次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。図1は本発明になる再生装置の第1の実施の形態のブロック図を示す。同図において、ランレングス制限符号が高密度記録された光ディスク15からPDヘッドアンプ16で光電変換及び増幅されたランレングス制限符号(ディジタル信号)は、直流阻止回路17で直流成分が阻止され、続いて図示しないA/D変換器を通してAGC回路18で振幅が一定になるように自動利得制御(AGC)された後、リサンプリング・DPLL19に供給される。なお、A/D変換器を設ける位置は、リサンプリング・DPLL19の前であればどこであってもよい。
リサンプリング・DPLL19は、自分自身のブロックの中でループが完結しているディジタルPLL回路で、A/D変換器により固定のシステムクロックでサンプリングされている入力信号に対し、所望のビットレートでリサンプリングしたディジタルデータ(すなわち、ディジタルデータの位相0°、180°のうち、180°のリサンプリングデータ)を生成し、本実施の形態の要部を構成する後述の適応等化回路20に供給する。
なお、ここで「リサンプリング」とは、ビットクロックのタイミングにおけるサンプリングデータを、システムクロックのタイミングでA/D変換したデータより間引き補間演算をして求めることをいう。また、リサンプリング・DPLL19は、位相0°のリサンプリングデータのゼロクロスを検出しており、それにより得られる0ポイント情報を適応等化回路20に供給する。
なお、上記0ポイント情報は、ビットサンプリングのデータが、ゼロレベルとクロスするポイントをビットクロック単位で示している。更に、リサンプリング・DPLL19は、この0ポイント情報が示すゼロクロスポイントに相当する位相180°のリサンプリングデータの値に基づいて、それが0になるように、リサンプリングのタイミング、つまり周波数及び位相をロックさせる。
適応等化回路20によりPR特性が付与された等化後再生波形は、復号回路38に供給されて、例えばビタビ復号される。このビタビ復号の回路構成は公知であり、例えば等化後再生波形のサンプル値からブランチメトリックを計算するブランチメトリック演算回路と、そのブランチメトリックを1クロック毎に累積加算してパスメトリックを計算するパスメトリック演算回路と、パスメトリックが最小となる、最も確からしいデータ系列を選択する信号を記憶するパスメモリとよりなる。このパスメモリは、複数の候補系列を格納しており、パスメトリック演算回路からの選択信号に従って選択した候補系列を復号データとして出力する。
ECC回路39は、上記の復号回路38からの復号データ系列中の誤り訂正符号を用いて、その誤り訂正符号の生成要素の符号誤りを訂正し、誤りの大幅に低減された復号データを出力する。以上の構成において、本実施の形態は適応等化回路20の構成に特徴を有するものであり、以下、この適応等化回路20について更に詳細に説明する。
図2は本発明再生装置の要部の適応等化回路の第1の実施の形態のブロック図を示す。
同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付してある。図2に示すように、図1の適応等化回路20に相当する図2の第1の実施の形態の適応等化回路20aは、リサンプリング・DPLL19からのリサンプリング・データに対してPR等化特性を付与するトランスバーサルフィルタ21と、このトランスバーサルフィルタ21の係数をエラー信号に応じて可変する乗算器・低域フィルタ(LPF)22と、リサンプリング・DPLL19からの0ポイント情報を遅延するタップ遅延回路23と、トランスバーサルフィルタ21の出力信号とタップ遅延回路23からの遅延信号とに基づいて前記エラー信号を生成する仮判別回路24と、前記エラー信号を極性反転して乗算器・LPF22に供給するインバータ(INV)25とからなる。
上記のタップ遅延回路23及び仮判別回路24は、この実施の形態の要部をなす回路部で、例えば図3に示す如き回路構成とされている。同図において、仮判別器51、減算器52及びD型フリップフロップ53により上記の仮判別回路24が構成されている。また、端子41を介してトランスバーサルフィルタ21からの波形等化再生信号D5が入力されるタップ遅延回路部23aと、端子42を介して0ポイント情報が入力されるタップ遅延回路部23bとが、上記のタップ遅延回路23を構成している。
タップ遅延回路部23aは、3段縦続接続されたD型フリップフロップ231、232及び233からなる。また、タップ遅延回路部23bは、端子42を介して入力される0ポイント情報を遅延する遅延調整器234と、遅延調整器234から出力された遅延0ポイント情報を遅延する3段縦続接続されたD型フリップフロップ235、236、237からなる。
仮判別器51には、端子41を介して入力されるトランスバーサルフィルタ21からの波形等化再生信号D5と、タップ遅延回路部23a及び23bの各出力データD2及びZ2と、端子43を介して入力される後述のPRモード信号と、端子44を介して入力される後述のRLLモード信号とが入力される。仮判別器51は論理回路により構成されており、入力された信号に基づいて、後述のアルゴリズムに従ってパーシャルレスポンス特性の性質を巧みに利用した仮判別動作を行う。
減算器52は、タップ遅延回路部23aによりトランスバーサルフィルタ21からの波形等化再生信号を、システムクロックの2クロック周期分遅延したデータ(サンプリング値)D3から、仮判別器51からの仮判別結果を差し引いてエラー信号を生成する。D型フリップフロップ53は、データ入力端子に入力される減算器52からのエラー信号を、クロック端子に入力される端子45からのシステムクロックに同期して、かつ、端子40を介して入力されるビットクロックがハイレベルのときにラッチし、これをQ出力端子から端子54及び図2のINV25を介して図2の乗算器・LPF22へ出力する。
なお、D型フリップフロップ53やタップ遅延回路部23a及び23b内のD型フリップフロップ231〜233、235〜237の各イネーブル端子(図示省略)には端子40を介してビットクロックがそれぞれ入力されており、また、各クロック端子には端子45を介してシステムクロックがそれぞれ入力され、更に各クリア端子には端子46を介してリセット信号がそれぞれ入力される。このように、タップ遅延回路部23a及び23bと仮判別回路24には、いずれもディジタル回路で構成されるため、アナログ特有の経時変化・パラメータばらつきの影響を受けることがなく、信頼性が高く、しかも回路規模も殆ど増えることのない構成である。
ここで、パーシャルレスポンス(PR)特性について説明するに、例えばPR(a,b,b,b,a)の特性を図4(A)に示す孤立波に付与して等化すると、その等化波形はよく知られているように、図4(B)に示すようになる。更に、連続波では、この等化波形は、0,a,2a,a+b,2a+b,2b,a+2b,3b,a+3b,2a+3bの10値をとる(但し、a=1、b=2のような場合には、2a+b=2bとなるので、9値をとる。)。
この10値をビタビ復号器に入力すると、元のデータ(入力値)とPR等化後の再生信号(出力値)は、過去の信号の拘束を受け、これと(1,7)RLLによって入力信号"1"は2回以上続かないことを利用すると、図4(C)に示すような状態遷移図で表わすことができることが知られている。
