JP4557356B2 - 圧電共振子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電共振子に関し、例えば無線LAN等、携帯端末、またはICカードなどに用いられる圧電共振子、特に圧電体の厚み縦振動の共振を利用した薄膜圧電共振子に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、無線通信や電気回路に用いられる周波数の高周波数化がますます進んでおり、これに伴って、これらの電気信号に対して用いられるフィルタも高周波数に対応したものが要求され、開発が行われている。
【0003】
最近は、特に、バルク・アコースティック・ウェーブ・レゾネーター(BAWR)と呼ばれる共振子とそれを用いたフィルタの開発が進められている。これは、入力される高周波電気信号に対して、圧電薄膜が振動を起こし、その振動が、薄膜の厚さ方向に共振を起こすことを用いた共振子であり、GHz領域の高い共振周波数を持つレゾネーターなどへの応用が期待されるとともに、この共振子を複数並べることにより、GHz領域の高い共振周波数に対応したフィルタが期待されている。
【0004】
BAWRの基本的な構造は、図4に示すように、基体21と、基体21表面上に形成された支持膜22と、支持膜22上に形成された中間層23と、中間層23上に形成された第1電極24と、第1電極24上に形成された圧電体25と、圧電体25上に形成された2つの第2電極26とからなるもので、例えば特開平10−209793号公報に開示されており、基体21はSi、支持膜22はSiO2、中間層23はTi、第1電極24はPt、圧電体25はPZTが用いられている。
【0005】
支持膜22は、基体21に形成された振動空間Aを被覆するように、基体21上面に支持膜22を形成することにより、支持膜22の空間Aに接する部分が振動することになる。したがって、空間Aに接する支持膜22と、その表面に形成された中間層23、第1電極24、圧電体25、および第2電極26が一体となって振動するので、これらの層を支える支持膜22は高い強度が要求される。
【0006】
特に、GHz帯の高周波領域での使用を考えると、支持膜は薄く、音速の大きな材料からなることが望まれ、支持膜に窒化珪素を形成した圧電共振子が特開昭60−68711号公報に提案されている。その構造は、図5に示すように、基体31と、基体31表面上に形成された支持膜32と、支持膜32上に形成された第1電極34と、第1電極34上に形成された圧電体35と、圧電体35上に形成された2つの第2電極36と、該第2電極36上に形成された保護膜37で構成されている。
【0007】
なお、支持膜32は、基体31に形成された空間Aを被覆するように、基体31上面に支持膜32を形成することにより、支持膜32の振動空間Aに接する部分が振動することになる。また、基体31はSi、支持膜32はSi3N4、第1電極34はCr−AuまたはTi−Au、圧電体35はZnO、AlNまたはCdSが用いられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭60−68711号公報に開示されている窒化珪素薄膜は、CVD法により形成されるが、窒化珪素膜中に水素が含まれており、特に、半導体などのデバイス製造工程で多用される窒化珪素には多量の水素が含まれることが知られている。このような窒化珪素膜は、硬度が低いため、共振周波数の高周波化に対応できないという問題があった。
【0009】
また、スパッタ法による窒化珪素膜を用いると、窒化珪素の強度が低く、膜厚を小さくすることが困難なため、振動空間に接する部位が破壊しやすいと言う問題があった。
【0010】
これに対して、水素を含まない窒化珪素膜は、例えば電子サイクロトロン共鳴を用いたECRスパッタ法を用いて作製でき、高硬度でGHzオーダーの高周波に対応できる。しかしながら、濃アルカリ溶液を用いた基体31の加工時に、濃アルカリ溶液が、支持膜32の窒化珪素結晶粒子間に浸透し、基体31と支持膜32との界面に達して基体31のSiを溶解し、支持膜の剥離が生じたり、基体が全て溶解する不良が発生するため、製造歩留まりが低いという問題があった。
【0011】
