JP4562936B2 - 繊維製品用処理剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、適用後のアイロン等の加熱処理により、優れた形態安定性、すなわちシワ抑制効果や折り目保持効果を繊維製品に付与する繊維製品処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ワイシャツやスラックス等のアイロンがけは手間のかかる作業の一つであり、その作業を軽減させるべくホルムアルデヒドガス或いはホルムアルデヒド放出体や液体アンモニア等を用いた形態安定化処理が施された衣料が市販されている。また、特公平7−26321号公報で繊維状セルロース材料を特定のポリカルボン酸と特定の硬化用触媒を含む処理溶液に含浸させ、加熱させることによりポリカルボン酸とセルロースのエステル化及び架橋化を行う方法が開示されている。さらに、特開平7−189131号公報には、少なくとも2つのカルボキシ基を有するポリ酸とリン含有促進剤と活性水素化合物を含むセルロース基体の強化方法が開示されており、特開平11−158773号公報には、特定の水溶性ビニル共重合体と無機塩とを含有する水性液によるセルロース布帛への形態安定性付与方法が開示されている。
【0003】
しかしながら、これらの方法はいずれも、カルボン酸とセルロースの水酸基とのエステル架橋によって得られる効果であり、セルロース含有率の高い布帛又は衣料(以下、衣料と総称する)にのみ有効な技術であり、セルロースを含有しない化繊やウールの衣料には効果が認められず、セルロース含有率の低い衣料には十分な効果が得られないという問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(i)加熱により相互に架橋体を形成する2種以上の化合物及び(ii)加熱により自己架橋体を形成する化合物の少なくとも何れかを0.01〜20質量%、並びに水を含有し、不揮発分が0.01〜30%である、加熱処理により繊維製品に形態安定性を付与する処理剤に関する。
【0005】
さらに、本発明は、下記のモノマー単位(A)、モノマー単位(B)及びモノマー単位(C)から選択される(この場合においてモノマー単位(C)が選択されない場合は、モノマー単位(A)及びモノマー単位(B)の両方のモノマー単位が選択される)モノマー単位を含み、且つ全構成モノマー単位中のモノマー単位(A)、(B)及び(C)の比率が合計で50〜100モル%であるビニル系重合体を0.01〜20質量%含有し、不揮発分が0.01〜30%である加熱処理により繊維製品に形態安定性を付与する処理剤に関する。
モノマー単位(A):カルボキシ基を有するビニル系モノマー単位
モノマー単位(B):水酸基を有するビニル系モノマー単位
モノマー単位(C):カルボキシ基と水酸基とを有するビニル系モノマー単位
【0006】
本発明には、上記モノマー単位(A)、モノマー単位(B)及びモノマー単位(C)から選択される(この場合において、モノマー単位(C)が選択されない場合は、モノマー単位(A)及びモノマー単位(B)の両方のモノマー単位が選択される)モノマー単位を含み、且つ全構成モノマー単位中のモノマー単位(A)、(B)及び(C)の比率が合計で50〜100モル%であるビニル系重合体を0.01〜20質量%含有し、20℃におけるpHが3.0〜7.5である繊維製品処理剤が包含される。
【0007】
本発明において、「自己架橋」とは、架橋剤を介さずに同一種類の化合物間で3次元構造体を形成する現象を指し、「自己架橋体」は自己架橋によって形成された構造体を指す。高分子重合体おいて、「同一種類」とは、同じ構成モノマー単位の組み合わせからなるものを言う。
また、本発明における架橋とは、主に加熱により形成される共有結合による架橋を指し、その架橋が形態安定性に寄与している。単なる水分蒸発によって形成された架橋は実質的には、本発明では形態安定性に寄与していないと考えられる。
【0008】
上記(i)の加熱により相互に架橋体を形成する2種以上の化合物を用いる場合には、化繊・ウールなどの場合にもセルロース含有繊維の場合にも同様に架橋体形成により、形態安定性が得られる。
また、加熱により自己架橋体を形成する化合物(ii)としては、例えば一分子内にカルボキシ基と水酸基を有する上記の如きビニル系重合体があり、この場合は、熱処理をすることで、重合体分子内或いは分子間で自己架橋体を形成し、さらにセルロース分子とも架橋を形成し得る。従って、セルロースを含有しない化繊やウールなどの繊維製品でも、自己架橋によって形態安定性が得られるし、かつセルロース含有繊維製品では、自己架橋とともにセルロースとの架橋も形成するのでより高い形態安定性が得られる。
このように、本発明の処理剤を用いることにより、繊維の種類を問わず、また混紡・混織の場合でも形態安定性を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の処理剤は、上記(i)又は(ii)を構成する化合物の少なくとも1つが重量平均分子量1,000〜1,000,000の高分子重合体であることが好ましく、その場合、該高分子重合体を構成しているモノマー単位のうち、水酸基又はカルボキシ基の少なくとも1つを有するモノマー単位が全モノマー単位の50〜100モル%を占めることが好ましい。また、(ii)においては水酸基及びカルボキシ基の両方の基を有する高分子重合体を含むことが好ましい。また、(ii)における高分子重合体のカルボキシ基と水酸基の当量比は、カルボキシ基:水酸基=9:1〜1:9であることが好ましい。
また、本発明の処理剤は、水溶性無機塩を0.005〜10質量%含有することが好ましい。
更に、本発明の処理剤は、シリコーン化合物を0.005〜7.5質量%含有することが好ましい。
【0010】
本発明において、(i)又は(ii)は、以下の要件(I)と(II)の両方を満たすものが好ましい。
要件(I):(i)又は(ii)の30質量%水溶液を布帛上に塗布し、180℃、10分間加熱後の未処理布からの質量増加分をM1、また前記加熱後の布帛をイオン交換水中に2時間浸漬後、60℃で2時間乾燥させたものの未処理布に対する質量増加分をM2とする時、(M2/M1)×100で示される値r1(%)がポリエステル繊維からなる布帛において40%〜100%の範囲内である。
要件(II):(i)又は(ii)の30質量%水溶液を布帛上に塗布し、20℃、48時間静置乾燥後の未処理布からの質量増加分をM3、また前記静置乾燥後の布帛をイオン交換水中に2時間浸漬後、60℃で2時間乾燥させたものの未処理布に対する質量増加分をM4とする時、(M4/M3)×100で示される値r2(%)がポリエステル繊維からなる布帛において20%未満である。
【0011】
要件(I)及び(II)の測定には、2.0cm×5.0cmに裁断した100cm2あたりの質量が1.0g〜3.0gであるポリエステル100%布を試験布として使用する。この範囲内のいずれかのポリエステル布帛が本要件を満たせばよい。本発明では、これらの要件を満たす布帛として、2.0cm×5.0cmに裁断したポリエステル100%ジャージ(染色試材(株)谷頭商店から入手)を用いて測定した。試験布の質量測定は全て、20℃、65%R.H.の条件下で、12時間以上かけて調湿した後に行う。また、180℃での加熱と60℃での乾燥は恒温乾燥器(設定温度180±5℃又は60±5℃)を用いて行う。
【0012】
(i)加熱により相互に架橋体を形成する2種以上の化合物には、高分子化合物が含まれることが好ましい。特に、アニオン性高分子と多官能エポキシ化合物の組合せが例示される。
【0013】
この組み合わせにおけるアニオン性高分子とは、カルボキシ基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、ホスホン酸基等のアニオン性基を有する構成単位を含有する高分子である。アニオン性高分子は、アニオン性基含有モノマーを重合することにより得られる高分子であっても、また、高分子にアニオン性基を付加等により導入した高分子であっても、また天然に存在する高分子のいずれでも構わない。
【0014】
アニオン性基含有モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタリルスルホン酸、リン酸モノ−10−メタクリロイルオキシデシル等及びこれらの塩が挙げられる。これらのモノマーの1種以上及び/又は他のモノマーを重合することによりアニオン性高分子が得られる。