図4(C)において、S0〜S9は直前の出力値により定まる状態を示す。この状態遷移図から例えば状態S2にあるときは、入力値がa+2bのとき出力値1となって状態S3へ遷移し、入力値が2bのとき出力値が1となって状態S4へ遷移するが、それ以外の入力値は入力されないことが分かり、また、もし入力されればそれはエラーであることが分かる。
図5は上記のPR(a,b,b,b,a)の特性と仮判別器51が出力する仮判別値との関係を示す図である。同図において、PRモードで示す行は、図3の端子43を介して仮判別回路24(仮判別器51)に入力されるPRモード信号の値を示している。このPRモード信号の値は、パーシャルレスポンス特性がPR(1,2,2,2,1)、PR(1,3,3,3,1)及びPR(1,1,1,1,1)のいずれかである。なお、PR(3,4,4,4,3)等も可能である。
また、図5において、RLL(1,X)は最小反転間隔が"2"で、最大反転間隔が変調方式によって異なる所定の値Xのランレングス制限規則を示し、RLL(2,X)は最小反転間隔が"3"で、最大反転間隔が変調方式によって異なる所定の値Xのランレングス制限規則を示している。
RLL(1,X)の場合は、図4と共に説明したように、等化波形は、PR(a,b,b,b,a)では0,a,2a,a+b,2a+b,2b,a+2b,3b,a+3b,2a+3bの10値をとり、これらに対応した各パーシャルレスポンス特性における仮判定値が図5に示されている。RLL(2,X)はRLL(1,X)と同様の仮判定値を示すが、RLL(1,X)の2a+bと2bで示す2行の値は存在しない。これは、PR(a,b,b,b,a)でRLL(2,X)のときの状態遷移図は図4(D)に示す如くになり、図4(C)のRLL(1,X)のときの状態遷移図のS2→S4、S4→S7、S7→S5、S5→S2の遷移が存在しないからである。
次に、再び図3に戻って図3に示す回路の動作について説明するに、端子41を介して入力されたトランスバーサルフィルタ21からの波形等化再生信号は、タップ遅延回路部23aに供給されて遅延され、そのタップ遅延出力が仮判別器51に入力される。ここで、タップ遅延回路部23aに供給される波形等化再生信号のサンプリング値をD5とし、タップ遅延回路部23a内のD型フリップフロップ231、232、233の各出力サンプリング値(タップ遅延出力)をD4、D3、D2とすると、現在時刻におけるサンプリング値(判定したい信号)はD3、現在時刻の前後の時刻における信号(サンプリング値)がD2、D4として取り扱われる。
一方、リサンプリング・DPLL19からの0ポイント情報が端子42を介してタップ遅延回路部23bに供給され、そのタップ遅延出力が仮判別器51に入力される。ここでは、遅延調整器234により遅延調整されて出力される0ポイント情報をZ5とし、D型フリップフロップ235、236、237の各出力0ポイント情報をZ4、Z3、Z2とする。また、Z2、Z3、Z4は時間的にD2、D3、D4に対応するようにされている。仮判別器51は後述のアルゴリズムに従って、パーシャルレスポンス等化を前提とした仮判別(収束目標設定)を行う。
タップ遅延回路部23aから出力される現在時刻のタップ遅延出力信号D3は減算器52にも供給されており、減算器52はこの現在時刻のタップ遅延出力信号D3から仮判別器51により得られた判別結果を減算してエラー信号を演算し、そのエラー信号をD型フリップフロップ53でラッチした後出力端子54を介して図2のインバータ25で極性反転させた後、乗算器・LPF22へ出力する。インバータ25で極性反転されたエラー信号は、乗算器・LPF22でトランスバーサルフィルタ21からのタップ出力と乗算された後高域周波数成分が除去された後、上記のエラー信号を0にするようなタップ係数(フィルタ係数)としてトランスバーサルフィルタ21へ出力される。
次に、仮判別器51による動作について、図6及び図7のフローチャート等と共に更に詳細に説明する。ここで、上記の0ポイント情報の値Zが"1"であるときはゼロクロスポイントを示しており、これは図4(C)に示したPR(a,b,b,b,a)でRLL(1,X)の状態遷移図では、状態S2→S3又は状態S2→S4又は状態S7→S6又は状態S7→S5へ遷移する過程において発生する。PR(a,b,b,b,a)の場合は、0クロスに相当する値となるサンプル点が存在しないため、0ポイント情報の値Zが"1"のときには、ゼロクロスをした直後の値、a+2b、2b、a+b、2a+bのいずれかを示すフラグとして扱われることになる。
なお、上記の例では、ゼロクロスをした直後で扱っているが、直前に0ポイント情報を対応させても、後述のフローチャートを対応して変更すれば、同様の効果が得られることは勿論である。この場合は、上記の0ポイント情報の値Zが"1"であるときは、図4(C)のPR(a,b,b,b,a)でRLL(1,X)の状態遷移図では、状態S1→S2又は状態S5→S2又は状態S8→S7又は状態S4→S7へ遷移する過程において発生する。
この場合、図4(C)中、右半分は正の値の経路を辿り、左半分は負の値の経路を辿るため、ゼロクロスポイントの前又は後の値を参照することにより、正の経路なのか、負の経路なのかが判別できる。
しかも、あるゼロクロスポイントから次のゼロクロスポイントまでの間隔が分かれば、つまり「状態S3から状態S6に至るまで、又は状態S3から状態S5に至るまで、又は状態S4から状態S5に至るまで、又は状態S4から状態S6に至るまで、」もしくは、「状態S6から状態S3に至るまで、又は状態S6から状態S4に至るまで、又は状態S5から状態S3に至るまで、又は状態S5から状態S4に至るまで、」の遷移数がわかれば、経路が確定し、取り得るべき値が各々のサンプル点に対して明確になる。
また、上記の状態遷移図で「a+b」以外の値、すなわちゼロクロスポイントでないときは、上記の0ポイント情報の値Zが"0"である。この状態遷移図から、ゼロクロスポイント(Z=1)は2つ連続して取り出されることはなく、また、RLL(1,X)の場合は、隣接するZ=1の間には最低1つの″0″が存在する(0ポイント情報の値Zが1→0→1と変化したとき、すなわち、状態S4→S7→S5、あるいは状態S5→S2→S4と遷移したとき)。なお、RLL(2,X)の場合は、隣接するZ=1の間には最低2つの"0"が存在する。2a+b及び2bの値は存在しないからである。
実際の信号では、ノイズ等の影響により、ゼロクロスポイント自体の検出を誤ることも十分に予想されるが、フィードバック制御の場合、正しい判定のできる確率が誤る確率を上回っていれば、正しい方向に収束していくはずであり、また、十分な積分処理のため、単発のノイズは実用上問題ないと考えられる。
以上の点に着目し、仮判別器51は、まず、タップ遅延回路23からビットクロックの周期毎に出力される0ポイント情報の値Zを識別し、その連続する4クロック周期の4つの値Z(Z2,Z3,Z4,Z5を並べた値)がオール"0"であるかどうかを判別する(図6のステップ61)。以下、図6及び図7には、RLLモードが(1、X)の場合についての例を示す。
