JP4562661B2 - 斜板式圧縮機 - Google Patents

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本発明は斜板式圧縮機に係わり、より詳しくは、冷媒としてCOを用いた冷凍回路の圧縮機に好適な斜板式圧縮機に関する。
例えば冷凍回路の圧縮機に適用される斜板式圧縮機は、回転軸の回転運動をピストンの往復運動に変換する変換手段を備える。
具体的には、変換手段は、クランク室内に配置された斜板を備え、斜板は、回転軸によって貫通され且つ回転軸と一体に回転可能である。斜板の外周部は、ピストンの端部に形成された凹所内に位置付けられている。この凹所は、ピストンの軸線方向に離間した1組の座と、これらの座を連結するブリッジによって区画され、1組の座に1組の半球状のシューが配置されている。シューは、斜板の外周部に摺接し、斜板の回転運動がシューを介してピストンの往復運動に変換される。
そして、この種の斜板式圧縮機には可変容量型のものがあり、可変容量型の斜板式圧縮機では、斜板の背面にヒンジが設けられる(例えば、特許文献1参照)。ヒンジは、ピストンの上死点を一定に保ちながら、回転軸に対する斜板の傾動を許容し、クランク室内の圧力(背圧)を調整することで、ピストンのストロークが調整される。
特開2003-083244号公報
ところで、斜板式圧縮機の内部の摺動部は、作動流体に含まれる潤滑油によって潤滑される。そのため、圧縮機内には、十分な量の潤滑油が保持されており、潤滑油の一部はクランク室の底部に溜まる。斜板式圧縮機で特に潤滑が必要な箇所は、1)ピストンと斜板の係合部、2)軸受、3)ピストンとシリンダボアの嵌合面、4)軸封装置である。従来の斜板式圧縮機では斜板の回転によりピストンが往復動しクランク室内の潤滑油を揺り動かすが、潤滑油が1)〜4)の箇所に行き届いていたとは云えない。クランク室底部に溜まった潤滑油を掬い上げ、必要な箇所に集中して潤滑油を供給することができれば、たとえ作動流体としてCOを圧縮して圧縮機が高温になったとしても、圧縮機の耐久性低下が防止される。
その上、潤滑油を跳ね上げることができれば、圧縮機内に保持させておく潤滑油量を減らすことが可能になり、圧縮機を冷凍回路に適用したとき、冷凍回路を循環する潤滑油の量をも減らすことができる。冷凍回路内を循環する潤滑油量が減少すれば、冷凍回路の冷凍能力が向上する。
また、潤滑油を摺動部に常に保持することができれば、潤滑油を跳ね上げるまでもなく、潤滑性が向上する。
しかしながら、特許文献1の圧縮機では、斜板の外周部とクランク室の内周面とは、少なくともブリッジの厚さに相当する距離だけ離間しているので、斜板によって、クランク室の底部に溜まっている潤滑油を跳ね上げることはできない。このため、潤滑油を跳ね上げるには、別の装置が必要になり、圧縮機が大型化してしまう。
また、特許文献1の圧縮機では、斜板の外周部が平坦であるため、斜板の回転により潤滑油が逃げてしまい、斜板とシューとの間の摺動部に常に油を保持することはできない。
一方、特許文献1の圧縮機では、背圧(クランク室内圧)を増減することによって、ピストンのストローク(吐出容量)が調整されるけれども、ストロークは、背圧のみによって決まるのではなく、往復運動に基づくピストンの慣性力や、回転速度に応じた遠心力に基づいて斜板が回転軸に垂直になろうとするモーメント(ジャイロ効果)等によっても変化する。回転軸の回転速度が高速のときには、ピストンの慣性力が増大し、吐出容量が大きくなる方向に制御の精度が低下してしまう。吐出容量の不所望の増大は、消費動力の増大や、部品へのストレス増大による耐久性低下に繋がることから、吐出容量の制御は高精度にて実行されるのが好ましい。
そのためには、ピストンの慣性力を相殺するように、ジャイロ効果のモーメントを増大させればよく、より具体的には、斜板の外径を大きくするか、もしくは斜板の質量分布が内周側よりも外周側で大きくなるよう、外周部を肉厚にすればよい。
しかしながら、特許文献1の圧縮機では、ピストンのブリッジの存在により、斜板の大径化は不可能である。また、斜板の外周部はシューによって挟まれているので、外周部を更に肉厚にするのも不可能である。