【0015】
また、高分子にアニオン性基を付加等により生成させたアニオン性高分子としては、カルボキシメチル化澱粉、カルボキシメチル化セルロース等及びこれらの塩が挙げられる。又、天然に存在するアルギン酸及びその塩等も用いることができる。
【0016】
一方、アニオン性高分子と併用する多官能エポキシ化合物としては、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジグリセリントリグリシジルエーテル、テトラグリセリンテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等の脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0017】
上記アニオン性高分子と多官能エポキシ化合物の組み合わせにおいて、両者の比率は、アニオン性高分子/多官能エポキシ化合物=50000/1〜10/1、更に10000/1〜20/1、特に1000/1〜50/1(質量比)であることが好ましい。
【0018】
また、(ii)加熱により自己架橋体を形成する化合物は、高分子化合物であることが好ましい。該高分子化合物としては、水酸基及びカルボキシ基の両方を有する高分子重合体が例示され、なかでも水酸基含有モノマーとカルボキシ基含有モノマーとを重合することにより得られる高分子重合体や、セルロースや澱粉等の多糖類にカルボキシ基を付加させたもの、例えばカルボキシメチル化セルロースやカルボキシメチル化澱粉が好ましい。
【0019】
中でも、カルボキシ基を有するビニル系モノマー単位と水酸基を有するビニル系モノマー単位とからなるビニル系重合体が好ましい。このようなビニル系重合体としては、下記のモノマー単位(A)、モノマー単位(B)及びモノマー単位(C)から選択される(この場合において、モノマー単位(C)が選択されない場合は、モノマー単位(A)及びモノマー単位(B)の両方のモノマーが選択される)モノマー単位を含み、且つ全構成モノマー単位(A)、(B)及び(C)の比率が合計で50〜100モル%であるビニル系重合体が挙げられる。
モノマー単位(A):カルボキシ基を有するビニル系モノマー単位
モノマー単位(B):水酸基を有するビニル系モノマー単位
モノマー単位(C):カルボキシ基と水酸基とを有するビニル系モノマー単位。
【0020】
カルボキシ基を有するモノマー単位(A)を得るためのビニル系モノマー(A)の例としては、下記式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0021】
【化1】
Figure 0004562936
【0022】
〔式中、R1、R2は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、CH2COOM5(M5は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、NH4、有機アミン)を示す。M1、M2、M3、M4は、同一又は異なって、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、NH4、有機アミンを示す。ここで、有機アミンとは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。〕。
【0023】
式(1)〜(3)の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等又はこれらの塩が挙げられる。塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。なお、イタコン酸やマレイン酸は下記式(4)及び(5)で表される酸無水物であってもよい。酸無水物は、加水分解されて本発明の重合体を構成するモノマー単位となる。
【0024】
【化2】
Figure 0004562936
【0025】
上記のなかでもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸又はこれらのナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。特に、マレイン酸等のジカルボン酸もしくはそのナトリウム塩、カリウム塩又は無水マレイン酸、無水イタコン酸がより好ましい。
【0026】
本発明のビニル系重合体を得るために用いられる、水酸基を有するモノマー単位(B)を得るために用いられるビニル系モノマー(B)の例としては、下記式(6)〜(11)で表される化合物から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0027】
【化3】
Figure 0004562936
【0028】
〔式中、R3、R5、R7、R9、R11、R13は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜100のアルキル基、R4、R6、R8、R10、R12、R14は、同一又は異なって、炭素数2〜6のアルキレン基、mは平均付加モル数であり、2〜100の数を示す。〕。
【0029】
式(6)の具体例としては、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(6−ヒドロキシヘキシル)(メタ)アクリルアミド等の炭素数2〜6のヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。ここで(メタ)アクリルはアクリル又はメタクリルの意味である。式(7)の具体例としては、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等が挙げられる。式(8)の具体例としては、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のオキシエチレン(以下EOとする)、オキシプロピレン(以下POとする)等を単独或いは併用して得られる(メタ)アクリルアミドのポリオキシアルキレン付加物が挙げられる。式(9)の具体例としては、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等のEO、PO等を単独或いは併用して得られる(メタ)アリルエーテルのポリオキシアルキレン付加物が挙げられる。式(10)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数2〜6のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。式(11)の具体例としては、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のEO、PO等を単独或いは併用して得られる(メタ)アクリル酸のポリオキシアルキレン付加物が挙げられる。
【0030】
式(6)〜(11)におけるR3、R5、R7、R9、R11、R13がアルキル基の場合の炭素数は、好ましくは1〜22であり、特に好ましくは1〜5である。式(8)、(9)、(11)のポリオキシアルキレン平均付加モル数mは好ましくは2〜50である。
【0031】
本発明のカルボキシ基と水酸基の両方を有するモノマー単位(C)はモノマー単位(A)やモノマー単位(B)と共存してもよいし、しなくともよい。カルボキシ基と水酸基の当量比を計算するには、カルボキシ基と水酸基の両方を有するモノマー単位(C)の場合は、それぞれの基が1当量ずつあるとして計算する。このようなモノマー単位(C)を得るために用いられるビニル系モノマー(C)の具体例としては、α−ヒドロキシアクリル酸等が挙げられる。
【0032】
本発明のビニル系重合体は、モノマー単位(A)、(B)及び(C)以外のモノマー単位(D)を有していてもよい。このようなモノマー単位(D)を得るためのビニル系モノマー(D)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、tert−ブチルアクリルアミド等のN−置換(メタ)アクリルアミド誘導体、式(12)で表される(メタ)アクリル酸のポリオキシアルキレン付加物のモノアルキルエーテル、式(13)で表される(メタ)アクリル酸アミド類のポリオキシアルキレン付加物のモノアルキルエーテル、式(14)で表される(メタ)アリルアルコールのポリオキシアルキレン付加物のモノアルキルエーテルが挙げられる。
【0033】
【化4】
Figure 0004562936
