JP4554839B2 - ポリイミド金属箔積層板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はフレキシブル配線基板等に広く使用されている、ポリイミド金属積層板及びその製造方法に関するものである。詳しくは、金属箔と熱可塑性樹脂層との密着性が良好で、高密度回路基板材料に適する金属積層板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリイミド金属積層板は主に回路基板材料として使用されてきた。特に近年の電子機器の小型、携帯化に伴い、部品、素子の高密度実装が可能な、ポリイミド金属積層板の利用が増大している。更に、高密度化に対応するため、配線幅が10〜50μmとなる微細パターンの加工に適するポリイミド金属積層板が望まれていた。
従来、ポリイミド金属箔積層板の製造方法として、金属箔上にポリイミド前駆体であるポリイミドワニス、及び/又はポリアミック酸ワニスを直接塗布・乾燥する方法が知られている。しかしながら、直接塗布・乾燥した場合、溶媒乾燥時の熱収縮により、ポリイミド金属箔積層板にしわ、波うち、反り等が発生し、回路基板材料として満足できるものではなかった。そこで、しわ、波打ち、反り等のないポリイミド金属積層板の製造方法が提案されている。
例えば、特開平7‐193349号公報には、非熱可塑性ポリイミド基材上熱可塑性ポリイミドワニス及び/または熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸ワニスを直接塗布・乾燥を行ない熱可塑性ポリイミド層形成し、ついで熱可塑性ポリイミドの表面に金属箔を加熱圧着するポリイミド金属積層体の製造方法が開示されている。該方法により得られるポリイミド金属積層体は、しわ、波うち、カール等の欠陥が無く、回路基板材料として優れた金属積層体である。しかしながら、金属箔に最大表面粗度が2.0μm以下のものを用いると、ピール強度が1.0kgf/cm以下となり、微細な回路パターンを形成する高密度基板材料としては必ずしも満足できるものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の問題に鑑み、金属箔と熱可塑性ポリイミド層との密着性が良好で、微細配線パターンを形成できる高密度回路基板材料に適するポリイミド金属積層板、及びその製造方法を提供することにある。
【0004】
【問題を解決するための手段】
本発明者らは、検討の結果、非熱可塑性ポリイミド層、熱可塑性ポリイミド層および金属箔を順次積層されたポリイミド金属積層体において、金属箔の表面処理に着目し、表面処理としてニッケルを0.17mg/dm2以上を表面に付着させ、その表面と熱可塑性ポリイミド層とを積層することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
(1) 非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層が形成され、その上に金属箔が積層された金属箔積層板であって、該熱可塑性ポリイミド層と接合する金属箔表面のニッケル付着量が0.17mg/dm2以上であることを特徴とする金属箔積層板。
(2) 熱可塑性ポリイミドと接合する金属箔表面の最大粗度(Rmax)が2.0μm以下であることを特徴とする(1)記載の金属箔積層板
(3) 非熱可塑性ポリイミド層の厚みが5μm以上250μm以下であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の金属箔積層板
(4) 熱可塑性ポリイミド層が1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル及び、3,3’−ジアミノベンゾフェノン(以下、DABPと略す)からなる群から選ばれた少なくとも一種のジアミンと、3,3’4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物からなる群から選ばれた少なくとも一種もテトラカルボン酸二無水物から合成され、その厚みが0.5μm以上10μm以下であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の金属箔積層板。
(5) 金属箔が、銅、ニッケル、アルミニウム及びステンレス鋼、並びにそれらの合金からなる群から選ばれた少なくとも1種の金属箔であり、その厚みが5μm以上150μm以下であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の金属箔積層板(6) 非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドまたは該熱可塑性ポリイミドの前駆体であるワニスを塗布し、60℃以上600℃以下において乾燥・キュアして熱可塑性樹脂層を形成し、さらに熱可塑性樹脂層に、ニッケルの付着量が0.17mg/dm2以上の金属箔を150℃以上600℃以下で熱圧着することを特徴とする(1)乃至(5)いずれかに記載の金属箔積層板の製造方法。
