の無給電素子122は隣接する2辺が第3のスイッチ136によって接続され、第3のスイッチ136の導通、遮断の組み合わせによって複数の共振長をもつ矩形の放射素子を形成する。また、給電素子106に形成される給電点A112は図示されていない切り替えスイッチを介して整合回路134に接続される。
アンテナ装置の構成について詳細に説明する。
例えば、比誘電率3.9の石英からなる誘電体104の下面に、例えばCu層からなる地板102が形成され、誘電体104の上面には、例えばCu層からなる略矩形の給電素子106および給電素子106を取り囲むように8個の略矩形の第1の無給電素子108がピッチ0.40λo(λo:自由空間での共振長さ)でマトリックス状に配置される。また、誘電体104の上面には、第1の無給電素子108を取り囲むように72個の略矩形の第3の無給電素子122がピッチ0.40λo(λo:自由空間での共振長さ)でマトリックス状に配置される。したがって、誘電体104の上面には、9×9のアンテナアレイが構成される。
給電素子106、第1の無給電素子108および第3の無給電素子122は全て形状が略同一であり、X方向の長さはW1、Y方向の長さはL1である。
また、第1無給電素子108および第3の無給電素子122は、4つの頂点近傍のうち1箇所に、例えばPINダイオードからなる第1のスイッチが設けられる。第1のスイッチ110が導通状態では第1の無給電素子108と地板102とが短絡され、第1のスイッチ110が遮断状態では第1の無給電素子108は地板102から開放される。尚、各々の第1および第3の無給電素子に接続された80個の第1のスイッチ110は図示されていないバイアスラインによって個別に導通・遮断状態が選択できるようになっている。
また、給電素子106、第1の無給電素子108および第3の無給電素子122の間には、例えばMEMSスイッチからなる第3のスイッチ136が設けられている。第3のスイッチ136の拡大図を図10に示す。第3のスイッチ136は上部電極132と、下部電極130と、上部電極132と接続されたヒンジと、バイアスラインとから構成される。上部電極132はヒンジによって可動できる構造を持ち、給電素子106、第1の無給電素子108および第3の無給電素子122は、第3のスイッチ136によって各々接続できる。
具体的に説明する。
第3のスイッチ136の上部電極132にバイアスラインからバイアスが印加されると上部電極132と下部電極130との間に静電引力が生じる。その結果、上部電極132が下方に動いて2つの素子(給電素子106、第1の無給電素子108、第3の無給電素子122)と接触し、隣接した素子間は導通状態となる。
一方、上部電極132のバイアスを遮断すると上下電極間の静電引力が無くなり、上部電極132はヒンジの剛性によって上方へ動き、2つの素子と遮断されて隣接した素子間は遮断状態となる。尚、144個の第3のスイッチ136は形状が全て略同一で、誘電体104上に形成される。
また、給電点A112は給電素子106のX方向の辺の中点を通りX軸に垂直となる垂線上で給電素子106の入力インピーダンスが給電線の特性インピーダンス(通常は50Ω)と等しくなる点に設けられる。また、給電点は誘電体104と石英からなる第2の基板124を貫通したビアを通り、第2の基板124上に形成された図示されていない切り替えスイッチを介して整合回路134に接続されてアンテナを励振する構造となっている。尚、整合回路134は、例えばスパイラルインダクタとキャパシタとをπ型に組み合わせた回路から構成される。
次に、多周波に対応しながら指向性制御を行う場合の動作について説明する。
本実施例にかかるアンテナ装置では、1個の給電素子106と、8個の第1の無給電素子108と、72個の第3の無給電素子122とが9×9個のマトリックス状に配置される。更に、給電素子106、第1の無給電素子108および第3の無給電素子122は、隣接する2辺が第3のスイッチによって接続される。そのため、第3のスイッチ136の導通/遮断の組み合わせによって放射素子の共振長を変化させることができる。
高周波へ対応する場合の第3のスイッチ136の導通/遮断の組み合わせを、図11を参照して説明する。
例えば、9×9のアンテナアレイにおいて、第3のスイッチ136を全て遮断して給電素子106と、第1および第3の無給電素子とを分離すると、給電点によって直接励振される素子は給電素子106のみとなる。この場合の放射素子を放射素子Aとする(図中の実線で囲まれた素子)。放射素子Aでは、給電点AはX方向の辺の中点を通りX軸に垂直となる垂線上に配置されるため、励振方向はY方向となる。給電素子106のY方向の辺の長さをL1とすると、概ねL1を半波長とする周波数fで共振する。実際には漏れ電界によるフリンジング長さによって共振長は若干長くなる。
ここで、放射素子Aの周辺には、放射素子Aと共振長が同じ第1の無給電素子108と、第3の無給電素子122とが素子間ピッチ0.40λoでマトリックス状に配置されている。第1の無給電素子108および第3の無給電素子122の4つの頂点近傍の領域のうち1箇所には地板102と短絡する第1のスイッチ110が設けられている。したがって、第6の実施例と同様に第1のスイッチ110によって第1の無給電素子108や第3の無給電素子122を地板102と短絡または開放することによって、高周波対応の場合はX方向、Y方向の2次元で指向性を切り替えることができる。
低周波へ対応する場合の第3のスイッチ136の導通/遮断の組み合わせを、図12を参照して説明する。給電素子106と8個の第1の無給電素子108との間にある第3のスイッチ136を導通させると、給電点A112によって直接励振される素子は給電素子106と8個の第1の無給電素子108によって形成される略矩形の放射素子B(図中の実線で囲まれた領域)となる。ここで、給電点A112は給電素子106に対しX方向の辺の中点を通りX軸に垂直である垂線上に配置されている。
したがって、放射素子Bに対してもX方向の辺の中点を通りX軸に垂直である垂線上に配置されることになり、放射素子Bも励振方向はY方向となる。放射素子BのY方向の辺の長さをL2とすると、概ねL2を半波長とする周波数f´で共振する。ここで、L2は3×L1よりも大きいためf´はfの1/3以下となる。したがって、本実施例にかかるアンテナ装置では第3のスイッチ136の導通/遮断の組み合わせによって、2周波で共振可能となり、2周波対応アンテナを実現できる。尚、共振周波数f´は厳密にはフリンジ効果や第3のスイッチ136で囲まれた空隙による影響も考慮する必要がある。
また、放射素子Bの周辺には72個の第3の無給電素子122がマトリックス状に配置されており、第3の無給電素子122も第3のスイッチ136によって接続できる構造となっている。よって、第3のスイッチ136によって第3の無給電素子122を3×3個づつ接続する。つまり、放射素子Bと同じ共振長L2を持つように接続すると、放射素子Bを取り囲むように放射素子Bと同じ共振周波数f´を持つ無給電素子(無給電素子Bと記述、図中の一点鎖線で囲まれた領域)をマトリックス状に配置することができる。無給電素子Bは9個の第3の無給電素子122を接続しているので、素子内には地板102と短絡する第1のスイッチ110が9個設けられる。
次に、素子間のピッチについて説明する。
共振周波数f´での自由空間での波長をλo´、第3のスイッチ幅をLsとすると、高周波対応の場合での第3の無給電素子122の素子間ピッチdおよび低周波対応での放射素子Bと無給電素子Bの素子間ピッチd´は、式(2)、式(3)となる。
d=(L1+Ls)/λo=0.40 (2)
d´=(L2+Ls)/λo´
=(3L1+3Ls)/λo´=3×0.40(λo/λo´) (3)
ここで、共振周波数f´は高周波対応での共振周波数fの1/3以下であることからλo´はλoの3倍以上となり、d´は0.40λo´より若干小さくなり放射素子Bと無給電素子B´には大きな相互結合が生じ、放射素子Bが励振されると無給電素子Bにも大きな電圧が励起される。
よって、無給電素子Bにある第1のスイッチ110を地板102と短絡または開放することによって、放射素子BもX方向、Y方向の2次元で指向性を切り替えることができる。
尚、本実施例の9×9アンテナアレイはマイクロストリップアンテナの構造であるため、低姿勢であり、マイクロストリップ線路やコプレナー線路等の不平衡電流で励振できるため、バランが必要なく構造が簡単である。また、形状の同じ給電素子と無給電素子とを接続して矩形の放射素子を形成するため、比較的離れた周波数帯に対応する多周波アンテナを実現できる。
