JP4555779B2 - 脂質代謝異常症の予測方法 - Google Patents
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Description
近年、ゲノム解析の進展に伴いオーファン受容体の創薬ターゲットとしての価値が認識され、受容体に対する作動薬もしくは拮抗薬の開発が進められているが、そのような化合物は、CAD構造を有する場合があり、リピドーシス惹起につながり、結果的に医薬品開発の妨げになるケースがある。また、既に認可されている医薬品の中にも副作用として脂質代謝異常症を惹き起こすことが報告されているものがある。
現在、医薬品候補化合物の毒性評価試験では、通常、ラット等の実験動物に化合物を投与してその病理組織学的変化を電顕的に調べるが、長期間投与でなければリピドーシスの病理組織学的変化が顕在化しないことが多く、さらに組織標本作製・検出にも時間、労力を要する等の欠点がある。特に、創薬の初期段階において、毒性の有無を迅速に予測し、構造の最適化を効率よく行うには、多検体をより簡便かつ短時間で評価し得るスクリーニング系の構築が必須である。
また、臨床試験における毒性試験や投薬患者における副作用の診断においては、生検標本の採取を必要とする上記の方法は、外科的侵襲が大きいためにその適用は非常に限定される。従って、薬物起因性リピドーシスを効率よく、且つ非侵襲的に予測または診断し得る評価系の開発が急務である。
非侵襲的なリピドーシスの予測・診断方法としては、例えば末梢血における細胞質が空胞化したリンパ球の出現を検出する方法が挙げられるが、血液塗沫標本の顕微鏡学的観察を必要とするなど効率面で問題があるだけでなく、リピドーシス誘発化合物の中には末梢血液中に空胞化リンパ球の出現を認めず、特定器官のみを標的とするものが相当程度存在することが知られており、予測・診断の信頼性の面でも不十分である。
末梢体液(尿、血漿など)あるいは臓器・細胞内の中間・最終代謝産物を網羅的に解析するメタボノミクス(metabonomics)は、トランスクリプトミクス・プロテオミクスの次の段階に来る生体反応の変化を捉える手法として、医学・生物学の種々の分野で利用されつつある。毒性学の分野でも、毒性発現メカニズムの解明や毒性予測の研究に本技術が活用され始めており、トキシコゲノミクス・トキシコプロテオミクスとともに、従来の毒性学的エンドポイント(症状、臨床検査、病理組織学的検査など)に代わる分子毒性学的エンドポイントへの示唆を与える技術として、薬物の安全性評価や臨床診断への応用が期待されている(例えば、J.K.Nicholson et al.,Nat.Rev.Drug Discov.,1:153−161,2002およびJ.C.Lindon et al.,Toxicol.Appl.Phamacol.,187:137−146,2003参照)。
毒性現象には、1つの代謝物の独立した変化だけでなく、複数の代謝経路に位置する様々な中間および最終代謝産物の一体的な変動が伴うものと考えられる。そのため、核磁気共鳴(NMR)法などの、ほぼすべての代謝物のシグナルを同時に検出できる技術を用いることで、毒性発現に関わる生体分子の挙動を包括的に捉えることが可能になると期待される。
薬物起因性リピドーシスとの関連では、リン脂質症(以下、「PLsis」と略記する場合がある)を誘発することが知られている薬物を投与したラットの尿をプロトンNMR(1H NMR)を用いて解析した結果、種々の代謝物に変動が認められ、特にフェナセツル酸(フェニルアセチルグリシン;PAG)が薬物投与により共通して増加することが報告されており(J.R.Espina et al.,Magn.Reson.Chem.,39:559−565,2001)、PAGが薬物のPLsis誘発性のバイオマーカーとして利用できることが示唆されている。しかしながら、多数の薬物に関する知見はなく、実際のマーカーとしての信頼性については未知数のままである(例えば、Society of Toxicology 43rd Annual Meeting Abstracts/Toxicology 194(2004)206−207では、尿中PAGは、PLsisだけでなく、その他のlipidosisのバイオマーカーとしても有効であると記載されているのに対し、Analytical Chemistry,75:4784−4792(2003)では、PAGはせいぜいPLsisの弱いバイオマーカーであるにすぎないと評されている)。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、種々のリピドーシス誘発性もしくは非誘発性の医薬品化合物を3日間投与したラットの尿を1H NMRで分析して代謝物プロファイルを調べた結果、リピドーシス誘発性化合物を投与したラットに共通してPAGの増加と馬尿酸の減少とが観察されることを見出した。そこで、本発明者らは、各ラットの尿におけるPAGと馬尿酸との量比を算出し、末梢血検査および病理組織学的検査の結果と比較したところ、空胞化リンパ球の出現および種々の標的器官の細胞における脂質蓄積との間に良好な相関を認め、PAGと馬尿酸の連動的変化が薬物による脂質代謝異常症の指標となり得ることを実証した。
さらに、意外なことに、3日間の短期間投与では末梢血検査および病理組織学的検査において陽性変化が認められなかったリピドーシス誘発性化合物についても、PAGと馬尿酸との量比を指標とすれば毒性を検出し得ることが見出され、薬物による脂質代謝異常症の早期判定に有用であることが明らかとなった。
また、サルについて同様の薬物投与試験を行い、尿中のフェニルアセチルグルタミン(以下、「PAGN」と略記する場合がある。ヒトやサル等では、フェニルアセチルCoAはグリシン抱合ではなくグルタミン抱合を受けてPAGNとして尿中に排泄される)と馬尿酸とを測定・量比を算出したところ、リピドーシス誘発性化合物を投与したサルに共通してPAGN/馬尿酸比の有意な増加が認められた。従って、PAG(PAGN)/馬尿酸比は、ラットだけでなく、ヒトを含めた哺乳動物一般において、薬物による脂質代謝異常症の指標となり得ることが示された。
本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1] 化合物による脂質代謝異常症の予測方法であって、
(1)化合物を投与された哺乳動物より採取した試料または化合物に曝露された哺乳動物細胞もしくは組織培養物中の(a)フェニルアセチルグリシンおよび/もしくはフェニルアセチルグルタミン、またはフェニルアラニンからフェニルアセチルグリシンもしくはフェニルアセチルグルタミンに至る代謝経路における任意の代謝中間体と、(b)馬尿酸またはフェニルアラニンから馬尿酸に至る代謝経路における任意の代謝中間体とを検出し、
(2)両者の量比を指標として該化合物の脂質代謝異常症誘発性を予測することを特徴とする方法、
[2] フェニルアセチルグリシンおよび/もしくはフェニルアセチルグルタミンと馬尿酸との量比を指標とする上記[1]記載の方法、
[3] 試料が尿、血清または血漿である上記[1]記載の方法、
[4] 細胞もしくは組織が肝臓、腎臓または肺由来のもの、あるいはリンパ球である上記[1]記載の方法、
[5] 脂質代謝異常症がリン脂質症、脂肪症およびスフィンゴミエリン蓄積症からなる群より選択される1以上の病態として発現するものである上記[1]記載の方法、
[6] 哺乳動物における脂質代謝異常症またはその関連疾患の診断方法であって、
(1)哺乳動物より採取した試料中の(a)フェニルアセチルグリシンおよび/もしくはフェニルアセチルグルタミン、またはフェニルアラニンからフェニルアセチルグリシンもしくはフェニルアセチルグルタミンに至る代謝経路における任意の代謝中間体と、(b)馬尿酸またはフェニルアラニンから馬尿酸に至る代謝経路における任意の代謝中間体とを検出し、
(2)両者の量比を指標として診断を行うことを特徴とする方法、
[7] フェニルアセチルグリシンおよび/もしくはフェニルアセチルグルタミンと馬尿酸との量比を指標とする上記[6]記載の方法、
