JP4201273B2 - マルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナおよびそれを用いた無線システム - Google Patents

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Description

本発明は、マルチバンド対応円偏波アンテナ技術に関し、特に、1個の給電点で多周波に対応でき、RF回路との接続が容易で、かつ良好な送信効率、受信効率を実現できるマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナおよびそれを用いた無線システムに関する。
現在、携帯電話ではPDC(Personal Digital Celluler),FOMA,CDMA2000,PHS(Personal Handyphone System)等の第2世代の携帯電話、無線LANではIEEE802.11a,802.11b,802.11gやBluetooth等、ITS(Intelligent Transport Systems)ではGPS(Global Positioning System),VICS(Vehicle Information Communication System),ETC(Electronic Toll Collection System)等の無線規格に対応して複数の周波数が用いられており、将来も複数の周波数が並存する環境が続くと予想されている。
しかし、従来の無線通信では単一周波数のアンテナが用いられていたため、複数の周波数に対応する無線装置では単一周波数のアンテナを複数設ける必要があり、大型化していた。
また、無線装置表面で電波を良好に送受信できる領域は限られており、全てのアンテナを良好な電波環境に設置するには限界があった。そこで近年では1個のアンテナで複数の周波数に対応できる多周波(マルチバンド)対応アンテナが注目されている。
マルチバンド対応アンテナの従来例としては、1つはアンテナに複数の周波数に対応した放射素子を持たせる構造がある。例えば、共振長の異なる複数の放射素子を用いた構造としては、『多層板構成の3周波共振アンテナの設計と実測結果(電子情報通信学会技術報告,AP2002-141,p41〜46,2003年)』(非特許文献1)、『Multifrequency Microstrip Patch Antenna Using Multiple Stacked Elements (IEEE Microwave and Wireless Components Letters, vol.13, No.3, p123-124,2003年) 』(非特許文献2)、『2周波共用マイクロストリップアンテナ構成法の一検討(2003年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会,講演番号B-1-161)』(非特許文献3)等に開示されている。
しかしながら、上記のアンテナは、複数のアンテナを1箇所に配置した構造であり、無線装置表面で電波を良好に送受信できる領域は限られているため所望の電波全てを良好に送受信するのは困難であった。
また、1つの放射素子に複数の共振長を持たせた構造も提案されている。例えば、『変形シルピンスキー型マイクロストリップアンテナの放射特性に関する一検討(2003年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会,講演番号B-1-162)』(非特許文献4)、『2周波スロットボウタイアンテナ(2003年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会,講演番号B-1-176)』(非特許文献5)等の文献がある。
しかしながら、変形シルピンスキー型マイクロストリップアンテナでは、3つのバンドで放射パターンが異なり、同一エリアにおいて3周波を同じ条件で送受信できないという課題があった。また2周波スロットボウタイアンテナは、構造上3周波程度までしか対応できないと思われる。
そこで、アンテナの共振長をスイッチで切替える方法が多数提案されている。例えば、特開2000−236209号公報(特許文献1)、特開2002−261533号公報(特許文献2)、特開2003−124730号公報(特許文献3)、米国特許USP6198438(特許文献4)等がある。
特開2000−236209号公報(特許文献1)では、図13に示すように、金属片101をPINダイオード102で接続してダイポールアンテナを構成している。PINダイオード102にバイアスを印加してPINダイオード102の導通/遮断を切替えて共振長を変化させる。
そのため、1個の周波数に対してのみ共振し、所望以外の周波数の電波に対しては利得を小さくできるので、信号のS/N低下を抑制できる。特開2000−236209号公報(特許文献1)に用いられるダイポールアンテナは平衡電流で励振する必要がある。
しかしながら、RF回路に用いられる線路はマイクロストリップ線路やコプレナー線路等の不平衡電流を用いる場合が多く、平衡電流が必要な場合はアンテナと線路の間にバランを設けなければならない。
一般にバランは帯域が狭いため複数の周波数には対応できず、1個の周波数に対して1個ずつバランが必要となる。そのためマルチバンドに対応するためには、ダイポールアンテナの給電点近傍にマルチバンドの数だけバランを配置する必要があり、バランの設置面積でマルチバンドの数が制限されてしまう。よって特開2000−236209号公報(特許文献1)はデュアルバンド等の周波数帯の少ない場合は使えるが、周波数帯の多いマルチバンドには対応できないと思われる。
特開2002−261533号公報(特許文献2)では、図14に示すように、アンテナ素子パターン218に1個の給電点(給電パターン)219と複数の接地点(接地パターン)220a,220b,220c,220dを設け、これらの接地点220a,220b,220c,220dをそれぞれスイッチSW221a,SW221b,SW221c,SW221dで切替えて共振長を変化させるものである。211はアンテナ部、212は配線基板、213はグランドパターン、214はRFモジュールである。
しかしながら、特開2002−261533号公報(特許文献2)ではスイッチで短絡点を切替えるため、各周波数でアンテナの入力インピーダンスが変化してしまう。よって整合の取れる範囲内でしか接地点を動かすことができず、マルチバンドで可変しうる周波数範囲を大きくできないと思われる。
実際に特開2002−261533号公報(特許文献2)で開示された可変周波数帯は1.55〜2.2GHzであり、中心周波数1.8GHzに対して30%と小さい。よって携帯電話等の比較的近接した周波数帯を用いる場合は対応可能であるが、無線LANのように2.4GHz帯と5.2GHz帯を用いる場合は対応できないと予想される。
特開2003−124730号公報(特許文献3)では、図15(a)及び(b)に示すように、第1の放射素子320,第2の放射素子330,第3の放射素子340が切替え可能な給電点と短絡点を共有しており、スイッチSW360,SW362によって給電点と短絡点を切替えることで4つの周波数帯を実現している。300はアンテナ構造、305は短絡平面、310はサブアンテナ構造、322は第1の端部、324は給電ライン、332は第2の端部、334は間隔、342は第3の端部、350は給電ライン、370と372は無線周波数モジュール、A1,A2は開口である。
しかしながら、特開2003−124730号公報(特許文献3)では3つの放射素子320,330,340を同一平面に配置する必要があり、無線装置表面で電波を良好に送受信できる領域は限られていることから、4つの電波全てを良好に送受信するのは困難である。
米国特許USP6198438(特許文献4)では、図16に示すように、マトリックス状に配置された要素素子400が各々MEMSスイッチ420で接続される構造となっている。
全てのMEMSスイッチ420をOFF(遮断状態)にした場合は個々の要素素子の1辺が共振長となり、高周波に対応する。一方、全てのMEMSスイッチをON(導通状態)にした場合は個々の要素素子は接続されて全体が1個の矩形の放射素子となり、低周波で共振する。
ここで、米国特許USP6198438(特許文献4)では線路の特性インピーダンス(通常は50Ωを用いる)と整合するため、高周波の給電点405(個々の要素素子毎に設けられる)と低周波の給電点410(全体で一個設けられる)で異なる点を用いる。そのためマトリックス状に配置されたアレイアンテナに配置できる給電点の数によって対応できるマルチバンドの数が限定される欠点がある。
また、給電点を切替えるスイッチが必要になることから、アンテナの構造が複雑化してしまう。更に、MEMSスイッチ420上には給電点を設けることが困難といった欠点もある。図16の例では1個の要素素子で共振させる高周波給電点405と3×3アレイ全体で共振させる低周波給電点410は要素素子(放射素子400)上に配置できるが、2×2アレイを共振させたい場合はMEMSスイッチ上に給電点が来るため、たとえ3×3アレイを使っても2周波のみにしか対応できない。
また、多くの通信規格が並存するようになると周波数だけではなく偏波を制御して通信容量を改善する方法も取られている。従来は1個の直線偏波を用いていたが水平偏波と垂直偏波を切替える偏波ダイバシチーや円偏波が注目されつつあり、既にGPS(Global Positioning System),ETC(Electronic Toll Collection System),SADARS(Satellite Digital Audio Radio Services)等では円偏波が採用されている。
前記の従来例では、特許文献1の多層板構成の3周波共振アンテナにおいてGPS用アンテナとETC用アンテナは円偏波対応としている。しかしながら多層板構成の3周波共振アンテナでは1個の放射素子が1つの周波数に対応しており、1つの周波数では1個の偏波となり偏波自体を切替える機能は持っていない。そのため同一周波数で偏波を切替える場合は偏波に対応した数だけ放射素子が必要となり、アンテナが大型化する欠点がある。
また、アンテナの共振長をスイッチで切替える方法を開示した特許文献1〜4では円偏波は実現されておらず、偏波を切替える機能も持っていない。
なお、本出願人は、テーパードスロットアンテナに関して、特許出願を行っている。例えば、特開平10−13141号公報(特許文献5),特開平10−13143号公報(特許文献6),特開平10−173432号公報(特許文献7),特開平11−163626号公報(特許文献8)等がある。テーパードスロットアンテナは入力インピーダンスが広帯域に渡り一定であり、広帯域アンテナに区分される。比較的広い周波数帯で送受信が可能であるが、偏波切替え・指向性制御の機能は持っていない。
