JP4561741B2 - 印刷装置 - Google Patents

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Description

本発明は、媒体に対してインクを吐出して画像を印刷する印刷装置、印刷方法、プログラムおよび印刷システムに関する。
媒体に対してインクを吐出して画像を印刷する印刷装置として、インクジェットプリンタが知られている。このインクジェットプリンタは、一般に、イエロ(Y)やシアン(C)、マゼンダ(M)、ブラック(K)といった2以上の異なる色のインクを吐出して媒体にカラー画像を印刷し得るようになっている。
このようなインクジェットプリンタにあっては、媒体に画像を印刷する場合に、その印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置に向けて各々インクを吐出してドットを形成するようになっている。これにより、媒体に印刷される画像は、多数のドットにより構成される。ここで、インクジェットプリンタが、印刷しようとする画像の各画素に対応する位置に向けて各々インクを吐出する方法としては、例えば、インターレース方式やオーバーラップ方式など、様々な印刷方式が採用されている(特開平6−191041号公報参照)。
ところで、このようなインクジェットプリンタにあっては、媒体に画像を印刷するために、印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置に向けて各々インクを吐出するときに、1つの画素に対応して複数回にわたりインクを吐出して複数のドットを形成する場合がある。これは、1つの画素に対応して複数のドットを形成することによって、1つの色のインクで様々な階調の色を表現するためのもので、インクの吐出量を多段階に変更できない場合であっても、多彩な色を表現することができる。
しかしながら、このように1つの画素に対応して複数回にわたりインクを吐出した場合には、次のような問題が発生した。すなわち、同じ画素に対応して吐出されたインクであっても、先に吐出されたインクと、後に吐出されたインクとでは、媒体上に到達する位置が異なる。このため、先に吐出されたインクによって形成されるドットの位置と、後から吐出されたインクによって形成されるドットの位置とが大きくずれることがあった。このようにドットの形成位置が大きくずれると、後から吐出されたインクによって形成されるドットの位置が、他の画素に対応して形成されるドットの位置と重なってしまい、ドットがバランス良く配置されないといった不具合が生じることがあった。このようにドットがバランス良く配置されない場合に、印刷される画像にムラが生じたり、また粒状感が増すなど、印刷画像の画質に悪影響を及ぼす場合があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、印刷する画像を構成するドットをバランス良く配置して、印刷画像の画質向上を図ることにある。
前記目的達成するための主たる発明は、
(A)媒体を所定方向に沿って搬送する搬送機構と、
(B)前記搬送機構による搬送動作の合間に、前記媒体に対して前記所定方向に交差する交差方向に相対的に移動しながら前記媒体に向けてインクを吐出する移動吐出動作を実行するヘッドであって、前記ヘッドは前記所定方向に並ぶ複数のノズルを有し、前記ノズルは、第1インク滴を吐出した後に第2インク滴を吐出するとともに、1回の前記移動吐出動作において吐出される2つの前記第1インク滴の間に前記第2インク滴を吐出して、前記媒体における前記第1インク滴の到達位置と前記第2インク滴の到達位置とが前記交差方向において所定距離となるように前記インクを吐出し、
(C)印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置に向けて前記ノズルから前記第1インク滴を吐出するための吐出タイミングを所定周期で周期的に規定する第1タイミング規定信号と、印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置からずれた位置に向けて前記ノズルから前記第1インク滴を吐出するための吐出タイミングを前記所定周期で周期的に規定する第2タイミング規定信号と、を出力する信号出力部であって、前記移動吐出動作毎に、前記第1タイミング規定信号および前記第2タイミング規定信号のうちどちらか一方を出力する信号出力部と、
を備え、
前記第1インク滴のインク量と前記第2インク滴のインク量とが異なり、
1回の前記移動吐出動作において、前記第1タイミング規定信号と前記第2タイミング規定信号のうちいずれか一方が用いられ、
1つのラスタラインは、2以上の前記移動吐出動作により前記第1タイミング規定信号と前記第2タイミング規定信号とが少なくとも1回以上ずつ用いられることにより、前記媒体に前記第1インク滴と前記第2インク滴とによるドットが複数形成されて形成され、
前記画素に対応する位置と、前記ずれた位置と、の間のズレ幅は、印刷しようとする画像を構成する画素の間隔よりも小さく、
前記ズレ幅は、印刷しようとする画像を構成する画素の間隔の半分である、印刷装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
[図1]印刷装置の一実施形態の全体構成の説明図である。
[図2]プリンタドライバが行う処理の概要を説明する説明図である。
[図3]プリンタドライバのユーザインターフェースの説明図である。
[図4]インクジェットプリンタの内部構成を示す斜視図である。
[図5]インクジェットプリンタの内部構成を示す縦断面図である。
[図6]インクジェットプリンタのシステム構成を示すブロック構成図である。
[図7]ヘッドのノズルの配列を示す説明図である。
[図8]印刷処理の一例を説明するフローチャートである。
[図9]リニア式エンコーダの構成を概略的に説明した図である。
[図10]リニア式エンコーダの検出部の構成を模式的に説明した図である。
[図11A]正転時のリニア式エンコーダの出力波形を示したタイミングチャートである。
[図11B]逆転時のリニア式エンコーダの出力波形を示したタイミングチャートである。
[図12]ヘッドの駆動回路の一例を説明した図である。
[図13]各信号のタイミングチャートである。
[図14]各信号のタイミングチャートである。
[図15A]インターレース方式による画像印刷手順の一例を説明する説明図である。
[図15B]インターレース方式による画像印刷手順の一例を説明する説明図である。
[図16A]他のインターレース方式による画像印刷手順を説明する説明図である。
[図16B]他のインターレース方式による画像印刷手順を説明する説明図である。
[図17A]オーバーラップ方式による画像印刷手順の一例を説明する説明図である。
[図17B]オーバーラップ方式による画像印刷手順の一例を説明する説明図である。
[図18]従来の問題点を説明するための図である。
[図19]本発明の問題点の解消方法を説明するための図である。
[図20]2種類のPTS信号を説明する図である。
[図21A]改善前のドットの配置例を説明する図である。
[図21B]改善後のドットの配置例を説明する図である。
[図21C]画像の印刷方法を説明する図である。
[図21D]実際のドットのサイズと間隔を説明する図である。
[図22A]ドットの間隔を説明する図である。
[図22B]改善前のドットの配置例を説明する図である。
[図22C]改善後のドットの配置例を説明する図である。
[図22D]画像の印刷方法を説明する図である。
[図23A]ドットの間隔を説明する図である。
[図23B]改善前のドットの配置例を説明する図である。
[図23C]改善後のドットの配置例を説明する図である。
[図23D]画像の印刷方法を説明する図である。
[図24A]ドットの間隔を説明する図である。
[図24B]改善前のドットの配置例を説明する図である。
[図24C]改善後のドットの配置例を説明する図である。
[図25A]改善前のドットの配置例を説明する図である。
[図25B]改善後のドットの配置例を説明する図である。
[図26]コントローラの処理手順の一例を説明するフローチャートである。
図面に用いた主な符号の凡例を以下に示す。
1 インクジェットプリンタ、3 排紙部、4 給紙部、7 排紙トレー、8 給紙トレー、11A 紙挿入口、11B ロール紙挿入口、13 給紙ローラ、14 プラテン、15 搬送モータ、17A 搬送ローラ、17B 排紙ローラ、18A フリーローラ、18B フリーローラ、21 ヘッド、30 クリーニングユニット、31 ポンプ装置、35 キャッピング装置、41 キャリッジ、42 キャリッジモータ、44 プーリ、45 タイミングベルト、46 ガイドレール、48 インクカートリッジ、51 リニア式エンコーダ、53 紙検知センサ、122 バッファメモリ、124 イメージバッファ、126 コントローラ、127 メインメモリ、128 キャリッジモータ制御部、129 EEPROM、130 搬送制御部、132 ヘッド駆動部、134 ロータリ式エンコーダ、150 システム、152 コンピュータ、153 CD−ROMドライブ装置、154 フロッピードライブ装置(FDD)、155 表示装置、156 キーボード、157 マウス、160 アプリケーションプログラム、162 ビデオドライバ、164 プリンタドライバ、166 解像度変換処理部、168 色変換処理部、170 ハーフトーン処理部、172 ラスタライズ処理部、211Y イエロノズル群、211M マゼンダノズル群、211C シアンノズル群、211K ブラックノズル群、220 駆動回路、222 原駆動信号生成部、224 第1シフトレジスタ、226 第2シフトレジスタ、228 ラッチ回路群、230データセレクタ、452 発光ダイオード、454 コリメータレンズ、456 検出処理部、458 フォトダイオード、460 信号処理回路、462A コンパレータ、462B コンパレータ、464 リニア式エンコーダ符号板、466 検出部
===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
(A)媒体を所定の方向に沿って搬送する搬送機構と、
(B)前記搬送機構による搬送動作の合間に、前記媒体に対して相対的に移動しながら前記媒体に向けてインクを吐出する移動吐出動作を実行するノズルと、
(C)印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置に向けて前記ノズルからインクを吐出するための周期的なタイミングを規定する第1タイミング規定信号と、印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置からずれた位置に向けて前記ノズルからインクを吐出するための周期的なタイミングを規定する第2タイミング規定信号とを出力する信号出力部であって、前記移動吐出動作毎に、前記第1タイミング規定信号および前記第2タイミング規定信号のうちのいずれか一方を出力する信号出力部と、
(D)を備えた印刷装置。
このような印刷装置にあっては、第1タイミング規定信号により、印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置に向けてインクを吐出する他に、第2タイミング規定信号により、印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置からずれた位置に向けてインクを吐出することができるから、ドットをバランス良く配置して、印刷ムラや粒状感を改善して画質の向上を図ることができる。
かかる印刷装置にあっては、前記第1タイミング規定信号と前記第2タイミング規定信号とが前記信号出力部から交互に出力されても良い。このように第1タイミング規定信号と第2タイミング規定信号とが交互に出力されれば、ドットをバランス良く配置して、印刷ムラや粒状感を改善して画質の向上を図ることができる。
また、かかる印刷装置にあっては、前記画素に対応する位置と、前記ずれた位置との間のズレ幅は、印刷しようとする画像を構成する画素の間隔よりも小さくてもよい。このように、このようにズレ幅が小さければ、印刷しようとする画像の解像度よりも高い解像度にてドットの配置を制御することができる。これにより、ドットをバランス良く配置して、印刷ムラや粒状感を改善してより一層の画質の向上を図ることができる。
また、かかる印刷装置にあっては、前記ズレ幅は、印刷しようとする画像を構成する画素の間隔の半分であっても良い。このようにズレ幅が画素の間隔の半分であれば、印刷しようとする画像の解像度よりも高い解像度にてドットの配置を制御することができ、印刷ムラや粒状感を改善してより一層の画質の向上を図ることができる。
また、かかる印刷装置にあっては、前記第1規定タイミング信号および前記第2規定タイミング信号のうちの少なくともいずれか一方の信号にて規定されたあるタイミングに応じて、前記ノズルからインクが2回以上にわたり連続的に吐出されてもよい。このような場合でも、ドットをバランス良く配置して、印刷ムラや粒状感を改善して画質の向上を図ることができる。
また、かかる印刷装置にあっては、前記あるタイミングに応じて前記ノズルから2回以上にわたり連続的に吐出されるインクのうち、最初に吐出されるインクが、前記画素に対応する位置または前記ずれた位置に向けて吐出されてもよい。このようにインクが吐出されることにより、ドットの配置をよりバランス良くすることができる。これにより、より一層の画質の向上を図ることができる。
また、かかる印刷装置にあっては、前記あるタイミングに応じて前記ノズルからインクが2回以上にわたり連続的に吐出されたときに、最初に吐出されたインクが前記媒体に到達する位置と、最後に吐出されたインクが前記媒体に到達する位置との間の間隔が、印刷しようとする画像を構成する画素の間隔よりも大きくてもよい。このように各回に吐出されたインクが到達する位置が、印刷しようとする画像を構成する画素の間隔よりも大きい場合に、ドットの配置をよりバランス良くして、より一層の画質の向上を図ることができる。
また、かかる印刷装置にあっては、前記あるタイミングに応じて前記ノズルからインクが2回以上にわたり連続的に吐出されるとき、各回に吐出されるインクの量が異なっていても良い。このように各回に吐出されるインクの量が異なる場合であっても、ドットの配置をよりバランス良くして、より一層の画質の向上を図ることができる。
また、かかる印刷装置にあっては、前記画像を構成するある画素に対応する位置または当該位置からずれた位置に向けて吐出されるインクと、前記ある画素に対して前記ノズルが移動する方向に隣接する別の画素に対応する位置または当該位置からずれた位置に向けて吐出されるインクとは、吐出される前記移動吐出動作が異なっても良い。このような場合に、ドットの配置をよりバランス良くして、より一層の画質の向上を図ることができる。
また、かかる印刷装置にあっては、前記ノズルを複数備えても良い。このようにノズルを複数備えた場合であっても、ドットの配置をよりバランス良くして、より一層の画質の向上を図ることができる。
(A)媒体を所定の方向に沿って搬送する搬送機構と、
(B)前記搬送機構による搬送動作の合間に、前記媒体に対して相対的に移動しながら前記媒体に向けてインクを吐出する移動吐出動作を実行するノズルと、