[8] 試料が尿、血清または血漿である上記「6]記載の方法、
[9] 脂質代謝異常症が遺伝性リピドーシス、薬物起因性リピドーシスまたは脂肪酸代謝ホメオスタシス異営である上記[6]記載の方法、
[10] 疾患が高脂血症、粥状硬化症、動脈硬化、心筋梗塞、脂肪肝、肝炎、肝硬変、糖尿病、痴呆症、アルツハイマー病、心臓病および慢性疲労症候群からなる群より選択される上記[6]記載の方法、
などを提供する。
本発明の予測・診断方法は、L−フェニルアラニン(以下、「Phe」と略記する場合がある;また、特にことわらない限り、本明細書において「フェニルアラニン」とはL−フェニルアラニンを意味する)の摂取量の影響を受けないので、高用量の薬物投与により被験動物の生理状態が悪化している場合でも高確度且つ高感度に脂質代謝異常症の予測が可能である。また、本発明の予測・診断方法によれば、長期間投与でなければリピドーシスの病理組織学的変化が顕在化しない化合物についても短期間投与で陽性判定が可能である。さらに、尿や血漿などの末梢体液を試料とすれば、脂質代謝異常症およびその関連疾患の臨床診断において非侵襲的な診断が可能となる。
本発明の予測方法の適用対象となる哺乳動物は、事前に化合物を投与されたものであれば動物種に特に制限はなく、例えばヒト、サル、ラット、マウス、ハムスター、モルモット、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウシ等が挙げられる。好ましくはヒト、サル、ラット、マウス等である。動物の性別、齢、体重等は特に制限されず、動物種によっても異なるが、例えばヒトの場合、母体保護の観点などから、第I相試験では、通常健常成人男性が好ましく選択される(女性・小児特有の疾患治療薬や抗癌剤などの場合はこの限りでない)。また、ラットの場合は、約2〜約24月齢、体重約100〜約700gのものが好ましく用いられるが、これに限定されない。
哺乳動物がヒト以外である場合、遺伝学的および微生物学的に統御されている動物個体群を用いることが好ましい。例えば、遺伝学的には近交系、クローズドコロニーの動物を用いることが好ましく、ラットの場合、例えばSprague−Dawley(SD)、Wistar、LEW等の近交系ラットが挙げられ、マウスの場合、BALB/c、C57BL/6、C3H/He、DBA/2、SJL、CBA等の近交系マウスおよびDDY、ICR等のクローズドコロニーマウスが挙げられるが、これらに限定されない。また、微生物学的にはコンベンショナル動物であってもよいが、感染症の影響を排除する観点から、SPF(specific pathogen free)もしくはノトバイオートグレードのものを用いるのがより好ましい。
一方、哺乳動物細胞もしくは組織は、上記の哺乳動物から採取された細胞もしくは組織であって、PheからPAGもしくはPAGNに至る代謝経路の全部もしくは一部およびPheから馬尿酸に至る代謝経路の全部もしくは一部を有する細胞を含有するものであれば特に制限はなく、あらゆる細胞[例えば、肝細胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、杯細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞、線維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくは癌細胞など]もしくはそれらの細胞が存在するあらゆる組織[例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁桃核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆嚢、骨髄、副腎、皮膚、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、脂肪組織、骨格筋など]、あるいは上記の細胞・組織から樹立される細胞株などが例示される。好ましくは、肝臓、腎臓、肺、腸間膜リンパ節、脾臓等に由来する細胞もしくは組織、あるいは末梢血リンパ球、単球等が挙げられる。また、再現性の良さや(特にヒト細胞の場合)入手の容易さ等から細胞株の使用が好ましい。例えば、ヒト細胞株としては、肝癌由来のHepG2細胞株、腎由来のHEK293細胞株、肺癌由来のA549細胞株、リンパ腫由来のU−937細胞株、単球由来のTHP−1細胞株、大腸癌由来のCaco−2細胞株、子宮頚癌由来のHeLa細胞株等が挙げられるが、これらに限定されない。
哺乳動物に投与または哺乳動物細胞もしくは組織が曝露される化合物としては、例えば医薬または動物薬の候補化合物(被験動物がヒトの場合は臨床試験段階の化合物)などが挙げられる。
哺乳動物に化合物を投与する方法は時に制限されず、例えば、試験化合物を固形、半固形、液状、エアロゾル等の形態で経口的もしくは非経口的(例:静脈内、筋肉内、腹腔内、動脈内、皮下、皮内、気道内等)に投与することができる。試験化合物の投与量は、化合物の種類、動物種、体重、投与形態、投与期間などによって異なり、例えば3日間程度の短期間投与の場合、動物が生存し得る範囲で、標的器官の細胞が生存し得る最高濃度の試験化合物に一定時間以上曝露され得るのに必要な量などが挙げられる。臨床試験においては、前臨床試験で得られたデータに基づいて設定された範囲内で種々の投与量が選択される。投与は1回ないし数回に分けて行うことができる。投与から試料採取までの時間は動物種、試験化合物の投与量、体内動態等によって異なるが、例えばラットの場合、高用量を短期間投与する場合は、初回投与から約1〜約7日間、好ましくは約3〜約5日間である。また、低用量を長期間投与する場合は、初回投与から約1ヶ月以上、好ましくは約2〜約6ヶ月程度が挙げられる。
投与期間中の給餌・給水、明暗周期などの飼育方法は特に制限されないが、例えばラットやマウスなどの場合、市販の固形もしくは粉末飼料と新鮮な水道水もしくは井戸水を自由摂取させ、12時間明期/12時間暗期のサイクルで飼育する方法が挙げられる。必要に応じて一定時間絶食および/または絶水させることもできる。また、本発明の予測方法は、後述するようにPhe摂取量の個体差に影響されないという利点を有するが、摂餌量からPhe摂取量を計算し得る飼料を用いることがより好ましい。
本発明の予測方法に用いられる哺乳動物より採取される試料は、PheからPAGもしくはPAGNに至る代謝経路のいずれかの代謝産物およびPheから馬尿酸に至る代謝経路のいずれかの代謝産物が検出され得る生体試料であれば特に制限はなく、例えば、尿、血漿、血清などの末梢体液、リンパ球、単球などの末梢血細胞あるいは肝臓、腎臓、肺、腸間膜リンパ節、脾臓等に由来する細胞もしくは組織の生検サンプルなどが挙げられるが、被験動物への侵襲が少ないことから末梢体液や末梢血細胞が好ましく、細胞抽出液の調製が不要であることから末梢体液がより好ましい。
末梢体液の採取方法としては、例えば尿の場合、ヒトであれば通常の検尿の方法が挙げられ、非ヒト哺乳動物であれば、化合物の投与から一定時間経過後に仙椎刺激もしくは膀胱圧迫により新鮮尿を強制採取するか、代謝ケージを用いて採尿容器内に一定時間(例えば約1〜約24時間、好ましくは約3〜約12時間)内の自然排泄尿を蓄尿することにより行うことができる。特殊な手技を必要としないことやデータのばらつきが少ない等の点では後者が好ましい。蓄尿する場合、尿中代謝物の変化を防ぐために採尿容器を氷冷しておくことが好ましく、また、防腐剤としてトルエン、チモール、濃塩酸等を微量滴下しておいてもよい。さらに、尿の蒸発を防ぐために採尿容器に少量の流動パラフィンを添加することもできる。採取した尿は必要に応じて遠心分離等により上清を精製した後測定に供されるが、測定までに時間を要する場合は凍結保存し、用時融解して用いてもよい。
