以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)を説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る荷物用パレットの滑止材を荷物用パレットの基材または板材と共に示す斜視図であり、(a)は滑止材を配設する基材の一部を示す斜視図、(b)は滑止材を基材の上側の板材に挿入して配設固定する前の状態を示す斜視図である。図2は本発明の一実施の形態に係る荷物用パレットの滑止材を基材の上側の板材に挿入して配設固定した状態を示す斜視図であり、その端部を拡大して示す。図3は本発明の一実施の形態に係る荷物用パレットを示す斜視図である。なお、図2においては、滑止材を明瞭に示すため、滑止材の端面にハッチングを付しているが、このハッチングは断面を示すものではない。実際は、滑止材の端面には、その素材特有の模様が現れる。
まず、本実施の形態に係る荷物用パレットの構成について説明すると、図1〜3に示すように、本実施の形態に係る荷物用パレット70は、複数の長尺状の板材50を組み合わせて略方形の枠体形状としたものである。また、荷物用パレット70は、フォークリフトによる昇降作業時に、フォークリフトのフォーク(図示略)が当接支持することになる板材(支持板材)50に、滑止材80を配設している。詳細には、荷物用パレット70は、複数の基材60を、互いに略平行となるよう所定間隔で同一平面上に配置すると共に、前記複数の基材60を略直交して横断するよう、基材60の上側の板材50の上面に、複数の長尺板状の板材50を所定間隔で固定して、略方形の枠体形状に形成してなる。基材60は、上下一対の長尺状の板材50間に所定間隔で複数(本実施の形態では3つ)の支柱1を介装して配置及び固定してなる長尺枠体状(長尺ブロック状)をなす。また、基材60の一対の板材50、及び、前記基材60の上側の板材50に直行して固定される板材50は、全て、同一構成のものを使用している。
図4は本発明の一実施の形態に係る荷物用パレットの基材で使用する支柱を示す斜視図である。
本実施の形態に係る荷物用パレット70の基材60で使用する支柱1は、上下で対をなす略帯板状の前記板材50間に介装して配置及び固定され、前記上下で対をなす板材50を互いに連結すると共に、両板材50を介して、金属板、ガラス板等の積載物の荷重を支持するものである。詳細には、図4に示すように、支柱1は、全体として、帯板状(帯鋼状)をなす亜鉛めっき鋼板等の金属製の薄板材をプレス加工や打ち抜き加工等により屈曲、折曲、打ち抜き加工等することにより、背面側の後半部分を断面略チャンネル状(略逆U字状)とすると共に、正面側の前半部分を断面略逆ハ字状とし、正面(前端)中央部分に上下方向に延びる幅狭の開口を有する断面略五角形状の筒状としている。本実施の形態に係る支柱1は、上下方向に略垂直に延びる略矩形板状の後壁10と、後壁10の左右両端側から後壁10と略直交してそれぞれ前方に延びる左右一対の略矩形板状の側壁20と、左右一対の側壁20の前端側からそれぞれ内側斜め前方に向かって傾斜するよう延びる左右一対の斜板部30とを備えている。
図5は本発明の一実施の形態に係る荷物用パレットの基材部分を長さ方向端部側から見た状態を示す説明図であり、基材の上側の板材に滑止材を配設した状態を示す。図6は本発明の一実施の形態に係る荷物用パレットの滑止材配設部分を示す要部正面図である。図7は本発明の一実施の形態に係る荷物用パレットの板材(支持板材)と滑止剤との関係を示す説明図である。なお、図5においては、図2におけると同様、滑止材80を明瞭に示すため、滑止材80の端面にハッチングを付しているが、このハッチングは断面を示すものではない。実際は、滑止材80の端面には、その素材特有の模様が現れる。
図5に示すように、前記各板材50は、幅方向両端側と幅方向中央とにそれぞれ長さ方向に延びる少なくとも2つ(本実施の形態では3つ)の直線状の溝部51,52,53を有する。各板材50は、溝部51,52,53を長手方向に延びるよう互いに平行に配置している。また、各板材50は、前記3つの溝部51,52,53間に直線状の突起状をなす2つの山部54,55を有する。即ち、板材50は、帯板状(帯鋼状)をなす亜鉛めっき鋼板等の金属製の薄板材をプレス加工やフォーミング加工等により折曲または屈曲加工することにより、幅方向に凹凸を繰り返す長尺板状(略帯板状)とされている。なお、板材は、少なくとも幅方向両端側にそれぞれ長さ方向に延びる溝部を有すると共に、前記溝部間に突起状の山部を有する略帯板状のものであれば、任意の構成とすることができる。
