JP5391376B2 - 可変容量往復動圧縮機 - Google Patents
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Description
可変容量往復動圧縮機では、駆動軸の回転がピストンの往復運動に変換される。このとき、ピストンのストローク長は、例えばクランク室の圧力を利用して変化させられ、これにより吐出容量が調整される。この場合、例えば、外部から制御される容量制御弁の開閉作動によって、クランク室の圧力が変化させられ、もって吐出容量が調整される。
可変容量往復動圧縮機には、脈動を低減すべく、マフラー室を有するものがある。例えば特許文献1が開示する圧縮機にあっては、シリンダボアのデッドスペースにマフラー室が区画されている。
特に、特許文献1の圧縮機では、脈動を防止することを目的としてマフラー室の容積が大であるため、ノイズの高周波数成分が抑制されない。従って、吐出容量が小さいときに吸入弁が自励振動し、当該振動に基づいて高周波成分を多く含むノイズが発生しても、ノイズが有効に低減されない。
本発明は上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、吐出容量が小さいときから大きいときに渡って、脈動及びノイズが的確に抑制される可変容量往復動圧縮機を提供することにある。
好ましくは、前記マフラー室は、前記吸入ポートから前記吸入室を経て前記シリンダボアに至る流路の一部を構成している(請求項3)。
この圧縮機によれば、吐出容量が小さいときに、マフラー室の空洞部分の容積を小さくすることにより、吸入弁の自励振動に起因するノイズの高周波数成分が吸収される。
また、ジョイントシャフトの滑動を利用することにより、簡単な構成にて、吐出容量に対応してマフラー室の空洞部の容積を確実且つ的確に変化させられる。
請求項2の可変容量往復動圧縮機では、マフラー室がヘルムホルツ共鳴型のサイレンサーとして機能する。このマフラー室によれば、その容積が変化することにより、減衰させられるノイズの周波数成分も変化し、吐出容量が小さいときには、吸入弁の自励振動に基づく高周波数成分が確実に減衰させられる。
冷凍サイクルシステム10は、作動流体としての冷媒が循環する循環路12を備える。循環路12には、冷媒の流動方向でみて、圧縮機、放熱器(凝縮器)14、膨張器(膨張弁)16及び蒸発器18が順次介挿され、圧縮機が作動すると、循環路12を冷媒が循環する。すなわち、圧縮機は、冷媒の吸入工程、吸入した冷媒の圧縮工程及び圧縮した冷媒の吐出工程からなる一連のプロセスを行う。
クランク室26内にはその中央に駆動軸30が配置され、駆動軸30は、フロントハウジング22の端壁25の外面に一体に形成された略円筒形状の軸受支持部31を貫通している。軸受支持部31から突出した駆動軸30の外端には、図示しないけれども、例えばプーリが連結される。プーリは、図示しない軸受を介し、軸受支持部31によって回転自在に支持される。当該プーリを介して、図示しないエンジンの動力が駆動軸30に伝達される。
各シリンダボア32内には、ピストン34が摺動自在に配置され、駆動軸30の回転運動は、動力変換機構によって、ピストン34の往復運動に変換される。
ピストン34を往復運動させるべく、換言すれば、揺動板38を揺動させるべく、駆動軸30には、略円盤形状のロータ40が相対回転不能に同軸的に固定されている。ロータ40とフロントハウジング22の端壁25との間にはスラストベアリング42が配置され、ロータ40には、ヒンジ44を介して、カム部材としての斜板46が連結されている。
揺動板38の内周縁には、ボス部48が一体に形成され、ボス部48は、揺動板38からロータ40若しくは斜板46に向けて突出している。ボス部48は、斜板46によって囲まれ、ボス部48と斜板46との間には、ラジアルベアリング50としての、ボールベアリングが配置されている。
より詳しくは、揺動板回転阻止ユニットは略中空円筒形状のジョイントシャフト54を有し、ジョイントシャフト54は、駆動軸30の内端側に、微小な隙間をもって嵌合されている。ジョイントシャフト54の内周面と駆動軸30の外周面との間には、円筒形状の滑り軸受56が配置されている。ジョイントシャフト54は、滑り軸受56を介したことにより、駆動軸30に対してスライド可能である。
そして、図2に分解して示したように、これらの溝とスライド可能に噛み合うように、ジョイントシャフト54の一端側の外周面に、駆動軸30の軸線方向にそれぞれ延びる複数のキー60が形成されている。つまり、ジョイントシャフト54は、シャフト孔58の内周面に対し、シャフト孔58の軸線方向にスライド可能にスプライン結合されている。そして、このスプライン結合によって、駆動軸30の回転に伴うジョイントシャフト54の回転は阻止される。