本発明は上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、大型化を伴うことなく、クランク室やシリンダボア内の摺動部で良好な潤滑性が確保され、消費動力が削減されるとともに優れた耐久性を有し、例えばCO冷媒を用いた冷凍回路に好適な斜板式圧縮機を提供することにある。
また、本発明の目的は、吐出容量が高精度にて制御され、この結果、消費動力が削減されるとともに耐久性が向上した可変容量型の斜板式圧縮機を提供することある。
上記の目的を達成するため、本発明によれば、クランク室内を延びる回転軸と、前記回転軸に略平行の複数のシリンダボアを有するシリンダブロックと、前記各シリンダボアに挿入されたピストンと、前記クランク室側の前記ピストンの端部に形成され、前記クランク室に向けて開口した球面軸受と、前記回転軸によって貫通され且つ前記回転軸と一体に回転可能な斜板と、前記シリンダブロック側の前記斜板の面上に同心に設けられ、前記面内に円環状のカム面を区画する内周壁及び外周壁と、前記内周壁と外周壁との間に配置され、前記カム面に摺接するシューと、前記シューに連なり、前記シューから前記カム面とは反対側に突出するロッドと、前記ロッドの先端に設けられ、前記球面軸受に嵌合された球状のヘッドと、前記内壁面及び外壁面から互いに向けて突出し、前記ロッドの通過を許容するスリットを形成しながら前記シューを前記カム面上に保持する外向き鍔及び内向き鍔とを備えることを特徴とする斜板式圧縮機が提供される(請求項1)。
好適な態様として、斜板式圧縮機は、前記斜板の背面に設けられ、前記回転軸に対して傾動可能に前記斜板を支持するヒンジを更に備え、前記各ピストンは、前記斜板の回転に伴ない前記ヒンジの周方向位置に合致したとき、一定の上死点に位置付けられる(請求項2)。
好適な態様として、前記斜板は、当該斜板の外周から前記シリンダブロックに向けて一体に突出する円環部を更に有する(請求項3)。
好適な態様として、前記斜板は、前記ヒンジとは直径方向に離間する外周の領域にカウンタウエイトを更に有し、前記カウンタウエイトは、前記円環部から前記シリンダブロックに向けて延出した半円筒部を含む(請求項4)。
好適な態様として、斜板式圧縮機は、前記斜板と前記シューとの間に介挿された耐摩耗板を更に備える(請求項5)。
好適な態様として、斜板式圧縮機は作動流体としてのCOを圧縮する(請求項6)。
本発明の請求項1の斜板式圧縮機では、シューが、斜板の面上に設けられた内周壁、外周壁、これら周壁から突出する外向き鍔及び内向きの鍔によって、カム面上に保持される。また、シューは、ロッドと、球面軸受に嵌合されたヘッドとを介して、ピストンに連結されている。
このため、この圧縮機では、斜板の大径化を阻害する部材がなく、斜板の大径化によって、クランク室の底部に溜まった潤滑油が跳ね上げられ、潤滑性が向上する。また、内周壁、外周壁、外向き鍔及び内向きの鍔によって、シューの回りには潤滑油が常に保持され、これによっても潤滑性が向上する。この結果として、消費動力が削減されるとともに耐久性が向上する。
請求項2の斜板式圧縮機では、斜板が、回転軸に対して傾動可能に支持された可変容量型の斜板式圧縮機である。この圧縮機では、斜板の大径化又は外周部の肉厚化を阻害する部材が無く、斜板の大径化又は外周部の肉厚化によって、ジャイロ効果のモーメントが大きくなり、特に高速回転時での吐出容量の制御精度が向上する。この結果として、この圧縮機では、消費動力が削減されるとともに、部品に加わるストレスが低減され、耐久性が向上する。
請求項3の斜板式圧縮機は、シリンダブロック側に突出した斜板の円環部によって、効率的に潤滑油が跳ね上げられ、潤滑性がより向上する。
また、この圧縮機では、斜板の円環部によって、大径化した斜板であっても剛性が確保される。このため、圧縮反力を受けたときでも、斜板のカム面の平坦性が確保され、カム面に対してシューが片当たりすることはない。この結果として、カム面とシューとの間での油膜切れが防止され、潤滑性がより向上する。