【0034】
〔式中、R15、R18、R21は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜100のアルキル基、R17、R20、R23は、同一又は異なって、炭素数1〜100のアルキル基、R16、R19、R22は、同一又は異なって、炭素数2〜6のアルキレン基、mは平均付加モル数であり、2〜100の数を示す〕
【0035】
式(12)、(13)、(14)におけるR15、R17、R18、R20、R21、R23がアルキル基の場合の炭素数は好ましくは1〜22である。また、ポリオキシアルキレン平均付加モル数mは好ましくは2〜50モルである。
【0036】
その他のビニル系モノマー(D)としては、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、スチレンスルホン酸又はその塩等のスチレン誘導体、エチレン、プロピレン等のオレフィン系炭化水素類、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸等のスルホン酸基含有ビニルモノマー又はそれらの塩等が挙げられる。これらのモノマーを塩として使用する場合の好ましい塩は、式(1)〜(3)で用いられる塩と同様である。
【0037】
本発明で用いられるビニル系重合体は、モノマー単位(A)、モノマー単位(B)及びモノマー単位(C)の合計が、全構成モノマー単位中に50〜100モル%、好ましくは60〜100モル%、特に好ましくは70〜100モル%である。また、該ビニル系重合体中のカルボキシ基と水酸基の当量比は、好ましくはカルボキシ基:水酸基=9:1〜1:9、より好ましくは8:2〜1:9、特に好ましくは7:3〜2:8である。ここで、式(4)及び(5)で表される酸無水物はカルボキシ基が2当量分とする。なお、この比率は重合時に用いられるビニル系モノマー量比によって求めたもの(モノマーの仕込みモル比)であってもよい。
【0038】
また、式(10)〜(11)で表されるビニル系モノマーの1種以上が本発明の重合体を構成するモノマー単位となる場合は、式(1)〜(5)で表されるモノマー単位(A)は、重合体中に5〜50モル%であることが好ましく、特に5〜45モル%であることが好ましい。この範囲であれば、より効率的にビニル系重合体の分子内あるいは分子間の架橋が形成され、より高い形態安定性が繊維の種類を問わずに得られる。
【0039】
本発明で用いられるビニル系重合体の合成方法は、例えば特開平6−206750号公報に記載されている様な方法が適用できる。具体的には、ラジカル開始剤の存在下に、前記の各モノマーを所定のモル比率で、ラジカル共重合することにより得られる。この様にして得られたビニル系重合体の重量平均分子量は1,000〜1,000,000〔ゲル浸透式液体クロマトグラフィー(以下GPCと記載)法、ポリエチレングリコール(以下PEGと記載)換算〕の範囲のものが好ましく用いられる。なかでも5,000〜800,000の範囲がより好ましく、さらに10,000〜500,000が特に好ましい。
【0040】
また、本発明では以上のようなビニル系重合体の異なる組成又は異なる重量平均分子量のものを2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0041】
本発明の処理剤は布帛に適用される時点での処理剤を意味する。例えば、原液をそのままスプレーや塗布や浸漬等の処理を行う場合は原液が処理剤であり、希釈を行いスプレーや塗布や浸漬等の処理を行う場合はその希釈液が処理剤である。
【0042】
本発明の処理剤は、上記(i)と(ii)の両方を含有することもでき、更に(i)を構成する化合物のいずれか1つ以上と(ii)とを含有することもできる。すなわち、(i)が化合物XとYの場合、その一方と(ii)とを併用することもできる。本発明の処理剤は、上記(i)及び/又は(ii)〔(i)の場合は総量で〕を0.01〜20質量%、好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%含有する。この上記範囲であれば、高い形態安定性が得られる。
【0043】
また、上記の如きビニル系重合体の場合も同様に、ビニル系重合体、更に他の加熱により自己架橋体を形成する化合物及び/又は加熱により相互に架橋体を形成する2種以上の化合物を処理剤中に0.01〜20質量%、好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%含有する。上記範囲であれば、高い形態安定性が得られる。
【0044】
さらに、本発明の処理剤は、(i)又は(ii)に、更に水溶性無機塩、シリコーン、界面活性剤、低分子多価カルボン酸等を含有し、不揮発分が0.01〜30%、好ましくは0.1〜25%、特に好ましくは0.5〜15%である。なお、不揮発分は、加熱前の処理剤に基づく値である。
【0045】
また、上記の如きビニル系重合体の場合も同様に、ビニル系重合体に、更に他の加熱により自己架橋体を形成する化合物、加熱により相互に架橋体を形成する2種以上の化合物、並びに水溶性無機塩やシリコーン、界面活性剤、低分子型多価カルボン酸等を含有し、不揮発分が、0.01〜30%、好ましくは0.1〜25%、特に好ましくは0.5〜15%である。
【0046】
不揮発分が上記範囲であれば、高い形態安定性が得られるとともに、処理後の繊維製品を乾燥した後に、繊維製品の白化・変色やべたつき・ごわつきなどの風合いの著しい変化を起こさない。
【0047】
本発明において、不揮発分は以下の方法によって測定される。
<不揮発分の測定方法>
(1)よく乾燥させた平底皿(内径約50mm、高さ約30mm)に乾燥助剤(無水硫酸ナトリウムを105℃にて十分乾燥させたもの)約20〜30gと攪拌棒(直径約8mm、長さ約80mm)を入れ、質量を正しく測る。
(2)上記平底皿に処理剤(1.5〜2.0g)を入れ、その質量(乾燥前の質量)を正しく測る。
(3)乾燥助剤と処理剤を攪拌棒で均一に混合する。
(4)乾燥器(空気攪拌装置付き乾燥器、設定温度105℃±2℃)の中へ入れ、3時間乾燥する。
(5)乾燥後、デシケータ(シリカゲル乾燥剤を入れたもの)内で約30分室温まで放冷する。
(6)乾燥・放冷後の平底皿の質量(乾燥後の質量)を正しく測り、下記の式により不揮発分の比率を算出する。
不揮発分(%)=100−〔乾燥前の質量(g)−乾燥後の質量(g)〕×100÷処理剤採取量(g)
【0048】
本発明の処理剤は20℃におけるpHが3.0〜7.5であり、好ましくは3.5〜7.0、より好ましくは4.0〜6.5に調整する。この範囲において繊維の強度劣化が起こらず、また形態安定性が良好となる。pHは、繊維処理剤等に公知に使用されている酸やアルカリ剤により調整してもよく、また後述する水溶性無機塩により調整してもよい。
【0049】
本発明の処理剤にさらに水溶性無機塩を配合することにより、形態安定性が向上する。本発明における水溶性とは、20℃における溶解度が0.1g/水100g以上のものを指す。具体的には、亜リン酸、次亜リン酸、リン酸、ポリリン酸等のリン酸類、ホウ酸、メタホウ酸などのホウ酸類、ケイ酸、メタケイ酸等のケイ酸類、硫酸、亜硫酸、チオ硫酸等の硫酸類から選ばれる酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩又はアミン類塩である。本発明では、特に亜リン酸、次亜リン酸、リン酸、ポリリン酸のナトリウム塩、カリウム塩が形態安定性向上の点で好ましい。本発明の処理剤は、水溶性無機塩を好ましくは0.005〜10質量%、より好ましくは0.05〜7.5質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%含有する。
【0050】
本発明において、上記(i)及び/又は(ii)の総量、特に上記ビニル系重合体に対する水溶性無機塩の質量比率は、形態安定性向上の点で、〔(i)及び/又は(ii)の総量、特にビニル系重合体〕:水溶性無機塩が好ましくは1:0〜1:1、より好ましくは1:0.05〜1:0.5、特に好ましくは1:0.1〜1:0.3である。上記(i)及び/又は(ii)の総量、特に上記ビニル系重合体の質量を水溶性無機塩の質量が超えない範囲であれば、架橋体生成効率の点で良好である。
【0051】