特開2000−236209号公報 特開2002−261533号公報 特開2003−124730号公報 米国特許USP6198438 特開平10−13141号公報 特開平10−13143号公報 特開平10−173432号公報 特開平11−163626号公報 多層板構成の3周波共振アンテナの設計と実測結果(電子情報通信学会技術報告,AP2002-141,p41〜46,2003年) Multifrequency Microstrip Patch Antenna Using Multiple Stacked Elements (IEEE Microwave and Wireless Components Letters, vol.13, No.3, p123-124,2003年) 2周波共用マイクロストリップアンテナ構成法の一検討(2003年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会,講演番号B-1-161) 変形シルピンスキー型マイクロストリップアンテナの放射特性に関する一検討(2003年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会,講演番号B-1-162) 2周波スロットボウタイアンテナ(2003年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会,講演番号B-1-176)
本発明は、1個の給電点で多周波に対応でき、RF回路との接続が容易で、かつ良好な送信効率、受信効率を実現できるマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナ技術を提供することを目的とするものである。以下、請求項毎の目的を記す。
請求項1〜は、1個の給電点で多周波に対応でき、RF回路との接続が容易で、かつ良好な送信効率、受信効率を実現できるマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナの構造を提供することを目的としている。
請求項は、より高い周波数に対応できるマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナの構造やETC、GPS等の低い周波数に対応できるマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナの構造を提供することを目的としている。
請求項は、前記スイッチの形状を工夫することによって、より帯域幅の広いマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナの構造を提供することを目的としている。
請求項は、良好な送信、受信あるいは送受信が行える無線システムの構造を提供することを目的としている。
本発明は、上記目的を達成するために、次のような構成を有している。以下、請求項毎の構成を述べる。
a)請求項1記載の発明は、誘電体の上面に対角線上に給電点を持つ長方形の給電素子と、該給電素子を取り囲む矩形の無給電素子がマトリックス状に配置され、前記給電素子と前記無給電素子、及び隣接した前記無給電素子間がスイッチによって接続され長方形の放射素子を形成する構造を有するマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナにおいて、前記長方形の給電素子の一辺の長さをL、他方の辺の長さをW、W側の2つの辺と前記給電点との距離のうち小さい方をLi、L側の2つの辺と前記給電点との距離のうち小さい方をWi、前記スイッチによって接続された長方形の放射素子の辺のうちL側に相当する辺の長さをL'、前記スイッチによって接続された長方形の放射素子の辺のうちW側に相当する辺の長さをW'、W'側の2つの辺と前記給電点との距離のうち小さい方をLi'、L'側の2つの辺と前記給電点との距離のうち小さい方をWi'とした場合、L/W=L'/W'、Li/L=Li'/L'、Wi/W=Wi'/W'の関係にある前記長方形の放射素子の形状が、前記給電素子と前記無給電素子、及び隣接した前記無給電素子間を接続する前記スイッチによって、前記給電素子を取り囲むように多重に複数形成され、かつ該複数形成された長方形の放射素子はそれぞれ同じ前記給電点を用いるとともに、前記複数形成された長方形の放射素子の形状と前記給電点との相対位置は、前記給電素子と前記給電点との相対位置と相似の関係にあることを特徴としている。
)請求項記載の発明は、請求項に記載のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナにおいて、前記給電点に切替スイッチによって接続される整合回路を設けたことを特徴としている。
)請求項記載の発明は、誘電体の上面に長方形の給電素子を有し、前記給電素子は長方形の1つの頂点から給電され、かつ前記給電素子の給電点と対向する頂点を構成する2辺を取り囲む矩形の無給電素子がマトリックス状に配置され、前記給電素子と前記無給電素子、及び隣接した前記無給電素子間はスイッチによって接続され長方形の放射素子を形成する構造を有するマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナであって、前記長方形の給電素子の一辺の長さをL、他方の辺の長さをW、前記スイッチによって接続された長方形の放射素子の辺のうちL側に相当する辺の長さをL'、前記スイッチによって接続された長方形の放射素子の辺のうちW側に相当する辺の長さをW'とした場合、L/W=L'/W'の関係にある前記長方形の放射素子の形状が、前記給電素子と前記無給電素子、及び隣接した前記無給電素子間を接続する前記スイッチによって、前記給電素子を取り囲むように多重に複数形成され、かつ該複数形成された長方形の放射素子はそれぞれ同じ前記給電点を用いるとともに、前記複数形成された長方形の放射素子の形状と前記給電点との相対位置は、前記給電素子と前記給電点との相対位置と相似の関係にあることを特徴としている。
)請求項記載の発明は、請求項に記載のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナにおいて、前記給電点に整合回路を設けたことを特徴としている。
)請求項記載の発明は、請求項1〜のいずれかに記載のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナにおいて、前記スイッチがMEMSスイッチまたはPINダイオードの少なくとも一方であることを特徴としている。
)請求項記載の発明は、請求項1〜のいずれかに記載のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナにおいて、前記スイッチは、前記給電素子または無給電素子の辺とほぼ同じ長さにわたって形成されることを特徴としている。
)請求項記載の発明は、請求項1〜のいずれかに記載のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナにおいて、前記スイッチの各々は、他のスイッチと対向する先端部分の形状をV字形状に延長し、対向する4つのスイッチの間隙がX字状になるようにしたことを特徴としている。
)請求項記載の発明は、請求項1〜のいずれかに記載のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナを用いたことを特徴とする送信,受信または送受信の無線システムである。
本発明は、上記の構成を有することで、次のような効果を有している。以下、請求項毎の効果を述べる。
a)請求項1記載のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナは、誘電体の上面に対角線上に給電点を持つ長方形の給電素子と、給電素子を取り囲む矩形の無給電素子がマトリックス状に配置され、給電素子と無給電素子、及び隣接した無給電素子間はスイッチによって接続され長方形の放射素子を形成できる構造となっている。更に長方形の給電素子の一辺の長さをL、他方の辺の長さをW、W側の2つの辺と給電点との距離のうち小さい方をLi、L側の2つの辺と給電点との距離のうち小さい方をWi、前記のスイッチによって接続された長方形の放射素子の辺のうちL側に相当する辺の長さをL'、W側に相当する辺の長さをW'、W'側の2つの辺と給電点との距離のうち小さい方をLi'、L'側の2つの辺と給電点との距離のうち小さい方をWi'とした場合、L/W=L'/W'、Li/L=Li'/L'、Wi/W=Wi'/W'の関係にある前記長方形の放射素子の形状が、前記給電素子と前記無給電素子、及び隣接した前記無給電素子間を接続する前記スイッチによって、前記給電素子を取り囲むように多重に複数形成され、かつ該複数形成された長方形の放射素子はそれぞれ同じ前記給電点を用いるとともに、前記複数形成された長方形の放射素子の形状と前記給電点との相対位置は、前記給電素子と前記給電点との相対位置と相似の関係になっている。
したがって、全てのスイッチがOFFの場合、給電素子は無給電素子と分離されて給電素子のみで共振する。長方形の給電素子を対角線上から給電するとL側とW側で直交した2つのモードが励振され、LとWの長さの比を適切に選ぶと、直交した2つのモードの位相差が90度となり円偏波が実現できる。
また、給電素子と無給電素子、及び隣接した無給電素子をスイッチで接続して長方形の放射素子を形成した場合は、L/W=L'/W'、Li/L=Li'/L'、Wi/W=Wi'/W'となっているため、スイッチで接続された放射素子の外形は給電素子と相似の関係になり、対角線上から給電される。
よって、スイッチで接続された長方形の放射素子は共振周波数の異なる円偏波を放射する。上記のように本発明の円偏波アンテナは全てのスイッチをOFFした場合は高周波のみで共振し、スイッチをONした場合は低周波のみで共振するため、低周波に相当するアンテナ面積でデュアルバンドの円偏波に対応でき、アンテナを小型化できる。
また、給電素子は長方形の放射素子に含まれるので、長方形の放射素子を無線機上で最もよい電波状況にある領域に配置することで給電素子も良好な電波状況に置くことができる。
更に、給電素子、長方形の放射素子とも単純な円偏波マイクロストリップアンテナ構造であるため同様の放射パターンとなる。
また、給電素子がマイクロストリップアンテナの構造を取っているため、同軸線を用いた不平衡電流で励振できる。そのため特開2000−236209号公報(特許文献1)とは異なり、バランが必要なくRF回路との接続が容易になる。
入力インピーダンスについて見ると、長方形の給電素子とスイッチで接続された長方形の放射素子では外形が相似でかつ給電点の相対位置も同じであることから、給電素子単体で共振した場合の入力インピーダンスとスイッチで接続された長方形の放射素子の入力インピーダンスとはほぼ近い値になる。
そのため、スイッチのON,OFFによって選択可能な各周波数において1個の給電点でほぼ整合され、反射が抑制されて電波を効率よく送信あるいは受信できる。よって米国特許USP6198438(特許文献4)と異なり周波数毎に給電点を切替える必要がなく、給電素子の給電点のみで多周波に対応でき、米国特許USP6198438(特許文献4)アンテナよりも構造が簡単になる。
また、全てのスイッチをOFFした場合とスイッチをONして複数の長方形の放射素子を形成した場合では全て共振周波数が異なり、スイッチの接続によって複数の周波数帯を選択することができる。
また、給電素子単体で共振させた場合に円偏波となるようにL,Wを選ぶと、複数の長方形の放射素子はその外形、給電点の相対位置が全て相似の関係にあるため円偏波を放射する。