(C)印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置に向けて前記ノズルからインクを吐出するための周期的なタイミングを規定する第1タイミング規定信号と、印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置からずれた位置に向けて前記ノズルからインクを吐出するための周期的なタイミングを規定する第2タイミング規定信号とを出力する信号出力部であって、前記移動吐出動作毎に、前記第1タイミング規定信号および前記第2タイミング規定信号のうちのどちらか一方を出力する信号出力部と、
(D)を備え、
(E)前記第1タイミング規定信号と前記第2タイミング規定信号とが前記信号出力部から交互に出力され、
(F)前記画素に対応する位置と、前記ずれた位置との間のズレ幅は、印刷しようとする画像を構成する画素の間隔よりも小さく、
(G)前記ズレ幅は、印刷しようとする画像を構成する画素の間隔の半分であり、
(H)前記第1規定タイミング信号および前記第2規定タイミング信号のうちの少なくともいずれか一方の信号にて規定されたあるタイミングに応じて、前記ノズルからインクが2回以上にわたり連続的に吐出され、
(I)前記あるタイミングに応じて前記ノズルから2回以上にわたり連続的に吐出されるインクのうち、最初に吐出されるインクが、前記画素に対応する位置または前記ずれた位置に向けて吐出され、
(J)前記あるタイミングに応じて前記ノズルからインクが2回以上にわたり連続的に吐出されたときに、最初に吐出されたインクが前記媒体に到達する位置と、最後に吐出されたインクが前記媒体に到達する位置との間の間隔が、印刷しようとする画像を構成する画素の間隔よりも大きく、
(K)前記あるタイミングに応じて前記ノズルからインクが2回以上にわたり連続的に吐出されるとき、各回に吐出されるインクの量が異なり、
(L)前記画像を構成するある画素に対応する位置または当該位置からずれた位置に向けて吐出されるインクと、前記ある画素に対して前記ノズルが移動する方向に隣接する別の画素に対応する位置または当該位置からずれた位置に向けて吐出されるインクとが、それぞれ別の前記移動吐出動作にて吐出され、
(M)前記ノズルを複数備えた印刷装置。
媒体を所定の方向に沿って搬送するステップと、
前記媒体の搬送の合間に、前記媒体に対してノズルを相対的に移動させながら前記ノズルから前記媒体に向けてインクを吐出する移動吐出動作を実行するステップと、
印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置に向けてノズルからインクを吐出するための周期的なタイミングを規定する第1タイミング規定信号を出力するステップと、
印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置からずれた位置に向けてノズルからインクを吐出するための周期的なタイミングを規定する第2タイミング規定信号を出力するステップと、
前記移動吐出動作毎に、出力する信号として、前記第1タイミング規定信号および前記第2タイミング規定信号のうちのいずれか一方を選択するステップと、
を有する印刷方法。
媒体を所定の方向に沿って搬送するステップと、
前記媒体の搬送の合間に、前記媒体に対してノズルを相対的に移動させながら前記ノズルから前記媒体に向けてインクを吐出する移動吐出動作を実行するステップと、
印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置に向けてノズルからインクを吐出するための周期的なタイミングを規定する第1タイミング規定信号を出力するステップと、
印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置からずれた位置に向けてノズルからインクを吐出するための周期的なタイミングを規定する第2タイミング規定信号を出力するステップと、
前記移動吐出動作毎に、出力する信号として、前記第1タイミング規定信号および前記第2タイミング規定信号のうちのいずれか一方を選択するステップと、
を実行するプログラム。
コンピュータと、このコンピュータと通信可能な印刷装置とを具備した印刷システムであって、
前記印刷装置は、媒体を所定の方向に沿って搬送する搬送機構と、
前記搬送機構による搬送動作の合間に、前記媒体に対して相対的に移動しながら前記媒体に向けてインクを吐出する移動吐出動作を実行するノズルと、
印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置に向けて前記ノズルからインクを吐出するための周期的なタイミングを規定する第1タイミング規定信号と、印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置からずれた位置に向けて前記ノズルからインクを吐出するための周期的なタイミングを規定する第2タイミング規定信号とを出力する信号出力部であって、前記移動吐出動作毎に、前記第1タイミング規定信号および前記第2タイミング規定信号のうちのどちらか一方を出力する信号出力部と、
を備えた印刷システム。
===印刷装置の概要===
本発明にかかる印刷装置の実施の形態について、インクジェットプリンタ1を例にとり説明する。
図1は、そのインクジェットプリンタ1を示したものである。インクジェットプリンタ1は、コンピュータ152と有線または無線等により通信可能に接続される。なお、これらインクジェットプリンタ1と、コンピュータ152とにより構成されるシステム150は、印刷システムに相当する。
コンピュータ152は、パーソナルコンピュータなどをはじめとする各種コンピュータであり、一般に、CPUをはじめとする各種演算処理装置や、RAMやROM等の各種メモリ、ハードディスク装置(図示外)やCD−ROMドライブ装置153、フロッピードライブ装置(FDD)154等の各種ドライブ装置などを内部に備えている。また、この他に、コンピュータ152には、CRTディスプレイ等の表示装置155と、キーボード156やマウス157等の入力装置が接続されている。
コンピュータ152は、各種メモリや各種ドライブ装置からプログラムを読み出して、各種オペーレーティングシステム(Operating System:OS)の下にて各種プログラムを実行する。ここで実行されるプログラムの中に、当該コンピュータ152に接続されたインクジェットプリンタ1を制御するプログラムとして、プリンタドライバが含まれている。このプリンタドライバは、インターネット等の通信回線またはCD−ROM、フロッピーディスク(FD)などの記憶媒体等を通じて、コンピュータ152にインストールされたプログラムである。このプリンタドライバがコンピュータ152にインストールされることによって、コンピュータ152は、インクジェットプリンタ1(印刷装置)を制御する、いわゆる印刷制御装置としての機能を発揮することができる。このプリンタドライバの機能について詳しく説明する。
===プリンタドライバ===
<プリンタドライバについて>
プリンタドライバの処理の概要について説明する。図2は、プリンタドライバの処理の概略的に説明したものである。コンピュータ152では、このコンピュータ152に搭載されたオペレーティングシステムの下、ビデオドライバ162やアプリケーションプログラム160、プリンタドライバ164などの各種コンピュータプログラムが実行されている。ビデオドライバ162は、アプリケーションプログラム160やプリンタドライバ164からの表示命令に従って、例えばユーザインターフェース等を表示装置155に表示する機能を有する。アプリケーションプログラム160は、例えば、画像編集などを行う機能を有し、画像に関するデータ(画像データ)を作成する。ユーザは、アプリケーションプログラム160のユーザインターフェースを介して、アプリケーションプログラム160により編集した画像を印刷する指示を与えることができる。アプリケーションプログラム160は、印刷の指示を受けると、プリンタドライバ164に画像データを出力する。
プリンタドライバ164は、アプリケーションプログラム160から画像データを受け取り、この画像データを印刷データに変換し、印刷データをインクジェットプリンタ1に出力する。ここで、印刷データとは、インクジェットプリンタ1が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドデータと画素データとを有するデータである。また、コマンドデータとは、インクジェットプリンタ1に特定の動作の実行を指示するためのデータである。また、画素データとは、印刷される画像(印刷画像)を構成する画素に関するデータであり、例えば、ある画素に対応する媒体S上の位置に形成されるドットに関するデータ(ドットの色や大きさ等のデータ)である。
プリンタドライバ164は、アプリケーションプログラム160から出力された画像データを印刷データに変換するために、解像度変換処理部166と、色変換処理部168と、ハーフトーン処理部170と、ラスタライズ処理部172とを備えている。以下に、プリンタドライバ164の各処理部166、168、170、172が行う各種の処理について説明する。
解像度変換処理部166は、アプリケーションプログラム160から出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、媒体Sに印刷する際の解像度に変換する解像度変換処理を行う。解像度変換処理とは、例えば、紙に画像を印刷する際の解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラム160から受け取った画像データを720×720dpiの解像度の画像データに変換する。なお、解像度変換処理後の画像データは、RGB色空間により表される多階調(例えば256階調)のRGBデータである。以下、画像データを解像度変換処理したRGBデータをRGB画像データと呼ぶ。
色変換処理部168は、RGBデータをCMYK色空間により表されるCMYKデータに変換する色変換処理を行う。なお、CMYKデータは、インクジェットプリンタ1が有するインクの色に対応したデータである。この色変換処理は、RGB画像データの階調値とCMYK画像データの階調値とを対応づけたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)をプリンタドライバ164が参照することによって行われる。この色変換処理により、各画素についてのRGBデータが、インク色に対応するCMYKデータに変換される。なお、色変換処理後のデータは、CMYK色空間により表される256階調のCMYKデータである。以下、RGB画像データを色変換処理したCMYKデータをCMYK画像データと呼ぶ。
ハーフトーン処理部170は、高階調数のデータを、インクジェットプリンタ1が形成可能な階調数のデータに変換するハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理とは、例えば、256階調を示すデータが、2階調を示す1ビットデータや4階調を示す2ビットデータに変換する処理のことである。このハーフトーン処理では、ディザ法・γ補正・誤差拡散法などを利用して、インクジェットプリンタ1がドットを分散して形成できるように画素データを作成する。ハーフトーン処理部170は、ハーフトーン処理を行うとき、ディザ法を行う場合にはディザテーブルを参照し、γ補正を行う場合にはガンマテーブルを参照し、誤差拡散法を行う場合は拡散された誤差を記憶するための誤差メモリを参照する。ハーフトーン処理されたデータは、前述のRGBデータと同等の解像度(例えば、720dpi×720dpi)を有している。ハーフトーン処理されたデータは、例えば、各画素につき1ビット又は2ビットのデータから構成される。以下、ハーフトーン処理されたデータのうち、1ビットデータのものを2値データと呼び、2ビットデータのものを多値データと呼ぶ。
ラスタライズ処理部172は、ハーフトーン処理部によってハーフトーン処理されて得られた2値データや多値データ等のデータを、インクジェットプリンタ1に転送すべきデータ順に変更するラスタライズ処理を行う。これによりラスタライズ処理されたデータは、インクジェットプリンタ1に出力される。
<プリンタドライバ164の設定について>
図3は、プリンタドライバ164のユーザインターフェースの説明図である。このプリンタドライバ164のユーザインターフェースは、ビデオドライバ162を介して、表示装置155に表示される。ユーザーは、キーボード156やマウス157を用いて、プリンタドライバ164の各種の設定を行うことができる。
ユーザーは、この画面上から、印刷の解像度(印刷するときのドットの間隔)を選択することができる。例えば、ユーザーは、この画面上から、印刷の解像度として720dpiや360dpiを選択することができる。プリンタドライバ164は、選択された解像度に応じて解像度変換処理を行い、画像データを印刷データに変換する。
また、ユーザーは、この画面上から、印刷に用いられる印刷用紙(媒体)を選択することができる。例えば、ユーザーは、印刷媒体として、普通紙や光沢紙を選択することができる。媒体の種類(紙種)が異なれば、インクの滲み方や乾き方も異なるため、印刷に適したインク量も異なる。そのため、プリンタドライバ164は、選択された紙種に応じて、画像データを印刷データに変換する。
また、ユーザーは、この画面上から、印刷する画像の種類を選択することができる。ここでは、例えば、印刷する画像の種類を「カラー印刷」にするのか、「モノクロ印刷」にするのかを選択することができる。
このほかに、ユーザーは、この画面上から、印刷モードを選択することができる。プリンタドライバ164は、ユーザーにより選択された印刷モードに応じた形式になるように、画像データを印刷データに変換する。ここで、ユーザーが選択可能な印刷モードについては、後で詳しく説明する。
このように、プリンタドライバ164は、ユーザインターフェースを介して設定された条件に従って、画像データを印刷データに変換する。なお、ユーザーは、この画面上から、プリンタドライバ164の各種の設定を行うことができるほか、インクカートリッジ内のインクの残量を知ること等もできる。
===インクジェットプリンタ1の構成===
一方、インクジェットプリンタ1は、図1に示すように、背面から供給された印刷用紙等の媒体Sを前面から排出する構造を備えている。このインクジェットプリンタ1の背面部には、印刷される媒体Sがセットされる給紙部4が設けられている。この給紙部4には、媒体Sを支持するための給紙トレー8が設けられている。また、インクジェットプリンタ1の前面部には、印刷された媒体Sが排出される排紙部3が設けられている。この排紙部3には、排出された印刷済みの媒体Sを保持するための排紙トレー7が設けられている。
このインクジェットプリンタ1の内部構成について説明する。図4〜図6は、そのインクジェットプリンタ1の内部構成を説明するものである。図4は、そのインクジェットプリンタ1の印刷機構を説明するものである。図5は、そのインクジェットプリンタ1の搬送機構を説明するものである。図6は、そのインクジェットプリンタ1のシステム構成を説明するブロック構成図である。