ジョイントシャフト54の他端には、ジョイントシャフト54の軸線方向に突出する例えば3つの突出部(以下、JS側突出部又はJS側突出部という)62が一体に形成されている。各JS側突出部62は、ジョイントシャフト54の軸線方向でみて、略扇形状を有する。
また、揺動板回転阻止ユニットは、図2に示したように、ジョイントケース66を有する。ジョイントケース66はジョイントシャフト54と同軸に配置される。ジョイントケース66はリング部68を有し、リング部68は、揺動板38の径方向内側に一体に回転可能に固定される。リング部68の内周面には、それぞれ径方向内側に向けて突出する3つの突出部(以下、ジョイントケース側突出部又はJC側突出部という)70が一体に形成されている。
ジョイントケース66は、JS側突出部62と同心上に配置され、JC側突出部70同士の間に、JS側突出部62がそれぞれ位置付けられる。そして、隙間を存して対向するJS側ボール溝64とJC側ボール溝72との間には、ボール74が1つずつ転動可能に配置されている。
また、揺動板回転阻止ユニットは、円筒形状の滑り軸受78を介して駆動軸30に嵌合されるスリーブ80を有する。スリーブ80もまた、滑り軸受78とともに、駆動軸30の軸線方向にスライド可能である。スリーブ80は樽形状の外形を有し、スリーブ80の縦断面でみたとき、スリーブ80の外周面は、JC側突出部72の曲面76と略同じ曲率の円弧形状をなす。
再び図1を参照すると、シリンダブロック20は、ジョイントシャフト54及び滑り軸受56を介して、駆動軸30の内端側を相対回転可能に支持している。また、フロントハウジング22は、ラジアルベアリング82を介して、駆動軸30の外端側を相対回転可能に支持している。なお、フロントハウジング22の軸受支持部31内には、シャフトシール84が配置されている。
シリンダヘッド88には吐出ポート(図示せず)が形成されている。吐出ポートは、循環路12を通じて放熱器14に連通するとともに、シリンダヘッド88内に区画された吐出室92に連通している。
また、シリンダヘッド88内には、吸入室97が区画されている。吸入室97は、シリンダヘッド88の径方向中央に区画され、吐出室92は、シリンダヘッド88の径方向でみて、吸入室97の周囲に区画されている。つまり、吐出室92と吸入室97とは、シリンダヘッド88の一部をなす区画壁98によって相互に分けられている。吸入室97は、ガスケット及びバルブプレート86を貫通する吸入孔99を通じてシリンダボア32に連通可能であり、吸入孔99は、吸入弁としてのリード弁(図示せず)によって開閉される。
マフラー室101は、シリンダブロック20の径方向中央に形成された、段付き円柱形状の空間102を含む。空間102はシャフト孔58と同軸上を延び、シリンダブロック20の他端に開口している。空間102とシャフト孔58とは相互に連通し、マフラー室101は、空間102側に位置するシャフト孔58の一部の空間103も含んでいる。
マフラー室101の入口104及び出口106は、ガスケット及びバルブプレート86を貫通する孔によりそれぞれ構成されている。マフラー室101の出口106は、吸入室97に開口し、マフラー室101と吸入室97とを連通している。
なお、クランク室26は、シャフト孔58と空間101とを通じて、吸入室97と連通している。そして、ジョイントシャフト54とシャフト孔58とのスプライン結合における微小隙間は、クランク室26と吸入室97とを連通する連通路において、絞りとして機能する。
エンジンから動力が駆動軸30に伝達されると、駆動軸30が回転する。駆動軸30の回転に伴い、ロータ40、ヒンジ44及び斜板46も回転し、斜板46に相対回転可能に支持された揺動板38が揺動する。揺動板38の揺動は、玉継手及び連接棒36を介してピストン34の往復運動に変換される。
ピストン34の往復運動により、吸入室97からシリンダボア32への冷媒の吸入工程、シリンダボア32内での冷媒の圧縮工程及びシリンダボア32から吐出室92への冷媒の吐出工程が実行される。すなわち、ピストン34の往復運動により、蒸発器18で気化した冷媒が循環路12及び吸入ポート100を通じて圧縮機に吸入され、圧縮機の吐出ポートから吐出された冷媒が循環路12を通じて放熱器14に供給される。
これに対し、圧縮機の吐出容量が最小であるとき、揺動板38は、駆動軸30と直交する面に対して略平行になる。そしてこのとき、揺動板38の径方向中心は、ロータ40から最も遠ざかる。即ち、圧縮機の吐出容量が最小であるとき、当該吐出容量が最大であるときに比べて、揺動板38の径方向中心が、シリンダブロック20側に移動する。
ここで図5は、圧縮機の吐出容量が最小であるときの、マフラー室101及びその近傍を示している。図5に示したように、ジョイントシャフト54が揺動板38と連動することにより、ジョイントシャフト54がマフラー室101内に進入する。
