JP4562815B2 - トロンボポエチンの新規な投与 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、トロンボポエチン、およびその生物学的活性誘導体やイソ型を用いる、血小板減少症を包含する免疫および/または造血疾患を治療する新たな方法に関する。この使用は、サイトカイン、特にコロニー刺激因子またはインターロイキンと一緒の、そのような材料の同時投与を企図する。該使用は、血小板減少症を有するか、またはその危機にある哺乳動物を、そのような治療が必要な該哺乳動物に治療有効量の該材料を投与することによって、治療する方法を包含し、かつそれに包含される。
発明の背景
造血系は、すべての哺乳動物に必要であることが既知である、高度に分化した成熟血球を産生する。これらの成熟した細胞は、酸素や二酸化炭素を輸送するよう分化した、赤血球、細胞性および体液性免疫応答を担う、TおよびBリンパ球、血栓を形成するよう分化した、血小板すなわちトロンボサイト、ならびに感染と戦うためのスキャベンジャーや補助細胞として分化した、顆粒球およびマクロファージを包含する。これらの分化した成熟血球はすべて、最初は骨髄で発見された、多能性幹細胞と呼ばれる共通するただ一つの原始細胞型に由来する。
高度に分化した成熟血球は、哺乳動物の生涯を通じて絶えず大量に産生されなければならない。これらの分化した血球の大多数は、数時間ないし数週間のみ機能的に活性であり続けるにすぎない運命にある。そのため、これら成熟血球、原始幹細胞それ自身はもとより、いかなる中間体または系列、すなわち原始細胞と成熟細胞とを結ぶ方向づけられた前駆細胞系統の絶え間ない更新が、哺乳動物の継続的生活のための正常な定常状態の血球の必要性を維持するために必要である。
造血系の核心には、多能性幹細胞がある。これらの細胞は、比較的数が少なく、娘幹細胞を生じる増殖によって自己再生を果たすか、または一連の分化の段階の間に、次第に成熟する系列限定前駆細胞へと形質転換して、最終的には、高度に分化した成熟血球を形成する。
正常な造血細胞系を裏付ける原理は、多能性が失われ、系列限定および成熟が獲得されるにつれて、自己再生の能力が減退することにあると思われる。したがって、一連の造血細胞の一端には、様々なすべての系列特異的な方向づけられた前駆細胞へと自己再生かつ分化する能力を保有する、多能性幹細胞がある。一連の細胞の他端には、自己再生の能力は失ったが、成熟した機能的活性を獲得した、高度に系列限定された前駆細胞およびその子孫がある。
幹細胞、および系列限定された前駆細胞の増殖や発達は、様々な造血成長因子またはサイトカインによって注意深く制御されている。そのため、造血成長因子は、一つまたはそれ以上の系列の増殖や分化を左右するか、ただ一つの前駆細胞系に影響することが他の成長因子と重複するか、または他の因子と共同して作用するような可能性がある。
前記から、血球またはその始原のいずれの生存、増殖、分化または成熟にも影響する、新規な造血成長因子は、疾病、または放射線もしくは化学療法によって生じた減衰した造血系の再確立に、特に助けとなるのに役立つことが認識されると思われる。
血小板は、血液凝固機構の決定的要素である。血小板減少症と呼ばれる、血小板の循環レベルの低下は、様々な臨床的状態や疾患の際に発生かつ発現する。臨床的な血小板減少症は、一般的には、血小板数が1リットルあたり約150x109未満である状態として定義される。血小板減少症の主な原因は、血小板の寿命に基づいて三つの範疇、すなわち(1)骨髄による血小板生産の欠陥、例えば化学および放射線療法に起因する血小板減少症;(2)脾臓における血小板の隔離(脾腫);および(3)末梢循環における血小板の破壊の増強、例えば自己免疫疾患に起因する血小板減少症に大別することができる。加えて、急速に投与される大量の貧血小板血液生成物を受ける患者では、希釈率のために血小板減少症が発生し得る。より詳しい血小板減少症の説明とその原因とは、Schafner,“Thrombocytopenia and Disorders of Platelet Disfunction”, Internal Medicine, John J. Hutton et al., Eds., Little, Brown & Co., Boston/Tronto/London, Third Ed.(1990)はもとより、国際特許願第PCT/US94/14553号(国際公開第WO95/18858号)公報に見出し得る。
血小板減少症の患者に対する治療方策は、臨床状態の重篤度や緊急度によって決められる。治療は、HIV付随および非HIV関連血小板減少症について同様であり、異なる数多くの治療方策が用いられているが、治療法は、臨床的に議論の余地が残されたままである。
前記から、血小板減少症を治療する一方法は、巨核球またはその前駆細胞の血小板生産形態への分化および成熟を加速できる薬剤を得ることであると認識されると思われる。かなりの努力が、そのような薬剤を特定することに払われている。なべて引用されるものの一つが、トロンボポエチン(TPO)、すなわち本願の主題である。現時点で文献中に一般的に見出される、TPOに対する別名は、血小板新生刺激因子(TSF);巨核球コロニー刺激因子(MK−CSF)、巨核球成長および発達因子(MGDF)、巨核球刺激因子、巨核球相乗因子、およびmplリガンドを包含する。
引用された国際特許願第PCT/US94/14553号公報は、巨核球の成熟血小板生産形態への増殖、成熟および/または分化を刺激できることが判明している、「MPLリガンド(ML)」、すなわちより一般的には「トロンボポエチン(TPO)」と名付けられた、単離された哺乳動物の、巨核球新生性増殖および成熟促進タンパク質の同定、単離、生産および利用を記載している。
関心は、国際特許願第WO95/26746号、第WO95/21919号および第WO95/21920号公報にも向けられている。
国際特許第PCT/US94/14553号出願は、TPOの関連する実施態様の、造血疾患、特に血小板減少症を有するか、またはその危機にある哺乳動物を治療する方法であって、治療有効量の材料TPOを該哺乳動物に投与することを含む方法を包含する様々な側面を包含する。場合により、TPOは、そのようなものとしてか、またはサイトカイン、特にコロニー刺激因子もしくはインターロイキンと組み合わせて投与される。該国際特許願に開示された目的のためには、TPOは、TPO自体、または血小板減少症の治療のための、完全なTPOと共通する少なくとも一つの生物学的特性を共有するフラグメントをはじめとする、その様々な変異体、誘導体もしくはそのイソ型を包含するとして広義に定義されている。該特許願に記載のとおりに役立つ様々な材料TPOの定義に関連して用いられるとき、「生物学的特性」とは、材料TPOが直接もしくは間接的に生起もしくは発揮する造血新生活性、またはin vivoエフェクターまたは抗原の機能もしくは活性を意味する。
トロンボポエチンという材料の治療的用途に関しては、国際特許願第PCT/US94/14553号公報に記載されたとおり、材料TPOは、製薬上許容され得る担体との混合物での、いくつかの投与様式のいずれかを介する投与についてそこに記載されている。日次投与方式は、約0.1〜100μg/体重kg、好ましくは約0.1〜50μg/体重kgにわたり、好ましくは処置用量で1日あたり約1〜5μg/kgにわたる、として記載されている。該特許願の教示の範囲内の含意は、減少した血小板数の予測的な、または現実の状態の後の数日から何日にもわたる期間、そのような用量を投与するという投与方式である。
臨床的に投与されたトロンボポエチンの刊行された臨床的研究は、血小板減少症を特徴とする状態に対する、10日の期間にわたる1日1回0.03〜5.0μg/体重kgという用量でのトロンボポエチンの皮下投与からなる用量および投与方式を示している。抄録番号1977、Blood 86(1995)を参照されたい。また抄録番号1012、1014および1978、Blood 86(1995)も参照されたい。
PEG化した(PEG)マウスの巨核球成長および発達因子(mMGDF)のマウスへの1回注入は、巨核球の頻度、大きさおよび倍数化の刺激を生じるのに充分である。PEG−mMGDFは、1回静脈内注射としての25μg/kgの用量でマウスに投与された[Blood, Feb. 1, 1997, 89(3): 823-33]。正常マウスでの造血に対するPEG−mMGDFのin vivoでの効果が、Stem Cells, No. 1996, 14(6): 651-60に報告されている。Blood, Jul. 15, 1996, 88(2): 511-21およびBlood, Jun. 15, 1996, 87(12): 5006-15も参照されたい。
サルでの骨髄抑制化学療法で誘導された血小板減少症に対するrhTPOの効果が、Brit. J. Haematol., Sept. 1996, 94(4): 722-8に報告されている。0日目にニムスチンで処置した後、サルにrhTPOを、0.04、0.2または1.0μg/kg/日の用量で静脈内投与した。ニムスチン処置後のrhTPOの投与は、血小板減少症の重篤度を低下させ、用量依存性の様式で血小板回復の速度を加速した。ヒトの進行した癌の患者でのPEG−rhMGDFの効果は、Lancet, Nov. 9, 1996, 348(9037): 1279-81に報告されている。この研究でPEG−rhMGDFは、化学療法の前に、皮下注射によって0.03、0.1、0.3または1.0μg/体重kgの用量で与えられた。更に、肺癌に対する化学療法後の血小板数に対するPEG−rhMGDFの効果が、New Engl. J. Med., Feb. 6, 1997, 336(6): 404-9に報告されており、ヘプスルファム処置による激しい骨髄抑制を受けているアカゲザルへのこの化合物の皮下注射の効果は、Blood, Jan. 1, 1997, 89(1): 15565に報告されている。
同様に、エリトロポエチンに対して与えられた名称である、エポエチンアルファ(Amgen, Inc.がEPOGENとして上市した)という化合物は、赤血球生産の刺激のために指示される糖タンパク質であり、何週間もの期間、週3回に150〜300単位/kgの範囲にわたる出発用量からなる投与量および投与方式で、どのようにも理解される貧血に罹患した患者における赤血球の増殖を刺激するために指示される。
G−CSFおよびGM−CSFは、骨髄前駆細胞の循環と増殖の増大とを誘導するサイトカインである。これらのサイトカインの薬物動態は研究されており、化学療法に併用されるときのこれらの薬物のそれぞれについて、異なる投与方式が提唱されている。
Amgen, Inc.がNEUPOGENとして上市するフィルグラスチムは、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)である。その指示される投与方式は、化学療法後の2週間に毎日5〜10μg/kgの皮下投与である。G−CSFは、化学療法前の投与については禁忌されている。G−CSFを化学療法後、および化学療法の前後に投与する臨床試験は、事前投与は、骨髄に対する化学療法剤の毒性効果を悪化させることを示している[J. Nat. Canc. Inst., 1996, vol.88, No.19およびExp. Hemat., 1994, 22: 100-102]。
GM−CSFも、化学療法との併用が臨床的に研究されている。G−CSFとは対照的に、GM−CSFは、比較的短い有効半減期を有する。GM−CSFの投与後は、造血前駆細胞の増殖活性の急速な上昇が生じる。しかし、投与の中断後72時間以内に、負のフィードバックが確立されて、骨髄の増殖活性の基本的水準未満の値までの低下を招く。GM−CSFの短い半減期は、このサイトカインを化学療法以前に投与することを可能にしている[Cancer, 1993, vol.72, No.10]。
赤血球または他の前駆血球を増殖させて、血小板減少症の効果を覆す材料を投与する際の、慣用の投与方式は、血小板減少症を招く化学療法後のそのような治療法を要する患者への、治療有効量の生物学的材料の何日間にもわたる毎日の連続投与である。GM−CSFは、化学療法の前に投与したときは、限定された有効性を有し得るが、G−CSFは、化学療法の前に投与したときは、患者の血小板減少症を悪化させる。造血前駆細胞の循環および増殖を開始させる、比較的長い半減期を有するサイトカインの、放射線または化学療法剤による処置の前の投与は、これらの細胞削減性処置が、悪性細胞ばかりでなく、増殖中の前駆細胞も殺すことから、一般的には禁忌されている。
血小板減少症を有するか、または医療手順、例えば放射線および/または化学療法の結果として血小板減少症の危機にある患者の治療のもう一つの方策は、造血性自己移植による患者の救済である。この方策では、血小板減少症を誘導するような医療処置の前に、末梢血の造血前駆細胞を動員する化合物を、患者に投与する。動員された前駆細胞は、公知の白血球除去血輸血の手順によって採集し、次いで、患者の造血性自己細胞を骨髄に再確立するために、血小板減少症の発症後の患者へと再移植する。不幸にも、動員を受ける多くの患者は、採集の時点で前駆細胞が非常に少数であり、複数回の白血球除去血輸血を必要とするが、これは、患者には苦痛かつ面倒である。そのため、前駆細胞を動員し、それによって白血球除去血輸血の回数を削減する手順を改良する方法が、非常に望ましい。
医師と、同様に患者に簡便であるためには、これに代わる、好都合であり、かつ血小板減少症の外見を一変させるのに治療上同等またはそれ以上に優れた、サイトカイン材料の投与量/投与を開発するという目的が存在する。
発明の要約
したがって、本発明の一つの目的は、血小板減少症からの改良された回復を提供し、サイトカインを投与する既存の方法についての上記の欠陥を克服するトロンボポエチンの投与方法を提供することである。
もう一つの目的は、放射線および/または化学療法の処置を受ける哺乳動物もしくは患者にトロンボポエチンを投与する方法であって、そのような処置に付随する血小板減少症を最小限度にし、哺乳動物における血小板輸注の必要性を軽減する方法を提供することである。
下記の例示的実施態様の説明の途上で明らかになると思われる、これらおよびその他の目的は、本発明の方法によって達成されている。
本発明は、生物学的に活性である材料のトロンボポエチンが、血小板減少症を有するか、またはそれに対する処置を要する患者に、毎日1回もしくは少数回の用量の治療有効量を投与することによって、治療効果を生じさせることができるという、予想外かつ驚くべきな発見に基づく。この発見は、材料のトロンボポエチンが、造血細胞系列の後期の前駆細胞に作用すると考えられるG−CSFやGM−CSFとは対照的に、初期の骨髄幹細胞および巨核球前駆細胞に対する成長因子であり、かつそれらに直接作用すると考えられるという発見に基づく。本発明の材料は、幹細胞の巨核球に分化を生じること、および投与後の血小板数を上昇させることができる。それらは、骨髄造血細胞の増殖および分化を誘導し、成熟巨核球の数を増加させて、循環する血小板数の増加を生じる。
すなわち、本発明は、血小板減少症を有するか、またはその危機にある哺乳動物を治療する方法であって、そのような治療を要する哺乳動物に、毎日1回もしくは少数回の用量の治療有効量のトロンボポエチンを投与することを含む方法を対象とする。一面では、本発明は、そのような哺乳動物への治療有効量のトロンボポエチンの1回の投与を対象とする。
この実施態様のもう一面では、本発明は、少なくとも1周期の、そのような周期を要する放射線および/または化学療法剤を受ける、哺乳動物へのトロンボポエチンの投与に関する。代表的には、該哺乳動物は、腫瘍、悪性などを治療するためには一つ以上のそのような周期を要すると思われる。もう一面では、本発明は、血小板減少症患者における血小板輸注の回数を減らす方法を対象とする。更にもう一面では、本発明は、有効量のトロンボポエチンの毎日1回または少数回の用量の投与によって、前駆細胞を動員する方法を対象とする。
【図面の簡単な説明】
図1−5.0Gyのγ照射およびカルボプラチン(1.2mg)の併用によって汎血球減少症にさせた動物に、1、2、4または8日間0.1μgのrmTPO(335)を皮下注射した。それぞれ28日の期間にわたり、パネルAは、この処置方式への血小板の応答を示し、パネルBおよびCは、赤血球および白血球の応答を示す。パネルBで示されたキーは、3パネルすべてに該当する。
図2−5.0Gyのγ照射およびカルボプラチン(1.2mg)の併用によって汎血球減少症にさせた動物に、実験開始の24時間後に、様々なレベルでのrmTPO(335)の1回投与量を皮下注射した。それぞれ28日の期間にわたり、パネルAは、この処置方式への血小板の応答を示し、パネルBおよびCは、赤血球および白血球の応答を示す。パネルBで示されたキーは、3パネルすべてに該当する。
図3−5.0Gyのγ照射およびカルボプラチン(1.2mg)の併用によって汎血球減少症にさせた動物に、皮下または静脈内で与えた、rmTPO(335)の1回投与に応答する血小板(パネルA)および赤血球(パネルB)の応答の対数−直線表示。プロットされた細胞数は、実験開始後14日目に測定したもの。
Figure 0004562815
は、基本的水準の0レベルである。
図4−5.0Gyのγ照射およびカルボプラチン(1.2mg)の併用によって汎血球減少症にさせた動物に、実験開始の24時間後に、様々なレベルでのrmTPO(335)の1回投与量を静脈内注射した。それぞれ28日の期間にわたり、パネルAは、この処置方式への血小板の応答を示し、パネルBおよびCは、赤血球および白血球の応答を示す。パネルBで示されたキーは、3パネルすべてに該当する。
図5−5.0Gyのγ照射およびカルボプラチン(1.2mg)の併用によって汎血球減少症にさせた動物に、実験開始の24時間後に、分子量20,000または40,000のいずれかのポリエチレングリコール(peg)と結合させた、様々な形態のrmTPO(153)による1回投与量を皮下注射した。それぞれ28日の期間にわたり、パネルAは、この処置方式への血小板の応答を示し、パネルBおよびCは、赤血球および白血球の応答を示す。パネルBで示されたキーは、3パネルすべてに該当する。
図6−5.0Gyのγ照射およびカルボプラチン(1.2mg)の併用によって汎血球減少症にさせた動物に、実験開始の24時間後に、分子量40,000のポリエチレングリコール(peg)と結合させた、rmTPO(335)またはrmTPO(153)のいずれかによる1回投与量を皮下注射した。それぞれ28日の期間にわたり、パネルAは、この処置方式への血小板の応答を示し、パネルBおよびCは、赤血球および白血球の応答を示す。パネルBで示されたキーは、3パネルすべてに該当する。
図7−5.0Gyのγ照射およびカルボプラチン(1.2mg)の併用によって汎血球減少症にさせた動物に、実験開始の24時間後に、分子量40,000のポリエチレングリコール(PEG)と結合させた、rmTPO(335)またはrmTPO(153)のいずれかによる1回投与量を静脈内注射した。それぞれ28日の期間にわたり、パネルAは、この処置方式への血小板の応答を示し、パネルBおよびCは、赤血球および白血球の応答を示す。パネルBで示されたキーは、3パネルすべてに該当する。
図8−図8は、6Gyを照射したマウスの、プラシーボを対照とする最下点の時間での血小板レベルを、図に示した各時点での1回腹腔内投与量(0.3μg)のTPOの投与の時間的関数として示す。
図9−図9は、6Gyを照射したマウスの、プラシーボを対照とする最下点の時間での血小板レベルを、照射の2時間前(−2h)での1回腹腔内投与量(30μg)のTPOの投与の時間的関数として示す。
図10−放射線または化学療法に非常に似た細胞削減性処置の遅延形態をモデル化するために、それぞれ24時間隔離した3Gyの同等な3分画のマウスに、全身照射(TBI)を与えた。TPOは、異なる三様の投与方式;すなわち照射から+2hでの3x0.3μg、照射から+2hでの0.9μg、および照射から−2hでの0.9μgで、0.9μgの総用量として与えた。得られた血小板レベルをプラシーボとの対比で示す。
図11−本図は、図10の投与方式に対する大腿骨の造血前駆細胞のデータを示す。
図12−本図は、図10の投与方式に対する脾臓の造血前駆細胞のデータを示す。
図13−図13は、0.3μgの3回の用量、または0.9μgの1回の用量のTPOを追跡する薬物動態学的データを示す。
図14−図14は、実施例7、周期1(化学療法のみ)に関する研究分枝による用量レベルにわたって平均した血小板数中央値を示す。
図15−図15は、実施例7、周期2(化学療法およびrhTPO)に関する研究分枝による用量レベルにわたって平均した血小板数中央値を示す。
図16−図16は、実施例7、周期3(化学療法およびrhTPO)に関する研究分枝による用量レベルにわたって平均した血小板数中央値を示す。
図17−図17は、実施例7、周期4(化学療法およびrhTPO)に関する研究分枝による用量レベルにわたって平均した血小板数中央値を示す。
図18−図18は、実施例7の分枝C、周期2のためのrhTPO用量レベルによる血小板数中央値を示す。
図19−図19は、実施例7の分枝D、周期2のためのrhTPO用量レベルによる血小板数中央値を示す。
図20−rhTPOの1回吸入に接触させたマウスの血小板数;実施例8を参照されたい。
図21−rhTPOの複数回吸入に接触させたマウスの血小板数;実施例8を参照されたい。
図22−TPO/FL/KLによるCD34+細胞の拡大。図22には、TPO、Flt−3およびc−kitリガンドを含む培養体中での8週間にわたるCD34+細胞の拡大を示す。106倍を越える拡大が観察される;実施例14を参照されたい。
図23−TPO/KL/FLによるCD34+CD38-細胞の拡大。図23に示すとおり、CD34+CD38-細胞の下位集団も拡大する。1週目には、この分集団は、培養体の僅か8%を構成するにすぎないが、8週までには、培養体の33%を構成して、4倍の拡大を示す。これは、これらの拡大した培養体での原始前駆細胞集団の拡大と維持との双方を立証する。