すなわち、高周波に対応でき、安定して製造できる圧電共振子を同時に実現することは困難であった。したがって、本発明は、製品の不良が少なく、信頼性が高く、高周波に対応した圧電共振子を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の圧電共振子は、基体と、該基体表面に形成された窒化珪素からなる支持膜と、該支持膜の前記基体と反対の面に設けられ、圧電体を一対の電極で挟持した振動体とを具備する圧電共振子において、前記支持膜の基体側表面の前記振動体に対向した部分に窒化珪素からなる保護膜を設けるとともに、前記支持膜および前記保護膜の赤外吸収分析によるスペクトルにおけるSi−N結合のピークに対するSi−H結合のピークの強度比が、前記保護膜で0.03以上、前記支持膜で0.02以下であることを特徴とするものである。
【0013】
この構成にすることにより、不良を低減して歩留まりを向上するとともに、機械特性に優れる窒化珪素からなる支持膜によりGHzオーダーの高周波化に対応でき、破壊しにくい信頼性の高い圧電共振子を実現できる。
【0014】
特に、基体が振動空間を有し、該振動空間を被覆するように前記基体表面に前記保護膜が形成されていることが好ましい。これにより、薄膜圧電共振子の作製が容易になり、歩留まりをさらに向上できる。
【0015】
また、前記支持膜のヤング率が300GPa以上であることが好ましい。これにより、支持膜の音速が10000m/s以上となり、圧電体や電極、支持膜の伝播を考えても、1GHz以上の共振周波数を達成することが可能になる。
【0016】
さらに、前記保護膜の膜厚が50〜150nm、前記支持膜の膜厚が0.3〜3μmであることが好ましい。この膜厚に設定することにより、破壊に対する支持膜の強度をより高く、かつ共振周波数をより高くすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の圧電共振子は、基体と、基体表面に形成された窒化珪素からなる支持膜と、該支持膜の前記基体と反対の面に設けられ、圧電体を一対の電極で挟持した振動体とを具備する圧電共振子において、前記支持膜の基体側表面に窒化珪素からなる保護膜を設けるとともに、前記支持膜および前記保護膜における赤外吸収分析によるスペクトルにおけるSi−N結合のピークに対するSi−H結合のピークの強度比が、前記保護膜で0.03以上、前記支持膜で0.02以下であることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の圧電共振子は、例えば図1に示すように、基体1と、基体1上に設けられた保護膜2と、保護膜2上に設けられた支持膜3と、支持膜3上に設けられた第1電極4と、第1電極4上に設けられた圧電体5と、圧電体5上に設けられた第2電極6とを具備しており、圧電体5は、第1電極4と第2電極6とで挟持され、振動体7を形成する。
【0019】
保護膜2は、例えば図1のように振動空間Aを形成する基体1の上に振動空間Aを被覆するように形成されている。この振動空間Aを形成することは他の構造に比べて製造上容易となるため、共振周波数の高周波化を図る方法として、振動空間Aを設けることが好ましい。
【0020】
保護膜2は、緻密で含水性の低い窒化珪素膜であることが重要であり、このような窒化珪素膜は、赤外吸収分析によるスペクトルにおけるSi−N結合のピークに対するSi−H結合のピークの強度比(以後、ISi-H/ISi-Nという)が、0.03以上である。これによって製造工程における薬液などによる基体表面の腐食を保護することができる。
【0021】
例えば、支持膜3が含水性を有し、エッチング時に濃アルカリ溶液が支持膜3の窒化珪素結晶粒子の間隙を浸透して保護膜2に達しても、保護膜2は含水性が低く、水溶液を浸透させないため、基体1表面がエッチングされることがなくなり、その結果不良率が低下し、歩留まりを向上できる。
【0022】
図2は、本発明の圧電共振子の保護膜2の赤外吸光スペクトルの一例である。
600〜1200cm-1にかけてSi−N結合に起因する大きなピークが見られ、2300cm-1付近にSi−H結合に起因する小さなピークが見られる。これらのピークの強度は、それぞれバックグランドを結ぶ直線を引き、その直線上から横軸に垂直に線を引いて最大点Hを通る直線を引き、その交点を原点Oとする。そして、ピーク強度Pは、原点Oから最大点Hまでの高さとする。このような測定の結果、図2の場合、ピーク強度比ISi-H/ISi-Nは、0.101である。
【0023】
また、保護膜2の膜厚を50〜150nm、特に80〜120nmであることが好ましい。保護膜の膜厚を上記の範囲に設定することにより、共振周波数を高く保ち、かつ基体1表面を薬液などから十分保護することができる。
【0024】