このパターンは、着目する中央の値の0ポイント情報の値Z3を"0"としたとき、前後両側の0ポイント情報の値Z2、Z4がいずれも"0"である場合であり、このときは信号波形が正側、又は負側に張り付いている場合であるので、このパターンを満たすときは、現在時刻の信号D3が0以上か、負であるかにより Q=2a+3b (D3≧0の場合)
Q=0 (D3<0の場合) (1)
なる式により、仮判定値Qを算出する(図6のステップ71、81a,81b)。
上記のパターンでないときは、連続する4クロック周期の4つの0ポイント情報の値Zのうち最初の3つ(Z2,Z3,Z4)が"101"であるかどうか判別する(図6のステップ62)。なお、図6中、*は値が0、1のいずれでもよいことを意味する。このパターンは、着目する中央値の0ポイント情報の値Z3を"0"としたとき、中央値の前後両側に隣接する2つのZの値がいずれも"1"である場合であり、これは前記したように、RLL(1,X)のときのみ発生する可能性がある。このパターンを満たすときは、現在時刻の信号D3が0以上か、負であるかにより
Q=2b (D3≧0の場合)
Q=2a+b (D3<0の場合) (2a)
又は信号D4が負であるか否かにより
Q=2b (D4<0の場合)
Q=2a+b (D4≧0の場合) (2b)
なる式により、仮判別値Qを算出する(図6のステップ72、82a,82b)。
ここで、信号D3を使って判定した場合は、特に光ディスクの高密度化により2Tのピークレベル(D3)が小さいために極性を誤り易い。信号D4が逆極性であることを利用すると、より正確な判定ができる(更に確からしい判定方法は、第2の実施の形態で述べる。)。
上記のパターンでないときは、連続する4クロック周期の4つの0ポイント情報の値Zのうち最初の3つ(Z2,Z3,Z4)が"001"であるかどうか判別する(図6のステップ63)。このパターンは、着目する中央値の0ポイント情報の値Z3を"0"としたとき、中央値の前後両側に隣接する2つのZの値の片側Z4だけが "1"の場合であり、このパターンを満たすときは、現在時刻の信号D3が0以上か、負であるかにより
Q=a+2b (D3≧0の場合)
Q=a+b (D3<0の場合) (3a)
又は、信号D2が0以上か、負であるかにより
Q=a+2b (D2≧0の場合)
Q=a+b (D2<0の場合) (3b)
なる式により、仮判別値Qを算出する(図6のステップ73、83a,83b)。
ここで、信号D3を使って判定した場合は、ゼロクロスポイントに近いので、D3が小さくなって極性を誤り易い。一方、信号D2が同極性、かつ、レベルが大きいことを利用すると、より正確な判定ができる。
上記のパターンでないときは、連続する4クロック周期の4つの0ポイント情報の値Zが"1000"であるかどうか判別する(図6のステップ64)。このパターンは、着目する中央値の0ポイント情報の値Z3を"0"としたとき、1つ前の情報Z2だけが"1"の場合であり、このパターンを満たすときは、現在時刻の信号D3が0以上か、負であるかにより
Q=a+3b (D3≧0の場合)
Q=a (D3<0の場合) (4)
なる式により、仮判定値Qを算出する(図6のステップ74、84a,84b)。
上記のパターンでないときは、連続する4クロック周期の4つの0ポイント情報の値Zが"0001"であるかどうか判別する(図6のステップ65)。このパターンは、着目する中央値の0ポイント情報の値Z3を"0"としたとき、最後の情報Z5だけが"1"の場合であり、このパターンを満たすときは、現在時刻の信号D3が0以上か、負であるかにより
Q=a+3b (D3≧0の場合)
Q=a (D3<0の場合) (5)
なる式により、仮判定値Qを算出する(図6のステップ75、85a,85b)。
上記のパターンでないときは、連続する4クロック周期の4つの0ポイント情報の値Zが"0101"であるかどうか判別する(図7のステップ66)。このパターンは、着目する中央値の0ポイント情報の値Z3を"1"としたとき、最後の情報Z5が"1"の場合であり、このパターンを満たすときは、現在時刻の信号D3が0以上か、負であるかにより
Q=2b (D3≧0の場合)
Q=2a+b (D3<0の場合) (6)
なる式により、仮判定値Qを算出する(図7のステップ76、86a,86b)。
上記のパターンでないときは、連続する4クロック周期の4つの0ポイント情報の値Zが"0100"であるかどうか判別する(図7のステップ67)。このパターンは、着目する中央値の0ポイント情報の値Z3を"1"としたとき、他の情報が全て"0"であり、このパターンを満たすときは、現在時刻の信号D3が0以上か、負であるかにより
Q=a+2b (D3≧0の場合)
Q=a+b (D3<0の場合) (7a)
又は、信号D4が0以上か、負であるかにより
Q=a+2b (D4≧0の場合)
Q=a+b (D4<0の場合) (7b)
なる式により、仮判定値Qを算出する(図7のステップ77、87a,87b)。
ここで、信号D3を使って判定した場合は、2Tのピークレベル(D3)が小さくなって極性を誤り易い。一方、信号D4が同極性、かつ、レベルが大きいことを利用すると、より正確な判定ができる。
上記のパターンでないときは、連続する4クロック周期の4つの0ポイント情報の値Zが"1001"であるかどうか判別する(図7のステップ68)。このパターンは、着目する中央値の0ポイント情報の値Z3を"0"としたとき、最初の情報Z2と最後の情報Z5が"1"の場合であり、このパターンを満たすときは、現在時刻の信号D3が0以上か、負であるかにより
Q=3b (D3≧0の場合)
Q=2a (D3<0の場合) (8)
なる式により、仮判定値Qを算出する(図7のステップ78、88a,88b)。
以上のパターンのいずれでもないときは、状態遷移図上では有りえないパターンなので、このパターンを満たすときは、現在時刻の信号D3が0以上か、負であるかにより
Q=2b (D3≧0の場合)
Q=2a+b (D3<0の場合) (9)
なる式により、暫定の仮判定値Qを算出する(図7のステップ79、89a、89b)。
以上の仮判別処理は、RLLモードが(1、X)の場合について説明であるが、RLLモードが(2、X)の場合の仮判別処理は、図8及び図9のフローチャートに示すようになる。両図中、図6及び図7の処理と同一処理には同一符号を付し、その説明を省略する
。前述したように、RLL(2,X)の場合は、隣接するZ=1の間には最低2つの"0
"が存在する。
従って、図8及び図9に示すように、RLL(2,X)の仮判別処理では、図6のステップ62の連続する3つの0ポイント情報(Z2,Z3,Z4)が"101"であるかどうかの判別、及び図7のステップ66の連続する4つの0ポイント情報の値Zが"0101"であるかどうかの判別は不要となり、それに伴いステップ72、82a、82b、76、86a及び86bの処理が不要となる。それ以外は、RLL(2,X)の仮判別処理と同じである。
以上の仮判別処理により得られた仮判定値Qは、図3の減算器52に供給されて現在時刻の波形等化信号D3との差分をとられてエラー信号とされ、前述したように、D型フリップフロップ53でラッチされた後出力端子54及び図2のINV25を介して図2の乗算器・LPF22へ出力され、ここで乗算されてから高域周波数成分が除去され、トランスバーサルフィルタ21にタップ係数として出力される。