である。
本発明によれば、金属箔と熱可塑性ポリイミド層との密着性が良好で、ピール強度の高いポリイミド金属箔積層板が得られる。また、熱可塑性ポリイミド層と金属箔の間にマイクロボイドの無いポリイミド金属箔積層板が得られる。そのため、本発明のポリイミド金属箔積層板は、特に高密度配線板材料として好適に使用される。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明で使用する金属箔としては、銅及び銅合金、ステンレス鋼及びその合金、ニッケル及びニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウム及びアルミニウム合金等が挙げられる。好ましくは銅及び銅合金である。
熱可塑性ポリイミド層と接合する面の金属箔の表面処理は、該熱可塑性ポリイミド層と金属箔のピール強度に大きな影響を及ぼす。表面処理としてNiを付着させると、ピール強度は大幅に向上する。本発明では、熱可塑性ポリイミド層と接合する側の金属箔の表面処理として、ニッケルが0.17mg/dm2以上更に好ましくは0.20 mg/dm2以上0.24 mg/dm2以下、表面に好ましくは均一に層を形成して付着したものを選定して使用するのが好ましい。
【0006】
また、熱可塑性ポリイミド層と接合する面の金属箔の表面粗度は、ポリイミド金属箔積層板の性能に大きな影響を及ぼす。表面粗度が大きいと、熱可塑性ポリイミド層と金属箔との層間にマイクロボイドが生成し易くなり、高密度配線基板の形成用材料として好ましくない。本発明では、かかる観点から、熱可塑性ポリイミド層と接合する側の金属箔の表面粗度の最大粗度(以下、Rmaxという)が2.0μm以下、更に好ましくは1.5μm以下である金属箔を選定して使用するのが好ましい。
【0007】
また、金属箔の厚みは、テープ状に利用できる厚みであれば制限はないが、5μm以上150μm以下が好ましく利用できる。市販の金属箔としては、例えば、古河サーキットフォイル株式会社製、商品名:F1-WS(電解銅箔)等が挙げられる。
熱可塑性ポリイミド層を形成する熱可塑性ポリイミドとしては、特定のジアミンと特定のテトラカルボン酸二無水物から合成される組成物が好ましく利用できる。特定のジアミンとして、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(以下、APBと略す)、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル(以下、m-BPと略す)及び、3,3’−ジアミベンゾフェノン(以下、DABPと略す)から選ばれた少なくとも一種のジアミンが好ましい。
特定のテトラカルボン酸二無水物として、3,3’4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(以下、ODPAと略す)、3,3’4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAと略す)、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAと略す)から選ばれる少なくとも一種のテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物の反応モル比は、通常、0.75〜1.25の範囲である。
【0008】
非熱可塑ポリイミドは、特定のジアミンと特定のテトラカルボン酸二無水物から合成される化合物が利用できる。特定のジアミンとして、o-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4‘−ジアミノフェニルエーテル、3,4−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテルが挙げられる。これらは、単独または2種類以上使用しても良い。また、前記のアミン化合物を併用する場合、特定のジアミン成分の使用量は、少なくとも70モル%以上、好ましくは80モル%以上である。
特定のテトラカルボン酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’―ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’、3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸等が挙げられる。これらは、単独または、二種類以上使用してもよい。
【0009】
また、非熱可塑性ポリイミドとして市販の非熱可塑性ポリイミドフィルムが使用できる。例えば、ユーピレックスS、ユーピレックスSGA、ユーピレックスSN(宇部興産株式会社製、商品名)、カプトンH、カプトンV、カプトンEN(東レ・デュポン株式会社製、商品名)、アピカルAH、アピカルNPI、アピカルHP(鐘淵化学工業株式会社製、商品名)が挙げられる。非熱可塑性ポリイミドの表面はプラズマ処理、コロナ放電処理等を施してもよい。