血漿の場合は、ヒトであれば通常の採血方法により肘の裏側や手の甲等から静脈血を採取し、非ヒト哺乳動物であれば、尾静脈、尾動脈、眼窩静脈叢を傷つけて流出した血液を毛細管などを用いて採取し、必要に応じてヘパリン、EDTA、クエン酸ナトリウム等の抗凝固剤を添加して遠心分離もしくは血漿分離膜による濾過により血球を分離除去することにより調製することができる。血清の場合は、同様に採取した血液を一定時間以上放置して血餅を形成させた後、遠心分離等により上清を採取することにより調製することができる。血漿、血清とも測定までに時間を要する場合は凍結保存して用時融解して用いることができる。
一方、試料が細胞もしくは組織の場合は、生検により得られた各種器官由来の細胞もしくは組織、あるいは上記のようにして採取した血液から血漿を分離した後の血球画分をさらに常法により分画して得られる各種血液細胞を、哺乳動物細胞もしくは組織培養物について後述する方法に準じて処理し、細胞もしくは組織抽出液を調製すればよい。当該抽出液は凍結保存して用時融解して用いることもできる。
哺乳動物細胞もしくは組織を化合物に曝露させる方法も特に制限はないが、具体的には、例えば、細胞株を試料として用いる場合、適当な培地中、好適な条件下で培養した細胞増殖期の細胞を、トリプシン−EDTAなどを用いて剥離させ、遠心して細胞を回収した後、適当な培地[例:約5〜約20%の胎仔ウシ血清(FBS)を含むMEM(Science,122:501(1952))、DMEM(Virology,8:396(1959))、RPMI 1640培地(The Journal of the American Medical Association,199:519(1967))、199培地(Proceeding of the Society for the Biological Medicine,73:1(1950))など(必要に応じて、ペニシリン、ストレプトマイシン、ハイグロマイシン等の抗生物質をさらに添加してもよい)]を加えて所望の細胞密度となるように懸濁する。細胞密度は特に限定されないが、細胞が細胞増殖期の状態を保つように調整することが好ましい。したがって、好ましい当初細胞密度は使用する細胞の増殖速度等によって異なり、当業者であれば使用する細胞に応じて容易に設定することができるが、通常約5×104〜約1×107cells/mLである。適当な溶媒に溶解(もしくは分散媒に分散)した試験化合物を培地でさらに希釈し、終濃度が、例えば細胞が生存し得る最高濃度(当該濃度は、別途病理組織学的観察を行って決定することができる)となるように、上記細胞懸濁液に添加して、通常条件下、例えば、CO2インキュベーター中で、5%CO2/95%大気、5%CO2/5%O2/90%大気等の雰囲気下、約30〜約40℃で、約3〜約168時間、好ましくは約6〜約72時間、より好ましくは約12〜約48時間培養する。また、哺乳動物細胞もしくは組織としては、生体から採取した細胞もしくは組織をそのまま用いることもできる。
化合物に曝露された哺乳動物細胞もしくは組織培養物(本発明において、化合物への曝露は、細胞もしくは組織を一定時間インキュベートする工程を必然的に伴うので、生体から採取した細胞もしくは組織をそのまま化合物に曝露する場合も、ここでいう培養物に包含される)は、測定物質(a)および(b)の種類等に応じて細胞/組織または培養上清のいずれかを遠心分離、濾過等により適宜分取し、培養上清についてはそのまま、あるいは必要に応じて濃縮等の処理を施した後で、細胞/組織については通常の抽出方法に従って可溶性画分を調製し、測定に供することができる。例えば、氷冷したリン酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液等の抽出用緩衝液中で、必要により超音波処理や界面活性剤等を用いて細胞/組織を破砕した後、遠心分離して上清を回収することにより得ることができる。
本発明の予測方法では、上記のようにして得られた検体中のPAGおよび/もしくはPAGN(以下、「PAG/PAGN」と略記する場合がある)またはPheからPAGもしくはPAGNに至る代謝経路における任意の代謝中間体(測定物質(a))と、馬尿酸またはPheから馬尿酸に至る代謝経路における任意の代謝中間体(測定物質(b))とを検出する。PheからPAGもしくはPAGNに至る代謝経路における任意の代謝中間体とは、具体的には、2−フェニルエチルアミン、フェニルアセトアルデヒド、フェニル酢酸およびフェニルアセチルCoA(それらの抱合体(PAGおよびPAGNを除く)を含む)のいずれかを意味し、Pheから馬尿酸に至る代謝経路における任意の代謝中間体とは、フェニルピルビン酸、フェニル乳酸、桂皮酸および安息香酸(それらの抱合体(馬尿酸を除く)を含む)のいずれかを意味する。
哺乳動物においては、Pheは主としてフェニルアラニンヒドロキシラーゼによりL−チロシン(Tyr)に酸化され、さらにカテコールアミンやメラニンなどに変換されるが、一部のPheは、フェニルピルビン酸、フェニル乳酸、桂皮酸、安息香酸を経て最終的に馬尿酸に代謝されるか(図1の経路B)、あるいは2−フェニルエチルアミン、フェニルアセトアルデヒド、フェニル酢酸、フェニルアセチルCoAを経て最終的にPAG(ラット、マウス、イヌなどの場合)および/またはPAGN(ヒト、サルなどの場合)に代謝されて(図1の経路A)、尿中に排泄されることが知られている。例えばヒトやラットの場合、正常の状態では、Tyr合成に利用されないPheの多くは経路Bを通じて代謝・排泄(クリアランス)されるので、尿中PAG(PAGN)/馬尿酸比は馬尿酸側に偏っている。本発明者らは、リピドーシス誘発性化合物投与ラットの尿に共通するPAG増加と馬尿酸減少という変化は、Pheクリアランスのバランスが、何らかの理由によって、通常はマイナー経路である第二の経路(経路A)をより多く利用する方向に傾くためであることを見出した。
従って、検体中の測定物質(a)と測定物質(b)との量比を測定して化合物非投与の場合のそれと比較し、その結果(a)/(b)比が増加していれば、その化合物はリピドーシス誘発性であると予測することができる。前述の通り、PAGの増加を指標として化合物のPLsis誘発性を予測し得ることが示唆されてはいたが、PAG/PAGNの増加を馬尿酸減少との連動的変化として捉える思想、さらにかかる連動性をPheクリアランス経路のバランス変化として捉える思想はこれまでに皆無である。また、哺乳動物にとってPheは必須アミノ酸であり、食餌から摂取する必要があるので、例えば脂質代謝異常症以外の状態悪化や給餌制限等によって摂食量が減少するとPhe摂取量も減少し、Tyr合成に利用されずに排泄されるPhe量も減少する。従って、PAG/PAGNの増加のみを指標とした場合には、上記(a)/(b)比が増加しているにもかかわらず、経路AへのPheの流入量が減少しているために、みかけ上PAG/PAGN量の変化が認められない場合があり、予測の確度が低下するという問題が生じる。そのため、正しい予測結果を得るためには、Phe摂取量を厳密にモニターして測定値を補正しなければならない。これに対し、(a)/(b)比を指標とすれば、Phe摂取量に関係なく測定値の変化のみで陽性/陰性の判定が可能であり(後記実施例4を参照)、簡便性の面で格別に優れている。
本明細書において「測定物質(a)と測定物質(b)の量比」という場合、上記(a)/(b)比だけでなく、(a)+(b)に対する(a)もしくは(b)の比も含まれる。(a)+(b)はPhe摂取量に対応するものであるから、かかる比率は、クリアランス経路に流入したPheのうち経路A(もしくはB)に流入する割合がどれだけ変化したかを示す。Phe摂取量を算出し得る場合には、測定物質(a)または(b)の一方のみを測定し、Phe摂取量に対する当該測定値の比で比較することも可能である。Phe摂取量を算出する方法としては、Phe含有成分を均一に含んでなる食餌を与えて摂餌量をモニターすることなどが挙げられる。
測定物質(a)と測定物質(b)の組み合わせは特に限定されないが、検体中に両者が含まれていることが必要である。例えば、化合物を投与された哺乳動物から採取された試料が尿、血清または血漿である場合、測定物質(a)としてはPAG/PAGN、測定物質(b)としては馬尿酸が好ましいが、これらに限定されない。