本発明の処理剤には、形態安定性を向上させるために、さらにシリコーン化合物を配合するのが好ましい。具体的には、ジメチルポリシロキサンオイル、側鎖の一部或いは末端に水酸基を有するジメチルポリシロキサンオイル、ジメチルポリシロキサンオイル又は水酸基含有ジメチルポリシロキサンオイルに有機基を導入した変性シリコーンオイルが挙げられる。変性シリコーンオイルを得るために導入される有機基としては、アミノ基、アミド基、ポリエーテル基、エポキシ基、カルボキシ基、アルキル基、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)鎖等が挙げられる。
【0052】
シリコーン化合物は、乳化剤により乳化しても使用できる。乳化剤には、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれか1種以上を任意に組み合わせて使用するのが好ましい。
【0053】
また、乳化剤を用いないでシリコーンオイルにポリエーテル基等の親水性の変性基を導入し自己乳化させて用いても構わない。
【0054】
以上のようなシリコーン化合物は、シリコーン化合物自体、または乳化された態様のシリコーン製剤として入手可能である。例えば、ジメチルポリシロキサンエマルションとしては東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)からBY22−029等が入手可能であり、水酸基含有ジメチルポリシロキサンオイルにアミノ基が導入されたものとしては東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)からSM8704Cが入手可能であり、ジメチルポリシロキサンオイルにアミノ基とポリエーテル基が導入されたものとしては信越化学工業(株)からX−61−689が入手可能である。
【0055】
いずれの場合も、本発明の処理剤は、シリコーン化合物を好ましくは0.005〜7.5質量%、より好ましくは0.01〜5質量%、さらに好ましくは0.05〜2.5質量%含有する。
【0056】
本発明の処理剤は、さらに低分子型多価カルボン酸や非イオン性界面活性剤を含有させることにより形態安定性がさらに向上する。
【0057】
低分子型多価カルボン酸とは、1分子中に2つ以上のカルボキシ基を有する有機酸又はその塩であり、好ましくは隣接する炭素原子にそれぞれ結合する少なくとも2つのカルボキシ基を有する有機酸又はその塩である。酸としての分子量は116〜1,000、好ましくは116〜800、より好ましくは116〜500である。このような化合物としてはコハク酸、マレイン酸、クエン酸、フマル酸、酒石酸、リンゴ酸、シトラコン酸、アコニット酸、イタコン酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、フェニルコハク酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロオクタンジカルボン酸、1,2−シクロヘプタンジカルボン酸、1,2−シクロブタンジカルボン酸、2,3−ジメチルコハク酸、2,3−ジエチルコハク酸、2−エチル−3−メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、3,3−ジメチル−シス−1,2−シクロプロパンジカルボン酸、2,3−ジ−tert−ブチルコハク酸、トリメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸等が挙げられる。また、界面活性能を有する多価カルボン酸として、炭素数8〜18のアルケニルコハク酸等が挙げられる。これらの酸はその一部をアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩としても使用でき、或いは例えば無水マレイン酸や無水コハク酸のような酸無水物としても使用できる。さらに2種以上の酸、酸無水物を組み合わせても使用できる。
【0058】
これらの低分子型多価カルボン酸のうち、特にクエン酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸又はこれらの塩が形態安定性を向上させる点で好ましい。
【0059】
本発明の処理剤は、このような低分子型多価カルボン酸を、酸として好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%含有する。
【0060】
非イオン性界面活性剤は、本発明の処理剤の繊維製品への濡れ性或いは浸透性を改善するのものが選ばれる。このようなものとしては、好ましくは炭素数6〜18アルコールのポリオキシアルキレン(以下POAと記載)付加物、炭素数6〜18のアルキルフェノールのPOA付加物、炭素数6〜18脂肪酸のPOA付加物、多価アルコールの炭素数6〜18脂肪酸エステルのPOA付加物、炭素数6〜18アルキルアミンのPOA付加物、炭素数6〜18脂肪酸アミドのPOA付加物、油脂のPOA付加物、ポリプロピレングリコールのPOA付加物等のポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤が挙げられる。ここでPOAは、好ましくはポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンであり、平均付加モル数は2〜100モル、好ましくは5〜80モルである。
【0061】
また、グリセロールの炭素数6〜18脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの炭素数6〜18脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの炭素数6〜18脂肪酸エステル、蔗糖の炭素数6〜18脂肪酸エステル、多価アルコールの炭素数6〜18アルキルエーテル、アルカノールアミン類の炭素数6〜18脂肪酸アミド等の多価アルコール型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0062】
ポリエチレングリコール型、多価アルコール型のいずれの場合もアルコールやアルキル基、脂肪酸は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。またそれらの炭素数は混合物であってもよい。
【0063】
本発明の処理剤は、非イオン性界面活性剤を0.001〜5質量%、特に0.01〜2.5質量%含有することが好ましい。なお、本発明の繊維製品処理剤中の全界面活性剤の含有量は5質量%以下が好ましい。
【0064】
本発明の処理剤には必要に応じて、アイロン滑り性を向上させるためのワックス或いはその乳化物、保存安定性を向上させるための抗菌・殺菌・防黴剤やアルコール、ポリオール等や使用感を良好にするための香料等の衣料用スプレー糊剤として公知に使用されている成分を任意に配合することができる。これらの成分は処理剤中に0〜15質量%含有させることができる。
【0065】
本発明の処理剤の残部は水であり、好ましくは55〜99.9質量%、更に好ましくは65〜99.5質量%、特に好ましくは75〜99.5質量%含有される。
【0066】
本発明の処理剤の使用形態は、処理剤を繊維製品に含浸処理をした後、加熱処理をすることで繊維製品に形態安定性を付与する。含浸処理と加熱処理の方法は特に限定されないが、含浸処理には、スプレー処理、塗布処理、浸漬処理等がある。いずれの場合も処理を行う際の処理液の不揮発分は0.01〜30%、好ましくは0.1〜25%、特に好ましくは0.5〜15%である。加熱処理には、アイロンやズボンプレッサーやプレス機などを用いることができる。なかでも繊維製品に処理剤をスプレー処理をして含浸させ、アイロン処理により加熱するのが簡便であり好ましい。
【0067】
スプレー処理にはエアゾール式、手動式トリガー、手動式ポンプ等のスプレーヤーを用いることができ、なかでも手動式トリガー又は手動式ポンプが好ましく、特に手動式トリガーが好ましい。本発明では、繊維製品処理剤をこれらのスプレーヤーを備えた容器に充填してなる物品として使用することが最も好ましい。これらスプレーヤーの構成は特に限定されないが、1回の噴霧で0.1〜1.5g、好ましくは0.2〜1.0g、特に好ましくは0.25〜0.8gの処理剤が噴出するものが良好である。さらに繊維製品から15cm離れた場所から噴霧したとき、1回の噴霧で繊維製品に該処理剤が付着する面積は50〜800cm2、好ましくは100〜600cm2になる容器が好ましい。さらに例えば実開平4−37554号公報や特開平9−122547号公報に開示されているような蓄圧式トリガーを用いるとスプレーミストの均一性や液だれ・ボタ落ちの無さの点で良好である。
