JP4559865B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は方向性電磁鋼板、特に被膜外観の良好な方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
方向性電磁鋼板は主に電力用トランスコア材料に用いられるため、低鉄損であることが必須である。方向性電磁鋼板の製造方法は、最終板厚とした冷延鋼板に脱炭焼鈍を施した後、二次再結晶と純化を目的とした仕上げ焼鈍を経た後、鋼板表面に被膜を形成する工程を経る。このようにして得られた方向性電磁鋼板は、先鋭な(110)〔001〕集合組織(ゴス方位)を有したSi含有鋼板と、その表面に形成された数ミクロンの無機質被膜からなる。
鋼板がゴス方位を持つことが方向性電磁鋼板の低鉄損特性を実現するために不可欠な条件であり、この組織を実現するために仕上げ焼鈍中にゴス方位粒子が選択的に成長する二次再結晶と呼ばれる粒成長が利用されている。
二次再結晶を安定的に引き起こすため、方向性電磁鋼板ではインヒビターと呼ばれる鋼中の微細析出物が利用されている。インヒビターは、仕上げ焼鈍中低温部では粒成長を抑制し、一定の温度以上では分解あるいは粗大化によってピン止め効果を失って二次再結晶を引き起こすもので、硫化物や窒化物が一般的に利用される。望ましい組織を得るためにはインヒビターを一定の温度まで保持することが必要であり、硫化物であれば仕上げ焼鈍の硫黄成分分圧、窒化物であれば窒素分圧を制御することなどで目的を達する。
インヒビターとして使用される硫化物や窒化物は、仕上げ焼鈍中の昇温途中で起こる二次再結晶のために必要ではあるが、これらが製品中に残留すると製品の鉄損を著しく悪化させる。硫化物や窒化物を鋼中から除くために、二次再結晶完了後、純水素中1200℃前後で長時間保定を行う。これを純化焼鈍と称する。したがって、純化焼鈍は仕上げ焼鈍中における高温保定状態のことである。
方向性電磁鋼板の被膜は、一次被膜と二次皮膜から構成され、これらの皮膜が鋼板に与える張力により磁区制御効果が得られて低鉄損特性が向上する。皮膜のうち、一次皮膜は、仕上げ焼鈍に先立つ脱炭焼鈍工程で鋼板表面に形成されたSiOと、仕上げ焼鈍直前にあらかじめ塗布されたMgOを主成分とする焼鈍分離剤とが、仕上げ焼鈍中に反応して形成されたフォルステライトからなり、鋼板と二次被膜の密着性を確保すると共にそれ自身張力付与効果を有する。一方、二次皮膜は、燐酸塩とシリカを主成分とし、主に鋼板に張力を与えると共に耐錆性、絶縁性などの機能を担うもので、仕上げ焼鈍後のコーティング焼付け工程で形成される。
このようにして得られた方向性電磁鋼板は、通常灰色から暗灰色の色調を呈する。しかしながら、しばしば黒色から赤褐色に色調が変化する変色が発生し、外観が著しく悪化することがある。
このような変色を防止する技術としてすでにいくつか提案されているが(例えば、特許文献1および2参照)、いずれも仕上げ焼鈍後のコイルを平坦化焼鈍する工程での対応策であって、仕上げ焼鈍での冷却過程についての検討はなされていない。
特開平8−53713号公報 特開平9−125152号公報 特開昭59−20422号公報 F.D.Richardson and J.H.E.Jeffes,J.Iron Steel Inst.160 261(1948)
本発明の解決すべき課題は、皮膜変色による外観不良のない方向性電磁鋼板を安定して製造するための手段を提供することである。
本発明者らが仕上げ焼鈍後の皮膜の変色部を調査した結果、変色部ではマグネタイト等の鉄酸化物が検出され、鋼板が酸化されていることが明らかとなった。これに対し、純化焼鈍終了後、全冷却過程を100%水素中で冷却したコイルでは、X線回折などで調査したが鉄酸化物は検出されなかった。また、純化焼鈍の雰囲気中では鉄酸化物は安定ではない。以上のことから、変色部の鉄酸化物は冷却時に形成されたことが明らかとなった。