測定物質(a)および(b)はいかなる測定方法によって検出してもよく、両者を同時検出してもよいし、それぞれ別個に検出してもよい。両者を同時検出する方法としては、例えば核磁気共鳴法(例:1H NMR、13C NMR)、ガスクロマトグラフィー(GC)法、ガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)法、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法、HPLC−NMR法、液体クロマトグラフィー−質量分析(LC−MS)法、LC−MS−MS法、薄層クロマトグラフィー−質量分析(TLC−MS)法、キャピラリーゾーン電気泳動−質量分析(CZE−MS)法、イムノアッセイを利用する方法等が挙げられるが、これらに限定されない。各検出方法における各種パラメータなどの測定条件については、測定物質の種類等に応じて当業者は容易に適宜選択して行うことができる。
例えば、1H NMR法によりPAGと馬尿酸とを検出する場合、例えばJ.R.Espina et al.(2001;上述)、Drug Metabolism and Disposition,26(11):1134−1143(1998)に記載された方法あるいはこれらに準じた方法により行うことができる。具体的には、後記実施例に記載の方法等が挙げられる。13C NMR法によりPAGと馬尿酸を検出する場合、例えばDrug Metabolism and Disposition(1998;上述)に記載された方法あるいはそれに準じた方法により、また、フェニル酢酸を検出する場合は、例えば、Am J Physiol.,275(5 Pt 1):E843−E852(1998)に記載された方法あるいはそれに準じた方法により行うことができる。
HPLCによりPAGと馬尿酸とを検出する場合、例えばDrug Metabolism and Disposition(1998;上述)に記載された方法あるいはそれに準じた方法により、また、馬尿酸または安息香酸を検出する場合は、例えばDrug Metabolism and Disposition,31(8):987−992(2003)、J.Pharmacol.Exp.Ther.,305(1):279−289(2003)に記載された方法あるいはこれらに準じた方法により行うことができる。
HPLC−NMR法により馬尿酸等を検出する場合は、例えばAnal.Biochem.,291:245−252(2001)に記載された方法あるいはそれに準じた方法により行うことができる。
GC法、GC−MS法によりPAGと馬尿酸とを検出する場合、例えばDrug Metabolism and Disposition(1998;上述)、Drug Metabolism and Disposition(2003;上述)に記載された方法あるいはこれらに準じた方法により行うことができる。
LC−MS−MS法により馬尿酸を検出する場合、例えばRapid.Commun.Mass.Spectrom.,18:265−272(2004)に記載された方法あるいはこれらに準じた方法により行うことができる。
イムノアッセイを利用してPAGNを検出する場合、例えば米国特許第5,100,807号明細書に記載された方法あるいはこれらに準じた方法により行うことができる。この場合、PAG/PAGNと馬尿酸のそれぞれを抗体を用いて検出する場合、例えば特開平11−343300号公報に記載の方法等に準じて他方の化合物に対する交叉反応性がないことを予め検証しておくことが必要である。
上記のいずれかの方法により、(1)化合物を投与された哺乳動物から採取した試料または化合物に曝露された哺乳動物細胞もしくは組織培養物と、(2)化合物を投与されていない哺乳動物から採取した試料または化合物に曝露されていない哺乳動物細胞もしくは組織培養物とで、それぞれ測定物質(a)と測定物質(b)との量比を測定・比較して、(a)/(b)比[もしくは(a)/(a)+(b)比]が増加または(b)/(a)+(b)比が減少していれば、当該化合物は脂質代謝異常症を誘発することが予測される。ここで量比の変動率は特に制限されず、動物種、細胞種、投与量、投与期間、投与形態、試料の種類などによっても異なるが、例えば化合物を3日間投与されたラットの尿を試料とする場合には、(a)(=PAG)/(b)(=馬尿酸)比が約0.3以上、化合物を7日間投与されたサルの尿を試料とする場合には、(a)(=PAGN)/(b)(=馬尿酸)比が約4.0以上であれば、脂質代謝異常症誘発性であると予測することができる。
本発明の予測方法により予測することができる脂質代謝異常症は特に制限されないが、例えばPLsis、脂肪症およびスフィンゴミエリン蓄積症等が挙げられる。
本発明の予測方法の確度は、化合物を一定期間(例えば、約3日〜約数ヶ月間)投与された哺乳動物から採取した各種標的器官の生検サンプルについての病理組織学的変化の観察などにより評価することができるが、化合物を実際に使用される程度の低用量で長期間投与された動物を用いて評価することが好ましい。短期間の大量投与においては、後記実施例に示される通り、PLsisを誘発することが報告されている化合物について病理組織学的変化、空胞化リンパ球検査とも陰性である場合がある。
他方、本発明の予測方法によれば、短期間の大量投与においても(a)/(b)比の顕著な増大が認められ、脂質代謝異常症誘発性であると予測することができる。このように、本発明の予測方法は、より短期間に陽性・陰性の確度の高い判定が可能であり、従って医薬品開発の初期段階においては毒性スクリーニングの効率化を図ることができ、一方、臨床試験段階においては、具体的な症状を発現する以前に脂質代謝異常症の発症リスクを予見することができ、被験者の危険を低減することができる。
本発明は、上述のように、Pheのクリアランスにおける2つの代謝経路の利用バランスが変化することにより、脂質代謝異常症を予測し得ることを見出したことに基づく。従って、本発明の方法は、薬物による脂質代謝異常症(即ち、薬物起因性リピドーシス)に限らず、広く脂質代謝異常症、さらにはその関連疾患(即ち、脂質代謝異常症に起因する疾患、結果として脂質代謝異常症を伴う疾患など)の診断に使用することができる。従って、本発明はまた、哺乳動物より採取した試料中の(a)PAG/PAGNまたはPheからPAGもしくはPAGNに至る代謝経路における任意の代謝中間体と、(b)馬尿酸またはPheから馬尿酸に至る代謝経路における任意の代謝中間体とを検出し、両者の量比を指標として診断を行うことを特徴とする、哺乳動物における脂質代謝異常症またはその関連疾患の診断方法を提供する。ここで、哺乳動物、哺乳動物から採取される試料、任意の代謝中間体、量比はいずれも上記本発明の予測方法において記載したと同様である。また、ここで「診断」とは、罹患の有無の判定に限らず、確定診断後の重症度(進行度)、将来罹患・発症する可能性が高いか否かの判定など、あらゆる診断を包含する概念として用いられる。
本発明の診断方法により診断することができる脂質代謝異常症としては、例えば遺伝性リピドーシス(例:ゴーシェ病、ニーマンピック病(A〜C型)、ファーブリ病、ウォルマン病、コレステロールエステル蓄積症、脳腱黄色腫症、フィトステロール血症、レフサム症、テイ−サックス病、全身性(GM1)ガングリオシドーシス、サルファチドリピドーシス(異染性白質萎縮症)、ガラクトシルセラミドリピドーシスなど)、薬物起因性リピドーシス(例:PLsis、脂肪症、スフィンゴミエリン蓄積症など)、脂肪酸代謝ホメオスタシス異常(例:脂肪酸β酸化異常など)等が挙げられる。ここで「薬物」とは、医薬品もしくは動物薬として既に認可され使用されている薬物のほか、被験動物が誤って服用ないし環境中から吸収した任意の薬物などが挙げられる。
また、脂質代謝異常症の関連疾患としては、脂肪酸代謝ホメオスタシス異常に関連する疾患として、例えば高脂血症、粥状硬化症、動脈硬化、心筋梗塞、脂肪肝、肝炎、肝硬変、糖尿病、痴呆症、アルツハイマー病、心臓病および慢性疲労症候群などが、また、薬物起因性リピドーシスに関連する疾患(副作用症状)として、例えば肺線維症、失明、脳症などが挙げられるが、それらに限定されない。また、非ヒト哺乳動物における疾患としては、例えばネコ、イヌなどのペット動物における肝リピドーシス等も挙げられる。