次に、9×9アンテナアレイの入力インピーダンスについて説明する。矩形のマイクロストリップアンテナの入力インピーダンスは近似式から求めることができ、図13に示すように、共振方向の辺の長をL、共振方向と直交する辺の長さをW、給電点のインセット位置をLi´、誘電体の比誘電率をεr、アンテナ端での入力インピーダンスをRa、インセット給電での入力インピーダンスをRinとすると、式(4)、式(5)のように記述される。
Ra=90(εr)/(εr−1)(L/W) (4)
Rin=Ra{cos(π/L×Li´)} (5)
上記の式で判るように矩形のマイクロストリップアンテナではアンテナ端での入力インピーダンスRaは(L/W)に比例し、インセット給電での入力インピーダンスRinは(Li´/L)に影響される。
本実施例にかかるアンテナアレイでは高周波で共振した場合(図11)と低周波で共振した場合で(Li´/L)が大きく異なるため、同等の入力インピーダンスにならない。また、本実施例のアンテナ装置100では給電素子の入力インピーダンスを給電線の特性インピーダンスに合わせているため、低周波で動作させるとアンテナの入力インピーダンスは給電線の特性インピーダンスと大きくずれ、大きな反射が生じる。
本実施例では給電点は切り替えスイッチを介して整合回路134に接続される。整合回路134は、例えばスパイラルインダクタとキャパシタとをπ型に組み合わせた回路により構成され、9×9アンテナアレイを低周波で動作させた場合の入力インピーダンスを50Ωに整合するように素子定数を決めている。
9×9アンテナアレイを低周波で動作させた場合、切り替えスイッチによってアンテナアレイは整合回路134に接続され、アンテナアレイの入力インピーダンスは給電線の特性インピーダンス(50Ω)に整合されて反射が抑制される。
一方、9×9アンテナアレイを高周波で動作させた場合、切り替えスイッチによってアンテナアレイは直接給電線に接続される。高周波でのアンテナアレイの入力インピーダンスは給電素子106の入力インピーダンスとほぼ等しいので、アンテナアレイの入力インピーダンスは給電線の特性インピーダンスとほぼ一致して反射が抑制され、両方の周波数で整合を取ることができる。
以上のように、給電素子106、第1の無給電素子108および第3の無給電素子122の隣接する2辺を第3のスイッチによって接続し、第3のスイッチの導通、遮断の組み合わせによって2個の共振長をもつ矩形の放射素子を形成できる構造にすることにより、2周波に対応しながら指向性制御が可能となる。
また、給電点を切り替えスイッチを介して整合回路134に接続する構造にし、整合回路134の素子定数を適切に選択することにより、高周波と低周波で動作させた両方において反射を抑制できる。
尚、本実施例ではπ型の整合回路を用いる場合について説明したが、整合回路としては、例えばT型整合回路、L型整合回路でも良く、λ/4変成器や移相器とインダクタ、キャパシタの組み合わせでもよく、一般的に使用されている整合回路が使用できる。
また、本実施例では第3のスイッチにMEMSスイッチを用いた場合について説明した。MEMSスイッチは、100GHz程度までの高周波信号を良好に遮断できる。更に、MEMSスイッチは、挿入ロスも小さいことから、高い周波数、例えばサブミリ波〜ミリ波を対象とした多周波対応・指向性制御アンテナを構成することができる。
また、第3のスイッチとしては、例えばPINダイオードも使用できる。PINダイオードは安価なチップ部品が入手でき、かつ20GHzまでは良好にRF信号を遮断できることから、2.4GHzや5GHzの無線LANでの複数規格に対応する指向性制御アンテナに適している。
また、本実施例においては、ビームのチルト角は第1のスイッチ110の数、給電素子110と第1の無給電子108との間のピッチ、第1の無給電素子108と第3の無給電素子122との間のピッチによって制御することができる。したがって、ビームのチルト角を制御するためには、高周波と低周波でアンテナに必要とされるビームのチルト角にしたがって上記のパラメーターを最適化すればよい。
また、本実施例では、給電素子106、第1の無給電素子108および第3の無給電素子122の形状が略同一である場合について説明した。しかし、給電素子106のY方向の直線偏波によって、第1の無給電素子108が励振され、第1の無給電素子108のY方向の直線偏波によって第3の無給電素子122が励振できればよく、同一である必要はない。
また、本実施例においては9×9のアンテナアレイについて説明した。しかし、第3の無給電素子122が第1の無給電素子108を取り囲んでマトリックス状に配置され、かつ給電素子106、第1の無給電素子108および第3の無給電素子122は隣接する2辺が第3のスイッチによって接続される構造を備え、第3のスイッチ136の導通、遮断の組み合わせによって複数の共振長をもつ矩形の放射素子を形成する構造を備えていればよく、9×9アレイに限定されるものではない。
また、多くの第3の無給電素子122をマトリックス状に配置し、第3のスイッチ136によって接続できる構造とすると、更に多くの周波数に対応でき、かつビームを天頂からより大きく傾けることができる。但し、3周波以上に対応する場合は固定式の整合回路では全ての周波数を50Ωに整合することは困難であり、そのような場合は素子定数を可変できる整合回路が必要となる。素子定数が可変できる整合回路としては、例えば可変移相器とバラクタダイオードとの組み合わせた回路や、MEMSによる可変キャパシタや可変インダクタの組み合わせた回路がある。
また、本実施例ではY方向の直線偏波に対応したアンテナを例にして説明したが、X方向の直線偏波や円偏波に対応したアンテナについても本実施例の構造を適用することにより、多周波を実現しながらX方向、Y方向の2次元で指向性制御が可能になる。
次に、本発明の第10の実施例にかかるアンテナ装置について、図14を参照して説明する。
本実施例にかかるアンテナ装置は、第9の実施例において説明したアンテナ装置において、第3のスイッチが給電素子または第1の無給電素子、第3の無給電素子の辺とほぼ同じ長さにわたって形成される。
アンテナ装置の構成について詳細に説明する。
例えば、比誘電率3.9の石英からなる誘電体104の下面に、例えばCu層からなる地板102が形成される。誘電体104の上面には、例えばCu層からなる略矩形の給電素子106および給電素子106を取り囲むように、例えばCu層からなる略矩形の第1および第3の無給電素子がピッチ0.40λo(λo:自由空間での共振長さ)でマトリックス状に配置される。したがって、誘電体104の上面には、9×9のアンテナアレイが構成される。
給電素子106、第1の無給電素子108および第3の無給電素子122は、全て形状が略同一であり、X方向の長さはW1、Y方向の長さはL1である。
また、第1の無給電素子108と第3の無給電素子122には4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に地板102と短絡するための、例えばPINダイオードからなる第1のスイッチ110が設けられる。
更に、給電素子106、第1の無給電素子108および第3の無給電素子122の間には、例えばMEMSスイッチからなる第3のスイッチ136が設けられる。第3のスイッチ136は、上部電極と、下部電極と、上部電極に接続されたヒンジと、バイアスラインとから構成され、上部電極は隣接する素子(給電素子、第1の無給電素子,第3の無給電素子)の辺とほぼ同じ長さであり、ヒンジによって可動できる。
第3のスイッチ136の動作について、詳細に説明する。
第3のスイッチ136の上部電極にバイアスラインからバイアスが印加されると上部電極と下部電極間に静電引力が生じ、上部電極が下方に動いて2つの素子と接触する。ここで、上部電極は隣接する素子の辺とほぼ同じ長さであるため、第3のスイッチは隣接する素子の辺のほぼ全面で導通することになる。
一方、上部電極のバイアスを遮断すると上下電極間の静電引力が無くなり、上部電極はヒンジの剛性によって上方へ動き、2つの素子と遮断される。ここで上部電極は隣接する素子の辺とほぼ同じ長さであるため、第3のスイッチは隣接する素子の辺のほぼ全面で遮断されることになる。