このインクジェットプリンタ1は、図4に示すように、その内部にキャリッジ41を備えている。このキャリッジ41は、図中左右方向(キャリッジ移動方向ともいう。)に沿って相対的に移動可能に設けられたものである。キャリッジ41の周辺には、キャリッジモータ(CRモータともいう)42と、プーリ44と、タイミングベルト45と、ガイドレール46とが設けられている。キャリッジモータ42は、DCモータなどにより構成され、キャリッジ41をキャリッジ移動方向(左右方向)に沿って相対的に移動させるための駆動源として機能する。タイミングベルト45は、プーリ44を介してキャリッジモータ42に接続されるととも。また、タイミングベルト45は、その一部がキャリッジ41に接続され、キャリッジモータ42の回転駆動によってキャリッジ41をキャリッジ移動方向(左右方向)に沿って相対的に移動させる。ガイドレール46は、キャリッジ41をキャリッジ移動方向(左右方向)に沿って案内する。
この他に、キャリッジ41の周辺には、キャリッジ41の位置を検出するリニア式エンコーダ51と、媒体Sをキャリッジ41の移動方向と交差する方向(以下、搬送方向ともいう。「所定の方向」に相当。)に沿って搬送するための搬送ローラ17Aと、この搬送ローラ17Aを回転駆動させる搬送モータ15とが設けられている。
一方、キャリッジ41には、各種インクを収容したインクカートリッジ48と、媒体Sに対して印刷を行うヘッド21とが設けられている。インクカートリッジ48は、例えば、イエロ(Y)やマゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)などの各色のインクを収容しており、キャリッジ41に設けられたカートリッジ装着部49に着脱可能に装着されている。また、ヘッド21は、本実施形態では、媒体Sに対してインクを吐出して印刷を施す。このためにヘッド21には、インクを吐出するための多数のノズルが設けられている。このヘッド21のインクの吐出機構については、後で詳しく説明する。
この他に、このインクジェットプリンタ1の内部には、ヘッド21のノズルの目詰まりを解消するためのクリーニングユニット30が設けられている。このクリーニングユニット30は、ポンプ装置31と、キャッピング装置35とを有する。ポンプ装置31は、ヘッド21のノズルの目詰まりを解消するために、ノズルからインクを吸い出す装置であり、ポンプモータ(図示外)により作動する。一方、キャッピング装置35は、ヘッド21のノズルの目詰まりを防止するため、印刷を行わないとき(待機時など)に、ヘッド21のノズルを封止する。
次にこのインクジェットプリンタ1の搬送部の構成について説明する。この搬送部は、図5に示すように、紙挿入口11A及びロール紙挿入口11Bと、給紙モータ(不図示)と、給紙ローラ13と、プラテン14と、搬送モータ(PFモータともいう)15と、搬送ローラ17Aと排紙ローラ17Bと、フリーローラ18Aとフリーローラ18Bとを有する。これらのうち、搬送モータ15や搬送ローラ17A、排紙ローラ17Bなどは、搬送機構に相当する。
紙挿入口11Aは、媒体Sを挿入するところである。給紙モータ(図示外)は、紙挿入口11Aに挿入された媒体Sをインクジェットプリンタ1内に搬送するモータであり、パルスモータ等で構成される。給紙ローラ13は、紙挿入口11Aに挿入された媒体Sを図中矢印A方向(ロール紙の場合は矢印B方向)にインクジェットプリンタ1の内部に自動的に搬送するローラであり、給紙モータによって駆動される。給紙ローラ13は、略D形の横断面形状を有している。給紙ローラ13の円周部分の周囲長さは、搬送モータ15までの搬送距離よりも長く設定されているので、この円周部分を用いて媒体Sを搬送モータ15まで搬送することができる。
給紙ローラ13により搬送された媒体Sは、紙検知センサ53に当接する。この紙検知センサ53は、給紙ローラ13と、搬送ローラ17Aとの間に設置されたもので、給紙ローラ13により給紙された媒体Sを検知するようになっている。
紙検知センサ53により検知された媒体Sは、プラテン14へと搬送される。プラテン14は、印刷中の媒体Sを支持する支持部である。搬送モータ15は、媒体Sである例えば紙を紙搬送方向に送り出すモータであり、DCモータで構成される。搬送ローラ17Aは、給紙ローラ13によってインクジェットプリンタ1内に搬送された媒体Sを印刷可能な領域まで送り出すローラであり、搬送モータ15によって駆動される。フリーローラ18Aは、搬送ローラ17Aと対向する位置に設けられ、媒体Sを搬送ローラ17Aとの間に挟むことによって媒体Sを搬送ローラ17Aに向かって押さえる。
排紙ローラ17Bは、印刷が終了した媒体Sをインクジェットプリンタ1の外部に排出するローラである。排紙ローラ17Bは、不図示の歯車により、搬送モータ15によって駆動される。フリーローラ18Bは、排紙ローラ17Bと対向する位置に設けられ、媒体Sを排紙ローラ17Bとの間に挟むことによって媒体Sを排紙ローラ17Bに向かって押さえる。
次にこのインクジェットプリンタ1のシステム構成について説明する。このインクジェットプリンタ1は、図6に示すように、バッファメモリ122と、イメージバッファ124と、コントローラ126と、メインメモリ127と、EEPROM129とを備えている。バッファメモリ122は、コンピュータ152から送信された印刷データ等の各種データを受信して一時的に記憶する。また、イメージバッファ124は、受信した印刷データをバッファメモリ122より取得して格納する。また、メインメモリ127は、ROMやRAMなどにより構成される。
一方、コントローラ126は、メインメモリ127から制御用プログラムを読み出して、当該制御用プログラムに従ってインクジェットプリンタ1全体の制御を行う。本実施形態のコントローラ126は、キャリッジモータ制御部128と、搬送制御部130と、ヘッド駆動部132と、ロータリ式エンコーダ134と、リニア式エンコーダ51とを備えている。キャリッジモータ制御部128は、キャリッジモータ42の回転方向や回転数、トルクなどを駆動制御する。また、ヘッド駆動部132は、ヘッド21の駆動制御を行う。搬送制御部130は、搬送ローラ17Aを回転駆動する搬送モータ15など、搬送系に配置された各種駆動モータを制御する。
コンピュータ152から送られてきた印刷データは、一旦、バッファメモリ122に蓄えられる。ここで蓄えられた印刷データは、その中から必要な情報がコントローラ126により読み出される。コントローラ126は、その読み出した情報に基づき、リニア式エンコーダ51やロータリ式エンコーダ134からの出力を参照しながら、制御用プログラムに従って、キャリッジモータ制御部128や搬送制御部130、ヘッド駆動部132を各々制御する。
イメージバッファ124には、バッファメモリ122に受信された複数の色成分の印刷データが格納される。ヘッド駆動部132は、コントローラ126からの制御信号に従って、イメージバッファ124から各色成分の印刷データを取得し、この印刷データに基づきヘッド21に設けられた各色のノズルを駆動制御する。
===ヘッドの構成===
図7は、ヘッド21の下面におけるノズルの配列を示したものである。ヘッド21の下面には、同図に示すように、異なる色のインクを吐出する複数種類のノズル群211Y、211M、211C、211Kが設けられている。本実施形態では、ノズル群として、イエロ(Y)のインクを吐出するイエロノズル群211Yと、マゼンダ(M)のインクを吐出するマゼンダノズル群211Mと、シアン(C)のインクを吐出するシアンノズル群211Cと、ブラック(K)のインクを吐出するブラックノズル群211Kとがヘッド21に設けられている。
各ノズル群211Y、211M、211C、211Kは、インクを吐出するための吐出口であるノズル#1〜#180を複数個(本実施形態では180個)備えている。また、各ノズル群211Y、211M、211C、211Kは、キャリッジ41の移動方向に沿って相互に間隔をあけて並べられて設けられている。これらノズル群211Y、211M、211C、211Kは、搬送方向の位置が揃うように設けられている。すなわち、各ノズル群211Y、211M、211C、211Kのノズル#1〜#180が、それぞれ番号が同じノズルどうし、搬送方向に沿って同じ配置に配置されている。ここでは、各ノズル群211Y、211M、211C、211Kのノズル間隔(ノズルピッチ)がそれぞれ「k・D」に等しく設定されている。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、媒体Sに形成されるドットの最高解像度での間隔)である。また、kは、1以上の整数である。例えば、ノズルピッチが120dpi(1/120インチ)であって、搬送方向のドットピッチが360dpi(1/360)である場合、k=3である。
各ノズル群211Y、211M、211C、211Kのノズル#1〜#180は、媒体Sの搬送方向に対して、下流側のノズルほど若い番号が付されている(#1〜#180)。つまり、ノズル#1は、ノズル#180よりも搬送方向に下流側に位置している。また、紙幅センサ54は、搬送方向の位置に関して、一番上流側にあるノズル#180とほぼ同じ位置にある。各ノズル#1〜#180には、各ノズル#1〜#180を駆動してインクを吐出させるための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。
ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インクの流路の側壁を変形させる。これによって、インクの流路の体積がピエゾ素子の伸縮に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴となって各色の各ノズル#1〜#180から吐出される。
===印刷動作===
次に前述したインクジェットプリンタ1の印刷動作について説明する。ここでは、「双方向印刷」を例にして説明する。図8は、インクジェットプリンタ1の印刷動作の処理手順の一例を示したフローチャートである。以下で説明される各処理は、コントローラ126が、メインメモリ127又はEEPROM129に格納されたプログラムを読み出して、当該プログラムに従って実行される。
コントローラ126は、コンピュータ152から印刷データを受信すると、その印刷データに基づき印刷を実行すべく、まず、給紙処理を行う(S102)。給紙処理は、印刷しようとする媒体Sをインクジェットプリンタ1内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置とも言う)まで搬送する処理である。コントローラ126は、給紙ローラ13を回転させて、印刷しようとする媒体Sを搬送ローラ17Aまで送る。コントローラ126は、搬送ローラ17Aを回転させて、給紙ローラ13から送られてきた媒体Sを印刷開始位置に位置決めする。
次に、コントローラ126は、キャリッジ41を媒体Sに対して相対的に移動させて媒体Sに対して印刷を施す印刷処理を実行する。なお、この印刷処理により「印刷動作」が実行される。ここでは、まず、キャリッジ41をガイドレール46に沿って一の方向に向かって移動させながら、ヘッド21からインクを吐出する往路印刷を実行する(S104)。コントローラ126は、キャリッジモータ42を駆動してキャリッジ41を移動させるとともに、印刷データに基づきヘッド21を駆動してインクを吐出する。ヘッド21から吐出されたインクは、媒体Sに到達してドットとして形成される。
このようにして印刷を行った後、次に、媒体Sを所定量だけ搬送する搬送処理を実行する(S106)。なお、この搬送処理により「搬送動作」が実行される。この搬送処理では、コントローラ126は、搬送モータ15を駆動して搬送ローラ17Aを回転させて、媒体Sをヘッド21に対して相対的に搬送方向に所定量だけ搬送する。この搬送処理により、ヘッド21は、先ほどの印刷した領域とは異なる領域に印刷をすることが可能になる。
このようにして搬送処理を行った後、排紙すべきか否か排紙判断を実行する(S108)。ここで、印刷中の媒体Sに印刷すべき他のデータがなければ、排紙処理を実行する(S116)。一方、印刷中の媒体Sに印刷すべき他のデータがあれば、排紙処理は行わずに、復路印刷を実行する(S110)。この復路印刷は、キャリッジ41をガイドレール46に沿って先ほどの往路印刷とは反対の方向に移動させて印刷を行う。ここでも、コントローラ126は、キャリッジモータ42を先ほどとは逆に回転駆動させてキャリッジ41を移動させるとともに、印刷データに基づきヘッド21を駆動してインクを吐出し、印刷を施す。
復路印刷を実行した後、搬送処理を実行し(S112)、その後、排紙判断を行う(S114)。ここで、印刷中の媒体Sに印刷すべき他のデータがあれば、排紙処理は行わずに、ステップS104に戻って、再度往路印刷を実行する(S104)。一方、印刷中の媒体Sに印刷すべき他のデータがなければ、排紙処理を実行する(S116)。
排紙処理を行った後、次に、印刷終了か否かを判断する印刷終了判断を実行する(S118)。ここでは、次にコンピュータ152から印刷データに基づき、次に印刷すべき媒体Sがないかどうかチェックする。ここで、次に印刷すべき媒体Sがある場合には、ステップS102に戻り、再び給紙処理を実行して、印刷を開始する。一方、次に印刷すべき媒体Sがない場合には、印刷処理を終了する。
===リニア式エンコーダ===
<エンコーダの構成>
図9は、リニア式エンコーダ51の構成を概略的に示したものである。リニア式エンコーダ51は、リニア式エンコーダ符号板464と、検出部466とを備えている。リニア式エンコーダ符号板464は、図4に示すように、インクジェットプリンタ1内部のフレーム側に取り付けられている。一方、検出部466は、キャリッジ41側に取り付けられている。キャリッジ41がガイドレール46に沿って移動すると、検出部466がリニア式エンコーダ符号板464に沿って相対的に移動する。これによって、検出部466は、キャリッジ41の移動量を検出する。
<検出部の構成>
図10は、この検出部466の構成を模式的に示したものである。この検出部466は、発光ダイオード452と、コリメータレンズ454と、検出処理部456とを備えている。検出処理部456は、複数(例えば4個)のフォトダイオード458と、信号処理回路460と、例えば2個のコンパレータ462A、462Bとを有している。
発光ダイオード452の両端に抵抗を介して電圧Vccが印加されると、発光ダイオード452から光が発せられる。この光はコリメータレンズ454により平行光に集光されてリニア式エンコーダ用符号板464を通過する。リニア式エンコーダ用符号板464には、所定の間隔(例えば1/180インチ(1インチ=2.54cm))毎にスリットが設けられている。
リニア式エンコーダ用符号板464を通過した平行光は、図示しない固定スリットを通って各フォトダイオード458に入射し、電気信号に変換される。4個のフォトダイオード458から出力される電気信号は信号処理回路460において信号処理され、信号処理回路460から出力される信号はコンパレータ462A、462Bにおいて比較され、比較結果がパルスとして出力される。コンパレータ462A、462Bから出力されるパルスENC−A、ENC−Bがリニア式エンコーダ51の出力となる。
<出力信号>
図11A及び図11Bは、キャリッジモータ42の正転時及び逆転時における検出部466の2つの出力信号の波形を示したタイミングチャートである。図11A及び図11Bに示すように、キャリッジモータ42の正転時及び逆転時のいずれの場合も、パルスENC−AとパルスENC−Bとは位相が90度だけ異なっている。キャリッジモータ42が正転しているとき、即ち、キャリッジ41がガイドレール46に沿って移動しているときは、図11Aに示すように、パルスENC−AはパルスENC−Bよりも90度だけ位相が進み、キャリッジモータ42が逆転しているときは、図11Bに示すように、パルスENC−AはパルスENC−Bよりも90度だけ位相が遅れる。そして、パルスENC−A及びパルスENC−Bの1周期Tは、キャリッジ41がリニア式エンコーダ用符号板464のスリット間隔を移動する時間に等しい。