図1に示されるように、Pheから馬尿酸に至る代謝経路において、桂皮酸から安息香酸への変換はβ酸化により行われる。PLsisをはじめとする脂質代謝異常症においては、脂肪酸のβ酸化が抑制されることが各種文献において報告されていることから、脂質代謝異常症におけるPheクリアランス経路の利用バランスの変化は、桂皮酸から安息香酸への変換が抑制されるために、PAG/PAGNへ至る代謝経路がより利用されるからである可能性がある。従って、本発明の診断方法は、特に脂肪酸のβ酸化異常に関連する疾患の診断に有用であるかもしれない。
脂質代謝異常症またはその関連疾患に罹患している(罹患する可能性が高い)等の診断基準となる(a)/(b)比の数値は、動物種、齢、性別、採取する試料の種類などによって異なる。例えば、同一条件下の正常動物における平均値+2SD以上であれば、脂質代謝異常症であると診断する等の基準を設けることができるが、それに限定されない。
本発明はまた、本発明の予測方法および診断方法に好適に用いることができるキットを提供する。本発明のキットは、(a)PAG/PAGNまたはPheからPAGもしくはPAGNに至る代謝経路における任意の代謝中間体の測定用試薬と、(b)馬尿酸またはPheから馬尿酸に至る代謝経路における任意の代謝中間体の測定用試薬とを含むことを特徴とする。測定用試薬としては、定量的解析を可能とするものである限り特に限定されないが、抗体を含むものが好ましい。測定用試薬が抗体を含むものである場合、測定物質(a)に対する抗体、および測定物質(b)に対する抗体は、(a)/(b)比の測定に差し支えない程度に、他方の測定物質に対し交叉反応性が低いものがそれぞれ用いられる。抗体はまた、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれでもよく、標識剤で標識されていても標識されていなくともよい。測定物質(a)に対する抗体および/または測定物質(b)に対する抗体が標識剤で標識されていない場合、本発明のキットは、標識剤をさらに含むこともできる。標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14C〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、抗体と標識剤との結合にビオチン−(ストレプト)アビジン系を用いることもできる。
本発明のキットに含まれる抗体は、例えば米国特許第5,100,807号明細書に記載された方法あるいはこれらに準じた方法により作製することができる。この場合、例えば特開平11−343300号公報に記載の方法等に準じて、(a)/(b)比の測定に差し支えない程度に他方の測定物質に対する交叉反応性が低いことを予め検証しておくことが必要である。
本発明のキットはまた、測定物質(a)、および/または測定物質(b)をさらに含むこともできる。この場合、測定物質(a)、測定物質(b)は、標識剤で標識されていても標識されていなくともよい。測定物質(a)および/または測定物質(b)が標識剤で標識されていない場合、本発明のキットは、標識剤をさらに含むこともできる。標識剤は上述と同様である。本発明のキットはさらに、測定物質(a)に対する抗体、および/または測定物質(b)に対する抗体(一次抗体)を特異的に認識し得る二次抗体、あるいは抗体を固相化するための担体(例:マイクロタイタープレート、ガラスビーズなど)を含んでいてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これらは単なる例示であって本発明の範囲を何ら限定するものではない。
PLsis誘発性化合物投与ラットにおける病理組織学的検査および末梢血リンパ球検査
以下の10種の市販薬を試験化合物として、PLsis誘発性の有無を病理組織学的検査および末梢血リンパ球検査により調べた。アミオダロン、イミプラミン、クロミプラミン、タモキシフェン、クロルプロマジン、キナクリン、クロロキン、アマンタジンおよびペルヘキシリンはSIGMA社より、フルオキセチンは和光純薬工業よりそれぞれ購入した。陰性対照として、血管炎/動脈症を引き起こすがPLsis等の脂質代謝異常症を引き起こすことは報告されていない3種の薬物(ロフルミラスト(WO 95/01338)、アリフロ(WO 93/19749)およびロリプラム(特公昭60−11028))を使用した。
5週齢のCrj:CD(SD)IGSラット(日本チャールズリバー株式会社、閉鎖環境下生産)雄475例(2002年9月3日:95匹;試験番号32−207/su、10月15日:95匹;試験番号32−231/su、11月5日:95匹;試験番号32−233/su、11月12日:95匹;試験番号32−234/su、11月28日:95匹;試験番号32−232/su)を入手し、約1週間馴化飼育した。その間に検疫を実施するとともに一般状態の観察及び体重測定を行った。異常の認められなかった動物を選択し、試験ごとに採尿用として1群雄各4例からなる7群、血漿中薬物濃度測定用サテライト群として1群雄各3例からなる6群及び途中剖検動物として1群雄各6例からなる7群の合計20群(計88例)に無作為に群分けした。投薬開始時の6週齢での体重範囲は、171〜200g(試験番号32−207/su:172〜198g、試験番号32−231/su:171〜198g、試験番号32−232/su:176〜200g、試験番号32−233/su:178〜199g、試験番号32−234/su:172〜197g)であった。このうち、途中剖検動物を用いて以下の実験を行った。
動物は金網底の金属製ケージに個別に収容し、各ケージはクリーンブース内に設置した水洗式ラックに群間で無作為に配置した。動物室の環境条件は室温20〜26℃、相対湿度40〜70%、新鮮空気の換気回数8〜25回/時間とし、照明時間は12時間/日(点灯時間:午前7時〜午後7時)とした。動物にはγ線照射した粉末飼料(CR−LPF,オリエンタル酵母)を与え、水道水とともに自由に摂取させた。
各被検物質に分散媒/媒体を加えて撹拌し高用量を調製した。高用量投与液を分散媒/溶媒で約3倍及び10倍に希釈して中・低用量投与液を調製した。各被検物質の用量は以下の通りに設定した。[尚、LD50は各薬剤のSummary Basis of Approval(FDA)を参照した。]
アミオダロン:100、300及び1000mg/kg/日(LD50:3000mg/kg以上)
理由:投薬可能な量を高用量とし以下、公比約3で減じた。
イミプラミン:100、300及び1000mg/kg/日(LD50:1807mg/kg)
理由:LD50の約半量を高用量とし以下、公比約3で減じた。
クロミプラミン:100、300及び1000mg/kg/日(LD50:914mg/kg)
理由:LD50を高用量とし以下、公比約3で減じた。
タモキシフェン:100、300及び1000mg/kg/日(LD50:1190mg/kg)
理由:LD50を高用量とし以下、公比約3で減じた。
クロルプロマジン:10、30及び100mg/kg/日(LD50:145mg/kg)
理由:LD50の約2/3量を高用量とし以下、公比約3で減じた。
キナクリン:60、200及び600mg/kg/日(LD50:900mg/kg)
理由:LD50の約2/3量を高用量とし以下、公比約3で減じた。
クロロキン:25、75及び250mg/kg/日(LD50:330mg/kg)
理由:LD50の約2/3量を高用量とし以下、公比約3で減じた。
アマンタジン:75、250及び750mg/kg/日(LD50:1275mg/kg)
理由:LD50の約2/3量を高用量とし以下、公比約3で減じた。
ペルヘキシリン:60、200及び600mg/kg/日(LD50:不明)
理由:1週間投与で病変がみられる量を高用量とし以下、公比約3で咸じた。
フルオキセチン:30、100及び300mg/kg/日(LD50:452mg/kg)