【0068】
本発明では、上記のようなスプレー処理によって繊維製品100gに対して、(i)及び/又は(ii)、特に前記ビニル系重合体を、平均0.01〜20g、好ましくは0.1〜15g、特に好ましくは0.5〜10g均一に付着させるのが形態安定性の点で好ましい。
【0069】
本発明では、以上のように処理剤を繊維製品へ含浸処理をした後、60〜300℃の加熱処理を行うことにより形態安定性が得られる。加熱処理は一般に普及しているアイロンやズボンプレッサーや温風乾燥機等を用いて行えるが、加熱処理とシワの除去や折り目つけなどの整形処理を同時に行えるアイロンとズボンプレッサーが好ましく、特にアイロンが簡便であり好ましい。アイロンの設定温度は繊維素材に適した温度で行うが、好ましくは120〜220℃、特に好ましくは140〜200℃である。またアイロンがけ時間は好ましくは繊維製品100cm2あたり1〜90秒間、特に好ましくは2〜60秒間である。
【0070】
また、含浸処理と加熱処理の間に通常行われる自然乾燥が任意に加わっても構わなく、それにより本発明の目的を達するのに妨げにはならない。
【0071】
本発明の処理剤の製品形態は、調製したものをそのまま上記のような含浸処理に用いるものでもよいが、水で稀釈して本発明の処理剤を調製するための濃縮化物であってもよい。具体的な濃縮化物から本発明の処理剤を調製する方法の例としては、例えば洗濯槽や洗面器などの繊維製品を浸漬することができる容器に水を満たし、これに濃縮化物の適当量を、濃縮化物を収容する容器の蓋などを用いて計量して添加、混合することで本発明の処理剤を調製し、該処理剤に繊維製品を浸漬させる方法がある。また、上記のようなスプレーヤーを備えた容器に、適当量の濃縮化物と水を添加、混合し、この混合物を噴霧する方法がある。
【0072】
最も好ましい使用方法は、繊維製品にスプレー処理により該処理剤を含浸させ、引き続いてアイロンがけ処理により加熱整形を行う処理方法である。
【0073】
本発明の繊維製品処理剤の最適含有量と物品形態を以下に示す。
(a)(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸及び無水マレイン酸から選ばれるカルボキシ基を有するビニル系モノマー(A)から得られるモノマー単位(A)と、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、POA付加モノ(メタ)アクリルアミド及びPOA付加モノ(メタ)アリルエーテル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、POA付加モノ(メタ)アクリレートから選ばれる水酸基を有するビニル系モノマー(B)から得られるモノマー単位(B)とを有するビニル系共重合体であって、該重合体の構成モノマー単位中にこれらのモノマー(A)及び(B)が合計70〜100モル%を占め、カルボキシ基と水酸基の当量比が、カルボキシ基:水酸基=7:3〜2:8であるようなビニル系共重合体 0.5〜10質量%
(b)次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム又はカリウム、リン酸二水素ナトリウム又はカリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム及びチオ硫酸ナトリウムから選ばれる水溶性無機塩
0.1〜5質量%
(c)ジメチルポリシロキサンオイル、水酸基含有ジメチルポリシロキサンオイル、ジメチルポリシロキサンオイルもしくは水酸基含有ジメチルポリシロキサンオイルにアミノ基及びアミド基の少なくとも1つを導入した変性シリコーンオイル並びにこれらのオイルの乳化物 0.05〜2.5質量%(シリコーンオイル分として)
(d)必要に応じて水酸化ナトリウム又はカリウム、リン酸、硫酸、塩酸から選ばれるpH調整剤
と残部(合計は100質量%)の水とからなり、20℃におけるpHが4.0〜6.5である液状の処理剤であり、さらに、該処理剤をトリガー式のスプレーヤーを備えた容器に充填してなる繊維製品処理剤物品が挙げられる。
【0074】
本発明の繊維製品処理剤を繊維製品に含浸させ熱処理することで(i)及び/又は(ii)、特に前記ビニル系重合体の分子内あるいは分子間で架橋が形成され、形態安定性を付与できる。従って、本発明の繊維製品処理剤は、熱処理が可能で且つ水による損傷を実質的に受けないものであれば、いかなる繊維製品に対しても使用することができる。
【0075】
【発明の効果】
本発明によれば、繊維の種類を問わずに家庭で簡便に優れた形態安定性、すなわちシワ抑制効果及び折り目保持効果を着用時のみならず洗濯後においても繊維製品に付与することができる繊維製品処理剤が得られる。
【0076】
【実施例】
合成例1(ビニル系共重合体a−1の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコに、無水マレイン酸114.00g、水130.00g、EO付加型アリルエーテル[EO付加モル数6]116.33gを加えた後、槽内温度を70℃に昇温し、96%水酸化ナトリウム48.47gを水46.53gに溶解した溶液を加えた。さらに、槽内を窒素置換後、98℃まで昇温し、35%過酸化水素水65.92g、過硫酸ナトリウム6.93gからなる開始剤水溶液を6時間かけて上記反応槽に滴下し、さらに4時間槽内温度を98℃に保った。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、下記の方法により測定を行ったところ2.1万であった。
【0077】
[分子量測定法]
GPCを用いて下記の条件に従い測定を行った。
カラム:東ソー(株)製 G4000PWXL+G2500PWXL
溶離液:リン酸二水素カリウム0.1mol/Lとリン酸水素二ナトリウム1mol/Lとを含む水溶液とアセトニトリルとの9:1の容量比混合物
検出器:示差屈折率計
流速:1.0mL/分
カラム(測定)温度:40℃
標準サンプル:PEG(9.20×105、5.10×105、2.50×105、9.50×104、4.60×104、3.90×104
サンプル濃度:5mg/mL
溶離液サンプル注入量:100μL
分子量は上記標準サンプルから得られる検量線を用いて、PEG換算分子量を算出した。なお、この分子量範囲から外れるサンプルについては、検量線を外挿する方法により換算分子量を算出した。
【0078】
合成例2(ビニル系共重合体a−2の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコに、無水マレイン酸78.40g、水166.00g、EOPO付加型アリルエーテル[EO付加モル数6、PO付加モル数2、トリブロック型:アリルエーテル(EO)2(PO)2(EO)4]87.60gを加えた後、槽内温度を70℃に昇温し、96%水酸化ナトリウム28.33gを水66.34gに溶解した溶液を加えた。さらに、槽内を窒素置換後、98℃まで昇温し、35%過酸化水素水42.74g、過硫酸ナトリウム4.76gからなる開始剤水溶液を6時間かけて上記反応槽に滴下し、さらに4時間槽内温度を98℃に保った。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行ったところ2.0万であった。
【0079】
合成例3(ビニル系共重合体a−3の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコに、無水マレイン酸156.80g、水308.80g、EOPO付加型アリルエーテル[EO付加モル数6、PO付加モル数1、トリブロック型:アリルエーテル(EO)2(PO)1(EO)4]152.00gを加えた後、槽内温度を70℃に昇温し、48%水酸化ナトリウム水溶液120.00gを加えた。さらに、槽内を窒素置換後、98℃まで昇温し、35%過酸化水素水85.49g、過硫酸ナトリウム9.53gからなる開始剤水溶液を6時間かけて上記反応槽に滴下し、さらに4時間槽内温度を98℃に保った。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行ったところ1.5万であった。
【0080】