請求項4の斜板式圧縮機では、カウンタウエイトが外周に形成されているので、カウンタウエイトが小型化される。また、半円筒状のカウンタウエイトによって潤滑油がより多く跳ね上げられ、潤滑性が更に向上する。
請求項5の斜板式圧縮機では、シューが耐摩耗板に摺動するため、耐久性を容易に高められる。すなわち、シューが摺動する面の面粗度が小さいほど、油膜切れが防止され圧縮機の耐久性は向上するけれども、斜板とは別体の耐摩耗板にシューを摺動させた場合、耐摩耗板の表面を研磨仕上げしてその面粗度を小さくするのは容易である。この結果として、この圧縮機では耐久性が容易に高められる。
請求項6の斜板式圧縮機では、作動流体としてCOが圧縮されるため、フロン等を圧縮する場合に比べてクランク室やシリンダボア内の温度が高く、摺動部での摺動条件が厳しい。しかしながら、この圧縮機では、摺動部での潤滑性が向上しているので、摺動部での焼付きが防止され、耐久性の低下が防止される。
図1(a),(b)は、一実施形態の可変容量型の斜板式圧縮機を示し、図1(a)は、吐出容量が最大時の状態、図1(b)は吐出容量が最小時の状態を示している。なお、圧縮機は、図1の縦方向が上下方向に一致するよう設置される。
圧縮機は、ハウジングの一部を構成するケーシング(フロントハウジング)10を備える。ケーシング10は大径筒部12を含み、大径筒部12の端壁14に小径筒部16が一体に連なっている。端壁14と反対側の大径筒部12の端部には、シリンダブロック18が配置され、シリンダブロック18の円柱部が大径筒部12の端部の内側に嵌合している。シリンダブロック18の一端面と大径筒部12の端壁14との間には、クランク室20が区画されている。
ケーシング10の大径筒部12の端面は、環状のガスケット(図示せず)を介してシリンダブロック18のフランジ部に当接し、シリンダブロック18の他端面には、円形のガスケット(図示せず)及びバルブプレートを介してシリンダヘッドが配置されている。ケーシング10、シリンダブロック及びシリンダヘッド21は複数の連結ボルトによって連結されている。
シリンダヘッド21の周壁には、吸入ポート及び吐出ポート(図示せず)が形成され、シリンダヘッド21の内部には、これら吸入及び吐出ポートがそれぞれ開口する吸入室22及び吐出室24が区画されている。
吸入室22は、吸入リード弁(図示せず)を介してシリンダブロック18の各シリンダボア26に連通する一方、低圧側連通路を通じてクランク室20と常時連通している。低圧側連通路の一部は、シリンダブロック18の中央に形成された軸受孔内に規定されている。
吐出室24は、吐出リード弁(図示せず)を介してシリンダブロック18の各シリンダボア26に連通している。一方、吐出室24からは、クランク室20に渡る高圧側連通路(図示せず)が延び、高圧側連通路には電磁制御弁(図示せず)が介挿されている。電磁制御弁はシリンダブロック18に内蔵され、外部からの制御信号に基づいて高圧側連通路を開閉し、もって、吐出室24とクランク室20との間を断続する。
シリンダブロック18の各シリンダボア26内には、クランク室20側からピストン28が往復動自在に挿入され、ピストン28のテール部は、クランク室20内に突出している。
ピストン28のテール部には、往復運動のための動力が伝達される。そのために、圧縮機は、エンジン等の動力源から動力を受け取る電磁クラッチ30を有する。
より詳しくは、電磁クラッチ30のドライブ側ユニットを構成するドライブロータ32は、小径筒部16の外側にベアリングを介して回転可能に支持されている。ドライブロータ32の外周には溝が形成され、この溝に駆動ベルトが架け回される。ドライブロータ32内にはソレノイドが配置され、ソレノイドはブラケットによって端壁14に固定されている。
ドライブロータ32の端面には摩擦材が取り付けられ、ドライブロータ32の端面近傍には、アーマチュア板34が配置されている。アーマチュア板34は、電磁クラッチ30のドリブン側ユニットを構成し、アーマチュア板34の背面にリベット結合された外環36は弾性部材38を介してホイール40に連結されている。弾性部材38は、ソレノイドの電磁力によってドライブロータ32の端面にアーマチュア板34が押し付けられるのを許容する。ホイール40の中央にはハブが一体に形成され、ハブは小径筒部から突出した回転軸42の外端部にスプライン結合されている。