そして、リニア式エンコーダ51の出力パルスENC−A、ENC−Bの各々の立ち上がりエッジが検出され、検出されたエッジの個数が計数され、この計数値に基づいてキャリッジモータ42の回転位置が演算される。この計数はキャリッジモータ42が正転しているときは1個のエッジが検出されると「+1」を加算し、逆転しているときは、1個のエッジが検出されると「−1」を加算する。パルスENC−A及びENC−Bの各々の周期は、リニア式エンコーダ用符号板464の、あるスリットが検出部466を通過してから次のスリットが検出部466を通過するまでの時間に等しく、かつ、パルスENC−AとパルスENC−Bとは位相が90度だけ異なっている。このため、上記計数のカウント値「1」はリニア式エンコーダ用符号板464のスリット間隔の1/4に対応する。これにより上記計数値にスリット間隔の1/4を乗算すれば、その乗算値に基づいて、計数値が「0」に対応する回転位置からのキャリッジモータ42の移動量を求めることができる。このとき、リニア式エンコーダ51の解像度はリニア式エンコーダ用符号板464のスリットの間隔の1/4となる。
===ヘッドの駆動回路===
図12は、ヘッド21の駆動回路220の一例を示したものである。また、図13は、この駆動回路220の各信号を説明したタイミングチャートである。
この駆動回路220は、ヘッド21に設けられたノズル#1〜#180から各々インクを吐出するために設けられたもので、各ノズル#1〜#180にそれぞれ対応して設けられた180個のピエゾ素子PZT(1)〜(180)を駆動する。ピエゾ素子PZT(1)〜(180)の駆動は、当該駆動回路220に入力される印刷信号PRTSに基づき行われる。なお、同図中に各信号又は構成部の最後に付されたかっこ内の数字は、その信号又は構成部が対応するノズルの番号1〜180を示している。
本実施形態では、このような駆動回路220が、ヘッド21に設けられた各ノズル群211Y、211M、211C、211Kごとに個別に設けられている。すなわち、イエロノズル群211Y、マゼンダノズル群211M、シアンノズル群211Cおよびブラックノズル群211Kにそれぞれ対応して4つのノズル駆動回路220が設けられている。
駆動回路220の構成について説明する。駆動回路220は、図12に示すように、原駆動信号ODRVを発生する原駆動信号生成部222と、180個の第1シフトレジスタ224(1)〜(180)と、180個の第2シフトレジスタ226(1)〜(180)と、ラッチ回路群228と、データセレクタ230と、180個のスイッチSW(1)〜(180)とを備えている。
原駆動信号生成部222は、各ノズル#1〜#180に共通して用いられる原駆動信号ODRVを生成する。この原駆動信号ODRVは、各ノズル#1〜#180にそれぞれ対応して設けられた各ピエゾ素子PZT(1)〜(180)を駆動するための信号である。この原駆動信号ODRVは、図13に示すように、一画素分の主走査期間内(キャリッジ41が一画素の間隔を横切る時間内)に複数のパルス、ここでは、第1パルスW1および第2パルスW2を有する信号である。原駆動信号ODRVでは、これら複数のパルス(第1パルスW1および第2パルスW2)が所定の周期にて繰り返し発生する。原駆動信号生成部222で生成された原駆動信号ODRVは、各スイッチSW(1)〜(180)に向けて出力されている。
一方、印刷信号PRTS(図12参照)は、各ピエゾ素子(1)〜(180)を駆動するための180個の2ビットデータを含むデータ信号であり、各ノズル#1〜#180からのインクの吐出の有無や、吐出するインクの大きさなどを指示する信号である。このような印刷信号PRTSは、駆動回路220へとシリアル伝送され、そして、180個の第1シフトレジスタ224(1)〜(180)に入力される。次に、印刷信号PRTSは、第2シフトレジスタ226(1)〜(180)に入力される。ここで、第1シフトレジスタ224(1)〜(180)には、180個の2ビットデータのうち、1ビット目のデータがそれぞれ入力される。また、第2シフトレジスタ226(1)〜(180)には、180個の2ビットデータのうち、2ビット目のデータがそれぞれ入力される。
ラッチ回路群228は、第1シフトレジスタ224(1)〜(180)および第2シフトレジスタ226(1)〜(180)に格納されたデータをラッチして、「0(Low)」または「1(High)」の信号として取り出す。そして、ラッチ回路群228は、第1シフトレジスタ224(1)〜(180)および第2シフトレジスタ226(1)〜(180)に格納されたデータに基づき抽出された信号をそれぞれデータセレクタ230へと出力する。ラッチ回路群228のラッチタイミングは、当該ラッチ回路群228に入力されるラッチ信号(LAT)により制御される。すなわち、ラッチ回路群228に対して、ラッチ信号(LAT)として、図13に示すようなパルスが入力されると、ラッチ回路群228は、第1シフトレジスタ224(1)〜(180)および第2シフトレジスタ226(1)〜(180)に格納されたデータをラッチする。ラッチ回路群228は、ラッチ信号(LAT)としてパルスが入力される都度、ラッチする。
一方、データセレクタ230は、ラッチ回路群228から出力された信号(「0(Low)」または「1(High)」の信号)から、第1シフトレジスタ224(1)〜(180)および第2シフトレジスタ226(1)〜(180)のうちのいずれか一方に対応する信号を選択して、印刷信号PRT(1)〜(180)として、スイッチSW(1)〜(180)にそれぞれ出力する。データセレクタ230が選択する信号の切り替えは、当該データセレクタ230に入力されるラッチ信号(LAT信号)およびチェンジ信号(CH信号)の双方により行われる。
ここで、ラッチ信号(LAT信号)として、図13に示すようなパルスがデータセレクタ230に入力されると、データセレクタ230は、第2シフトレジスタ226(1)〜(180)に格納されたデータに対応する信号を選択して、印刷信号PRT(1)〜(180)として、スイッチSW(1)〜(180)にそれぞれ出力する。また、チェンジ信号(CH信号)として、図13に示すようなパルスがデータセレクタ230に入力されると、データセレクタ230は、第2シフトレジスタ226(1)〜(180)に格納されたデータに対応する信号から、第1シフトレジスタ224(1)〜(180)に格納されたデータに対応する信号へと、選択する信号を切り替えて、印刷信号PRT(1)〜(180)として、スイッチSW(1)〜(180)に出力する。そして、再び、ラッチ信号(LAT信号)としてパルスが入力されたときには、データセレクタ230は、第1シフトレジスタ224(1)〜(180)に格納されたデータに対応する信号から、第2シフトレジスタ226(1)〜(180)に格納されたデータに対応する信号へと、選択する信号を切り替えて、印刷信号PRT(1)〜(180)として、スイッチSW(1)〜(180)に出力する。
ここで、ラッチ信号(LAT信号)には、図13に示すように、1画素単位の周期にてパルスが発生する。また、チェンジ信号(CH信号)には、図13に示すように、1画素分の周期のちょうど真ん中のタイミングにてパルスが発生する。このことから、スイッチSW(1)〜(180)には、それぞれ1画素分に対応する2ビットのデータがシリアルに伝送されることになる。すなわち、「00」や「01」、「10」、「11」といった2ビットデータが、1画素分の周期毎に、印刷信号PRT(1)〜(180)として、スイッチSW(1)〜(180)にそれぞれ入力される。
スイッチSW(1)〜(180)は、データセレクタ230から出力された印刷信号PRT(1)〜(180)、即ち、「00」や「01」、「10」、「11」といった2ビットデータに基づき、原駆動信号生成部から入力された原駆動信号ODRVを通過させるか否かを決定する。すなわち、印刷信号PRT(i)のレベルが「1(High)」のときには、原駆動信号ODRVの対応する駆動パルス(第1パルスW1または第2パルスW2)をそのまま通過させて駆動信号DRV(i)とする。一方、印刷信号PRT(i)のレベルが「0(Low)」のときには、スイッチSW(1)〜(180)は、原駆動信号ODRVの対応する駆動パルス(第1パルスW1または第2パルスW2)を遮断する。
したがって、スイッチSW(1)〜(180)からピエゾ素子PZT(1)〜(180)へと入力される駆動信号DRV(i)は、図13に示すように、データセレクタ230からスイッチSW(1)〜(180)に対して入力される印刷信号PRT(1)〜(180)、即ち、「00」や「01」、「10」、「11」といった2ビットデータに応じて異なる。
ここで、印刷信号PRT(i)として「10」がスイッチSW(i)に入力された場合には、第1パルスW1のみがスイッチSW(i)を通過してピエゾ素子PZT(i)に入力される。ピエゾ素子PZT(i)は、この第1パルスW1にて駆動されて、ノズルからは、小さいサイズのインク滴(以下では、小インク滴とも言う)が吐出される。これにより、媒体Sには、小さいサイズのドット(小ドット)が形成される。
また、印刷信号PRT(i)として「01」がスイッチSW(i)に入力された場合には、第2パルスW2のみがスイッチSW(i)を通過してピエゾ素子PZT(i)に入力される。ピエゾ素子PZT(i)は、この第2パルスW2にて駆動されて、ノズルからは、先の小さいサイズのインク滴よりも大きいサイズのインク滴(以下では、中インク滴とも言う)が吐出される。これにより、媒体Sには、中くらいのサイズのドット(中ドット)が形成される。
また、印刷信号PRT(i)として「11」がスイッチSW(i)に入力された場合には、第1パルスW1および第2パルスW2の双方がスイッチSW(i)を通過してピエゾ素子PZT(i)に入力される。ピエゾ素子PZT(i)は、これら第1パルスW1および第2パルスW2にて駆動されて、ノズルからは、小インク滴と中インク滴とが吐出される。ここで、小インク滴と中インク滴とは、所定の時間差をあけて連続的に吐出される。これにより、媒体Sには、小インク滴により形成された小ドットと、中インク滴により形成された中ドットとが形成される。これら小ドットと中ドットとにより、媒体S上に擬似的に大きいサイズのドット(大ドット)が形成される。
また、印刷信号PRT(i)として「00」がスイッチSW(i)に入力された場合には、第1パルスW1および第2パルスW2のどちらもスイッチSW(i)を通過せず、ピエゾ素子PZT(i)には、何ら駆動パルスが入力されない。これにより、ノズルからは、インク滴が吐出されず、媒体Sにはドットが形成されない。
<PTS信号>
ラッチ回路群228またはデータセレクタ230に入力されるラッチ信号(LAT信号)およびチェンジ信号(CH信号)は、共に、PTS(Pulse Timing Signal)信号に基づき生成される。PTS信号は、これらラッチ信号(LAT信号)およびチェンジ信号(CH信号)においてパルスが発生するタイミングを規定する信号である。PTS信号のパルスは、リニア式エンコーダ51(検出部466)からの出力パルスENC−A、ENC−Bに基づき生成される。すなわち、PTS信号のパルスは、キャリッジ41の移動量に応じて発生する。なお、このPTS信号は、「第1タイミング規定信号」および「第2タイミング規定信号」に相当する。
図14は、PTS信号と、ラッチ信号(LAT信号)と、チェンジ信号(CH信号)とのタイミングの関係を詳しく説明したものである。PTS信号は、所定の周期T0にてパルスが発生する。ラッチ信号(LAT信号)およびチェンジ信号(CH信号)は、このPTS信号に発生したパルスに基づいて、各々パルスが発生する。ラッチ信号(LAT信号)のパルスは、PTS信号でパルスが発生した後、これに呼応して直ちにパルスが発生する。一方、チェンジ信号(CH信号)は、PTS信号でパルスが発生した後、所定時間経過してからパルスが発生する。これらラッチ信号(LAT信号)およびチェンジ信号(CH信号)の各パルスは、PTS信号でパルスが発生する都度、発生する。
PTS信号の生成は、コントローラ126により行われる。コントローラ126は、リニア式エンコーダ51(検出部466)からの出力パルスENC−A、ENC−Bに基づきPTS信号のパルスを生成するとともに、コンピュータ152から送られてきた印刷データに基づき、パルスが発生するタイミングと周期とを適宜変更する。コントローラ126にて生成されたPTS信号は、ヘッド駆動部132へと出力される。ヘッド駆動部132は、コントローラ126からのPTS信号に基づき、ラッチ信号(LAT信号)およびチェンジ信号(CH信号)を生成するとともに、原駆動信号生成部222にて原駆動信号ODRVを生成する
なお、第1タイミング規定信号および第2タイミング規定信号に相当するPTS信号を生成してヘッド駆動部132に出力するコントローラ126は、「信号出力部」に相当する。
===印刷方式===
<インターレース方式>
図15Aおよび図15Bは、インターレース方式により媒体Sにドットを形成して画像Gを印刷する方法について概略的に説明するものである。なお、ここでは、説明の便宜上、インクを吐出するノズル群211が媒体Sに対して移動しているように描かれているが、同図はノズル群211と媒体Sとの相対的な位置関係を示すものであって、実際には、媒体Sが搬送方向に沿って移動している。また、同図において、黒丸で示されたノズルは、インクを吐出するノズルであり、白丸で示されたノズルは、インクを吐出しないノズルである。図15Aは、パス1〜パス4におけるノズル群211(ヘッド21)の位置と、ドットの形成の様子を示し、図15Bは、パス1〜パス6におけるノズル群211(ヘッド21)の位置とドットの形成の様子を示している。
ここで、『パス』とは、ノズル群211を有するヘッド21がキャリッジ41の移動によりその移動方向に沿って1回移動する動作のことをいう。『インターレース方式』では、このような『パス』を繰り返し実行することによって、各パス毎にキャリッジ41の移動方向に沿ってドットを並べて形成して、印刷する画像Gを構成するラスタラインを順次形成して、画像Gを印刷する。なお、『ラスタライン』とは、キャリッジ41の移動方向に並ぶ画素の列であり、走査ラインともいう。また、『画素』とは、インク滴を着弾させてドットを記録する位置を規定するために、媒体S上に仮想的に定められた方眼状の桝目である。
インターレース方式では、媒体Sが搬送方向に一定の搬送量Fで搬送される毎に、各ノズルが、その直前のパスで記録されたラスタラインのすぐ上のラスタラインを記録する。このように搬送量を一定にして記録を行うためには、インクを吐出可能なノズル数N(整数)はkと互いに素の関係にあり、搬送量FはN・Dに設定される。
ここでは、ノズル群211のノズル#1〜#180のうちの#1〜#4を使って画像Gが形成される様子を示す。なお、ノズル群211のノズルピッチは4Dなので、インターレース方式で行うための条件である「Nとkが互いに素の関係」を満たすために、全てのノズルを用いることはできない。そこで、ここでは、簡略的に3つのノズル#1〜#3を用いてインターレース方式で画像Gの形成を行う場合について説明する。また、3つのノズルが用いられるため、媒体Sは搬送量3・Dにて搬送される。その結果、例えば、180dpi(4・D)のノズルピッチのノズル群211を用いて、720dpi(=D)のドット間隔にて紙にドットが形成される。