合成例4(ビニル系共重合体a−4の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコに、無水マレイン酸156.80g、水360.00g、EOPO付加型アリルエーテル[EO付加モル数6、PO付加モル数0.5、トリブロック型:アリルエーテル(EO)2(PO)0.5(EO)4]140.40gを加えた後、槽内温度を70℃に昇温し、48%水酸化ナトリウム水溶液120.00gを加えた。さらに、槽内を窒素置換後、98℃まで昇温し、35%過酸化水素水85.49g、過硫酸ナトリウム9.53gからなる開始剤水溶液を6時間かけて上記反応槽に滴下し、さらに4時間槽内温度を98℃に保った。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行ったところ1.8万であった。
【0081】
合成例5(ビニル系共重合体a−5の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコに、無水マレイン酸156.80g、水308.80g、EOPO付加型アリルエーテル[EO付加モル数6、PO付加モル数1、ランダム型:アリルエーテル(EO/PO)7]152.20gを加えた。槽内温度を70℃に昇温し、48%水酸化ナトリウム水溶液120.00gを加えた。さらに、槽内を窒素置換後、さらに98℃まで昇温し、35%過酸化水素水85.49g、過硫酸ナトリウム9.53gからなる開始剤水溶液を6時間かけて上記反応槽に滴下し、さらに4時間槽内温度を98℃に保った。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行ったところ1.8万であった。
【0082】
合成例6(ビニル系共重合体a−6の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコに、無水マレイン酸127.38g、水370.66g、EOPO付加型アリルエーテル[EO付加モル数6、PO付加モル数1、トリブロック型:アリルエーテル(EO)2(PO)1(EO)4]243.28gを加えた後、槽内温度を70℃に昇温し、48%水酸化ナトリウム水溶液97.49gを加えた。さらに、槽内を窒素置換後、98℃まで昇温し、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸12.44gと水50.00gからなるモノマー溶液と、35%過酸化水素水94.23g、過硫酸ナトリウム9.24gからなる開始剤水溶液とを同時に6時間かけて上記反応槽に滴下し、さらに4時間槽内温度を98℃に保った。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行ったところ1.8万であった。
【0083】
合成例7(ビニル系共重合体a−7の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコに、無水マレイン酸88.20g、水506.20g、EOPO付加型アリルエーテル[EO付加モル数6、PO付加モル数1、トリブロック型:アリルエーテル(EO)2(PO)1(EO)4]418.00gを加えた後、槽内温度を70℃に昇温し、48%水酸化ナトリウム水溶液67.50gを加えた。槽内を窒素置換後、98℃まで昇温し、35%過酸化水素水116.57g、過硫酸ナトリウム9.53gからなる開始剤水溶液を6時間かけて上記反応槽に滴下し、さらに4時間槽内温度を98℃に保った。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行ったところ1.5万であった。
【0084】
合成例8(ビニル系共重合体a−8の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコに、無水マレイン酸156.80g、水302.84gを加え、槽内温度を70℃に昇温し、48%水酸化ナトリウム水溶液120.00gを加えた。さらに、槽内を窒素置換後、98℃まで昇温し、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド46.04gからなるモノマー溶液、35%過酸化水素水116.57gと過硫酸ナトリウム9.53gからなる開始剤水溶液とを同時に6時間かけて上記反応槽に滴下し、さらに4時間槽内温度を98℃に保った。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行ったところ3.5万であった。
【0085】
合成例9(ビニル系共重合体a−9の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコに、無水マレイン酸78.40g、水216.52gを加え、槽内温度を70℃に昇温し、48%水酸化ナトリウム水溶液66.67gを加えた。さらに、槽内を窒素置換後、98℃まで昇温し、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド138.12gからなるモノマー溶液、35%過酸化水素水116.57gと過硫酸ナトリウム9.53gからなる開始剤水溶液とを同時に6時間かけて上記反応槽に滴下し、さらに4時間槽内温度を98℃に保った。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行ったところ3.0万であった。
【0086】
合成例10(ビニル系共重合体a−10の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコに、EO付加型アリルエーテル[EO付加モル数8]384.00g、水441.67gを加え、槽内を窒素置換後、槽内温度を90℃に昇温し、アクリル酸57.67gと48%水酸化ナトリウム水溶液53.33gからなるモノマー水溶液、35%過酸化水素水116.57gと過硫酸ナトリウム9.53gからなる開始剤水溶液とを同時に6時間かけて上記反応槽に滴下し、さらに4時間槽内温度を98℃に保った。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行ったところ4.0万であった。
【0087】
合成例11(ビニル系共重合体a−11の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコに、EOPO付加型アリルエーテル[EO付加モル数6、PO付加モル数1、トリブロック型:アリルエーテル(EO)2(PO)1(EO)4]418.00g、水475.67gを加え、窒素雰囲気下で、槽内温度を70℃まで昇温し、アクリル酸57.67g、48%水酸化ナトリウム水溶液53.33g、N,N−ジメチルアクリルアミド9.91gからなるモノマー溶液と、35%過酸化水素水116.57gと過硫酸ナトリウム9.53gからなる開始剤水溶液とを同時に6時間かけて上記反応槽に滴下し、さらに4時間槽内温度を98℃に保った。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行ったところ4.0万であった。
【0088】
合成例12(ビニル系共重合体a−12の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコに、水475.00g、イソプロピルアルコール(以下、IPAと記載)25.00gを加え、窒素雰囲気下で、槽内温度を75℃まで昇温し、アクリル酸64.88g、N−(3−ヒドロキシプロピル)アクリルアミド143.00gからなるモノマー溶液と、過硫酸ナトリム0.95gと水50.00gからなる開始剤水溶液とを同時に2時間かけて滴下し、4時間槽内温度を75℃に保ったままさらに重合を行った。得られた反応溶液から75℃、減圧(10,600〜13,300Pa)下において、IPAが留去しなくなくなるまで濃縮し、透明な外観を有するポリマー水溶液を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行ったところ12.0万であった。
【0089】
合成例13(ビニル系共重合体a−13の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコに、水475.00g、IPA25.00gを加え、窒素雰囲気下で、槽内温度を75℃まで昇温し、アクリル酸57.67g、N−(3−ヒドロキシプロピル)アクリルアミド143.00g、N,N−ジメチルアクリルアミド9.91gからなるモノマー溶液と、過硫酸ナトリム0.95gと水50.00gからなる開始剤水溶液とをそれぞれ2時間かけて滴下し、4時間槽内温度を75℃に保ったままさらに重合を行った。得られた反応溶液から75℃、減圧(10,600〜13,300Pa)下において、IPAが留去しなくなくなるまで濃縮し、透明な外観を有するポリマー水溶液を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行ったところ10.0万であった。