板材50は、幅方向両端に位置する2つの溝部51,53のそれぞれの外側縁の全長に沿って、内側に突出する一対の突出部51a,53aを一体形成している。前記突出部51a,53aは、前記薄板材の幅方向両端縁部を屈曲または湾曲して、前記溝部51,53の外側端縁から内側及び上側に延びる断面略L字状乃至アングル状をなす。各突出部]51a,53aの先端縁は、溝部51,53の外側端縁(下端縁)から所定高さ分上方に配置されている。一方、板材50は、その長さ方向両端を開放端としている。これにより、板材50の長さ方向両端には、その断面形状に対応する形状の開口が現れる。また、板材50のうち、フォークリフトによる昇降作業時に、フォークリフトのフォークの荷重を支持することになる板材50は、基材60を形成して前記枠体形状の荷物用パレット70を形成したときに、溝部51,52,53が下方を向くよう配置されている。即ち、基材60において、上下一対の板材50は、上側の板材(支持板材)50の溝部51,52,53が下方に、下側の板材50の溝部51,52,53が上方に向くよう、互いに対向して配置されている。なお、基材60の上側の板材50は、フォークリフトのフォークの荷重を支持する支持板材として機能する。
図4に示すように、支柱1は、更に、後壁10の左右中央部に中央嵌合部11を一体形成している。中央嵌合部11は、後壁10の上下両端から、それぞれ、上方及び下方に前記板材50の溝部51,52,53の深さと略同一高さ突出する略矩形板状をなしている。各中央嵌合部11は、板材50の幅方向中央の溝部52の断面形状に対応する(または略同一の)小さく略矩形板状をなし、板材50の幅方向中央の溝部52に嵌合して、その上端を溝部52の底面に当接自在となっている。これにより、中央嵌合部11が、板材50からの荷重を支持できるようになっている。なお、中央嵌合部11は、板材50の幅方向中央の溝部52に嵌合して、その上端を溝部52の底面に当接自在とし、板材50からの荷重を支持できる限りにおいて、上記矩形板状以外の任意の形状とすることができる。また、後壁10の上下両端において、中央嵌合部11の左右両側には、左右一対の後側固着部12が一体形成されている。各後側固着部12は、後壁10の上端または下端と略直交して後方に延びる略矩形平板状をなしている。各後側固着部12は、前記中央部嵌合部11と略同一の長さを有している。ここで、中央嵌合部11は、後壁10の上端または下端から、前記側壁20と同一高さ位置まで上方または下方に垂直に延びている。一方、後側固着部12は、中央嵌合部11の高さ寸法と同一の長さで、後壁10の上端または下端から後方へと直交して延びている。前記左右一対の後側固着部12は、支柱1の後側(後壁10部分)で、それぞれ、前記板材50の一対の山部54,55に当接または密接して、スポット溶接等により山部54,55に固着自在となっている。なお、後側固着部12は、板材50の山部54,55に当接または密接して、スポット溶接等により山部54,55に固着自在とする限りにおいて、上記矩形板状以外の任意の形状とすることができる。また、後側固着部12は、板材50の山部54,55の長さ方向に沿って延びるよう、後壁10から後方に突出させることが好ましいが、若干異なる方向に突出させることもできる。更に、後側固着部12の長さは、中央嵌合部11の高さと相違させてもよい。即ち、後側固着部12の長さは、後側嵌合部15の上端と後壁10上端との間の間隔と相違させてもよい。しかし、支柱1の製造工程に鑑みて、中央嵌合部11と後側固着部12とを同一長さとすることが好ましい。一方、後側固着部12の幅は、板材50の山部54,55の幅と略同一とすることが、固着強度等の点で好ましいが、板材50の山部54,55の幅より若干大きくしたり小さくしたりすることも可能である。
後壁10と一対の後側固着部12との境界部分の左右略中央には、それぞれ、略四面体状または略V溝状の補強用小凹部13が一体形成されている。また、後壁10には、上下で対をなす後側固着部12間に、上下方向に垂直に延びる長溝状の補強用凹部14が一体形成されている。補強用凹部14は、後壁10の裏面(内面)側に若干突出している。なお、補強用小凹部13は、後壁10と後側固着部12との境界部分の強度(曲げ強度等)を増大するためのものであり、支柱1の材質等、必要に応じて設ければよく、省略することも可能である。同様に、補強用凹部14は、後壁10の強度(特に鉛直荷重に対する強度)を増大するためのものであり、支柱1の材質等、必要に応じて設ければよく、省略することも可能である。