従って、鋼板の変色は、冷却時に鋼板が酸化されない雰囲気とすることで避けられる。仕上げ焼鈍後の冷却は鋼板の酸化を避けるため、不活性ガスもしくは水素を雰囲気として選択するが、水素中で冷却されるのがより一般的である。この場合、水素の自然発火下限温度に近い600℃程度までには仕上げ焼鈍炉内での爆発を回避するために雰囲気が不活性ガスに置換され、以後鋼板はこの雰囲気気流中で冷却される。ここでの不活性ガスとしては、安価な窒素ガスを選択するのが一般的である。不活性ガスとして窒素を用いる場合は鋼板の窒化を避けるため、雰囲気の置換は700℃以下で行われる。
通常、不活性ガス中には、ガス供給源における純度の問題等により酸素が微量に存在する。これがガス置換後に鋼板を酸化させて皮膜変色を引き起こしていることが明らかとなった。したがって、冷却時の全過程にて鋼板の酸化が生じない雰囲気とすれば鋼板の皮膜変色が抑制できるが、これは雰囲気の酸素ポテンシャルを十分に低下させることができれば達成される。
従来、金属の高温酸化と酸素ポテンシャルの関係についてはEllingham diagram(非特許文献1参照)で整理されたものが著名である。しかし、仕上げ焼鈍後の鋼板にはフォルステライトなどが存在し、清浄な鋼板とは異なる酸化物が形成されていることから、上記の知見をそのまま適用することはできない。
また、仕上げ焼鈍後の冷却雰囲気を積極的に制御する方向性電磁鋼板の製造方法については、600℃までの冷却雰囲気を水素もしくは水素とアルゴンの混合雰囲気にし、600℃以下では窒素雰囲気にするとの方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、これは一次皮膜の密着性を改善することを目的にしたものである。また、同文献では、水素とアルゴンの混合比率についての記載はなく、また、600℃以下での窒素置換後の雰囲気については皮膜変色を抑制するための対策が無いことから、同文献に記載の技術により皮膜変色を効果的に抑制することはできない。
本発明者らは、不活性ガス中の酸素ポテンシャルは水素を微量に添加することで著しく低下させることが可能であると考え、仕上げ焼鈍冷却時、窒素ガスなどの不活性ガスで雰囲気を置換する際に水素を微量添加することで鋼板の酸化を回避し、皮膜変色が完全に抑制されることを見出した。すなわち、雰囲気ガスに酸素が存在する場合、これに水素を添加すると以下の反応が生じる。
+2H ⇔ 2H
概ね500℃以上の高温では上式の平衡定数が極めて大きいため、雰囲気に水素を存在させることで酸素ポテンシャルを著しく低下させることができる。
各条件を定めたのは、以下の理由による。
まず、純化焼鈍終了後の不活性ガス雰囲気の水素濃度が0.001体積%を下回ると、鋼板の皮膜変色を抑制できないことがあることから0.001体積%を雰囲気中の水素含有量の下限とする。ここで、水素濃度の上限は規定しないが、100%水素でも差し支えない。また、本発明において不活性ガスとは、アルゴン、ネオンなどの不活性ガス族を意味するものである。
雰囲気として窒素および不活性ガスを用いた場合の、板温700℃以下での雰囲気に必要な水素量をより詳細に調査した結果、3体積%を上限として水素を雰囲気中に含有すれば、鋼板の皮膜変色抑制効果が得られることが明らかとなった。
また、水素量の上限を3体積%としたのは、この量を超えると、雰囲気の温度が水素の自然発火下限温度を下回っているときに爆発の可能性を排除できないからである。なお、水素量は、一般的な水素検知器で測定した結果を用いることができる。