そのため、第9の実施例と同様に第3のスイッチ136の導通、遮断状態の組み合わせによって、略矩形の放射素子B(給電素子106と8個の第1の無給電素子108とからなる3×3アレイを接続)を形成した場合、放射素子Bの内部では4個の第3のスイッチによって囲まれた空隙が第9の実施例の場合よりも小さくなる。そのため放射素子Bの比帯域を第9の実施例よりも拡大できる。
次に、4個の第3のスイッチ136で囲まれた空隙を更に小さくするスイッチの構造について、図15を参照して説明する。
4つの第3のスイッチ136が対向する先端部分の形状をV形状に延長し、4つの第3のスイッチの間隔がX形状になるようにする。その結果、第3のスイッチで囲まれた空隙は更に小さくなり、第3のスイッチ136の導通、遮断状態の組み合わせによって矩形の放射素子B(給電素子106と8個の第1の無給電素子108とからなる3×3アレイを接続)を形成した場合、第9の実施例の放射素子Bよりも比帯域を更に拡大できる。
次に、本発明の第11の実施例にかかるアンテナ装置について、図16Aおよび図16Bを参照して説明する。図16Aは上面図、図16Bは図16AのA16−B16線における断面図を示す。
本実施例にかかるアンテナ装置は、第10の実施例にかかるアンテナに、給電素子106上に給電素子106の直交する2辺、つまりX方向およびY方向の各中点を通り、それぞれX軸およびY軸に垂直となる垂線上と、対角線上の3箇所に給電点(給電点A、給電点Bおよび給電点C)を備え、給電点は第2のスイッチ126によって切り替えることができる。
アンテナ装置の構成について詳細に説明する。
例えば、比誘電率3.9の石英からなる誘電体104の下面に、例えばCu層からなる地板102が形成され、誘電体104の上面には、例えばCu層からなる略矩形の給電素子106および給電素子106を取り囲むように、例えばCu層からなる略矩形の第1および第3の無給電素子がピッチ0.40λo(λo:自由空間での共振長さ)でマトリックス状に配置される。
したがって、誘電体104の上面には、9×9のアンテナアレイが構成される。給電素子106、第1の無給電素子108および第3の無給電素子122は全て形状が略同一であり、X方向の長さはW1、Y方向の長さはL1であり、X方向、Y方向の両辺が等しい正方形マイクロストリップアンテナの無負荷QをQoとした場合、L1<W1の場合は、上述した式(1)となる。
また、第1の無給電素子108と第3の無給電素子122には4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に地板102と短絡するための、例えばPINダイオードからなる第1のスイッチ110が設けられる。
更に、隣接する給電素子106、第1の無給電素子108および第3の無給電素子122の間には、例えばMEMSスイッチからなる第3のスイッチが設けられる。第3のスイッチは上部電極と、下部電極と、上部電極に接続されたヒンジと、バイアスラインとから構成される。上部電極は隣接する素子(給電素子、第1の無給電素子、第3の無給電素子)の辺と略同一長であり、ヒンジによって可動できる。
また、給電素子106のX方向の辺の中点を通りX軸に垂直となるの垂線上で、かつ給電素子106の入力インピーダンスが給電線の特性インピーダンス(通常は50Ω)と等しくなる位置には給電点A112が形成される。また、給電素子106のY方向の辺の中点を通りY軸に垂直となる垂線上で、かつ給電素子106の入力インピーダンスが給電線の特性インピーダンス(通常は50Ω)と等しくなる位置には給電点B116が形成される。また、給電素子106の対角線上で、かつ給電素子106の入力インピーダンスが給電線の特性インピーダンス(通常は50Ω)と等しくなる位置には給電点C118が形成される。
給電点A、給電点Bおよび給電点Cは、誘電体104と第2の基板124とを貫通したビアを介して第2の基板124上に形成された第2のスイッチ126に各々接続され、第2の基板上124に形成されたマイクロストリップ線からなる給電線によって給電される。第2のスイッチ126は、例えばMEMSスイッチから構成され、上部電極と、下部電極と、上部電極に接続されたヒンジと、バイアスラインとから構成される。上部電極はヒンジによって可動して給電点を切り替える。
また、給電線の途中には図示されていない切り替えスイッチを介して整合回路134が設けられる。整合回路134は、例えば可変移相器とバラクタダイオードとを直列に接続した構成である。
本実施例にかかるアンテナ装置を高周波に対応させる場合について述べる。
全ての第3のスイッチ136を遮断して、高周波対応の放射素子Aを形成した場合、給電点A112に接続された第2のスイッチ126のみを導通し、他の2個の第2のスイッチを遮断状態にして給電点A112を選択すると、給電点A112はX方向の辺の中点を通りX軸に垂直となる垂線上にあるので、放射素子AはY方向の直線偏波を放射する。
ここで放射素子Aの周辺には放射素子Aと共振長が同じ第1の無給電素子108と第3の無給電素子122とがマトリックス状に配置される。第1の無給電素子108および第3の無給電素子122の4つの頂点近傍の領域のうち1箇所には地板102と短絡する第1のスイッチ110が設けられる。したがって、第1のスイッチ110によって第1の無給電素子108や第3の無給電素子122を地板102と短絡または開放することによりX方向、Y方向の2次元で指向性を切り替えることができる。
同様に、給電点B116に接続された第2のスイッチのみを導通し、他の2個の第2のスイッチ126を遮断状態にして給電点B116を選択すると、給電点B116はY方向の辺の中点を通りY軸と垂直となる垂線上にあるので、放射素子AはX方向の直線偏波を放射する。
また、給電点C118に接続された第2のスイッチのみを導通し、他の2個の第2のスイッチを遮断状態にして給電点C118を選択すると、給電点C118は給電素子106の対角線上にあり、かつ給電素子のX、Y方向の辺が、上述した式(1)を満足しているので、放射素子Aは円偏波を放射する。
ここで、放射素子Aの周辺には放射素子Aと同じ共振長を持つ第1の無給電素子108、第3の無給電素子122が形成される。それらの素子の第1のスイッチ110を地板102と短絡または開放することによりX方向、Y方向の2次元で指向性を切り替えることができる。
次に、低周波対応の場合について説明する。
第9の実施例で説明したように、第3のスイッチ136の導通/遮断の組み合わせによって、給電素子106と8個の第1の無給電素子108とを接続して放射素子Bを形成して低周波対応とした場合、第3の無給電素子122を3×3個づつ接続し、放射素子Bを取り囲むように放射素子Bと同じ共振周波数を持つ無給電素子Bをマトリックス状に配置することができる。
ここで、給電点A112は、給電素子106のX方向の辺の中点を通りX軸に垂直となる垂線上にあるので、放射素子Bに対しても給電素子106のX方向の辺の中点を通りX軸に垂直となる垂線上にあることになる。また、給電点B116は給電素子106のY方向の辺の中点を通りY軸に垂直となる垂線上にあるので、放射素子Bに対しても給電素子のY方向の辺の中点を通りY軸に垂直となる垂線上にあることになる。
また、給電点C118は給電素子106の対角線上にあるため、放射素子Bに対しても給電点C118は対角線上にあることになる。
給電点A112に接続された第2のスイッチ126のみを導通し、他の2個の第2のスイッチ126を遮断状態にして給電点A112を選択すると、給電点A112は放射素子Bに対しX方向の辺の中点を通りX軸に垂直となる垂線上にあるので、放射素子Bは低周波に対応するY方向の直線偏波を放射する。また、放射素子Bの周辺には放射素子Bと共振長が同じ無給電素子Bがマトリックス状に配置され、無給電素子Bには地板102と短絡する第1のスイッチ110が9個形成されるため、それらのスイッチによって無給電素子Bを地板102と短絡または開放することによってX、Yの2次元で指向性を切り替えることができる。
同様に、給電点B116に接続された第2のスイッチ126のみを導通した場合は低周波に対応するX方向の直線偏波を放射する。また、給電点C118に接続された第2のスイッチ126のみを導通した場合は、低周波に対応する円偏波を放射する。
また、放射素子Bの周辺にある無給電素子Bを第1のスイッチ110によって地板102と短絡または開放することによりX方向、Y方向の2次元で指向性を切り替えることができる。