本実施の形態に係る支柱1は、更に、左右一対の後側嵌合部15を有する。左右一対の後側嵌合部15は、後壁10の左右両端縁に沿ってそれぞれ上下方向に略垂直に延びると共に、後壁10の上下両端から上方及び下方に前記板材50の溝部51,52,53の深さと略同一高さ突出する柱状をなしている。また、左右一対の後側嵌合部15は、後壁10の左右両端から略直交してそれぞれ後方に突出する断面略チャンネル状(略コ字状)をなしている。なお、後側嵌合部15は、その上下両端部を板材50の溝部51,53に嵌合して、その上端を板材50の溝部51,53の底面に当接し、板材50からの荷重を支持自在とする限りにおいて、断面略チャンネル状(略コ字状)以外の任意の断面形状(例えば略U字状)とすることができる。
ここで、支柱1は、前記側壁20に対応する部分を、その上下両端部が板材50の幅方向両側の溝部51,53に嵌合自在な形状及び寸法としている。また、支柱1は、側壁20に対応する部分以外の前記後壁10及び前記斜板部30を、その上下両端が板材50の山部54,55に当接自在な形状及び寸法としている。詳細には、側壁20は、左右一対の後側嵌合部15の左右両端縁から後壁10と略直交するようそれぞれ前方に延びると共に、後側嵌合部15と同一高さの略矩形板状をなす。また、左右一対の斜板部30は、左右一対の側壁20の前端縁からそれぞれ内方に向かって所定角度(同一角度)で傾斜するよう前方に延びている。一対の斜板部30は、左右対称に配置される。各斜板部30は、前側嵌合部31と前壁32とを有している。前側嵌合部31は、側壁20と略同一高さ位置に略同一高さ寸法となるよう設けた上下方向に垂直に延びる帯板状(長板状)をなしている。即ち、前側嵌合部31は、側壁20の前端に連続して、前記傾斜角度で内方に傾斜して延びるよう、側壁20に一体形成されている。また、前壁32は、後壁10と略同一高さ位置に略同一高さ寸法となるよう設けた上下方向に延びる(前記前側嵌合部31より幅広の)帯板状をなしている。即ち、前壁32は、前側嵌合部31の前端に連続して同一方向に延びている。換言すれば、斜板部30の前記側壁20に連続する部分である後端部が、側壁20と同一高さの略矩形板状をなす前側嵌合部31とされ、斜板部30の前記前側嵌合部31に連続する部分が、後壁10と同一高さの略矩形板状をなす前壁32とされている。なお、一対の斜板部30では、それぞれ、例えば、後端側の約3分の1の幅の部分が、前側嵌合部31(所定高さの縦長長方形板状部分)として設けられ、前端側の約3分の2の幅の部分が、前記前側嵌合部31の上下両端より各々所定高さだけ短くなるよう切欠いた縦長長方形板状をなす前壁32として設けられる。
支柱1は、更に、各前壁32の上下両端に、それぞれ、前側固着部33を一体形成している。前側固着部33は、前壁32の上端または下端と略直交して前方(斜め前方を含む)へと延びる略台形平板状をなしている。各前側固着部33は、前記中央嵌合部11の高さ寸法または前記後側固着部12の長さと同一の長さで、前壁32の上端または下端から斜め前方へと略直交して延びている。前記左右一対の前側固着部33は、支柱1の前側(前壁32部分)で、それぞれ、前記板材50の一対の山部54,55に当接または密接して、スポット溶接等により山部54,55に固着自在となっている。なお、前側固着部33は、板材50の山部54,55に当接または密接して、スポット溶接等により山部54,55に固着自在とする限りにおいて、上記台形板状以外の任意の形状とすることができる。また、前側固着部33は、板材50の山部54,55の長さ方向に沿って延びるよう、前壁32から前方に突出させることが好ましいが、若干異なる方向に突出させることもできる。更に、前側固着部33の長さは、中央嵌合部11または後側固着部12の長さと相違させてもよい。即ち、前側固着部33の長さは、前側嵌合部31の上端と前壁32上端との間の間隔と相違させてもよい。しかし、前側固着部33の長さは、支柱1の製造工程に鑑みて、中央嵌合部11及び後側固着部12と同一長さとすることが好ましい。一方、前側固着部33の幅は、板材50の山部54,55の幅と略同一とすることが、固着強度等の点で好ましいが、板材50の山部54,55の幅より若干大きくしたり小さくしたりすることも可能である。
