JP4451835B2 - 可変容量型往復動流体機械 - Google Patents
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Description
より詳しくは、回転軸にはロータが一体に回転可能に固定され、ロータは斜板ボスを支持する。回転軸は斜板ボスのボス部を斜めに貫通し、ボス部には斜板と称される環状の板が外側から嵌められている。斜板の外周部は、シューを介してピストンのテール部により挟まれ、回転軸の回転に伴い、斜板は、回転軸に対して傾斜した状態にて回転運動する。この間、斜板はシューを介してピストンをその軸線方向両側に交互に付勢し、これによりピストンが往復運動する。ピストンのストローク長、すなわち圧縮機の容量は、シリンダボアとクランク室との間での圧力差に対応して変化するが、このストローク長変化を許容すべく、ロータは玉継手を介して斜板ボスを傾動可能に支持している。
このため、上記文献の変換装置では、回転軸の回転中、斜板ボスの位置が微小ながら偏倚し、斜板ボスの傾動が必ずしも円滑に行われない。特に、作動流体としてCO2冷媒を用いた場合には、斜板ボスに加わる圧縮反力が大きくなるため、斜板ボスの偏倚がより大きくなって傾動が阻害され、容量制御の精度が低下する。CO2冷媒を用いた冷凍回路の制御は、フロン系冷媒を用いた冷凍回路に比べてもともと不安定で困難であるが、圧縮機での容量制御の低下は、その制御をより困難なものにする。
好適な態様として、前記変換装置は、前記回転体から前記スリーブが抜けるのを防止する抜け止めを更に含む(請求項3)。
好適な態様として、前記変換装置は、前記ストローク長が増大する方向での前記スリーブのスライド量を規制する上限ストッパを更に含む(請求項4)。
好適な態様として、前記変換装置は、前記スリーブの前記球状面及び前記回転体の前記内周面のうち少なくとも一方に形成された潤滑膜を更に含む(請求項6)。
特に、この流体機械がCO2冷媒を用いた冷凍回路に適用された場合、圧縮反力の増大により揺動モーメントが大きくなっても回転体が円滑に傾動し、CO2冷媒を用いた冷凍回路の制御が的確に実施される。
請求項3の可変容量型往復動流体機械では、回転体の内周面が円筒状であるけれども、変換装置は抜け止めを有するので、スリーブが常に回転体と回転軸との間に位置付けられる。このため、回転体の傾動が確実に円滑になる。
請求項6の可変容量型流体機械では、スリーブの球状面と回転体の内周面との間に潤滑膜が存在することにより、回転体がより一層円滑に傾動する。
冷凍回路は、例えばCO2(二酸化炭素)が冷媒として循環する循環経路2を備え、循環経路2には圧縮機4、ガスクーラ6、膨張弁8及び蒸発器10が順次介挿されている。圧縮機4は冷媒を圧縮してガスクーラ6に送出し、これにより冷媒が循環経路2を循環する。
吸入室32は、吸入リード弁(図示せず)を介してシリンダブロック20の各シリンダボア36に連通する一方、バルブプレート28に形成された固定絞り38を通じてクランク室22と常時連通している。
ピストン46のテール部には、エンジン48から動力が断続的に伝達される。そのために、圧縮機4は、エンジン48からの動力を受け取る電磁クラッチ50を有する。
この回転軸72の回転運動を、ストローク長可変のピストン46の往復運動に変換すべく、圧縮機4は変換装置を備えている。
ロータ74とシリンダブロック20との間を延びる回転軸72の部分は、環状の斜板ボス82を貫通し、斜板ボス82はヒンジ84を介してロータ74に連結されている。従って、斜板ボス82は、回転軸72に対して傾動可能であるとともに、回転軸72と一体に回転可能である。
スリーブ94は軸受鋼からなり、回転軸72にスライド可能に嵌められている。図3に拡大して示したように、スリーブ94の軸線方向略中央には、径方向外側に膨らんだ環状の膨出部96が形成され、膨出部96の外周面は凸の球状面98をなす。より詳しくは、膨出部96の球状面98は、斜板ボス82のボス部86の内径と略同じ直径の球面100の一部を、一対の極を含んで一周に亘り切り取って得られるような形状をなす。このため、斜板ボス82の傾斜角度に係わらず、膨出部96の球状面98は、ボス部86の内周面に対し全周に亘り線接触する。
ここで、図2に示したように、ヒンジ84を構成すべく、ロータ74及び斜板ボス82の各々から互いに向けて2つずつアーム部106,108が突出し、これらアーム部106,108にピン孔110,112が形成されている。斜板ボス82は、ピン孔110,112に挿通されたピン114を支点として傾動可能であるが、斜板ボス82のアーム部108のピン孔112は所定の長円形状をなすため、ピン114に対してスライドも可能である。
なお、斜板ボス82には、アーム部108に対するカウンタウエイトとしての脚部115も一体に形成されている。