図24−TPO/KL/FLによる多系列活性の拡大。図24には、拡大した培養体がin vitroで多系列コロニーを生じ得ることが示されている。生成されたコロニーの数は、培養体中のCD34+細胞の拡大に正比例する。これは、拡大した細胞は、それらの多能活性を維持していることを示す;実施例14を参照されたい。
定義
本明細書に用いられる限りで、「血小板減少症を有するか、またはその危機にある哺乳動物」とは、血小板減少症、すなわち哺乳動物の集団中の正常な平均的個体についての血小板数を下回る血小板数を経験している、ヒトを包含する哺乳動物を意味する。ヒトでは、血小板減少症は、血小板数が、血液1リットルあたり約150x109未満である状態として定義される。しかし、哺乳動物は、血小板減少症の危機にあるとも云えて、血小板減少症を生じることが公知である特定の処置の結果として、哺乳動物が血小板減少症の状態を経験し得ると予測できることを意味する。例えば、哺乳動物は、処置された哺乳動物に血小板減少症を誘導することが公知である、放射線および/または化学療法の処置を受けたならば、血小板減少症の危機にある。換言すれば、血小板減少症を誘導することが公知である処置の結果として、血小板減少症を経験する危機にあるか、またはその確立が高いということが、明確に予測可能であるということである。血小板減少症の危機にあるそのような哺乳動物は、本発明の方法で治療し得る。本発明の範囲内に包含されるのは、機能不全の肝臓、例えば肝硬変の結果として血小板減少症の危機にある哺乳動物、ならびに一般的には放射線および/または化学療法の処置の前に、前駆細胞の動員療法およびアフェレーシスを受けている哺乳動物である。
用語「サイトカイン」は、細胞間メジエーターとして他の細胞に作用する、一細胞集団が放出するタンパク質の総称的用語である。そのようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、および従来からのポリペプチドホルモンである。サイトカインに包含されるのは、成長ホルモン、インスリン様成長因子、N−メチオニルヒト成長ホルモンを包含するヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、チロキシン、インスリン、プロインスリン、レラキシン、プロレラキシン、濾胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)および黄体形成ホルモン(LH)のような糖タンパク質ホルモン、造血成長因子、肝成長因子、線維芽細胞成長因子、プロラクチン、胎盤性ラクトゲン、腫瘍壊死因子(TNFαおよびTNFβ)、ミュラー阻害物質、マウスゴナドトロピン付随ペプチド、インヒビン、アクチビン、血管内皮成長因子、インテグリン、NGFβのような神経成長因子(NGF)、インスリン様成長因子IおよびII、エリトロポエチン(EPO)、骨誘導因子、インターフェロンα、βおよびγのようなインターフェロン(IFN)、マクロファージCSF(M−CFS)、顆粒球マクロファージ−CSF(GM−CSF)および顆粒球−CSF(G−CSF)のようなコロニー刺激因子(CFS)、IL−1、IL−1α、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−11、IL−12のようなインターロイキン(IL)、ならびにLIF、SCF、FLT−3リガンドおよびkitリガンド(KL)を包含するその他のポリペプチド因子である。本明細書に用いられる限りで、前記の用語は、天然の入手源または組換え細胞培養体からのタンパク質を包含するものとする。同様に、該用語は、例えば1個以上のアミノ酸が異なるか、または糖鎖形成の形式もしくは程度が異なる、生物学的に活性である等価体を包含するものとする。
トロンボポエチン(TPO)と関連して用いられるときの用語「生物学的に活性である」とは、トロンボポエチン、すなわち血小板新生活性を示すか、または無形成性ブタ血漿から単離されたか、あるいは組換え細胞培養体で発現された、mplリガンドのエフェクター機能を共有する、血小板新生性ポリペプチドを意味する。mplの公知の主要なエフェクター機能は、ヒトmplPをトランスフェクションしたIL−3依存性Ba/F3細胞のDNAへの標識化ヌクレオチド(3H−チミジン)の取込みである。mplリガンドまたはポリペプチドの本明細書での公知のもう一つのエフェクター機能は、マウス血小板のリバウンドアッセイで、循環血小板への35Sの取込みを刺激できることである。mplリガンドの公知の更にもう一つのエフェクター機能は、in vitroでヒトの巨核球新生を刺激できることであって、これは、巨核球の糖タンパク質GPIIbIIIaに特異的な放射能標識化モノクローナル抗体を用いることによって、定量し得る。
用語「mplリガンド」、「mplリガンドポリペプチド」、「ML」「トロンボポエチン」または「TPO」は、本明細書では相互可換的に用いられ、サイトカイン受容体スーパーファミリーの一員であるmplに結合する特性を有し、mplリガンドの生物学的特性を有するいかなるポリペプチドも包含する。例示的な生物学的特性は、ヒトmplをトランスフェクションしたIL−3依存性Ba/F3細胞のDNAへの標識化ヌクレオチド(例えば3Hチミジン)の取込みを刺激できることである。もう一つの例示的な生物学的特性は、マウス血小板のリバウンドアッセイで、循環血小板への35Sの取込みを刺激できることである。この定義は、本明細書に記載の無形成性ブタ血漿のようなmplリガンド源、もしくはもう一つの入手源、例えば、ヒトを包含するもう一つの動物種から単離されたか、または組換えもしくは合成の方法によって調製されたペプチドを包含する。例は、TPO(332)およびrhTPO332を包含する。やはりこの定義に包含されるのは、還元性条件下でのSDSゲルによって決定した限りでの約31,000ダルトン(31kD)、および非還元性条件下での28,000ダルトン(28kD)の分子量を有する、国際公開特許第WO95/28907号公報に記載の血小板新生性リガンドである。用語「TPO」は、変異体形態、例えばそのフラグメント、対立遺伝子、イソ型、類似体、キメラ、およびこれらの形態の混合物を包含する。簡便のため、これらのリガンドはすべて、すべての個別的リガンドおよびリガンド混合物を、この用語によって指すことを認識して、以下、単に「TPO」と称することにする。
好ましくは、TPOは、哺乳動物において、血小板新生活性を有するか、または血清血小板数を増加させることができる化合物である。TPOは、好ましくは、内在血小板数を少なくとも10%、より好ましくは50%増加させることができ、最も好ましくはヒトの血小板数を血液1リットルあたり約150x109を越えて上昇させることができる。本発明のTPOは、好ましくは、高度に精製された、実質的に均質であるブタmplリガンドポリペプチドのアミノ酸配列との少なくとも70%以上の配列全体の同一性、およびブタmplリガンドポリペプチドの「EPOドメイン」との少なくとも80%以上の配列同一性を有する。これに代えて、本発明のTPOは、成熟したヒトmplリガンド(hML)、またはその変異体、もしくは転写後修飾した形態、あるいは成熟したヒトmplリガンドとの約80%の配列同一性を有するタンパク質であってもよい。これに代えて、該TPOは、成熟したヒトmplリガンドのフラグメント、特にアミノ末端または「EPOドメイン」フラグメントであってもよい。好ましくは、該アミノ末端フラグメントは、第1および第4システイン残基間の実質的にすべてのヒトML配列を保持するが、該領域外には実質的な付加、欠失または置換を含んでよい。この実施態様によれば、該フラグメントのポリペプチドは、式:
X−hTPO(7−151)−Y
で示し得る。
式中、hTPO(7−151)は、ヒトTPO(hML)のアミノ酸配列の、両端を含めてCys7からCys151までを表し;Xは、Cys7のアミノ基、あるいは成熟TPOの1個以上のアミノ末端アミノ酸残基、またはそれに対するアミノ酸残基の伸長、例えばMet、Lys、Tyr、もしくはリシンに対するアルギニンのような、そのアミノ酸の置換、または例えばタンパク質分解性切断部位を含むリーダー配列(例えば因子Xaもしくはトロンビン)を表し;Yは、Cys151のカルボキシル末端基、あるいは成熟TPOの1個以上のカルボキシル末端アミノ酸残基、またはそれへの延長を表す。
「TPOフラグメント」とは、天然に産する成熟した完全な長さのmplリガンドの一部、または1個もしくはそれ以上のアミノ酸残基もしくは炭水化物単位が欠失したTPO配列を意味する。欠失したアミノ酸残基は、フラグメントが少なくとも一つの生物学的特性をmplリガンドと共有する限り、N末端もしくはC末端のいずれか、または内部を含むペプチドのどこに生じてもよい。mplリガンドのフラグメントは、代表的には、無形成性ブタ血漿から単離したリガンド、またはヒトもしくはマウスのリガンドを包含する、哺乳動物から単離したmpl、特にそのEPOドメインの配列と同一である、少なくとも10、15、20、25、30または40アミノ酸残基の連続配列を有することになる。N末端フラグメントの代表例は、TPO(153)、hML153またはTPO(Met-11−153)である。
TPO等と関連して用いられる用語「TPOイソ型」および「TPO配列イソ型」または用語「誘導体」は、本明細書に用いられる限りで、組換え細胞培養体、無形成性ブタ血漿またはヒトmplリガンドから単離されたTPOとの100%未満の配列同一性を有する、下記に定義したとおりの生物学的活性材料を意味する。通常は、生物学的に活性であるmplリガンドまたはTPOイソ型は、無形成性ブタ血漿または成熟したマウスから単離したmplリガンド/TPOイソ型、ヒトのmplリガンドもしくはそのフラグメントとの約70%以上、好ましくは約75%以上、より好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約85%以上、はるかに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有することになる。
イソ型の一実施態様では、TPOは、式:
Figure 0004562815
を有してよく、ここで、
第37位のXaaは、Thr、AspまたはGluであり;
第46位のXaaは、Phe、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、TrpまたはMetであり;
第47位のXaaは、Ser、AspまたはGluであり;
第112位のXaaは、欠失しているか、またはLeu、Ala、Val、Ile、Pro、Phe、TrpもしくはMetであり;
第113位のXaaは、欠失しているか、またはPro、Phe、Ala、Val、Leu、Ile、TrpもしくはMetであり;
第114位のXaaは、欠失しているか、またはPro、Phe、Ala、Val、Leu、Ile、TrpもしくはMetであり;
第115位のXaaは、欠失しているか、またはGln、Gly、Ser、Thr、TyrもしくはAsnであり;
第122位のXaaは、Lys、Arg、His、GluまたはAspであり;
第200位のXaaは、Trp、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、ArgおよびLysまたはHisであって、
1〜179個のアミノ酸が、C末端から欠失していることができるが、Xaaで表したアミノ酸の少なくとも1個は、未変性TPO(1−332)の対応するアミノ酸と異なることを条件とする。
この実施態様は、下記の式:
Figure 0004562815
を有するTPOフラグメントも包含し、ここで、
第37位のXaaは、Thr、AspまたはGluであり;
第46位のXaaは、Phe、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、TrpまたはMetであり;
第47位のXaaは、Ser、AspまたはGluであり;
第112位のXaaは、欠失しているか、またはLeu、Ala、Val、Ile、Pro、Phe、TrpもしくはMetであり;
第113位のXaaは、欠失しているか、またはPro、Phe、Ala、Val、Leu、Ile、TrpもしくはMetであり;
第114位のXaaは、欠失しているか、またはPro、Phe、Ala、Val、Leu、Ile、TrpもしくはMetであり;
第115位のXaaは、欠失しているか、またはGln、Gly、Ser、Thr、TyrもしくはAsnであり;
第122位のXaaは、Lys、Arg、His、GluまたはAspであるが;
Xaaで表したアミノ酸の少なくとも1個は、未変性TPO(1−332)の対応するアミノ酸と異なることを条件とする。これらの変異体は、改良された生物学的様相、例えば上昇した増殖活性、および/もしくは減少した副作用、ならびに/または改良された物理的特性、例えば改良された半減期、安定性、および/もしくは再折りたたみ効率を有してよい。この実施態様のためのポリペプチドの製造は、WO96/23888号公報に記載されている。
TPO「類似体」は、TPOのポリペプチドを、様々な非タンパク質性重合体、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルキレンの一つと、米国特許第4,640,835号;第4,496,689号;第4,301,144号;第4,670,417号;第4,791,192号または第4,179,337号に説明された方式で結合することによる、TPOまたはmplリガンドの共有結合での修飾を包含する。前記重合体と共有結合で結合したTPOポリペプチドは、本明細書では、ペギル化したTPOと称する。
本明細書に用いられる限りで、「キメラポリペプチド」または「キメラ」は、第二の異種ポリペプチド、または一つ以上のそのフラグメントに融合もしくは結合した、完全な長さの親リガンド(TPOもしくはmplリガンド)、または一つ以上のそのフラグメントを含むポリペプチドである。キメラは、少なくとも一つの共通する生物学的特性をTPOと共有することになる。第二のポリペプチドは、代表的には、サイトカイン、例えば上記のサイトカイン、免疫グロブリン、またはそれらのフラグメントであると思われる。二つのポリペプチドを直接結び合わせるか、またはリンカー、例えば、2〜50個、一般的には2〜20個のアミノ酸単位を有してよいペプチドリンカーを介して結び合わせてよい。具体的な例は、TPO/G−CSF、TPO/GM−CSF、TPO/IL−3、TPO/IL−6等々を包含する。キメラタンパク質の製造は、当技術に周知の方法を用いて達成してよい。
「mplリガンド」もしくは「単離mplリガンド」または「TPO」と結び付けて用いたときの用語「生物学的特性」とは、血小板新生活性を有すること、またはmplリガンドもしくは(その未変性の立体配置であると変性した形態であるとに関らず)TPO、またはそれらのフラグメントが直接的もしくは間接的に生起するか、または果たすin vivoでのエフェクターもしくは抗原性の機能や活性を有することを意味する。エフェクター機能は、mpl結合およびあらゆる結合の活性、mplの作用または拮抗作用、特に複製、DNA調節機能、その他のサイトカインの生物学的活性の調整、受容体(特にサイトカイン)の活性化、失活、アップまたはダウンレギュレーション、細胞の成長または分化などを包含する増殖シグナルの形質導入を包含する。抗原性機能とは、未変性mplリガンドまたはTPOに対して誘発した抗体と交差反応できる、エピトープまたは抗原部位の保有を意味する。mplリガンドまたはTPOのポリペプチドの主な抗原性機能は、無形成性ブタ血漿から単離した、mplリガンドもしくはTPOに対して誘発した抗体に、少なくとも約106L/モルの親和性で結合することである。通常、このペプチドは、少なくとも約107L/モルの親和性で結合する。最も好ましくは、抗原性的に活性であるmplリガンドまたはTPOポリペプチドは、上記のエフェクター機能のうち一つを有するmplリガンドもしくはTPOに対して誘発した抗体と結合するポリペプチドである。「生物学的特性」を定義するために用いた抗体は、組換え細胞培養体、またはフロイントの完全アジュバント中の無形成性ブタ血漿から単離したmplリガンドもしくはTPOを配合し、該配合物を皮下注射し、mplリガンドもしくはTPOの抗体の力価がプラトーに達するまで、該配合物の腹腔内注射によって免疫応答を促進することによって誘発したウサギポリクローナル抗体である。
「血小板新生活性」は、巨核球もしくは巨核球前駆細胞が、これらの細胞の血小板産生形態へと増殖、分化および/または成熟するのを促進することによって特徴づけられる生物学的活性として定義される。この活性は、in vivoでのマウス血小板リバウンド合成アッセイ、ヒト白血病巨核球芽細胞系(CMK)についての抗血小板イムノアッセイ(抗GPIIbIIIa)によって測定される限りでの血小板細胞表面抗原アッセイの誘導、および巨核球芽細胞系(DAMI)での倍数性の誘導を包含する様々なアッセイで測定してよい。
投与と関連しての用語「少数回」によって、短期間にわたる治療有効量の複数の用量の投与が意味される。少数回の用量は、1日2〜約6用量、好ましくは1日2〜4用量を包含してよい。したがって、本発明は、トロンボポエチンの治療有効量の僅か1回の投与を対象とする。ただ1回の投与は、治療有効量の同じ材料を、当技術が示唆かつ教示する慣用の複数回で多くの日数という投与方式で投与したときに実現されるのと同等の治療効果を生じることが見出されている。
本明細書に用いられる限りで、用語「処置周期」とは、哺乳動物もしくは患者を放射線および/または化学療法剤で処置し、一般的には、観察および回復の期間(回復期)が続く、放射線および/または化学療法剤の投与(処置期)の1クールを意味する。処置期は、哺乳動物または患者に対する不快感を最小化し、ほぼ処置前のレベルまでの好中球および血小板数の回復を可能にするために、通常選ばれる、ある期間によって好ましくは隔離され、放射線および/または化学療法剤の1回の投与、または複数回の投与を包含してよい。この期間は、一般的には、個々の放射線および/または化学療法剤に対する、哺乳動物または患者の許容度によって決定される。代表的な処置期は、1〜10日、好ましくは1〜6日または1〜4日間経過してよく、この間に、放射線または化学療法剤を連続的すなわち分割して投与する。代表的な回復期は、5〜60日、好ましくは14〜24日間経過してよく、この間に、哺乳動物または患者を観察し、評価し、処置から回復するのを可能にする。場合により、1を越える処置周期を与えてもよく、代表的には、個々の処置方式、および処置の目的に応じて2〜約6周期が与えられる。
好適実施態様の詳細な説明
ここに、TPOは、G−CSFやGM−CSFのようなサイトカインの特性とは驚くほど異なり、TPOを放射線および/もしくは化学療法の前にか、かつ/またはそれと同時に投与するのを可能にする、薬物動態学的特性を有することが発見された。事前および/または同時のTPOの投与は、血小板減少症の最下点の深さを少なくし、放射線および/または化学療法の処置を受ける患者における、血小板量の回復の時間を短縮することが見出された。TPOの特性におけるこの差は、造血系列の初期の前駆細胞に対するTPOの効果に由来すると考えられる。この効果は、TPOの投与後の系列での、より多くの成熟細胞の出現の遅延を招いて、細胞削減性処置の際に、増殖細胞の僅かにすぎないか、または臨床的に有意でない損失で放射線および/または化学療法処置を与えるのを可能にするものと思われる。TPOのこれらの独自の特性の発見が、本発明の一部である。
この発見は、放射線および/または化学療法を受ける患者は、血小板輸注を必要とすることが多いことから、有意義である。頻繁な血小板輸注は、同種免疫化を招き得る。これは、HLA適合供与者の必要性と、より頻繁な輸注とを招く。血小板輸注の規定は、重要で困難の多い医療上の問題である。そのような輸注の必要性および頻度を減らすことは、患者の看護を改良し、輸注に付随する併発症、例えば血液抗原不適合、適切な血小板供与者の不足、供与された材料の汚染、例えばウイルスなどによる汚染を軽減する。長期化した血小板減少症の存続を予防または短縮するいかなる処置も、重要な医療上の進歩を表す。本発明は、血小板減少症に罹患した患者の血小板輸注の必要性を軽減する。
本発明の方法は、放射線および/または化学療法の後の血小板力価の基本的水準レベルへの、また実質的に上昇したレベルへさえもの復帰を速める。上昇した血小板力価の生成は、その後の放射線および/または化学療法処置の周期に患者が備えるの役立つ。上昇した血小板レベルを有して処置のその後の周期に入る患者は、処置の細胞削減性効果に、より充分に耐えることができる。したがって、本発明は、本発明によるTPOの無投与の方式に対する患者の許容度に比して、放射線および/または化学療法の方式に対する患者の許容度を高めるのに効果的である。
本発明の方法は、動員療法にも役立つ。動員療法では、末梢血前駆細胞を骨髄から動員して、好中球減少症および/または血小板減少症を軽減または排除する。本発明の方法では、TPOを1回または少数回の日次用量として投与して、末梢血前駆細胞を動員する。代表的には、哺乳動物は、例えば放射線および/もしくは化学療法または肝疾患の結果として、血小板減少症を有するか、またはその危機にあるヒトである。本発明によれば、放射線もしくは化学療法の処置の前にか、またはそれと同時に、TPOを患者に投与する。当然であるが、上記の事前または同時の投与と結合して、血小板の血中力価を回復させるためにTPOを放射線または化学療法の後にも投与してよい。TPOは、他のサイトカイン、例えばG−CSF、IL−3、IL−6、GM−CSFなどとともに投与してもよい。本発明の方法によって動員される前駆細胞は、標準的な白血球除去血輸血によって捕集し、場合により凍結し、放射線および/または化学療法後に患者に再移植してよい。追加のサイトカインは、一般的には、TPOの量と同等の量で投与する。例えば、動員療法では、TPOを、約0.1〜10μg/kgの量で、単独でか、または同等量の追加のサイトカインとともに投与してよいと思われる。異種骨髄移植のために、場合により、もう1種類の上記のサイトカインと併用して、ヒトの患者を包含する哺乳動物に、末梢血前駆細胞を動員する目的でTPOを投与してよく、次いで、それらを白血球除去血輸血によって捕集し、場合により凍結し、血小板減少症を有するか、またはその危機にある哺乳動物に移植してよい。異種骨髄移植組織(前駆細胞)を供与する哺乳動物または患者と、移植組織の受容者とは、公知の手順に従って、組織型検査してよい。TPOおよび他のサイトカインは、一般的には、自己移植組織について上に考察した量で投与する。