前記前壁32と前記前側固着部33との境界部分の左右略中央には、それぞれ、略四面体状または略V溝状の補強用小凹部34が一体形成されている。また、前壁32には、上下で対をなす前側固着部33間に、上下方向に垂直に延びる長溝状の補強用凹部35が一体形成されている。補強用凹部35は、前壁33の裏面(内面)側に若干突出している。なお、補強用小凹部34は、前壁32と前側固着部33との境界部分の強度(曲げ強度等)を増大するためのものであり、支柱1の材質等、必要に応じて設ければよく、省略することも可能である。同様に、補強用凹部35は、前壁32の強度(特に鉛直荷重に対する強度)を増大するためのものであり、支柱1の材質等、必要に応じて設ければよく、省略することも可能である。ここで、左右一対の斜板部30の前端間、または、左右一対の前壁32の前端間には、上下方向に垂直に延びる幅狭の開口40が形成されている。
上記のように、側壁20の上下両端は、後壁10及び前壁32の上下両端から上方及び下方に前記板材50の溝部51,52,53の深さと略同一高さ突出している。更に、左右一対の後側嵌合部15は、両側壁20と後壁10の左右両端との間において、後壁10の左右両端縁に沿ってそれぞれ上下方向に略垂直に延びると共に、側壁20と同一高さ位置で同一高さ寸法を有する柱状をなし、かつ、後壁10の左右両端から略直交してそれぞれ後方に突出する断面略チャンネル状をなしている。また、後側嵌合部15は、後壁10の左右両端と両側壁20との間で、それぞれ、後壁10の上下両端から上方及び下方に前記板材50の溝部51,52,53の深さと略同一高さ突出している。更に、前側嵌合部31は、両側壁20と両前壁32との間で、それぞれ、両側壁20の端縁に沿って上下方向に略垂直に延びると共に、前壁32の上下両端から上方及び下方に前記板材50の溝部51,52,53の深さと略同一高さ突出している。これにより、本実施の形態の支柱1は、前記板材50の幅方向両側の溝部51,52に、左右一対の後側嵌合部12、左右一対の側壁20の上下両端及び左右一対の前側嵌合部31をそれぞれ嵌合すると共に、前記板材50の山部54,55に、後壁10の上下両端に設けた後側固着部12及び前壁32の上下両端に設けた前側固着部33を当接させて、前記上下で対をなす板材50間に配置及び固定されるようになっている。ここで、前記後側嵌合部15、側壁20及び前側嵌合部31は、その上下両端部(後壁10または前壁32の上下両端から突出する部分)が、支柱1の左右で、板材50の溝部51,53内に嵌合される。このとき、前記後側嵌合部15及び前側嵌合部31の幅方向両側面並びに側壁20の外側面は、図5に示すように、板材50の左右の溝部51,53内において、溝部51,53の幅方向内側面と突出部51a,53aの幅方向内側面との間に略密接状態で嵌合される。また、前記後側固着部12及び前側固着部33は、支柱1の左右で、板材50の山部54,55に沿って一直線状に配置され、山部54,55に当接し、スポット溶接等により固着される。
図8は本発明の一実施の形態に係る荷物用パレットの滑止材を示す平面図であり、その中央部分を一点鎖線にて省略して示す。図9は本発明の一実施の形態に係る荷物用パレットの滑止材を示す底面図であり、その中央部分を一点鎖線にて省略して示す。図10は本発明の一実施の形態に係る荷物用パレットの滑止材を示す側面図であり、その中央部分を一点鎖線にて省略して示す。
図2、図5及び図6に示すように、基材60の上側の板材50には滑止材80が離脱不能に配設される。図1及び図8〜図10に示すように、滑止材80は、前記支持板材としての板材50の長さ方向一端または他端の開放端から、その板材50の溝部51,52,53の内部に挿入自在なよう、板材50の複数の溝部51,52,53により形成される断面形状に対応する断面形状を有している。また、滑止材80は、幅方向両端に、板材50の内部に挿入されたときに板材50の突出部51a,53aにそれぞれ掛止保持される一対の掛止部81a,83aを一体形成している。