このような保護膜2は、一例として低圧CVD法(以下、LPCVDという)で作製することができる。例えば、真空容器内に設置した基板を昇温して900℃にするとともに、シランガス(CH4)とアンモニアガス(NH3)を導入して窒化珪素膜を作製できる。また、プラズマCVD法や高周波スパッタ法などの方法によっても作製できる。
【0025】
一方、支持膜3を構成する窒化珪素は、水素を含有しているとヤング率が低下し、共振周波数が低下するため、赤外吸光分析において、例えば2300cm-1付近のSi−H結合に由来する吸収がないことが好ましい。しかし、赤外吸光分析の測定時に、試料表面に水分が吸着するとSi−Hを検出してしまうため、Si−H結合のピークは、実質上、吸着水分に相当するピーク強度以下であることが好ましい。
【0026】
したがって、支持膜3は、赤外吸収スペクトルにおけるピークの強度比ISi-H/ISi-Nが、0.02以下であることが重要である。特に、0.015以下、さらには0.01以下であることが好ましい。
【0027】
このような支持膜3は、高硬度、高強度となるため、GHzオーダーの高周波数に対応することができる。また、支持膜3が、振動空間に接し、基体によって支持されない部位を有していても、支持膜3の強度が自立するために十分であり、剥離や破壊を防ぐことができる。さらに、残留応力を小さく抑えることが可能である。
【0028】
なお、前記の赤外吸収分析を行う時には、例えば湿度30%などの低湿度の環境で測定を行うことが好ましい。
【0029】
図3は、本発明の圧電共振子の支持膜3の赤外吸光スペクトルの一例である。
600〜1200cm-1にかけてSi−N結合に起因する大きなピークが見られ、2300cm-1付近にSi−H結合に起因する小さなピークが見られる。図2と同様のバックグランド処理を行って、ピーク強度比を算出し、ISi-H/ISi-Nは、0.015である。
【0030】
また、支持膜3のヤング率は、300GPa以上であることが好ましい。さらに、支持膜3の膜厚を0.3〜3μm、特に0.5〜2μm、さらには0.7〜1.5μmであることが好ましい。支持膜3のヤング率または膜厚を上記の範囲に設定することにより、厚み縦振動を利用した圧電共振子において、GHzオーダーの共振周波数を容易に達成することができる。
【0031】
この支持膜3は、例えばECRスパッタ法によって作製することができる。この成膜方法では、真空容器にN2ガスを導入し、マイクロ波によりN2ガスを活性化し、基体1上での珪素との反応を促進させることで、未反応の珪素を低減させするとともに、生成した膜の組成比を化学量論組成に近づけることができる。また、支持膜3に含まれるダングリングボンドを少なくすることにより、残留応力の低減を実現できる。さらに、窒素プラズマによるアニール効果により、応力の低減と結晶化の促進がなされ、硬度を高めることができる。
【0032】
第1電極4は、導電性を考慮するとAl、PtまたはAuなどの金属が好ましい。また、圧電体5がPbを含む材料の場合、反応性の低いPtまたはAuが望ましい。また、第1電極4の膜厚は、十分な導電性を確保し、かつ共振子のQ値と共振周波数を高く維持するために、100〜300nm、特に120〜200nmであることが望ましい。
【0033】
なお、第1電極4は、密着性を高めるために、支持膜3との間に密着層を挿入しても何ら差し支えない。
【0034】
この第1電極4は、RFマグネトロンスパッタ法、DCスパッタ法、真空蒸着法等気相成長法により形成される。
【0035】
圧電体5は、特に制限されるものではなく、ZnO、AlN、CdS等が用いることができるが、小型化と信頼性を考慮すると、圧電性の大きい強誘電体からなることが好ましい。強誘電体としては、例えば、PbZrTiO3系、PbTiO3系などのペロブスカイト構造を持つ酸化物、KSr2Nb5O15等のタングステンブロンズ構造を持つ酸化物などがあり、これらを用いればよい。
【0036】
これらの強誘電体などからなる圧電体5は、例えば高周波マグネトロンスパッタ法等の気相成膜法やゾルゲル法等の溶液法で形成できる。その膜厚は、3μm以下、特に2μm以下、さらには1μm以下が望ましい。すなわち、厚み縦振動を用いるBAWRにおいては、使用周波数である共振周波数が膜厚に逆比例するため、1GHz以上の周波数に対応するために、上記の膜厚が好ましい。
【0037】
また、共振周波数を大きくするためには圧電体5の膜厚を小さくすれば良いが、小さすぎると共振子のQ値が小さくなる傾向があるため、圧電体5は、第1電極4の膜厚以上であることが好ましい。
【0038】
第2電極6は、圧電体5形成後、最後に形成することができるため、材料および製造方法に特に制限をするものではないが、低抵抗の点でAlまたはAuが望ましい。特に、軽量性を考慮するとAlが最も好適である。