更に、冷却時に水素リッチ雰囲気から水素を微量含有する窒素および不活性ガスに切り替える際の雰囲気温度は、水素の自然発火下限温度より高い雰囲気温度である600℃以上とすることが必要である。したがって、雰囲気を切り替える際の雰囲気温度の下限を600℃とした。雰囲気の置換に時間がかかる場合は、600℃までに目標の雰囲気となるよう、600℃以上の温度で雰囲気置換を始めなければならない。
一方、雰囲気中に窒素ガスを含有させる場合は、該雰囲気への切り替え時の鋼板温度が高すぎると鋼板が窒化されることとなる。窒化が起こると製品の磁気特性が劣化することから窒化は抑制しなければならない。この問題は切り替え時の鋼板温度が700℃以下であれば発生しない。したがって、雰囲気を水素を微量含有する窒素含有不活性ガスにする場合は、切り替え開始時の鋼板温度を700℃以下に設定することが必要である。なお、窒素ガスを雰囲気に含有させる場合、水素量の上限を3%とする雰囲気にする温度と窒素を含有させる雰囲気に切り替える温度は必ずしも一致させる必要はないが、両温度を同一としたほうが製造プロセス上簡便である。
また、前記の雰囲気制御が必要な温度は500℃までであることを実験的に確認した。従って500℃以下の領域では、水素を含まない不燃性ガスを用いることができる。具体的には、窒素ガスあるいは大気を用いる。
本発明によれば、皮膜変色による外観不良の無い方向性電磁鋼板を安定して得ることができる。
本発明について以下詳細に説明する。本発明は仕上げ焼鈍工程についてのものであるが、仕上げ焼鈍用鋼板は以下のような工程を経る。まず所定の組成の溶湯をスラブ形状とし、これを公知の方法にて熱延後、熱処理を経たのち冷延を実施する。このようにして得られた最終板厚を有する鋼板を熱処理にて脱炭し、いわゆる脱炭焼鈍板として次の仕上げ焼鈍工程へ備える。
脱炭焼鈍板には、次工程の仕上げ焼鈍中の二次再結晶を発現するためのインヒビターが含まれており、例えばAlN、MnSあるいはMnSeなどが公知であるが、本発明ではこの種は特に問わない。通常、脱炭板の最表層は脱炭工程中に形成されたSiOを主とする酸化物層が存在する。このSiOは、焼鈍分離剤に含まれるMgOと反応してフォルステライトからなる一次被膜を形成することから、良好な被膜を得るためには脱炭板のSiO量を制御することが必要となる。SiOが少なすぎると一次被膜の形成不良となり、被膜の密着性などが損なわれ、他方SiO量が多すぎると一次被膜が必要以上に厚くなるほか、製品版の磁気特性が劣化するという問題が発生する。したがって、SiO量は、酸素量換算で400から1500ppmとするとよく、より望ましくは600〜1100ppmの範囲とすると良い結果が得られる。
このような脱炭板には焼鈍分離剤を塗布するが、この目的は仕上げ焼鈍中での鋼板同士の焼き付き防止や一次被膜形成が主なものである。焼鈍分離剤はMgOを主成分とするが、被膜特性改善のための微量添加元素を含むことができる。焼鈍分離剤の塗布方法は、水などでスラリーとして塗布後に乾燥する方法や静電塗布法など公知いずれの方法も用いることができる。焼鈍分離剤塗布後の脱炭板は、通常はコイル状に巻き取って仕上げ焼鈍を実施する。
ここで指す仕上げ焼鈍とは、二次再結晶を引き起こす二次再結晶焼鈍と、インヒビターの残存元素を鋼中から除去する純化焼鈍からなる。
二次再結晶は、インヒビターが粗大化あるいは分解することによりその効力を失う温度域、おおむね850〜1100℃で進行する。二次再結晶焼鈍が終了した後、通常はそのまま昇温を続けて純化焼鈍工程に移る。
純化焼鈍は、二次再結晶が終了した後にインヒビターを構成する元素などを鋼中から排除することを目的とし、その温度は水素雰囲気中で1100〜1300℃で実施され、より望ましくは1150〜1250℃で実施される。ここで純化焼鈍の温度が低すぎればインヒビター構成元素が多量に残存して製品の磁性に悪影響を与え、温度が高すぎると純化は効果的に行われるが高温の影響で鋼板が変形して製品歩留まりを大幅に悪化させることになる。したがって、前述の温度範囲で純化焼鈍を実施する必要がある。
