JP4563067B2 - タッピングねじ - Google Patents
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Description
このようなタッピングねじとしては、特開平8−338412号公報には、先端側から順に、特殊非円形テーパーねじ部と、特殊非円形ねじ部と、円形ねじ部と、無螺子部と頭部からなるタッピングねじが記載されている(特許文献1)。
また、タッピングねじとして、特開2000−35016号公報に、先端側から順に、雌ねじを加工する加工ねじ部、標準ねじ山を有する標準ねじ部を有し、加工ねじ部のねじ条には、標準ねじ山より外径および有効径が大きい複数の加工ねじ山を有するタッピングねじが形成されている(特許文献2)。
(1) 薄板に部品を取り付けるためのものであり、かつ、先端側に位置し、前記薄板に形成された孔部もしくは前記部品に形成された孔部に雌ねじを形成するための雌ねじ加工部と、該雌ねじ加工部より後端側に位置し、該雌ねじ加工部により形成される雌ねじと螺合する雄ねじ部と、該雄ねじ部の後端側に設けられた頭部とを有するタッピングねじであって、前記雄ねじ部は、ねじ条を備え、前記雌ねじ加工部は、先端に向かってテーパー状に縮径するテーパー状ねじ部と、前記テーパー状ねじ部の後端側に設けられ、前記テーパー状ねじ部より大きな角度で拡径する移行ねじ部と、該移行ねじ部の後端側に設けられ前記移行ねじ部より大径かつほぼ一定径に形成された一定径ねじ部とを備え、前記テーパー状ねじ部、前記移行ねじ部および前記一定径ねじ部の外面には、各ねじ部のねじ条の周上に、前記ねじ条の前記タッピングねじの中心軸に対してほぼ等角度となるように4カ所設けられたタッピング部を構成する先端が尖った突出部を備え、かつ、前記タッピング部を構成する前記突出部は、前記タッピングねじの軸方向に連続するように形成されており、さらに、前記一定径ねじ部の前記タッピング部の半径は、前記雄ねじ部の半径より大きく、かつ、前記一定径ねじ部のタッピング部非形成部分の半径は、前記雄ねじ部の半径より小さく作製され、さらに、前記頭部の座面と前記雌ねじ加工部の後端との距離は、前記薄板の孔部形成部の厚みと前記部品の孔部形成部の厚みの和より長くなっており、さらに、前記頭部の座面と前記雄ねじ部の後端との距離が前記薄板の孔部形成部の厚みと前記部品の孔部形成部の厚みの和より短いものとなっており、さらに、前記タッピングねじは、前記頭部と前記雄ねじ部との間にねじ条を備えず、かつ、前記雌ねじのせん断強度より小さい破断強度を有する軸部を備えているタッピングねじ。
(2) 前記頭部の座面と前記雌ねじ加工部の後端との距離は、前記薄板の前記孔部形成部の厚みと前記部品の孔部形成部の厚みの和より1.0P以上長くなっている上記(1)に記載のタッピングねじ。
(3) 前記タッピング部を構成する突出部は、前記ねじ条の前記タッピングねじの中心軸に対してほぼ等角度となる位置に設けられている上記(1)または(2)に記載のタッピングねじ。
(4) 前記一定径ねじ部のタッピング部分の半径は、前記雄ねじ部の半径より0.03P〜0.15P大きいものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のタッピングねじ。
(6) 前記タッピングねじのタッピング完了時の回転トルク値は、タッピング時における回転トルクのピーク値の50%以下となっている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のタッピングねじ。
(7) 前記タッピングねじのタッピング完了時の回転トルク値は、ほぼ0となっている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のタッピングねじ。
このため、本発明のタッピングねじによれば、タッピング完了時を明確に判別できる。
この方法によれば、タッピング完了時を明確に判別できるため、タッピング完了前にタッピングを終了することがなく、また、締め過ぎによる雌ねじのせん断を防止することができる。
図1は、本発明の実施例であるタッピングねじの正面図である(ねじ条を省略した図)。図2は、図1に示すタッピングねじの部分拡大図である。図3は、図1に示すタッピングねじの底面図である。