【0039】
第2電極6は、高周波マグネトロンスパッタ法等の気相成膜法などにより形成できる。また、その厚みは周波数への影響を小さくし、導電性を確保するために、50〜300nmの範囲とすることが望ましい。特に、電気抵抗と質量負荷効果を考慮すると、100〜200nmが望ましい。
【0040】
なお、圧電体5との密着性を向上するために、5〜50nm、特に10〜30nmの膜厚で、Tiなどの薄膜を圧電体5と第2電極6との間に形成しても差し支えない。
【0041】
基体1は、シリコンやサファイアなどであり、基体1表面に形成する圧電体5の表面が平滑になるために、十分な平坦度と表面粗さ、例えば5μm以下の平坦度とRa0.1μm以下の表面粗さを保有していれば、特に材料を限定するものではない。
【0042】
また、基体1は、濃アルカリ溶液等を用いた化学的エッチング法や、反応性イオンエッチング法等を用いたエッチングにより、振動空間Aが形成されている。
基体1の振動空間Aとは、振動体7の振動を基体1に伝達しないための空間を言い、基体1に貫通孔を形成したり、基体1の支持膜2を形成する部分に凹状の窪みを形成したりすることにより作製される。
【0043】
以上のように構成された本発明の圧電共振子では、基体1表面に窒化珪素からなり、ISi-H/ISi-Nが0.03以上の保護膜2を設けると共に、支持膜3としてISi-H/ISi-Nが0.02以下とすることにより、製品の不良を少なくできるとともに、信頼性が高く、高周波に対応した小型の圧電共振子の実現が可能となる。
前記支持膜および前記保護膜における赤外吸収分析によるスペクトルにおけるSi−N結合のピークに対するSi−H結合のピークの強度比が、前記保護膜で0.03以上、前記支持膜で0.02以下であること
【0044】
【実施例】
まず、赤外吸光分析用試料とヤング率測定試料を作製した。いずれも基体1としてSi(100)ウエハ(以下、単にウエハという)を用いた。
【0045】
まず、ウエハ上に、低圧CVD法により保護膜2として使用する窒化珪素薄膜を形成した。シランガス(SiH4)及びアンモニアガス(NH3)を原料として、200mPaの減圧下で基板温度を変えて作製した。基板温度を表1に示した。膜厚は1μmであった。
【0046】
また、ウエハ上に、ECRスパッタ法により、支持膜3として使用する窒化珪素薄膜を形成した。スパッタターゲットに珪素を用い、Arガスと窒素ガスとを導入し、マイクロ波プラズマを生成するとともにRFスパッタを併用して窒化珪素膜を形成した。窒素ガス流量(N2流量)とマイクロ波出力を変えて作製した。
これらの条件を表1に示した。膜厚は1μmであった。
【0047】
得られた2種類の試料に関して、赤外吸収分析およびヤング率測定を行った。
【0048】
赤外吸収分析は、FT−IRにより400〜4000cm-1のスペクトルを得、800cm-1付近のSi−N結合に起因するピークと、2300cm-1付近のSi−H結合に起因するピークの大きさを測定した。そして、バックグランド処理を行い、それぞれのピーク強度から、赤外吸収スペクトルにおけるピークの強度比ISi-H/ISi-Nを算出した。
【0049】
ヤング率は、微小表面材料特性評価システム((株)アカシMZT−3型)を用い、荷重増加+荷重減少の測定モードで、三角錐圧子(62°)を使用して、最大荷重0.5gfで試料中央部の硬度を微小押し込み硬度で測定し、得られた硬度からヤング率を算出した。
【0050】
次に、図1に示す圧電共振子を作製した。まず、ウエハの両面に、低圧CVD法により窒化珪素薄膜を形成し、保護膜2とした。シランガス(SiH4)及びアンモニアガス(NH3)を原料として、200mPaの減圧下で基板温度を変えて作製した。保護膜2の厚みを表1に示した。
【0051】
保護膜2上に、ECRスパッタ法により窒化珪素薄膜を形成し、支持膜3とした。スパッタターゲットに珪素を用い、Arガスと窒素ガスとを導入し、マイクロ波プラズマを生成するとともにRFスパッタを併用して窒化珪素膜を形成した。窒素ガス流量(N2流量)とマイクロ波出力を変えて作製した。これらの条件を表1に示した。
【0052】
さらに、支持膜3上にRFマグネトロンスパッタ法によりPt膜を成膜し、第1電極4とした。膜厚は、200nmであった。次に、フォトリソグラフ法とシアン化カリウム溶液を用いた化学的エッチング法により、Pt電極のパターン加工を行った。
【0053】