加えて、放射線および/または化学療法の周期の反復は、累積する骨髄抑制を招き、それが、個々の化学療法剤の用量強度を、特に併用療法を用いたときに、限定することは周知である。商業的に入手できる骨髄成長因子、例えばG−CSFは、好中球減少症を軽減するのに役立っているが;累積性血小板減少症は、問題として存続している。本発明は、併用化学療法の際の好中球減少症を有意に軽減し、それによって、化学療法の際に患者が許容する処置周期の数を増加させる。非常に多くの処置周期、またはより強力な用量の化学療法剤は、癌致死率を改良する。
本発明の方法は、抗TPO抗体の形成の可能性も低下させる。免疫原性は、当技術に公知の継続的日次投与に比して、1回の用量を包含する、より少ない頻度の投与のため、軽減または除去される。投与は、好ましくは静脈内である。しかし、静脈内投与を皮下投与と併用する混成投与方式も、本発明によって企図される。例えば、放射線および/または化学療法による処置の前または直後に、そのような処置に付随する血小板最下点を下げ、血小板力価の回復を加速するために、TPOの初期静脈内用量を投与するのが望ましい。TPOの初期用量の後、血小板レベルを維持するための処置後に1回またはそれ以上のTPOの皮下用量を与えてよいと思われる。
TPOの非経口または皮下送達の代替策は、エーロゾル送達である。投与の肺からの経路は、投与の容易さ、および吸収のための肺の大表面積のために、静脈内または皮下に対する魅力的な代替策である。しかし、タンパク質の吸収に対する障壁は、手に負えそうもなく、吸収の機構は、不明確である。潜在的制約にも関らず、何種類かのタンパク質(例えばインスリン、hGH、BSAおよびLHRH)は、全身性循環を標的として、肺を経由して好成績で送達されている[Adjei et al., International J. Pharm., 61: 135-144, 1990; Colthorpe et al., Pharm. Res., 9: 764-768, 1992; Folkesson et al., Acta Physiologica Scandinavia, 139; 347-54, 1990; Patton et al., Biotech. Therapeut., 1; 213-228, 1989-90 ;およびNiven et al., Pharm. Res., 12: 1343-9, 1995を参照されたい]。下記の表は、肺を経由する送達について試験されているタンパク質を示す。
Figure 0004562815
本発明の興味深い実施態様では、TPO、例えば組換えヒトトロンボポエチン(rhTPO)は、全身性循環を標的として、エーロゾル吸入を介して送達できることが発見された。rhTPOは、約80kDの糖タンパク質である。治療血清濃度は、rhTPOを液体または粉末エーロゾルとして肺に送達することによって、達成することができる。TPOの溶液は、慣用の噴霧器を用いて噴霧化し、エーロゾルとして鼻または口を経由して、哺乳動物またはヒトの患者に投与してよい。TPOは、例えばスプレイドライによって、粉末へと乾燥し、慣用の乾燥粉末吸入器を用いて投与してもよい。より高用量のrhTPOは、エーロゾルとして与えたとき、静脈内と比較して同様な治療効果を達成することが必要とされる。一般に、エーロゾルによる用量は、エーロゾル投与のためには静脈内投与と比較して、約100倍高くなければならない。エーロゾル投与に適した用量範囲は、1日または複数日での、1回の吸入用量としてか、または複数回の吸入として、約5〜1,000μg/kg、好ましくは50〜750μg/kg、連日または非連日で、好ましくは2〜10もしくは2〜6μg/kgである。
本発明の方法は、哺乳動物もしくはヒトの患者が、血小板減少症を有するか、またはその危機にある、いかなる放射線および/または化学療法の方式とともに用いてもよい。本方法は、慣用の量で用いられる、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、ロイコボリンカルシウム、カルムスチン、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシ尿素、イホスファミド、ロイプロリド、レバミゾール、ロイプロリドデポー、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、メチルCCNU(セムスチン)、メチルプレドニゾロン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、チオグアニン、トリエチレン−チオホスホルアミド、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびそれらの組合せを包含するが、これらに限定されない、慣用の化学療法剤とともに用いてよい。これらの化合物は、場合により、適切であり、指示された場合には、メスナなどのような公知の尿路防護性化合物とともに与えてよい。メスナは、商業的に入手可能であり、化学療法剤代謝物、例えばイホスファミド代謝物による、尿道刺激や出血性膀胱炎を解消するために、常套的に与えられる。代表的には、化学療法剤は、哺乳動物もしくは患者への最小のか、または少なくとも許容され得る毒性で、腫瘍細胞の致死を最大化するよう、組み合せて与えられる。本発明の方法は、この毒性をさらに少なくする。本発明の方法を併用してよい、適切な非制限化学療法の方式を、慣用の略記を用い、該方式が考慮される具体的な腫瘍/癌腫を示して下記に列挙する。化学療法剤は、慣用の量で、かつ慣用の処置の時間および方式に従って投与してよい。例えば、“The Cerenex Handbook”, Robert S. Benjamin, Ed., Cerenex Pharmaceuticals, Research Triangle Park, N.C.(1993);“Combination Cancer Chemotherapy Regimens”, Roger W. Anderson & William J. Dana, Eds., Laderly Laboratories(1991)を参照されたい。しかしながら、血小板減少症を誘導するいかなる細胞削減性の方式も、本発明の範囲内にあると考えられる。
乳癌
CAF:シクロホスファミド、ドキソルビシン、フルオロウラシル
CFM:シクロホスファミド、ドキソルビシン、ミトキサントロン
CFPT:シクロホスファミド、フルオロウラシル、プレドニゾロン、タモキシフェン
CMF:シクロホスファミド、メトトレキサート、フルオロウラシル
CMFP:シクロホスファミド、メトトレキサート、フルオロウラシル、プレドニゾロン
CMFVP:シクロホスファミド、メトトレキサート、フルオロウラシル、ビンクリスチン、プレドニゾロン
FAC:フルオロウラシル、ドキソルビシン、シクロホスファミド
IMF:イホスファミド、メトトレキサート、フルオロウラシル、メスナ
VATH:ビンブラスチン、ドキソルビシン、チオテパ、フルオキシメステロン
CEP:シクロホスファミド、エトポシド、シスプラチン
ICE:イホスファミド、シクロホスファミド、エトポシド
AC:ドキソルビシン、シクロホスファミド
FLAC:フルオロウラシル、ロイコボリンカルシウム、ドキソルビシン、シクロホスファミド
結腸癌
F−CL:フルオロウラシル、ロイコボリンカルシウム
FLe:レバミゾール、フルオロウラシル
FMV:フルオロウラシル、メチルCCNU、ビンクリスチン
胃癌
FAM:フルオロウラシル、ドキソルビシン、マイトマイシンC
FAME:フルオロウラシル、ドキソルビシン、メチルCCNU
FCE:フルオロウラシル、シスプラチン、エトポシド
生殖尿路癌
CAP:シスプラチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド
CISCA:シクロホスファミド、ドキソルビシン、シスプラチン
CVEB:シスプラチン、ビンブラスチン、エトポシド、ブレオマイシン
FL:フルタミド、酢酸リュープロリドまたはフルタミド、酢酸ロイプロミドデポー
L−VAM:酢酸ロイプロリド、ビンブラスチン、ドキソルビシン、マイトマイシンC
MVAC:メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、シスプラチン
VAB:ビンブラスチン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、シスプラチン、シクロホスファミド
VB:ビンブラスチン、メトトレキサート
VBP:ビンブラスチン、ブレオマイシン、シスプラチン妊娠トロホブラスト病
DMC:ダクチノマイシン、メトトレキサート、シクロホスファミド
頭部および頚部癌
CF:シスプラチン、フルオロウラシル
CFL:シスプラチン、フルオロウラシル、ロイコボリンカルシウム
COB:シスプラチン、ビンクリスチン、ブレオマイシン
MAP:マイトマイシンC、ドキソルビシン、シスプラチン
MBC:メトトレキサート、ブレオマイシン、シスプラチン
MF:メトトレキサート、フルオロウラシル、ロイコボリンカルシウム
白血病
急性リンパ球性白血病(A.L.L.)
DVP:ダウノルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン
MM:メルカプトプリン、メトトレキサート
AVDP:アスパラギナーゼ、ビンクリスチン、ダウノルビシン、プレドニゾン
急性骨髄性白血病(A.M.L.)
AA:シタラビン、ドキソルビシン
COAP:シクロホスファミド、ビンクリスチン、シタラビン、プレドニゾン
MV:ミトキサントロン、エトポシド
急性非リンパ性白血病(A.N.L.L.)
DCT:ダウノルビシン、シタラビン、チオグアニン
MC:ミトザントロン、シタラビン
CD:シタラビン、ダウノルビシン
TC:チオグアニン、シタラビン
慢性リンパ性白血病(C.L.L.)
CVP:シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン
肺癌
小細胞
COPE:シクロホスファミド、シスプラチン、エトポシド、ビンクリスチン
CV:シスプラチン、エトポシド
VAC:ビンクリスチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド
ICE:イホスファミド、シクロホスファミド、エトポシド
CEP:シクロホスファミド、エトポシド、シスプラチン
非小細胞
BACON:ブレオマイシン、ドキソルビシン、ロムスチン、ビンクリスチン、メクロレタミン
CAMP:シクロホスファミド、ドキソルビシン、メトトレキサート、プロカルバジン
CAP:シクロホスファミド、ドキソルビシン、シスプラチン
CV:シスプラチン、エトポシド
CVI:シスプラチン、エトポシド、イホスファミド、メスナ
FAM:フルオロウラシル、ドキソルビシン、マイトマイシンC
FOMi/CAP:フルオロウラシル、ビンクリスチン、マイトマイシンC、シクロホスファミド、ドキソルビシン、シスプラチン
MACC:メトトレキサート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ロムスチン
ICE:イホスファミド、シクロホスファミド、エトポシド
CEP:シクロホスファミド、エトポシド、シスプラチン
リンパ腫
ホジキン
ABVD:ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンクリスチン、ダカルバジン
B−CAVe:ブレオマイシン、ロムスチン、ドキソルビシン、ビンブラスチン
B−DOPA:ブレオマイシン、ダカルバジン、ビンクリスチン、プレドニゾン、ドキソルビシン
CVPP:ロムスチン、ビンブラスチン、プロカルバジン、プレドニゾン
MOPP:メクロレタミン、ビンクリスチン、プロカルバジン、プレドニゾン
MVPP:メクロレタミン、ビンブラスチン、プロカルバジン、プレドニゾン
NOVP:ミトザントロン、ビンブラスチン、プレドニゾン、ビンクリスチン非ホジキン
ASHAP:ドキソルビシン、シスプラチン、シタラビン、メチルプレドニゾロン
BACOP:ブレオマイシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン
CHOP:シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン
CHOP−Bleo:シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン、ブレオマイシン
COMLA:シクロホスファミド、ビンクリスチン、メトトレキサート、ロイコボリンカルシウム、シタラビン
COP:シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン
COPP:シクロホスファミド、ビンクリスチン、プロカルバジン、プレドニゾン
CVP:シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン
E−SHAP:エトポシド、シスプラチン、シタバリン、メチルプレドニゾロン
IMVP−16:イホスファミド、メスナ、メトトレキサート、エトポシド、
m−BACOD:ブレオマイシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、デキサメタゾン、メトトレキサート、ロイコボリンカルシウム
m−BACOS:ドキソルビシン、ビンクリスチン、ブレオマイシン、シクロホスファミド、メトトレキサート、ロイコボリンカルシウム
MINE:メスナ、イホスファミド、ミトザントロン、エトポシド
OPEN:エトポシド、ミトザントロン、ビンクリスチン、プレドニゾン
Pro−MACE:プレドニゾン、メトトレキサート、ロイコボリンカルシウム、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド
AI:ドキソルビシン、イホスファミド
AC:ドキソルビシン、シクロホスファミド
ICE:イホスファミド、シクロホスファミド、エトポシド
CEP:シクロホスファミド、エトポシド、シスプラチン
悪性黒色腫
BHD:カルムスチン、ヒドロキシ尿素、ダカルバジン
DTIC−ACTD:ダカルバジン、ダクチノマイシン
VBC:ビンブラスチン、ブレオマイシン、シスプラチン
VDP:ビンブラスチン、ダカルバジン、シスプラチン
多発性骨髄腫
AC:ドキソルビシン、カルムスチン
BCP:カルムスチン、シクロホスファミド、プレドニゾン
MeCP:メチルCCNU、シクロホスファミド、プレドニゾン
MP:メルファラン、プレドニゾン
M−2:ビンクリスチン、カルムスチン、シクロホスファミド、メルファラン、プレドニゾン
VAD:ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン
VBAP:ビンクリスチン、カルムスチン、ドキソルビシン、プレドニゾン
VCAP:ビンクリスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン
卵巣癌
上皮性
C:カルボプラチン
AP:ドキソルビシン、シスプラチン
CDC:カルボプラチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド
CHAD:シクロホスファミド、ドキソルビシン、シスプラチン、ヘキサメチルメラミン
CHAP:シクロホスファミド、ヘキサメチルメラミン、ドキソルビシン、シスプラチン
CP:シクロホスファミド、シスプラチン
PAC:シスプラチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド
AC:ドキソルビシン、シクロホスファミド
ICE:イホスファミド、シクロホスファミド、エトポシド
CEP:シクロホスファミド、エトポシド、シスプラチン
生殖細胞
VAC:ビンクリスチン、ダクチノマイシン、シクロホスファミド
子宮内膜癌
C:カルボプラチン
AC:ドキソルビシン、シクロホスファミド
膵臓癌
FMS:フルオロウラシル、マイトマイシンC、ストレプトゾシン
SD:ストレプトゾシン、ドキソルビシン
小児腫瘍
A.L.L.
DVP:ダウノルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン
VAP:ダウノルビシン、アスパラギナーゼ、プレドニゾン
CT:シタラビン、チオグアニン
DCPM:ダウノルビシン、シタラビン、プレドニゾン、メルカプトプリン
A.N.L.L.
DC:ダウノルビシン、シタラビン
骨肉腫
AC:ドキソルビシン、シスプラチン
HDMTX:メトトレキサート、ロイコボリンカルシウム
T−2:ダクチノマイシン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、シクロホスファミド
ホジキン病
ACOPP:ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プロカルバジン、プレドニゾン
MOPP:メクロレタミン、ビンクリスチン、プロカルバジン、プレドニゾン
軟組織肉腫
VAC:ビンクリスチン、ダクチノマイシン、シクロホスファミド
肉腫
骨肉腫
AC:ドキソルビシン、シスプラチン
CYVADIC:シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、ダカルバジン
HDMTX:メトトレキサート、ロイコボリンカルシウム
IMAC:イホスファミド、メスナ、ドキソルビシン、シスプラチン
軟組織
CYADIC:シクロホスファミド、ドキソルビシン、ダカルバジン
CYVADIC:シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、ダカルバジン
ID:イホスファミド、メスナ、ドキソルビシン
VAC:ビンクリスチン、ダクチノマイシン、シクロホスファミド
AI:イホスファミド、ドキソルビシン
MAID:メスナ、ドキソルビシン、イホスファミド、ダカルバジン
本発明の方法で治療してよい血小板減少症に特に関連して選ばれる方式は:
Figure 0004562815
本発明の1回または少数回の用量は、処置周期における放射線および/もしくは化学療法剤の最初の処置時間の前にか、処置周期における処置時間の間か、またはそれと同時にか、あるいは処置周期における放射線および/もしくは化学療法剤の1回またはそれ以上の個々の処置時間の後に、与えてよい。例えば、1周期は、放射線または化学療法剤の1回の処置時間を構成してよい。本発明では、TPOの1回または少数回の用量は、この処置時間の前、間または後に投与することになると思われる。これに代えて、周期は、放射線または化学療法剤の複数の処置時間、例えば2〜10またはそれ以上の処置時間を構成してよい。ここでは、本発明は、いかなる1処置時間もの前、間もしくは後にか、または個々の処置時間のそれぞれの前、間もしくは後にTPOを投与することを企図する。例えば、周期は、化学療法剤の3回の処置を構成してよい。本発明の方法では、TPOを、3回の処置時間のそれぞれの前に投与してよいか、または3回の処置時間のそれぞれの後に投与してよいと思われる。当然ながら、本発明は、周期における化学療法剤の最初の処置時間の前と、周期における最後の処置時間の後とのTPOの1回の日次用量の投与も包含する。
好適実施態様では、哺乳動物に、放射線および/または化学療法剤の少なくとも一つの処置周期を与えるが、ここで、該処置周期は、放射線および/または化学療法剤を投与する最初の処置時間T0と、最後の処置時間TFとを有する。TPOの用量は、好ましくはT0プラスマイナス24時間、より好ましくはT0プラスマイナス10時間、さらに好ましくはT0プラスマイナス6時間および最も好ましくはT0プラスマイナス2時間に投与する。
代替実施態様では、用量は、T0にか、またはT0以前ではあるが、T0前7日以内に、好ましくはT0前1日以内に投与する。1回用量の周期については、T0=TFである。もう一つの好適実施態様では、用量は、TF以前ではあるが、TF前7日以内に投与する。上記のとおり、TPOは、TF以後に投与してもよい。TPOの第二の用量を、TF以後に与えたとき、該用量は、TF後24時間以内に投与する。哺乳動物または患者は、当然、複数回の処置周期、一般的には2〜6周期であるが、癌もしくは腫瘍の大きさを縮小するか、または完全に放射線治療をするのに医療上必要なだけ多くの周期を受けてよい。何らかの治療方式では、腫瘍は、放射線および/または化学療法の処置以前のその大きさに対して、大きさが減少し、次いで、外科手術を利用して、腫瘍の残存する悪性組織を除去する。本発明の方法は、これらの方式にも用いてよい。
本発明は、一般的にはTPOの用量の投与後の、好ましくは1治療周期での最後のTPO用量の投与後の、治療有効量のサイトカイン、コロニー刺激因子およびインターロイキンの同時投与も包含する。サイトカインは、好ましくはKL、LIF、G−CSF、GM−CSF、M−CSF、EPO、FLT−3、IL−1、IL−2、IL−3、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9またはIL−11、特にG−CSFまたはGM−CSFである。
本発明によれば、本発明の1回または少数回投与方式は、患者の体重1kgあたり約0.1〜50μg、好ましくは約0.1〜10μg、より好ましくは約1〜5μg、または好ましくは約1〜3μg程度での日用量の比率で効果的であることが見出された。1回用量では、約2±1.5μg/体重kgの総投与が好ましいと思われる。少数回用量では、1用量あたり約0.5〜1.5μg/体重kgの投与が好ましいと思われる。上記の用量は、好適な静脈内投与で予測される。皮下の経路を介しての投与では、投与される総量は、静脈内の経路を介して投与される量の約1〜3倍の範囲、好ましくは約2倍であると思われる。さらに、肺を経由する投与のための用量は、上記のより高い。個々の患者に対する具体的な治療有効用量は、慣用の方法によって決定し得る。