同図は、最初のラスタラインはパス3のノズル#1が形成し、2番目のラスタラインはパス2のノズル#2が形成し、3番目のラスタラインはパス1のノズル#3が形成し、4番目のラスタラインはパス4のノズル#1が形成し、連続的なラスタラインが形成される様子を示している。なお、パス1では、ノズル#3のみがインクを吐出し、パス2では、ノズル#2とノズル#3のみがインクを吐出している。これは、パス1及びパス2において全てのノズルからインクを吐出すると、連続したラスタラインを媒体Sに形成できないためである。なお、パス3以降では、3つのノズル(#1〜#3)がインクを吐出し、紙が一定の搬送量F(=3・D)にて搬送されて、連続的なラスタラインがドット間隔Dにて形成される。これにより、各パスごとにラスタラインが順次形成されて画像Gが印刷される。
図16Aおよび図16Bは、インターレース方式の他の方法を説明するものである。ここでは、使用するノズル数が異なっている。ノズルピッチ等は、前述の説明図の場合と同様であるので、説明を省略する。図16Aは、パス1〜パス4におけるノズル群211の位置とドットの形成の様子を示し、図16Bは、パス1〜パス9におけるノズル群211の位置とドットの形成の様子を示している。
同図では、ノズル群211のノズル#1〜#180のうちの#1〜#8を使って媒体Sに画像Gを印刷する例を説明する。ここで、ノズル群211のノズルピッチは4Dなので、インターレース方式で行うための条件である「Nとkが互いに素の関係」を満たすために、全てのノズルを用いることはできない。そこで、ここでは、簡略的に7つのノズル#1〜#7を用いてインターレース方式で行う場合について説明する。媒体Sの搬送量は、7つのノズル#1〜#7が用いられることから「7・D」に設定される。
同図は、最初のラスタラインはパス3のノズル#2が形成し、2番目のラスタラインはパス2のノズル#4が形成し、3番目のラスタラインはパス1のノズル#6が形成し、4番目のラスタラインはパス4のノズル#1が形成し、連続的なラスタラインが形成される様子を示している。なお、パス3以降では、7つのノズル(#1〜#7)がインクを吐出し、媒体Sが一定の搬送量F(=7・D)にて搬送されて、連続的なラスタラインがドット間隔Dにて形成される。
前述のインターレース方式と比較すると、インクの吐出に用いられるノズルの数が多くなっている。このため、インクを吐出するノズル数Nが多くなるので、1回の搬送量Fが大きくなり、印刷速度が速くなる。このように、インターレース方式で行う際に、インクを吐出可能なノズル数が増えると、印刷速度が速くなるので、有利になる。
<オーバーラップ方式>
図17Aおよび図17Bは、オーバーラップ方式により媒体Sに画像Gを印刷する方法を概略的に説明するものである。図17Aは、パス1〜パス8におけるノズル群211の位置とドットの形成の様子を示し、図17Bは、パス1〜パス12におけるノズル群211の位置とドットの形成の様子を示している。前述のインターレース方式では、一つのラスタラインは一つのノズルにより形成されていた。一方、オーバーラップ方式では、例えば、一つのラスタラインが、二つ以上のノズルにより形成されている。
オーバーラップ方式では、媒体Sが搬送方向に一定の搬送量Fで搬送される毎に、各ノズルが、数ドットおきに間欠的にドットを形成する。そして、他のパスにおいて、他のノズルが既に形成されている間欠的なドットを補完するようにドットを形成することにより、1つラスタラインが複数のノズルにより完成する。このようにM回のパスにて1つのラスタラインが完成する場合、オーバーラップ数Mと定義する。同図では、各ノズルは、1ドットおきに間欠的にドットを形成するので、パス毎に奇数番目の画素又は偶数番目の画素にドットが形成される。そして、1つのラスタラインが2つのノズルにより形成されているので、オーバーラップ数M=2になる。なお、前述のインターレース方式の場合、オーバーラップ数M=1になる。
オーバーラップ方式において、搬送量を一定にして記録を行うためには、次の(1)〜(3)の条件が必要となる。
(1)N/Mが整数である。
(2)N/Mはkと互いに素の関係にある。
(3)搬送量Fが(N/M)・Dに設定される。
同図では、ノズル群211のノズル数は180である。しかし、ノズル群211のノズルピッチは4D(k=4)なので、オーバーラップ方式により印刷を実施するための条件である「N/Mとkが互いに素の関係」を満たすために、全てのノズルを用いることはできない。そこで、ここでは、簡略的に、ノズル群211のノズル#1〜#180のうちの#1〜#6を使って画像Gが印刷される例について説明する。6つのノズルが用いられることから、媒体Sは搬送量3・Dにて搬送される。その結果、例えば、180dpi(4・D)のノズルピッチのノズル群を用いて、720dpi(=D)のドット間隔にて媒体Sにドットが形成される。また、1つのパスにおいて、各ノズルは走査方向に1ドットおきに間欠的にドットを形成する。図中において、キャリッジ移動方向に2つのドットが描かれているラスタラインは既に完成されている。例えば、図17Aにおいて、最初のラスタラインから6番目のラスタラインまでは、既に完成されている。1つのドットが描かれているラスタラインは、1ドットおきに間欠的にドットが形成されているラスタラインである。例えば、7番目や10番目のラスタラインは、1ドットおきに間欠的にドットが形成されている。なお、1ドットおきに間欠的にドットが形成された7番目のラスタラインは、パス9のノズル#1が補完するようにドットを形成することによって、完成される。
同図は、最初のラスタラインはパス3のノズル#4及びパス7のノズル#1が形成し、2番目のラスタラインはパス2のノズル#5及びパス6のノズル#2が形成し、3番目のラスタラインはパス1のノズル#6及びパス5のノズル#3が形成し、4番目のラスタラインはパス4のノズル#4及びパス8のノズル#1が形成し、連続的なラスタラインが形成される様子を示している。なお、パス1〜パス6において、ノズル#1〜ノズル#6のなかにインクを吐出しないノズルが存在する。これは、パス1〜パス6において全てのノズルからインクを吐出すると、連続したラスタラインを媒体Sに形成できないためである。なお、パス7以降では、6つのノズル(#1〜#6)がインクを吐出し、媒体Sが一定の搬送量F(=3・D)にて搬送されて、連続的なラスタラインがドット間隔Dにて形成される。
以下に、それぞれのパスにおいて形成されるドットの走査方向の形成位置をまとめて示す。
Figure 0004561741
ここで、「奇数」とは、キャリッジ移動方向に並ぶ画素(ラスタラインの画素)のうちの奇数番目の画素にドットを形成することを意味する。また、表中の「偶数」とは、走査方向に並ぶ画素のうちの偶数番目の画素にドットを形成することを意味する。例えば、パス3では、各ノズルは、奇数番目の画素にドットを形成する。1つのラスタラインがM個のノズルにより形成される場合、ノズルピッチ分のラスタラインが完成するためには、k×M回のパスが必要となる。例えば、本実施形態では、1つのラスタラインが2つのノズルにより形成されているので、4つのラスタラインが完成するためには、8回(4×2)のパスが必要となる。この表から分かるとおり、前半の4回のパスは、奇数−偶数−奇数−偶数の順にドットが形成される。この結果、前半の4回のパスが終了すると、奇数番目の画素にドットが形成されたラスタラインの隣のラスタラインには、偶数番目の画素にドットが形成されている。後半の4回のパスは、偶数−奇数−偶数−奇数の順にドットが形成される。つまり、後半の4回のパスは、前半の4回のパスと逆の順にドットが形成される。この結果、前半のパスにより形成されたドットの隙間を補完するように、ドットが形成される。
オーバーラップ方式も前述のインターレース方式と同様に、インクを吐出可能なノズル数Nが多くなると、1回の搬送量Fが大きくなり、印刷速度が速くなる。そのため、オーバーラップ方式で行う際に、インクを吐出可能なノズル数が増えると、印刷速度が速くなるので、有利になる。
===従来の問題点===
このようなインクジェットプリンタ1では、前述したように、印刷しようとする画像を構成する画素に対応して「大ドット」を形成するときに、その画素に対応してインクを2回吐出して2つのドットを形成する。すなわち、小インク滴および中インク滴をそれぞれ1回ずつ合計2回吐出して、「小ドット」および「中ドット」の2つのドットを形成する。このように同一の画素に対応してインクを複数回にわたり吐出した場合に、先に吐出されたインク(ここでは、小インク滴)と、後に吐出されたインク(ここでは、中インク滴)との間で、媒体Sに到達する位置に大きなズレが発生する。このようなズレが発生すると、ドットがバランス良く配置されず、印刷される画像にムラが生じたり、また粒状感が増すなど、画質に悪影響を及ぼすことがあった。
図18は、ドットがバランス良く配置されていない場合の一例を示したものである。ここで、横ラインL1〜L3は、印刷しようとする画像を構成する画素の横方向に対応する位置を表している。また、縦ラインN1〜N5は、印刷しようとする画像を構成する画素の縦方向に対応する位置を表している。すなわち、これら横ラインL1〜L3と、縦ラインN1〜N5とが相互に交差する位置がそれぞれ、印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置となる。画像を印刷する場合には、これら横ラインL1〜L3と、縦ラインN1〜N5とが相互に交差する位置に向けて、インクが吐出される。
ここで、印刷しようとする画像を構成する画素に対応して「大ドット」を形成するとする。小インク滴は、各画素に対応する位置、即ち横ラインL1〜L3と、縦ラインN1〜N5とが交差する位置に向けて吐出される。これにより、小インク滴は、横ラインL1〜L3と、縦ラインN1〜N5とが交差する位置に各々到達して、各交差位置には、それぞれ小ドットS1〜S15が形成される。
一方、中インク滴は、小インク滴に対して遅れて吐出されるため、各画素に対応する位置、即ち横ラインL1〜L3と、縦ラインN1〜N5とが交差する位置から所定の距離Mdだけずれた位置(小ドットS1と中ドットM1との位置関係参照)に到達することとなる。これにより、中インク滴は、横ラインL1〜L3と、縦ラインN1〜N5との交差位置から所定の距離Mdだけずれた位置に各々到達して、そのずれた位置にそれぞれ、中ドットM1〜M14が形成される。なお、小ドットS1〜S15と、中ドットM1〜14とにそれぞれ付された番号は、同じ画素に対応して形成されたドットどうしであることを表わす。
このように中ドットM1〜M14が、各画素に対応する位置、即ち横ラインL1〜L3と縦ラインN1〜N5とが交差する位置からずれた位置に形成されると、他の画素に対応して形成された小ドットS2〜S5、S7〜S10、S12〜S15とぴったり重なってしまうことがある。このように中ドットM1〜M14が他の画素に対応して形成された小ドットS2〜S5、S7〜S10、S12〜S15とぴったり重なってしまうと、粒状感や印刷ムラが生じるなど、印刷する画像の画質に悪影響が生じる場合があった。このようなことから、印刷する画像の画質に悪影響が生じないようにするために、ドットをバランス良く配置する必要があった。
===改善方法===
<概要>
本実施形態に係るインクジェットプリンタ1にあっては、このような問題点を解消するために、印刷しようとする画像を構成する画素に対応して各々吐出するインクのうち、一部のインクについては、従来と同様に、各画素に対応する位置に向けて吐出する一方、他のインクについては、各画素に対応する位置に向けて吐出するのではなく、各画素に対応する位置からずれた位置に向けてインクを吐出する。これによって、ドットをバランス良く配置して、印刷ムラや粒状感を改善して、印刷画像の画質向上を図る。
<改善例>
図19は、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1において画像を印刷した場合のドットの配置状態を説明したものである。なお、ここで、横ラインL1〜L3は、印刷しようとする画像を構成する画素の横方向に対応する位置を表している。また、縦ラインN1〜N5は、印刷しようとする画像を構成する画素の縦方向に対応する位置を表している。すなわち、これら横ラインL1〜L3と、縦ラインN1〜N5とが相互に交差する位置が、印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置となっている。
ここでは、各画素に対応する位置に対応してインクが吐出される他に、各画素に対応する位置からずれた位置、即ち、本実施形態では、各横ラインL1〜L3と、縦ラインN1〜N5の各間に設定された縦ラインQ1〜Q4とが交差する位置に向けてインクが吐出される。
各画素に対応する位置に対応してインク(小インク滴および中インク滴)が吐出されると、同図に示すように、各画素に対応する位置に対応した位置には、それぞれ小ドットS1、S3、S5、S7、S9、S11、S13、S15が形成される。また、各画素に対応する位置から所定の距離Mdだけずれた位置には、それぞれ中ドットM1、M3、M7、M9、M11、M13が形成される。また、各画素に対応する位置からずれた位置に対応してインク(小インク滴および中インク滴)が吐出されると、各画素に対応する位置からずれた位置、即ち横ラインL1〜L3と縦ラインQ1〜Q4との交差位置には、小ドットS2、S4、S6、S8、S12、S14が形成される。また、そのずれた位置から所定の距離Mdだけずれた位置には、それぞれ中ドットM2、M4、M6、M8、M12が形成される。
このように、各画素に対応する位置に対応してインクを吐出する以外に、各画素に対応する位置からずれた位置(横ラインL1〜L3と縦ラインQ1〜Q4との交差位置)に対応してインクを吐出することによって、小ドットS1〜S15と、中ドットM1〜M13とをバランス良く配置して形成することができる。これによって、印刷ムラや粒状感を改善して、印刷画像の画質向上を図ることができる。
<ずれた位置へのインクの吐出方法>
本実施形態に係るインクジェットプリンタ1にあっては、各画素に対応する位置に対応してインクを吐出する他に、各画素に対応する位置からずれた位置に対応してインクを吐出するために、コントローラ126は、パルスの発生タイミングが異なる2種類のPTS信号をヘッド駆動部132に向けて出力する。本実施形態では、コントローラ126は、PTS信号として、第1PTS信号と第2PTS信号との2種類の信号を出力する。コントローラ126は、これら第1PTS信号および第2PTS信号を適宜選択してヘッド駆動部132に出力することによって、各画素に対応する位置へのインクの吐出と、各画素に対応する位置からずれた位置へのインクの吐出との切り替えを行う。
図20は、本実施形態のコントローラ126が出力する第1PTS信号及び第2PTS信号を示したものである。第1PTS信号と第2PTS信号とは、それぞれパルスが発生するタイミングが異なっている。第2PTS信号の方が、第1PTS信号よりもパルスが発生するタイミングが時間差Δtmだけ遅れている。この時間差Δtmは、印刷する画像を構成する各画素に対応する位置からずれた位置に向けてインクを吐出するためのものである。すなわち、インクがノズルから吐出されるタイミングが時間差Δtm分だけ遅れることによって、印刷しようとする画像を構成する各画素に対応する位置からずれた位置に向けてインクを吐出することができる。この時間差Δtmは、印刷する画像を構成する各画素に対応する位置と、当該位置からずれた位置との間のズレ量に対応すべく設定される。つまり、例えば、図19に示す場合においては、縦ラインN1と縦ラインQ1との間の間隔分だけ、インクが到達する位置がずれるように、時間差Δtmが設定される。