このようにして、図3の減算器52から取り出されるエラー信号が0になるように、トランスバーサルフィルタ21のタップ係数が可変制御されることにより、トランスバーサルフィルタ21による波形等化を収束範囲を拡大させて好適に行うことができる。
次に、上記の仮判別処理による波形等化について、更に具体的に説明する。例えば、図10(A)に実線で示す波形の等化後再生信号が、図2に示すトランスバーサルフィルタ21から取り出されてタップ遅延回路23を介して仮判別回路24に入力される場合、この仮判別回路24にはリサンプリング・DPLL19から同図(A)の波形の下部に示すような値Zの0ポイント情報も入力される。ここで、図10(A)において、〇印はトランスバーサルフィルタ21によりパーシャルレスポンス等化するときの等化用のサンプル点を示し、これは本来のデータ点と同じ位相である(他の図10(B)、図11(A)、(B)も同様)。
図10(A)において、まず、連続する4つの0ポイント情報の値Zが"0100"となり、このときは前記(7)式に基づいて等化される(図7のステップ67)。なお、上記の(7)式の演算結果による波形等化は、連続する4つの0ポイント情報の値Z(Z2,Z3,Z4,Z5)と、波形等化信号D3もしくはD4の極性に応じて行われることは前述の通りである。ここでは、D3>0であるから、Qはa+2bとなる(図7のステップ77、87a)。
次に、図10(A)において、連続する4つの0ポイント情報の値Zが"1000"となり、このときは前記(4)式に基づいて等化される(図6のステップ64)。なお、上記の(4)式の演算結果による波形等化は、連続する4つの0ポイント情報の値Z(Z2,Z3,Z4,Z5)と、波形等化信号D3の極性に応じて行われることは前述の通りである。ここでは、D3>0であるから、Qはa+3bとなる(図6のステップ74、84a)。
次に、図10(A)において、連続する4つの0ポイント情報の値Zがオール"0"となり、このときは前記(1)式に基づいて波形等化される(図6のステップ61)。なお、上記の(1)式の演算結果による波形等化は、連続する4つの0ポイント情報の値Z(Z2,Z3,Z4,Z5)と、波形等化信号D3の極性に応じて行われることは前述の通りである。ここでは、D3>0であるから、Qは2a+3bとなる(図6の71、81a)。
次も、上記の同様に連続する4つの0ポイント情報の値Zはオール"0"であり、上記と同じ波形等化が行われる。続いて、図10(A)において、連続する4つの0ポイント情報の値Zが"0001"となり、このときは前記(5)式に基づいて波形等化される(図6のステップ65)。なお、上記の(5)式の演算結果による波形等化は、連続する4つの0ポイント情報の値Z(Z2,Z3,Z4,Z5)と、波形等化信号D3の極性に応じて行われることは前述の通りである。ここでは、D3>0であるから、Qはa+3bとなる(図6のステップ75、85a)。以下、上記と同様の動作が繰り返されることにより、図10(A)の等化後波形は仮判別処理により図10(B)のようになる。
図11(A)は別の、トランスバーサルフィルタ21の出力等化後再生信号波形の一例を示す。図11(A)に実線で示す波形の等化後再生信号(これはRLL(1,X)の信号であるものとする)が、図2に示したトランスバーサルフィルタ21から取り出されてタップ遅延回路23を介して仮判別回路24に入力される場合、この仮判別回路24にはリサンプリング・DPLL19からは同図(A)の波形の下部に示すような値Zの0ポイント情報も入力される。ここで、図11(A)において、〇印はトランスバーサルフィルタ21によりパーシャルレスポンス等化するときの等化用のサンプル点を示し、これは本来のデータ点と同じ位相である。
図11(A)において、まず、連続する4つの0ポイント情報の値Zが"0101"であり、このときは前記(6)式に基づいて波形等化される(図7のステップ66)。なお、上記の(6)式の演算結果による波形等化は、連続する4つの0ポイント情報の値Z(Z2,Z3,Z4,Z5)と、波形等化信号D3の極性に応じて行われることは前述の通りである。ここでは、D3<0であるから、Qは2a+bとなる(図7のステップ76、86b)。
図11(A)において、続く連続する4つの0ポイント情報の値Zのうち最初の3つ(Z2,Z3,Z4)が"101"となるので、このときは前記(2)式に基づいて波形等化される(図6のステップ62)。なお、上記の(2)式の演算結果による波形等化は、連続する3つの0ポイント情報の値Z(Z2,Z3,Z4)と、波形等化信号D3またはD4の極性に応じて行われることは前述の通りである。ここでは、D4>0であるので、Qは2a+bとなる。
続いて、図11(A)において、連続する4つの0ポイント情報の値Zが"0100"となり、このときは前記(7)式に基づいて波形等化が行われる(図7のステップ67)。なお、上記の(7)式の演算結果による波形等化は、連続する4つの0ポイント情報の値Z(Z2,Z3,Z4,Z5)と、波形等化信号D3又はD4の極性に応じて行われることは前述の通りである。ここでは、D3>0であるから、Qはa+2bとなる(図7のステップ77、87a)。
更に、図11(A)において、続く連続する4つの0ポイント情報の値Zが"1001"となり、このときは前記(8)式に基づいて波形等化される(図7のステップ68)。
なお、上記の(8)式の演算結果による波形等化は、連続する4つの0ポイント情報の値Z(Z2,Z3,Z4,Z5)と、波形等化信号D3の極性に応じて行われることは前述の通りである。ここでは、D3>0であるので、Qは3bとなる。以下、同様の動作が行われることにより、図11(A)に示す等化後波形は、仮判別処理により図11(B)に示す波形のようになる。
このように、この実施の形態では、0ポイント情報の値Zを参照し、状態遷移からダイレクトに決定される値に波形等化するようにしたため、現在のサンプル点のレベルに依存しない(他の目標値に近くても影響されない)正確な波形等化ができる。また、異なるパーシャルレスポンス等化に対応でき、更に判定を誤る確率はスレッショルドが固定の従来装置に比べて少ないので、収束時間を短時間にできる。なお、本実施の形態は、RLL(2,X)にも同様に適用できる。図4(D)と共に説明したように、RLL(1,X)と略同様の状態遷移が行われるからである。
図12及び図13はこの再生装置の復号回路の出力信号のアイパターンの各例を示す。
図12及び図13において、縦軸は量子化レベル、横軸は時間を示す。図12に示す例はPRモード信号の値が「1」、すなわちPR(1,2,2,2,1)で、かつ、RLL(1,X)の例で、0,a,2a,a+b,2a+b,2b,a+2b,3b,a+3b,2a+3bに対応した、0、1、2、3、4、5、6、7、8の9値に収束している(但し、実際のデータは、8ビット等で量子化された値であるから、利得分を乗じた値となる。)。
図13に示す例はPRモード信号の値が「2」、すなわちPR(1,3,3,3,1)で、かつ、RLL(1,X)の例で、0,a,2a,a+b,2a+b,2b,a+2b,3b,a+3b,2a+3bに対応した、0、1、2、4、5、6、7、9、10、11の10値に収束している(但し、実際のデータは、8ビット等で量子化された値であるから、利得分を乗じた値となる。)。図12及び図13に示すように、本実施の形態の再生装置によれば、各値に良く収束しており、正確な波形等化ができていることが分かる。