理由:LD50の約2/3量を高用量とし以下、公比約3で減じた。
ロフルミラスト:1及び3mg/kg
理由:血管炎/動脈症がみられる用量を高用量とし、その1/3用量を低用量とした。
アリフロ:30及び100mg/kg
理由:血管炎/動脈症がみられる用量を高用量とし、その1/3用量を低用量とした。
ロリプラム:30及び100mg/kg
理由:血管炎/動脈症がみられる用量を高用量とし、その1/3用量を低用量とした。
対照群:0.5w/v%メチルセルロース溶液
投与液量10mL/kg/日を1日1回、3日間(陰性対照については4日間)強制経口投与により投与した。動物の生死、一般状態、体重、摂餌量等をPM4800(メトラー)およびEB3200D(島津製作所)を用いて観察した。
投与終了後、すべての動物について肝臓、腎臓、心臓、脾臓、肺および腸間膜リンパ節(陰性対照投与群については肝臓、腎臓、心臓、脾臓、肺(気管支を含む)、冐(短胃動脈を含む)、腸間膜および精巣)その他各被検物質における追加器官・組織として、イミプラミンでは眼球、クロミプラミンでは脳および眼球、タモキシフェンでは副腎、下垂体および眼球、クロルプロマジンでは脳および眼球、キナクリンでは脳および大腿部筋肉、クロロキンでは脳および眼球、ペルヘキシリンでは脳および皮膚、フルオキセチンでは脳(陰性対照投与群については、剖検時に変化のみられた器官・組織)をサンプリングし、常法により光学顕微鏡及び電子顕微鏡学的にサンプリングした組織の病理組織学的変化を調べた。
また、ADVIA120(バイエルメディカル)、E−4000(シスメックス)を用いて、赤血球数、ヘマトクリット値、ヘモグロビン濃度、平均赤血球血色素量(MCH)、平均赤血球血色素濃度(MCHC)、平均赤血球容積(MCV)、血小板数、白血球数、網状赤血球数、白血球百分比、空胞化リンパ球率(PLsis誘発性化合物のみ)などの血液学的検査を実施した。
PLsis誘発性化合物投与群における病理組織学的変化(脂質蓄積を示す電顕像)および空胞化リンパ球率の結果を表1に示す。クロルプロマジンを除く9種の化合物について、少なくとも高用量では空胞化リンパ球率の顕著な増加およびいずれかの標的器官における病理組織学的変化が認められた。クロルプロマジンについては、3日間という短期間投与では、いずれの用量でも病理組織学的検査および空胞化リンパ球検査によってPLsis陽性を判別できないことがわかった。陰性対照投与群においては、PLsisなどの脂質代謝異常症を示す病理組織像は観察されなかった。
実施例1(参考例1)で準備した採尿用ラットに同様の方法により被検物質を投与し、1回及び3回投与後に約6時間の絶食、絶水下の蓄尿を採取した。容器を氷冷下の状態にして蓄尿した。採尿後、1500×g、10分間遠心し、上清を1mL以上採取してマイクロチューブで超低温フリーザーにて測定まで凍結保存(−70℃以下)した。陰性対照投与群については、24時間の尿を氷冷下で採取し、採尿後、測定まで−30℃で保存した。
1H NMRは以下のようにして実施した。以下に記載する試薬類は精製をせずに使用した。重水(D2O)はISOTEC.INC(USA)より、NaH2PO4・2H2O,Na2HPO4・12H2Oは関東化学(東京)から購入した。Sodium 3−(trimethylsilyl)−propionate−2,2,3,3,−d4(TSP)はISOTEC.INC(USA)から購入した。NMRスペクトルの測定はUnity INOVA600(Varian)(1H共鳴周波数599.59MHz)を使用した。
リン酸緩衝液は以下のように調製した。NaH2PO4・2H2Oを使用して約0.2mol/LNaH2PO4溶液およびNa2HPO4・12H2Oを使用して約0.2mol/L Na2HPO4溶液を調製した後、両液を混合し、pHメータを用いて約pH=7.4に調整した。
内部標準溶液として、TSPを約11mmol/Lの濃度となるように重水中に溶解させた。
尿試料500μLをエッペンドルフに採取し、上記リン酸緩衝液250μLを添加して約10分間室温で放置した後、約10℃、13000rpmで約10分間遠心分離し、上澄みを約600μL採取してNMR試料管に移した。さらにNMR試料管にTSP重水溶液を約60μL添加した。
核磁気共鳴装置は、1H NMR測定が行えるよう1H核の測定が行えるプローブをあらかじめセットし、25℃に設定しておいた。上記のNMR試料管を分光計にセットし、温度が安定するまで約10分放置した後、分解能、チューニング、90°パルスの測定、観測中心を水シグナルに合わせる等、ハードウェア側の設定やパラメータを準備した。測定条件は以下のようにセットした。 seqfil(パルス系列):tnnoesy,sspul(steady state pulse):n(オフ),ss(プレスキャン):8回,mix(混合時間):100ms,sw(観測幅):8000Hz,np(複合ポイント数):65536ポイント,d1(待ち時間):4.904sec,satpwr(照射パワー):10dB,satdly(照射時間):1 sec,積算回数:64回
測定データを保存した後、以下の条件でフーリエ変換を行った。
ポイント数:65536ポイント,ウィンドウ関数:exponential window function 1b=0.2Hz
位相調整、TSPのメチルシグナルを0ppmとして基準の設定等を行った。
ACD/SpecManager(ACD Labs,Canada)を使用し、ベースライン補正後、PAG(3.68ppm)、クレアチニン(4.06ppm)、馬尿酸(7.83ppm)のシグナル強度を求め、比を計算した。その結果を表2および3に示す。
すべてのPLsis誘発性化合物について、非投与群と比較してPAG/馬尿酸比、PAG/(PAG+馬尿酸)比が顕著に増大した(表2)。一方、PLsis非誘発性化合物投与群においては、高用量投与によっても非投与群との間に有意な差は認められなかった(表3)。クレアチニン量で校正した場合、PAG量はPLsis誘発性化合物の高用量投与により中用量投与よりむしろ減少する場合があるが(例えば、フルオキセチン参照)、PAG/馬尿酸比、PAG/(PAG+馬尿酸)比を指標とすると高用量投与の方がより高値を示し、PLsis発現の程度をより的確に反映することがわかる。高用量投与群では一般状態の悪化により摂餌量が減少し、クリアランス経路に流入するPhe量自体が減少しているため、PAG量の変化を単独の指標とした場合、予測の確度が低下する可能性があるのに対し、PAG/馬尿酸比を指標とした場合、Phe摂取量の変化に影響を受けず、またPAG/(PAG+馬尿酸)比を指標とした場合、(PAG+馬尿酸)量がPhe摂取量を反映するので、被験動物の摂餌状態に関係なく正確な判定が可能である。
また、PAG/馬尿酸比、PAG/(PAG+馬尿酸)比を指標とすると、クロルプロマジンについても高用量投与群では顕著な増加が認められ、この方法を用いれば、3日間投与でPLsis誘発性の有無を迅速に判定することが可能であることがわかった。
PLsis/steatosis誘発性化合物投与サルにおける病理組織学的検査および末梢血リンパ球検査
以下の2種の市販薬を試験化合物として、PLsis/steatosis誘発性の有無を病理組織学的検査および末梢血リンパ球検査により調べた。アミオダロンおよびペルヘキシリンはSIGMA社より購入した。
3〜5年齢のカニクイザル(シコンブレック、日本野生動物研究所、ナフォバニー)雄7例を入手し、約1週間馴化飼育した。その間に検疫を実施するとともに一般状態の観察及び体重測定を行った。その後対照群2例、各投薬群1群雄各1例からなる4群(計5例)に振り分けた。
動物はサル用金網底の金属製ケージに個別に収容し、各ケージは水洗式ラックに群間で無作為に配置した。動物室の環境条件は室温20〜26℃、相対湿度40〜70%、新鮮空気の換気回数8〜25回/時間とし、照明時間は12時間/日(点灯時間:午前7時〜午後7時)とした。動物にはγ線照射した固形飼料(Certified Primate Diet #5048,PMI Feeds Inc.)を与え、水道水とともに自由に摂取させた。