なお、これら第1PTS信号および第2PTS信号は、第1タイミング規定信号および第2タイミング規定信号に相当する。また、これら第1PTS信号および第2PTS信号を生成してヘッド駆動部132に出力するコントローラ126は、信号出力部に相当する。
===ドットの配置例<その1>===
図21Aは、改善前のドットの配置状況の一例を説明したものである。図21Bは、改善後のドットの配置状況の一例を説明したものである。ここでは、横2880dpi×縦1440dpiの解像度を有する画像を印刷する場合を例にして説明する。なお、この画像を構成する画素の間隔は、横方向(キャリッジ移動方向)が1/2880×25.4(mm)=8.81(μm)であり、縦方向(搬送方向)が1/1440×25.4(mm)=17.6(μm)である。図中、横ラインL1〜L8は、印刷しようとする画像を構成する画素の横方向に対応する位置を表している。また、縦ラインN1〜N13は、印刷しようとする画像を構成する画素の縦方向に対応する位置を表している。すなわち、これら横ラインL1〜L8と、縦ラインN1〜N13とが相互に交差する位置が、それぞれ印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置となっている。
改善前は、印刷しようとする画像を構成する各画素に対応する位置に向けてインクが吐出される。このため、例えば、各画素に対して「大ドット」を形成した場合、図21Aに示すように、先に吐出された小インク滴は、各画素に対応する位置(横ラインL1〜L8と縦ラインN1〜N13との交差位置)に向けて吐出され、それら各位置にそれぞれ到達して、小ドットSが形成される。また、後から遅れて吐出された中インク滴は、各画素に対応する位置(横ラインL1〜L8と縦ラインN1〜N13との交差位置)から所定の距離Mdずれた位置に到達するから、そのずれた位置に各々中ドットMが形成される。
ここで、小ドットSが形成される位置と、中ドットMが形成される位置との間のズレ幅Mdが、画素の間隔、即ち縦ラインN1と縦ラインN2との間の間隔と近い場合には、同図に示すように、中ドットMの中心位置と小ドットSの中心位置とが非常に近くなり、相互に重なる面積が非常に大きくなる。このような場合、印刷される画像にムラが生じたり、また粒状感が増すなど、画質に悪影響が生じることがある。
そこで、このようなドット配置を改善するために、本実施形態では、図21Bに示すようにドットを配置する。ここでは、印刷する画像に構成する各画素に対応する位置(横ラインL1〜L8と縦ラインN1〜N13との交差位置)に対応してインクが吐出される他に、各画素に対応する位置からずれた位置に対応してインクが吐出される。なお、ここで、各画素に対応する位置からずれた位置とは、各横ラインL1〜L8と、縦ラインN1〜N13の各間に設定された縦ラインQ1〜Q12とが交差する位置のことである。
「大ドット」を形成するために、先に吐出された小インク滴は、各画素に対応する位置(横ラインL1〜L8と縦ラインN1〜N13との交差位置)に向けて吐出される他に、各画素に対応する位置からずれた位置(横ラインL1〜L3と縦ラインQ1〜Q4との交差位置)に向けて吐出される。これにより、小ドットSは、各画素に対応する位置(横ラインL1〜L8と縦ラインN1〜N13との交差位置)に形成される他に、各画素に対応する位置からずれた位置(横ラインL1〜L8と縦ラインQ1〜Q12との交差位置)にも形成される。
また、後から吐出された中インク滴は、同図に示すように、各画素に対応する位置(横ラインL1〜L8と縦ラインN1〜N13との交差位置)または各画素に対応する位置からずれた位置(横ラインL1〜L8と縦ラインQ1〜Q12との交差位置)から各々所定の距離Mdだけずれた位置に到達する。これによって、中ドットMは、各画素に対応する位置(横ラインL1〜L8と縦ラインN1〜N13との交差位置)から所定の距離Mdだけずれた位置に形成される他に、各画素に対応する位置からずれた位置(横ラインL1〜L8と縦ラインQ1〜Q12との交差位置)から所定の距離Mdだけずれた位置にも形成される。
このように、小ドットSおよび中ドットMが、各画素に対応する位置(横ラインL1〜L8と縦ラインN1〜N13との交差位置)またはこの位置から所定の距離Mdだけずれた位置に形成される以外に、各画素に対応する位置からずれた位置(横ラインL1〜L8と縦ラインQ1〜Q12との交差位置)またはこの位置から所定の距離Mdだけずれた位置にも形成されることによって、印刷しようとする画像を構成する画素の間隔よりも細かい間隔にてドットの配置の調整を行うことができる。このことから、印刷しようとする画像の解像度(ここでは、2880(dpi))よりも、より高い解像度(ここでは、5760(dpi))にてドットの配置を制御することができる。つまり、印刷しようとする画像の解像度よりも高い解像度にて画像を印刷することができる。これによって、印刷ムラや粒状感を改善して、印刷画像の画質向上を図ることができる。
<実際のドットのサイズと間隔>
図21Cは、実際のドットのサイズと間隔の一例を示したものである。実際のドットは、同図に示すように、小ドットSおよび中ドットM共に、非常に大きいサイズのドットである。例えば、小ドットSは、直径22(μm)ぐらいに形成されたり、また、中ドットMは、直径30(μm)ぐらいに形成される。これら小ドットSおよび中ドットMの間隔(所定の距離Md)は、ここでは、9.45(μm)ほどである。このため、これら小ドットSの中心位置と中ドットMの中心位置とがずれていたとしても、大きな重なり部分が生じる。
<印刷方法>
図21Bに示すようにドットを配置する場合の印刷方法について説明する。ここでは、図7に示すような搬送方向に沿って並んだ180個のノズル#1〜#180を用いて、オーバーラップ方式により画像を印刷する場合を例にして説明する。図21Dは、オーバーラップ方式による各画素の印刷手順の一例を示している。各マスは、画像を印刷するときに、小インク滴が吐出される位置にそれぞれ対応している。マスには、「1」〜「32」の番号が記載されている。これらの番号は、そのマスに対応する位置について、何番目のパスにてインクが吐出されるのかを示している。N1〜N4およびQ1〜Q4は、図21Bに示す縦ラインN1〜N4、Q1〜Q4に対応している。また、L1〜L8は、図21Bに示す横ラインL1〜L8に対応している。
印刷しようとする画像の搬送方向の解像度が1440(dpi)であり、ノズル間隔が180(dpi)であるとすると、『k=8』となる。1つのラスタラインを4つのノズルで形成すると、オーバーラップ数Mは『4』となる。ノズル数Nは『180』であることから、N/Mは『45』となる。ここで、『k』とN/Mは、互いに素の関係となることから、搬送量Fは、N/M×D(「D」は印刷する画像の搬送方向の画素間隔)、即ち、ここでは『45×D』となる。
このような搬送量Fにてオーバーラップ方式により印刷を実行したときに、各マスに記載された番号のパスにて、各マスに対応する位置に対応してインクを吐出することができる。つまり、縦ラインN1と横ラインL1とが交差する位置には、1番目のパスにてインクを吐出することができる。また、縦ラインQ3と横ラインL6とが交差する位置には、26番目のパスにてインクを吐出することができる。このようにして、オーバーラップ方式により各位置に対応してインクを吐出して画像を印刷することができる。
===ドットの配置例<その2>===
次に、小ドットSと中ドットMとの間の間隔が異なる場合のドット配置例について説明する。図22Aは、ドットの間隔を説明したものである。図22Bは、改善前のドット配置状態を示したものである。図22Cは、改善後のドットの配置状況を示したものである。なお、図22Bおよび図22Cに示す横ラインL1〜L8は、印刷しようとする画像を構成する画素の横方向に対応する位置を表し、縦ラインN1〜N13は、印刷しようとする画像を構成する画素の縦方向に対応する位置を表している。つまり、横ラインL1〜L8と、縦ラインN1〜N13とが相互に交差する位置が、それぞれ印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置となっている。
小ドットSおよび中ドットMの間隔は、ここでは、図22Aに示すように、13.79(μm)に設定されている。小ドットSおよび中ドットMの間隔がこのような場合に、従来のインクジェットプリンタにて形成されるドットの配置状態は、図22Bに示すようになる。すなわち、従来の場合、印刷しようとする画像を構成する各画素に対応する位置に向けてインクが吐出されるから、先に吐出されたインク(小インク滴)によって形成される小ドットSは、各画素に対応する位置(横ラインL1〜L8と縦ラインN1〜N13との交差位置)にそれぞれ形成される。一方、後から吐出されたインク(中インク滴)によって形成される中ドットMは、各画素に対応する位置(横ラインL1〜L8と縦ラインN1〜N13との交差位置)から所定の距離Md(=13.79(μm))ずれた位置に形成される。
ここで、小ドットSが形成される位置と、中ドットMが形成される位置との間のズレ幅Mdは、印刷する画像を構成する画素の間隔の約1.5倍ほどの幅であるから、中ドットMの中心位置は、相隣接した2つの小ドットSの間のちょうど中央に位置するようになる。これにより、同図に示すように、小ドットSおよび中ドットMの各中心位置が、相互に間隔をあけてバランス良く配置される。しかし、このドットの配置では、搬送方向に沿って、小ドットSばかりが集中して並ぶ列と、中ドットMばかりが集中して並ぶ列とが生じ、このため、印刷される画像にムラや粒状感が生じる可能性がある。
そこで、さらにドットの配置を改善するために、本実施形態では、小ドットSおよび中ドットMの位置をより高精度に調整する。このときの調整後のドットの配置の様子の一例を図22Cに示す。ここでは、同図に示すように、印刷する画像に構成する各画素に対応する位置(横ラインL1〜L8と縦ラインN1〜N13との交差位置)に対応してインクが吐出される他に、各画素に対応する位置からずれた位置に対応してインクが吐出される。なお、ここで、各画素に対応する位置からずれた位置とは、各横ラインL1〜L8と、縦ラインN1〜N13の各間に設定された縦ラインQ1〜Q12とが交差する位置のことである。
これによって、小ドットSは、各画素に対応する位置(横ラインL1〜L8と縦ラインN1〜N13との交差位置)に形成される他に、各画素に対応する位置からずれた位置(横ラインL1〜L8と縦ラインQ1〜Q12との交差位置)にも形成される。また、中ドットMは、各画素に対応する位置(横ラインL1〜L8と縦ラインN1〜N13との交差位置)から所定の距離Md(=13.79(μm))だけずれた位置に形成される他に、各画素に対応する位置からずれた位置(横ラインL1〜L8と縦ラインQ1〜Q12との交差位置)から所定の距離Mdだけずれた位置にも形成される。
ここでは、横ラインL1〜L8の1ライン(1ラスタライン)毎に、交互にドットが形成される位置が切り替わる。すなわち、1行目の横ラインL1においては、小ドットSが各画素に対応する位置(横ラインL1と縦ラインN1〜N12との交差位置)に形成され、また中ドットMが各画素に対応する位置から所定の距離Mdだけずれた位置に形成される。一方、2行目の横ラインL2においては、小ドットSが各画素に対応する位置からずれた位置(横ラインL2と縦ラインQ1〜Q12との交差位置)に形成され、また中ドットMがそのずれた位置からそれぞれ所定の距離Mdだけずれた位置に形成される。このようなドットの配置が、奇数行目の横ラインL1、L3、L5、L7と、偶数行目の横ラインL2、L4、L6、L8とで、交互に実施されている。これによって、同図に示すように、搬送方向に沿って、小ドットSばかりが並ぶ列や中ドットMばかりが並ぶ列を作ることなく、小ドットSと中ドットMとがバランス良く配置された状態を作ることができる。
このように小ドットSおよび中ドットMの配置を、印刷しようとする画像を構成する画素の間隔よりも細かい間隔にて調整することで、印刷しようとする画像の解像度(ここでは、2880(dpi))よりも、より高い解像度(ここでは、5760(dpi))にてドットの配置を制御することができる。このことから、印刷しようとする画像の解像度よりも高い解像度にて画像を印刷することができる。これより、印刷ムラや粒状感を改善して、印刷画像の画質向上を図ることができる。
<印刷方法>
図22Dは、図22Cに示すようにドットを配置する場合の印刷方法の一例について説明したものである。ここでは、オーバーラップ方式により画像を印刷する場合を例にして説明する。図22Dに示す各マスは、画像を印刷するときに、小インク滴が吐出される位置にそれぞれ対応している。各マスに記載された「1」〜「32」の番号は、そのマスに対応する位置について、何番目のパスにてインクが吐出されるのかを示している。N1〜N4およびQ1〜Q4は、図22Cの縦ラインN1〜N4、Q1〜Q4に対応している。また、L1〜L8は、図22Cの横ラインL1〜L8に対応している。
印刷しようとする画像の搬送方向の解像度が1440(dpi)であり、ノズル間隔が180(dpi)であるとすると、『k=8』となる。1つのラスタラインを4つのノズルで形成すると、オーバーラップ数Mは『4』となる。ノズル数Nは『180』であることから、『N/M』は『45』となる。ここで、『k』と『N/M』は、互いに素の関係となることから、搬送量Fは、『N/M』×D(「D」は印刷する画像の搬送方向の画素間隔)、即ち、ここでは『45×D』となる。
このような搬送量Fにてオーバーラップ方式により印刷を実行したときに、各マスに記載された番号のパスにて、各マスに対応する位置に対応してインクを吐出することができる。つまり、縦ラインN1と横ラインL1とが交差する位置には、1番目のパスにてインクを吐出することができる。また、縦ラインQ2と横ラインL4とが交差する位置には、16番目のパスにてインクを吐出することができる。このようにして、オーバーラップ方式により各位置に対応してインクを吐出して画像を印刷することができる。
===ドットの配置例<その3>===
次に小ドットSと中ドットMとの間隔が狭い場合の例について説明する。図23Aは、ドットの間隔について示したものである。図23Bは、改善前のドット配置状態を示したものである。図23Cは、改善後のドットの配置状況を示したものである。なお、図23Bおよび図23Cに示す横ラインL1〜L12は、印刷しようとする画像を構成する画素の横方向に対応する位置を表し、縦ラインN1〜N16は、印刷しようとする画像を構成する画素の縦方向に対応する位置を表している。つまり、横ラインL1〜L12と、縦ラインN1〜N16とが相互に交差する位置が、それぞれ印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置となっている。