電磁クラッチ50がオン作動されると、エンジン48からの動力が電磁クラッチ50を介して回転軸72に伝達され、回転軸72が回転される。回転軸72の回転運動は、変換装置、つまり、ロータ74、ヒンジ84、斜板ボス82、斜板88及びシュー92を介してピストン46の往復運動に変換される。各ピストン46の往復運動に基づき、圧縮機4内では、吸入室32内の冷媒が吸入リード弁を介してシリンダボア36に吸入される吸入工程と、シリンダボア36内で冷媒が圧縮される圧縮工程と、圧縮された冷媒が吐出リード弁を介して吐出室34に吐出される吐出工程とからなる一連のプロセスが実施される。
また、斜板ボス82のボス部86の内周面を円筒状に加工するのは容易であり、スリーブ94の外側にボス部86を嵌める組立作業も容易である。このため、この圧縮機4は、高い生産性の下で低コストにて量産される。
例えば、圧縮機4には、図5に示した斜板ボス116を用いてもよい。この斜板ボス116のボス部118の内周面は、シリンダブロック20側の開口端近傍の領域が、スリーブ94の球状面98と略同じ曲率半径の凹の球状面に形成されている。
この斜板ボス116を用いた場合、ボス部118の内周面におけるロータ74側の部分は円筒状であることから、斜板ボス82を用いた場合と同様に、スリーブ94にボス部118を嵌めるのは容易である。また、スリーブ94の球状面98は、ボス部118の内周面に対し、全周に亘り線接触するのみならず面接触可能であり、斜板ボス116はより円滑に傾動する。
また、圧縮機4には、図6に示したスリーブ120を用いてもよい。スリーブ120には、シリンダブロック20側の端部に小フランジ部122が一体に形成され、小フランジ部122の外径は、フランジ部102の外径よりも小さく、球状面98の外径と略同じである。このスリーブ120は、図7に示した斜板ボス124とともに用いることができる。斜板ボス124のボス部126にあっては、シリンダブロック側20の開口端が、ロータ74側の開口端と同様に、山形の2つの傾斜面により形成されている。
更に圧縮機4には、図8に示したスリーブ128を用いてもよい。スリーブ128は、フランジ部102に連なるカラー部130を有し、カラー部130がロータ74に当接することにより、ロータ74側へのスリーブ128のスライド量、換言すれば、ストローク長が増大する方向でのスリーブ128のスライド量が規制される。この結果、圧縮機4の最大容量が容易且つ確実に規定される。
また、スリーブ134を用いるのに代えて、又はスリーブ134とともに、図11に示した斜板ボス138を用いてもよい。斜板ボス138のボス部86の内周面には、例えばMoS2からなる潤滑膜140が形成され、潤滑膜140を介してスリーブ94(134)の球状面98とボス部86の内周面とが線接触することにより、斜板ボス138の傾動がより一層円滑になる。
更に、圧縮機4は、フロン系冷媒を用いた冷凍回路に適用してもよい。
72 回転軸
74 ロータ
82 斜板ボス
86 ボス部
94 スリーブ
98 球状面
Claims (6)
- 回転軸の回転運動をストローク長可変にてピストンの往復運動に変換する変換装置を備えた可変容量型往復動流体機械において、
前記変換装置は、
前記回転軸により貫通される環状の回転体と、
前記回転軸に固定され、前記回転軸に対し傾動可能に前記回転体を支持する支持体と、
前記回転体の内周面により囲まれる前記回転軸の部位に嵌められたスリーブと
を含み、
前記スリーブは、前記内周面に対して全周に亘り一つの線で線接触する球状面を有する
ことを特徴とする可変容量型往復動流体機械。 - 前記回転体の内周面は円筒状をなすことを特徴とする請求項1記載の可変容量型往復動流体機械。
- 前記変換装置は、前記回転体から前記スリーブが抜けるのを防止する抜け止めを更に含むことを特徴とする請求項2に記載の可変容量型往復動流体機械。
- 前記変換装置は、前記ストローク長が増大する方向での前記スリーブのスライド量を規制する上限ストッパを更に含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の可変容量型往復動流体機械。
- 前記変換装置は、前記ストローク長が減少する方向での前記スリーブのスライド量を規制する下限ストッパを更に含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の可変容量型往復動流体機械。
- 前記変換装置は、前記スリーブの前記球状面及び前記回転体の前記内周面のうち少なくとも一方に形成された潤滑膜を更に含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の可変容量型往復動流体機械。
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JP2005295021A JP4451835B2 (ja) | 2005-10-07 | 2005-10-07 | 可変容量型往復動流体機械 |
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