回転軸42は、小径筒部16、端壁14のシャフト孔及びクランク室20を貫通し、シリンダブロック18の軸受孔まで延びている。回転軸42の内端部は、軸受孔内のローラベアリング及びスラストベアリングによって回転自在に支持されている。
回転軸42の中央部にはロータ44が固定され、ロータ44は環状の円盤部を有する。円盤部はスラストベアリング46を介して端壁14と対向し、円盤部の内縁には一体にボス部が形成されている。ロータ44のボス部は回転軸42に嵌合し、ボス部と端壁14のシャフト孔の内周面との間にはローラベアリング48が配置されている。従って、回転軸42の中央部は、ローラベアリング48及びスラストベアリング46によって回転自在に支持されている。
なお、小径筒部16内には、ローラベアリング48よりもホイール68側にリップシール50が配置され、リップシール50はクランク室20を気密に区画している。
ロータ44とシリンダブロック18との間を延びる回転軸42の部分は円環状の斜板52の中央を貫通している。斜板52は、ヒンジ54を介してロータ44に対して傾動可能に連結され、ロータ44と一体に回転可能である。ヒンジ54は、斜板52及びロータ44から相互に2つずつ突出するアームを有し、ロータ44のアーム間にはヒンジピン56が架け渡されている。ヒンジピン56は、斜板52の各アームに形成された長孔58を貫通している。
図2に示したように、斜板52の内周縁には、円筒状の斜板ボス62が一体に形成され、斜板ボス62は、シリンダブロック18に向けて突出している。斜板ボス62の内周面と回転軸42との間にはスリーブ64が配置され、スリーブ64は、ヒンジピン56と平行な傾動ピン66を用いて斜板ボス62にピン結合されている。また、スリーブ64は、回転軸42に対してスライド自在に嵌合しており、スリーブ64とロータ44との間には、圧縮コイルばね68が介挿され、圧縮コイルばね68は、スリーブ64をシリンダブロック18に向けて付勢している。
斜板52の外周縁には、円筒状のリム70が一体に形成され、リム70も、シリンダブロック18に向けて突出している。リム70の内周面は段差をもって段付けられ、リム70の内径は、段差よりも斜板52側の部分が、シリンダブロック18側の部分よりも小である。リム70の外径は、シリンダブロック18の円柱部の外径に略等しく、リム70の外周面は、ケーシング10の大径筒部12の内周面近傍に位置している。
ただし、図3に示したように、斜板52の傾動を許容するよう、リム70の外周面は、周方向でみてヒンジ54のアームが形成された領域に曲面領域72を含む。
また、図4に示したように、リム70の先端には、半円筒状の第1のカウンタウエイト74が一体に形成され、第1のカウンタウエイト74は、ヒンジ54即ち曲面領域72と直径方向に離間している。一方、図5に示したように、ロータ44側の斜板52の面にも、ヒンジ54と直径方向に離間して、楔状の第2のカウンタウエイト76が一体に形成されている。
再び図2を参照すると、互いに同心の斜板ボス60とリム70との間には、リテーナが固定されている。リテーナは、インナリング78及びアウタリング80を有し、インナリング78は、斜板ボス60の外周面に嵌合している。インナリング78は、斜板ボス60の外周面に嵌合し且つ斜板52に当接するボス部78aを含み、ボス部78aの斜板52寄りの部分から、径方向外側のアウタリング80に向けて外向き鍔部78bが一体に突出している。外向き鍔部78bと斜板52との間には、斜板52側のボス部78aの一部によって所定の間隔が確保され、一方、外向き鍔部78bとボス部78aとの間は、斜板52とは反対側のリブ部78cによって補強されている。リブ部78cは、外向き鍔部78bから離れるに連れて外径が小さくなるようなテーパ状に形成されている。