詳細には、滑止材80は、その上面側に、板材50の3つの溝部51,52,53に対応する3つの直線状の山部81,82,83と、前記3つの山部81,82,83間に形成され、板材50の2つの山部54,55に対応する2つの直線状の溝部84,85とを有している。このように、滑止材80の厚さ方向一側(上側)の断面形状は、板材50の複数の溝部51,52,53により形成される断面形状に対応する断面形状となっている。一方、滑止材80は、その下側部分を、前記板材の溝部内に挿入されたときに前記板材50の下面から下方に所定量X(図5参照)だけ突出する滑止突部86としている。即ち、滑止材80は、板材50の溝部51,52,53により形成される断面形状に対応する断面形状を有する挿入部としての山部81,82,83と、挿入部としての山部81,82,83の下面側に一体形成され、基材60において上側の板材50の下端から下方に所定厚み(所定量X)で突出する滑止突部86とを含む。また、滑止材80の一対の掛止部81a,83aは、それぞれ、板材50の突出部51a,53aに対応する板材50の幅方向両端縁部の空間に対応する断面形状をなし、板材50の突出部51a,53aにそれぞれ掛止保持自在となっている。
具体的には、滑止材80の3つの山部81,82,83のうちの中央の山部82は、板材50の3つの溝部51,52,53のうちの中央の溝部52と略同一断面形状を有している。また、滑止材80の3つの山部81,82,83のうちの両側の山部81,83は、板材50の3つの溝部51,52,53のうちの両側の溝部51,53において突出部51a,53aの突出幅を除く幅の部分と略同一断面形状を有している。更に、滑止材80の一対の掛止部81a,83aは、それぞれ、板材50の3つの溝部51,52,53のうちの両側の溝部51,53における前記突出部51a,53aの突出幅と略同一幅で、かつ、突出部51a,53aの上端または上面と前記両側の溝部51,53の下面との間の高さと略同一高さの断面略矩形状のブロック状とされている。加えて、本実施の形態では、滑止材80は、木製の板材を切削することにより、前記挿入部としての山部81,82,83、滑止突部86及び掛止部81a,83aからなる断面形状となるよう一体形成することができる。この場合、材料コスト及び製造コストを低減し、更に、廃材利用等による省資源化に寄与することもできる。なお、滑止材80は、フォークリフトのフォークに対する所期の滑止効果を発揮する材料であれば、その他の材料、例えば、合成樹脂材料、ゴム材料等により形成してもよい。即ち、金属製の板材50等、所定材料からなる板材50の当接面の摩擦抵抗より大きな摩擦抵抗を、滑止財の当接面が有する限りにおいて、滑止材80は任意の材料により任意の製造方法を利用して形成することができる。
なお、前記滑止突部86の突出量Xは、板材50の山部54,55部分における滑止材80の肉厚、即ち、溝部84,85の肉厚に相当する。また、滑止材80の滑止突部86は、フォークリフトのフォークからの荷重を支持すると共に、その荷重を基材60の上側の板材50に伝達するものである。よって、滑止突部86の突出量Xは、フォークリフトのフォークからの荷重も考慮して、滑止材80の強度等の諸特性を十分に維持するよう、滑止材80の材料等をも考慮して適切な値に設定する。また、滑止突部86の下面は、滑止材80を木製とした場合、切削時のままの略平坦面とされる。この場合でも、滑止突部86は、フォークリフトのフォークに対して十分な摩擦抵抗を有し、十分な滑止効果を発揮する。しかし、滑止材80の材質等によっては、滑止突部86の下面にローレット化工やしぼ加工等を施して、凹凸面を形成することにより、摩擦抵抗を更に増加して、滑止効果を一層向上してもよい。
ここで、前記各基材60は、その長さ方向両端に、それぞれ、前記支柱1を配置すると共に、長さ方向両端の一対の支柱1間の中央よりに1以上(本実施の形態では2つ)の支柱1を配置して、長さ方向両端の一対の支柱1と前記中央よりの2つの支柱1との間に、フォークリフトのフォークを挿入するための空間(フォーク挿入空間)を形成している。一方、滑止材80は、基材60の長さ方向両端の支柱1と中央よりの支柱1との間の前記フォーク挿入空間に対応する長さを有している。そして、滑止材80は、前記フォーク挿入空間部分において基材60の上側の板材50に離脱不能に配設されている。即ち、滑止材80は、その山部81,82,83を、前記上側の板材50の長さ方向一端または他端の開放端から、上側の板材50の直線状の溝部51,52,53の内部に挿入して配設される。その後、滑止材80は、基材80の前記フォーク挿入空間部分の長さ方向両端に位置する前記支柱1(長さ方向一端の支柱1及びその支柱1と隣接する中央よりの支柱1、または、長さ方向他端の支柱1及びその支柱1と隣接する中央よりの支柱1)により、その長さ方向への移動を規制されるようになっている。更に、滑止材80は、前記複数の基材60の上側の板材50の全てにおいて、全ての前記フォーク挿入空間部分(支柱1間の空間部分)に配設して固定される。なお、所期の滑止効果を発揮できる限りにおいて、滑止材80は、複数の基材60のうち、少なくとも一つの基材60の上側の板材50に配設して固定すればよい。