雌ねじ加工部2は、薄板30に雌ねじを加工するための部分であり、図1,図2に示す実施例では、外面にねじ条9aが設けられ、先端に向かってテーパー状に縮径するテーパー状ねじ部6と、テーパー状ねじ部6の後端側に設けられたねじ部6より大きな角度で拡径する移行ねじ部7と、移行ねじ部7の後端側に設けられたほぼ一定径に形成されている一定径ねじ部8からなる。また、雌ねじ加工部2のねじ条9a(テーパー状ねじ部6と移行ねじ部7と一定径ねじ部8の外面)にはタッピング部10が設けられている。また、本発明の実施例では、タッピングねじ1の先端は平坦に作製されている。また、雌ねじ加工部2は、本発明の実施例のように、後端部に設けられたほぼ一定径に形成された一定径ねじ部を有していることが好ましい。
タッピング部10は、図1,図3に示す実施例においては、4本設けられている。タッピング部10は、図1,図3に示すように、雌ねじ加工部2のねじ条9aに設けられた突出部形成部分である(図中のクロスハッチ部分)。タッピング部10は、雌ねじ加工部2のねじ条9aに設けられた突出部10aにより構成されていることが好ましい。実施例では、タッピング部10は、軸方向に連続する突出部10aにより構成されている。言い換えると、タッピング部10は、ねじ条9aの連続する巻き毎に設けられ、かつ軸方向に連続した突出部10aにより構成されている。また、タッピング部は、断続的にねじ条に設けられた突出部により構成されていてもよい。言い換えると、タッピング部は、一巻きおきもしくは複数巻きおきに形成された突出部により構成されていてもよい。
また、本発明の実施例においては、タッピング部10を構成する突出部10aは中心軸に対してほぼ等角度となる位置に形成されているが、これに限定されるものではなく、中心軸に対して等角度とはならない任意の位置に設けられていてもよい。また、それぞれのタッピング部を構成する突出部は、実施例のように軸方向に設けられているのではなく、軸方向に対して斜めに設けられていてもよい。
タッピング部10は、本発明の実施例の場合は、ねじ条9aを塑性変形させることにより部分的に拡径させることにより作製されている。また、タッピング部10は、雌ねじ加工部2のねじ条9aを切り欠きすることにより作製されていてもよい。
雌ねじ加工部2の後端部8のタッピング部分の半径は、ねじのサイズによるが、雄ねじ部3の半径より0.03P(ピッチ、以下同様)〜0.15P、特に、0.05〜0.10P大きくなっていることが好ましい。ねじサイズによるが、例えば、雄ねじ部3がM6並目の場合、1Pは、1.0mmであり、M5並目の場合、1Pは、0.8mmである(以下、同様とする)。具体的に、雌ねじ加工部2の後端部のタッピング部分の半径は、ねじサイズにもよるが、M6の場合、2.940〜3.135mm、特に、2.960〜3.085mmであることが好ましい(JIS2級に対応)。また、M5の場合、2.433〜2.608mm、特に、2.453〜2.568mmであることが好ましい(JIS2級に対応)。
また、タッピングねじの先端は本発明の実施例とは異なり尖っていてもよい。これにより、薄板30に形成された下穴に雌ねじを徐々に形成していくことができる。
雄ねじ部3は、図1、図8に示すように、雌ねじ加工部2より後端側に設けられ雌ねじ加工部2により薄板30の孔部もしくは部品31の孔部に形成された雌ねじ35と螺合する部分となっている。本発明の実施例においては、雄ねじ部3は、雌ねじ加工部2により薄板30の孔部形成部32に形成された雌ねじ35と螺合するものとなっている。雄ねじ部3は、略円形ねじ部となっている。雄ねじ部3の外面に形成されたねじ条9bは、ねじ条9aと連続して設けられている。雄ねじ部3には、雌ねじ加工部3のようにタッピング部10(突出部10a)は設けられてはいない。
雄ねじ部3の長さは、孔部形成部32の厚さより、1.0P以上長いことが好ましく、特に、1.0P〜2.0P以上長いことが好ましい。
タッピングねじ1は、図1に示すように、頭部5と雄ねじ部3との間にねじ条を備えない軸部4を有している。軸部4は、雄ねじ部3の後端側に設けられた棒状部である。軸部4の軸径は、本発明の実施例においては、雄ねじ部3の谷径より小さくなっている。
また、図1,図8に示すように、頭部5の座面5cと雌ねじ加工部2の後端との距離は、薄板30の孔部形成部32の厚み及び部品31の孔部形成部36の厚みの和より長くなっている。これにより、図7に示すように、タッピング完了時に、薄板30及び部品31が完全に雌ねじ加工部2の後端と座面5cとの間に位置するものとなる。また、前記構成と、上述した雌ねじ加工部の後端部のタッピング部の半径は雄ねじ部の半径より大きく作製されるという構成とが組み合わされることにより、タッピング完了時が明確に判別可能なものとなる。また、タッピング完了時が明確に判別可能となることから着座前という認識をもってインパクトレンチ等の締め付けを行うことができるため、締めすぎによる雌ねじのせん断が防止される。