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。図14は本発明装置の要部の適応等化回路の第2の実施の形態のブロック図を示す。同図中、図2と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図14に示すように、図1の適応等化回路20に相当する第2の実施の形態の適応等化回路20bは、リサンプリング・DPLL19aからのリサンプリング・データに対してPR等化特性を付与するトランスバーサルフィルタ21と、このトランスバーサルフィルタ21の係数をエラー信号に応じて可変する乗算器・低域フィルタ(LPF)22と、タップ遅延回路23と、トランスバーサルフィルタ21の出力信号とタップ遅延回路23からの遅延信号とに基づいて前記エラー信号を生成して乗算器・LPF22に供給する仮判別回路24と、トランスバーサルフィルタ21の出力信号のゼロクロスポイントを検出してタップ遅延回路23に供給するゼロ検出器26からなる。
ゼロ検出器26は、例えば入力等化後再生信号の極性が反転したときに、近傍の2つのサンプル点のうち、より0に近い方を0ポイント情報としてタップ遅延回路23に供給する。これにより、この実施の形態も、図2の実施の形態と同様の動作を行う。
ところで、リサンプリング・DPLL19、19aは、その入力側にはAGC回路やATC回路が設けられ、その出力側には適応等化回路20(20a、20b)が設けられているが、自分自身でループが完結しているために、確実な収束が期待でき、また外付けの回路も不要であるので構成が簡単であり、更に、ディジタル回路であるので信頼性が高いという利点を有する。しかし、本発明はこれに限らず、以下の実施の形態のようにリサンプリング・DPLLを使用しない構成にも適用できる。
図15は本発明装置の要部の適応等化回路の第3の実施の形態のブロック図を示す。同図中、図2と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図15に示すように、図1の適応等化回路20に相当する第3の実施の形態の適応等化回路20cは、リサンプリング・DPLL19からの信号ではなく、再生信号に対しA/D変換及び自動利得制御をし、更にDC制御(ATC制御)を施した信号を入力信号として受け、トランスバーサルフィルタ21の等化後再生信号が入力されるゼロクロス検出・位相比較器31により0ポイント情報を検出する点に特徴がある。
ゼロクロス検出・位相比較器31は、トランスバーサルフィルタ21の等化後再生信号をゼロクロス検出し、その検出ゼロクロス点の位相と電圧制御発振器(VCO)33よりのビットクロックの位相とを位相比較して位相誤差信号を生成する。この位相誤差信号はループフィルタ32を通して電圧制御発振器(VCO)33に制御電圧として印加され、その出力システムクロック周波数を可変制御する。VCO33のシステムクロックは上記のビットクロックを含み、装置のクロックが必要な各ブロックに印加される。
ループフィルタ32及びVCO33はディジタルでもアナログでも構成可能であり、アナログの場合はD/A変換を行うインターフェースが必要となる。この実施の形態も上記の各実施の形態と同様の特長を有する。
図16は本発明装置の要部の適応等化回路の第4の実施の形態のブロック図を示す。同図中、図2と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図16に示すように、図1の適応等化回路20に相当する第4の実施の形態の適応等化回路20dは、リサンプリング・DPLL19からの信号ではなく、必要に応じてプリイコライズされた再生信号に対しA/D変換器34によりA/D変換されたディジタル信号をトランスバーサルフィルタ21と共にゼロ検出器27に入力して0ポイント情報を検出する点に特徴がある。
A/D変換器34の入力再生信号は、位相比較器35に供給されてゼロクロス点の位相と、電圧制御発振器(VCO)37からのビットクロックの位相とが位相比較されて位相誤差信号に変換された後、ループフィルタ36を通して電圧制御発振器(VCO)37に制御電圧として印加され、その出力システムクロック周波数を可変制御する。ループフィルタ36及びVCO37はディジタルでもアナログでも構成可能であり、アナログの場合はD/A変換を行うインターフェースが必要となる。VCO37のシステムクロックは上記のビットクロックを含み、装置のクロックが必要な各ブロックに印加される。遅延合わせは必要に応じて行う。
一方、ゼロ検出器27は、例えばA/D比較器34からの信号の極性が反転したときに、近傍の2つのサンプル点のうち、より0に近い方を0ポイント情報としてタップ遅延回路23に供給する。この実施の形態も上記の各実施の形態と同様の特長を有する。
図17は本発明装置の要部の適応等化回路の第5の実施の形態のブロック図を示す。同図中、図2と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図17に示すように、図1の適応等化回路20に相当する第5の実施の形態の適応等化回路20eは、仮判別回路24とINV25の間にエラー選択回路55を設けた点に特徴がある。
エラー選択回路55は例えば図18に示すように、第1の入力端子551に仮判別回路24から出力されたエラー信号が入力され、第2の入力端子552に仮判別回路24との別の出力である仮判別情報が入力され、選択回路553、スイッチ回路554及び0発生器555から構成されている。仮判別回路24から出力される仮判別情報は、PR等化の目標値に設定されているはずであり、その目標値からのずれがエラー信号として出力されているので、選択回路553は仮判別回路24が目標値としてゼロクロスポイントから離れた値、例えば、
0、2a+3b
もしくは0、a、a+3b、2a+3b
もしくは0、a、2a、3b、a+3b、2a+3b
のときは、"0"を出力する。それ以外は"1"を出力する。
つまり、スイッチ回路554は、端子554aに入力されるエラー信号と、端子554bに入力される0発生器555からの固定の値0を入力として受けると共に、選択回路553の出力信号がスイッチング信号として供給され、選択回路553の出力信号が″1″のときは端子554aに入力されたエラー信号の有効成分を選択し、選択回路553の出力信号が″0″のときは端子554bに入力された値0を選択し、エラー信号を無効化する。
スイッチ回路554で選択された信号は、出力端子556を介して図17のINV25を経由して乗算器・LPF22に供給され、トランスバーサルフィルタ21からのタップ出力と乗算された後高域周波数成分が除去された後、上記のエラー信号を0にするようなタップ係数(フィルタ係数)とされてトランスバーサルフィルタ21に入力される。