また、本実施の形態において、各基材60は、図3に示すように、前記長さ方向両端の一対の支柱1を、その斜板部30側が対向するよう配置すると共に、前記長さ方向中央よりの一対の支柱1を、その斜板部30側が対向するよう配置している。そして、滑止材80は、基材60の長さ方向両端の支柱1と前記長さ方向中央よりの支柱1との間に形成される左右一対のフォーク挿入空間部分にそれぞれ配設される。即ち、各基材60の上側の板材50には、左右一対の滑止材80が配設される。また、滑止材80は、その長さ方向両端が、基材60の長さ方向両端の支柱1の前記斜板部30先端と、前記長さ方向中央よりの支柱1の前記後壁10とにそれぞれ当接して移動規制されるようになっている。この場合、荷物用パレット70の基材60のフォークリフトのフォーク挿入空間にフォークを挿入するときに、そのフォーク挿入空間の左側または右側に位置する支柱1では、斜板部30が配置されることになり、フォークリフトのフォークが傾斜して前記フォーク挿入空間に挿入された場合でも、フォークが支柱1と干渉する可能性を大幅に低減して、作業性を向上することができる。
ところで、基材60は、前記長さ方向両端の一対の支柱1を、その斜板部30側が対向するよう配置すると共に、前記長さ方向中央よりの一対の支柱1を、その後壁10側が対向するよう配置し手もよい。この場合、滑止材80は、前記基材60の長さ方向両端の支柱1と前記長さ方向中央よりの支柱1との間に配設され、前記基材60の長さ方向両端の支柱1の前記斜板部30先端と、前記長さ方向中央よりの支柱1の前記斜板部30先端とに当接して移動規制される。この場合、荷物用パレット70の基材60のフォークリフトのフォーク挿入用の前記フォーク挿入空間にフォークを挿入するときに、そのフォーク挿入空間の左右両側に位置する支柱1では、斜板部30が対向配置されることになり、フォークリフトのフォークが傾斜して前記フォーク挿入空間に挿入された場合でも、フォークが支柱1と干渉する可能性を更に大幅に低減して、作業性を一層向上することができる。
本実施の形態に係る荷物用パレット70は、例えば、以下のようにして製造される。即ち、図3に示すように、上下に対向配置した2枚(上下一対)の板材50の間に、複数の支柱1を配置して、スポット溶接等で固定することにより、前記一対の板材50を互いに連結して略長尺ブロック状に形成して、前記基材60を製造することができる。詳細には、まず、板材50を水平面としての作業台上に載置し、所望数の支柱1を板材50の上面に所定間隔で配置する。このとき、各支柱1の左右一対の後側嵌合部15、左右一対の側壁20及び左右一対の前側嵌合部31のそれぞれの下端部を、板材50の左右の溝部51,53内に上方から嵌合する。すると、下側の後側固着部12及び前側固着部33の下面が、支柱1の左右で、板材50の山部54,55の長さ方向(板材50の長さ方向)に沿って一直線状に位置決めして配置され、山部54,55の上面に当接する。その後、下側の後側固着部12及び前側固着部33を、板材50の山部54,55の上面にスポット溶接等により固着する。次に、下側の板材50の上面に固定した支柱1の上端側に、上側の板材50を載置する。このとき、各支柱1の左右一対の後側嵌合部15、左右一対の側壁20及び左右一対の前側嵌合部31のそれぞれの上端部を、上側の板材50の左右の溝部51,53内に下方から嵌合する。すると、上側の後側固着部12及び前側固着部33の上面が、支柱1の左右で、上側の板材50の山部54,55の長さ方向に沿って一直線状に位置決めして配置され、山部54,55の下面に当接する。その後、上側の後側固着部12及び前側固着部33を、板材50の山部54,55の下面にスポット溶接等により固着する。これにより、前記基材60が完成する。