以上のように本実施例にかかるアンテナ装置によれば、高周波と低周波の2周波において指向性制御と偏波切り替えを同時に実現できる。
尚、給電素子106の入力インピーダンスが50Ωになる位置に給電点A、給電点Bおよび給電点Cを設けたので、高周波対応では9×9アンテナアレイは第2のスイッチ126によって給電点を選択された後に切り替えスイッチによって直接給電線に接続される。
一方低周波対応では、9×9アンテナアレイは第2のスイッチ126に接続された後に切り替えスイッチによって整合回路134に接続され、アンテナアレイの入力インピーダンスは給電線の特性インピーダンス(50Ω)に整合される。
尚、本実施例の整合回路134は可変移相器とバラクタダイオードとから構成されているため、素子定数を変化させることによって、Y方向の直線偏波、X方向の直線偏波および円偏波を放射する場合の各々の入力インピーダンスを50Ωに整合することができる。
また、本実施例では9×9のアンテナアレイについて説明したが、第2のスイッチ126によって切り替えることができる3個の給電点を持つ給電素子106を第1の無給電素子108が取り囲むようにマトリックス状に配置され、更に第3の無給電素子122が第1の無給電素子108を取り囲んでマトリックス状に配置され、かつ給電素子106と第1の無給電素子108、第3の無給電素子122は隣接する2辺が第3のスイッチ136によって接続される構造を備え、第3のスイッチ136の導通、遮断の組み合わせによって複数の共振長をもつ矩形の放射素子を形成する構造を備えていればよく、9×9アレイに限定されるものではない。
また、本実施例では給電素子106と8個の第1の無給電素子108とを接続して放射素子Bを構成する場合について説明した。つまり、放射素子Bの中心に給電素子106が配置されるように接続したため、低周波でも第2のスイッチ126によってX方向、Y方向の直線偏波と円偏波との切り替えが可能になるが、第3のスイッチ136の導通/遮断の組み合わせによっては給電素子106が放射素子Bの中心に配置されない場合もある。その場合は、X方向、Y方向の直線偏波と円偏波との切り替えではなく、直線偏波と楕円偏波との切り替え、または楕円偏波同士の切り替えとなる。上記の接続によっても指向性制御は可能であり、特定の用途では効果がある。したがって、本実施例にかかるアンテナを、このような構造に変更するようにしてもよい。
また、多くの第3の無給電素子122をマトリックス状に配置し、第3のスイッチ136によって接続できる構造とすることにより、偏波切り替えを実現しながら更に多くの周波数に対応でき、かつビームを天頂からより大きく傾けることができる。
次に、本発明の第12の実施例にかかる無線モジュールについて、図17Aおよび図17Bを参照して説明する。図17Aは上面図、図17Bは図17AのA17−B17線における断面図を示す。
本実施例にかかる無線モジュール200は第8の実施例にかかるアンテナ装置100を備える。また、アンテナ装置100を構成している第2の基板124の地板102が形成された面とは反対側の下層には、例えば多孔質ポリイミド基板からなる第3の基板140が積層された構造を持ち、第3の基板140上にはチップ部品を用いてフロントエンド回路142が構成され、第3の基板140を貫通するビアホールによってフロントエンド回路142と給電線128とが接続される。
本実施例にかかる無線モジュール200は、第8の実施例にかかるアンテナ装置100を備えているので、偏波切り替えと指向性制御の2つの機能を備える。そのため、所望波の方向にアンテナの最大放射角を向けることにより大きな利得を実現でき、良好な送受信を行うことができる。また、2つの直交した直線偏波と円偏波との切り替えができるため、1個の無線モジュール200で複数の偏波の規格に対応でき、無線モジュールを小型化できる。
また、アンテナ装置100の下層、すなわち第2の基板124の下方に第3の基板140を積層し、第3の基板140にフロントエンド回路142を設けているので、更に小型な無線モジュールを実現できる。
尚、本実施例では第3の基板140にフロントエンド回路142のみを実装した場合について説明したが、フロントエンド回路142とベースバンド回路の両方を実装してもよく、フロントエンド回路とベースバンド回路の一部を実装しても同様に無線モジュールを小型化できる。
次に、本実施例にかかる無線システム一例について、図18を参照して説明する。
本実施例にかかる無線システム300は、図17Aおよび図17Bを参照して説明した無線モジュール200を備えており、アンテナ送信系・受信系を切り替える送受信切り替えスイッチ310に接続される。所望の偏波、指向性にしたがって、制御回路306によって第1および第2スイッチの導通、遮断の組み合わせを設定する。
その後、制御回路306から制御信号Aを第1のスイッチのバイアス発生回路302に入力し所定のバイアスを発生させ、第1のスイッチの導通、遮断を行い、地板102と短絡する無給電素子を切り替えてXYの2次元でビーム切り替えを行う。
また、制御回路306から制御信号Bを第2のスイッチのバイアス発生回路304に入力し所定のバイアスを発生させ、第2のスイッチを導通または遮断して給電点A、給電点Bおよび給電点Cから1個を選択し、偏波を決める。
更に、送信モードあるいは受信モードを考慮し、制御回路306より制御信号Cを送受信切り替えスイッチ制御回路308に入力し所定のバイアスを発生させ、送受信切り替えスイッチ310にて送受信の切り替えを行いアンテナとフロントエンド回路を電気的に導通して通信を行う。
以上のように本実施例の無線システム300は3偏波に対応し、3偏波とも指向性制御が可能である。よって1個の無線システムで3偏波の規格に対応でき、無線システム自体を小型化できる。また、指向性制御が可能であるため、所望の方向に放射パターンを向けることによって高い利得を実現でき、良好な送受信が行える。また、電波状況によっては偏波、指向性を切り替えることにより、絶えず良好な送受信を行うことができる。
なお、バイアス発生回路を省略して、制御信号A〜Cを第1、第2のスイッチや送受信切り替えスイッチに直接与えてスイッチの導通/遮断を行なうようにしてもよい。
次に、第13の実施例にかかる無線モジュール200について、図19Aおよび図19Bを参照して説明する。
本実施例にかかる無線モジュール200は第11の実施例にかかるアンテナ装置100を備える。また、アンテナ100を構成している第2の基板124の地板102の反対側の下層には、例えば多孔質ポリイミド基板からなる第3の基板140が積層された構造を持ち、第3の基板140上にはチップ部品を用いてフロントエンド回路142が構成され、第3の基板140を貫通するビアホールによってフロントエンド回路142と給電線128とが接続される。
本実施例にかかる無線モジュール200は、第11の実施例にかかるアンテナ装置100を備えるので、2周波に対応し、偏波切り替え、指向性制御の3つの機能を備える。そのため、2つの周波数帯において所望波の方向にアンテナの最大放射角を向けることによって大きな利得を実現でき、良好な送受信を行うことができる。
また、2つの直交した直線偏波と円偏波との切り替えができるため、1個の無線モジュール200で複数の偏波の規格に対応でき、無線モジュール200を小型化できる。また、第2の基板124の下方に第3の基板140を積層し、第3の基板140にフロントエンド回路142を設けているので、更に小型な無線モジュールを実現できる。
次に、本実施例にかかる無線システムの一例について、図20を参照して説明する。本実施例では図19Aおよび図19Bを参照して説明した無線モジュール200を使用しており、アンテナ送信系・受信系を切り替える送受信切り替えスイッチ310に接続されている。所望の周波数、偏波、指向性にしたがって、制御回路306によって第1、第2および第3のスイッチの導通、遮断の組み合わせを設定する。
その後、制御回路306から制御信号Aを第1のスイッチのバイアス発生回路302に入力し所定のバイアスを発生させ、第1のスイッチの導通、遮断を行い、地板102と短絡する無給電素子を切り替えてX方向、Y方向の2次元でビーム切り替えを行う。
また、制御回路306から制御信号Bを第2のスイッチのバイアス発生回路304に入力し所定のバイアスを発生し、第2のスイッチを導通または遮断して給電点A、給電点Bおよび給電点Cから1個を選択し、偏波を決める。