次に、この実施の形態の作用について、PR(1,2,2,2,1)の場合を例にとって説明する。エラー選択回路55を有しない適応等化回路20a等では、適応等化回路20の出力信号が図19(A)にIで示すように正しくPR等化されている信号である場合は、サンプル点は、図上の〇印のようになり、仮判別回路24から出力されるエラー信号は図19(B)に模式的に示すように目標値とのずれは僅かであり、正しい波形等化が得られる。
しかし、光ディスクからの再生信号に見られるように、適応等化回路20の出力信号が例えば図20(A)にIIで示されるような再生信号に歪みが大きいときは、丸印で示すようなサンプル点となり、ゼロクロスからずれた波形部分IIIにずれが生じ、仮判別回路24から出力されるエラー信号中には図20(B)にIVで模式的に示すように目標値とのずれが大きなエラーが発生する。つまり、ゼロクロス付近でないサンプル点に不正確なデータが現れる。
そこで、この実施の形態では、図18に示した構成のエラー選択回路55を図17に示すように仮判別回路24の出力側に設け、ゼロクロス付近のサンプル点以外のサンプル点のエラー信号は出力せず、固定値0を出力することでエラー信号を無効化するようにしているため、図21(A)に示すように歪みが大きくて正しくPR等化されていない信号が適応等化回路20から出力されるような場合であっても、適応等化回路20eではエラー選択回路55から出力されるエラー信号が図21(B)に示すようにゼロクロス付近でないサンプル点は黒三角印で示すように固定値0に置き換えられる。
このため、エラー選択回路55が存在しないときに目標値とのずれが大きく発生したサンプル位置でも、この実施の形態では図21(B)にVで示すように、目標値とのずれがないようにされる。このように、この実施の形態では、エラー信号のうち確からしくないエラー信号を無効化し、確からしいものだけをエラー信号の有効成分として用いることにより、正しい目標値に収束でき、結果としてエラーレートを改善できる。
パーシャルレスポンスの目標値からずれたDC成分は、目標値毎に積分し、この値を基に新しく、後段のビタビ復号の目標値を生成することで、確からしい検出が行えるようになる。
次に、図6のステップ62に関する他の実施の形態について説明する。このパターンは、着目する中央値の0ポイント情報の値Z3を"0"としたとき、中央値の前後両側に隣接する2つのZの値のいずれも"1"の場合であり、これは前記したように、RLL(1,X)のときのみ発生する可能性がある。このパターンを満たすときは、信号D2、D3、D4共に、そのレベルがゼロクロス付近に集中しており、極性の判定誤りが最も発生し易い。つまり、S4→S7の状態遷移なのか、S5→S2の状態遷移なのかを誤って判定し易い。
そこで、図22(A)に示すようなS2→S4→S7→S5の状態遷移の基準値、例えば(2b)、(2b)、(2a+b)と、図22(B)に示すようなS7→S5→S2→S4の状態遷移の基準値、例えば(2a+b)、(2a+b)、(2b)を用意し、D2、D3、D4とそれぞれユークリッド距離を計算し、その総和を比較することで、より確からしい判定を行う。つまり、
UD1=(D2−(2b))2+(D3−(2b))2+(D4−(2a+b))2
UD2=(D2−(2a+b))2+(D3−(2a+b))2
+(D4−(2b))2
を演算し、
Q=2b (UD1≦UD2の場合)
Q=2a+b (UD1>UD2の場合)
なる式により、仮判定値Qを算出する。ここで、S2→S4→S7→S6やS7→S5→S2→S3の遷移も考えられるが、上記のユークリッド距離の判定において、相対的な比較をする上では問題にならない。このようにして、小さなレベルでかつノイズが多い状態でも、確からしい極性判定ができるので、正しい仮判別値を求めることが可能となる。
図23はこれらの動作を回路化したもので、仮判別器51の他の実施の形態のブロック図を示す。同図において、信号D2は2b発生器101、2a+b発生器102の各出力信号と減算器103、104でそれぞれ差し引かれた後、2乗演算器(乗算器)105、106で2乗される。同様に、信号D3は2b発生器107、2a+b発生器108の各出力信号と減算器109、110でそれぞれ差し引かれた後、2乗演算器(乗算器)111、112で2乗され、信号D4は2a+b発生器113、2b発生器114の各出力信号と減算器115、116でそれぞれ差し引かれた後、2乗演算器(乗算器)117、118で2乗される。
加算器119は2乗演算器(乗算器)105、111及び117の各出力信号を加算することにより、前記UD1で示す演算式で表わされる第1の加算信号を出力し、加算器120は2乗演算器(乗算器)106、112及び118の各出力信号を加算することにより、前記UD2で示す演算式で表わされる第2の加算信号を出力する。減算器121は上記の第1の加算信号から第2の加算信号を差し引く減算を行い、得られた減算結果を判定回路122に供給する。
判定回路122は、入力された減算結果の値が正(すなわち、UD1>UD2)のときは1を出力し、0以下(すなわち、UD1≦UD2)のときは0を出力する。スイッチ回路123は、判定回路122の出力信号が1のときには2a+b発生器125から出力される2a+bの値の信号を仮判別値Qとして出力し、判定回路122の出力信号が0のときには2b発生器124から出力される2bの値の信号を仮判別値Qとして出力する。
次に、ビットスリップによるエラー対策を施した本発明の記録再生装置について説明する。図24(A)、(B)は本発明になる記録再生装置の第1の実施の形態の記録系、再生系の各ブロック図を示す。同図(A)において、ディジタル情報は、ECC用パリティ生成回路131に供給されてパリティ(ターボ符号、LDPC等)が付加された後、インターリーブ回路132で公知のインターリーブ処理が施されてランレングス符号化回路133に供給される。
ランレングス符号化回路133は、1−7pp変調又は8−15変調等により、ランレングス制限・DSV(Digital Sum Variation)の施された符号列(すなわち、ランレングス制限符号)を生成する。ストラテジ回路134は、このランレングス制限符号をもとに、レーザを変調するための高周波パルスに変換し、その高周波パルスを図示しない光ヘッドに供給して光ディスクにディジタル情報を記録させる。
次に、図24(B)に示す再生系について説明する。上記の光ディスクから光ヘッドにより公知の手段にて読み出された信号は、A/D変換器141に供給されてマスタークロックでサンプリングされることにより、ディジタル信号に変換された後、AGC・ATC回路142に供給され、ここで振幅が一定に制御される自動利得制御(AGC)及び2値コンパレートの閾値を適切に直流(DC)制御する自動閾値制御(ATC)が行われる。
AGC・ATC回路142の出力信号は、リサンプリング・DPLL143に供給される。リサンプリング・DPLL143は、自分自身のブロックの中でループが完結しているディジタルPLL(位相同期ループ)回路で、入力信号を所望のビットレートでリサンプリング(間引き補間)演算して生成したリサンプリングデータ(すなわち、リサンプリングデータの位相0゜、180゜のうち、180゜のリサンプリングデータ)を、適応等化回路144内のトランスバーサルフィルタに供給する。