この純化焼鈍後のコイルは0.001体積%以上の水素を含有する不活性ガスからなる雰囲気中で冷却され、雰囲気が600℃に冷却されるまでに雰囲気を、水素を0.001〜3体積%含有する不活性ガスに切り替えて更に冷却される。
ここで注意すべきことは、雰囲気の水素量は雰囲気に添加した水素量ではなく、雰囲気に含有されている水素量であることである。雰囲気に含まれる不純物起因の酸素量は一定ではないことから、水素量を添加量で一概に規定することはできない。したがって、冷却時の雰囲気が本発明で規定する水素量を含有するよう、ガスの混合比率を定める必要がある。ガスの混合比率を定めるためには、雰囲気の原料ガスの不純物酸素量を測定し、そのおおむね2.5倍以上の体積の水素を添加すれば本発明の水素含有量を達成しうる。原料ガス中の酸素量の測定は、一般的な酸素濃度測定器で測定可能である。
板温が700℃以下の領域では、雰囲気として用いる不活性ガスは特にその種類を問わず、アルゴン、ネオンなどの不活性ガス族および窒素を使用できるが、700℃以上の温度域では窒素を用いることはできない。雰囲気として窒素を用いる場合は、鋼板の窒化を防止する意味でこの雰囲気に切り替える温度の上限は700℃とすることが必要である。雰囲気置換後に板温が500℃以下に下がれば、水素を含まない窒素および不活性ガスからなる雰囲気、あるいは大気に晒して冷却することができる。なお、冷却雰囲気に供給する水素あるいは窒素、アルゴンなどのガスの純度は通常の工業用グレードを用いることができ、不可避的に混入する不純物気体はその存在が許容されうる。
雰囲気切り替え後、最大3体積%水素を含有した不活性ガスを雰囲気として室温まで冷却しても良いが、鋼板の酸化速度が著しく遅くなる温度域では、雰囲気を酸化性雰囲気としても皮膜変色は発生しなくなる。したがって、この温度域では水素を含まない窒素および不活性ガス雰囲気、あるいは大気に晒して冷却しても良い。このような温度域はおおむね500℃以下であることから雰囲気の制御は500℃までで十分な効果が得られる。
Si:3.2質量%、Mn:0.12質量%、S:0.005質量%、C:0.05質量%、酸可溶解Al:0.026質量%、N:0.008質量%を含んだスラブを素材として公知の方法にて熱間圧延後、熱延板焼鈍を実施し、冷間圧延を実施して0.23mmの最終板厚とした。この後加湿した水素および窒素雰囲気中で焼鈍して脱炭するとともに、窒化させて鋼板の窒素量をほぼ220ppmに調整し、いわゆる脱炭焼鈍板を得た。この脱炭焼鈍板にMgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布した後コイル状に巻き取った。この後水素窒素混合雰囲気にて昇温し、引き続き1200℃水素中で純化焼鈍を20時間実施した。純化後、表1の切り替え温度までは水素雰囲気とし、切り替え温度で表中の切り替え雰囲気の導入を開始した。ただし、実施例8および9では冷却開始直後にアルゴンを主とする雰囲気に切り替え、その後実施例9では再度雰囲気を切り替えた。
このような条件での焼鈍後、1%硫酸による洗浄を施して未反応の焼鈍分離剤を除去し、無水クロム酸、燐酸アルミニウムと酸化珪素を主成分とする二次皮膜を塗布、焼き付けた。この結果得られた鋼板の性状を表1に示す。表中には鋼板の窒素量も表示しており、窒素量が10ppm以下の場合に冷却中に窒化が起こらなかったと判断した。