また、頭部5の座面5cと雌ねじ加工部2の後端との距離は、薄板30の孔部形成部32の厚みと部品31の孔部形成部36の厚みの和より、1.0P以上長くなっていることが好ましく、特に、1.0P〜2.0P、さらには、1.5P〜2.0P長くなっていることが好ましい。
また、頭部5の座面5cと雄ねじ部3の後端との距離(本発明の実施例では、軸部4の長さ)は、部品31の孔部形成部36の厚み以下であることが好ましい。
本発明のタッピングねじが取り付けられる薄板の材質としては、例えば、SPCC、SPCD、SPCE等の冷延鋼板、SPHC、SPHD、SPHE等の熱延鋼板、高張力鋼板等が挙げられる。また、タッピングねじの材質としては、例えば、鉄鋼材、ステンレス、真鍮、銅、アルミ、チタン等が使用される。また、タッピングねじの材質としては、浸炭処理を行うことができる材質であることが好ましい。また、本発明のタッピングねじは、例えば、自動車等を構成する薄板に部品を取りつけるために使用される。
図6は、本発明の実施例であるタッピングねじを用いた部品取り付け方法を説明するための説明図である(タッピング時)。図7は、本発明の実施例であるタッピングねじを用いた部品取り付け方法を説明するための説明図である(タッピング完了時)。図8は、本発明の実施例であるタッピングねじを用いた部品取り付け方法を説明するための説明図である(締結時)。図13は、本発明の実施例であるタッピングねじ及び従来のタッピングねじの回転角度に対するトルク変化を示すグラフである。グラフにおける実線は、本発明の実施例であるタッピングねじの回転角度に対する回転トルク変化であり、破線は、従来のタッピングねじの回転角度に対するトルク変化である。図13に示すタッピングねじの回転角度に対する回転トルク変化の測定に使用されるタッピングねじ及び測定条件は、後述する(実施例)及び(実験)に示す条件によって行われる。
取り付け操作前に、タッピング対象となる薄板30には孔部(下穴)が形成される。孔部の形状としては、十字状、丸状等が挙げられる。実施例において、孔部の形状は、十字状となっている。また、予め薄板30にバーリング加工をして孔部を形成しておいてもよい。
また、薄板30に取り付けられる部品31には、タッピングねじ1が貫通するための孔部が形成されている。実施例においては、部品に形成された孔部の内径は、タッピングねじ1の最大径より若干大きいものとなっており、孔部には雌ねじ加工部2により雌ねじが形成されないものとなっている。なお、本発明の部品取り付け方法としては、薄板の孔部及び部品の孔部の両方にタッピングねじにより雌ねじを形成するものであってもよい。タッピングねじの取付は、インパクトレンチ等を用いて行われることが好ましい。
このようなタッピングねじを用いて、上述したように、タッピングねじ40により部品31を薄板30に取りつける。
これに対して、本発明の実施例のタッピングねじは、このような問題点がなくタッピング完了時を明確に判別できるものである。
以上、本発明のタッピングねじ及びタッピングねじを用いた部品取り付け方法について説明したが、タッピングねじ及び取りつけ方法は、上述した実施例に限定されるものではない。
(実施例)
タッピングねじは、図1に示すように、先端側から順に設けられた、雌ねじ加工部と、雄ねじ部と、軸部と、ねじ頭部とからなる。
タッピングねじは、ピッチ1.0mm、雌ねじ加工部の一定径部のタッピング部ねじ径φ6.1mm、雌ねじ加工部長さ8.0mm(テーパー状ねじ部長さ5.0mm、一定径ねじ部長さ3.0mm)、雄ねじ部ねじ径φ6.0mm、雄ねじ部長さ5.0mm、軸部径φ5.3mm、軸部長さ2.0mmのようなサイズに作製されている。また、タッピング部の断面形状は、図3に示すように各辺が外側に膨らむように湾曲する四角形状となっており、タッピング部は90°毎に形成されている。そして、このように作製したタッピングねじの表面を浸炭処理した。
タッピングねじは、図9,図11,図12に示すように、先端側から順に設けられた、棒状部と、雌ねじ加工部と、雄ねじ部と、ねじ頭部とからなる。