そして、圧電体5としてPZTを作製した。室温、大気中でのスピンコート法(3000rpm、30秒)により、組成比Pb:Zr:Ti=1.10:0.53:0.47で1M濃度の前駆体溶液を基板に塗布し、360℃で熱処理しゲル膜とした。溶液塗布乾燥・熱処理を6回繰返した後、680℃で10分間焼成した。
【0054】
さらに、フォトリソグラフ法と化学的エッチング法により、PZT膜のパターン加工を行った。レジスト加工後、ふっ硝酸を用いて室温でエッチングした。
【0055】
次に、リフトオフ法によりAlパターンを形成し、第2電極をとした。まず、ネガレジストパターンを形成した後、RFスパッタ法によりAlを成膜した。膜厚は100nmであった。これをアセトン中に浸漬し、レジスト溶解により、Alパターンを形成した。
【0056】
最後に、KOH溶液によりウエハのエッチング処理を行い、ビアホールを形成し、振動空間Aを得た。エッチングにあたっては、支持膜の形成されていないウエハの裏面に生成した低圧CVD窒化珪素薄膜を選択的に除去した後、エッチングを行った。すなわち、低圧CVD窒化珪素薄膜のパターン形成にはフォトリソグラフ法を用い、CF4/O2混合ガスによるRIEにより窒化珪素を除去した。
この時、作製した圧電共振子100個中、KOH溶液の浸透による不良を調べた。
【0057】
また、得られた結果を表1に示した。
【0058】
【表1】
【0059】
本発明の圧電共振子である試料No.1〜12は、保護膜2のISi-H/ISi-Nが0.03以上、支持膜3のISi-H/ISi-Nが0.02以下でヤング率300GPa以上、不良質が8%以下、共振周波数が1.22GHz以上とGHz帯の周波数を得た。
【0060】
一方、保護膜2を形成しない図3に相当する本発明の範囲外の圧電共振子である試料No.13は、不良率が97%個、共振周波数が1.48GHzであった。
【0061】
また、保護膜2として用いた低圧CVD法により作製した窒化珪素を支持膜3として用いた本発明の範囲外の圧電共振子である試料No.14および15は、厚みが1000nm(1μm)では全数破壊し、3000nm(3μm)では不良率が11%であったが、共振周波数が0.95GHzと小さかった。
【0062】
【発明の効果】
本発明の圧電共振子は、基体と、該基体表面に形成された窒化珪素からなる支持膜と、該支持膜の前記基体と反対の面に設けられ、圧電体を一対の電極で挟持した振動体とを具備する圧電共振子において、前記支持膜の基体側表面の前記振動体に対向した部分に窒化珪素からなる保護膜を設けるとともに、前記支持膜および前記保護膜の赤外吸収分析によるスペクトルにおけるSi−N結合のピークに対するSi−H結合のピークの強度比が、前記保護膜で0.03以上、前記支持膜で0.02以下であることで、特性が向上し、製造工程において製品の不良を少なくし、信頼性が高く、高周波に対応した圧電共振子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電共振子の断面図である。
【図2】本発明の圧電共振子の保護膜の赤外吸光スペクトルである。
【図3】本発明の圧電共振子の支持膜の赤外吸光スペクトルである。
【図4】従来の圧電共振子の断面図である。
【図5】従来の他の圧電共振子の断面図である。
【符号の説明】
1・・・基体
2・・・保護膜
3・・・支持膜
4・・・第1電極
5・・・圧電体
6・・・第2電極
7・・・振動体
A・・・振動空間
Claims (4)
- 基体と、該基体表面に形成された窒化珪素からなる支持膜と、該支持膜の前記基体と反対の面に設けられ、圧電体を一対の電極で挟持した振動体とを具備する圧電共振子において、前記支持膜の基体側表面の前記振動体に対向した部分に窒化珪素からなる保護膜を設けるとともに、前記支持膜および前記保護膜の赤外吸収分析によるスペクトルにおけるSi−N結合のピークに対するSi−H結合のピークの強度比が、前記保護膜で0.03以上、前記支持膜で0.02以下であることを特徴とする圧電共振子。
- 前記基体が振動空間を有し、該振動空間を被覆するように前記基体表面に前記保護膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載の圧電共振子。
- 前記支持膜のヤング率が300GPa以上であることを特徴とする請求項1または2記載の圧電共振子。
- 前記保護膜の膜厚が50〜150nm、前記支持膜の膜厚が0.3〜3μmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の圧電共振子。
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