また、制御回路306から制御信号Dを第3のスイッチのバイアス発生回路312に入力し所定のバイアスを発生し、第3のスイッチの導通、遮断を行い、所望の矩形の放射素子を形成して周波数の切り替えを行う。また、制御信号Dは切り替えスイッチのバイアス発生回路314にも入力し所定のバイアスを発生し、整合回路の切り替えスイッチをON/OFFさせ、高周波対応ではアンテナを直接フロントエンド回路142に接続し、低周波対応ではアンテナを整合回路134に接続してからフロントエンド回路142に接続し、アンテナの入力インピーダンスを給電線の特性インピーダンスとマッチングする。
また、送信モードあるいは受信モードを考慮し、制御回路306より制御信号Cを送受信切り替えスイッチ制御回路308に入力し所定のバイアスを発生し、送受信切り替えスイッチ310にて送受信の切り替えを行いアンテナ装置100とフロントエンド回路142とを電気的に導通して通信を行う。
以上のように本実施例にかかる無線システム300は、2周波と3偏波に対応して指向性制御が可能である。よって1個の無線システム300で2個の周波数規格に対応でき、無線システム自体を小型化できる。また指向性制御が可能であるため、所望の方向に放射パターンを向けることによって高い利得を実現でき、良好な送受信を行うことができる。また、電波状況によっては偏波、指向性を切り替えることにより絶えず良好な送受信を行うことができる。
なお、バイアス発生回路302、304、312および314を省略し、制御信号A〜Dを第1〜第3のスイッチや切り替えスイッチ、送受信切り替えスイッチ308に直接入力しスイッチの導通/遮断を行うようにしてもよい。
本発明の実施例にかかるアンテナ装置は、誘電体の下面に地板が形成され、前記誘電体の地板と反対側の上面には略矩形の給電素子および給電素子に対しE面およびH面に沿って対称に配置された4個の第1の矩形の無給電素子が形成され、かつ第1の無給電素子の4つの頂点近傍の領域のうち少なくとも1箇所に地板と短絡する第1のスイッチが設けられる。
給電素子からX方向またはY方向の直線偏波が放射された場合、第1の無給電素子もX方向またはY方向の電流が励起されてX方向またはY方向の直線偏波を放射する。しかし、第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチを導通し第1の無給電素子を地板と短絡すると、第1の無給電素子の短絡点が頂点近傍の領域に形成されているため、第1の無給電素子ではX方向で励振された電流またはY方向で励振された電流が抑制される。
また、給電素子から円偏波が放射された場合、第1の無給電素子は円偏波を構成するX方向とY方向の電波によってX方向とY方向の電流が励起されて円偏波を放射する。しかし、第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチを導通し、第1の無給電素子と地板とを短絡すると、第1の無給電素子の短絡点が頂点近傍の領域に形成されているため、第1の無給電素子ではX方向とY方向で励振された電流の2つとも抑制される。
そのため、給電素子に対しE面方向あるいはH面方向に沿って対称に配置された一対の第1の無給電素子において、一方の第1の無給電素子の第1のスイッチを導通して第1の無給電素子を地板と短絡し、他方の第1の無給電素子の第1のスイッチを遮断して第1の無給電素子を地板から開放すると、地板から開放された第1の無給電素子は導波器として作用してビームが天頂から傾く。その結果、直線偏波用のアンテナと円偏波用のアンテナの両方において、X方向、Y方向の2次元で指向性を切り替えることができる。その結果、所望の方向にアンテナの最大放射角を向けることができ、良好な通信が可能となる。
また、本発明の実施例にかかる他のアンテナ装置は誘電体の下面に地板が形成され、前記誘電体の地板とは反対側の上面には略矩形の給電素子および給電素子を取り囲みマトリックス状に配置された8個の略矩形の第1の無給電素子が形成され、かつ第1の無給電素子の4つの頂点近傍の領域のうち少なくとも1箇所に、地板と短絡する第1のスイッチが設けられる。
給電素子からX方向またはY方向の直線偏波が放射された場合、第1の無給電素子もX方向またはY方向の電流が励起されてX方向またはY方向の直線偏波を放射する。しかし、第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチを導通し第1の無給電素子を地板と短絡すると、短絡点は第1の無給電素子の頂点近傍にあるため、第1の無給電素子ではX方向で励振された電流またはY方向で励振された電流を抑制する。
また、給電素子から円偏波が放射された場合、第1の無給電素子は円偏波を構成するX方向とY方向の電波によってX方向とY方向の電流が励起されて円偏波を放射する。しかし、第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチを導通し第1の無給電素子を地板と短絡すると、短絡点が第1の無給電素子の頂点近傍にあるため、第1の無給電素子ではX方向とY方向で励振された電流の2つとも抑制される。
そのため、給電素子に対し一方向で対称に配置された一対の第1の無給電素子において、一方の第1の無給電素子の第1のスイッチを導通して第1の無給電素子を地板と短絡し、他方の第1の無給電素子の第1のスイッチを遮断して第1の無給電素子を地板から開放すると、地板から開放された第1の無給電素子は導波器として作用してビームを天頂から傾かせることができる。その結果、X方向、Y方向の2次元で上述したアンテナよりも指向性をより細かく切り替えることが可能となる。そのため、直線偏波用のアンテナ装置と円偏波用のアンテナ装置の両方において、所望の方向にアンテナの最大放射角を容易に向けることができる。
また、本発明の実施例のアンテナ装置においては、第1の無給電素子の外周に第2の矩形の無給電素子を配置するようにしてもよい。
第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチが地板と遮断されて地板から開放されている場合は、第1の無給電素子は給電素子から放射される直線偏波または円偏波を受けて、給電素子と同じ共振周波数を持つ直線偏波あるいは円偏波を生じる。
更に、地板から開放されている第1の無給電素子に隣接した第2の無給電素子は第1の無給電素子から放射される直線偏波あるいは円偏波を受けて、給電素子と第1の無給電素子と同じ共振周波数を持つY方向の直線偏波を生じる。そのため第2の無給電素子は第1の無給電素子に対して導波器として作用し、給電素子には導波器が2個配列された形となる。
一方、第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチが地板と導通して地板と短絡されている場合、第1の無給電素子は給電素子から放射される直線偏波または円偏波を受けても、第1の無給電素子は4つの頂点近傍の領域のうち少なくとも1箇所で地板と短絡されているのでX方向、Y方向の電流は抑制され、強度の小さな直線偏波あるいは円偏波しか放射されない。そのため、地板と短絡している第1の無給電素子に隣接した第2の無給電素子に励起される直線偏波や円偏波の強度は非常に小さくなり、導波器として作用しない。
その結果、X方向、Y方向の2次元で上述したアンテナよりも低角方向にアンテナの最大放射角を向けることができる。
また、本発明の実施例のアンテナ装置において、第1の無給電素子を取り囲みマトリックス状に配置された複数の矩形の第3の無給電素子を備え、第3の無給電素子の4つの頂点近傍の領域のうち少なくとも1箇所に地板と短絡する第1のスイッチを備えるようにしてもよい。
第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチが地板と遮断されて地板から開放されている場合は、第1の無給電素子は給電素子から放射される直線偏波または円偏波を受けて、給電素子と同じ共振周波数を持つ直線偏波あるいは円偏波を生じる。更に、地板から開放される第1の無給電素子に隣接した第3の無給電素子(第3の無給電素子Aと略す)は第1の無給電素子から放射される直線偏波あるいは円偏波を受ける。
ここで、第3の無給電素子Aに備えられた第1のスイッチを遮断状態にして第3の無給電素子を地板から開放すると、第3の無給電素子Aに流れる電流は抑制されないため給電素子と第1の無給電素子と同じ共振周波数を持つ直線偏波または円偏波を生じる。その結果、第3の無給電素子Aは第1の無給電素子に対して導波器として作用し、給電素子には導波器が2個配列された形となる。