また、リサンプリング・DPLL143は、リサンプリングデータのゼロクロスを検出しており、ゼロクロスポイントに対応するリサンプリングデータの値に基づいて、位相エラーが0になるように、リサンプリングのタイミング、つまり周波数をロックさせる。リサンプリング・DPLL143からは、ゼロクロス検出信号である0ポイント情報が適応等化回路144に供給され、位相エラーが後述するランレングス復号回路147に供給される。
リサンプリング・DPLL143は、例えば図25のブロック図に示す如き構成とされている。同図において、補間器1431は、図24(B)に示したAGC・ATC回路142から出力されるディジタル信号と、後述のタイミング発生器1434から出力されるデータ点位相情報及びビットクロックとを入力信号として受け、入力されるデータ点位相情報及びビットクロックから位相点データのデータ値を補間により推定して出力する。
この補間器1431の出力データ値は、リサンプリング信号として図24(B)の適応等化回路144に供給されると共に、位相検出器1432に供給される。位相検出器1432は、リサンプリング信号からゼロクロス点を検出し、ゼロクロス点でのデータ値を利用して位相誤差信号として出力する。この位相誤差信号は、ループフィルタ1433で積分された後、タイミング発生器1434に供給され、ここでループフィルタ1433の出力の次のデータ点位相の推定が行われ、このデータ点位相情報と、同じく生成されたビットクロックが補間器1434に供給される。
再び図24(B)に戻って説明するに、適応等化回路144は、リサンプリング・DPLL143により、入力信号を所望のビットレートでリサンプリング(間引き補間)演算して生成されたリサンプリングデータを入力信号として受け、この入力信号に対してパーシャルレスポンス(PR)特性を付与して復号回路145に供給する。復号回路145は、適応等化回路144から供給され等化後再生波形に対して、例えばビタビ復号(又はSOVA又はMAP復号)を行う。
ビタビ復号の回路構成は公知であり、前述したように、例えば等化後再生波形のサンプル値からブランチメトリックを計算するブランチメトリック演算回路と、そのブランチメトリックを1クロック毎に累積加算してパスメトリックを計算するパスメトリック演算回路と、パスメトリックが最小となる、最も確からしいデータ系列を選択する信号を記憶するパスメモリとよりなる。このパスメモリは、複数の候補系列を格納しており、パスメトリック演算回路からの選択信号に従って選択した候補系列を復号データとして出力する。
なお、ビタビ復号は、硬判定で2値にしてもよいし、軟判定で尤度情報と共に出力してもよい。また、事後確率法(APP)でもよいことは勿論である。
復号回路145により復号して得られた復号信号は、ディジタル情報の復号信号であるメイン信号と尤度情報とからなり、同期信号検出回路146に供給され、ここで再生信号に予め付加されている同期信号が検出されて同期信号タイミング情報として出力されると共に、メイン信号と尤度情報はそのまま出力されてランレングス復号回路147に供給される。ランレングス復号回路147には、リサンプリング・DPLL143から出力された位相エラーも供給される。
ランレングス復号回路147は、例えば図26のブロック図に示す構成とされている。
図26において、同期信号検出回路146から出力されたメイン信号と尤度情報とは、遅延回路1471により遅延され、また、上記の位相エラーは遅延回路1472により遅延されてそれぞれデータ長回復器1473に供給される。一方、同期信号検出回路146から出力された同期信号タイミング情報は、計数回路1474により隣接する2つの同期信号の間の時間間隔がクロックに基づきカウントされ、そのカウント結果がエラー判定回路1475に供給される。
エラー判定回路1475は、基準データ長発生器1476からの基準データ長と計数回路1474からの同期信号間隔に応じたカウント結果とを比較し、それらが等しいかどうかを示すデータ長エラー情報を生成してデータ長回復器1473に供給する。データ長回復器1473は、位相エラーの絶対値が所定の閾値を越えた場合、又は位相エラーの最大値を抽出し、その位置情報を有するスリップポイント情報を検出すると共に、データ長エラー情報に基づき、長さが正規の長さでないと判断されたときには、入力されるメイン信号と尤度情報に対して、スリップポイント情報に基づく位置で、データ長の調節(補間又は間引き処理)を行うことにより、データ長を回復する。
データ長回復器1473から出力されたメイン信号と尤度情報とは、ランレングス復号器1477に供給され、ランレングス復号(尤度変換)されてランレングス復号後信号が得られる。ここで、ランレングス復号に際しては、通常のRLLデコードに加えて、LLR(事後確率の尤度比)を変換する作業が必要となる。つまり、各チャンネルビットに対応したLLRを入力とし、復号後の各データビットに対応したLLRを出力する。
前述した記録系でのランレングス符号化に際して、1−7pp変調を行ったときには、1−7ppでは2ビットから3ビットへの変換により符号化するので、ある3ビットを2ビットに復号する場合、前後の各3ビットを同時に見る(スライディング・ウィンドウ)。
この計9ビットを{C0、C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8}とした場合、符号として可能性のある1、0の組み合わせを、データビットの2ビット(dk,dk+1)に対応させて、図27に示すテーブルを作成し、これを用いて復号する。このテーブルは、各20行で4つあり、計80パターンある。なお、パターンによっては、前後を2ビットとし、7ビットとすることも可能である。
復号されたデータビットに対応するLLRは、下記の演算式により計算することができる。
また、前述した記録系でのランレングス符号化に際して、8−15変調を行ったときには、8−15変調は8ビットを15ビットの変換により符号化するので、ある15ビットを8ビットに復号する場合は、前後の各15ビットを同時に見る(スライディング・ウィンドウ)。この計45ビットを{C0,C1,C2,・・・,C44}としたとき、符号として可能性のある1、0の組み合わせを、データビットの8ビット(dk,dk+1,dk+2,・・・,dk+7)に対応させて、図28に示すテーブルを作成し、これを用いて復号す
る。
復号されたデータビットに対応するLLRは、下記の演算式により計算することができる。
なお、下記の演算式によりLLRを求めることもできる。
上式中、mmaxはスライディング・ウィンドウ内のビット数−1である。例えば、(D8−15)の場合、前後の各15ビットをすべて見る場合には、mmax=44となる。
なお、前述の通り、前後のコードについては、必ずしも15ビットをすべて見る必要はない。
つまり、LLRを計算したい対象のビットに対して、その値が1となるコードパターンについて、前後のコードを含めたLLRの加算(ただし、パターンの値が1の場所は正のまま、パターンの値が0の場所は反転する。)と、その値が0となるコードパターンについて、前後のコードを含めたLLRの加算(ただし、パターンの値が1の場所は正のまま、パターンの値が0の場所は反転する。)の減算で示すことが可能となる。このようにすることで、パターンの多い8−15変調のようなランレングス変調方式でも、演算時間・回路規模・メモリ規模を最小限にして確からしい尤度を算出することができる。