小ドットSおよび中ドットMの中心位置の間隔は、ここでは、図23Aに示すように、5.44(μm)と非常に狭く設定されている。このように小ドットSおよび中ドットMの中心位置が非常に近いため、これら両ドットが重なる面積は非常に大きくなっている。このような場合に、従来のインクジェットプリンタにて形成されるドットの配置状態は、図23Bに示すようになる。小ドットSは、各画素に対応する位置(横ラインL1〜L12と縦ラインN1〜N16との交差位置)にそれぞれ形成される。一方、中ドットMは、各画素に対応する位置(横ラインL1〜L12と縦ラインN1〜N16との交差位置)から所定の距離Md(=5.44(μm))ずれた位置に形成される。
ここで、小ドットSが形成される位置と、中ドットMが形成される位置との間のズレ幅Mdは、印刷する画像を構成する画素の間隔の約半分ほどの幅であるから、中ドットMの中心位置は、相隣接した2つの小ドットSの間の中央に近い位置となる。これにより、同図に示すように、小ドットSおよび中ドットMの各中心位置が、相互に間隔をあけてバランス良く配置される。しかし、このドットの配置では、搬送方向に沿って、小ドットSばかりが集中して並ぶ列と、中ドットMばかりが集中して並ぶ列とが生じ、このため、印刷される画像にムラや粒状感が生じる可能性がある。
そこで、さらにドットの配置を改善するために、本実施形態では、小ドットSおよび中ドットMの位置をより高精度に調整する。このときの調整後のドットの配置の様子の一例を図23Cに示す。ここでは、同図に示すように、印刷する画像に構成する各画素に対応する位置(横ラインL1〜L12と縦ラインN1〜N16との交差位置)に対応してインクが吐出される他に、各画素に対応する位置からずれた位置(横ラインL1〜L12と縦ラインQ1〜Q15との交差位置)に対応してインクが吐出される。
これによって、小ドットSは、各画素に対応する位置(横ラインL1〜L12と縦ラインN1〜N16との交差位置)に形成される他に、各画素に対応する位置からずれた位置(横ラインL1〜L12と縦ラインQ1〜Q15との交差位置)にも形成される。また、中ドットMは、各画素に対応する位置(横ラインL1〜L12と縦ラインN1〜N16との交差位置)から所定の距離Md(=5.44(μm))だけずれた位置に形成される他に、各画素に対応する位置からずれた位置(横ラインL1〜L12と縦ラインQ1〜Q15との交差位置)から所定の距離Mdだけずれた位置にも形成される。
ここでは、横ラインL1〜L12の1ライン(1ラスタライン)毎に、交互にドットが形成される位置が切り替わる。すなわち、1行目の横ラインL1においては、小ドットSが各画素に対応する位置(横ラインL1と縦ラインN1〜N16との交差位置)に形成され、また中ドットMが各画素に対応する位置から所定の距離Mdだけずれた位置に形成される。一方、2行目の横ラインL2においては、小ドットSが各画素に対応する位置からずれた位置(横ラインL2と縦ラインQ1〜Q16との交差位置)に形成され、また中ドットMがそのずれた位置からそれぞれ所定の距離Mdだけずれた位置に形成される。このようなドットの配置が、奇数行目の横ラインL1、L3、L5、L7、L9、L11と、偶数行目の横ラインL2、L4、L6、L8、L10、L12とで、交互に実施されている。これによって、同図に示すように、搬送方向に沿って、小ドットSばかりが並ぶ列や中ドットMばかりが並ぶ列を作ることなく、小ドットSと中ドットMとがバランス良く配置された状態を作ることができる。
このように小ドットSおよび中ドットMの配置を、印刷しようとする画像を構成する画素の間隔よりも細かい間隔にて調整して、印刷しようとする画像の解像度(ここでは、2880(dpi))よりも、より高い解像度(ここでは、5760(dpi))にてドットの配置を制御することで、印刷しようとする画像の解像度よりも高い解像度にて画像を印刷することができる。これより、印刷ムラや粒状感を改善して、印刷画像の画質向上を図ることができる。
<印刷方法>
図23Dは、図23Cに示すようにドットを配置する場合の印刷方法の一例について説明したものである。ここでは、オーバーラップ方式により画像を印刷する場合を例にして説明する。図23Dに示す各マスは、画像を印刷するときに、小インク滴が吐出される位置にそれぞれ対応している。各マスに記載された番号は、そのマスに対応する位置について、何番目のパスにてインクが吐出されるのかを示している。N1〜N8およびQ1〜Q8は、図23Cの縦ラインN1〜N8、Q1〜Q8に対応している。また、L1〜L12は、図23Cの横ラインL1〜L12に対応している。
オーバーラップ数M『8』、『N/M=11』の条件にて印刷を実行したときに、各マスに記載された番号のパスにて、各マスに対応する位置に対応してインクを吐出することができる。つまり、縦ラインN1と横ラインL1とが交差する位置には、1番目のパスにてインクを吐出することができる。また、縦ラインQ3と横ラインL6とに対応する画素については、92番目のパスにてインクを吐出することができる。このようにして、オーバーラップ方式により各位置に対応してインクを吐出して各ドットを形成して画像を印刷することができる。
なお、ここでは、小インク滴を吐出する位置を1パス毎に交互に切り替えるようになっている。すなわち、奇数番目のパス(図中、灰色の着色部分)では、印刷する画像を構成する各画素に対応する位置に向けて小インク滴が吐出され、偶数番目のパス(図中、非着色部分)では、印刷する画像を構成する各画素に対応する位置からずれた位置に向けて小インク滴が吐出される。これにより、横ラインL1〜L12の1行(1ラスタライン)毎に、小インク滴が吐出される位置が変更される。
===ドットの配置例<その4>===
次に小ドットSと中ドットMとの間隔が広い場合の例について説明する。図24Aは、ドットの間隔について示したものである。図24Bは、改善前のドット配置状態を示したものである。図24Cは、改善後のドットの配置状況を示したものである。なお、図24Bおよび図24Cに示す横ラインL1〜L12は、印刷しようとする画像を構成する画素の横方向に対応する位置を表し、縦ラインN1〜N20は、印刷しようとする画像を構成する画素の縦方向に対応する位置を表している。つまり、横ラインL1〜L12と、縦ラインN1〜N20とが相互に交差する位置が、それぞれ印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置となっている。
小ドットSおよび中ドットMの中心位置の間隔は、ここでは、図24Aに示すように、29.44(μm)と非常に広く設定されている。このように小ドットSおよび中ドットMの中心位置が非常に離れているため、これら両ドットが重なる面積は小さくなっている。このような場合に、従来のインクジェットプリンタにて形成されるドットの配置状態は、図24Bに示すようになる。小ドットSは、各画素に対応する位置(横ラインL1〜L12と縦ラインN1〜N20との交差位置)にそれぞれ形成される。一方、中ドットMは、各画素に対応する位置(横ラインL1〜L12と縦ラインN1〜N20との交差位置)から所定の距離Md(=29.44(μm))ずれた位置に形成される。
ここで、小ドットSが形成される位置と、中ドットMが形成される位置との間のズレ幅Mdは、印刷する画像を構成する画素の間隔の約3.5倍ほどの幅であるから、中ドットMの中心位置は、相隣接した2つの小ドットSの間の中央に近い位置となる。これにより、同図に示すように、小ドットSおよび中ドットMの各中心位置が、相互に間隔をあけてバランス良く配置される。しかし、このドットの配置では、搬送方向に沿って、小ドットSばかりが集中して並ぶ列と、中ドットMばかりが集中して並ぶ列とが生じ、このため、印刷される画像にムラや粒状感が生じる可能性がある。
そこで、さらにドットの配置を改善するために、本実施形態では、小ドットSおよび中ドットMの位置をより高精度に調整する。このときの調整後のドットの配置の様子の一例を図24Cに示す。ここでは、同図に示すように、印刷する画像に構成する各画素に対応する位置(横ラインL1〜L12と縦ラインN1〜N20との交差位置)に対応してインクが吐出される他に、各画素に対応する位置からずれた位置(横ラインL1〜L12と縦ラインQ1〜Q19との交差位置)に対応してインクが吐出される。
これによって、小ドットSは、各画素に対応する位置(横ラインL1〜L12と縦ラインN1〜N20との交差位置)に形成される他に、各画素に対応する位置からずれた位置(横ラインL1〜L12と縦ラインQ1〜Q19との交差位置)にも形成される。また、中ドットMは、各画素に対応する位置(横ラインL1〜L12と縦ラインN1〜N20との交差位置)から所定の距離Md(=29.44(μm))だけずれた位置に形成される他に、各画素に対応する位置からずれた位置(横ラインL1〜L12と縦ラインQ1〜Q19との交差位置)から所定の距離Mdだけずれた位置にも形成される。
ここでは、横ラインL1〜L12の1ライン(1ラスタライン)毎に、交互にドットが形成される位置が切り替わる。すなわち、1行目の横ラインL1においては、小ドットSが各画素に対応する位置(横ラインL1と縦ラインN1〜N20との交差位置)に形成され、また中ドットMが各画素に対応する位置から所定の距離Mdだけずれた位置に形成される。一方、2行目の横ラインL2においては、小ドットSが各画素に対応する位置からずれた位置(横ラインL2と縦ラインQ1〜Q19との交差位置)に形成され、また中ドットMがそのずれた位置からそれぞれ所定の距離Mdだけずれた位置に形成される。このようなドットの配置が、奇数行目の横ラインL1、L3、L5、L7、L9、L11と、偶数行目の横ラインL2、L4、L6、L8、L10、L12とで、交互に実施されている。これによって、同図に示すように、搬送方向に沿って、小ドットSばかりが並ぶ列や中ドットMばかりが並ぶ列を作ることなく、小ドットSと中ドットMとがバランス良く配置された状態を作ることができる。
このように小ドットSおよび中ドットMの配置を、印刷しようとする画像を構成する画素の間隔よりも細かい間隔にて調整して、印刷しようとする画像の解像度(ここでは、2880(dpi))よりも、より高い解像度(ここでは、5760(dpi))にてドットの配置を制御することで、印刷しようとする画像の解像度よりも高い解像度にて画像を印刷することができる。これより、印刷ムラや粒状感を改善して、印刷画像の画質向上を図ることができる。
なお、印刷方法は、「ドットの配置例<その3>」の場合と同じ方法、即ち図23Dにより説明した方法により印刷を実行することができる。
===ドットの配置例<その5>===
次に小ドットSのみを形成した場合の例について説明する。図25Aは、改善前のドットの配置の一例を説明したものである。図25Bは、改善後のドットの配置の一例を説明したものである。なお、ここで、横ラインL1〜L3は、印刷しようとする画像を構成する画素の横方向に対応する位置を表し、縦ラインN1〜N5は、印刷しようとする画像を構成する画素の縦方向に対応する位置を表している。つまり、横ラインL1〜L3と、縦ラインN1〜N5とが相互に交差する位置が、それぞれ印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置となっている。
改善前は、図25Aに示すように、小インク滴が、各画素に対応する位置に向けて吐出され、小ドットSは、各画素に対応する位置(横ラインL1〜L3と縦ラインN1〜N5との交差位置)にそれぞれ形成される。改善後は、図25Bに示すように、小インク滴は、印刷する画像に構成する各画素に対応する位置(横ラインL1〜L3と縦ラインN1〜N5との交差位置)に対応してインクが吐出される他に、各画素に対応する位置からずれた位置(横ラインL1〜L3と縦ラインQ1〜Q4との交差位置)に対応してインクが吐出される。
これによって、小ドットSは、各画素に対応する位置(横ラインL1〜L3と縦ラインN1〜N5との交差位置)に形成される他に、各画素に対応する位置からずれた位置(横ラインL1〜L3と縦ラインQ1〜Q4との交差位置)にも形成される。
ここでは、横ラインL1〜L3の1ライン(1ラスタライン)毎に、交互にドットが形成される位置が切り替わる。すなわち、1行目の横ラインL1においては、小ドットSが各画素に対応する位置(横ラインL1と縦ラインN1〜N5との交差位置)に形成される。一方、2行目の横ラインL2においては、小ドットSが各画素に対応する位置からずれた位置(横ラインL2と縦ラインQ1〜Q4との交差位置)に形成される。このようなドットの配置が、奇数行目の横ラインL1、L3と、偶数行目の横ラインL2とで、交互に実施されている。これによって、同図に示すように、搬送方向に沿って、小ドットSばかりが並ぶ列を作ることなく、小ドットSがバランス良く配置された状態を作ることができる。
このように小ドットSのみの場合であっても、印刷しようとする画像を構成する画素の間隔よりも細かい間隔にて調整することで、印刷しようとする画像の解像度よりも、より高い解像度にてドットの配置を制御して画像を印刷することができる。これより、印刷ムラや粒状感を改善して、印刷画像の画質向上を図ることができる。
===コントローラの処理===
コントローラ126は、コンピュータ152から送られてきた印刷データに付帯した制御データに基づき、パス毎に、印刷する画像を構成する画素に対応する位置に対応してインクを吐出すべきか、印刷する画像を構成する画素に対応する位置からずれた位置に対応してインクを吐出すべきなのか判断する。
ここで、制御データは、コンピュータ152に搭載されたプリンタドライバ164により作成される。プリンタドライバ164は、ハーフトーン処理部170にてハーフトーン処理されて得られた2値データや多値データ等のデータを、ラスタライズ処理部172にてインクジェットプリンタ1に転送すべきデータ順に変更するラスタライズ処理をする際に、各パス毎に、印刷する画像を構成する画素に対応する位置に対応してインクを吐出すべきか、印刷する画像を構成する画素に対応する位置からずれた位置に対応してインクを吐出すべきなのかを指示する制御データを作成する。そして、この制御データをインクジェットプリンタ1へと送信する印刷データに添付する。
コントローラ126は、コンピュータ152からの制御データに基づき、第1PTS信号を出力するのか第2PTS信号を出力するのかを決定する。つまり、印刷する画像を構成する画素に対応する位置に対応してインクを吐出する場合には、出力する信号として、第1PTS信号を選択し、また、印刷する画像を構成する画素に対応する位置からずれた位置に対応してインクを吐出する場合には、出力する信号として、第2PTS信号を選択する。
図26は、コントローラ126の処理手順の一例を示したフローチャートである。コントローラは、コンピュータ152から印刷データを受信した後(S200)、次に、その印刷データに付帯して送られてきた制御データを参照する(S202)。ここで、コントローラ126は、まず、最初に印刷処理を実行すべきパスにおいて、印刷する画像を構成する画素に対応する位置に対応してインクを吐出すべきなのか、印刷する画像を構成する画素に対応する位置からずれた位置に対応してインクを吐出すべきなのかを決定するための情報を取得する。
次に、コントローラ126は、取得した情報に基づき、次に実行するパスにおいて、印刷する画像を構成する画素に対応する位置からずれた位置に対応してインクを吐出する必要があるかないかをチェックする(S204)。ここで、コントローラ126は、ずれた位置に対応してインクを吐出する必要はなかった場合には、次にステップS206へと進み、ヘッド駆動部132に対して出力すべきPTS信号として、第1PTS信号を選択する(S206)。一方、ずれた位置に対応してインクを吐出する必要があった場合には、ステップS212へと進み、ヘッド駆動部132に対して出力すべきPTS信号として、第2PTS信号を選択する(S212)。