熱可塑性のポリイミド層の厚みは、目的により選択され制限はないが、0.5μm以上10μm以下、更に好ましくは2.0μm以上5.0μm以下の範囲が好適である。非熱可塑性ポリイミド層の厚みは、制限はないが、5μm以上250μm以下、更に好ましくは10.0μm以上50.0μm以下の範囲が好適に利用できる。
本発明のポリイミド金属箔積層板の製造方法について更に詳細に述べる。本発明の方法は、非熱可塑性ポリイミド基体の片面または両面に熱可塑性ポリイミド層を形成し、該熱可塑性ポリイミド層を接着層とする。熱可塑性ポリイミド層に表面にニッケルが0.17mg/dm2以上で付着し、且つ、好ましくは表面の最大粗度が2.0μm以下である金属箔を熱圧着する方法で製造できる。
【0010】
次に非熱可塑性ポリイミド基体の片面または、両面に熱可塑性ポリイミド層を形成する方法、すなわち、接着テープの製造方法について詳細に説明する。非熱可塑性ポリイミド基体上に熱可塑性ポリイミドの溶液、または、該熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液(以下、これらを総称してワニスという)を直接塗布・乾燥することにより製造することが出来る。ワニスは、前記の特定のジアミンとテトラカルボン酸二無水物を溶媒中で重合して得られた溶液である。
非熱可塑性ポリイミド基体上に直接塗布する方法としては、ダイコーター、コンマコーター、ロールコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、スプレーコーター等の公知の方法が採用できる。塗布する厚み、ワニスの粘度等に応じて適宜利用できる。
【0011】
塗布したワニスを乾燥・キュアする方法は、通常の加熱乾燥炉が利用できる。乾燥炉の雰囲気としては、空気、イナートガス(窒素、アルゴン)等が利用できる。乾燥の温度としては、溶媒の沸点により適宜選択するが、60℃以上600℃以下の温度範囲が好適に利用される。乾燥の時間は、厚み、濃度、溶媒の種類により適宜選択するが0.05分以上500分以下程度で行なうのが望ましい。
次いで、接着テープの熱可塑性ポリイミド層の表面に金属箔を熱圧着する方法について述べる。熱圧着する方法について制限はないが、例えば、代表的方法として、加熱プレス法及び/又は熱ラミネート法が挙げられる。加熱プレス法としては、例えば、接着テープと金属箔をプレス機の所定のサイズに切りだし、重ね合わせを行ない加熱プレスにより熱圧着することにより製造できる。加熱温度としては、150℃以上600℃以下の温度範囲が望ましい。加圧力としては、制限は無いが、好ましくは0.1以上500kg/cm2以下で製造できる。加圧時間としては、特に制限はない。
【0012】
ラミネート方法としては、特に制限は無いが、ロールとロール間に挟み込み、張り合わせを行なう方法が好ましい。ロールは金属ロール、ゴムロール等が利用できる。材質に制限はないが、金属ロールとしては、鋼材やステンレス材料が使用される。表面にクロムメッキ等が処理されたロールを使用することが好ましい。ゴムロールとしては、金属ロールの表面に耐熱性のあるシリコンゴム、フッ素系のゴムを使用することが好ましい。ラミネート温度としては、100以上300℃以下の温度範囲が好ましい。加熱方式は、伝導加熱方式の他、遠赤外等の輻射加熱方式、誘導加熱方式等も利用できる。
熱ラミネート後、加熱アニールすることも好ましい。加熱装置として、通常の加熱炉、オートクレーブ等が利用できる。加熱雰囲気として、空気、イナートガス(窒素、アルゴン)等が利用できる。加熱方法としては、フィルムを連続的に加熱する方法またはフィルムをコアに巻いた状態で加熱炉に放置する方法のどちらの方法も好ましい。加熱方式としては、伝導加熱方式、輻射加熱方式、及び、これらの併用方式等が好ましい。加熱温度は、200℃以上600℃以下の温度範囲が好ましい。加熱時間は、0.05分以上5000分以下の時間範囲が好ましい。
【0013】
本発明により提供されるポリイミド金属箔積層板は、金属箔と熱可塑性ポリイミドとの間の接着力が優れ、また、金属箔と熱可塑性ポリイミド層との層間にマイクロボイドが無いことから、エッチング、穴あけ、メッキ等の加工を行ない10μm以上50μm以下の微細加工を形成しても、剥がれ等の問題の無い電子部品として高密度実装加工が可能となる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。尚、実施例に示した金属箔の表面処理付着量、金属箔の表面の最大粗度、金属箔と熱可塑性ポリイミド層とのピール強度は、下記の方法により測定した。
(1)表面処理付着量
分析用の蛍光X線測定装置を用いて、直径40mmの円盤状に切りだしたサンプルを測定する。面積あたりの付着量に換算して求めた。単位はmg/dm2である。