本発明の方法は、好ましくは、放射線および/または化学療法の処置周期の間、哺乳動物での35x10-12モルまたはそれを越える血中TPOレベルを維持するのに充分なTPOの用量も提供する。好ましくは、該用量は、処置周期の間、100x10-12モル以上、より好ましくは約35x10-12〜約3,500x10-12モルの血中TPOレベルを維持するのに充分である。
最適な用量の比率および方式は、疾病の重篤度や種類、体重、性別、食餌、投与の時間や経路、他の投薬、および他の関連する臨床的因子を包含する、薬物の作用を変化させる公知の様々な因子を勘案する担当の医師によって決定されることになる。
患者へのトロンボポエチンの1回の日次投与は、血小板減少症の処置に治療上有効であることが判明しているが、少数回(毎日)の方式を用い得ることが認識できることが理解されると思われる。1回の用量は、治療応答の開始を刺激し、本明細書では、複数回の投与が企図されているが、1回または少数回の投与後の投与の終結は、治療応答とは無関係であることが見出されている。
本発明の生物学的に活性である材料のトロンボポエチンは、それによれば、鼻または肺経由、皮下、この静脈内を包含する様々な経路で投与することができる。いずれにしても、投与経路に応じて、本発明の生物学的活性材料のトロンボポエチンは、好ましくは、製薬上許容され得る適切な担体または賦形剤と組み合せて投与する。全身的に投与するときは、該治療組成物は、発熱因子を含んではならず、生理学的なpH等張性および安定性についての正当な考慮を有する、非経口的に許容され得る溶液として存在しなければならない。これらの条件は、一般的には、適切な当技術の習熟者には周知であり、かつ充分に受容される。
略述すると、本発明の材料の投与量配合物は、望みの程度の純度を有する化合物を生理学的に許容され得る担体、賦形剤および/または安定剤と混合することによって、貯蔵または投与のために製造する。そのような材料は、用いた用量および濃度では受容者に無害であり、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩その他の有機酸塩のような緩衝液;アスコルビン酸のような抗酸化剤;ポリアルギニンのような低分子量ペプチド、血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリジノンのような親水性重合体;グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸もしくはアルギニンのようなアミノ酸;セルロースもしくはその誘導体、グルコース、マンノースもしくはデキストリンを包含する単糖類、二糖類その他の炭水化物;EDTAのようなキレート化剤;マンニトールもしくはソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムのような対イオン;および/またはTWEEN、PLURONICSもしくはポリエチレングリコールのような非イオン界面活性剤を含む。
本発明の生物学的活性トロンボポエチンの材料は、遊離酸もしくは塩基の形態としてか、または製薬上許容され得る塩として投与することができ、許容された製薬の実施に要求されるような、生理学的に許容され得る伝達体、担体、賦形剤、結合剤、防腐剤、安定剤、香味料などと調合される。
注射用の滅菌組成物は、慣用の製薬または薬理学の慣例に従って配合することができる。例えば、水、またはゴマ油、ピーナツ油もしくは綿実油のような天然に産する植物油のような賦形剤、あるいはオレイン酸エチルなどのような合成脂肪性賦形剤中の活性物質の溶液もしくは懸濁液が望ましいと思われる。やはり、緩衝液、防腐剤、抗酸化剤などを、許容された製薬の実施に従って組み込むことができる。本発明の生物学的活性材料のトロンボポエチンは、上に特定された疾患、および血小板減少症を指標とする状態の治療の際に、単独で用いるか、または他のサイトカイン、ヘマトポエチン、インターロイキン、成長因子もしくは抗体との併用で投与してよい。すなわち、本発明の活性材料は、G−CSF、GM−CSF、LIF、M−CSF、IL−2、IL−3、エリスロポエチン(EPO)、Kitリガンド、IL−6、IL−11、FLT−3リガンド等々を包含する、血小板新生活性を有するその他のタンパク質またはペプチドと組み合せて用いてよい。
徐放性調剤の適切な例は、該ポリペプチドを含有する固体の疎水性重合体の、成形品、例えば薄膜またはマイクロカプセルの形態をなす、半透性マトリックスを包含する。徐放性マトリックスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル[例えばLanger et al., J. Biomed. Mater. Res., 15: 167-277(1981)、およびLanger, Chem. Tec., 12: 98-105(1982)に記載のポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール)]、ポリラクチド(米国特許第3,779,919号明細書、ヨーロッパ特許第58,481号公報)、L−グルタミン酸塩とγ−エチル−L−グルタミン酸塩との共重合体[Sidman et al., Biopolymers, 22: 547-556(1983)]、非分解性エチレン−酢酸ビニル[Langer et al.前掲]、LUPROM DEPOTJ(乳酸−グリコール酸共重合体および酢酸リロイプロリドからなる注射できる微小球)のような分解性乳酸−グリコール酸共重合体、ならびにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(ヨーロッパ特許第133,988号公報)を包含する。
エチレン−酢酸ビニルおよび乳酸−グリコール酸のような重合体が、100日以上も分子の放出を可能にするのに対し、ある種のヒドロゲルは、より短い期間だけタンパク質を放出する。カプセルに封入したタンパク質は、長期間体内に存続するとき、37℃での水分との接触の結果として、変性または凝集して、生物学的活性の喪失と免疫原性の潜在的変化とを招く。関与する機構に応じて、タンパク質安定化のための合理的な対策を考案することができる。例えば、凝集機構が、ジスルフィド交換による分子間のS−S結合形成であることが発見されたならば、安定化は、スルフヒドリル残基の修飾、酸性溶液からの凍結乾燥、水分含量の制御、適切な添加物の使用、および特定の重合体マトリックス組成物の開発によって達成し得る。
徐放性血小板新生性タンパク質組成物は、リポソームによって捕捉された巨核球新生性タンパク質も包含する。巨核球新生性タンパク質を含有するリポソームは、それ自体は公知である方法によって製造される[ドイツ国特許第3,218,121号公報;Epstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688-3698(1985); Hwang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4030-4034(1980); ヨーロッパ特許第52,322号;第36,676号;第88,046号;第143,949号;第142,641号公報;特開昭(58)-118,008号公報;米国特許第4,485,045号および第4,544,545号明細書;ならびにヨーロッパ特許第102,324号公報]。通常、リポソームは、小型(約200〜800オングストローム)の単一膜形式のものであり、その中の脂質含量は、コレステロールとして約30モル%より多く、選ばれた比率は、最適の巨核球新生性タンパク質療法のために調整される。
TPOまたはmplリガンドの共有結合による修飾の一形式は、様々な非タンパク質性重合体、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルキレンの一種とのTPOポリペプチドの、米国特許第4,640,835号;第4,496,689号;第4,301,144号;第4,670,417号;第4,791,192号;または第4,179,337号明細書に記載の方式での結合を含む。前記重合体と共有結合されたTPOポリペプチドは、本明細書ではPEG化したTPOと称する。
mplに結合するのに最適な、かつ上に定義した免疫学的および/または生物学的活性を有する変異体を選ぶために、回収したTPO変異体の何らかのスクリーニングが必要になることが、認識されると思われる。組換え細胞培養体または血漿における(例えばタンパク質分解性の切断に対する)安定性、mplの成員に対する高い親和性、酸化に対する安定性、高収率で分泌される能力などについて、スクリーニングすることができる。例えば、TPOポリペプチドの免疫学的特徴、例えば与えられた抗体との親和性の変化を、競争的形式のイムノアッセイによって測定する。酸化還元もしくは熱に対する安定性、疎水性、またはタンパク質分解性分解に対する感受性のような、タンパク質またはポリペプチドの特性のその他のあり得る修飾は、当技術に周知の方法によって検定される。
製造の方法
ヒトmplリガンド(TPO)遺伝子の単離
TPO遺伝子のヒトゲノムDNAクローンを、mplリガンドをコードするヒトcDNAの3N半分に相当するフラグメントによる低い緊縮(lowstringency)条件下、または高い緊縮(high stringency)条件下で、8−Gem12中のヒトゲノムライブラリーをpR45でスクリーニングすることによって単離した。35kbに及ぶ二つの重複λクローンを単離した。TPO遺伝子全体を含む二つの重複フラグメント(BamHIおよびEcoRI)を、サブクローニングし、配列決定した。
ヒト遺伝子の構造は、ゲノムDNAの7kb以内の6個のエキソンからなる。すべてのエキソン/イントロン結合部の境界は、哺乳動物の遺伝子で確定された共通モチーフに一致する[Shapiro, M.B. et al., Nucl. Acids. Res. 15: 7155(1987)]。第1および第2エキソンは、5Nの非翻訳配列、およびシグナルペプチドの初めの4アミノ酸を有する。分泌シグナルの残余、および成熟タンパク質の初めの26アミノ酸は、第3エキソン内にコードされている。カルボキシルドメイン全体、ならびにエリスロポエチン様ドメインの3Nの非翻訳およびそれから50個までのアミノ酸は、第6エキソン内にコードされている。hML−2(hTPO−2)内で観察される欠失に関与する4個のアミノ酸は、第6エキソンの5N末端にコードされている。
サザンブロットによるヒトゲノムDNAの分析は、TPOの遺伝子が、単一コピーとして存在することを示す。遺伝子の染色体での位置は、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)によって決定し、染色体3q27〜28にマッピングした。
293細胞からのTPOの発現および精製
293細胞からのMLまたはTPOの調製および精製を、実施例1に詳述する。略述すると、TPOの全読取り枠に相当するcDNAを、pRK5−hmplIを用いたPCRによって得た。PCR産物を精製し、プラスミドpRK5tkneo. ORF(全読取り枠をコードするベクター)の制限部位ClaIとXbaIとの間にクローニングした。
EPO相同ドメインをコードする第二のベクターを、同様に、しかし異なるPCRプライマーを用いて生成して、pRK5−tkneoEPO−Dと呼ばれる最終構成体を得た。
これら2種類の構成体を、CaPO4法によってヒト胚性腎臓細胞にトランスフェクションし、ネオマイシン耐性クローンを選別し、密集するまで増殖させた。順化培地でのこれらのクローンからのML153またはML332の発現を、Ba/F3−mpl増殖アッセイを用いて査定した。
rhML332の精製を、実施例1に記載したとおりに実施した。略述すると、293−rhML332の順化培地を、BLUEセファロース(Pharmacia)カラムにかけ、次いで、2モルの尿素を含有する緩衝液で洗浄した。2モル尿素および1モルNaClを含有する緩衝液でカラムを溶離した。次いで、BLUEセファロース溶出液のプールを、WGAセファロースのカラムに直接かけ、2モル尿素および1モルNaClを含有する緩衝液10カラム容で洗浄し、0.5モルN−アセチル−D−グルコサミンを含有する同じ緩衝液で溶離した。WGAセファロースの溶出液を、C4−HPLCカラム(Synchrom, Inc.)にかけ、プロパノールの不連続勾配で溶離した。SDS−PAGEによって、精製293−fhML332は、ゲルの68〜80kDaの領域に幅広いバンドとして移動する。
rhML153の精製も、実施例1に記載したとおりに実施した。略述すると、293−rhML153順化培地を、rhML332について記載したとおりに、BLUEセファロース上で分離した。BLUEセファロースの溶出液を、上記のとおり、mpl親和性カラムに直接かけた。mpl親和性カラムから溶出したrhML153を、rhML332に用いたのと同じ条件下で、C4−HPLCカラムの操作を用いて均質にまで精製した。SDS−PAGEによって、精製rhML153は、18,000未満〜22,000の相対質量を有する20の主要バンドと二つの副次バンドへと分離する。
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞からのTPOの発現および精製
CHO細胞をトランスフェクションするのに用いた発現ベクターを、pSVI5.ID.LL.MLORF(TPO332の全長)およびpSVI5.ID.LL.MLEPO-D(断端したか、またはTPO153)と称する。
TPOの全読取り枠に相当するcDNAを、PCRによって得た。PCR産物を精製し、プラスミドpSVI5.ID.LLの二つの制限部位(ClaIとSaII)の間にクローニングして、ベクターpSVI5.ID.LL.MLORFを得た。EPO相同ドメインに相当する第二の構成体を、同じ方法であるが、異なる逆プライマー(EPOD.sal)を用いて生成した。TPOのEPO相同ドメインをコードするベクターのための最終構成体を、pSVI5.ID.LL.MLEPO-Dと呼ぶ。
これら二つの構成体をNotIで直線化し、電気穿孔法によってチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO−DP12細胞、1989年3月15日公開されたヨーロッパ特許第307,247号公報)にトランスフェクションした。記載のとおり[Andreason, G.L., J. Tissue Cult. Meth., 15: 56(1993)]10、25または50mgのDNAの存在下、BRL電気穿孔装置内で(350V、330mF、低静電容量)107個の細胞を電気穿孔した。トランスフェクションの翌日、DHFR選別培地(グリシンなしの高グルコースDMEM−F12が50:50、2mM グルタミン、2〜5%透析ウシ胎児血清)中で細胞を分割した。10〜15日後、個々のコロニーを、96穴プレートに移し、密集まで増殖させた。順化培地でのこれらのクローンからのML153またはML332の発現を、Ba/F3−mpl増殖アッセイを用いて査定した。
採集したCHO細胞培養液からのTPOの精製および単離の方法は、実施例2に記載してある。略述すると、採集した細胞培養液(HCCF)を、樹脂1リットルあたりHCCF約100Lという率でBLUEセファロース(Pharmacia)カラムにかける。次いで、カラムを緩衝液3〜5カラム容、次いで2.0モルの尿素を含有する緩衝液3〜5カラム容で洗浄する。次いで、2.0モル尿素と1.0モルNaClとをともに含有する緩衝液3〜5カラム容で、TPOを溶離する。
次いで、TPOを含有するBLUEセファロース溶出液のプールを、BLUEセファロース中で平衡させたコムギ胚芽レクチンセファロースカラム(Pharmacia)に、樹脂1mlあたり8〜16mlのBLUEセファロース溶出液の率でかける。次いで、カラムを、平衡緩衝液2〜3カラム容で洗浄する。次いで、TPOを、2.0モル尿素、および0.5モルN−アセチル−D−グルコサミンを含有する緩衝液2〜5カラム容で溶離する。
次いで、TPOを含有するコムギ胚芽レクチン溶離液を、酸性化し、0.04%の最終濃度までC128を加える。得られたプールを、0.1%TFA、0.04%C128中で平衡させたC4逆相カラムに、樹脂1mlあたり約0.2〜0.5mgのタンパク質の容量でかける。
タンパク質は、0.1%TFAおよび0.04%C128を含有するアセトニトリルの二段階線形勾配で溶離し、プールは、SDS−PAGEに基づいて作成する。
次いで、C4プールを、10,000〜30,000ダルトンの分子量カットオフを有するAMICON−YMまたは類似の限外濾過膜上で、緩衝液約6容に対して希釈かつダイア濾過する。そうして、得られたダイア濾液は、直接処理するか、または限外濾過によってさらに濃縮してよい。ダイア濾液/濃縮液は、通常、0.01%のTWEEN-80の最終濃度に調整する。
次いで、算出カラム容の2〜5%と等価のダイア濾液/濃縮液の全部または一部を、0.01%TWEEN-80を含有する緩衝液中で平衡させたSEPHACRYL S-300HRカラム(Pharmacia)にかけ、クロマトグラフィーに付す。次いで、凝集体およびタンパク質分解性分解生成物を含まないTPO含有画分を、SDS−PAGEに基づいてプールする。得られたプールを濾過し、2〜8℃で貯蔵する。
微生物中での形質転換、およびTPO合成の誘導、ならびにそこに製造されたTPOの単離、精製および再折りたたみ
E. ColiのTPO発現ベクターの構築を、実施例3に詳述する。略述すると、プラスミドpMP21、pMP151、pMP41、pMP57およびpMP202を、すべて、異なる構成体間で変動する小リーダーの下流で、TPOの最初の155アミノ酸を発現するように設計した。リーダーは、主として、高レベルの翻訳開始、および迅速な精製を与える。プラスミドpMP210−1、−T8、−21、−22、−24、−25は、開始メチオニンの下流で、TPOの初めの153アミノ酸を発現するように設計し、TPOの最初の6アミノ酸に対するコドン使用法のみが異なるにすぎないが、プラスミドpMP251は、pMP210−1の誘導体であって、TPOのカルボキシル末端が2アミノ酸だけ延長されている。上記のプラスミドはすべて、トリプトファンプロモーターで誘導すると、TPOの高レベルの細胞内発現をE. coliで生じると思われる[Yansure, D.G. et al., Methods in Enzymology, 185: 54-60(Goeddel, D.V., Ed.)Academic Press, San Diego(1990)]。プラスミドpMP1およびpMP172は、上記のTPO細胞内発現プラスミドの構築の中間体である。上記のTPO発現プラスミドを用いて、実施例3に記載のCaCl2熱ショック法[Mandel, M. et al., J. Mol. Biol., 53: 159-162(1970)]その他の手順を用いて、E. coliを形質転換した。略述すると、形質転換した細胞を、培養体の光学密度(600nm)が約2〜3に達するまで、初めに37℃で増殖させた。次いで、培養液を希釈し、通気による増殖後に、酸を加えた。次いで、培養体を、更に15時間の通気しながら増殖させ続け、その後、遠心分離によって細胞を回収した。
生物学的に活性であり、再折りたたまれたヒトTPO、またはそのフラグメントの生成について下に示した単離、精製および再生手順は、実施例4に記載し、NおよびC末端延長形態を包含する、いかなるTPO変異体の回収にも適用することができる。再折りたたみまたは合成TPOに適したその他の手順は、E. coli中で不溶形態で発現させた様々な組換えタンパク質に対する、回復および再折りたたみの方法の全般的説明のための、下記の特許中に見出すことができる:Builder et al., 米国特許第4,511,502号;Jones et al., 同第4,512,922号;Olson, 同第4,518,526号;およびBuilder et al., 同第4,620,948号明細書。
血小板新生活性の測定の方法
血小板新生活性は、Ba/F3mplリガンドアッセイを包含する様々なアッセイで測定してよい。in vivoマウス血小板リバウンド合成アッセイ、ヒト白血病巨核球芽細胞系(CMK)に対する抗血小板免疫アッセイ(抗GPIIbIIIa)で測定する限りでの、血小板細胞表面抗原の誘導アッセイ[Sato et al., Brit. J. Heamatol., 72: 184-190(1989)を参照されたい]、および巨核球芽細胞系(DAMI)での倍数化の誘導[Ogura et al., Blood, 72(1): 49-60(1988)を参照されたい]。未成熟の、大半がDNAを合成しない細胞からの、形態学的に特定できる巨核球への巨核球の成熟は、細胞質の細胞小器官の出現、膜抗原(GPIIbIIIa)の獲得、背景に記載したような血小板の核内複製および放出を包含する過程を伴う。巨核球成熟の系列特異的プロモーター(すなわちmplリガンド)は、血小板の放出、および血小板減少症の緩和へと導く、未成熟巨核球でのこれらの変化の少なくともいくつかを誘導することが期待されると思われる。したがって、未成熟巨核球細胞系統、すなわちCMKおよびDAMI細胞での、これらのパラメータの出現を測定するように、アッセイを設計した。CMKアッセイは、特異的な血小板マーカーであるGPIIbIIIaの出現と、血小板の放散とを測定する。DAMIアッセイは、倍数性の増加が成熟巨核球の顕著な特徴であることから、核内複製を測定する。認め得る巨核球は、2N、4N、8N、16N、32Nなどの倍数値を有する。最後に、in vivoマウス血小板リバウンドアッセイは、試験化合物(ここではmplリガンド)の投与が血小板数の増加を招くことの立証に役立つ。
TPO活性を測定するために、二つの追加のin vivoアッセイを開発した。第一は、キナーゼ受容体活性化(KIRA)ELISAであって、CHO細胞をmpl−Rseキメラでトランスフェクションし、キメラのmpl部分をmplリガンドと接触させた後に、Rseのチロシンリン酸化をELISAによって測定する。第二は、受容体依拠ELISAであって、ウサギの抗ヒトIgGで被覆したELISAプレートが、検定しようとするmplリガンドと結合するヒトキメラ受容体mpl−IgGを捕捉する。結合したmplリガンドを検出するには、mplリガンド(TPO155)に対するビオチニル化したウサギポリクローナル抗体を用い、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼを用いて測定する。