一方、第1の無給電素子に設けられた第1のスイッチが地板と導通して地板と短絡されている場合、第1の無給電素子は給電素子から放射される直線偏波または円偏波を受けても、第1の無給電素子は4つの頂点近傍の領域のうち少なくとも1箇所で地板と短絡されているのでX方向、Y方向の電流は抑制され、強度の小さな直線偏波あるいは円偏波しか放射されない。よって地板と短絡している第1の無給電素子に隣接した第3の無給電素子(第3の無給電素子Bと略す)に励起される電流も小さくなる。
ここで、第3の無給電素子Bに設けられた第1のスイッチを導通状態にして第3の無給電素子を地板と短絡すると、第3の無給電素子の短絡点は頂点近傍の領域にあるため、第3の無給電素子に流れる電流は更に抑制され、導波器として作用しない。
その結果、X方向、Y方向の2次元で上述したアンテナよりも低角方向にアンテナの最大放射角を向けることができる。
また地板から開放されている第1の無給電素子に隣接した第3の無給電素子Aの第1のスイッチを導通状態にして第3の無給電素子Aを地板と短絡させると、第3の無給電素子Aに流れる電流は抑制されて、第3の無給電素子は導波器として機能しない。その結果、給電素子には1個の導波器のみが配列した形となり、上述したアンテナと同程度のビーム傾きとなる。
以上のように構成することにより、給電素子に対し対称に配列された第1の無給電素子および第3の無給電素子の第1のスイッチの導通、遮断の組み合わせによって、X方向、Y方向の2次元でアンテナの最大放射角をより低角向けることができ、アンテナの最大放射角を改善できる。また、ビームのチルト角自体も制御できる。
本発明の実施例にかかるアンテナ装置においては、給電素子の直交する2辺、つまりX方向およびY方向の中点を通り、それぞれX軸およびY軸に垂直となる垂線上と、給電素子の対角線上の3箇所のうち少なくとも2箇所に給電点があり、給電点は第2のスイッチによって切り替えられるようにしてもよい。
給電素子のX方向の辺の中点を通りX軸に垂直となる垂線上に設けられた給電点を給電点A、給電素子のY方向の辺の中点を通りY軸に垂直となる垂線上に設けられた給電点を給電点B、給電素子の対角線上に設けられた給電点を給電点Cとする。
給電点Aに接続された第2のスイッチのみを導通し、他の2個の第2のスイッチを遮断状態にして給電点Aを選択すると、給電点AはX方向の辺の中点を通りX軸に垂直となる垂線上にあるので、給電素子はY方向の直線偏波を放射する。ここで、給電素子の回りには一方向で対称に配置された第1の無給電素子が形成され、かつ第1の無給電素子には4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に地板と短絡する第1のスイッチが設けられる。したがって、第1の無給電素子に接続された第1のスイッチの導通・遮断の組み合わせによってY方向の直線偏波を放射する場合にはX方向、Y方向の2次元で指向性制御ができる。
また、給電点Bに接続された第2のスイッチのみを導通し、他の2個の第2のスイッチを遮断状態にして給電点Bを選択すると、給電点BはY方向の辺の中点を通りY軸に垂直となる垂線上にあるので、給電素子はX方向の直線偏波を放射する。ここで、給電素子の回りには一方向で対称の第1の無給電素子が形成され、かつ第1の無給電素子には4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に地板と短絡する第1のスイッチが設けられている。したがって、第1の無給電素子に接続された第1のスイッチの導通・遮断の組み合わせによってX方向の直線偏波を放射する時もX方向、Y方向の2次元で指向性制御ができる。
更に、給電点Cに接続された第2のスイッチのみを導通し、他の2個の第2のスイッチを遮断状態にして給電点Cを選択すると、給電点Cは対角線上にあり、かつ給電素子のX方向、Y方向の辺の長さをX、Yの両辺が等しい正方形マイクロストリップアンテナの無負荷QをQoとした場合、L1<W1の場合は、上述した式(1)とすると、給電素子は円偏波を放射する。
ここで、給電素子の回りには一方向で対称の第1の無給電素子があり、かつ第1の無給電素子には4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に地板と短絡する第1のスイッチが設けられている。したがって、第1の無給電素子に接続された第1のスイッチの導通・遮断の組み合わせによって円偏波を放射する時もX方向、Y方向の2次元で指向性制御ができる。
さらに、第1の無給電素子の外周に第2の無給電素子を設けることにより、ビームの天頂からのチルト角を更に大きくできる。
また、第1の無給電素子の外周に第3の無給電素子を設けことにより、ビームを天頂からより大きく傾けることができる。また、第3の無給電素子に接続された第1のスイッチの導通・遮断の組み合わせによってチルト角を広い範囲で制御できる。
以上のように構成することにより、指向性制御を実現しながら偏波切り替えが可能となる。
本発明の実施例にかかるアンテナ装置においては、給電素子、第1の無給電素子および第3の無給電素子は隣接する2辺が第3のスイッチによって接続される構造を備えることにより、第3のスイッチの導通、遮断の組み合わせによって複数の共振長をもつ矩形の放射素子を形成することができる。
最初に、高周波に対応する場合について述べる。第3のスイッチを全て遮断して高周波対応にすると、給電点によって直接励振される素子は給電素子のみとなる。この場合の放射素子を放射素子Aとする。放射素子Aの周辺には、第1の無給電素子と第3の無給電素子とがマトリックス状に配置されており、第1の無給電素子および第3の無給電素子の4つの頂点近傍の領域のうち少なとも1箇所には地板と短絡する第1のスイッチが設けられている。したがって、第1のスイッチにより、第1の無給電素子および第3の無給電素子と、地板とを短絡または開放することによりX方向、Y方向の2次元で指向性を切り替えることができる。
次に、低周波へ対応する場合について述べる。第3のスイッチにより、給電素子と無給電素子とを接続し、放射素子Aよりも励振長の長い略矩形の放射素子Bを形成する。この場合も放射素子Bの周辺には無給電素子が存在するため、第3のスイッチによって無給電素子同士を接続して放射素子Bと相互作用をする無給電素子Bを形成することができる。
放射素子Bは無給電素子を接続しているので、素子内には地板と短絡する第1のスイッチが複数個設けられることになる。よって、放射素子Bに設けられる第1のスイッチを地板と短絡または開放することによって、放射素子BもX方向、Y方向の2次元で指向性を切り替えることができる。
このように構成することにより、多周波に対応しながら指向性制御を実現できる。
また、本発明の実施例にかかるアンテナ装置はマイクロストリップアンテナの構造を採用しているため低姿勢であり、マイクロストリップ線路やコプレナー線路等の不平衡電流で励振できるため、バランが必要なく構造が簡単である。
更に、給電素子と無給電素子とを接続して略矩形の放射素子を形成するため、比較的離れた周波数帯に対応する多周波アンテナを実現できる。
また、本発明の実施例にかかるアンテナ装置において、給電素子に設けられた給電点に整合回路を設けるようにしてもよい。
第3のスイッチの導通/遮断の組み合わせによって、2周波(低周波対応と高周波対応)に対応する場合、予め高周波(あるいは低周波)においてアンテナの入力インピーダンスを給電線の特性インピーダンスに合わせておく。また、低周波(あるいは高周波)で用いる場合は切り替えスイッチによってアンテナを整合回路に接続することによりインピーダンスマッチング行う。高周波(あるいは低周波)で用いる場合は切り替えスイッチによって給電線から整合回路を遮断することでアンテナの入力インピーダンスを給電線の特性インピーダンスにマッチングさせる。その結果、2周波の両方で反射が小さくなり、損失を抑制できる。
3周波以上に対応させる場合は素子定数を可変できる整合回路を用い、素子定数を適切に選択することにより、各周波数でアンテナの入力インピーダンスを給電線の特性インピーダンスにマッチングできる。このため、全ての周波数で反射を小さくなり損失を抑制できる。