また、アンテナの大きさは最も低周波に相当するアンテナ面積でよいので、アンテナを小型化できる。また給電素子、複数の長方形の放射素子は最も低周波で共振する長方形の放射素子に含まれるので、最も低周波で共振する長方形の放射素子を無線機上で最もよい電波状況にある領域に配置することで給電素子、長方形の放射素子を良好な電波状況に置くことができる。更に給電素子、長方形の放射素子とも単純な円偏波マイクロストリップアンテナ構造であるため同様の放射パターンとなる。
また、給電素子がマイクロストリップアンテナの構造を取っているため不平衡電流で励振される。そのためRF回路との接続が容易になる。
更に、スイッチによって接続される複数の長方形の放射素子は給電素子に対して、L/W=L'/W'、Li/L=Li'/L'、Wi/W=Wi'/W'の関係が成り立つため、スイッチで接続された複数の長方形の放射素子の入力インピーダンスは長方形の給電素子単体の入力インピーダンスと近い値となる。
そのため同一の給電点を用いても、給電素子単体及びスイッチで接続された複数の長方形の放射素子は給電線の特性インピーダンスにほぼ整合され、反射を抑制できる。その結果1個の給電点を用いてマルチバンドの全ての周波数帯で良好な円偏波が実現できる。
)請求項記載のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナは、給電点に切替スイッチによって接続される整合回路を設けている。ここで給電線の特性インピーダンスを給電素子の入力インピーダンスに合わせた場合、給電素子と無給電素子、及び隣接した無給電素子間のスイッチを全てOFFして給電素子で励振する時は切替スイッチをOFFにして給電線から整合回路を遮断することで、給電素子と給電線は整合される。
また、スイッチの接続によって長方形の放射素子を形成した場合、スイッチで囲まれた空隙によってアンテナ内の電流が制限されて入力インピーダンスが給電素子単体と若干異なった時は切替スイッチをONにしてアンテナを整合回路に接続することでアンテナの入力インピーダンスを給電線の特性インピーダンスに整合できる。その結果円偏波を実現できるマルチバンドの各周波数帯で良好な受信効率・送信効率が得られる。
)請求項記載のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナでは、誘電体の上面に長方形の給電素子があり、前記の給電素子は長方形の1つの頂点から給電され、かつ給電素子の給電点と対向する頂点を構成する2辺を取り囲む矩形の無給電素子がマトリックス状に配置され、給電素子と無給電素子、及び隣接した無給電素子間はスイッチによって接続され長方形の放射素子を形成できる構造となっている。
更に、長方形の給電素子の一辺の長さをL、他方の辺の長さをW、前記のスイッチによって接続された長方形の放射素子の辺のうちL側に相当する辺の長さをL'、W側に相当する辺の長さをW'とした場合、L/W=L'/W'となっている。
したがって、全てのスイッチがOFFの場合、給電素子は無給電素子と分離されて給電素子のみで共振する。
長方形の給電素子を頂点から給電するとL側とW側で直交した2つのモードが励振される。ここでLとWの長さの比を適切に選ぶと、直交した2つのモードの位相差が90度となり円偏波が実現できる。
また、給電素子の給電点と対向する頂点を構成する2辺を取り囲む2個の矩形の無給電素子と給電素子、隣接した無給電素子間をスイッチで接続して長方形の放射素子を形成した場合は、L/W=L'/W'となっているため、スイッチで接続された放射素子の外形は給電素子と相似の関係になり、放射素子の頂点から給電される。よってスイッチで接続された長方形の放射素子は共振周波数の異なる円偏波を放射する。
上記のように本発明の円偏波アンテナは全てのスイッチをOFFした場合は高周波のみで共振し、スイッチをONした場合は低周波のみで共振するため、低周波に相当するアンテナ面積でデュアルバンドの円偏波に対応でき、アンテナを小型化できる。
また、給電素子は長方形の放射素子に含まれるので、長方形の放射素子を無線機上で最もよい電波状況にある領域に配置することで給電素子も良好な電波状況に置くことができる。更に給電素子、長方形の放射素子とも単純な円偏波マイクロストリップアンテナ構造であるため同様の放射パターンとなる。
また、給電素子がマイクロストリップアンテナの構造を取っているため、同軸線を用いた不平衡電流で励振できる。
入力インピーダンスについて見ると、長方形の給電素子とスイッチで接続された長方形の放射素子では外形が相似でかつ頂点から給電されるので、給電素子単体で共振した場合の入力インピーダンスとスイッチで接続された長方形の放射素子の入力インピーダンスとはほぼ近い値になる。そのためスイッチのON,OFFによって選択可能な各周波数において1個の給電点でほぼ整合され、反射が抑制されて電波を効率よく送信あるいは受信できる。
また、L/W=L'/W'関係にある長方形の放射素子の形状が、給電素子と前無給電素子、及び隣接した無給電素子間を接続する前記のスイッチによって、前記給電素子を取り囲むように多重に複数形成され、かつ該複数形成された長方形の放射素子はそれぞれ同じ前記給電点を用いるとともに、前記複数形成された長方形の放射素子の形状と前記給電点との相対位置は、前記給電素子と前記給電点との相対位置と相似の関係になっている。
また、全てのスイッチをOFFした場合とスイッチをONして複数の長方形の放射素子を形成した場合では全て共振周波数が異なり、スイッチによって複数の周波数帯を選択することができる。
また、給電素子単体で共振させた場合に円偏波となるようにL,Wを選ぶと複数の長方形の放射素子はその外形、給電点の相対位置が全て相似の関係にあるため円偏波を放射する。
また、アンテナの大きさは最も低周波に相当するアンテナ面積でよいので、アンテナを小型化できる。また給電素子、複数の長方形の放射素子は最も低周波で共振する長方形の放射素子に含まれるので、最も低周波で共振する長方形の放射素子を無線機上で最もよい電波状況にある領域に配置することで給電素子、長方形の放射素子を良好な電波状況に置くことができる。
更に給電素子、長方形の放射素子とも単純な円偏波マイクロストリップアンテナ構造であるため同様の放射パターンとなる。また、給電素子がマイクロストリップアンテナの構造を取っているため、同軸線を用いた不平衡電流で励振できる。
更に、スイッチによって接続される複数の長方形の放射素子は給電素子に対して、L/W=L'/W'の関係が成り立つため、スイッチで接続された複数の長方形の放射素子の入力インピーダンスは長方形の給電素子単体の入力インピーダンスと近い値となる。そのため同一の給電点を用いても、給電素子単体及びスイッチで接続された複数の長方形の放射素子は給電線の特性インピーダンスにほぼ整合され、反射を抑制できる。
)請求項記載のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナにおいては、給電点に整合回路を設けている。ここで給電素子の入力インピーダンスをRF回路の出力インピーダンスに整合するように整合回路の定数を選ぶと、給電素子とRF回路の間で反射を抑制できる。
また、給電素子と無給電素子、及び隣接した無給電素子間を接続するスイッチをONして長方形の放射素子を形成した場合、長方形の放射素子の入力インピーダンスは給電素子の入力インピーダンスとほぼ近い値であるため、スイッチを接続して長方形の放射素子を形成した場合もアンテナとRF回路との間で反射を抑制できる。
)請求項記載のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナにおいては、給電素子と無給電素子、及び隣接した無給電素子間を接続するスイッチがMEMSスイッチやPINダイオードの少なくとも一方である。
MEMSスイッチを用いた場合は、100GHz程度までの高周波も良好に信号を遮断でき、更に挿入ロスも小さいことから、より高い周波数、例えばミリ波を対象としたマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナを構成することができる。
一方、PINダイオードは安価に入手でき、かつ10〜20GHzまでは良好に信号を遮断できることから、よりGPSやETC等のような低周波の円偏波に適用できる。
)請求項記載のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナにおいては、スイッチ間の空隙を小さくできるので、より広い帯域のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナを実現できる。
)請求項記載のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナにおいては、スイッチ間の空隙をより小さくできるので、より広い帯域のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナを実現できる。
)請求項記載の無線システムは、請求項1〜のいずれかのマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナを用いているため、複数の無線規格に対応できる。また所望の周波数では良好な円偏波を実現しているので、良好な送信・受信あるいは送受信が行える。
また、アンテナの給電点が1個であるため米国特許USP6198438(特許文献4)よりもアンテナの構造が簡単になり、より安価にアンテナを製造できる。その結果良好な送信・受信あるいは送受信特性を持つ円偏波に対応した無線システムをより安価に製造できる。
以下、本発明を実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
<実施例1>
図1は、本発明のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナの一例を示す図である。同図(a)は上面図、同図(b)は断面図を示している。
本例のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテは、2周波に対応しており、比誘電率3.9の石英基板からなる誘電体10の下面に銅箔パターンからなる地板11が形成されており、誘電体10の上面には銅箔パターンからなる1個の長方形の給電素子12があり、この給電素子12は長方形の対角線上に1個の給電点13を持っている。
また、給電素子12を取り囲む矩形の無給電素子14がマトリックス状に配置されており、給電素子12と無給電素子14、及び隣接した無給電素子14間はスイッチ15によって接続できる構造となっている。
この構成において、全てのスイッチ15がONになった場合は長方形の放射素子16が形成される。尚、同図(b)に示されているように、給電素子12は誘電体10を貫通した同軸線17によってインセット給電される構造となっている。
ここで、長方形の給電素子12の一辺の長さをL、他方の辺の長さをW、W側の2つの辺と給電点13との距離のうち小さい方をLi、L側の2つの辺と給電点13との距離のうち小さい方をWiとする。