【0090】
合成例14(ビニル系共重合体aa−1の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコの槽内を窒素置換後、無水マレイン酸156.80g、次亜リン酸ナトリウム1水和物21.20g、イオン交換水202.08gを加え、槽内温度を70℃まで昇温し、48%水酸化ナトリウム水溶液133.33gを加えた。さらに、槽内温度を80℃まで昇温し、2−ヒドロキシエチルアクリレート45.28gからなるモノマーと、35%過酸化水素水85.49gからなる開始剤水溶液を、それぞれ6時間かけて上記反応槽に滴下し、さらに4時間槽内を80℃に保った。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行ったところ3.5万であった。
【0091】
合成例15(ビニル系共重合体aa−2の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコの槽内を窒素置換後、無水マレイン酸58.80g、次亜リン酸ナトリウム1水和物21.20g、イオン交換水217.28g加え、槽内温度を80℃まで昇温し、48%水酸化ナトリウム水溶液50.00gを加えた。さらに、槽内温度を80℃まで昇温し、2−ヒドロキシエチルアクリレート158.48gからなるモノマーと、35%過酸化水素水19.42g、過硫酸ナトリウム4.76g、水30.0gからなる開始剤水溶液をそれぞれ6時間かけて上記反応槽に滴下し、さらに4時間槽内を80℃に保った。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行ったところ4.1万であった。
【0092】
合成例16(ビニル系共重合体aa−3の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコの槽内を窒素置換後、無水マレイン酸148.96g、イオン交換水192.00g加え、槽内温度を70℃まで昇温し、48%水酸化ナトリウム水溶液126.67gを加えた。さらに、槽内温度を80℃まで昇温し、2−ヒドロキシエチルアクリレート43.02g、N,N−ジメチルアクリルアミド9.91gからなるモノマーと、35%過酸化水素水97.14g、次亜リン酸ナトリウム1水和物10.62g、イオン交換水50.00gからなる開始剤水溶液を、それぞれ6時間かけて上記反応槽に滴下し、さらに4時間槽内を80℃に保った。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行ったところ4.8万であった。
【0093】
合成例17(ビニル系共重合体aa−4の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコの槽内を窒素置換後、無水マレイン酸98.00g、イオン交換水435.00g加え、槽内温度を70℃まで昇温し、48%水酸化ナトリウム83.33gを加えた。さらに、槽内温度を98℃まで昇温し、ポリオキシエチレン付加型アクリレート(EO付加モル数約6)336.09gからなるモノマーと、35%過酸化水素水85.49g、次亜リン酸ナトリウム1水和物10.62g、イオン交換水50.00gからなる開始剤水溶液を、それぞれ6時間かけて上記反応槽に滴下し、さらに4時間槽内を80℃に保った。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行ったところ5.8万であった。
【0094】
合成例18(ビニル系共重合体aa−5の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコに、イオン交換水100.00g、IPA400.00gを加え、窒素雰囲気下で、槽内温度を75℃まで昇温し、アクリル酸115.34g、2−ヒドロキシエチルアクリレート46.44gからなるモノマーと、過硫酸ナトリウム0.95g、イオン交換水40.00gからなる開始剤水溶液を、それぞれ2時間かけて上記反応槽に滴下し、さらに4時間槽内温度を75℃に保った。得られた反応溶液から75℃減圧(10,600〜13,300Pa)下において、IPAが留出しなくなるまで濃縮し、ポリマー水溶液を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は合成例1記載の方法により測定を行なったところ5.3万であった。
【0095】
合成例19(ビニル系共重合体aa−7の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコの槽内を窒素置換後、無水マレイン酸58.80g、次亜リン酸ナトリウム1水和物5.31g、イオン交換水236.88g加え、槽内温度を70℃まで昇温し、48%水酸化ナトリウム83.33gを加えた。さらに、槽内温度を98℃まで昇温し、3−ヒドロキシプロピルアクリレ−ト178.08gからなるモノマーと、35%過酸化水素水42.75gからなる開始剤水溶液を、それぞれ6時間かけて上記反応槽に滴下し、さらに4時間槽内を還流温度に保った。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行ったところ5.2万であった。
【0096】
合成例20(ビニル系共重合体aa−8の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコに、イオン交換水475.00g、IPA25.00gを加え、窒素雰囲気下で、槽内温度を75℃まで昇温し、アクリル酸7.20g、2−ヒドロキシエチルアクリレート215.10gからなるモノマーと、過硫酸ナトリム4.76gとイオン交換水50.00gからなる開始剤水溶液を、それぞれ2時間かけて上記反応槽に滴下し、4時間槽内温度を75℃に保った。得られた反応溶液から75℃減圧(10,600〜13,300Pa)下において、IPAが留出しなくなるまで濃縮し、ポリマー水溶液を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行なったところ17.5万であった。
【0097】
合成例21(ビニル系共重合体aa−9の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコに、イオン交換水475.00g、IPA25.00gを加え、窒素雰囲気下で、槽内温度を75℃まで昇温し、アクリル酸136.97g、2−ヒドロキシエチルアクリレート11.32gからなるモノマーと、過硫酸ナトリム4.76gをイオン交換水50.00gからなる開始剤水溶液を、それぞれ2時間かけて上記反応槽に滴下し、さらに4時間槽内温度を75℃に保った。得られた反応溶液から75℃減圧(10,600〜13,300Pa)下において、IPAが留出しなくなるまで濃縮し、ポリマー水溶液を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行なったところ15.0万であった。
【0098】
合成例22(ビニル系共重合体b−1の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコに、水475.00g、IPA25.00gを加え、窒素雰囲気下で、槽内温度を75℃まで昇温し、メタクリル酸86.09g、N,N−ジメチルアクリルアミド99.13gからなるモノマー溶液と、過硫酸ナトリウム0.95gと水50.00gからなる開始剤水溶液とを同時に2時間かけて滴下し、4時間槽内温度を75℃に保ったままさらに重合を行った。得られた反応溶液から75℃、減圧(10,600〜13,300Pa)下において、IPAが留去しなくなくなるまで濃縮し、ポリマー水溶液を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行ったところ17.5万であった。
【0099】