タッピングねじは、ピッチ1.0mm、雌ねじ加工部の一定径部のタッピング部のねじ径約φ6.0mm、一定径部のタッピング非形成部のねじ径約φ5.0mm、雌ねじ加工部長さ約7.0mm(テーパー状ねじ部長さ約4mm、一定径ねじ部3mm)、テーパー状ねじ部の軸に対する傾きは、約12°、雄ねじ部ねじ径φ6.0mm、雄ねじ部長さ、4.0mm、軸部径φ5.3mm、軸部長さ2.0mmのようなサイズに作製されている。また、タッピング部の断面形状は、図12に示すように各辺が外側に膨らむように湾曲する3角形状となっており、タッピング部は120°毎に形成されている。また、雌ねじ加工部の一定径部には、タッピング部から30°となる位置に、図12に示すような切欠部が設けられている。そして、このように作製したタッピングねじの表面を浸炭処理した。
実施例及び比較例にて作製されたタッピングねじを用いて、部品を薄板に取りつける際の、回転角度に対する回転トルクを測定した。回転トルクの測定は、ナットランナーを用いて行われた。
まず、下穴を形成した板厚0.6mm、SPCC製の薄板の上に、厚み4mmの固定対象部品を孔が重なるように配置して両者を支持ベッドに固定する。そして、回転速度395rpmでタッピングねじが破断するまで締め付けを行ったところ、図13に示すような結果となった。
2 雌ねじ加工部
3 雄ねじ部
5 頭部
5c 座面
9a,9b ねじ条
10 タッピング部
30 薄板
31 部品
32 孔部形成部
35 雌ねじ
36 孔部形成部
Claims (7)
- 薄板に部品を取り付けるためのものであり、かつ、先端側に位置し、前記薄板に形成された孔部もしくは前記部品に形成された孔部に雌ねじを形成するための雌ねじ加工部と、該雌ねじ加工部より後端側に位置し、該雌ねじ加工部により形成される雌ねじと螺合する雄ねじ部と、該雄ねじ部の後端側に設けられた頭部とを有するタッピングねじであって、
前記雄ねじ部は、ねじ条を備え、
前記雌ねじ加工部は、先端に向かってテーパー状に縮径するテーパー状ねじ部と、前記テーパー状ねじ部の後端側に設けられ、前記テーパー状ねじ部より大きな角度で拡径する移行ねじ部と、該移行ねじ部の後端側に設けられ前記移行ねじ部より大径かつほぼ一定径に形成された一定径ねじ部とを備え、前記テーパー状ねじ部、前記移行ねじ部および前記一定径ねじ部の外面には、各ねじ部のねじ条の周上に、前記ねじ条の前記タッピングねじの中心軸に対してほぼ等角度となるように4カ所設けられたタッピング部を構成する先端が尖った突出部を備え、かつ、前記タッピング部を構成する前記突出部は、前記タッピングねじの軸方向に連続するように形成されており、さらに、前記一定径ねじ部の前記タッピング部の半径は、前記雄ねじ部の半径より大きく、かつ、前記一定径ねじ部のタッピング部非形成部分の半径は、前記雄ねじ部の半径より小さく作製され、
さらに、前記頭部の座面と前記雌ねじ加工部の後端との距離は、前記薄板の孔部形成部の厚みと前記部品の孔部形成部の厚みの和より長くなっており、さらに、前記頭部の座面と前記雄ねじ部の後端との距離が前記薄板の孔部形成部の厚みと前記部品の孔部形成部の厚みの和より短いものとなっており、さらに、前記タッピングねじは、前記頭部と前記雄ねじ部との間にねじ条を備えず、かつ、前記雌ねじのせん断強度より小さい破断強度を有する軸部を備えていることを特徴とするタッピングねじ。 - 前記頭部の座面と前記雌ねじ加工部の後端との距離は、前記薄板の前記孔部形成部の厚みと前記部品の孔部形成部の厚みの和より1.0P以上長くなっている請求項1に記載のタッピングねじ。
- 前記タッピング部を構成する突出部は、前記ねじ条の前記タッピングねじの中心軸に対してほぼ等角度となる位置に設けられている請求項1または2に記載のタッピングねじ。
- 前記一定径ねじ部のタッピング部の半径は、前記雄ねじ部の半径より0.03P〜0.15P大きいものである請求項1ないし3のいずれかに記載のタッピングねじ。
- 前記一定径ねじ部のタッピング部非形成部分の半径は、前記雄ねじ部の半径より0.10P〜0.30P小さいものである請求項1ないし4のいずれかに記載のタッピングねじ。
- 前記タッピングねじのタッピング完了時の回転トルク値は、タッピング時における回転トルクのピーク値の50%以下となっている請求項1ないし5のいずれかに記載のタッピングねじ。
- 前記タッピングねじのタッピング完了時の回転トルク値は、ほぼ0となっている請求項1ないし6のいずれかに記載のタッピングねじ。
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