材料トロンボポエチンの治療的用途
生物学的に活性である血小板新生タンパク質(TPO)は、産生の欠陥、隔離、または血小板の破壊の増大による、血小板減少症に罹患した患者での巨核球新生または血小板新生活性を刺激するために、滅菌製剤または配合物として役立ち得る。血小板減少症に付随する骨髄の発育不全(例えば、化学療法または骨髄移植組織後の無形成性貧血)はもとより、播種性血管内凝固(DIC)、免疫血小板減少症(HIV誘導ITPおよび非HIV誘導ITPを包含)、慢性特発性血小板減少症、先天性血小板減少症、骨髄形成異常症および血栓性血小板減少症も、本発明の化合物で効果的に治療し得る。加えて、これらの巨核球新生タンパク質は、骨髄増殖性の血小板疾患はもとより、炎症性状態からの、および鉄分の欠乏での血小板増加症を治療するのにも役立ち得る。
本発明の方法は、血小板減少症を生じるのに充分な電離性放射線に被曝した哺乳動物またはヒトの患者、例えば、チェルノブイリで発生した周知の事故のような、核事故に被曝した人間を治療するのにも役立つ。TPOは、患者に充分許容され、これが、核事故後数時間以内の、放射線に作用されたすべての人間へのTPOの迅速な投与を正当化し得る。より詳しく下記に述べるとおり、前駆細胞のTPO応答性は、放射線および/または化学療法への人間の暴露の直後には、非常に大きいと思われる。本発明の方法は、電離性放射線に被曝すると予測されるような人間に、予防的にTPOを投与することによって、放射線防護手順としても用いてよい。例えば、重大な核事故の場合、緊急作業員は、高度に汚染された部域への進入を必要とすることがある。予防的容量のTPOの、本発明の投与方法による被曝前の投与は、作業員が、放射線への被曝によって誘導される血小板減少症の程度を軽減するために、高レベルの初期多系列前駆細胞を有するのを確保することになる。
本発明の血小板新生タンパク質(TPO)の好適な用途は、白血病または充実性腫瘍の治療のための骨髄毒性化学療法、自己または同種骨髄移植組織に対する骨髄除去性化学療法、骨髄形成異常症、特発性無形成性貧血、先天性血小板減少症および免疫血小板減少症にある。
本発明の血小板新生タンパク質で有用に治療される、更に別の疾患は、薬物、中毒、または人工的表面での活性化に起因する、血小板の欠陥もしくは損傷を包含する。これらの場合、「放散している」か、または新たな「未損傷の」血小板を刺激するために、本化合物を用いてよい。
実施例
実施例1:293細胞からのTPOの発現および精製
293細胞発現ベクターの調製
TPO全読取り枠に相当するcDNAを、下記のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いるPCRによって得た:
Figure 0004562815
pfuDNAポリメラーゼ(Stratagene)の存在下での反応のためのテンプレートとしては、prk5−Hmplを用いた。初期変性は、94℃で7分間、その後25サイクルの増幅(94℃で1分間、55℃で1分間、および72℃で1分間)であった。最終的な延長は、72℃で15分間であった。PCR産物を精製し、チミジンキナーゼ促進の制御下でネオマイシン耐性遺伝子を発現するよう改質した、pRK5から誘導したベクターである、プラスミドpRK5tkneoの制限部位ClaIとXbaIとの間にクローニングして、ベクターpRK5tkneo. ORFを得た。epo相同ドメインに相当する第二の構成体を、同じ方法であるが、前進プライマーとしてCla.FL.Fと、下記の逆行プライマーとを用いて生成した:
Figure 0004562815
最終構成体をpRK5−tkneoEPO−Dと呼ぶ。両構成体の配列を確認した。
ヒト胚性腎臓細胞のトランスフェクション
これら2種類の構成体を、CAPO4法によってヒト胚性腎臓細胞にトランスフェクションした。トランスフェクションの24時間後に、ネオマイシン耐性クローンの選別を、0.4mg/mlのG418の存在下で開始した。10〜15日後、個々のクローンを96穴プレートに移し、密集まで増殖させた。これらのクローンからの順化培地でのML153またはML332の発現(TPO153またはTPO332)を、Ba/F3−mpl増殖アッセイを用いて査定した。
rhML332の精製
392−rhML332順化培地を、10mM リン酸ナトリウム、pH7.4(緩衝液A)中で平衡させたBLUEセファロース(Pharmacia)カラムにかけた。次いで、カラムを緩衝液Aおよび2M 尿素含有緩衝液A、それぞれ10カラム容で洗浄した。次いで、カラムを、2M 尿素および1M NaClを含有する緩衝液Aで溶離した。次いで、BLUEセファロース溶出プールを、緩衝液A中で平衡させたWGAセファロースカラムに直接かけた。次いで、WGAセファロースのカラムを、2M 尿素および1M NaClを含有する緩衝液A10カラム容で洗浄し、0.5M N−アセチル−D−グルコサミンを含有する同じ緩衝液で溶離した。WGAセファロースの溶出液を、0.1%TFA中で平衡させたC4−HPLCカラム(Synchrom, Inc.)にかけた。C4−HPLCカラムを、プロパノールの不連続勾配(0〜25%、25〜35%、35〜70%)で溶離した。rhML332は、勾配の28〜30%プロパノールの領域で溶出することが判明した。SDS−PAGEによって、精製rhML332は、ゲルの68−8−kDaの領域に幅広いバンドとして移動した。
rhML153の精製
392−rhML153順化培地を、rhML332について記載したとおりに、BLUEセファロース上で分離した。BLUEセファロースの溶出液を、上記のとおり、mpl親和性カラムに直接かけた。mpl親和性カラムから溶出したrhML153を、rhML332について記載したのと同じ条件下で、C4−HPLCカラムの操作を用いて均質にまで精製した。SDS−PAGEによって、精製rhML153は、18,000未満〜21,000の相対質量を有する二つの主要バンドと二つの副次バンドへと分離した。
実施例2:CHOからのTPOの発現および精製
1.CHO発現ベクターの説明
下記の電気穿孔のプロトコルに用いた発現ベクターは、
pSVI5.ID.LL.MLORF(全長すなわちhTPO332)、および
pSVI5.ID.LL.MLEPO-D(断端すなわちhTPO153)と称する。
2.CHO発現ベクターの調製
hTPOの全読取り枠に相当するcDNAを、下表のオリゴヌクレオチドプライマーを用いたPCRによって得た。
CHO発現ベクターのPCRプライマー
Figure 0004562815
pfuDNAポリメラーゼ(Stratagene)の存在下での反応のためのテンプレートとしては、pRK5−hmplIを用いた。初期変性は、94℃で7分間、その後25サイクルの増幅(94℃で1分間、55℃で1分間、および72℃で1分間)であった。最終的な延長は、72℃で15分間であった。PCR産物を精製し、プラスミドpSV15.ID.LLの制限部位ClaIとSalIとの間にクローニングして、ベクターpSV15.ID.LL.MLORFを得た。EPO相同ドメインに相当する第二の構成体を、同じ方法であるが、前進プライマーとしてCla.FL.F2と、下記の逆行プライマーとを用いて生成した:EPOD.Sal5’AGT CGA CGT CGA CTC ACC TGA CGC AGA GGG TGG ACC3′(SEQ ID NO:6)。最終構成体をpSV15.ID.LL.MLEPO-Dと呼ぶ。両構成体の配列を確認した。
本質的には、全長および断端リガンドに対するコーディング配列を、CHO発現ベクターpSV15.ID.LLの多重クローニング部位に導入した。このベクターは、SV40の初期プロモーター/エンハンサー領域、マウスDHFRcDNAを含む修飾されたスプライス単位、問題の遺伝子(この場合は記載のTPO配列)、SV40ポリアデニル化シグナルおよび複製起点、ならびに細菌でのプラスミド選別および増幅のためのβラクタマーゼ遺伝子を有する。
3.組換えヒトTPO332およびTPO153を発現する安定的CHO細胞系を確立するための方法論
a.CHO親細胞系の説明
本明細書に記載のTPO分子の発現に用いた宿主CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞系は、CHO−DP12として公知である(1989年3月15日公開されたヨーロッパ特許第307,247号公報を参照されたい)。この哺乳動物細胞系を、プレプロインスリンを発現するベクターでの親系(L. Chasin博士の許可により、Stanford UniversityのFrank Lee博士から入手したCHO−K1 DUX−B11(DHFR−))のトランスフェクションからクローン選別して、インスリン要求度の低いクローンを得た。これらの細胞もDHFRマイナスであり、クローンは、DHFRcDNAベクター配列の存在について、ヌクレオシド補給物質(グリシン、ヒポキサンチンおよびチミジン)を欠く培地での成長によって選別することができる。CHO細胞系を安定的に発現するこの選別系を、一般的に用いる。
b.トランスフェクション方法(電気穿孔)
線状にした、それぞれpSVI5.ID.LL.MLORFまたはpSVI5.ID.LL.MLEPO-Dプラスミドを、電気穿孔[例えばAndreason, G.L., J. Tiss. Cult. Meth., 15, 56(1993)を参照されたい]によってDP12細胞にトランスフェクションすることによって、TPO332およびTPO153発現細胞系を生成した。標準的な分子生物学の方法によって、酵素NOTIで10μg、25μgおよび50μgのベクターを切断する各プラスミドについて、3種類の制限酵素反応混合物を構成した。この制限部位は、ベクターの線状化領域3′内でTPOリガンド転写単位の外側に一度だけ見出されるにすぎない。100μlの反応を、37℃での終夜培養で実施した。翌日、混合物をフェノール−クロロホルム−イソアミルアルコール(50:49:1)で1回抽出し、約1時間ドライアイス上にエタノール沈澱させた。次いで、15分の微量遠心分離によって沈澱を捕集し、乾燥した。線状化したDNAを、標準的抗生物質および2mM グルタミンを補充したHamのDMEM−F12の1:1培地50μlに再懸濁させた。
DP12細胞を増殖する懸濁液を回集し、DNAの再懸濁について記載した培地中で1回洗浄し、最後に、同じ培地に750μlあたり107個の細胞の濃度で再懸濁させた。細胞のアリコート(750μl)、および線状化したDNA混合物のそれぞれを、室温で1時間まとめて温置し、次いで、BRL電気穿孔チャンバーに移した。次いで、各反応混合物を、標準的BRL電気穿孔装置内で、330μFおよび低静電容量に設定して350Vで電気穿孔した。電気穿孔の後、細胞を、装置内に5分間、次いで氷上に更に10分の温置期間留めた。電気穿孔した細胞を、CHO細胞用の標準的完全成長培地(1xGHT、2mM グルタミンおよび5%ウシ胎児血清を補充した、グリシン抜きの高グルコースDMEM−F12が50:50)5mlを有する60mm細胞培養皿に移し、5%CO2の細胞培養インキュベーター内で終夜増殖させた。
c.選別およびスクリーニングの方法
翌日、標準的方法によって、細胞をトリプシン処理して剥離し、DHFR選別培地(2%または5%透析ウシ胎児血清のいずれかを補充した、グリシン、ヒポキサンチンおよびチミジンを欠く、上記のHamのDMEM−F12が1:1の培地)を有する150mm組織培養更に移した。次いで、60mmの皿の各々からの細胞を、5/150mmの皿に再プレートした。次いで、クローンが出現し始め、96穴の皿に移すのに従える大きさに達するまで、37℃/15%CO2で10〜15日間(1回培地を交換して)細胞を培養した。4〜5日の期間にわたり、50mlに設定したピペットマンの滅菌黄色チップを用いて、細胞系を96穴の皿に移した。細胞を集密するまで(通常3〜5日)増殖させ、次いで、トレーをトリプシン処理し、初めのトレーの2コピーを複製した。これらのコピーのうちの二つを、各ウェルの細胞をDMSO中の10%FCS50μlに希釈して、フリーザー内に短期間貯蔵した。第三のトレーの密集ウェルからの5日目の無血清順化培地のサンプルを、TPO発現について、Ba/F細胞依拠活性アッセイによって検定した。このアッセイに基づく最高の発現クローンを、貯蔵物から復活させ、二つの集密150mmT型フラスコに規模拡大して、懸濁液に適応させるための細胞培養群に移し、再検定し、蓄積した。
d.増幅のプロトコル
続いて、上記の選別からの最高力価の細胞系のいくつかを、標準的メトトレキサート増幅方式に付して、より高い力価のクローンを生成した。CHO細胞クローンを拡大し、メトトレキサートの4様の濃度(すなわち50nM、100nM、200nMおよび400nM)で、2または3様の細胞数(1皿あたり105、5x105および106個の細胞)で10cmの皿にプレートした。次いで、これらの培養体を、クローンが確立され、その後のアッセイのために96穴皿に移すのに従えるようになるまで、37℃/5%CO2で培養する。この選別からのいくつかの高力価クローンを、より高濃度のメトトレキサート(すなわち600nM、800nM、1,000nMおよび1,200nM)に付し、前記と同様に耐性クローンを確立させ、次いで、96穴の皿に写し、検定した。
4.組換えヒトTPO332およびTPO153を発現する安定的CHO細胞系の培養
蓄積した細胞を解凍し、無血清または含血清培地のいずれかでの標準的細胞増殖法によって、細胞集団を拡大する。充分な細胞密度までの拡大の後、細胞を洗浄して、消費された細胞培養液を除去する。次いで、細胞を、25〜40℃、中性pH、溶解O2含量が少なくとも5%の、バッチ、供給バッチまたは連続培養を包含するいずれかの標準的方法によって培養して、構成的に分泌されたTPOを蓄積させる。次いで、遠心分離のような機械的手段によって、細胞培養液を細胞から分離する。
5.CHO培養液からの組換えヒトTPOの精製
回集した細胞培養液(HCCF)を、0.01M リン酸Na、pH7.4、0.15M NaCl中で平衡させたBLUEセファロース6FASTFLOWカラム(Pharmacia)に、樹脂1リットルあたりHCCF約100Lの比率で、約300ml/時/cm2の連続的流速で直接かける。次いで、平衡緩衝液3〜5カラム容、次いで3〜5カラム容の0.01M リン酸Na、pH7.4、2.0M 尿素で、カラムを洗浄する。次いで、3〜5カラム容の0.01M リン酸Na、pH7.4、2.0M 尿素、1.0M NaClで、TPOを溶出させる。次いで、TPOを含有するBLUEセファロースのプールを、0.01M リン酸Na、pH7.4、2.0M 尿素および1.0M NaClで平衡させたコムギ胚芽レクチンセファロース6MBカラム(Pharmacia)に、樹脂1mlあたりBLUEセファロースプール8〜16mlの比率で、約50ml/時/cm2の流速でかける。次いで、カラムを、2〜3カラム容の平衡緩衝液で洗浄する。次いで、2〜5カラム容の0.01M リン酸Na、pH7.4、2.0M 尿素、0.5M N−アセチル−D−グルコサミンで、TPOを溶出させる。
次いで、コムギ胚芽レクチンプールを、0.04%C128および(TFA)0.1%のトリフルオロ酢酸最終濃度に調整する。得られたプールを、0.1%TFA、0.04%C128で平衡させたC4逆相カラム(Vydac 214TP1022)に、樹脂1mlあたりタンパク質0.2〜0.5mgの容量、157ml/時/cm2の流速でかける。
0.1%TFA、0.04%C128を含有するアセトニトリルの二段階線形勾配中で、タンパク質を溶出させる。第一段階は、15分間の0〜30%のアセトニトリルの線形勾配からなり、第二段階は、60分間の30〜60%のアセトニトリルの線形勾配からなる。TPOは、約50%のアセトニトリルで溶出する。SDS−PAGEに基づいて、プールを作成する。
次いで、C4プールを、2容の0.01M リン酸Na、pH7.4、0.15M NaClで希釈し、10,000〜30,000ダルトンの分子量カットオフを有するAMICON YMまたは類似の限外濾過膜上で、約6容の0.01M リン酸Na、pH7.4、0.15M NaClに対してダイア濾過する。そうして、得られたダイア濾液は、直接処理するか、または限外濾過によってさらに濃縮してよい。ダイア濾液/濃縮液は、0.01%のTWEEN-80の最終濃度に調整する。
次いで、算出カラム容の2〜5%と等価のダイア濾液/濃縮液の全部または一部を、0.01M リン酸Na、pH7.4、0.15M NaCl、0.01%TWEEN-80で平衡させたSEPHACRYLS−300HRカラム(Pharmacia)にかけ、約17ml/時/cm2の流速でクロマトグラフィーに付す。凝集体およびタンパク質分解性分解生成物を含まないTPO含有分画を、SDS−PAGEに基づいてプールする。得られたプールを0.22μmフィルター、MILLEX−GVなどで濾過し、2〜8℃で貯蔵する。
実施例3:E. coli中での形質転換、およびTPOタンパク質合成の誘導
1.大腸菌TPO発現ベクターの構築
プラスミドpMP21、pMP151、pMP41、pMP57およびpMP202を、すべて、異なる構成体間で変動する小さなリーダーの下流で、TPOの初めの155アミノ酸を発現するように設計した。リーダーは、主として、高レベルの翻訳開始、および迅速な精製を与える。プラスミドpMP210−1、−T8、−21、−22、−24、−25は、開始メチオニンの下流で、TPOの初めの153アミノ酸を発現するように設計し、TPOの初めの6アミノ酸に対するコドン使用法のみが異なるにすぎないが、プラスミドpMP251は、pMP210−1の誘導体であって、TPOのカルボキシル末端が2アミノ酸だけ延長されている。上記のプラスミドはすべて、トリプトファンプロモーターで誘導すると、TPOの高レベルの細胞内発現をE. coliで生じることになる[Yansura, D.G. et al., Methods in Enzymology, 185: 54-60(Goeddel, D.V., Ed.)Academic Press, San Diego(1990)]。プラスミドpMP1およびpMP172は、上記のTPO細胞内発現プラスミドの構築の中間体である。
(a)プラスミドpMP1
プラスミドpMP1は、TPOの初めの155アミノ酸に対する分泌ベクターであり、DNAの5フラグメントをともに結合することによって構成した。その第一のものは、小さいMluI−BamHIフラグメントを除去した、ベクターpPho21であった。pPho21は、phGH1[Chang, C.N. et al., Gene 55: 189-196(1987)]の誘導体であって、ヒト成長ホルモン遺伝子が、E. coli phoA遺伝子と置き換えられ、MluI制限部位が、STIIシグナル配列のコーディング配列の第20〜21アミノ酸に組み込まれている。
次の二つのフラグメント、すなわちTPOの第19〜103アミノ酸をコードするpRK5−hmplからのDNAの258塩基対のHinfI−PstI片、および第1〜18アミノ酸をコードする下記の合成DNA:
Figure 0004562815
は、T4−DNAリガーゼで予め結合し、次いでPstIで切断した。第四は、TPOの第104〜155アミノ酸をコードするpRKshmpIIからのDNAの152塩基対のPstI−HaeIIIフラグメントであった。最後は、λを含むpdh108から前記の転写ターミネーター[Scholtissek, S. et al., NAR 15: 3185(1987)]までの412塩基対のStuI−BamHIフラグメントであった。
(b)プラスミドpMP21
プラスミドpMP21は、STIIシグナル配列の一部を含む13アミノ酸のリーダーを援用して、TPOの初めの155アミノ酸を発現するよう設計する。それは、三つの(3)DNAフラグメントをともに結合することによって構成したもので、その第一は、小さいXbaI−SphIフラグメントを除去した、ベクターpVEG31であった。ベクターpVEG31は、pHGH207-1[de Boer, H.A. et al., in Promoter Structure and Function(Rodriguez, R.L. & Chamberlain, M.J., Ed.), 462, Praeger, New York(1982)]の誘導体であって、ヒト成長ホルモン遺伝子を血管内皮成長因子の遺伝子と置き換えてある(この同一のベクターフラグメントは、この後者のプラスミドから得ることができる)。
結合の第二の部分は、下記の配列:
Figure 0004562815
を有する合成DNA二重らせん体であった。
最後の1片は、TPOの155アミノ酸をコードするpMP1からの1,072塩基対のMluI−SphIフラグメントであった。
(c)プラスミドpMP151
プラスミドpMP151は、STIIシグナル配列の7アミノ酸、8ヒスチジン、および因子Xa切断部位を含むリーダーの下流で、TPOの初めの155アミノ酸を発現するように設計する。pMP151は、三つのDNAをともに結合することによって構成したが、その第一は、小さいXbaI−SphIフラグメントを除去した、前記のベクターpVEG31であった。第二は、下記の配列:
Figure 0004562815
を有する合成DNA二重らせん体であった。
最後は、TPOの154アミノ酸をコードするpMP11からの1,064塩基対のBgLI−SphIフラグメントであった。プラスミドpMP11は、STIIシグナル配列の少数のコドンの変化以外はpMP1と同一である(このフラグメントは、pMP1から得られる)。
(d)プラスミドpMP202
プラスミドpMP202は、リーダー中の因子Xa切断部位がトロンビン切断部位に置き換わっていることを除けば、発現ベクターpMP151に非常に似ている。図36に示したとおり、pMP202は、三つのDNAフラグメントをまとめて結合することによって構成した。その第一は、小さいXbaI−SphIフラグメントを除去した、前記のベクターpVEG31であった。第二は、下記の配列:
Figure 0004562815