一方、このとき、滑止材80は、少なくとも上側の板材50に対して支柱を固着する以前に、上側の板材50に挿入して配設する。例えば、支柱の下側の後側固着部12及び前側固着部33を、下側の板材50の山部54,55の上面にスポット溶接等により固着した後、下側の板材50の上面に固定した支柱1の上端側に、上側の板材50を載置する前に、上側の板材50の長さ方向両端から、それぞれ、滑止材80を挿入して配設する。即ち、上側の板材50の溝部51,52,53内に滑止材80の山部81,82,83を挿入し、上側の板材50の突出部51a,53aにより滑止材80の掛止突部81a,83aを掛止保持する。その後、上側の後側固着部12及び前側固着部33を、板材50の山部54,55の下面にスポット溶接等により固着する。このとき、左右一対の滑止材80は、それぞれ、板材50の左端の支柱1と中央よりの左側の支柱1との間、並びに、板材50の右端の支柱1と中央よりの右側の支柱1との間にくるよう位置調整して配置保持し、滑止材80が板材50に複数配置した支柱1と干渉しないようにする。
なお、本実施の形態では、図3に示すように、上下一対の板材50間には、合計4個の支柱1を配置する。このとき、図示しない治具や位置決め手段を使用して、支柱1を板材50の長さ方向に所定間隔で位置決めして配置する。また、前記スポット溶接等の固着手段を、前記位置決め手段により位置決めした支柱1の位置に配置するようにすると、前記スポット溶接等を効率よく行うことができる。更に、このとき、少なくとも、板材50の最も右側に配置される支柱(右端側の支柱)1と、板材50の最も左側に配置される支柱(左端側の支柱)1とは、その開口40(斜板部30側)を互いに対向するよう配置することが好ましい。こうすると、板材50の長さ方向両端において、支柱1の開口40が内方に配置され、製造した基材60の見栄えを向上することができる。特に、フォークリフトのフォークを基材60の支柱1間に斜め方向から挿入する際に、支柱1の斜板部30が基材60の内側に位置し、支柱1がフォークリフトのフォークと干渉する可能性を低減して、フォークの挿入作業を円滑に行うことができる。同様の理由から、板材50の右側に配置される2個の支柱(右端側の支柱及び中央よりの右側の支柱)1は、その開口40(斜板部30側)を互いに対向するよう配置することが好ましい。また、板材50の左側に配置される2個の支柱(左端側の支柱及び中央よりの左側の支柱)1は、その開口40(斜板部30側)を互いに対向するよう配置することが好ましい。
このようにして製造した基材60を使用して荷物用パレット70を製造するには、基材60を、所定の作業台や治具の上(水平面上)に一定間隔で複数本(例えば3本)互いに平行となるよう、図示しない位置決め手段等により位置決めして配置する。このとき、上下一対の板材50を上下に配置し、各支柱1が上下方向に延びるよう配置する。次に、前記複数の基材60を直交して横断するよう、基材60の上面(上側の板材50の上面)に、前記板材と同様の複数の板材50をスポット溶接等により固定する。例えば、基材60の上面に5本の板材50を一定間隔で配置する。このとき、図示しない治具や位置決め手段を使用して、板材50を基材60の長さ方向Lに一定間隔で位置決めして配置する。次に、各板材50を、基材60の上面(上側の板材50の上面)にスポット溶接等により固着する。このとき、前記スポット溶接等の固着手段を、前記位置決め手段により位置決めした板材50の位置に配置するようにすると、前記スポット溶接等を効率よく行うことができる。これにより、荷物用パレット70が製作される。
作用及び効果
本実施の形態にかかる荷物用パレット70は、図6に示すように、基材60においてフォークリフトのフォーク挿入空間部分の上側の板材50に、それぞれ、滑止材80が配設固定されて、その滑止突部86が板材50の下面から下方に所定量突出乃至露出している。よって、荷物用パレット70に荷物を積載し、或いは荷物を積載することなく空のまま、荷物用パレット70をフォークリフトにより昇降する場合、フォークリフトのフォークが基材60のフォーク挿入空間において板材50に当接するのではなく、滑止材80の滑止突部86の下面に当接する。そして、フォークからの荷重は、滑止材80を介して板材50に伝達される。よって、フォークは、摩擦抵抗の小さい板材50ではなく、摩擦抵抗が非常に大きい滑止材80の滑止突部86に当接して、荷物用パレット70を昇降するため、フォークと滑止材80が滑止突部86に対して安定して同一位置に保持され、フォークが荷物用パレットに対して滑るといった不具合を生じることがない。また、このとき、滑止材80は、一対の掛止突部81a,83aが板材50の一対の突出部51a,53aにそれぞれ掛止保持され、板材50に対して確実に保持される。よって、滑止材80は、フォークからの荷重等によっても、板材50から脱落することがなく、その滑止機能を確実に発揮する。