合成例23(ビニル系共重合体b−2の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコに、IPA500.00gを加え、窒素雰囲気下で、槽内温度を75℃まで昇温し、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド184.16g、メチルメタクリレート44.00gからなるモノマー溶液と、V−65[和光純薬製 試薬]0.99gとIPA50.00gからなる開始剤水溶液とを同時に2時間かけて滴下し、4時間槽内温度を75℃に保ったままさらに重合を行った。得られた反応溶液から75℃、減圧(10,600〜13,300Pa)下において、IPAが留去しなくなくなるまで濃縮し、固体を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行ったところ5.0万であった。
【0100】
合成例24(ビニル系共重合体b−3の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコに、水475.00g、IPA25.00gを加え、窒素雰囲気下で、槽内温度を75℃まで昇温し、N−(3−ヒドロキシプロピル)アクリルアミド39.00g、アクリル酸36.05g、N,N−ジメチルアクリルアミド118.96gからなるモノマー溶液と、過硫酸ナトリウム0.95gと水50.00gからなる開始剤水溶液とを同時に2時間かけて滴下し、4時間槽内温度を75℃に保ったままさらに重合を行った。得られた反応溶液から75℃、減圧(10,600〜13,300Pa)下において、IPAが留去しなくなくなるまで濃縮し、ポリマー水溶液を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行ったところ14.5万であった。
【0101】
合成例25(ビニル系重合体b−4の合成)
攪拌機、窒素導入管、冷却装置、温度計を取り付けた1L5つ口フラスコに、スチレンスルホン酸ナトリウム(東ソー製スピノマーNaSS、純度88%)110.00gと、過硫酸ナトリウム6.60g、水400.00gを加え、窒素雰囲気下で、槽内温度を70℃まで昇温し、6時間槽内温度を70℃に保ったまま重合を行い、ポリマー水溶液を得た。得られた重合体の重量平均分子量(PEG換算)は、合成例1記載の方法により測定を行ったところ20.0万であった。
【0102】
以上の合成例で得られたビニル系重合体を表1に示す。
【0103】
【表1】
Figure 0004562936
【0104】
表2に、上記の合成例で得たビニル系重合体を配合する処方例c−1〜c−6を示す。ビニル系重合体を表3、4に示すように表2の処方例の組成物に配合し、表3、4の処理剤を得た。得られた処理剤を用いて、下記に示す方法により形態安定性の評価を行った。その結果を表3、4に示す。表3が本発明品、表4が比較品である。
【0105】
(試験布の調製)
木綿100%ブロード#60(白色無地、蛍光晒し有り)(染色試材(株)谷頭商店から入手)を衣料用洗剤アタック(花王(株)製)にて全自動洗濯機を用いて洗浄12分−ためすすぎ1回−脱水3分の工程を5サイクル繰り返した後、家庭用二槽式洗濯機で流水すすぎ15分−脱水5分を行い、自然乾燥した後、15cm×25cm(長方向が縦糸と平行方向)に裁断したものを試験布とする。ウール100%スーツ用生地についても同様に試験布を調製する。ただし、洗剤はアタックに替えて、衣料用軽質洗剤エマール(花王(株)製)を使用する。
【0106】
(形態安定性の評価)
表3、4の処理剤を100%o.w.f.(on the weight of fabrics, 布の質量に対する該組成物質量)になるように、スプレーバイアル(マルエム製No.6)を用いて、試験布全体に均一にスプレーした後、長辺のほぼ中心で2つ折りにして、すみやかに家庭用アイロン(松下電器製NI−A55自動アイロン)の木綿試験布の場合は木綿設定で、ウール試験布の場合はウール設定でアイロンがけを60秒間行う。さらに2つ折りのまま、裏返して引き続き60秒間アイロンがけを行う。
【0107】
1つの処理剤につき3枚の処理を同様に行う。このようにして得られた処理布を広げて、木綿試験布の場合は、全自動洗濯機(松下電器製NA−F50K1)を用いて洗浄12分−ためすすぎ2回−脱水40秒、高水位、衣料用洗剤アタックの標準使用量にて洗濯を行い、広げた状態で平干しにて自然乾燥をする。また、ウール試験布の場合は、全自動洗濯機(松下電器製NA−F50K1)を用いて手洗いコース、衣料用軽質洗剤エマールの標準使用量にて洗濯を行い、広げた状態で平干しにて自然乾燥をする。
【0108】
乾燥後の試験布について、シワ抑制効果と折り目保持効果を5人のパネラーによって自然光下で視覚判定を未処理試験布(水のみをスプレーし同様の温度・時間でアイロンがけを行ったもの)との相対評価として行った。シワ抑制効果と折り目保持効果のそれぞれについて相対評価結果をシェッフェ法により統計処理を行ったものを以下の基準で表示する。
未処理と誤差範囲を越えて優位であるもの:◎
未処理と誤差範囲の重なりがあるが中心値は優位であるもの:○
未処理の誤差範囲内に中心値が含まれるもの:△
未処理よりも中心値が劣るもの:×
【0109】
【表2】
Figure 0004562936
【0110】
*1;アモジメチコーンエマルション、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製
*2;ジメチルポリシロキサンエマルション、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製
*3;アミノポリエーテル変性シリコーン、信越化学工業(株)製
*4;1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン液、アビシア(株)製
*5;NaOH又はHCl
【0111】
【表3】
Figure 0004562936
【0112】
【表4】
Figure 0004562936
【0113】
また、表5に示すビニル系共重合体について、前記に記載した方法で要件(I)、(II)のr1、r2の測定を行った。その際、試験布は2.0cm×5.0cmに裁断したポリエステル100%ジャージ(染色試材(株)谷頭商店から入手)を、20℃、65%R.H.条件下で、12時間以上かけて調湿したものを用いた。また、要件(I)及び(II)における180℃の加熱及び60℃の乾燥は、恒温乾燥機(温度設定は、それぞれ180℃プラスマイナス5℃、60℃プラスマイナス5℃)にて行った。結果を表5に示す。
【0114】
【表5】
Figure 0004562936

Claims (8)

  1. 下記のモノマー単位(A)、モノマー単位(B)及びモノマー単位(C)から選択される(この場合においてモノマー単位(C)が選択されない場合は、モノマー単位(A)及びモノマー単位(B)の両方のモノマー単位が選択される)モノマー単位を含み、且つ全構成モノマー単位中のモノマー単位(A)、(B)及び(C)の比率が合計で70〜100モル%である、加熱により自己架橋体を形成し得るビニル系重合体を0.01〜20質量%含有し、不揮発分が0.01〜30%であり、20℃におけるpHが3.0〜6.5であり、加熱処理により化繊及びウールから選ばれる繊維製品に形態安定性を付与する処理剤。
    モノマー単位(A):カルボキシ基を有するビニル系モノマー単位
    モノマー単位(B):水酸基を有するビニル系モノマー単位
    モノマー単位(C):カルボキシ基と水酸基とを有するビニル系モノマー単位
  2. ビニル系重合体のカルボキシ基と水酸基の当量比が、カルボキシ基:水酸基=である請求項記載の処理剤。
  3. ビニル系重合体の重量平均分子量が10,000〜1,000,000である請求項1又は2記載の処理剤。
  4. 水溶性無機塩を0.005〜10質量%含有する請求項1〜の何れか1項記載の処理剤。
  5. 水溶性無機塩が、リン酸類、ホウ酸類、ケイ酸類、硫酸、硫酸類から選ばれる酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩又はアミン類塩である請求項記載の処理剤。
  6. 水溶性無機塩が、亜リン酸、次亜リン酸、リン酸、ポリリン酸から選ばれる酸のアルカリ金属塩である請求項記載の処理剤。
  7. シリコーン化合物を0.005〜7.5質量%含有する請求項1〜の何れか1項記載の処理剤。
  8. 水で稀釈して請求項1記載の処理剤を調製するための濃縮化物。
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