を有する合成DNA二重らせん体であった。
最後の1片は、前記のプラスミドpMP11からの1,064塩基対のBglI−SphIフラグメントであった。
(e)プラスミドpMP172
プラスミドpMP172は、TPOの初めの153アミノ酸に対する分泌ベクターであり、pMP210を構成するための中間体である。pMP172は、三つのDNAをまとめて結合することによって調製したが、その第一は、小さいEcoRI−HindIセクションを除去した、ベクターpLS321amBであった。第二は、前記のプラスミドpMP11からの946塩基対のEcoRI−HgaIフラグメントであった。最後の1片は、下記の配列:
Figure 0004562815
を有する合成DNA二重らせん体であった。
(f)プラスミドpMP210
プラスミドpMP210は、翻訳開始メチオニンの後のTPOの初めの153アミノ酸を発現するように設計した。このプラスミドは、実際には、TPOの初めの6コドンが各コドンの第3位でランダム化された、プラスミドのバンクとして作成し、三つのDNAフラグメントの結合によって構成した。その第一は、小さいXbaI−SphIフラグメントを除去した、前記のベクターpVEG31であった。第二は、初めにDNAポリメラーゼ(クレノウ)で処理し、次いで、XbaIおよびHinIで消化した、下記に示す配列:
Figure 0004562815
を有する合成DNA二重らせん体であり、TPOの開始メチオニン、およびランダム化された初めの6コドンをコードしていた。
第三は、TPOの第19〜153アミノ酸をコードするpMP172からの890塩基対のHinfI−SphIフラグメントであった。
約3,700クローンからなるプラスミドpMP210のバンクを、高テトラサイクリン(50μg/ml)LBプレート上に再び形質転換して、高翻訳開始クローンを選別した[Yansura, D.G. et al., Methods: A Companion to Methods in Enzymology 4: 151-158(1992)]。高テトラサイクリンプレートに現出した8コロニーのうち、TPO発現に関して最良の5コロニーを、DNA配列決定に付した。
(g)プラスミドpMP41
プラスミドpMP41は、因子Xa切断部位が後続するSTIIシグナル配列の7アミノ酸からなるリーダーに融合させた、TPOの初めの155アミノ酸を発現するよう設計した。このプラスミドは、DNAの3片をともに結合することによって構成したが、その第一は、小さいXbaI−Sph1フラグメントを除去した、前記のベクターpVEG31であった。第二は、下記:
Figure 0004562815
の合成DNA二重らせん体であった。
結合の最後の1片は、前記のプラスミドpMP11からの1,064塩基対のBglI−SphIフラグメントであった。
(h)プラスミドpMP57
プラスミドpMP57は、StlIシグナル配列の9アミノ酸と、二塩基部位Lys−Argとからなるリーダーの下流で、TPOの初めの155アミノ酸を発現する。この二塩基部位は、リーダーをプロテアーゼArgCで除去する手段を与える。このプラスミドは、三つのDNA片をともに結合することによって構成した。その第一は、小さいXbaI−SphIフラグメントを除去した、前記のベクターpVEG31であった。第二は、下記:
Figure 0004562815
の合成DNA二重らせん体であった。
結合の最後の部分は、前記のプラスミドpMP11からの1,064塩基対のBgiI−SphIフラグメントであった。
(i)プラスミドpMP251
プラスミドpMP251は、pMP210−1の誘導体であって、TPOの追加の2アミノ酸が、カルボキシル末端に含まれている。このプラスミドは、DNAの2片をともに結合することによって構成したが、その第一は、小さいXbaI−ApaIフラグメントを除去した、前記のpMP21であった。結合の第二の部分は、pMP210−1からの316塩基対のXbaI−ApaIフラグメントであった。
2.TPO発現ベクターによる大腸菌の形質転換および誘導
上記のTPO発現プラスミドを用いて、E. coli44C6株(w3110 tonA Δ rpoHts lonΔ cipΔ galE)を、CaCl2熱ショック法[Mandel, M. et al., J. Mol. Biol., 53: 159-162(1970)]を用いて形質転換した。形質転換した細胞を、50pg/mlのカルベニシリンを含有するLB培地で、培養体の光学密度(600nm)が約2〜3に達するまで、初めに37℃で増殖させた。次いで、LB培養体を、0.49%(w/v)カザアミノ酸、および50pg/mlのカルベニシリンを含有するM9培地中で20倍に希釈した。30℃で1時間の通気による増殖後に、インドール−3−アクリル酸を50llg/mlの最終濃度まで加えた。次いで、培養体を、30℃で更に15時間の通気によって増殖させ続け、その時点で、遠心分離によって細胞を採集した。
実施例4:大腸菌での生物学的活性TPO(Met-11−153)の生産
生物学的に活性である、再び折りたたまれたTPO(Met-11−153)の生産のための下記の手順は、NおよびC末端延長形態を包含する、他のTPO変異体の回収についても、同様にして適用することができる。
1.不溶性TPO(Met-11−153)の回収
プラスミドpMP210−1によってコードされる、TPO(Met-11−153)を発現するE. coli細胞を、上記のとおり発酵させた。代表的には、約100gの細胞を、細胞破壊緩衝液(10mM トリス、5mMEDTA、pH8)1(10容)にPolytronホモジナイザーで再懸濁させ、細胞を5,000xgで30分間遠心分離した。洗浄した細胞ペレットを、再び、細胞破壊緩衝液1LにPolytronホモジナイザーで再懸濁させ、細胞懸濁液を、LH CELL DISRUPTER(LH Inceltech, Inc.)またはMICROFLUIDIZER(Microfluidics International)に、製造者の教示に従って通す。懸濁液を5,000xgで30分間遠心分離し、再懸濁させ、2回目の遠心分離を施して、洗浄した屈折性実体のペレットとした。洗浄したペレットは、直ちに用いるか、または−70℃で凍結貯蔵した。
2.単量体TPO(Met-11−153)の可溶化および精製
TPOタンパク質の可溶化。高濃度の尿素(6〜8M)も役立つが、一般的には、グアニジンに比して、より低い収率を招く。可溶化の後、溶液を30,000xgで30分間遠心分離して、変性した単量体TPOタンパク質を含有する清澄な上清を生成した。次いで、上清を、SUPERDEX200ゲル濾過カラム(Pharmacia、2.6x60cm)でのクロマトグラフィーに2ml/分の流速でかけ、160および200ml間で溶出する単量体の変性TPOタンパク質を含有する、10mMDTT画分とともに、20mM リン酸Na、pH6.0で溶出するタンパク質をプールした。TPOタンパク質を、半調製的C4逆相カラム(2×20cmVYDAC)でさらに精製した。サンプルを、30%アセトニトリルを有する0.1%TFA(トリフルオロ酢酸)平衡させたカラムに、5ml/分でかけた。アセトニトリルの線形勾配(60分で30〜60%)で、タンパク質を溶出させた。変形した、精製タンパク質を、約50%アセトニトリルで溶出した。この材料を再折りたたみに用いて、生物学的活性TPO変異体を得た。
3.生物学的活性TPO(Met-11−153)の生成
0.1%TFA/50%アセトニトリル40ml中の変形し、変性した単量体のTPOタンパク質約20gを、場合により下記の試薬を含有する再生緩衝液360mlに希釈した:
50mM トリス、
0.3M NaCl、
5mM EDTA、
2%CHAPS界面活性剤、
25%グリセリン、
5mMの酸化したグルタチオン、
1mMの還元したグルタチオン、
pH8.3に調整。
混合した後、再折りたたみ緩衝液を、4℃で12〜48時間静かに攪拌して、適正なジスルフィド形態のTPO(下記を参照されたい)の最高再折りたたみ収率を発揮させる。次いで、溶液をTFAで酸性化して、0.2%の最終濃度とし、0.45または0.22μmフィルターを通じて濾過し、110容のアセトニトリルを加えた。次いで、この溶液を、C4逆相カラムに直接圧送かつ精製し、再折りたたまれたTPO(Met-11−153)を、上記と同じ勾配プログラムで溶出させた。これらの条件下で、再折りたたまれた生物学的活性TPOは、約45%のアセトニトリルに溶出された。TPOの不適正なジスルフィド結合バージョンは、より早期に溶出される。最終的な精製TPO(Met-11−153)は、SDSゲル、および分析的C4逆相クロマトグラフィーによって査定した限りで、95%を上回る純度である。動物実験のためには、C4精製材料を、生理学的に適合する緩衝液へと透析した。150mMNaCl、および0.01%TWEEN-80を含有する等張緩衝液(10mM リン酸Na、pH5.5、10mM コハク酸Na、pH5.5、または10mM リン酸Na、pH7.4)を用いた。
Ba/F3アッセイでのTPOの高い効力(半値最大刺激は、約3pg/mlで達成される)のため、生物学的活性材料は、異なる多くの緩衝液、界面活性剤および酸化還元条件を用いて得ることができる。しかし、ほとんどの条件下で、適正に折りたたまれた少量(<10%)の材料のみが得られるにすぎない。商業的な製造法のためには、少なくとも10%、より好ましくは30〜50%、最も好ましくは>50%の折りたたみ収率を有するのが望ましい。異なる多くの界面活性剤(トリトンX−100、ドデシル−β−マルトシド、CHAPS、CHAPSO、SDS、SARKOSYL、TWEEN 20やTWEEN-80、ZWITTERGNT 3〜14など)を、高い再生収率を裏付ける効率について査定した。これらの界面活性剤のうち、CHAPS族(CHAPSおよびCHAPSO)のみが、タンパク質凝集および不適正ジスルフィド形成に限定する再折りたたみ反応に役立つことが判明したにすぎない。1%を越えるレベルのCHAPSが、最も有用であった。最良の収率には、0.1〜0.5Mの最適レベルとともに、塩化ナトリウムが必要とされた。EDTA(1〜5mM)の存在は、いくつかの調製品で観察された金属で触媒される酸化(および凝集)の量を限定する。15%を越えるグリセリン濃度は、最適の再折りたたみ条件を生じる。最高収率のためには、酸化および還元グルタチオン、または酸化および還元システインの双方を、酸化還元試薬対として有することが不可欠である。一般に、酸化された試薬のモル比が、酸化還元対の還元された試薬である成員に等しいか、またはそれより過剰であるときに、より高い収率が観察され、7.5と約9の間のpH値が、これらのTPO変異体の再折りたたみに最適であった。有機溶媒(例えばエタノール、アセトニトリル、メタノール)は、10〜15%またはそれ以下の濃度で許容された。より高レベルの有機溶媒は、不適正に折りたたまれた形態の量を増加させた。トリスおよびリン酸緩衝液は、一般的には、有用であった。4℃での温置も、より高レベルの適正に折りたたまれたTPOを生じた。
最初のC4段階を通じて精製したTPOの調製品については、40〜60%の再折りたたみ収率(再折りたたみ反応に用いられた変形し、変性したTPOの量に対して)が代表的である。活性材料は、より純粋でない調製品(例えば、Superdex 200カラムの直後、または最初の屈折体の抽出後のそれ)のときに得ることができたが、大規模の沈澱と、TPO再折りたたみ工程の際の非TPOタンパク質の干渉とのため、収率は比較的少ない。
TPO(Met-11−153)は、4個のシステイン残基を有するため、このタンパク質の異なる3種類のジスルフィドバージョン:
バージョン1:第1と4および第2と3システイン残基間のジスルフィド
バージョン2:第1と2および第3と4システイン残基間のジスルフィド
バージョン3:第1と3および第2と4システイン残基間のジスルフィド
を生成することが可能である。再折りたたみ条件を決定する最初の探索の際に、TPOタンパク質を含有する異なるいくつかのピークが、C4逆相クロマトグラフィーによって分離された。これらのピークの一つだけが、Ba/F3アッセイを用いて決定した限りで、有意な生物学的活性を有した。次いで、このバージョンを優先的に生じるよう、再折りたたみ条件を最適化した。これらの条件下で、誤って折りたたまれたバージョンは、得られた全単量体TPOの10〜20%未満である。
生物学的活性TPOに関するジスルフィドパターンは、質量分析法およびタンパク質配列決定によって1と4および2と3であると決定されている(すなわちバージョン1)。C4で分離した様々なピークのアリコート(5〜10ナノモル)を、トリプシンで消化した(1:25モル比のトリプシン対タンパク質)。消化混合物を、DTTによる還元の前後で、マトリックス支援レーザー脱離質量分析法によって分析した。還元後は、TPOの、より大きいトリプシンペプチドの大部分に相当する質量が検出された。未還元サンプルでは、これらの質量のいくらかが存在せず、新たな質量が観察された。新たなピークの質量は、基本的には、ジスルフィド対に関与する個々のトリプシンペプチドの合計に相当した。したがって、再折りたたまれた、組換えによる生物学的活性TPOのジスルフィドパターンは、疑いもなく、1と4および2と3によるとすることが可能になった。これは、関連分子であるエリスロポエチンの公知のジスルフィドパターンと一致する。
D.組換えによる再生TPO(Met1−153)の生物学的活性
再折りたたまれ、精製されたTPO(Met-11−153)は、in vitroとin vivoとの双方のアッセイで活性を有する。Ba/F3アッセイでは、Ba/F3細胞へのチミジン取込みの半値最大刺激は、3.3pg/ml(0.3pM)で達成された。mpl受容体に基づくELISAでは、半値最高活性は、1.9ng/ml(120pM)で生じた。正常な動物、および近致死X線によって生起した骨髄抑制動物では、TPO(Met-11−153)は、新たな血小板の産生を刺激するのに非常に有効であった(活性は、30ng/マウスという低い用量で認められた)。
実施例5:骨髄抑制(カルボプラチン/照射)マウスのデータ
動物
調べたすべての動物は、Genentech Inc.の研究用飼育および使用委員会によって承認された。実験開始の前に、すべての動物を、同定のために耳に標識し、基本的水準の全血球数(CBC)を得た。メスC57BL/6系マウス10匹の群に、137Cs線源からの5.0Gyのガンマ線を照射した。6時間以内に、動物にカルボプラチン1.2mgを200μlの腹腔内注射として与えた。
下記は、標準的マウスモデルに組換えマウストロンボポエチン(mTPO)を用いた、プロトコルおよび結果である。当業者は、このモデルがヒトにおける処置と相関することを理解すると思われる。ヒトトロンボポエチンは、同じマウスモデルで試験されており、種特異性のために、より低いレベルでではあるが、適切な活性を示すことが見出された。したがって、適切な効果を立証できるよう、この種に対する適正な相手であるマウスTPOを用いて、下記のプロトコルを選んだ。やはり、マウスのプロトコルでのヒトTPOの使用は、程度のみが異なるにすぎない、類似の結果を与えるものと思われる。
血液サンプルの調達
実験の前、および研究期間中の時点で、眼窩から40μlの血液を採取し、直ちに希釈剤10mlに希釈して、血液凝固を防止した。各血液サンプルからの全血球数(CBC)を、SERRANO Baker System 9018血液分析装置で捕集の60分以内に測定した。各用量群の動物の半数のみを、与えられた日に採血し、こうして、各動物は、交互の時点で採血した。
処置方式
実験1:血小板減少症にさせた動物における組換えマウストロンボポエチン(mTPO335aa)に対する応答を決定するために、0.1μg/日(ほぼ5μg/kg/日)で連続1、2、4または8日間、動物群を処置した。mTPO(335aa)による処置は、モデルの開始24時間後に開始し、毎日100μlの皮下注射として与えた。
実験2:このモデルでのrmTPO(335)に関する用量応答関係の性質を決定するために、モデルの開始24時間後に、rmTPO(335)の1回注射を動物に与えた。1回の100μl皮下注射として、rmTPO(335)0.01、0.03、0.1または0.3μgの一つを動物群に与えた。二つの投与経路を比較するために、同時実験は、同一用量のrmTPO(335)を、しかし静脈内の経路(側尾静脈)を介して与えた4動物群を用いた。
実験3:この一連の実験は、ポリエチレングリコール(PEG)と結合した、PEG化した様々な断端rmTPO分子(rmTPO(153))の薬効を比較するために実施した。
i.この実験では、血小板減少症の動物に、下記のPEG化rmTPO(153)分子:PEGなし、1回の20K PEG、または1回の40K PEGを注射した(0.1μg皮下)。
ii.最後の実験では、血小板減少症にさせた動物に、0.1μgを皮下または静脈内のいずれかで与えることによって、1回の40K PEGrmTPO(153)分子の投与の効果を比較した。rmTPO(335)(0.1μg)を陽性対照として用いた。
結果
致死下の照射とカルボプラチンとの併用は、一貫した血小板減少症を100%の動物に与える、再現可能な応答を招いた。血小板減少症の最下点は、10日目に発生し、21〜28日目までに、血小板数は次第に回復した。この血小板減少症に伴って、顕著な貧血が、やや遅れて14〜17日目に、また28日目までには対照赤血球数への回復が存在した。白血球数も、実験の経過の際に減少した。
実験1:モデルの開始24時間後に与えた0.1μgのrmTPO(335)の1回の用量は、このマウスのモデルでの血小板数の回復を加速した。rmTPO(335)のこの1回の投与は、10日目の196x103±33x103/μlから7日目の434x103±7x103/μlまで、応答の最下点を上昇させた。血小板数の減少の初めの速度は、不変のままであったが、回復期は、はるかに急速であって、血小板数は、14日目までに正常に復帰して、対照群での21日に対比される。回復速度のそれ以上の何らかの向上は、1日目および2日目に0.1μg/日を与えることによって認められたが、これは、下限に近かった。連続する4または8日間のrmTPO(335)の投与によっては、それ以上の向上は、全く認められなかった(図1a)。血小板数の回復の加速に加え、これらの動物に発症した貧血も、1日目に与えた1回の用量のrmTPO(335)によって緩和された。血小板数と同様に、rmTPO(335)の2回以上の投与によっては、それ以上の進歩を得ることはできなかった(図1b)。rmTPO(335)は、血小板および赤血球数の低下を伴う白血球減少症に対しては、全く効果がなかった(図1c)。
実験2:モデル開始の24時間後に与えたrmTPO(335)の1回の皮下用量に対する応答は、用量依存性であった。試験した最低用量(0.01μg)は、対照に比して、血小板回復に対する効果が皆無であった。しかし、0.03μgを与えたとき、応答はほとんど最大である(図2a)。この極端に急勾配の用量応答曲線は、14日目の血小板数を対数−直線プロットでプロットしたとき、より充分に認識される(図3a)。類似の急勾配の用量応答は、このモデルでの赤血球集団についても認められる(図3b)。rmTPO(335)の静脈内投与は、類似の用量依存性応答を示した。しかし、試験した最低用量(0.01μg)は、静脈内に与えたときに効果的であり(図4a)、用量応答曲線が、左方に移動することを示唆した。効力のこの増大は、移動が強さの程度の半分未満であることから、小さい(図3a)。より重要であるのは、両投与経路とも、匹敵する最大値を有することである(図3a)。皮下および静脈内の投与経路も、貧血からの回復を用量依存性の様式で促進した(図2a、3b、4b)。しかし、皮下および静脈内のいずれの投与経路も、試験した用量範囲にわたっては、白血球減少症に対して効果がなかった(図2c、4c)。
実験3:
A.1回の20KのPEG、または1回の40KのPEGのいずれかによる、rmTPO(153)のPEG化は、血小板回復に対して非PEG化分子より多大な効果を有した。完全長の分子とは異なり、いずれのPEG化rmTPO(153)も、血小板減少症の最下点を左右したが、モデルの開始24時間後に、1回の0.1μg皮下用量として与えたとき、モデルの回復期を大きく加速した(図5a)。これは、14日目には非常に明らかであって、このとき、血小板数は、対照、PEGなしのrmTPO(153)、rmTPO(153)+20K PEG、rmTPO(153)+40K PEGについて、それぞれ、80x103±15x103/μl、268x103±67x103/μl、697x103±297x103/μl、および878x103±31x103/μlである(図5a)。同じ様相は、赤血球の応答でも明らかであった(図5b)。これらのrmTPO(153)に基づく分子のいずれも、このモデルでの白血球減少症に対しては、いかなる効果もなかった(図5c)。
B.rmTPO(153)+40K PEG(0.1μg)は、1回の静脈内または皮下注射のいずれかとして投与したとき、一致する応答を示した。この実験では、皮下の経路は、10日目に最下点を僅かに上昇させ、14日目までには血小板を対照レベルまで復帰させて、対照群での28日目と対比される(図6a)。この薬物を静脈内に与えられた動物では、回復の最下点および率に対して類似の効果があった(図7a)この40K PEG化した断端rmTPO(153)分子に対する応答は、皮下(図6b)または静脈内(図7b)のいずれかで与えたとき、血小板と赤血球との回復の双方でのrmTPO(335)に対する応答とほとんど同一である。他の実験のすべてと同じく、皮下または静脈内で与えたrmTPO(153)+40KPEGは、白血球の循環レベルに対しては効果がなかった(図6c、7c)。平行する実験では、この分子の10K PEG化バージョンは、血小板または赤血球の集団のいずれでも、rmTPO(153)に対する応答を変えなかった。
実施例6
下記は、細胞毒性である化学療法を受けているヒトの患者での、組換えヒトトロンボポエチン(rhTPO332)による1回用量療法を用いたプロトコルおよび結果である:
集中的な化学療法の予備臨床モデルは、rhTPOの1回用量は、血小板の最下点を上昇させ、重篤な血小板減少症の期間を短縮することを立証した。化学療法を受けている癌患者に、rhTPOの1回用量を投与する、二つの第I相研究の暫定的な結果を提示する。