一方、全てのスイッチ15がOFFの場合、給電素子12は無給電素子14と分離され、給電素子12のみで共振する。長方形の給電素子12を対角線上から給電するとL側とW側で直交した2つのモードが励振される。ここでLとWの長さの比を適切に選ぶと、直交した2つのモードの位相差が90度となり円偏波が実現できる。
具体的には両辺が等しい場合の正方形マイクロストリップアンテナの無負荷QをQoとした場合、L<Wの場合は、
W/L=1+(1/Qo)
とすれば円偏波となる。なお、本発明の考え方は軸比が1からずれた楕円偏波についても同様に適用できるので、本発明には楕円偏波も含まれるものとする。
次に、給電素子12と無給電素子14、及び隣接した無給電素子14間をスイッチ15で接続して長方形の放射素子16を形成した場合を説明する。
長方形の放射素子16の辺のうちL側に相当する辺の長さをL'、W側に相当する辺の長さをW'、W'側の2つの辺と給電点13との距離のうち小さい方をLi'、L'側の2つの辺と給電点13との距離のうち小さい方をWi'とする。尚、スイッチ15で接続した長方形の放射素子16も給電点は給電素子12と同じ給電点13を用いることとする。
本発明の特徴は、
L/W=L'/W' ・・・・・・・・・・・・・(1)
Li/L=Li'/L' ・・・・・・・・・・・・・(2)
Wi/W=Wi'/W' ・・・・・・・・・・・・・(3)
となることである。本例ではスイッチ15で接続された放射素子16は給電素子12の2倍の大きさとし、L'=2L、W'=2Wとしている。
スイッチ15で接続された放射素子16は、スイッチ15で囲まれた空隙も存在するが、その外形はほぼ長方形であり、(1)式の関係から給電素子12と相似の関係にある。
ここで、給電素子12のLとWの比は、対角線上から給電された場合、2つのモードの位相差が90度になるように設定されているので、給電素子12と相似の関係にあるスイッチで接続された放射素子16の辺L',W'も対角線上から給電された場合、共振周波数は異なるが2つの直交したモードは位相差が90度になる。
また(2)式及び(3)式の関係から、給電素子12に対する給電点13の相対位置は、スイッチ15で接続された放射素子16に対する給電点13の相対位置と同じ関係にある。本例では、給電点13は給電素子12の対角線上にあるので、スイッチ15で接続された放射素子16についても給電点13は長方形の放射素子16の対角線上にあることになる。
よって、上記の(1)〜(3)式を満たしているので、スイッチ15で接続された長方形の放射素子16も円偏波を実現できる。その場合の共振周波数は、スイッチ15で接続された放射素子16の辺L,Wの長さで決まり、本例ではL'=2L、W'=2Wとなっているため給電素子12の約1/2の周波数となる。その結果、本例のアンテナは、給電素子12単体で共振させる場合と合わせて2周波の円偏波に対応できる。
上記のように、本例の円偏波アンテナは、全てのスイッチをOFFした場合は高周波のみで共振し、全てのスイッチをONした場合は低周波のみ共振するため、低周波に相当するアンテナ面積でデュアルバンドの円偏波に対応でき、アンテナを小型化できる。
また、給電素子12は長方形の放射素子16に含まれるので、長方形の放射素子16を無線機上で最もよい電波状況にある領域に配置することで給電素子12も良好な電波状況に置くことができる。更に、給電素子12、長方形の放射素子16とも単純な円偏波マイクロストリップアンテナ構造であるため同様の放射パターンとなる。
また、給電素子12がマイクロストリップアンテナの構造を取っているため、同軸線を用いた不平衡電流で励振できる。そのため特開2000−236209号公報(特許文献1)とは異なり、バランが必要なくRF回路との接続が容易になる。尚、同軸線17の代わりにマイクロスストリップ線やコプレナー線等の不平衡モードを用いても励振が可能である。
次に、スイッチ15で接続された放射素子16の入力インピーダンスを考える。
マイクロストリップアンテナは辺の中央からインセット給電する場合(図2参照)、アンテナの入力インピーダンスは近似式から求めることができる。
マイクロストリップアンテナの励振方向の辺の長さをY、励振方向と直交する辺の長さをX、給電点13と励振方向と直交する辺の距離をYi、誘電体の比誘電率をεr、アンテナ端での入力インピーダンスをRa、インセット給電での入力インピーダンスをRinとすると、次のように記述される。
Ra=90{(εr/(εr-1))(Y/X)2}・・・・(4)
Rin=Ra{cos((π/Y)Yi’)}2 ・・・・ (5)
上記の式から判るように、矩形のマイクロストリップアンテナではアンテナ端での入力インピーダンスRaは(Y/X)2に比例し、インセット給電での入力インピーダンスRinは(Yi'/Y)に影響される。
対角線上から給電する場合も同様に考えることができ、本例の給電素子12、スイッチで接続された放射素子16もインセット給電であるので、その入力インピーダンスZinはL側,L'側のモードでは(L/W)、(L'/W')、(Li/L),(Li'/L')、W側のモードでは(L/W)、(L'/W')、(Wi/W),(Wi'/W')に影響される。
ここで本例では、
L/W=L'/W'
Li/L=Li'/L'
Wi/W=Wi'/W'
が成り立っている。
よって、給電素子12と無給電素子14、及び隣接した無給電素子12をスイッチ15で接続した本例の放射素子16はインセット給電での入力インピーダンスZin'が給電素子12単体での入力インピーダンスZinとほぼ近い値となる。
一般に、インセット給電では、給電素子12の給電点13は同軸線17の特性インピーダンス(通常は50Ω)と整合できる位置に設けられている。本例のアンテナではスイッチ15で接続した放射素子16の入力インピーダンスZin'が給電素子12の入力インピーダンスZinと近いため、スイッチ15で接続して低周波対応とした場合も同軸線17の特性インピーダンス(通常は50Ω)とほぼ整合された状態となり、反射が抑制され、電波を効率よく送信あるいは受信できる。
そのため、米国特許USP6198438(特許文献4)と異なり、周波数毎に給電点13を切替える必要がなく、給電素子12の給電点13のみで2周波に対応でき、米国特許USP6198438(特許文献4)のアンテナよりも構造が簡単になる。
尚、本例では(1)式,(2)式,(3)式の関係を満たすため、図3に示すように、給電素子12の回りに配置した8個の無給電素子P1〜P8とスイッチ15の外形を以下のようにした。
PL1+SL1=L-Li ・・・・・・・・・・・・・(6)
PL2+SL2=Li ・・・・・・・・・・・・・(7)
PW1+SW1=Wi ・・・・・・・・・・・・・(8)
PW2+SW2=W-Wi ・・・・・・・・・・・・・(9)
ここで、
P1,P2,P3のL'側の長さ:PL1、
P4,P5のL'側の長さ:L、
P6,P7,P8の励振方向の長さ:PL2、
P1-P4,P2-給電素子,P3-P5を接続するスイッチのL'側の長さ:SL1、
P4-P6,給電素子-P8,P5-P8を接続するスイッチのL'側の長さ:SL2、
P1,P4,P6のW'側の長さ:PW1、
P2,P7のW'側の長さ:W、
P3,P5,P8のW'側の長さ:PW2、
P1-P2,P4-給電素子,P6-P7を接続するスイッチのW'側の長さ:SW1、
P2-P3,給電素子-P5,P7-P8を接続するスイッチのW'側の長さ:SW2、
(6)式,(7)式,(8)式,(9)式のように無給電素子P1〜P8とスイッチ15の外形と間隔を設定したため、スイッチ15で接続した矩形の放射素子16の外形は、
L'=PL1+SL1+L+SL2+PL2=(L-Li)+L+(Li)=2L
W'=PW1+SW1+W+SW2+PW2=(Wi)+W+(W-Wi)=2W
∴L/W=L'/W'
となり、(1)式を満たし、スイッチ15で接続した放射素子16は給電素子12の2倍の大きさとなる。
また、スイッチ15で接続した放射素子16の給電点13の位置を見ると、L'側については、
Li'=PL2+SL2+Li=(Li)+Li=2Li
となっており、本例ではL'=2Lとしていることから、
Li'/L'=2Li/2L=Li/L
となり、(2)式を満たすことが判る。
また、W'側については、
Wi'=PW1+SW1+Wi=(Wi)+Wi=2Wi
となっており、本例ではW'=2Wとしていることから、
Wi'/W'=2Wi/2W=Wi/W
となり、(3)式を満たすことが判る。
その他のスイッチの寸法、つまりP1-P4, P4-P6を接続するスイッチ15のW'側の長さはPW1以下、P2-給電素子,給電素子-P8を接続するスイッチ15のW'側の長さはW以下、 P3-P5, P5-P8を接続するスイッチ15のW'側の長さはPW2以下、P1-P2, P2-P3を接続するスイッチ15のL'側の長さはPL1以下、P6-P7, P7-P8を接続するスイッチ15のL'側の長さはPL2以下、P4-給電素子12,給電素子12-P5を接続するスイッチ15のL'側の長さはL以下とすればよい。
尚、(6)式〜(9)式の関係はスイッチ15によって接続された矩形の放射素子16と給電素子12の外形や給電点13の相対位置が、(1)式〜(3)式を満たすための1条件に過ぎず、本発明が(6)式〜(9)式に限定される必要はない。
本発明は、
L/W=L'/W'
Li/L=Li'/L'
Wi/W=Wi'/W'
となるように、無給電素子の外形と給電素子12と無給電素子の間隔、及び無給電素子間の間隔を調整していればよく、上記の条件を満たすように無給電素子の外形と給電素子12と無給電素子の間隔、及び無給電素子間の間隔を調整していれば本発明に含まれるものとする。
また、本例では給電素子12と無給電素子14、及び隣接した無給電素子14間を接続するスイッチ15は、MEMSスイッチあるいはPINダイオードからなることが望ましい。
MEMSスイッチを用いた場合は、100GHz程度までの高周波も良好に信号を遮断でき、更に、挿入ロスも小さいことから、より高い周波数、例えばミリ波を対象とした2周波対応円偏波マイクロストリップアンテナを構成することができる。
一方、PINダイオードは安価に入手でき、かつ10〜20GHzまでは良好に信号を遮断できることから、GPS,ETC等のより低周波での円偏波多周波対応に適している。
MEMSスイッチやPINダイオードは表面実装によって誘電体表面に設け、給電素子12と無給電素子14、あるいは無給電素子14間を接続すればよい。またGaAs基板等の高抵抗半導体基板を誘電体10として用いる場合は、半導体プロセスを用いてMEMSスイッチやPINダイオードを半導体基板に作り込み、給電素子12と無給電素子14、あるいは無給電素子14間を接続すればよい。
<実施例2>
図4は、本発明のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナの別の一例を示す図である。
本例のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテは比誘電率約10のアルミナ基板からなる誘電体10の下面には銅箔パターンからなる地板(図示せず)が形成されており、誘電体10の上面には銅箔パターンからなる1個の長方形の給電素子12があり、該給電素子12は長方形の対角線上に1個の給電点13を持っている。
また、給電素子12を2重に取り囲む矩形の無給電素子14がマトリックス状に配置されており、給電素子12と無給電素子14、及び隣接した無給電素子14間はスイッチ15によって接続できる構造となっている。