(2)最大粗度(Rmax)
表面粗度計(小坂研究所製、形式:サーフコーダーSE-30D)を用いて、JIS B-0601に規定される方法に従い、カットオフ値0.25mm、測定長さ2mmとして測定する。
(3)ピール強度(kg/cm)
長さ100mm、幅2mmの試料について、JIS C-6471に規定される方法に従い、短辺の端から金属箔と熱可塑性ポリイミド層を剥離し、その応力を測定する。剥離角度を90°、剥離速度を50mm/minとした。
【0015】
合成例1
<熱可塑性ポリイミド前駆体の合成>
ジアミン成分としてAPBを20モルとテトラカルボン酸成分としてBTDAを19.4モル秤量し、N,N-ジメチルアセト溶媒中で混合した。混合温度及び時間は、23℃,8時間であった。また、混合時の固形分濃度は17重量 %で実施した。得られたポリアミック酸ワニスの粘度は25℃において400cpsであり塗工に適したものであった。
【0016】
合成例2
<非熱可塑性ポリイミド前駆体の合成>
ジアミン成分として、PPDを7.7モル、ODAを1.15モル、m-BPを1.15モル秤量した。テトラカルボン酸成分として、BPDAを5.4モル、PMDAを4.45モル秤量した。N,NジメチルアセトアミドとN-メチル-2−ピロリドン混合溶媒に溶解し混合した。溶媒の比率は、前者23重量%、後者77重量%であった。反応温度、時間は、23℃、6時間であった。また、反応時の固形分濃度は、20重量%である。得られたポリアミック酸ワニスの粘度は25℃において20000cpsであり、塗工に適したものであった。
【0017】
実施例1
<接着テープの製造>
非熱可塑性ポリイミド層として、市販のポリイミドフィルム(東レデュポン株式会社製、商品名:カプトンEN、厚み;50μm)を用い、その片面にコータ−ドライヤー装置を用いて、合成例1のポリアミック酸ワニスを塗布し、乾燥を行なって、非熱可塑性ポリイミド層に熱可塑性ポリイミド層を形成した。塗布には、リバースロールコータ−を使用し、塗布厚みは乾燥後の厚みで7μmであった。乾燥の最高温度は295℃で行なった。
<ラミネートの実施>
金属箔として、市販の銅箔(古河サーキットフォイル社製、商品名:F1-WS、厚み:18μm、熱可塑性ポリイミド層側の表目処理付着量:ニッケル0.22mg/dm2、熱可塑性ポリイミド層側の表面最大粗度(Rmax):1.6μm)を使用した。銅箔、接着テープを重ね合わせ熱ラミネートを実施し、銅箔/熱可塑性ポリイミド/非熱可塑性ポリイミドの3層からなるポリイミド金属箔積層板を製造した。熱ラミネートは、シリコンゴムラミネートを使用し、ロール内部加熱方式のラミネート機を使用した。ラミネートロールの表面温度を240℃に加熱した。
<アニールの実施>
3層からなるポリイミド金属箔積層板をバッチ式オートクレーブ中でアニールを実施した。条件は、温度280℃において、4時間、窒素ガス雰囲気中で行った。
<ポリイミド金属箔積層板の評価>
得られたポリイミド金属箔積層板の評価を上記方法により実施した。その結果、ピール強度は1.8kgf/cmで良好であった。マイクロボイドの評価を実施した結果、銅箔の表面と同一の表面状態が観察され、マイクロボイドが形成された形跡は見らなかった。画像解析によるマイクロボイドの面積比率は0%であった。以上の結果から、回路基板材料として適した材料であった。結果を〔表1〕に示す。
【0018】
実施例2
<接着テープの製造>
非熱可塑性ポリイミド層として、市販のポリイミドフィルム(鐘淵化学株式会社製、商品名:アピカルNPI、厚み:25μm)を用い、その両面に合成例1のポリアミック酸ワニスを塗布した以外、実施例1と同様にして接着テープを製造した。
<加熱圧着の実施>
金属箔として、市販の銅合金箔〔オーリン社製、商品名:C7025(特注銘柄)、厚み:18μm、熱可塑性ポリイミド層側の表面処理ニッケル付着量:0.17mg/dm2、表面最大粗度(Rmax):1.8μm〕を使用した。接着テープの両面に、1辺が300mmの正方形の銅合金を重ね合わせたものを20セット重ね合わせ、それをクッション材(金陽社製、商品名:キンヨーボードF200)で挟み、さらにその外側を鏡面板ではさみ加熱プレス機で230℃、70kg/cm2の条件下で、1時間加熱圧着して銅合金箔/熱可塑性ポリイミド/非熱可塑性ポリイミド/熱可塑性ポリイミド/銅合金箔の5層からなるポリイミド金属箔積層板を製造した。
<ポリイミド金属箔積層板の評価>
実施例1と同様にして評価した。その結果、ピール強度は両面とも2.1kgf/cmであった。また、マイクロボイドの評価では、銅合金箔の表面と同一の形状が観察され、マイクロボイドは観察されなかった。画像解析によるボイド面積は0%であった。以上の結果、高密度基板材料として適した材料であった。結果を〔表1〕に示す。
【0019】
比較例1
<接着テープの製造>
実施例1と同様の方法で接着テープを製造した。
<ラミネート、アニールの実施>