患者および方法
両研究とも、21日目、すなわち、0.3、0.6または1.2meg/kgの1回静脈内丸塊注射後の、rhTPOの安全性、および血小板応答を査定するための前化学療法期間(周期0)で開始した(各研究で1群あたり3患者)。そうして、患者には、選んだその後の周期での化学療法後に、同じ用量のrhTPOを与えた。第一の研究集団は、進行した悪性の患者からなり、二つの連続する化学療法周期のそれぞれで、チオテパによるサルベージ化学療法(28日ごとに65mg/m2)の翌日にrhTPOを投与した。第二の研究は、AI化学療法(ドキソルビシン90mg/m2、21日ごとに10g/m2)での誘導処置を受ける、化学療法未経験の肉腫患者を包含した。周期0に続いて、この研究の患者は、最初の化学療法周期の間追跡し、第二以後の周期の間の化学療法の完了の翌日(5日目)に1回rhTPO注射を与えた。
結果:
現在まで14患者を治療している。rhTPOは、充分に許容されて、研究薬物に帰せられる重大な有害事象の報告は、皆無である。rhTPOに対する抗体は、観察されていない。周期0では、最低(0.3mcg/kg)の用量が毎週活性であり、下記に示すとおり、より高用量では活性が上昇する。
Figure 0004562815
周期0の間の最多血小板数は、中央値で11日目に出現した(範囲:7〜14)。WBCまたはHCTでは、有意な変化は全く見出されなかった。骨髄のFACS分析は、0.6mcg/kg後の患者2/2ですべてのCD34+のサブセットの増加を示した。これらの患者では、末梢血CD34+の増加も認められ、TPOは、幹細胞動員活性を有する可能性があることを示唆する。用量算出および化学療法後処置は、進行中である。
これらの第I期の研究は、相俟って、rhTPOの1回用量投与は、安全であり、かつ充分に許容されることを示唆する。0.3、0.6および1.2mcg/kgの用量レベルは、上昇する血小板新生活性を示す。より高い用量レベルでの患者の進行中の処置は、rhTPOの1回用量が、集中的な化学療法後の血小板減少症を軽減する薬効があるとの仮説を試験するものと思われる。
実施例7A:アドリアマイシンおよびイホスファミドを投与されている肉腫の被験者における、組換えヒトトロンボポエチン(rhTPO)の安全性、許容性、薬物動態および薬力学を決定する第I相研究
処置計画
これは、安全性を主な到達点とする、rhTPOの1回および複数回静脈内用量の、単一センター、公開ラベル、用量エスカレーション方式の研究であった。組織学的に診断された肉腫の患者に、rhTPOを投与して、その投与が、ドキソルビシンおよびイホスファミドの公知の血小板減少効果を防止し、遅延させ、軽減し、またはその持続期間を短縮するのに役立つか否かを決定した。
現在まで、71名の患者が、G−CSFおよびGM−CSFとの併用での様々なrhTPO投与スケジュールの安全性および活性を対象とする、この研究に登録されている。研究は、癌の患者における安全性、活性および薬物動態を査定する、21日間の前化学療法周期(周期0)で開始された。データは、0.3〜3.6mg/kgにわたるrhTPOの1回および複数回静脈内用量に応答する、末梢血の血小板数、および骨髄巨核球の用量依存性増加を示し、こうして、rhTPOのすべてを化学療法の完了後に投与するrhTPO投与方式は、安全であったが、控えめな活性を示すにすぎなかった。正常の血小板数の一患者は、併発症のない、強度の静脈血栓症を足に発症したが、保存療法で消散し、中和抗体は観察されていない。被験者は、転移性であるか、または切除できない肉腫があった。
化学療法以前の1回用量のrhTPOは、他の用量分枝または病歴対照の患者に比して、血小板最下点の深さおよび持続期間の面での利得を受けていて、この効果は、計画された化学療法の6周期を通して示されている(病歴対照の患者(n=18)のうち、6周期をすべてうけたのは皆無であり、2名のみ5周期を受けたにすぎないことに留意されたい)。前化学療法用量は、充分に許容されている。化学療法を通じての用量投与が安全であり、より効果的であり得るため、このrhTPO用量投与方式を、プロトコルに組み込んでいる。
用量レベル
この研究では、rhTPOの5種類の用量レベル、および6種類の方式(分枝A〜F)を評価した。用量レベル、および1用量レベルあたりの被験者数を下表に示す。
Figure 0004562815
予備臨床研究での1回または複数回の用量投与後の、血小板数におけるピーク上昇は、用量投与開始後数日以内に観察されている。したがって、ピーク血小板応答は、この研究での用量投与開始後7〜14日以内に予測されると思われる。現在の臨床的経験は、これらの所見を裏付ける。
研究の設計
被験者を、上表に記載の用量群の一つに割り振った。分枝A〜Fについての研究概要を下記に示す。周期1(第0、1、2および3)および追加の周期に、すべての被験者にドキソルビシンおよびオホスファミドを投与した。
この研究のためのrhTPO用量投与方式は、下記のとおりである:
分枝A
周期0:0日目にrhTPO
周期1::rhTPOなし
周期2+:4日目にrhTPO
分枝B
周期0:0および3日目にrhTPO
周期1::rhTPOなし
周期2+:4および7日目にrhTPO
分枝C
周期1:rhTPOなし
周期2+:4〜10日目に、または最下点後の血小板数が3100,000/μlになるまで、毎日rhTPO
分枝D
周期1:rhTPOなし
周期2+:−1、4および7日目にrhTPO
分枝E
周期1:rhTPOなし
周期2+:分枝Dの方式のとおりだが、G−CSFをGM−CSFに置き換えてrhTPO
周期0:研究のこの時期は、1回および複数回の用量投与の安全性、薬物動態および薬力学を評価する。分枝Aの被験者に、rhTPOの1回静脈内注射を与えた(0日目)。分枝Bの被験者には、0および3日目にrhTPOの静脈内注射を与えた。
周期1:被験者に、ドキソルビシンおよびイホスファミドを与えた。周期1の間に投与されるrhTPOは、皆無であった。これは、rhTPOによるその後の周期との、各被験者の応答の比較のための対照周期を与える。この対照周期は、また、rhTPO用量投与の不在下での化学療法に関連する有害事象を明らかにする。
周期2+:被験者には、ドキソルビシンおよびイホスファミドを投与した。分枝Aの被験者には、rhTPOの1回静脈内注射を与えた(4日目)。分枝Bの被験者には、4および7日目にrhTPOの静脈内注射を与えた。分枝Cの被験者には、4〜10日目に、または最下点後の血小板数が100,000/μl以上になるまで、7日以内の間、毎日rhTPOの静脈内注射を与えた。分枝Dの被験者には、−1日目(化学療法の1日前)および4および7日目に、rhTPOの静脈内注射を与えた。
被験者の危険性を最小化しつつ、ヒトにおけるGM−CSFとのrhTPOのあり得る相乗作用関係を調べるために、分枝EではG−CSFをGM−CSFに置き換えた。GM−CSFは、周期1および2、ならびに有益であると判明した場合にその後の周期で投与した。分枝Eの被験者には、分枝Dの方式に従ってrhTPOを投与した。
Figure 0004562815
ドキソルビシン
ドキソルビシンは、商業的供給源から入手し、製造者の指針に従って貯蔵かつ投与した。ドキソルビシン(90mg/m2の総量)は、各化学療法周期の初めの3日間、連続輸注として与えた(3日間(0〜2日目)に毎日30mg/m2)。
イホスファミド
イホスファミドは、商業的供給源から入手し、製造者の指針に従って貯蔵かつ投与した。イホスファミド(10g/m2の総量)は、各化学療法周期の初めの4日間、毎日4回の個別輸注として与えた(4日間(0〜3日目)に毎日3時間にわたり2.5g/m2)。
メスナ
メスナは、商業的供給源から入手し、製造者の指針に従って貯蔵かつ投与した。メスナ(500mg/m2、またはイホスファミドの用量の20%)は、各化学療法周期の0日目にイホスファミドの初期用量で3時間にわたり静脈内投与した。メスナの投与は、各化学療法周期の最後のイホスファミド投与の24時間後まで(0〜4日目)、連続静脈内輸注として維持した(6g/m2の総量のために1,500mg/m2/日)。
G−CSF
G−CSFは、商業的供給源から入手し、製造者の指針に従って貯蔵かつ投与した。G−CSF(5μg/kg)は、周期1の4日目から始めて、その後のいかなる化学療法周期にも毎日投与した。被験者には、G−CSFを自己投与するよう教えた。G−CSFの注射はすべて、午後8時までに投与しなければならなかった。rhTPO投与と同じ日の注射は、rhTPO投与後12時間までに与えて、注射に関連するいかなる現象も明確にするのに役立てなければならなかった。G−CSF投与は、絶対好中球計算値が、後最下点で、少なくとも2回の連続する測定で1,500/μlを上回るまで、日次ベースで継続した。
GM−CSF
GM−CSFは、商業的供給源から入手し、製造者の指針に従って貯蔵かつ投与した。GM−CSF(250mg/m2)は、周期1の4日目から始めて、その後のいかなる化学療法周期にも毎日皮下投与した。被験者には、GM−CSFを自己投与するよう教えた。GM−CSFの注射はすべて、午後8時までに投与しなければならなかった。rhTPO投与と同じ日の注射は、rhTPO投与後12時間までに与えて、注射に関連するいかなる現象も明確にするのに役立てなければならなかった。GM−CSF投与は、後最下点の絶対好中球計算値が、少なくとも2回の連続する測定について1,500/μlを上回るまで、日次ベースで継続した。
この研究の結果を、図14〜19に示す。
実施例7B:カルボプラチンを受けている、進行した婦人科の悪性の患者への皮下注射を経由して投与された組換えヒトトロンボポエチン(rhTPO)の第I相試験
この研究は、皮下に注されたrhTPOの安全性と、隔日の時間割でのrhTPOの用量投与の活性とを対象とした。研究は、癌の患者での安全性、活性および薬力学を査定するために、化学療法周期(周期0)前の21日で開始した。現時点では、16名の被験者がこの試験に登録されていた。データは、周期0での末梢血血小板数の用量依存性の増加を示すが、血小板の応答および薬物動態は、静脈内rhTPOの類似の用量と比較したとき、鈍化される。これまで、断端形態のrhTPO(エリスロポエチン様ドメイン)に対する2抗体が、観察された;一方は予め形成され、いずれもバイオアッセイでも、または臨床的にも中和性ではなかった。被験者は、再発性のか、または進行した婦人科新生物を有し、カルボプラチンを投与されていた。
Figure 0004562815
実施例8
動物:CD−1系メスマウス76匹、体重=19.7〜26.3g
エーロゾル接触:
マウスを経鼻のみの吸入(CH Technologies)でrhTPOに接触させ、同時に、呼吸パターンを合計60分の持続時間測定した(全身プレチスモグラフ)。PARI−IS2ネビュライザーを用いて、22psi(約1.56kg/cm2)および5.1LPMの流速でrhTPOをエーロゾル化した。フィルターサンプルを採取して、接触のそれぞれについてエーロゾル濃度を推計した。伝達体の対照群と、異なる3種類の濃度(0.05、0.5および5.0mg/mlのrhTPO)を噴霧化した。投与群を、各群についてのマウス肺に蓄積した、kgあたりの推計量として表した。動物の半数は、1回だけ接触させた(1回接触)が、他の半数は、0、2および6日目の3回、rhTPOに接触させた。抗rhTPO抗体を、最高用量群でのみ測定したにすぎないが、これらの抗体は、中和性でなかった。投与群を下表に示す。
投与群:
Figure 0004562815
データの終点:
血液学(血小板数)と血清抗TPO抗体の測定とのために、血清および血液を、エーロゾル吸入後の−4、3、6、8、10、14、21、30および43日目に採集した。
蓄積されたrhTPOの肺での用量:
蓄積用量(μg/kg)=室濃度(μg/ml)×分体積(ml/分)×接触時間(分)×蓄積画分/体重(kg)
ここで、室濃度=0.000839、0.00839または0.0839μg/ml
分体積=30ml/分
暴露時間=60分
蓄積画分=0.1
体重=0.023kg
蓄積用量=6.4、64または640μg/kg(0.05、0.5または5mg/mlの溶液に対して)となる。rhTPOの1回吸入(用量)に接触したマウスの血小板数を、図20に示す。rhTPOの複数回吸入(用量)に接触したマウスの血小板数を、図21に示す。
実施例9
動物:ほぼ12週齢のメス(C57BLxCBA)F1(BCBA)系マウスをErasmus Universityの実験動物施設、Rotterdam、オランダ国で繁殖させ、SPF条件下に保った。飼育箱、実験その他すべての条件は、オランダ国での法的規制に従って、倫理委員会によって承認された。
実験の設定:TBIは、相対する二つの137Cs線源(Gammacel/L 40, Atomic Energy of Canada, Ottawa、カナダ国)を用い、0.92〜0.94Gy/分の線量率で、1日目に与えた。用いた線量は、1回線量照射については6Gyであり、9Gyの総線量を、24時間の間隔で与えた3Gyの3線量に分割した。各データ点について、3匹のマウスからなる群をと殺した。個々のマウスについて、すべてのパラメータを採集した。
試験薬物:CHO細胞(Genentech Inc., South San Francisco, CA)が産生した組換え完全長マウスTPOを、すべての実験を通して用い、PBS/0.01%TWEEN 20に希釈し、0.5mlの容量で腹腔内投与した。
TPOレベル:特性記述血漿TPOの薬物動態についてのデータは、前記のとおり、Genentech, Inc.で作成した。略述すると、マウスに、125I−rmTPOを、0.9μg/マウス(約45μg/kg)の1回用量、または24時間を隔てた0.3μg/マウス(約15μg/kg)の3回用量のいずれかとともに注射した。用量投与の直後、およびその後間隔を置いて、クエン酸化血を捕集し(1時点あたりn=3マウス)、2,950xgで10分間遠心分離し、血漿を採集し、TCA沈降性放射能を決定した。薬物動態のパラメータは、TCA沈降性cpm/mlを換算し、非線形最小平方回帰分析を用いて、一次吸収による二区画モデルに時間データ対濃度を当てはめた(WIN−NONLIN;Statistical Consultants, Lexington, KY)の値に、推計した。濃度時間曲線下の部域(AUC)、最高濃度(Cmax)、末端半減期(tl/2)およびクリアランス(mL/時/kg)を、モデルに当てはめから得られた係数および指数を用いて算出した。
血液学的検査:エーテル麻酔の後、マウスを眼窩後穿刺によって採血し、頚部脱臼によってと殺した。血液をEDTA管に捕集した。全血球計算値は、SYSMEX F-800血液学分析装置(東亜医療電子、神戸)を用いて測定した。分化白血球カウントは、メイグリュンワルトギムザ染色後に実施した。
コロニーアッセイ:この研究には、無血清メチルセルロース培養を用いた。適切な数の骨髄細胞を、GIBCO(Life Technologies LTD, Paisley、スコットランド)から入手した、アミノ酸のL−アラニン、L−アスパラギン、L−アルパラギン酸、L−システイン、L−グルタミン酸およびL−プロリン(Sigma)、ビタミンB12、ビオチン、ピルビン酸Na、グルコース、NaHCO3、ならびに抗生物質(ペニシリンおよびストレプトマイシン)を補充したダルベッコ改良イーグル培地(ダルベッコのMEM)に、300mOsm/Lのモル浸透圧で懸濁させた(∝−培地)。0.8%メチルセルロース(Methocel A4M Premium Grade, Dow Chemical Co., Barendrecht、オランダ国)、1%ウシ血清アルブミン(BSA、Fraction V, Sigma)、2x10-6モル/Lの鉄飽和ヒトトランスフェリン(Intergen Company N.Y., N.Y)、10-7モル/LのN2SeO3(Merck)、10-4モル/Lのβ−メルカプトエタノール(Merck)、リノレイン酸(Merck)およびコレステロール(Sigma)を、前駆細胞コロニーの種類に応じて、両者について7.5x10-6モル/Lおよび1.5x10-5モル/Lの最終濃度で含有する∝−培地中の適切な数の細胞を培養し、10-3g/Lのヌクレオシド(Sigmaから入手したシチジン、アデノシン、ウリジン、グアノシン、2′−デオキシシチジン、2′−デオキシアデノシン、チミジンおよび2′−デオキシグアノシン)を、1mlのアリコートとして、35mm Falcon 1008ペトリ皿(Bercton Dickinson Labware)にプレートした。
基本的には前記に記載したとおり、妊娠マウス子宮抽出物(PMUE)から精製し、100ng/mlマウス幹細胞因子(SCF、Immunex Corporation, Seattle, WAからの親切な寄贈)、および10ng/mlマウスIL−3(R&D, Minneapolis, MN)を補充した、飽和濃度のM−CSFによって顆粒球/マクロファージのコロニー形成を刺激した。培養の7日後に、GM−CFUコロニーを計数した。
フェニルヒドラジン処理したマウスの血清から精製した、100ng/mlDCFおよび4U/mlマウスエリスロポエチン(EPO、Behringwerke, Marburg、ドイツ国)によって、BFU−E増殖を刺激し、最適濃度まで滴定した。培養の10日後に、コロニーを計数した。赤血球前駆細胞の培地は、2x10-4モル/Lの濃度のヘルミン(ウシ、I型、Sigma)も含有した。
巨核球前駆細胞(CFU−Meg)を、0.25%寒天培養として培養した。100ng/ml SCF、10ng/ml IL−3および10ng/mlマウスTPO(Genentech, Inc., San Francisco, CA)によって、コロニー形成を刺激した。10日後、コロニーを乾燥し、アセチルコリンエステラーゼ陽性細胞について染色し、計数した。培養体は、すべて、空気中の10%CO2とともに充分に加湿した雰囲気中、37℃で二重に増殖させた。コロニー数は、個々のマウスの骨髄サンプルの平均±標準偏差を表した。
脾臓コロニーアッセイ:このアッセイは、Till & McCullochが記載したとおりに実施した。略述すると、TBIの1日後のHH中の5x104のBM細胞、または5x105の脾臓細胞をマウスに注射した。13日後、マウスをと殺し、脾臓を摘出し、H2O中のテリエスニツキー液(64%エタノール、5%酢酸および2%ホルムアルデヒド)中で固定した。
統計学:標準偏差は、正規分布の仮定に基づいて算出し、かつ本文および図に示した。差の有意度は、STATVIEW(Abacus Concepts Inc., Berkeley, CA)を用い、分散の片側解析と、その後の対応なしのスチューデントt検定とによって算出した。コロニーアッセイは、すべて、個々のマウスについて二重に実施した。コロニーアッセイの結果は、1群あたり少なくとも3匹のマウスについて、1大腿骨または脾臓あたりの平均±ISDとして表す。
実験の設定1:BCBAF1系マウスを、時間0に、3Gyの全身照射に付した。図8に示したとおりの様々な時点でに0.3μgTPO/マウスを腹腔内にか、または−2時間に30μgTPO/マウスを腹腔内に投与した。
図8は、プラシーボ対照における、最下点の時点での6Gy照射マウスの血小板レベルを、1回用量のTPOの投与の時間の関数として示す。観察された動態に基づき、TPO投与直後に到達したTPOのピークレベルが、薬効に最も関連していたように思われる。これは、TBIの2時間前の非常に高用量のTPOの投与によって、直接確認された(図9)。この効果は、赤血球、白血球(主として好中球)および血小板に対するTPOの同等の効果が末梢血で示したとおり、多系列細胞に由来した。下記の表1を参照されたい。
Figure 0004562815
実験の設定2:BCBAF1系マウスを、−2、−1、0日目の時点で、6Gyの全身照射に付し、0.9μgTPO/マウスを、図10の説明中に示した様々な時点、すなわち第一画分のTBIの2時間前、最終画分のTBIの2時間後にか、または3画分の0.3μgのTPOを、各画分のTBIの2時間後に、腹腔内投与した。
長引かせた形態の細胞削減性処置を、より化学療法に似せて刺激するために、TBIを、それぞれ24時間の間隔を置く3Gyの等しい3画分として与えた(実験の設定2)。TPOは、図10の説明に示したとおり、0.9μgの総用量として投与した。血小板応答は、TPOのこの用量を、各画分のTBIの2時間後に、等しい3画分の0.3μgTPOとして投与したときに最適であった。類似の効果は、赤血球および白血球についても示された。表2は、この実験設定、すなわち第一画分のTBIの2時間前の非常に高用量のTPOも、等しく効果的であったことを示す。図11および12は、それぞれ、骨髄および脾臓の造血前駆細胞のデータを示し、TPOのための最も最適の用量スケジュール、すなわち、各画分のTBIの2時間後に3x0.3μgも、他の処置群に認められた大きい変動なしに、前駆細胞レベルを急速に正常化したことを立証する。
図13は、0.3μgのTPOの3回の用量、または0.9μgの1回の用量の後の薬物動態データを示す。関連するピークレベルは、腹腔内投与の約2時間後に生じた。効果的なレベルは、30ng/血漿mlであった。しかし、最低有効TPOレベルは、力価測定実験によっては、依然として決定されていない。
データから、細胞削減性処置の際に高レベルのTPOを維持することは、多系列の刺激、および末梢血血球の回復を招くことを認めることができる。
Figure 0004562815
TPOは、それぞれ24時間で隔てられた等しい3分画での合計用量が9GyのTBIに被曝したマウスでは、各TBI分画の2時間後に腹腔内に投与するならば、非常に効果的であるように思われた。TPOの投与は、プラシーボ対照で観察された、血小板数の重大な減少を予防し、顆粒球の回復を刺激し、貧血の発症も充分に予防した。6Gyの1回TBIの実験と同様に、この効果は、複数の血球分化系列の前駆細胞の加速された再構成に媒介されるように思われた。これは、TPOの薬効が、TBI後のある時間帯にTPOによって刺激されることを要する、残留する免疫多系列細胞とは無関係であることを含意する。