給電素子12を1重で取り囲む無給電素子14と給電素子12を接続するスイッチ15と給電素子12を1重で取り囲む無給電素子14間を接続するスイッチ15がONになった場合は、第1の長方形の放射素子161(外形はL'×W')が形成され、全てのスイッチ15がONになった場合は、第2の長方形の放射素子162(外形はL''×W'') が形成される。
尚、本例においても給電素子12は実施例1と同様に誘電体10を貫通した同軸線(図示せず)によってインセット給電される構造となっている。
本発明の特徴は、
L/W=L'/W'
Li/L=Li'/L'
Wi/W=Wi'/W'
との関係にある長方形の放射素子の形状が、給電素子と無給電素子、及び隣接した無給電素子間を接続する前記のスイッチ15によって複数取ることができることである。
本例ではスイッチ15で接続した第1の放射素子161とスイッチ15で接続した第2の放射素子162が、給電素子12と
L/W=L'/W'
Li/L=Li'/L'
Wi/W=Wi'/W'
との関係にある。
つまり、給電素子12を1重で取り囲む無給電素子14と給電素子12を接続するスイッチ15と給電素子12を1重で取り囲む無給電素子間を接続するスイッチ15をONにした場合に形成される第1の長方形の放射素子161(外形はL'×W')において、給電素子12のL側に相当する辺の長さをL'、W側に相当する辺の長さをW'、 W'側の2つの辺と給電点13との距離のうち小さい方をLi'、L'側の2つの辺と給電点13との距離のうち小さい方をWi'とし、給電素子12を1重で取り囲む無給電素子14と給電素子12を接続するスイッチ15と給電素子12を2重で取り囲む無給電素子14間を接続するスイッチ15をONにした場合、つまり全てのスイッチ15がONになった場合に形成される第2の長方形の放射素子162(外形はL''×W'')において、給電素子12のL側に相当する辺の長さをL''、W側に相当する辺の長さをW'’、 W''側の2つの辺と給電点13との距離のうち小さい方をLi'’、L''側の2つの辺と給電点13との距離のうち小さい方をWi'’とした場合、
L/W=L'/W'=L''/W'' ・・・・・・・・・・・・・(10)
Li/L=Li'/L'=Li''/L'' ・・・・・・・・・・・・(11)
Wi/W=Wi'/W'=Wi''/W'' ・・・・・・・・・・・・・(12)
となっている。尚、第1、第2の長方形の放射素子も給電点は給電素子12と同じ給電点13を用いている。
本実施例では、スイッチ15で接続された第1の放射素子161は給電素子12の2倍の大きさとし、L'=2L、W'=2W、Li'=2Li、Wi'=2Wiであり、スイッチ15で接続された第2の放射素子162は給電素子12の3倍の大きさとし、L''=3L、W''=3W、Li''=3Li 、Wi''=3Wiである。
全てのスイッチ15がOFFの場合は、給電素子12単体で共振する。長方形の給電素子12を対角線上から給電するとL側とW側で直交した2つのモードが励振される。ここでLとWの長さの比を適切に選ぶと、直交した2つのモードの位相差が90度となり円偏波が実現できる。その時の共振周波数をfとする。
スイッチ15で接続した第1の長方形の放射素子161及び第2長方形の放射素子162は(10)式〜(12)式を満たすので、その外形・給電点の相対位置は給電素子12と相似の関係になる。
よって、第1の長方形の放射素子161では、各辺(L'、W')が給電素子12の各辺(L、W)の2倍であることから、約f/2の円偏波を放出する。厳密には、スイッチで15囲まれた空隙による影響も考慮しなければならないので、共振周波数はf/2から若干ずれる。
また、第2の長方形の放射素子162では、各辺(L'’、W'')が給電素子12の各辺(L、W)の3倍であることから、約f/3の円偏波を放出する。厳密には、スイッチ15で囲まれた空隙による影響も考慮しなければならないので、共振周波数はf/3から若干ずれる。
よって、本例のアンテナでは、スイッチ15のON/OFFによって選択的に3周波に対応できる。その結果、低周波に相当するアンテナ面積で3周波の円偏波に対応でき、アンテナを小型化できる。
また、給電素子12及び第1の放射素子161は第2の放射素子162に含まれるので、第2の放射素子162を無線機上で最もよい電波状況にある領域に配置することで給電素子12及び第1の放射素子161とも良好な電波状況に置くことができる。
更に、給電素子12、第1の放射素子161、第2の放射素子162は、単純な円偏波マイクロストリップアンテナ構造であるため同様の放射パターンとなる。
また、本例のアンテナは、実施例1と同様に給電素子12がマイクロストリップアンテナの構造を取っているため、不平衡電流での励振が可能であることから、RF回路との接続が容易になる。
次に、第1の放射素子161の入力インピーダンスZin'と第2の長方形の放射素子162の入力インピーダンスZin''について説明する。
本例においてもスイッチ15で接続された第1の放射素子161はスイッチ15で囲まれた空隙を持つが外形は矩形であるため、その入力インピーダンスZin’はL'側のモードでは(L'/W')と(Li’/L’)、W’側のモードでは(L'/W')と(Wi’/W’)に影響される。
第2の放射素子162もスイッチ15で囲まれた空隙を持つが外形は矩形であるため、その入力インピーダンスZin’’はL'’側のモードでは(L'’/W'’)と(Li’’/L'’)、W’’側のモードでは、(L'’/W'’)と(Wi'’/W'’)に影響される。
ここで、本例では、
L/W=L'/W'=L''/W''
Li/L=Li'/L'=Li''/L''
Wi/W=Wi'/W'=Wi''/W''
が成り立っているので、スイッチ15で接続した第1の放射素子161及び第2の放射素子162の入力インピーダンスZin'、Zin''は給電素子12単体での入力インピーダンスZinとほぼ近い値となる。
よって、スイッチ15の接続により第1の放射素子161や第2の放射素子162を形成して、給電素子12よりも低周波対応とした場合も同軸線17の特性インピーダンスとほぼ整合された状態となり、反射が抑制され、電波を効率よく送信あるいは受信できる。そのため米国特許USP6198438(特許文献4)と異なり、周波数毎に給電点13を切替える必要がなく、給電素子12の給電点のみで3周波に対応できる。
本例においても実施例1と同様に、無給電素子14の外形と給電素子12と無給電素子14の間隔、及び無給電素子14間の間隔を調整して、
L/W=L'/W'=L''/W''
Li/L=Li'/L'=Li''/L''
Wi/W=Wi'/W'=Wi''/W''
とした。また給電素子12と無給電素子14、及び隣接した無給電素子14間を接続するスイッチ15はMEMSスイッチあるいはPINダイオードが使用できる。
尚、実施例1では2周波対応、本例では3周波対応の円偏波アンテナについて説明したが、本発明のアンテナは2周波や3周波対応に限定されるものではない。
より多くの周波数帯に対応する場合は、給電素子12を無給電素子14によってより多重に取り囲み、給電素子12と無給電素子14、無給電素子14間をスイッチ15で接続できる構造とし、マルチバンドの各周波数で、
L/W=L'/W'
Li/L=Li'/L'
Wi/W=Wi'/W'
との関係になるように、無給電素子14の外形、給電素子12と無給電素子14の間隔、及び無給電素子14間の間隔等を調整すればよい。
<実施例3>
図5は、本発明のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナの別の一例を示す図である。同図(a)は上面図、同図(b)は断面図を示している。
本例のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテは、実施例1のアンテナの給電点13とRF回路19の間に切替スイッチ181,182によって接続される整合回路18を設けたものである。
実施例1ではスイッチ15で接続された放射素子16は、
L/W=L'/W'
Li/L=Li'/L'
Wi/W=Wi'/W'
が成り立っているが、スイッチ15で囲まれた空隙がアンテナ内の電流を制限するためインセット給電での入力インピーダンスZin'は給電素子の入力インピーダンスZinと若干のずれを生じる。
一般にインセット給電では、給電素子12の給電点13をRF回路19の出力インピーダンス(通常50Ω)と整合できる位置に設けるため、スイッチ15で接続した放射素子16はRF回路19の出力インピーダンスと完全には整合できず、電波の送信・受信効率が若干低下する。
本例ではアンテナの給電点13の直下に切替スイッチ181,182によって接続される整合回路18を設けており、給電素子12を共振させて高周波対応にする場合は切替スイッチ181,182をOFFにし、同軸線17によって給電素子12を直接励振する。
一方、スイッチ15によって接続した放射素子16を用いて低周波対応とする場合は、切替スイッチ181,182をONしてアンテナを整合回路18に接続し、アンテナの入力インピーダンスを50Ωに整合してからRF回路19と接続する。そのためスイッチ15で接続した放射素子16を用いる低周波対応においても効率的な送受信が可能となる。
なお、本例では整合回路18によってスイッチ15で接続した放射素子16の入力インピーダンスを整合する場合を説明したが、スイッチ15で接続した放射素子16の入力インピーダンスをRF回路19の出力インピーダンスに合わせ、給電素子12を励振する場合に切替スイッチ181,182をONにして整合回路18とアンテナを接続して整合を行ってもよい。
整合回路18の構成としては、アンテナの共振周波数が比較的小さい場合はキャパシタやインダクタの集中定数素子をL型、π型、T型に構成した回路を用いればよい。アンテナの共振周波数が高い場合はスタブ等の分布定数回路をL型、π型、T型に構成した回路を用いることができる。
また、移相器とキャパシタによって整合回路18を構成してもよく、一般的に知られている整合回路をアンテナの共振周波数に合わせて使い分ければよい。
尚、実施例1は2周波対応であるため給電素子12を50Ωに整合した場合は、スイッチ15で接続した放射素子16を50Ωに整合する整合回路18を設ければよいので固定式が適している。
一方、実施例2では3周波対応となっているため、給電素子12を50Ωに整合した場合、固定式の整合回路では第1あるいは第2の放射素子の一方のみを50Ωに整合し、他方を50Ωに整合することはできない。
第1、第2の放射素子の受信・送信効率をより改善するためには個々の周波数毎に整合回路を設け、周波数毎に切替スイッチで選択するか、可変のキャパシタや可変の移相器を1個以上含む可変の整合回路を設けるのがよい。
<実施例4>
図6は、本発明のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナの別の一例を示す図である。同図(a)は上面図、同図(b)は断面図を示している。