かくして上述した圧縮機によれば、吐出容量が小さいときに、マフラー室101の空洞部分の容積を小さくすることにより、吸入弁の自励振動に起因するノイズの高周波数成分が吸収される。
特に、上述した圧縮機では、マフラー室101が膨張型のサイレンサーの一部として機能する。すなわち、吸入ポート100から吸入室97に至る作動流体のための流路の断面積は、マフラー室101にて拡大されてから、マフラー室101の出口106にて絞られる。そして、このマフラー室101によれば、その容積が変化することにより、減衰させられるノイズの周波数成分も変化し、吐出容量が小さいときには、吸入弁の自励振動に基づく高周波数成分が確実に減衰させられる。
上述した圧縮機では、ジョイントシャフト54の一部が、マフラー室101の空洞部を占有する空洞占有部材として機能している。これにより、簡単な構成にて、吐出容量に対応してマフラー室101の空洞部の容積を確実且つ的確に変化させられる。
図6は、第2実施形態に係る可変容量圧縮機を示している。なお、第1実施形態に係る可変容量圧縮機と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態に係る圧縮機は、吸入ポート100が吸入室97に直接開口している。そして、マフラー室101は、ガスケット及びバルブプレート86を貫通する連通孔110を通じて、吸入室97と連通している。
上述した第1及び第2実施形態に係る圧縮機において、シリンダボア32の数は7個に限られない。
斜板式の圧縮機の場合、ピストン34と一体にテール部が形成され、テール部がクランク室26に突出する。各テール部には球面座が形成され、球面座に配置された1組の半球状のシューが、カム部材としての斜板の外周部に摺接する。斜板式の圧縮機であっても、カム部材としての斜板が、駆動軸に対して傾動しながら駆動軸の軸線方向に移動することを利用して、マフラー室の空洞部分の容積を変化させることができる。
最後に、本発明の可変容量型の往復動圧縮機は、車両用空調システム以外の種々のシステムに適用可能であるのは勿論であり、作動流体も冷媒に限定されない。
30 駆動軸
32 シリンダボア
34 ピストン
101 マフラー室
Claims (4)
- 吸入室、吐出室、前記吸入室に吸入弁を介して連通し且つ前記吐出室に吐出弁を介して連通する複数のシリンダボア、クランク室、及び、前記吸入室に連通したマフラー室が内部に区画され、且つ、前記吸入室と外部とを連通する吸入ポート及び前記吐出室と外部とを連通する吐出ポートが形成されたハウジングと、
前記クランク室内を延びる駆動軸と、
前記シリンダボア内に配置されたピストンと、
前記駆動軸の回転を前記ピストンの往復運動にストローク長可変にて変換する動力変換機構とを備え、
前記複数のシリンダボアは、シリンダブロックの外周部に同心上に配列され、
前記マフラー室は、前記シリンダボアの中央部に形成され、
前記動力変換機構は、
前記駆動軸に嵌合された円盤形状のロータと、
前記ロータの外周部にヒンジを介して連結されるとともに前記駆動軸によって貫通され、前記駆動軸に対して当該駆動軸の軸線方向に移動しながら傾動可能な環形状のカム部材と、
前記カム部材によって揺動させられる揺動板と、
前記揺動板と前記ピストンとを連結する連接棒と、
前記駆動軸に軸受を介して嵌合されるとともに、前記シリンダボアに形成されて前記マフラー室に繋がる支持孔の内周面によって当該内周面に対し相対回転不能且つ滑動可能に支持されたジョイントシャフトと、
前記揺動板と一体に揺動可能に設けられたジョイントケースと、
前記ジョイントシャフトに一体に設けられたJS側突出部と前記ジョイントケースに一体に設けられたJC側突出部との間に転動可能に挟持された複数のボールとを含み、
前記マフラー室における空洞部分の容積を前記ジョイントシャフトの滑動を利用して前記ピストンのストローク長に対応して変化させるマフラー容積調整機構を備えることを特徴とする可変容量往復動圧縮機。 - 前記マフラー室は、前記吸入ポートから前記吸入室を経て前記シリンダボアに至る流路から分岐されていることを特徴とする請求項1に記載の可変容量往復動圧縮機。
- 前記マフラー室は、前記吸入ポートから前記吸入室を経て前記シリンダボアに至る流路の一部を構成していることを特徴とする請求項1に記載の可変容量往復動圧縮機。
- 前記マフラー容積調整機構は、前記ジョイントシャフトと一体に設けられ、前記マフラー室内に進入することにより前記マフラー室の空洞部の容積を減少させる空洞占有部材を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の可変容量往復動圧縮機。
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