表1より明らかなように、本発明による水素量を含む窒素またはArからなる不活性ガスに700〜600℃で雰囲気を切り替えて冷却を実施した実施例1から5においては、鋼板に皮膜変色が見られなかった。また、800℃で雰囲気を切り替えた場合でも水素が本発明範囲に入っている実施例6および実施例7では皮膜変色がみられず、また窒化も生じなかった。さらに、1200℃からの冷却雰囲気を、窒素を含まない不活性ガスであるアルゴンとした場合でも、本発明範囲の水素量とすることで皮膜変色、窒化の問題は発生しなかった。
一方、700℃で水素0.0005%を含む窒素雰囲気に切り替えた比較例1では鋼板に皮膜変色が発生した。また、水素を入れずに700℃で窒素雰囲気あるいは650℃でアルゴン雰囲気とした比較例2および比較例3での鋼板には皮膜変色が発生した。また、800℃にて雰囲気を切り替えた比較例4では鋼板を分析したところ窒素量が高く、窒化による悪影響が見られた。800℃で窒素を含まないアルゴンを主とする雰囲気に切り替えた比較例5では窒化は起こらなかったが、水素量が十分ではないため皮膜変色が発生した。
Figure 0004559865
Si:3.2質量%、Mn:0.12質量%、S:0.005質量%、C:0.05質量%、酸可溶解Al:0.026質量%、N:0.008質量%を含んだスラブを素材として公知の方法にて熱間圧延後、熱延板焼鈍を実施し、冷間圧延を実施して0.23mmの最終板厚とした。この後加湿した水素および窒素雰囲気中で焼鈍して脱炭するとともに、窒化させて鋼板の窒素量をほぼ220ppmに調整し、いわゆる脱炭焼鈍板を得た。この脱炭焼鈍板にMgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布した後コイル状に巻き取った。この後水素窒素混合雰囲気にて昇温し、引き続き1200℃水素中で純化焼鈍を20時間実施した。純化後、表2の1回目の切り替え温度までは水素雰囲気とし、切り替え温度で表中の1回目切り替え雰囲気とした。
このような条件での焼鈍後、1%硫酸による洗浄を施して未反応の焼鈍分離剤を除去し、無水クロム酸、燐酸アルミニウムと酸化珪素を主成分とする二次皮膜を塗布、焼き付けた。この結果得られた鋼板の性状を表2に示す。表中には鋼板の窒素量も表示しており、窒素量が10ppm以下の場合に冷却中に窒化が起こらなかったと判断した。
表2より明らかなように、水素量を含む窒素雰囲気に700℃で切り替えて400℃まで冷却を実施し、400℃で雰囲気を大気に切り替えた実施例10では皮膜変色、窒化とも生じなかった。また、900℃で水素を含むアルゴン雰囲気に切り替えて冷却し、500℃で窒素雰囲気に切り替えてさらに冷却を実施した実施例11でも皮膜変色、窒化の問題は発生しなかった。
一方、550℃で雰囲気を大気に切り替えた比較例6では、冷却時に本発明で規定した温度まで雰囲気を制御しなかったために鋼板に皮膜変色が発生した。また、700℃で窒素に雰囲気を切り替えた比較例7でも雰囲気の制御を本発明で規定した温度まで実施しなかったために皮膜変色が発生した。以上の結果から本発明範囲で鋼板の皮膜変色が抑制できることが明らかである。
Figure 0004559865

Claims (2)

  1. 方向性電磁鋼板の仕上げ焼鈍を行う工程において、純化焼鈍終了後の冷却時の雰囲気を0.001体積%以上の水素を含有する不活性ガス族のガスとし、さらに700℃以下600℃以上の温度範囲において、雰囲気中の水素濃度を3体積%以下とするとともに、窒素を含む雰囲気に変更して冷却を続けることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 雰囲気の制御を少なくとも500℃まで続け、制御を終えた後の雰囲気を水素を含まない不燃性ガスからなる雰囲気とすることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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