本例のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテは2周波に対応しており、誘電率3.9の石英基板からなる誘電体10の下面にAu箔パターンからなる地板11が形成されており、誘電体10の上面にはAu箔パターンからなる長方形の給電素子12があり、前記給電素子12は長方形の1つの頂点の給電点131から給電される。給電線130は誘電体10上にマイクロストリップ線で構成され、長方形の給電素子12の1個の頂点に接続されている。
また、給電素子12の給電点131と対向する頂点を構成する2辺を取り囲む矩形の無給電素子14がマトリックス状に配置されている。更に、給電素子12と無給電素子14、及び隣接した無給電素子14間はスイッチ15によって接続できる構造となっており、全てのスイッチ15がONになった場合は長方形の放射素子16が形成される。ここで長方形の給電素子12の一辺の長さをL、他方の辺の長さをWとする。
全てのスイッチ15がOFFの場合、給電素子12は無給電素子14と分離され、給電素子12のみで共振する。
長方形の給電素子12を頂点の給電点131から給電するとL側とW側で直交した2つのモードが励振される。ここで、LとWの長さの比を適切に選ぶと、直交した2つのモードの位相差が90度となり円偏波が実現できる。
具体的には、両辺が等しい正方形マイクロストリップアンテナの無負荷QをQoとした場合、L<Wの場合は
W/L=1+(1/Qo)
とすれば円偏波となる。
なお、本発明の考え方は軸比が1からずれた楕円偏波についても同様に適用できるので、本発明には楕円偏波も含まれるものとする。
次に、給電素子12の給電点131と対向する頂点を構成する2辺を取り囲む2個の矩形の無給電素子14と給電素子12、及び隣接した無給電素子14間をスイッチ15で接続して長方形の放射素子16を形成した場合を説明する。
長方形の放射素子16の辺のうちL側に相当する辺の長さをL'、W側に相当する辺の長さをW'とする。スイッチ15で接続した放射素子16も給電素子12と同じ給電点131を用いる。
本発明の特徴は
L/W=L'/W' ・・・・・・・・・・・・・(13)
となることである。
本例ではスイッチ15で接続された放射素子16は給電素子12の2倍の大きさとし、L'=2L、W'=2Wとしている。スイッチ15で接続された放射素子16はスイッチ15で囲まれた空隙も存在するが、その外形はほぼ長方形であり、(13)式の関係から給電素子12と相似の関係にある。
ここで、給電素子12のLとWの比は頂点から給電された場合2つのモードの位相差が90度になるように設定されているので、給電素子12と相似の関係にあるスイッチ15で接続された放射素子16の辺L',W'も頂点から給電された場合は共振周波数は異なるが2つのモードは位相差が90度になる。
長方形の放射素子16は給電点131と対向する頂点を構成する2辺を取り囲む2個の矩形の無給電素子14と給電素子12を接続した形状であるため、放射素子16の給電点131は長方形の放射素子16の頂点になる。
よって、スイッチ15で接続された長方形の放射素子16も長方形の頂点から給電されることになり、長方形の放射素子16も円偏波を実現できる。その場合の共振周波数はスイッチ15で接続された放射素子16の辺L’,W’の長さで決まり、本例ではL'=2L、W'=2Wとなっているため給電素子12の約1/2の周波数となる。
以上のように、本例の構造を用いると、全てのスイッチ15のOFFした場合は給電素子12単体で共振する高周波の円偏波を放射し、全てのスイッチ15をONした場合は低周波の円偏波を放射することから、2周波の円偏波を実現できる。またアンテナの大きさは低周波に相当するアンテナ面積のみでよく、アンテナを小型化できる。
また、給電素子12は長方形の放射素子16に含まれるので、長方形の放射素子16を無線機上で最もよい電波状況にある領域に配置することで給電素子12も良好な電波状況に置くことができる。
更に、給電素子12、矩形の放射素子16とも単純な円偏波マイクロストリップアンテナ構造であるため同様の放射パターンとなる。
また、給電素子12がマイクロストリップアンテナの構造を取っているため、マイクロストリップ線で励振できる。そのため、特開2000−236209号公報(特許文献1)とは異なり、バランが必要なくRF回路との接続が容易になる。
次に、本例のアンテナの入力インピーダンスについて説明する。
すべてのスイッチ15をOFFして給電素子12のみで共振させる場合、給電素子12はアンテナ端から給電されているので、入力インピーダンスZaは給電素子12を構成する2辺の比(L/W)に影響される。
一方、給電素子12と無給電素子14、及び隣接した無給電素子14をスイッチ15で接続して長方形の放射素子16を形成した場合も、外形がほぼ長方形でありその頂点から給電されているので、入力インピーダンスは長方形を構成する2辺の長さ(L'/W')に影響される。厳密にはスイッチ15で囲まれた空隙による影響も考慮しなければならないが、入力インピーダンスに大きな変化は与えない。
ここで本例では、
L/W=L'/W'
が成り立っているので、スイッチ15で接続された放射素子16の入力インピーダンスZa'は給電素子12単体の入力インピーダンスZaとほぼ近い値となる。
給電素子12の頂点から給電する場合、マイクロストリップ線の特性インピーダンスを給電素子12の入力インピーダンスと一致させて用いるか、50Ωのマイクロストリップ線をλ/4線路を用いて抵抗値を変換し、給電素子12の入力インピーダンスに整合して用いるのが一般的である。
本例のアンテナではスイッチ15で接続した放射素子16の入力インピーダンスZa'が給電素子12の入力インピーダンスZa近いため、スイッチ15をONして低周波対応とした場合も給電線130であるマイクロストリップ線とほぼ整合した状態となり、反射が抑制され、電波を効率よく送信あるいは受信できる。
よって、本例においても米国特許USP6198438(特許文献4)と異なり、周波数毎に給電点131を切替える必要がなく、給電素子12の頂点から給電することによって2周波に対応でき、米国特許USP6198438(特許文献4)のアンテナよりも構造が簡単になる。
尚、本例では(13)式の関係を満たすため、図7に示すように給電素子12の回りに配置した3個の無給電素子14(P1〜P3)とスイッチ15の外形を以下のようにした。
PL+SL=L ・・・・・・・・・・・・・(14)
PW+SW=W ・・・・・・・・・・・・・(15)
ここで、
P1,P2のL'側の長さ:PL
P3のL'側の長さ:L
P1-給電素子,P2-P3を接続するスイッチのL'側の長さ:SL
P1のW'側の長さ:W
P2,P3のW'側の長さ:PW
P1-P2,給電素子-P3を接続するスイッチのW'側の長さ:SW
(14)式及び(15)式のように無給電素子14(P1〜P3)とスイッチ15の外形、間隔を設定したため、スイッチ15で接続した放射素子16の外形は、
L'=PL+SL+L=(L)+L=2L
W'=W+SW+PW=W+(W)=2W
∴L/W=L'/W'
となって(13)式を満たす。本例ではスイッチ15で接続した放射素子16は給電素子12の2倍の大きさとなる。
尚、その他のスイッチ15の寸法、つまりP1-P2を接続するスイッチ15のL'側の長さはPL以下、 給電素子-P3を接続するスイッチ15のL'側の長さはL以下、P1-給電素子を接続するスイッチ15のW'側の長さはW以下, P2-P3を接続するスイッチ15のW'側の長さはPW以下とすればよい。
尚、(14)式及び(15)式の関係はスイッチ15によって接続された長方形の放射素子16と給電素子12の外形が、(13)式を満たすための1条件に過ぎず、本発明は(14)式及び(15)式に限定されない。
L/W=L'/W'
となるように、無給電素子14の外形と給電素子12と無給電素子14の間隔、及び無給電素子14間の間隔を調整していれば本発明に含まれるものとする。
なお、本例においても給電素子12と無給電素子14、及び隣接した無給電素子14間を接続するスイッチ15はMEMSスイッチあるいはPINダイオードを用いるのがよい。
<実施例5>
図8は、本発明のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナの別の一例を示す図である。
本例のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテは比誘電率約10のアルミナ基板からなる誘電体10の下面にAu箔パターンからなる地板(図示せず)が形成されており、誘電体10の上面にはAu箔パターンからなる長方形の給電素子12が配置されており、給電素子12は誘電体10上に設けられたマイクロストリップ線で構成された給電線130によって長方形の1つの頂点の給電点131から給電される構造となっている。
また、給電素子12の給電点131と対向する頂点を構成する2辺を取り囲む矩形の無給電素子14が2重にマトリックス状に配置されている。
ここで、給電素子12と無給電素子14、及び隣接した無給電素子14間はスイッチ15によって接続できる構造となっており、給電素子12の給電点131と対向する頂点を構成する2辺を1重で取り囲む矩形の無給電素子14と給電素子12を接続するスイッチ15と、給電素子12の給電点131と対向する頂点を構成する2辺を1重で取り囲む矩形の無給電素子14間を接続するスイッチ15がONになった場合は第1の長方形の放射素子161(外形はL'×W')が形成され、全てのスイッチ15がONになった場合は第2の長方形の放射素子162(外形はL''×W'') が形成される。
本発明の特徴は、
L/W=L'/W'
との関係にある長方形の放射素子の形状が、給電素子12と無給電素子14、及び隣接した無給電素子14間を接続する前記のスイッチ15によって複数取ることができることである。
本例では、スイッチ15で接続した第1の放射素子161とスイッチ15で接続した第2の放射素子162が、給電素子12と
L/W=L'/W'
との関係にある。
つまり、給電素子12の給電点131と対向する頂点を構成する2辺を1重で取り囲む矩形の無給電素子14と給電素子12を接続するスイッチ15と、給電素子12の給電点131と対向する頂点を構成する2辺を1重で取り囲む矩形の無給電素子14間を接続するスイッチ15がONした場合に形成される第1の長方形の放射素子161(外形はL'×W')のL側に相当する辺の長さをL'、Wに相当する辺の長さをW'とし、給電素子12の給電点131と対向する頂点を構成する2辺を1重で取り囲む矩形の無給電素子14と給電素子12を接続するスイッチ15と、給電素子12の給電点131と対向する頂点を構成する2辺を2重で取り囲む矩形の無給電素子14間を接続するスイッチ15がONした場合、つまり全てのスイッチ15がONになった場合に形成される第2の長方形の放射素子162(外形はL''×W'')のL側に相当する辺の長さをL'' 、Wに相当する辺の長さをW''とした場合、
L/W=L'/W'=L''/W''・・・・・・・・・・(16)
となっている。尚、第1の長方形の放射素子161、第2の長方形の放射素子162も給電点は給電素子12と同じ給電点131を用いている。
本実施例ではスイッチ15で接続された第1の放射素子161は給電素子12の2倍の大きさとし、L'=2L、W'=2W、スイッチ15で接続された第2の放射素子162は給電素子12の3倍の大きさとし、L''=3L、W''=3Wとした。