第3のスイッチを全て遮断して高周波対応にした場合の放射素子を放射素子Aとすると、放射素子Aは給電素子に一致する。給電点Aに接続された第2のスイッチのみを導通し、他の2個の第2のスイッチを遮断状態にして、給電点Aを選択すると、給電点Aは放射素子AのX方向の辺の中点を通りX軸に垂直となる垂線上にあるので、放射素子AはY方向の直線偏波を放射する。ここで、放射素子Aの回りにはマトリックス状に配置された第1および第3の無給電素子が形成され、かつ第1および第3の無給電素子には4つの頂点近傍の領域のうち1箇所に地板と短絡する第1のスイッチが設けられる。したがって、第1および第3の無給電素子に接続された第1のスイッチの導通・遮断の組み合わせによってY方向の直線偏波を放射する時はX方向、Y方向の2次元で指向性制御ができる。
同様に、給電点Bに接続された第2のスイッチのみを導通し、他の2個の第2のスイッチを遮断状態にして給電点Bを選択すると、給電点Bは放射素子AのY方向の辺の中点を通り、Y軸に垂直となる垂線上にあるので、放射素子AはX方向の直線偏波を放射する。ここで放射素子Aの回りにあるマトリックス状に配置された第1および第3の無給電素子の第1のスイッチによってX方向、Y方向の2次元で指向性制御ができる。
更に、給電点Cに接続された第2のスイッチのみを導通し、他の2個の第2のスイッチを遮断状態にして給電点Cを選択すると、給電点Cは対角線上にあり、かつ給電素子のX方向、Y方向の辺の長さをX、Yの両辺が等しい正方形マイクロストリップアンテナの無負荷QをQoとした場合、L1<W1の場合は上述した式(1)とすると、放射素子Aは円偏波を放射する。ここで、放射素子Aの回りにあるマトリックス状に配置された第1および第3の無給電素子に備えられた第1のスイッチによってX方向、Y方向の2次元で指向性制御ができる。
以上のように、高周波対応とした場合は、X方向、Y方向の直線偏波と円偏波の切り替えと指向性制御が同時に実現できる。
また、第3のスイッチによって給電素子と無給電素子とを接続して、給電素子が中心に配置された略矩形の放射素子Bを形成した場合は、給電点Aは給電素子のX方向の辺の中点を通りX軸と垂直となる垂線上に設けられているので、放射素子Bに対しても給電点AはX方向の辺の中点を通りX軸に垂直となる垂線上に設けられることになる。
また、給電点Bは給電素子のY方向の辺の中点を通りY軸に垂直となる垂線上に設けられているので、放射素子Bに対しても給電点BはX方向の辺の中点を通りX軸に垂直となる垂線上に設けられることになる。
また、給電点Cは給電素子の対角線上に設けられているので、放射素子Bに対しても給電点Cは放射素子Bの対角線上に設けられることになる。よって、低周波対応とした場合もX方向、Y方向の直線偏波と円偏波の切り替えと指向性制御とを同時に実現することができる。
また、第3のスイッチによって、給電素子と無給電素子とを接続して給電素子が中心に配置されない矩形の放射素子を形成した場合は、直線偏波と楕円偏波、あるいは楕円偏波同士の切り替えと指向性制御を同時に実現することができる。
以上のように、本発明の実施例にかかるアンテナ装置は、多周波対応,偏波切り替え、指向性制御の3機能を同時に実現することができる。
また、本発明の実施例にかかるアンテナ装置においては、第1の無給電素子に設けられたの第1のスイッチを、例えばPINダイオード、MEMSスイッチにより構成するようにしてもよい。
PINダイオードは安価なチップ部品が入手でき、かつ20GHzまでは良好に高周波信号を遮断できる。したがって、第1のスイッチにPINダイオードを用いた場合は無線LANや携帯端末用途での指向性制御アンテナを実現できる。
一方、第1のスイッチにMEMSスイッチを用いた場合、MEMSスイッチは100GHz程度までの高周波信号も良好に遮断でき、更に挿入ロスも小さいことから、より高い周波数、例えばサブミリ波〜ミリ波を対象とした指向性制御アンテナを実現できる。
また、本発明の実施例にかかるアンテナ装置においては、第2のスイッチを、例えば、PINダイオード、MEMSスイッチにより構成するようにしてもよい。
第2のスイッチにPINダイオードを用いた場合、PINダイオードは安価なチップ部品が入手でき、かつ20GHzまでは良好に高周波信号を遮断できることから、無線LANや携帯端末用途での指向性制御アンテナを実現できる。一方、第2のスイッチにMEMSスイッチを用いた場合、MEMSスイッチは100GHz程度までの高周波信号も良好に遮断でき、更に挿入ロスも小さいことから、より高い周波数,例えばサブミリ波〜ミリ波を対象とした指向性制御アンテナを実現できる。
また、本発明の実施例にかかるアンテナ装置においては、第2のスイッチは前記誘電体の下層に積層された第2の基板に形成されるようにしてもよい。このように構成することにより、第2スイッチを駆動するバイアスラインを第2の基板上に形成できる。
また、MEMSスイッチやPINダイオードから構成される第2のスイッチは1mm□以下の大きさであるため、第2の基板上において給電素子と第1の無給電素子の占有面積に相当するエリア内に第2のスイッチを全て集積することができる。そのため、誘電体の面積でアンテナモジュールの面積がほぼ決まり、アンテナモジュールを小型にできる。
また、本発明の実施例にかかるアンテナ装置において、第3のスイッチをPINダイオードにより構成するようにしてもよい。PINダイオードは、安価なチップ部品が入手でき、かつ20GHzまでは良好にRF信号を遮断できることから、2.4GHzや5GHzの無線LANの複数規格に対応する指向性制御アンテナに適している。
また、第3のスイッチを、MEMSスイッチにより構成するようにしてもよい。MEMSスイッチは100GHz程度までの高周波信号を良好に遮断でき、更に挿入ロスも小さいことから、高い周波数、例えばサブミリ波〜ミリ波を対象とした多周波対応の指向性制御アンテナを構成することができる。
また、第3のスイッチを、給電素子または無給電素子の辺と略同一長に形成するようにしてもよい。第3のスイッチの導通、遮断状態の組み合わせによって略矩形の放射素子を形成した場合、放射素子の内部では4個の第3のスイッチによって囲まれた空隙は小さくなる。その結果放射素子の比帯域を拡大できる。
また、第3のスイッチを他のスイッチと対向する先端部分の形状をV字形状に延長するようにしてもよい。このようにすることにより、対向する4つのスイッチの間隔、言い換えれば隣接する部分をX字状になるようにできる。このため、第3のスイッチの導通、遮断状態の組み合わせによって略矩形の放射素子を形成した場合、第3のスイッチで囲まれた空隙を更に小さくでき、放射素子の比帯域を更に改善できる。
また、本発明の実施例にかかる無線モジュールは、上述したアンテナ装置を備える。このため、指向性切り替えまたは指向性制御が可能である。したがって、所望の方向にアンテナの最大放射角を向けることによって高い利得を実現でき、良好な送受信を実現できる。
また、本発明の実施例にかかる無線モジュールは、偏波の切り替えも可能とすることができることから、1個の無線モジュールで複数の偏波の規格に対応でき、無線モジュール自体を小型にできる。また、電波状況によっては偏波や指向性を切り替えることで絶えず良好な送受信を行うことが可能となる。
また、本発明の実施例にかかる無線モジュールは、多周波に対応させることもできる。このため、1個の無線モジュールで複数の周波数規格に対応でき、無線モジュール自体を小型にできる。また、電波状況によっては指向性を切り替えることにより、絶えず良好な送受信を行うことが可能となる。
また、本発明の実施例にかかる無線システムは、上述した無線モジュールを備える。このため、指向性切り替えまたは指向性制御が可能である。したがって、所望の方向にアンテナの最大放射角を向けることによって高い利得を実現でき、良好な送受信が実現できる。
また、本発明の実施例にかかる無線システムは、偏波切り替えを可能とすることができ、1個の無線システムで複数の偏波の規格に対応でき、無線システム自体を小型にできる。また、電波状況によって偏波や指向性を切り替えることで、絶えず良好な送受信が可能となる。
また、本発明の実施例にかかる無線システムは、多周波対応も可能となることから、1個の無線システムで複数の周波数規格に対応でき、無線システム自体を小型にできる。また、電波状況によっては指向性を切り替えることで絶えず良好な送受信を行うことが可能となる。