このようにして各々ヘッド駆動部132に出力すべき信号を選択した後、コントローラ126は、次に、キャリッジ41の移動が開始されたか否かチェックする(S208・S214)。ここで、キャリッジ41の移動が開始されていなかった場合には、再びステップS208またはS214へと戻り、再度、キャリッジ41の移動が開始されたか否かをチェックする(S208・S214)。このチェックは、キャリッジ41の移動が開始されるまで繰り返し行われる。
ここで、キャリッジ41の移動が開始されていた場合には、次に、コントローラ126は、ステップS210またはS216へと進み、ヘッド駆動部132に向けて第1PTS信号または第2PTS信号の出力を開始する(S210・S216)。
このように第1PTS信号または第2PTS信号の出力を開始した後、次に、コントローラ126は、ステップS218へと進み、キャリッジ41の移動が終了したか否かをチェックする(S218)。ここで、キャリッジ41の移動が終了していなかった場合には、再びステップS218へと戻り、再度、キャリッジ41の移動が終了したか否かをチェックする(S218)。このチェックは、キャリッジ41の移動が終了するまで繰り返し行われる。
ここで、キャリッジ41の移動が終了していた場合には、コントローラ126は、第1PTS信号または第2PTS信号の出力を終了する(S220)。このようにしてコントローラ126は、第1PTS信号または第2PTS信号の出力を終了した後、次にステップS222へと進み、印刷が終了したか否かをチェックする(S222)。ここで、印刷が終了していた場合には、コントローラ126は、処理を終了する。一方、印刷が終了していなかった場合には、コントローラ126は、ステップS202へと戻り、再度、制御データを参照する(S202)。そして、コントローラ126は、次に実行するパスにおいて、印刷する画像を構成する画素に対応する位置からずれた位置に対応してインクを吐出する必要があるかないかをチェックする(S204)。このようにしてコントローラ126は、パス毎に、コンピュータ152から送られてきた印刷データに付帯した制御データに基づき、印刷する画像を構成する画素に対応する位置に対応してインクを吐出すべきか、印刷する画像を構成する画素に対応する位置からずれた位置に対応してインクを吐出すべきなのか判断して、第1PTS信号または第2PTS信号を適宜切り替えてヘッド駆動部132に向けて出力する。
===双方向印刷の場合について===
前述した実施の形態、即ちドット配置例<その1>〜<その4>では、キャリッジ41がある方向に移動したときに、ノズルからインクを吐出してドットを形成して印刷をする場合を例にして説明していたが、キャリッジ41が往復移動したときに、その往路および復路の双方においてノズルからインクを吐出してドットを形成して印刷をする、いわゆる双方向印刷においても十分に実施することができる。
この双方向印刷の場合、往路では、先にノズルから小インク滴が吐出されて、後から中インク滴が吐出され、復路では、先にノズルから中インク滴が吐出されて、後から小インク滴が吐出されることがある。このような場合、復路においては、中インク滴が、印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置またはその位置からずれた位置に向けて吐出される。これにより、印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置またはその位置からずれた位置には、中ドットが形成される。また、小ドットは、印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置から所定の距離Md分だけずれた位置、または印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置からずれた位置から所定の距離Md分だけずれた位置に形成される。
このように双方向印刷を行う場合であっても、印刷しようとする画像の解像度よりも、より高い解像度にてドットの配置を制御することで、印刷しようとする画像の解像度よりも高い解像度にて画像を印刷することができる。これより、印刷ムラや粒状感を改善して、印刷画像の画質向上を図ることができる。
===その他の実施の形態===
以上、一実施形態に基づき、印刷装置として前述したようなインクジェットプリンタ1を例にして説明したが、上記の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更または改良され得るとともに、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、印刷装置に含まれるものである。
また、本実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部又は全部をソフトウェアによって置き換えてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアによって置き換えても良い。
また、印刷装置(インクジェットプリンタ1)側にて行っていた処理の一部をコンピュータ152側にて行ってよく、また印刷装置(インクジェットプリンタ1)とコンピュータ152との間に専用の処理装置を介設して、この処理装置にて処理の一部を行わせるようにしてもよい。
<印刷装置について>
印刷装置としては、前述したインクジェットプリンタ1の他に、例えば、バブルジェット方式のプリンタなど、インクを吐出して印刷をする印刷装置であれば、どのようなタイプの印刷装置であっても構わない。
<画素に対応する位置からずれた位置について>
前述した実施の形態では、印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置からずれた位置として、印刷しようとする画像を構成する画素のちょうどの真ん中の位置を例にして説明していたが、必ずしもこのような場合に限られない。すなわち、印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置からずれた位置であれば、どのような位置であっても構わない。例えば、そのずれた位置が、印刷する画像を構成する画素に対応する位置から、その画素の間隔以上ずれていても構わない。また、印刷する画像を構成する画素に対応する位置から、その画素の間隔の1/3や1/4、1/5に相当する幅だけずれていても良い。
<第1タイミング規定信号及び第2タイミング規定信号について>
前述した実施の形態では、第1タイミング規定信号および第2タイミング規定信号として、PTS信号が例示されていが、第1タイミング規定信号または第2タイミング規定信号にあっては、このようなPTS信号に限らず、ノズルからインクを吐出するための周期的なタイミングを規定する信号であれば、どのような信号であっても構わない。
また、前述した実施の形態では、第1タイミング規定信号および第2タイミング規定信号に相当するPTS信号がプリンタ1のコントローラ126により生成され、当該コントローラ126からヘッド駆動部132へと出力されていたが、必ずしもこのような場合に限らない。つまり、第1タイミング規定信号および第2タイミング規定信号は、プリンタ1のコントローラ126により必ずしも生成される必要はなく、プリンタ1のコントローラ126以外に別の回路、例えばPTS専用の生成回路等にて生成されても良い。
<第2タイミング規定信号について>
前述した実施の形態では、第2タイミング規定信号として、1種類の信号(第2PTS信号)が出力される場合が例示されていたが、必ずしもこのような場合に限らず、それぞれ規定するタイミングが異なる2種類以上の信号を出力することができるようになっていても構わない。すなわち、複数種類の第2タイミング規定信号のうちの1つの種類の信号は、印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置から画素の間隔の1/3だけずれた位置に向けてインクを吐出するタイミングを規定する信号であり、もう1つの種類の信号は、印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置から画素の間隔の2/3だけずれた位置に向けてインクを吐出するタイミングを規定する信号であっても構わない。
このようにそれぞれ規定するタイミングが異なる2種類以上の信号を各々個別に適宜切り替えて出力することができれば、より細やかにドットの配置を制御することも可能となる。これによって、印刷しようとする画像の解像度よりも、もっとずっと高い解像度(こにてドットの配置を制御することができる。つまり、例えば、印刷しようとする画像の解像度が2880(dpi)の場合、画像を構成する画素の間隔の1/3ずつドットの配置を制御することができれば、2880(dpi)の3倍の解像度、即ち、8640(dpi)の解像度にてドットの配置を制御することができる。これより、印刷ムラや粒状感をより一層改善して、印刷画像の画質向上を大幅に図ることができる。
<ノズルからインクが2回以上吐出される場合について>
前述した実施の形態では、第1タイミング規定信号(第1PTS信号)または第2タイミング規定信号(第2PTS信号)にて規定されたタイミングに応じてインクが2回以上連続して吐出される場合として、小インク滴と中インク滴とがそれぞれ1回ずつ計2回吐出される場合を例にして説明していたが、必ずしもこのような場合に限らない。すなわち、インクが吐出される回数は2回に限定されず、3回以上の場合も含む。また、異なる重量のインク滴が必ずしも吐出される必要はなく、同じ重量のインク滴が複数回にわたって吐出される場合も含む。
<ドットについて>
前述した実施形態では、形成されるドットとして、略円形状のドットが形成されていたが、楕円形状をなしていたり、またその他の形状をなしていても構わない。すなわち、印刷する画像の画素を構成するものであれば、どのような形状や形態のドットであっても構わない。
<インクの吐出機構について>
前述の実施形態では、圧電素子としてピエゾ素子を用いてインクを吐出する機構が紹介されていたが、インクを吐出する機構にあっては、このような方式によりインクを吐出する機構に限られず、インクを吐出する機構であれば、例えば、熱等によりノズル内に泡を発生させることによってインクを吐出する方式や、その他各種方式、インクを吐出する機構であれば、どのような方式を採用していても構わない。
<所定の方向について>
前述した実施の形態では、「所定の方向」として、各図に示すような搬送方向が例示されていたが、「所定の方向」にあっては、このような方向に限らず、搬送機構により媒体が搬送される方向であれば、どのような方向であっても構わない。
<インクについて>
使用するインクについては、顔料インクであっても良く、また染料インクなど、その他各種インクであっても良い。
インクの色については、前述したイエロ(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の他に、ライトシアン(LC)やライトマゼンダ(LM)、ダークイエロ(DY)をはじめ、例えば、レッドやバイオレット、ブルー、グリーンなど、その他の色のインクを使用しても良い。
<印刷データについて>
前述した実施の形態では、印刷データがコンピュータ152に搭載されたプリンタドライバ164により生成されていたが、印刷データを生成するのは、このようなプリンタドライバ164以外であっても構わない。
また、前述した実施の形態では、印刷データが外部のコンピュータ152にて生成されて当該コンピュータ152からインクジェットプリンタ1へと送信されていが、必ずしもこのような場合に限らず、印刷データは、インクジェットプリンタ1内部で生成されても良い。
<搬送機構について>
前述した実施の形態では、搬送機構として、紙搬送モータ15や搬送ローラ17A、排紙ローラ17Bなどを備えた構成が開示されていたが、搬送機構にあっては、このような機構に限らず、媒体Sを搬送可能な機構であれば、どのような機構であっても構わない。
<プリンタドライバについて>
前述した実施の形態では、プリンタドライバ164が、インクジェットプリンタ1と通信可能なコンピュータ152に搭載されていたが、必ずしもこのような場合に限らず、プリンタドライバ164がインクジェットプリンタ1に搭載されていても良い。
また、前述した実施の形態では、プリンタドライバ164が、解像度変換処理部166と、色変換処理部168と、ハーフトーン処理部170と、ラスタライズ処理部172とを備えていたが、必ずしもこれらの処理部を備えている必要はない。すなわち、アプリケーションプログラム160から受け取った画像データをインクジェットプリンタ1が解釈できる印刷データに変換する機能を備えていれば、プリンタドライバに相当する。
<媒体について>
媒体Sについては、普通紙やマット紙、カット紙、光沢紙、ロール紙、用紙、写真用紙、ロールタイプ写真用紙等をはじめ、これらの他に、OHPフィルムや光沢フィルム等のフィルム材や布材、金属板材などであっても構わない。すなわち、インクの吐出対象となり得るものであれば、どのような媒体であっても構わない。

Claims (1)

  1. (A)媒体を所定方向に沿って搬送する搬送機構と、
    (B)前記搬送機構による搬送動作の合間に、前記媒体に対して前記所定方向に交差する交差方向に相対的に移動しながら前記媒体に向けてインクを吐出する移動吐出動作を実行するヘッドであって、前記ヘッドは前記所定方向に並ぶ複数のノズルを有し、前記ノズルは、第1インク滴を吐出した後に第2インク滴を吐出するとともに、1回の前記移動吐出動作において吐出される2つの前記第1インク滴の間に前記第2インク滴を吐出して、前記媒体における前記第1インク滴の到達位置と前記第2インク滴の到達位置とが前記交差方向において所定距離となるように前記インクを吐出し、
    (C)印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置に向けて前記ノズルから前記第1インク滴を吐出するための吐出タイミングを所定周期で周期的に規定する第1タイミング規定信号と、印刷しようとする画像を構成する画素に対応する位置からずれた位置に向けて前記ノズルから前記第1インク滴を吐出するための吐出タイミングを前記所定周期で周期的に規定する第2タイミング規定信号と、を出力する信号出力部であって、前記移動吐出動作毎に、前記第1タイミング規定信号および前記第2タイミング規定信号のうちどちらか一方を出力する信号出力部と、
    を備え、
    前記第1インク滴のインク量と前記第2インク滴のインク量とが異なり、
    1回の前記移動吐出動作において、前記第1タイミング規定信号と前記第2タイミング規定信号のうちいずれか一方が用いられ、
    1つのラスタラインは、2以上の前記移動吐出動作により前記第1タイミング規定信号と前記第2タイミング規定信号とが少なくとも1回以上ずつ用いられることにより、前記媒体に前記第1インク滴と前記第2インク滴とによるドットが複数形成されて形成され、
    前記画素に対応する位置と、前記ずれた位置と、の間のズレ幅は、印刷しようとする画像を構成する画素の間隔よりも小さく、
    前記ズレ幅は、印刷しようとする画像を構成する画素の間隔の半分である、印刷装置。
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