アウタリング80は、リム70の内周面に嵌合し且つこの内周面の段差に当接するボス部80aを含み、段差に当接するボス部80aの部分から、径方向内側の外向き鍔部78bに向けて、内向き鍔部80bが突出している。内向き鍔部80bとボス部80aとの間は、段差とは反対側のリブ部80cによって補強されている。リブ部80cは、内向き鍔部80bから離れるに連れて内径が大きくなるようにテーパ状に形成されている。
段差よりも斜板52側のリム70の部分によって確保された内向き鍔部80bと斜板52との間隔は、外向き鍔部78bと斜板52との間隔に等しく、外向き鍔部78bと内向き鍔部80bは、互いの外周縁と内周縁との間に、幅が一定の円環状のスリット82を規定している。また、外向き鍔部78b及び内向き鍔部80bは、斜板52との間に、円環状のカム溝84を規定し、シリンダブロック18側の斜板52の面内には、カム溝84の底面として、円環状のカム面86が規定される。なお、カム溝84の内周壁は、インナリング78のボス部78aによって形成され、カム溝84の外周壁はリム70によって形成されている。
カム溝84内には、複数の円盤状のシュー88が配置され、シュー88の外径は、カム溝84内に保持されるよう、スリット82の開口幅よりも大である。ただし、シュー88の外径は、カム溝84の内周壁及び外周壁とシュー88の外周面との間に所定のスペースが確保されるよう、カム溝84の幅よりも小である。
シュー88は、カム面86に摺接する円形の摺接面を有し、シュー88の背面には、スリット82の開口幅よりも小径の円柱状のロッド90が同軸且つ一体に形成されている。シュー88の背面には、ロッド90の回りに円環面が区画され、この円環面は、外向き鍔部78b及び内向き鍔部80bの内面に摺接する。
ロッド90はスリット82を貫通してシリンダブロック18即ちピストン28に向けて延び、ロッド90の先端部には、球状のヘッド92が一体に形成されている。これらのヘッド92は斜板52の軸線を中心とする同心に位置付けられ、各ヘッド92の半分以上の部分は、インナリング78とアウタリング80との間に位置している。また、斜板52の軸線方向でみて、各ヘッドの中心点92aは、傾動ピン66の中心に合致している。斜板の傾斜角θは、回転軸42に垂直な面と、ヘッドの中心点92aが位置付けられる仮想面とのなす角度として規定される。
ここで、前述したピストン28のテール部には球面軸受28aが形成され、球面軸受28aはピストン28の軸線方向にて斜板52に向けて開口し、且つ、内面が球面状をなす。シュー88と一体のヘッド92は、球面軸受28aに回動可能に嵌合している。即ち、シュー88、ロッド90及びヘッド92は、1つの連結部材を構成している。なお、球面軸受28aの開口縁は、ヘッド92の抜けを防止すべく、開口径を縮小するようにかしめ加工されている。
以下、上述した圧縮機の動作について説明する。
電磁クラッチ30がオン作動されると、外部からの動力が電磁クラッチ30を介して回転軸42に伝達され、回転軸42が回転する。回転軸42の回転運動は、変換手段、つまり、ロータ44、ヒンジ54、斜板52、シュー88、ロッド90、ヘッド92及び球面軸受28aを介してピストン28の往復運動に変換される。
各ピストン28の往復運動に基づき、圧縮機内では、吸入室22内の冷媒等の作動流体が吸入リード弁を介してシリンダボア26に吸入される吸入工程と、シリンダボア26内で作動流体が圧縮される圧縮工程と、圧縮された作動流体が吐出リード弁を介して吐出室24に吐出される吐出工程とからなる一連のプロセスが実施される。
このプロセスによって圧縮機から吐出される冷媒の吐出量(吐出容量)は、電磁制御弁によって高圧側連通路を開閉することによって調整可能される。すなわち、クランク室20内の圧力(背圧)が昇降するのに伴い、各ピストン28のストロークは増減する。具体的には、背圧が低いほどストロークは長くなり、逆に、背圧が高いほどストロークは短くなる。
なお、図1(a)は、吐出容量が最大の状態を示し、図1(b)は、吐出容量が最小の状態を示している。