また、本実施の形態に係る支柱1は、斜板部30を設けて全体を略五角形柱状とすることにより、全体を単なる四角柱状とする場合と比較して、使用する材料を削減して製造コストを低減することができ、かつ、斜板部30の存在により、荷物用パレット70を構成したときに荷物用パレット70に対してフォークリフトのフォークの抜き差しを容易に行える。
ところで、本発明に係る荷物用パレットは、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、滑止材を配設する荷物用パレット自体の構成は、複数の長尺状の板材を組み合わせて略方形の枠体形状とし、フォークリフトのフォークの荷重を支持する板材(支持板材)に、少なくとも2つの直線状の溝部を長手方向に延びるよう互いに平行に配置すると共に、前記2つの溝部のそれぞれの外側縁に沿って、内側に突出する板状の一対の突出部を一体形成し、更に、支持板材の長さ方向両端を開放端とすると共に、前記枠体形状において前記溝部が下方を向くよう支持板材を配置したものであれば、任意の構成とすることができる。即ち、本発明は、基材60を使用せず、複数の長尺状の板材を組み合わせて略方形の枠体形状とする場合に具体化することもできる。同様に、基材の構成も、上下一対の長尺状の板材間に所定間隔で複数の支柱を介装して配置及び固定してなる長尺枠体状とする限りにおいて、任意の構成とすることができる。なお、基材を使用して荷物用パレットを形成する場合、荷物用パレットにおいては、複数の基材を、互いに略平行となるよう所定間隔で同一平面上に配置し、前記複数の基材を略直交して横断するよう、前記基材の上側の板材の上面に、複数の長尺板状の板材を所定間隔で固定する限りにおいて、荷物用パレットの構成を任意に変更することができる。
また、板材50の一対の突出部は、上記のように断面L字状乃至アングル状とする以外にも、断面半円状としたり、断面四分円弧状としたりする等、板材の内側に突出する限りにおいて、任意の構成とすることができる。一方、滑止材は、係る板材の突出部の構成に対応して、その一対の掛止部を構成する。即ち、滑止材の掛止部を板材の突出部に掛止保持できる限りにおいて、両者は任意の構成とすることができる。また、本実施の形態では、1枚の薄板材を湾曲または折曲して板材50を形成するため、幅方向両端の溝部51,53のそれぞれの外側端縁に突出部51a,53aを一体形成しているが、板材を合成樹脂やその他の可塑材料により成形(例えば、押出成形等)する等の場合は、板材に溝部を3つ以上設ける場合、幅方向両端で対をなす溝部に一対の突出部を設ける以外にも、それ以外の任意の対の溝部(例えば、右端側の溝部と中央の溝部)に、一対の突出部を一体形成することもできる。この場合、滑止材は、板材の幅方向全体に及ぶ幅ではなく、それらの任意の対の溝部(例えば、右端側の溝部と中央の溝部)に形成した一対の突出部間の幅に対応する幅の長尺板状または帯板状となる。また、幅方向両端の一対の掛止部は、それら任意の対の溝部に形成した一対の突出部に掛止保持される。
また、本発明に係る荷物用パレットで使用する支柱においては、前記後壁を矩形板状以外の任意の形状とすることも可能である。また、斜板部30は、側壁20に対して全体として傾斜していればよく、一部が別の傾斜角度で前方に延びるよう形成したり、一部が前方に傾斜することなく延びるよう形成したりすることもできる。更に、前側嵌合部31は、帯板状ではなく、後側嵌合部15と同様、断面略チャンネル状とすることもできる。また、本発明に係る支柱においては、後側固着部12,212を設けることなく、後壁10,210の上下両端縁を、板材50の山部54,55に当接する部分として使用することもできる。同様に、支柱1は、前側固着部33を設けることなく、前壁32の上下両端縁を、板材50の山部54,55に当接する部分として使用することもできる。また、後壁10,210、側壁20、前壁32は、矩形板状以外の形状とすることもできる。更に、斜板部30は、少なくとも、左右の側壁20のいずれか一方の側に設ければよい。