各被検物質に分散媒/媒体を加えて撹拌し、高用量を調製した。高用量投与液を分散媒/溶媒で希釈して低用量投与液を調製した。各被検物質の用量は以下の通りに設定した。
アミオダロン:60及び300mg/kg/日
理由:ヒトでの臨床投与量の約10倍及び50倍とした。
ペルヘキシリン:60mg/kg/日
理由:ヒトでの臨床量の10倍とした。
対照群:0.5w/v%メチルセルロース溶液
投与液量5mL/kg/日を1日1回、7日間強制経口投与した。
投与終了後、すべての動物について肝臓、腎臓、心臓、脾臓、肺および腸間膜リンパ節、眼球、精巣及び脳を採取し、常法により光学顕微鏡で病理組織学的変化を調べた。また、投薬前期間、投与初日、投薬2及び6日に採血し、血液塗抹標本を作製し、空胞化リンパ球率の測定を実施した。
PLsis/steatosis誘発性化合物投与群における病理組織学的変化および空胞化リンパ球率の結果を表4に示す。アミオダロンの300mg/kg及びペルヘキシリンの60mg/kg群では空胞化リンパ球率の増加およびいずれかの標的器官における病理組織学的変化が認められた。アミオダロンの60mg/kgでは、PLsis/steatosisの誘発はみられなかった。対照群においては、PLsis/steatosisなどの脂質代謝異常症を示す病理組織像は観察されなかった。
実施例サルの投薬前期間(Pre)、投与初日(Day 0)、投薬2及び6日(Day 2,6)の約6時間絶食下の蓄尿を採取した。採尿後、1500×g、10分間遠心し、上清1mL以上をマイクロチューブに分取後、超低温フリーザーにて測定まで凍結保存(−70℃以下)した。
1H NMRは以下のように実施した。試薬類は精製をせずに使用した。重水(D2O)はISOTEC.INC(USA)より、NaH2PO4・2H2O,Na2HPO4・12H2Oは関東化学(東京)から購入した。Sodium 3−(trimethylsilyl)−propionate−2,2,3,3,−d4(TSP)はISOTEC.INC(USA)から購入した。NMRスペクトルの測定はUnity INOVA600(Varian)(1H共鳴周波数599.59MHz)を使用した。
リン酸緩衝液は以下のように調製した。NaH2PO4・2H2OおよびNa2HPO4・12H2Oを使用して、各々約0.2mol/L NaH2PO4溶液および約0.2mol/L Na2HPO4溶液を調製した後、両液を混合し、pHメータを用いて約pH7.4に調整した。
内部標準溶液として、TSPを11mmol/Lの濃度となるように重水中に溶解させた。
尿試料500μLをエッペンドルフチューブに採取し、上記リン酸緩衝液250μLを添加して約10分間室温で放置した後、約10℃、13000rpmで約10分間遠心分離し、上清を約600μL採取してNMR試料管に移した。さらにNMR試料管にTSP重水溶液を約60μL添加した。
核磁気共鳴装置は、1H NMR測定が行えるよう1H核の測定が行えるプローブをあらかじめセットし、25℃に設定した。上記のNMR試料管を分光計にセットし、温度が安定するまで約10分放置した後、分解能、チューニング、90°パルスの測定、観測中心を水シグナルに合わせる等、ハードウエア側の設定やパラメータを準備した。測定条件は以下のようにセットした。
Seqfil(パルス系列):tnnoesy,sspul(steady state pulse):n(オフ),ss(プレスキャン):8回,mix(混合時間):100msec,sw(観測幅):8000Hz,np(複合ポイント数):65536ポイント,d1(待ち時間):4.904sec,satpwr(照射パワー):10db,satdly(照射時間):1 sec,積算回数:64回
測定データを保存した後、以下の条件でフーリエ変換を行った。ポイント数:65536ポイント,ウィンドウ関数:exponential window function 1b=0.2Hz
位相調整、TSPのメチルシグナルを0ppmとして基準の設定等を行った。
ACD/SpecManager(ACD Labs,Canada)を使用し、ベースライン補正後、PAGNについては7.42ppm(t,8.0Hz)、馬尿酸については7.55ppm(t,8.0Hz)のシグナルの積分値から両者の比(PAGN/馬尿酸比)を計算した。その結果を表4に示す。
PLsis/steatosis誘発動物(アミオダロン;300mg/kg,ペルヘキシリン;60mg/kg投与動物)では、対照群と比較してPAGN/馬尿酸比が増大した(表4)。一方、PLsis/steatosis非誘発動物(アミオダロン;60mg/kg投与動物)では、対照群と比較してPAGN/馬尿酸比に有意な差は認められなかった(表4)。
尚、PLsis/steatosis誘発動物では、対照群と比較して馬尿酸とPAGNの総排泄量が減少していた。これは、薬物投与により摂餌量が対照群に比べて顕著に減少したことによりTyr合成に利用されない余剰のPhe量自体が減少したためであると考えられた。しかしながら、PAGN量の減少率に比して馬尿酸量の減少率がきわめて顕著であったため、PAGN/馬尿酸比を指標とした場合には、PLsis/steatosis誘発化合物を正しく判定することができた。この結果は、PAGもしくはPAGNの増加のみを指標とする従来のPLsis/steatosis予測方法に対する本発明の優位性を実証するものであるといえる。
PAGNを米国特許第5,100,807号明細書の実施例1の方法に従って調製する。馬尿酸はSIGMA社より購入する。同特許明細書の実施例2に記載の方法に準じてPAGN−ウシ血清アルブミン(BSA)コンジュゲートおよび馬尿酸−BSAコンジュゲートを作製する。得られたコンジュゲートを等量の完全フロイントアジュバント(FCA)と混和した後、雌性ウサギ(日本白色種、体重2.7〜2.8kg)に皮内投与する。3週間間隔で追加免疫を行い、最終免疫の1週間後にネンブタール麻酔下、頚動脈より全血を採取し、室温で2.5時間保温後、2000×g(4000rpm)で10分間遠心して抗血清を得る。血清に硫酸ナトリウムを少量ずつ添加して溶解させ後、遠心分離して沈殿を回収し、リン酸緩衝液(pH6.3)に溶解後、同緩衝液に対して4℃で5時間透析した後、透析外液を交換してさらに一夜透析する。上清を同緩衝液で平衡化したDE52−セルロースカラムのクロマトグラフィーに付し、IgG画分を得る。各IgGを固相化した後、PAGNまたは馬尿酸と常法により調製したHRP標識PAGN(馬尿酸)とを競合的に反応させてペルオキシダーゼ活性を測定し、両抗体とも交叉反応性を示さないことを確認する。
(2)PAGN、馬尿酸の検出
上記(1)で得られたウサギ抗PAGN IgGおよびウサギ抗馬尿酸IgGのBSA含有PBS溶液、実施例4で採取した尿試料、並びに常法により調製したフルオレセイン標識PAGNおよびピレン標識馬尿酸をチューブに加えて60分間反応させた後、Full−Range BEACON(登録商標)2000を用いて、フルオレセインの蛍光を励起波長:490nm、蛍光波長:520nmで、ピレンの蛍光を励起波長:350nm、蛍光波長:390nmでそれぞれ測定する。予めPAGNおよび馬尿酸の標準溶液を用いて作成した検量線から尿試料中のPAGNおよび馬尿酸量をそれぞれ算出する。
実施例1において病理組織学的変化の認められたアミオダロン、イミプラミン、タモキシフェンおよびキナクリンを試験化合物として、高速液体クロマトグラフィー/3連四重極型質量分析計(LC−MS/MS)を用いた定量法によりラット尿中馬尿酸およびPAG濃度を測定した。
5週齢のCrj:CD(SD)IGSラット(日本チャールズリバー株式会社、閉鎖環境下生産)雄100例(2004年11月16日;試験番号34−351/su)を入手し、約1週間馴化飼育した。その間に検疫を実施するとともに一般状態の観察及び体重測定を行った。異常の認められなかった動物を選択し、採尿用として1群雄各4例からなる5群に無作為に群分けした。