図2を参照すると、ストロークの変化を許容するように、斜板52の傾斜角θは増減し、斜板52は、傾動ピン66の回りに傾動する。この際、スリーブ64は回転軸42に沿って移動し、且つ、ヒンジ54のヒンジピン56が、長孔58内にてスライドする。これによって、斜板52が傾動しても、ピストン28の上死点は変化せず、下死点のみが変化する。すなわち、斜板52の回転に伴い、ヒンジ54の周方向位置に合致したピストンが上死点に位置付けられ、第1のカウンタウエイトに合致したピストンが下死点に位置付けられる。
なお、傾動ピン66は斜板52の傾動を案内するが、ピストン28から斜板52に加わる圧縮反力の合力中心は、ヒンジ54の近傍に位置しており、斜板52を支持しているのはヒンジ54である。また、斜板52の傾動に伴い、シュー88は、カム溝84内を径方向にもわずかにスライドする。
上述した斜板式圧縮機では、シュー88が、斜板52の面上に設けられたカム溝84内に保持される。また、シュー88は、ロッド90と、球面軸受28aに嵌合されたヘッド92とを介して、ピストン28に連結されている。
このため、この圧縮機では、斜板52の大径化を阻害する従来のピストンのブリッジのような部材がなく、斜板52の大径化によって、クランク室20の底部に溜まった潤滑油が跳ね上げられ、潤滑性が向上する。また、カム溝84内のシュー88の回りには潤滑油が常に保持され、これによっても潤滑性が向上する。そして、このように潤滑性が向上したことで、この圧縮機では、消費動力の削減や耐久性の向上が図られる一方、斜板52やシュー88に安価な材料を用いることができるので、材料費が削減される。
また、上述した斜板式圧縮機では、斜板52の大径化又は外周部の肉厚化を阻害する部材が無く、斜板52の大径化又は外周部の肉厚化によって、ジャイロ効果のモーメントが大きくなり、特に高速回転時での吐出容量の制御精度が向上する。この結果として、この圧縮機では、消費動力が削減されるとともに、構成部品に加わるストレスが低減され、耐久性が向上する。
更に、上述した斜板式圧縮機は、シリンダブロック18側に突出した斜板52のリム70によって、効率的に潤滑油が跳ね上げられ、潤滑性がより向上する。
同時に、この圧縮機では、斜板52のリム70によって、大径化した斜板52であっても剛性が確保される。このため、圧縮反力を受けたときでも、斜板52のカム面86の平坦性が確保され、カム面86に対してシュー88が片当たりすることはない。この結果として、カム面とシュー88との間での油膜切れが防止され、潤滑性がより向上する。
また更に、この斜板式圧縮機では、第1及び第2のカウンタウエイト74,76が斜板52の外周部に形成されているので、これらカウンタウエイト74,76が小型化される。また、半円筒状の第1のカウンタウエイト74によって潤滑油がより多く跳ね上げられ、潤滑性が更に向上する。
なお、図2に示したように、第1のカウンタウエイト74の先端は、斜板52の傾動に伴い、大径筒部12の内周面に沿って移動し、常に潤滑油を跳ね上げることができる。
本発明は上述した一実施形態に制約されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、圧縮機が圧縮する作動流体は特に限定されないけれども、この圧縮機は、潤滑性が向上しているので、COの圧縮に好適である。作動流体としてCOを圧縮する場合、フロン等を圧縮する場合に比べてクランク室20やシリンダボア26内の温度が高くなり、摺動部での摺動条件が厳しい。しかしながら、この圧縮機では、摺動部での潤滑性が向上しているので、斜板52とシュー88との間や、ピストン28とシリンダボア26との間、更には軸受等の摺動部での焼付きが防止され、耐久性の低下が防止される。
一実施形態の圧縮機は水平に設置されたけれども、圧縮機を斜め若しくは垂直に設置してもよい。ただし、潤滑性をより向上するには、水平に設置するのが好ましい。
一実施形態の圧縮機では、シリンダボア26と回転軸42とが平行であったけれども、シリンダボアは、回転軸42に対して略平行であれば若干傾斜していてもよい。
一実施形態の圧縮機では、ピストンの上死点が変化しなかったけれども、上死点が変化するようにしてもよい。なお、一実施形態の圧縮機は、上死点が変化しないことから、圧縮性の流体を圧縮するのに好適である。