市販の銅箔〔古川サーキットフォイル株式会社製、商品名:F2-WS、厚み18μm、熱可塑性ポリイミド層側に表面処理ニッケル付着量:0.11mg/dm2、表面最大粗度(Rmax):2.5μm〕を使用した以外、実施例1と同様の方法でラミネート、アニールを実施し、銅箔/熱可塑性ポリイミド/非熱可塑性ポリイミドの3層からなるポリイミド金属箔積層板を製造した。
<ポリイミド金属箔積層板の評価>
実施例1と同様にして評価した。その結果、ピール強度は0.8kgf/cmであった。また、マイクロボイドの評価を行ったところ、エッチングした熱可塑性ポリイミドフィルム表面全体に10〜50μm程度のボイドが観察された。画像解析装置によりボイドの痕跡の面積比率を算出した結果、23%であった。以上の評価結果から、ボイドが多く、微細回路を必要とする高密度回路基板材料としては不適当な材料であった。結果を表1に示す。
【0020】
比較例2
<ポリイミド金属箔積層板の製造>
金属箔として、市販の銅箔(日本電解株式会社製、商品名:SLP-18、厚み:18μm、熱可塑性ポリイミド層側の表面処理ニッケル付着量:0.11mg/dm2、表面最大粗度(Rmax):4.5μm)を使用した以外、実施例2と同様にして、銅箔/熱可塑性ポリイミド/非熱可塑性ポリイミド/熱可塑性ポリイミド/銅箔の5層構造のポリイミド金属箔積層板を製造した。
<ポリイミド金属箔積層板の評価>
実施例1と同様にして評価した。その結果、ピール強度は両面ともに0.6kgf/cmであった。マイクロボイドの評価を実施したところ、エッチングにより露出した熱可塑性ポリイミド層の表面全体に10〜50μm程度のボイドの痕跡が観察された。画像解析によるマイクロボイドの面積比率は5%であった。以上の結果、ピール強度が弱く、マイクロボイドが多い、高密度回路基板材料として不適当な材料であった。結果を〔表1〕に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】
本発明のポリイミド金属箔積層板は、金属箔と熱可塑性ポリイミドの密着性に優れ、かつマイクロボイドの無い優れた積層板である。そのため、高密度配線を必要とする、フレキシブルプリント配線板、ICパッケージ、LCD配線板等の配線基材として有効に利用できる。
Claims (7)
- 非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層が形成され、その上に金属箔が積層されたポリイミド金属箔積層板であって、該熱可塑性ポリイミド層と接合する金属箔表面のニッケル付着量が0.17mg/dm2以上であることを特徴とするポリイミド金属箔積層板。
- 熱可塑性ポリイミドと接合する金属箔表面の最大粗度(Rmax)が2.0μm以下であることを特徴とする請求項1記載のポリイミド金属箔積層板。
- 非熱可塑性ポリイミド層の厚みが5μm以上250μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリイミド金属箔積層板。
- 熱可塑性ポリイミド層が1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル及び、3,3’−ジアミノベンゾフェノン(以下、DABPと略す)からなる群から選ばれた少なくとも一種のジアミンと、3,3’4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物からなる群から選ばれた少なくとも一種のテトラカルボン酸二無水物から合成され、その厚みが0.5μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリイミド金属箔積層板。
- 金属箔が、銅、ニッケル、アルミニウム及びステンレス鋼、並びにそれらの合金からなる群から選ばれた少なくとも1種の金属箔であり、その厚みが5μm以上150μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリイミド金属箔積層板。
- 非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドまたは該熱可塑性ポリイミドの前駆体であるワニスを塗布し、60℃以上600℃以下において乾燥・キュアして熱可塑性ポリイミド層を形成するステップ、
ニッケルの付着量が0.17mg/dm 2 以上である金属箔を選択するステップ、
さらに前記熱可塑性ポリイミド層に、ニッケルの付着量が0.17mg/dm2以上の金属箔を150℃以上600℃以下で熱圧着するステップ、
を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のポリイミド金属箔積層板の製造方法。 - 前記熱可塑性ポリイミド層と接合する金属箔表面の最大粗度(Rmax)が2.0μm以下であることを特徴とする請求項6記載のポリイミド金属箔積層板の製造方法。
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