再び図24(B)に戻って説明するに、ランレングス復号回路147により復号されたメイン情報と変換された尤度情報(LLR)とからなるランレングス復号後信号は、デインターリーブ回路148に供給されてデインターリーブされて元の順番に戻された後、ECC回路149により誤り訂正等されて復号ディジタル情報が出力される。
次に、本実施の形態の動作原理について説明する。図29はビットスリップにより、ビットスリップ以降のビットがすべてずれた状態を示す。すなわち、従来は同期信号SY1の再生後にビットスリップがSLの位置で発生した場合、それ以降、次の同期信号SY2が検出されるまでのビットがすべてずれて誤り範囲ER1となる。
図30は本発明による効果を示しており、本発明では同期信号SY1の再生後にビットスリップがSLの位置で発生した場合、次に再生される同期信号SY2の位置を基準として、エラー発生位置を検出してビットスリップ以降のビット位置を決定するので、誤り範囲はER2で示すように、従来の誤り範囲ER1に比べて大幅に狭く最小限にすることができる。LDPC等、長い符号長を用いて誤り訂正をするような方法の場合では、ビット位置がずれると、正しい値に訂正することは不可能であるので、本発明は有効である。
次に、本発明になる記録再生装置の第2の実施の形態について説明する。図31(A)、(B)は本発明になる記録再生装置の第2の実施の形態の記録系、再生系の各ブロック図を示す。同図中、図24と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図31(A)に示す記録系は、ディジタル情報は、ECC用パリティ生成回路151に供給されてパリティ(RS・LPDC等)が付加された後、ランレングス符号化回路152に供給され、ここでランレングス制限・DSV(Digital Sum Variation)の施された符号列(すなわち、ランレングス制限符号)に変換される。
ランレングス符号化回路152から出力されたランレングス制限符号はECC用パリティ生成回路153でパリティが付加されてストラテジ回路154に供給され、ここでランレングス符号をもとに、レーザを変調するための高周波パルスに変換され、その高周波パルスが図示しない光ヘッドに供給されて光ディスクにディジタル情報が記録される。
本実施の形態の再生系は、図31(B)に示すように、同期信号検出回路146から出力されたメイン情報、尤度情報及び同期タイミング情報は、リサンプリング・DPLL143から出力された位相エラーと共にデータ長回復回路156に供給される。データ長回復回路156は、例えば図32のブロック図に示す如き構成とされている。
同図において、同期信号検出回路146から出力されたメイン信号と尤度情報とは、遅延回路1561により遅延され、また、上記の位相エラーは遅延回路1562により遅延されてそれぞれデータ長回復器1563に供給される。一方、同期信号検出回路146から出力された同期信号タイミング情報は、計数回路1564によりその時間間隔がクロックに基づきカウントされ、そのカウント結果がエラー判定回路1565に供給される。
エラー判定回路1565は、基準データ長発生器1566からの基準データ長と計数回路1564からの同期信号間隔に応じたカウント結果とを比較し、それらが等しいかどうかを示すデータ長エラー情報を生成してデータ長回復器1563に供給する。データ長回復器1563は、位相エラーの絶対値が所定の閾値を越えた場合、又は位相エラーの最大値を抽出し、その位置情報を有するスリップポイント情報を検出すると共に、データ長エラー情報に基づき、長さが正規の長さでないと判断されたときには、入力されるメイン信号と尤度情報に対して、スリップポイント情報に基づく位置で、データ長の調節(補間又は間引き処理)を行うことにより、データ長を回復する。
データ長回復器1563から出力されたメイン信号と尤度情報とは、ECC回路157により誤り検出符号RS・LDPC等に基づき誤り訂正された後、ランレングス復号回路158に供給され、ランレングス復号(尤度変換)されてランレングス復号後信号が得られる。このランレングス復号後信号はECC回路159により誤り検出符号RS・LDPC等に基づき誤り訂正されて出力される。
本実施の形態は、ランレングス制限されたECCパリティに対応させる公正としたものであるが、図24と共に説明した第1の実施の形態の記録再生装置と同様の効果を奏する。
次に、本発明になる記録再生装置の第3の実施の形態について説明する。図33は本発明になる記録再生装置の第3の実施の形態の再生系のブロック図を示す。同図中、図24と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図33に示す第3の実施の形態は、図24(B)に示した第1の実施の形態の再生系において用いられていたリサンプリング・DPLL143の替わりにPLL回路161を用いた点に特徴がある。
図33において、AGC・ATC回路142の出力信号は、適応等化回路144に直接供給される一方、PLL回路161に供給される。PLL回路161はシステムクロックを生成してA/D変換器141に供給すると共に、位相エラーをランレングス復号回路147に供給し、0ポイント情報を適応等化回路144に供給する。この実施の形態も、図24及び図31に示した各実施の形態と同様の特長を有するが、同期クロックでサンプリングするところに特徴がある。
次に、本発明になる記録再生装置の第4の実施の形態について説明する。図34は本発明になる記録再生装置の第4の実施の形態の再生系のブロック図を示す。同図中、図31(B)と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図34に示す第4の実施の形態は、図31(B)に示した第2の実施の形態の再生系において用いられていたリサンプリング・DPLL143の替わりにPLL回路162を用いた点に特徴がある。
図34において、AGC・ATC回路142の出力信号は、適応等化回路144に直接供給される一方、PLL回路162に供給される。PLL回路162はシステムクロックを生成してA/D変換器141に供給すると共に、位相エラーをデータ長回復回路156に供給し、0ポイント情報を適応等化回路144に供給する。この実施の形態も、図24、図31及び図33に示した各実施の形態と同様の特長を有するが、図33の実施の形態と同様に同期クロックでサンプリングするところに特徴がある。
なお、本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、例えば、データ長回復器1473、1563は、信号を直接間引き、補間するのではなく、既にメモリに取り込んである信号に対し、そのアドレス(ポインタ)を操作して、直接間引き・補間したときと同様の効果を得るようにしてもよい。また、復号回路145が軟判定、つまり尤度情報を出力する場合には、データ長の伸長(データの補間)を行う時点で、確からしくない値に設定するようにしてもよい。また、適応等化回路144は、前記適応等化回路20a又は20eを用いることができ、更には前記適応等化回路20b〜20dのいずれか一の構成を用い得る。後者の場合、0ポイント情報は、適応等化回路20b〜20dの内部で生成することができる。