一実施形態の圧縮機では、斜板52に対してシュー88が摺動していたけれども、図6に示したように、斜板52とシュー88との間に耐摩耗板94を配置し、耐摩耗板94の表面に対してシュー88を摺動させてもよい。
ここで、シュー88が摺動する面の面粗度が小さいほど、油膜切れが防止され圧縮機の耐久性は向上する。斜板52とは別体の耐摩耗板94にシュー88を摺動させた場合、斜板52にリム70を一体に形成していたとしても、耐摩耗板94の表面を研磨仕上げしてその面粗度を小さくするのは容易であり、圧縮機の耐久性を容易に高めることができる。
なお、摩耗板94にシュー88を摺動させることで、斜板52の材質の選択幅が広がる。その上、耐摩耗性向上のための斜板52の熱処理が不要になり、熱処理による斜板52の変形も防止される。この結果として、シュー88が摺動する耐摩耗板94の平面度の確保は容易である。
最後に、一実施形態の圧縮機は、可変容量型であったけれども固定容量型であってもよいのは勿論である。
一実施形態に係る可変容量型の往復動流体機械の縦断面を示す図であり、(a)は、吐出容量が最大時の状態、(b)は吐出容量が最小時の状態を示している。 図1(b)の斜板の一部及びその周辺を拡大して示した図である。 図1(b)の斜板及び斜板に連結部材を介して連結されたピストンを示す図である。 図3を斜め前方からみた図である。 図3を斜め後方からみた図である。 斜板とシューとの間に配置された耐摩耗板を説明するための図である。
符号の説明
20 クランク室
28 ピストン
28a 球面軸受
42 回転軸
52 斜板
60 斜板ボス
70 リム
78 インナリング
78a ボス部
78b 外向き鍔部
80 アウタリング
80b 内向き鍔部
82 スリット
84 カム溝
86 カム面
88 シュー
90 ロッド
92 ヘッド

Claims (6)

  1. クランク室内を延びる回転軸と、
    前記回転軸に略平行の複数のシリンダボアを有するシリンダブロックと、
    前記各シリンダボアに挿入されたピストンと、
    前記クランク室側の前記ピストンの端部に形成され、前記クランク室に向けて開口した球面軸受と、
    前記回転軸によって貫通され且つ前記回転軸と一体に回転可能な斜板と、
    前記シリンダブロック側の前記斜板の面上に同心に設けられ、前記面内に円環状のカム面を区画する内周壁及び外周壁と、
    前記内周壁と外周壁との間に配置され、前記カム面に摺接するシューと、
    前記シューに連なり、前記シューから前記カム面とは反対側に突出するロッドと、
    前記ロッドの先端に設けられ、前記球面軸受に嵌合された球状のヘッドと、
    前記内壁面及び外壁面から互いに向けて突出し、前記ロッドの通過を許容するスリットを形成しながら前記シューを前記カム面上に保持する外向き鍔及び内向き鍔と
    を備えることを特徴とする斜板式圧縮機。
  2. 前記斜板の背面に設けられ、前記回転軸に対して傾動可能に前記斜板を支持するヒンジを更に備え、
    前記各ピストンは、前記斜板の回転に伴ない前記ヒンジの周方向位置に合致したとき、一定の上死点に位置付けられることを特徴とする請求項1に記載の斜板式圧縮機。
  3. 前記斜板は、当該斜板の外周から前記シリンダブロックに向けて一体に突出する円環部を更に有することを特徴とする請求項2に記載の斜板式圧縮機。
  4. 前記斜板は、前記ヒンジとは直径方向に離間する外周の領域にカウンタウエイトを更に有し、
    前記カウンタウエイトは、前記円環部から前記シリンダブロックに向けて延出した半円筒部を含む
    ことを特徴とする請求項3に記載の斜板式圧縮機。
  5. 前記斜板と前記シューとの間に介挿された耐摩耗板を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の斜板式圧縮機。
  6. 作動流体としてのCOを圧縮することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の斜板式圧縮機。
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