全てのスイッチ15がOFFの場合は給電素子12単体で共振する。長方形の給電素子12を頂点から給電するとL側とW側で直交した2つのモードが励振される。ここで、LとWの長さの比を適切に選ぶと、直交した2つのモードの位相差が90度となり円偏波が実現できる。その時の共振周波数をfとする。
スイッチ15で接続した第1の長方形の放射素子161と第2長方形の放射素子162は(16)式を満たすので、その外形・給電点の相対位置は給電素子12と相似の関係にある。
スイッチ15で接続した第1の長方形の放射素子161の各辺(L'、W')は給電素子12の各辺(L、W)の2倍であるため、約f/2の円偏波を放射する。厳密には、スイッチ15で囲まれた空隙による影響も考慮しなければならないため、f/2から若干ずれる。
また、スイッチ15で接続した第2の長方形の放射素子162では各辺(L''、W'')が給電素子12の辺(L、W)の3倍であるため、約f/3の円偏波を放射する。厳密には、スイッチ15で囲まれた空隙による影響も考慮しなければならないため、f/3から若干ずれる。
よって、本例のアンテナではスイッチ15のON/OFFによって選択的に3周波の円偏波を放射できる。また、アンテナの大きさは最も低周波に相当するアンテナ面積でよいため、アンテナを小型化できる。
また、給電素子12及び第1の放射素子161は第2の放射素子162に含まれるので、第2の長方形の放射素子162を無線機上で最もよい電波状況にある領域に配置することで給電素子12と第1の放射素子161を良好な電波状況に置くことができる。更に、給電素子12、第1の放射素子161、第2の放射素子162とも単純な円偏波マイクロストリップアンテナ構造であるため同様の放射パターンとなる。
また、本例のアンテナは実施例4と同様にマイクロストリップ線で給電できることから、RF回路との接続が容易になる。
次に、本例のアンテナの入力インピーダンスについて説明する。
すべてのスイッチ15をOFFして給電素子12のみで共振させる場合、給電素子12はアンテナ端から給電されているので入力インピーダンスZaは給電素子12を構成する2辺の比(L/W)に影響される。
一方、第1の長方形の放射素子161及び第2の長方形の放射素子162は、外形がほぼ長方形であり、頂点から給電されているので、入力インピーダンスは長方形を構成する2辺の長さ(L'/W')、(L''/W'')に影響される。厳密には、スイッチ15で囲まれた空隙による影響も考慮しなければならないが、入力インピーダンスに大きな変化は与えない。
ここで本例では、
L/W=L'/W'= L''/W''
が成り立っているので、スイッチ15で接続された第1の放射素子161の入力インピーダンスZa'、 第2の放射素子162の入力インピーダンスZa''は給電素子12単体の入力インピーダンスZaとほぼ近い値となる。
よって、給電素子12の入力インピーダンスZaに等しい特性インピーダンスを用いて給電線130を構成すると、スイッチ15で接続された第1の放射素子161及び第2の放射素子162が共振する場合も、アンテナの入力インピーダンスZa'、Za''は給電線の特性インピーダンスに近いため、反射が抑制され、電波を効率よく送信あるいは受信できる。
そのため、米国特許USP6198438(特許文献4)と異なり、周波数毎に給電点を切替える必要がなく、給電素子12の給電点131のみで3周波に対応できる。
本例においても実施例4と同様に、無給電素子14の外形と、給電素子12と無給電素子14の間隔、及び無給電素子14間の間隔を調整して、
L/W=L'/W'=L''/W''
とした。また、給電素子12と無給電素子14、及び隣接した無給電素子14間を接続するスイッチ15はMEMSスイッチあるいはPINダイオードが適している。
尚、実施例4では2周波対応、本例では3周波対応の円偏波アンテナについて説明したが、本発明のアンテナは2周波や3周波対応に限定されるものではない。
より多くの周波数帯に対応する場合は、給電素子12の給電点と対向する頂点を構成する2辺を矩形の無給電素子14によってより多重に取り囲み、給電素子12と無給電素子14、無給電素子14間をスイッチ15で接続できる構造とし、マルチバンドの各周波数で、
L/W=L'/W'
との関係になるように、無給電素子14の外形、給電素子12と無給電素子14の間隔、及び無給電素子14間の間隔等を調整すればよい。
<実施例6>
図9は、本発明のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナの別の一例を示す図である。本例のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテは実施例4のアンテナの給電点131に整合回路18を設けたものである。
地板11の下層にあるSiO2表面のマイクロストリップ線で構成された特性インピーダンス50Ωの給電線130はビアホール20を介して整合回路18に接続され、その後給電素子12の頂点の給電点131に接続される。給電線130の他方は図示されていないRF回路に接続されている。
実施例4のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナはアンテナの頂点から給電される。そのため給電線130の特性インピーダンスを給電素子12の入力インピーダンスZa、スイッチ15で接続された長方形の放射素子16の入力インピーダンスZa'に近い値にしなければならない。
しかしながら、RF回路を構成するPA,LNA,ミキサー等の入出力インピーダンスは50Ωであり、実施例4のアンテナにそのまま用いると反射が大きくなり、電波の受信・送信が効率的に行えない。
本例では、給電素子12やスイッチ15で接続された放射素子16の入力インピーダンスZa、Za'を整合回路18によって給電線130の特性インピーダンスに合わせ、その後、RF回路と接続するため、アンテナとRF回路間での反射を抑制でき、電波の受信・送信を効率的に行うことができる。
また、実施例4においてスイッチ15で接続された放射素子16は、
L/W=L'/W'
が成り立っているが、スイッチ15で囲まれた空隙によってアンテナ内の電流が制限され長方形の放射素子16の入力インピーダンスZa'は給電素子12のZaと若干ずれてしまう。
そのため給電素子12の入力インピーダンスZaを50Ωに整合する固定式の整合回路では、スイッチ15で接続した放射素子16を完全には整合できず、電波の送受信の効率が若干低下する。スイッチ15で接続した放射素子16の送受信の効率を改善するためには可変のキャパシタや可変の移相器を1個以上含む可変の整合回路18を設け、スイッチ15で接続した放射素子16も50Ωに整合する必要がある。
本例に使用される整合回路18は実施例2と同様であり、具体的には、キャパシタやインダクタの集中定数素子をL型、π型、T型に構成した集中定数回路やスタブ等の分布定数回路をL型、π型、T型に構成した回路、移相器とキャパシタによる整合回路等をアンテナの共振周波数に合わせて使い分ければよい。
次に、スイッチ形状の改善例を説明する。
図10は、改善されたスイッチを説明するための図である。
本例のスイッチ151は、図10に示すように、隣接する長方形の給電素子12と無給電素子14間、無給電素子14間で辺のほぼ全面で導通あるいは遮断する構造を有している。
図10の如きスイッチ151の形状にすることにより、放射素子16内部では4個のスイッチ151によって囲まれた空隙が図9の場合よりも小さくなる。そのため放射素子の帯域を図9の場合よりも拡大できる。
図11は、さらに空隙を小さくするスイッチ形状を示す図である。
本例は、同図に示すように、4つのスイッチ151が対向する先端部分の形状をV形状に延長し、4つスイッチ151の間隙がX状になるようにすることにより、4個のスイッチ151によって囲まれた空隙を実質的になくすことができ、さらに帯域を拡大できるので特性の改善に有効である。
なお、図10および図11のスイッチの形状は、本発明の他の実施例にも適用可能なことはいうまでもない。
<実施例7>
図12は、本発明の送受信の無線システムの一例を示す図である。
本例は、右旋円偏波の1.575GHz GPSと5.8GHz ETCに対応したデュアルバンドの送受信可能な無線システムであり、実施例1と同様の構成のアンテナ(デュアルバンド対応マイクロストリップアンテナ)30を用いている。
また、アンテナ30と送受信切替スイッチ33の間には切替スイッチ32で接続されるC,L,Cからなるπ型の集中定数回路による整合回路31が設けられている
給電素子12のみで共振して5.8GHzに対応する場合は、切替スイッチ32はOFF(整合回路31を通さない側に切り替える)になり、給電素子12は送受信切替スイッチ33を介してフロントエンド回路50と直接接続される。
また、給電素子12と無給電素子14、及び隣接した無給電素子14間をスイッチ15で接続して長方形の放射素子16を形成し1.575GHzで共振する場合は、切替スイッチはON(整合回路31を通す側に切り替える)になり、長方形の放射素子16は、放射素子16の入力インピーダンスを50Ωに整合する整合回路31と送受信切替スイッチ33を介してフロントエンド回路50に接続される。
次に、送受信の動作を具体的に説明する。
5.8GHz(ETC)対応では給電素子12と無給電素子14、及び隣接した無給電素子14間のスイッチ15は全てOFFとなり、長方形の給電素子12のみで励振する。5.8GHzの受信では、切替スイッチ32をOFF(整合回路31を通さない側に切り替える)として整合回路を給電線から遮断しておく。
また、送受信切替スイッチ33は受信側にし、周波数選択スイッチSW1〜SW4のうち周波数選択スイッチSW1(34)のみがONとなり、他はOFFとする。
給電素子12で受信した信号は、送受信切替スイッチ33を通して受信側のフロントエンド回路50に入り、周波数選択スイッチSW1(34)を通って5.8GHz側に入る。
信号はLNA36で増幅された後、BPF37で帯域が制限され、ミキサー38でダウンコンバージョンされて中間周波数となり、その後、ベースバンド回路に送られる。一方、5.8GHzの送信では、切替スイッチ32をOFFとして整合回路を給電線から遮断しておく。
また、送受信切替スイッチ33は送信側にし、周波数選択スイッチSW1〜SW4では周波数選択スイッチSW4(46)のみがONとなり、他はOFFとする。
ベースバンド回路で作られた信号は、中間周波数にアップコンバージョンされた後、ミキサー41で5.8GHzにアップコンバージョンされる。その後、BPF43で帯域を制限した後、PA44で増幅し、周波数選択スイッチSW4(46)、送受信切替スイッチ33を通って給電素子12から電波として放射される。
1.575GHz(GPS)対応では、給電素子12と無給電素子14、及び隣接した無給電素子14間のスイッチ15は全てONとなり、長方形の放射素子を形成する。1.575GHzの受信では切替スイッチ32をON(整合回路31を通す側に切り替える)として整合回路を給電線に接続しておく。
また、送受信切替スイッチ33は受信側にし、周波数選択スイッチSW1〜SW4では周波数選択スイッチSW2(35)のみがONとなり、他はOFFとする。