本発明者らは、未成熟細胞が、簡単な短期間の定量的移植アッセイに関与するか否かについての疑問に取り組んだ。致死的に照射した受容者への骨髄の移植の後、13日目の脾臓コロニーの数(CFU−S−13)は、数ヶ月間持続する、造血性再構築の初期の短期の波に付随する、比較的未成熟の再集合する幹細胞についての尺度である。このアッセイによって、未成熟前駆細胞に対するTPO処理の効果を、直接立証することができた。等しい3区画で9GyのTBIに被曝したマウスでは、TPO処理マウスの検出できるCFU−S−13の数は、最後の分画のTBIの24時間後に、プラシーボ対照マウスに比して、ほぼ14倍に増加した(表3)。類似の増加は、検査した3系列に属する前駆細胞の数でも観察された。これらの結果は、殆どの未成熟多系列細胞に対する、クローン生成アッセイによって検出できる、TPOの主要な効果の強力な指標であって、そのような未成熟細胞でのTPO受容体の存在と一致する。
TPOの最適薬効を達成するための小さい時間帯は、TPOレベルの一掃の緩慢な時期を考慮すると特殊であって、約20時間の末端半減期を有し、投与後の最初の12時間以内のすべての時点で、血漿中の分布による初期上昇以外は、ほぼ類似のレベルを招くと思われる。これによって、投与後の最初の数時間でのTPOの高レベルが、決定的に重要であると思わざるを得ない。後者の仮説を、二つの方法で、すなわち、放射線の各画分後のTPO投与によって得られるのと同様に、薬効が到達され得るか否かを検証するための、薬物動態の測定と、TBI前の非常に高い用量の投与とによって試験した。薬効データにに薬物動態データを重ね合わせることによって、有効レベルは、20ng/mlより高く、腹腔内投与の約2時間後に生じると推論することができる。後者の所見から、本発明者らは、これらのマウスでは、TBIの約4時間後のTPOの高いレベルは、未成熟標的細胞の刺激による、放射線で誘導される骨髄症候群を緩和することを必要とすると結論した。最初の放射線画分の2時間前の30μgの腹腔内TPOという用量(初期分布に基づいて算出)の投与によって、これを直接試験した。結果は、実際に、分画したTBIという方式の際のそのような非常に高レベルのTPOは、血小板減少症を予防するのに決定的であることを立証した。TBIの最初の用量の前に30μgで処理されたマウスにおける、TBIの最後の用量の10日後の血小板数は、各TBI画分の2時間後に、0.3μgのTPOという最も効果的なスケジュールで処置したマウスのそれと、有意に異なることがなかった。類似の薬効は、6Gyという1回TBI線量の2時間前の高用量のTPOによって得られた。
Figure 0004562815
実施例10:rhTPOを投与され、自己骨髄移植物(ABMT)を受けている患者の研究
骨髄採集物の採集の後、すべての患者に、シクロホスファミド180mg/kg、チオペタ900mg/m2、±カルボプラチン600mg/m2を投与した。未操作移植細胞の注入(0日目)後、患者は、1日目に、1日1回または1日3回のいずれかで、21日目までか、または患者が≧50K/μlを数えるかのいずれかまで、rhTPO静脈内投与を開始した(下表を参照されたい)。rhTPOは、患者コホートに用量漸増方式で投与した。絶対好中球数が≧500/μlとなるまで、すべての患者にB−CSFを投与した。<20K/μlの血小板数に対してか、または臨床的指示に応じて、血小板を輸注した。
血小板の回復を、≧25,000/mlの非担持血小板数の最初の日としてか(単純な定義)、またはより厳密には、≧25,000/mlであって、第二の計算値が先行値より大きいか、もしくはそれに等しい非輸注血小板数の、連続する≧2の日の初日として(安定的または上昇的定義)、定義した。好中球の回復は、絶対好中球数が≧500/μlである、連続する2日の初日として定義した。患者は、同じ移植組織の方式を用いて自己骨髄移植組織を受けた、15名の病歴対照と比較した。
Figure 0004562815
すべての用量レベルでのrhTPOを、rhTPOを毎日投与した用量レベル5以外は、毎日3回投与した。
この研究では、中央値年齢が49歳である患者33名(23〜59歳)を登録した;すべて、安全性および血液学的応答については評価可能であった。患者7名に0.3μg/kgの用量レベルで;7名に0.6μg/kgで;7名に1.2μg/kgで;3名に2.4μg/kgで;そして6名に4.8μg/kgでrhTPOを投与した(上表を参照されたい)。すべてのレベルが安全に許容され、rhTPOは、研究した薬物に関連するいかなる有害な事象も付随していない。化学療法関連の副作用は、予測したとおりに発生した。患者1名は、ヒトヘルペスウイルス6の感染による遅延した汎血球減少症を経験した。血小板減少症の期間中には、2例のみの出血性症状の発現、すなわち鼻出血および硬膜下血腫が、ともに血小板数が<25,000/μlのときに観察されたにすぎない。ともに長期の続発症なしに消散された。注目される血栓症または静脈閉塞性疾患症状の発現は皆無であった。この研究の患者の群全体にわたって、血小板回復(安定的かつ上昇的定義)の中央値時間は、17.5日であった。
要約すると、G−CSFと併用したrhTPOは、骨髄解離性療法、および自己骨髄による救済を経験している患者では、安全であり、充分許容されるように思われる。
実施例11:乳癌の患者における末梢血前駆細胞(PBPC)動員の研究
患者を、評価可能な患者3名のコホートとして、トロンボポエチンに関連付けられる毒性が生じないならば、0.6、1.2または2.4μg/kgの静脈内投与のトロンボポエチン(TPO)用量で、継時的コホートで用量を増加させつつ処置した。TPOに関連付けられる重大な毒性の発生は、皆無であった。最適な生物学的用量は、PBSC採集の際に処理された血液のCD34+細胞/kg/Lを最大化するような最低用量であると考えられる。二次的終点は、CVP後と、CBY/PBPC移植組織後とでの、顆粒球および血小板の回復までの間隔である。
処置方式
CVP:シクロホスファミド1.5mg/m2/日静脈内投与+メスナ;エトポシド250mg/m21日1〜3回;シスプラチン40mg/m21日1〜3回、その後1回用量のトロンボポエチン0.6〜2.4μg/kg静脈内投与1日4回、G−CSF6μg/kg毎12時間。
>1.0のWBCの回復に際し、3xBVの大容積アフェレーシスによるPBPC採集、標的>3x106CD34+細胞/kg。
CBT:シクロホスファミド2.0mg/m2静脈内投与、チオテパ240mg/m2/日、BCNU150mg/m2/日、−8、−7、−6日目、0日目に低温保存した細胞の再注入。
G−CSF5μg/kg/日皮下投与、顆粒球の回復まで。
Figure 0004562815
トロンボポエチンは、PBPC動員のためのCVP化学療法後にG−CSFを与えたとき、充分許容された。
動員は、病歴対照に比して増強された。1回のアフェレーシスの中央値は、標的細胞用量に達するために必要とされた。移植組織後の造血回復は、迅速であった。
実施例12:乳癌の患者のPBPC研究
高危険度かつ応答性の第IV期乳癌の患者における、末梢血前駆細胞(PBPC)動員のためのG−CSF10μg/kg、その後のシスプラチン、VP−16およびシクロホスファミド(Cy)による高用量化学療法(HDCT)と併用される、1回または反復的用量のトロンボポエチン(TPO)の実行可能性および潜在的薬効を査定するために、第I相臨床試験を実施した。
HDCT処置概要は、下記のとおりであった:
Figure 0004562815
TPOの用量概要は、下記のとおりであった:
Figure 0004562815
動員は、群AでのTPOおよびG−CSF10μg/kg(5μg/kgBID)、群Bでの10μg/kg1日1回、群CでのG−CSF10μg/kg(5μg/kgBID)からなった。
アフェレーシスは、CS-3000 FenwallまたはCOBEスペクトル細胞分離装置を通じて、10l未満の血液を処理することによって、実施した。PBPCは、5%DMSOを含有する溶液中に低温保存し、−130℃のフリーザーへの単純浸漬によって凍結した。群A対B対Cの比較は、Kruskal-Wallis検定を用いて実施した。群A対Bは、ウィルコクソン順位和検定を用いて比較した。PBPC、造血回復および輸注要件に関するデータは、中央値(範囲)として提示する。
血小板(PLT)輸注は、≦20,000のPLT/μlに対してか、または臨床的指示に応じて与えた。血小板の非依存性を、最終血小板輸注後の日として定義する。1回アフェレーシス産物、およびプールした血小板産物を、1PLT輸注として数える。
患者の特徴
Figure 0004562815
アフェレーシス要件の比較、CD34+およびMNC収率
Figure 0004562815
造血回復および輸注要件
Figure 0004562815
試験した用量範囲のTPOは、充分に許容される。G−CSFと併用したTPOは、PBPC動員およびCD34+収率を増大させる。TPOと、G−CSFで動員されたPBPCとは、血小板と顆粒球との双方の回復を加速する。
実施例13:その他の実施態様
本発明は、放射線または化学療法剤を、連続する複数の日に、例えば連続する4、5、6または7日に投与する処置周期を特定して企図しているが、ここで、TPOの用量は、処置周期の連続する日の初日の前、および/または連続する1もしくはそれ以上の日と同時に投与する。連続5日の処置周期に対しては、TPOは、−1日目と、2、4、6、8、10、12日目等々とにか、または−1日目と、4、6、8、10、12日目等々とに与え得ると思われる。もう一つの実施態様では、放射線または化学療法剤は、処置周期の交互の日、例えば1、3、5日目に与えることになる。この実施態様では、TPOは、−1日目と、2、4、6、8、10日目等々に与え得ると思われる。
実施例14
本発明によるTPOのそれ以上の用途は、例えば哺乳動物の骨髄、末梢血または臍帯血から得た、前駆細胞のex vivoでの拡大を目的とする。そのような方式で拡大された前駆細胞は、化学療法または放射線の処置で治療されている患者に対する同種異系の幹細胞移植組織のために用いることができる。幹細胞活性について強化した前駆細胞集団は、CD34+集団であり、この集団は、CD34+CD38-細胞を選別することによって、更に強化することができる。この集団は、多系列造血コロニーをin vitroで、また多能造血生着をin vivoで生じる能力を有する。拡大のための前駆細胞は、フェレーシスによって末梢血から、また標準的手法によって骨髄吸引物から得ることができる。造血前駆細胞は、臍帯血からも得ることができる。そうして、CD34+の表現型を有する造血幹細胞細胞は、免疫磁気強化カラムを用いて、血液または骨髄から単離してよい。次いで、単離した細胞を、成長因子のTPO、Flt−3およびc−kitリガンド混合液を含有する細胞増殖培地で培養して、幹細胞集団の細胞数を拡大または増加させてよい。成長因子は、前駆幹細胞の増殖を刺激するのに充分な量で加える。好ましくは、成長因子は、それぞれ、約102〜約106幹細胞/mlを含有する成長培地に対して、約10〜約100ng/mlの量で加える。セルロースは、標準的培養手法、例えば、約5%のCO2中、約35〜40℃で約1〜8週間培養する。培養体は、成長因子を含有する新鮮な培地と毎週交換する。成長培地は、他の慣用の栄養素、胎児血清などを標準的な量で含有してよい。そうして、拡大された細胞を、公知の手順に従って、同種異系幹細胞として投与する。
下表には、拡大8週後のCD34+培養体が、SCID−hu骨アッセイを用いてin vivoでのリンパ造血を生じ得ることが示されている。拡大された培養体からの細胞を注入された骨移植片では、これらの細胞は、リンパ様、骨髄様および前駆性造血区画に寄与する。これは、拡大された細胞が、それらのin vivo多能生着の能力を維持していることを示す。
Figure 0004562815
材料および方法
ヒト造血幹細胞集団の単離:造血前駆細胞集団は、ヒト骨髄から単離した。略述すると、単球画分を、非免疫磁気強化カラム(Miltenyi Biotech, Auburn, CA)を用いて、CD34+細胞について濃縮した。純度は、FACSによって常套的に>90%であった。
懸濁培養アッセイ:造血幹細胞集団を、IMDM Gibco BRL(Grand Island, NY)+10%ウシ胎児血清(Gibco BRL)、10-5Mの2−メルカプトエタノール、10-6Mのヒドロコルチゾン、および2mMのL−グルタミン(Gibco BRL)中に2e4細胞/mlで播種した。成長因子を下記の濃度で加えた:50ng/mlのFlt−3リガンド(Immunex, Seattle, WA)、50ng/mlのTPO(Genentech, S. San Francisco, CA)、および50ng/mlのc-kitリガンド(R and D Systems)。培養体を、37℃/5%CO2で7日間培養した。7日目に、すべてのウェルを採集し、すべての細胞を血球計算盤によって数えた。その後のプレーティングのために、2e4細胞/mlを新鮮培地および成長因子に加え、更に7日間培養した。すべての条件は、二重にして実施した。
フローサイトメトリー分析:FAC分析のためには、細胞をPBS/2%FBSに1e6細胞/mlで再懸濁させ、マウス抗ヒトCD34FITC、CD38PE(Becton Dickenson)によって染色した。生細胞をヨウ化プロピジウム排除によって選別し、FACscan(Becton Dickenson)で分析した。
コロニーアッセイ:メチルセルロースコロニーアッセイを、「完全」骨髄用メチルセルロース培地(Stem Cell Technologies, Vancouver, B.C.)を用いて実施した。細胞を、メチルセルロース中に1,000細胞/mlで播種し、4x35mm格子皿にプレートした。コロニーを数え、培養の14日後に倒立位相差顕微鏡で視覚的に表現型を判定した。
SCID−huマウス再構成アッセイ:CB−17scid/scidマウスに、前記のとおり胎児骨髄を移植した。移植細胞と細胞とが、主要組織適合性複合体(MHC)クラスI抗原について不対合となるように、マウスを用いた。マウスに、250ラドの全身γ照射を与えた後、30,000個の培養ヒト骨髄細胞を骨移植細胞に注入した。細胞の注入の8週後、骨移植細胞を採集し、FITC複合抗ヒトCD34(前駆細胞)、抗ヒトCD33(骨髄)および抗ヒトCD19(リンパ)に対する供与者HLAの寄与について分析した。次いで、供与者HLA陽性細胞をFACSによって選別した。次いで、30,000個の供与者HLA陽性細胞を、一次受容者と同様にして、二次受容者に注入した。注入の8週後、二次骨移植細胞を取り出し、CD34、CD19およびCD33の生着について分析した。
前記の説明は、本発明を実施するために用い得る、特定の方法を詳述している。そのような特定の方法を詳述して、当業者は、本発明の成果を用いる際に、同じ情報で到達する、代替的な信頼できる方法を考案する方法を充分に知るものと思われる。従って、前記が試験においていかに詳述されていると思われても、それがその範囲全体を限定するとして解釈してはならず;むしろ、本発明の範囲は、添付の請求の範囲の法律上の構成によってのみ、決定されなければならない。引用されたすべての文献は、ここに、参照によって明示的に組み込まれる。
配列表
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Claims (31)

  1. 血小板減少症を有するか、またはその危機にある哺乳動物を処置するための医薬品の製造のためのトロンボポエチン(TPO)の使用であって、該医薬品が、mplに結合する特性を有し、血小板新生活性を示すTPOの治療有効量の1回もしくは2〜6回の用量からなるTPOの投与のためのものであり、
    用量は血小板減少症を引き起こす医療手順または哺乳動物に血小板減少症の危機をもたらす医療手順の処置周期のT0プラスマイナス10時間に哺乳動物に投与され、ここでT0およびTFはそれぞれ最初の処置時間および最後の処置時間であり
    処置周期は処置期および回復期を含み、回復期は処置期に続き、
    処置期は、その間に哺乳動物において血小板減少症を引き起こすかまたは哺乳動物に血小板減少症の危機をもたらす医療手順が行われる連続した1〜10日を含み、
    回復期は、その間に血小板減少症を引き起こすかまたは哺乳動物に血小板減少症の危機をもたらす医療手順が行われない連続した14日以上60日以下を含み、
    トロンボポエチンが:
    (a)配列番号24、
    (b)配列番号23、
    (c)hTPO(7−151)、
    (d)配列番号24との95%以上の配列同一性を有するポリペプチド、
    (e)配列番号23との95%以上の配列同一性を有するポリペプチド、
    (f)hTPO(7−151)との95%以上の配列同一性を有するポリペプチド、
    (g)配列番号24を含むキメラポリペプチド、
    (h)配列番号23を含むキメラポリペプチド、
    (i)hTPO(7−151)を含むキメラポリペプチド、
    (j)配列番号24との95%以上の配列同一性を有するポリペプチドを含むキメラポリペプチド、
    (k)配列番号23との95%以上の配列同一性を有するポリペプチドを含むキメラポリペプチド、
    (l)hTPO(7−151)との95%以上の配列同一性を有するポリペプチドを含むキメラポリペプチド、
    であり、ここでhTPO(7−151)が、Cys 7 (これを含んで)からCys 151 (これを含んで)までのヒトトロンボポエチン(hML)のアミノ酸配列である、
    使用。
  2. 0=TFである、請求項記載の使用。
  3. 処置周期が、放射線および/または化学療法剤の複数回の処置を含む、請求項1または2記載の使用。
  4. 処置周期が、2〜10回の処置を含む、請求項記載の使用。
  5. 処置がTPOの用量を処置時間と同時に投与することを更に含む、請求項1〜のいずれか1項記載の使用。
  6. 哺乳動物に、複数回の処置周期を与える、請求項1〜のいずれか1項記載の使用。
  7. 哺乳動物に、2〜6回の処置周期を与える、請求項記載の使用。
  8. TPOを、1回の治療有効日用量で投与する、請求項1記載の使用。
  9. 該処置が、サイトカイン、コロニー刺激因子およびインターロイキンよりなる群から選ばれる治療有効量の薬剤を同時投与することを更に含む、請求項1〜のいずれか1項記載の使用。
  10. 薬剤が、KL、LIF、G−CSF、GM−CSF、M−CSF、EPO、FLT−3、IL−1、IL−2、IL−3、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9およびIL−11よりなる群から選ばれる、請求項記載の使用。
  11. 用量を、担体または賦形剤とともに投与する、請求項1〜10のいずれか1項記載の使用。
  12. 担体または賦形剤が、キレート化剤を含有する、請求項11記載の使用。
  13. キレート化剤が、EDTAである、請求項12記載の使用。
  14. TPOがPEG化されている、請求項1〜13のいずれか1項記載の使用。
  15. PEG化ポリペプチドが、ポリエチレングリコールで製造される、請求項14記載の使用。
  16. TPOが、
    a)哺乳動物から単離されたTPOポリペプチド;
    b)組換え手段によって製造されたTPOポリペプチド;および
    c)合成的手段によって製造されたTPOポリペプチド
    よりなる群から選ばれる、請求項1〜15のいずれか1項記載の使用。
  17. TPOが、
    a)ヒトポリペプチド;および
    b)ヒトにおいて非免疫原性であるポリペプチド
    よりなる群から選ばれる、請求項1〜16のいずれか1項記載の使用。
  18. TPOが、式:
    X−hTPO(7−151)−Y
    [式中、hTPO(7−151)は、Cys7(これを含んで)からCys151(これを含んで)までのヒトTPO(hML)のアミノ酸配列であり;
    Xは、
    i)Cys7のアミノ基;
    ii)成熟ヒトTPOにおいて見出される順での成熟ヒトTPOの1個以上のアミノ末端アミノ酸残基;
    iii)因子Xa;または
    iv)トロンビンを表し;
    Yは、
    i)Cys151のカルボキシル末端基、または
    ii)成熟ヒトTPOにおいて見出される順での成熟ヒトTPOの1個以上のカルボキシル末端アミノ酸残基を表す]
    で示される、請求項1〜17のいずれか1項記載の使用。
  19. TPOが、ヒトTPOである、請求項1記載の使用。
  20. TPOが、配列番号24で示されるヒトTPO(153)である、請求項19記載の使用。
  21. TPOが、配列番号23で示されるヒトTPO(332)である、請求項19記載の使用。
  22. TPOが、配列番号23のアミノ酸配列からなる組換えヒトトロンボポエチンであるrhTPO332である、請求項19記載の使用。
  23. TPOを静脈内に投与する、請求項1〜22のいずれか1項記載の使用。
  24. TPOを皮下に投与する、請求項1〜22のいずれか1項記載の使用。
  25. TPOを吸入によって投与する、請求項1〜22のいずれか1項記載の使用。
  26. 用量が、処置周期の間、35x10-12モルまたはそれ以上の哺乳動物における血中TPOレベルを維持するのに充分である、請求項1〜25のいずれか1項記載の使用。
  27. 用量が、処置周期の間、100x10-12モルまたはそれ以上の血中TPOレベルを維持するのに充分である、請求項26記載の使用。
  28. 用量が、処置周期の間、35x10-12モル〜3,500x10-12モルの血中TPOレベルを維持するのに充分である、請求項1〜25のいずれか1項記載の使用。
  29. 用量が、体重1kgあたり0.1〜10μgの範囲にわたる、請求項1〜25のいずれか1項記載の使用。
  30. 用量が、体重1kgあたり1〜5μgの範囲にわたる、請求項29記載の使用。
  31. 用量が、エーロゾル中5〜1,000μg/kgである、請求項25記載の使用。
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