動物は金網底の金属製ケージに個別に収容し、各ケージはクリーンブース内に設置した水洗式ラックに群間で無作為に配置した。動物室の環境条件は室温20〜26℃、相対湿度40〜70%、新鮮空気の換気回数8〜25回/時間とし、照明時間は12時間/日(点灯時間:午前7時〜午後7時)とした。動物にはγ線照射した粉末飼料(CR−LPF、オリエンタル酵母)を与え、水道水とともに自由に摂取させた。
各被検物質に分散媒/媒体を加えて撹拌し、投与液を調製した。各被検物質の用量は以下の通りに設定した。
アミオダロン:300mg/kg/日
イミプラミン:100mg/kg/日
タモキシフェン:100mg/kg/日
キナクリン:60mg/kg/日
対照群:0.5w/v%メチルセルロース溶液
投与液量10mL/kg/日を1日1回、7日間強制経口投与により投与した。
投与終了後、すべての動物について約6時間の絶食、絶水下の蓄尿を氷冷採取した。
採尿後、1500×g、10分間遠心し、上清を1mL以上採取してマイクロチューブで低温フリーザーにて測定まで凍結保存(−15℃以下)した。
LC−MS/MSによるラット尿中馬尿酸、PAGの定量分析は以下のようにして実施した。標準物質として使用した馬尿酸(Lot No.PKE1876、含量99.8%)およびPAG(Lot No.PKG7583、含量99.4%)は和光純薬より、馬尿酸−d5(Lot No.H63P3、d5化率99.3%)はCDN isotopesより、PAG−d4(Lot No.B18607−060−17、d4化率100.0%)はインハウスで合成したものをそれぞれ入手した。アセトニトリル、蟻酸アンモニウム、蟻酸、酢酸アンモニウムおよびメタノールはいずれも和光純薬より入手した。
HPLCシステムはLC−10ADvpシステム(島津製作所)を、MS/MSシステムはAPI3000(AB/MDS SCIEX)を使用した。
尿試料またはQC試料20μLに50%アセトニトリルを20μL、馬尿酸−d5およびPAG−d5の50%アセトニトリル溶液(内部標準液,I.S.)を10μLおよび50%アセトニトリル1mLを添加し、5秒間攪拌した後、室温で13000rpm、5分間遠心分離した。遠心上清20μLを採取し、HPLC移動相((A):(B)=95:5、v/v)を1mL加え、10秒間攪拌した試料溶液をLC/MS/MS分析に供した。
また10mmol/L酢酸アンモニウム水溶液20μLに馬尿酸,PAG希釈標準20μLおよび内部標準液10μLを加えて同様に処理した試料を標準検量線用試料とした。馬尿酸およびPAGの標準検量線用試料は以下の終濃度となるように調製した。馬尿酸:5000、4000、2000、1000、500、200、100及び50μg/mL、PAG濃度:1000、500、400、200、100、50、20、10及び5μg/mL。
QC試料は、標準検量線を用いてラットコントロール尿の内因性成分である馬尿酸及びPAG濃度を測定し、本試料に馬尿酸、PAG希釈標準溶液を添加してQC−HおよびQC−Mを調製した。またQC−Hを10mmol/L酢酸アンモニウム水溶液で20倍に希釈し、QC−Lを調製した。
HPLCによるクロマト分離には分離カラムとしてL−Column ODS(粒子径;5μm、内径;2.1mm,長さ;50mm、化学物質検査機構)を用い、グラジエントモードで実施した。移動相(A)には10mmol/L蟻酸アンモニウム/蟻酸(500:1、v/v)を、移動相(B)にはアセトニトリル/蟻酸(500:1、v/v)を用い、流速0.2mL/min.で送液した。グラジエントプログラムは移動相(B)濃度を0分(分析開始時)5%から3分間で60%、その後3.2分までに80%まで直線的に上昇させた。その後5分まで80%で送液し、5.1分後に5%まで低下させ、分析終了時間(10分)まで同条件で送液させた。なお、スイッチングバルブを用い、分析時間3.0−4.5分の溶出液をMS/MSに導入させた。カラム温度は40℃、サンプル注入量は10μLで分析を実施した。
MS/MS分析はイオン化モードとしてターボイオンスプレーを用い、陽イオンモードでのselected reaction monitoring(SRM)によりイオンを検出した。イオンスプレーにはゼロエアーを用い、電圧は4.2kVで実施した。イオンの衝突誘起分解には窒素を用いた。モニターイオンとしてプリカーサーイオン、フラグメントイオンをそれぞれ馬尿酸;180 Da→105 Da、PAG;194 Da→91 Da、馬尿酸d−5;185 Da→110 Da、PAG−d4;198 Da→93Daに設定した。
馬尿酸およびPAGとそれぞれのI.S.とのピーク面積比を用い、標準検量線の回帰式(1/濃度の重み付け)から各試料の馬尿酸およびPAGの濃度を算出した。その結果を表5に示す。
コントロール群と比較してアミオダロン、イミプラミン、タモキシフェン、キナクリン投与群のPAG/馬尿酸濃度比は増大した(表5)。また馬尿酸およびPAGの尿中濃度の増減についても正確に評価することが出来た。本分析法は1分析あたりの時間が10分と短時間での分析が可能であり、かつ尿中の馬尿酸、PAGの絶対濃度が評価できるため、Plsis/steatosis予測法における、PLsis誘発性の有無を迅速に判定することが可能であることがわかった。
さらに、本発明の予測・診断方法は、尿や血漿などの末梢体液を試料とすれば非侵襲的な診断が可能となることから、脂質代謝異常症およびその関連疾患の臨床診断においてきわめて有用である。
本出願は、日本で出願された特願2003−434151(出願日:2003年12月26日)および特願2004−168849(出願日:2004年6月7日)を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。
Claims (10)
- 化合物による脂質代謝異常症の予測方法であって、
(1)化合物を投与された哺乳動物より採取した試料または化合物に曝露された哺乳動物細胞もしくは組織培養物中の(a)フェニルアセチルグリシンおよび/もしくはフェニルアセチルグルタミン、またはフェニルアラニンからフェニルアセチルグリシンもしくはフェニルアセチルグルタミンに至る代謝経路における任意の代謝中間体と、(b)馬尿酸またはフェニルアラニンから馬尿酸に至る代謝経路における任意の代謝中間体とを検出し、
(2)両者の量比を指標として該化合物の脂質代謝異常症誘発性を予測することを特徴とする方法。 - フェニルアセチルグリシンおよび/もしくはフェニルアセチルグルタミンと馬尿酸との量比を指標とする請求の範囲1記載の方法。
- 試料が尿、血清または血漿である請求の範囲1記載の方法。
- 細胞もしくは組織が肝臓、腎臓または肺由来のもの、あるいはリンパ球である請求の範囲1記載の方法。
- 脂質代謝異常症がリン脂質症、脂肪症およびスフィンゴミエリン蓄積症からなる群より選択される1以上の病態として発現するものである請求の範囲1記載の方法。
- 哺乳動物における脂質代謝異常症またはその関連疾患の検出方法であって、
(1)哺乳動物より採取した試料中の(a)フェニルアセチルグリシンおよび/もしくはフェニルアセチルグルタミン、またはフェニルアラニンからフェニルアセチルグリシンもしくはフェニルアセチルグルタミンに至る代謝経路における任意の代謝中間体と、(b)馬尿酸またはフェニルアラニンから馬尿酸に至る代謝経路における任意の代謝中間体とを検出し、
(2)両者の量比を指標として検出を行うことを特徴とする方法。 - フェニルアセチルグリシンおよび/もしくはフェニルアセチルグルタミンと馬尿酸との量比を指標とする請求の範囲6記載の方法。
- 試料が尿、血清または血漿である請求の範囲6記載の方法。
- 脂質代謝異常症が遺伝性リピドーシス、薬物起因性リピドーシスまたは脂肪酸代謝ホメオスタシス異常である請求の範囲6記載の方法。
- 疾患が高脂血症、粥状硬化症、動脈硬化、心筋梗塞、脂肪肝、肝炎、肝硬変、糖尿病、痴呆症、アルツハイマー病、心臓病および慢性疲労症候群からなる群より選択される請求の範囲6記載の方法。
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