給電素子12で受信した信号は、整合回路31と送受信切替スイッチ33を通って受信側のフロントエンド回路50に入り、周波数選択スイッチSW2(35)を通って1.575GHz側に入る。信号はLNA36で増幅された後、BPF37で帯域が制限され、ミキサー38でダウンコンバージョンされて中間周波数となり、その後、ベースバンド回路に送られる。
一方、1.575GHzの送信では、切替スイッチ31をON(整合回路31を通す側に切り替える)として整合回路31を給電線に接続しておく。
また、送受信切替スイッチ33は送信側にし、周波数選択スイッチSW1〜SW4では周波数選択スイッチSW3(45)のみがONとなり、他はOFFとする。
ベースバンド回路で作られた信号は、中間周波数にアップコンバージョンされた後、ミキサー41で1.575GHzにアップコンバージョンされる。
その後、BPF43で帯域を制限した後、PA44で増幅され、周波数選択スイッチSW3(45)、送受信切替スイッチ33、整合回路31を通って給電素子12から電波として放射される。尚、5.8GHz,1.575GHzでの軸比は3dB以下であり、2つの周波数とも良好な円偏波となっていた。
以上のように、本例の無線システムでは、5.8GHz対応の場合は給電素子12のみで励振し、1.575GHz対応では給電素子12と無給電素子14、及び隣接した無給電素子14間のスイッチ15は全てONとなって長方形の放射素子16で励振して、2つの無線規格に対応できる。
また、1.575GHz対応では、アンテナに整合回路31が接続されてアンテナの入力インピーダンスを50Ωに整合できるためアンテナ30とフロントエンド回路50での反射が抑制できる。その結果、信号のS/Nを大きくでき、1.575GHzでも良好な送受信が行える。
また、本例のアンテナは給電点が1個であり、米国特許USP6198438(特許文献4)よりもアンテナの構造が簡単であるため、より安価にアンテナを製造できる。その結果良好な送信・受信あるいは送受信特性を持つ円偏波対応の無線システムをより安価に製造できる。
本例は、2周波の無線システムについて説明したが、実施例2,5のアンテナを用い、各々の周波数帯に相当する受信系・送信系のフロントエンド回路を設けると3周波対応の円偏波無線システムが構成できる。
更に、実施例2で述べたように、本発明では4周波以上に対応したアンテナも可能であり、そのようなアンテナを用いれば更に多くの周波数に対応できるマルチバンド対応の無線システムが構成できる。
また、本例は送受信可能な無線システムについて説明したが、マルチバンド対応であれば送信のみ、受信のみの無線システムであっても本発明に含まれるものとする。
本発明のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナの一例を示す図である。 マイクロストリップアンテナをインセット給電する場合の説明図である。 実施例1のマイクロストリップアンテナの寸法を説明するための図である。 本発明のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナの別の一例を示す図である。 本発明のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナの別の一例を示す図である。 本発明のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナの別の一例を示す図である。 実施例4のマイクロストリップアンテナの寸法を説明するための図である。 本発明のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナの別の一例を示す図である。 本発明のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナの別の一例を示す図である。 改善されたスイッチを説明するための図である(面積を大きくしたもの)。 改善されたスイッチの形状を説明するための図である(対向する部分をV字形状にしたもの)。 本発明の無線システムの一例を示す図である。 従来例(特開2000−236209号公報)を示す図である。 従来例(特開2002−261533号公報)を示す図である。 従来例(特開2003−124730号公報)を示す図である。 従来例(米国特許USP6198438)を示す図である。
符号の説明
10:誘電体
11:地板
12:長方形の給電素子
13:給電点
130:給電線
131:頂点の給電点
14:無給電素子
15,151:スイッチ
16:長方形の放射素子
161:第1の長方形の放射素子
162:第2の長方形の放射素子
17:同軸線
18:整合回路
181,182:切替スイッチ
19:RF回路
20:ビアホール
30:アンテナ(デュアルバンド対応マイクロストリップアンテナ)
31:整合回路
32:切替スイッチ
33:送受信切替スイッチ
34:スイッチSW1
35:スイッチSW2
36,44:PA
37,43:BPF
38,41:ミキサー
39:5.8GHz発信器
40:1.575GHz発信器
42:5.8GHz発信器
45:スイッチSW3
46:スイッチSW4
50:フロントエンド回路
60:GPS/ETC共有無線システム
101:金属片
102:PINダイオード
211:アンテナ部
212:配線基板
213:グランドパターン
214:RFモジュール
218:アンテナ素子パターン
219:給電点(給電パターン)
220a〜220d:接地点
221a〜221d:スイッチ
300:アンテナ構造
305:短絡平面
310:サブアンテナ構造
320:第1の放射素子
322:第1の端部
324:給電ライン
330:第2の放射素子
332:第2の端部
334:間隔
340:第3の放射素子
342:第3の端部
350:給電ライン
360,362:スイッチ
370,372:無線周波数モジュール
A1,A2:開口
400:放射素子
405:高周波給電点
410:低周波給電点
420:MEMSスイッチ

Claims (8)

  1. 誘電体の上面に対角線上に給電点を持つ長方形の給電素子と、該給電素子を取り囲む矩形の無給電素子がマトリックス状に配置され、前記給電素子と前記無給電素子、及び隣接した前記無給電素子間がスイッチによって接続され長方形の放射素子を形成する構造を有するマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナにおいて、
    前記長方形の給電素子の一辺の長さをL、他方の辺の長さをW、W側の2つの辺と前記給電点との距離のうち小さい方をLi、L側の2つの辺と前記給電点との距離のうち小さい方をWi、前記スイッチによって接続された長方形の放射素子の辺のうちL側に相当する辺の長さをL'、前記スイッチによって接続された長方形の放射素子の辺のうちW側に相当する辺の長さをW'、W'側の2つの辺と前記給電点との距離のうち小さい方をLi'、L'側の2つの辺と前記給電点との距離のうち小さい方をWi'とした場合、
    L/W=L'/W'
    Li/L=Li'/L'
    Wi/W=Wi'/W'
    の関係にある前記長方形の放射素子の形状が、前記給電素子と前記無給電素子、及び隣接した前記無給電素子間を接続する前記スイッチによって、前記給電素子を取り囲むように多重に複数形成され、かつ該複数形成された長方形の放射素子はそれぞれ同じ前記給電点を用いるとともに、前記複数形成された長方形の放射素子の形状と前記給電点との相対位置は、前記給電素子と前記給電点との相対位置と相似の関係にあることを特徴とするマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナ。
  2. 請求項に記載のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナにおいて、
    前記給電点に切替スイッチによって接続される整合回路を設けたことを特徴とするマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナ。
  3. 誘電体の上面に長方形の給電素子を有し、前記給電素子は長方形の1つの頂点から給電され、かつ前記給電素子の給電点と対向する頂点を構成する2辺を取り囲む矩形の無給電素子がマトリックス状に配置され、前記給電素子と前記無給電素子、及び隣接した前記無給電素子間はスイッチによって接続され長方形の放射素子を形成する構造を有するマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナであって、
    前記長方形の給電素子の一辺の長さをL、他方の辺の長さをW、前記スイッチによって接続された長方形の放射素子の辺のうちL側に相当する辺の長さをL'、前記スイッチによって接続された長方形の放射素子の辺のうちW側に相当する辺の長さをW'とした場合、
    L/W=L'/W'
    の関係にある長方形の放射素子の形状が、前記給電素子と前記無給電素子、及び隣接した前記無給電素子間を接続する前記スイッチによって、前記給電素子を取り囲むように多重に複数形成され、かつ該複数形成された長方形の放射素子はそれぞれ同じ前記給電点を用いるとともに、前記複数形成された長方形の放射素子の形状と前記給電点との相対位置は、前記給電素子と前記給電点との相対位置と相似の関係にあることを特徴とするマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナ。
  4. 請求項に記載のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナにおいて、
    前記給電点に整合回路を設けたことを特徴とするマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナ。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナにおいて、
    前記スイッチがMEMSスイッチまたはPINダイオードの少なくとも一方であることを特徴とするマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナ。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナにおいて、
    前記スイッチは、前記給電素子または無給電素子の辺とほぼ同じ長さにわたって形成されることを特徴とするマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナ。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナにおいて、
    前記スイッチの各々は、他のスイッチと対向する先端部分の形状をV字形状に延長し、対向する4つのスイッチの間隙がX字状になるようにしたことを特徴とするマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナ。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載のマルチバンド対応円偏波マイクロストリップアンテナを用いたことを特徴とする無線システム。
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