本発明の一実施例にかかるアンテナを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかるアンテナを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかるアンテナを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかるアンテナを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかるアンテナを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかるアンテナを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかるアンテナを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかるアンテナを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかるアンテナを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかるアンテナを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかるアンテナを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかるアンテナを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかるアンテナを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかるアンテナを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかるアンテナを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかるアンテナを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかるアンテナを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかるアンテナを示す模式図である。 第3のスイッチを示す模式図である。 第3のスイッチの導通/遮断の組み合わせの一例を示す説明図である。 第3のスイッチの導通/遮断の組み合わせの一例を示す説明図である。 マイクロストリップアンテナの入力インピーダンスの近似式を説明するための説明図である。 本発明の一実施例にかかるアンテナを示す模式図である。 第3のスイッチの構造を示す模式図である。 本発明の一実施例にかかるアンテナを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかるアンテナを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかる無線モジュールを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかる無線モジュールを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかる無線システムを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかる無線モジュールを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかる無線モジュールを示す模式図である。 本発明の一実施例にかかる無線システムを示す模式図である。 アンテナを示す模式図である。 アンテナを示す模式図である。 アンテナの特性を示す特性図である。 アンテナを示す模式図である。 アンテナを示す模式図である。 アンテナを示す模式図である。 アンテナを示す模式図である。 アンテナを示す模式図である。 アンテナを示す模式図である。 アンテナを示す模式図である。 アンテナを示す模式図である。 アンテナを示す模式図である。 アンテナを示す模式図である。 アンテナを示す模式図である。 アンテナを示す模式図である。 アンテナを示す模式図である。
符号の説明
100 アンテナ
102 地板
104 誘電体
106 給電素子
108 第1の無給電素子
110 第1のスイッチ
112 給電点A
114 給電線
116 給電点B
118 給電点C
120 第2の無給電素子
122 第3の無給電素子
124 第2の基板
126 第2のスイッチ
128 給電線
130 下部電極
132 上部電極
134 整合回路
136 第3のスイッチ
138 素子(給電素子、第1の無給電素子、第3の無給電素子)
140 第3の基板
142 フロントエンド回路
144 可動電極
146 固定電極
200 無線モジュール
300 無線システム

Claims (12)

  1. 地板と、
    前記地板の一主面に形成された誘電体と、
    前記誘電体に対して前記地板とは反対側の上面に形成された略矩形の給電素子と、
    前記給電素子に対し電界面および磁界面に沿って対称に配置された略矩形の複数の第1の無給電素子と、
    前記第1の無給電素子の4つの頂点近傍の領域のうち少なくとも1箇所に形成され、前記第1の無給電素子と前記地板とを短絡する第1のスイッチと
    を備えることを特徴とするアンテナ装置。
  2. 請求項1に記載のアンテナ装置において、
    前記第1の無給電素子は、前記給電素子を取り囲むように、前記上面にマトリックス状に配置されることを特徴とするアンテナ装置。
  3. 請求項1または2に記載のアンテナ装置において、
    前記第1の無給電素子を取り囲むように、前記上面に配置される略矩形の第2の無給電素子を備えることを特徴とするアンテナ装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のアンテナ装置において、
    前記給電素子の直交する2辺の各中点を通り、それぞれ各辺と垂直となる垂線上および前記給電素子の対角線上の3箇所のうち、少なくとも2箇所に形成された給電点と、
    前記給電点を切り替える第2のスイッチと
    を備えることを特徴とするアンテナ装置。
  5. 請求項4に記載のアンテナ装置において、
    前記地板に対して前記誘電体とは反対側の下面に形成された第2の基板
    を備え、
    前記第2のスイッチは前記第2の基板に形成されることを特徴とするアンテナ装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のアンテナ装置において、
    隣接する前記給電素子と前記第1の無給電素子との間の導通と遮断、および隣接する前記第1の無給電素子間の導通と遮断とを切り替える第3のスイッチ
    を備えることを特徴とするアンテナ装置。
  7. 請求項に記載のアンテナ装置において、
    隣接する前記給電素子と前記第1の無給電素子との間の導通と遮断、および隣接する前記第1の無給電素子間の導通と遮断とを切り替える第3のスイッチ
    を備え、
    前記第1のスイッチ、前記第2のスイッチおよび前記第3のスイッチは、PINダイオードおよびMEMSスイッチのうちの一方で構成されることを特徴とするアンテナ装置。
  8. 請求項6または7に記載のアンテナ装置において、
    前記第3のスイッチは、前記給電素子および前記第1の無給電素子の各辺と略同一長に形成されることを特徴とするアンテナ装置。
  9. 請求項8に記載のアンテナ装置において、
    前記第3のスイッチは、他の第3のスイッチと対向する部分がV字形状であることを特徴とするアンテナ装置。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載のアンテナ装置において、
    給電点に整合回路を備えることを特徴とするアンテナ装置。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載のアンテナ装置を備えることを特徴とする無線モジュール。
  12. 請求項11に記載の無線モジュールを備えることを特徴とする無線システム。
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