JP4553712B2 - パンクタイヤの修理方法およびパンクタイヤ修理用シーリング剤 - Google Patents

パンクタイヤの修理方法およびパンクタイヤ修理用シーリング剤 Download PDF

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Description

本発明は、外傷を受けてパンク状態に陥ったタイヤを、走行可能な状態に復帰させる修理方法およびパンクタイヤ修理用シーリング剤に関するものである。
空気入りタイヤ、例えば乗用車用タイヤにおいては、タイヤ気室内部にゲージ圧で150kPaから250kPa程度の圧力下に空気を封じ込めて、タイヤのカーカスおよびベルト等のタイヤ骨格部に張力を発生させ、この張力によって、タイヤへの入力に対してタイヤの変形並びにその復元を可能としている。すなわち、タイヤ気室の内圧が所定の範囲に保持されることによって、タイヤの骨格に一定の張力を発生させて、荷重支持機能を付与するとともに、剛性を高めて、駆動、制動および旋回性能などの、車両の走行に必要な基本性能を付与している。
ところで、この所定の内圧に保持されたタイヤが外傷を受けると、この外傷を介して高圧の空気が外部に漏れ出してタイヤ内圧が大気圧まで減少する、いわゆるパンク状態となるため、タイヤ骨格部に発生させていた張力はほとんど失われることになる。すると、タイヤに所定の内圧が付与されることによって得られる、荷重支持機能や、駆動、制動および旋回性能も失われる結果、そのタイヤを装着した車両は走行不能に陥るのである。
このパンク状態に陥ったタイヤは、その原因となった傷口を塞いでから高圧気体を充填する修理が必要となるため、パンクしたタイヤを車両から外して車両に積載していたスペアタイヤを装着し、パンクタイヤは後日修理場所まで運び修理するのが、パンク時の一般的な対応である。
かようにパンクに対処するのは煩雑であるところから、パンク発生時に、その場で車両に装着したままタイヤを修理することが検討されてきた。その代表的な手法に、いわゆるパンク修理剤がある。
パンクが発生した際にその発生箇所をシールするための修理剤として、種々のパンクシーリング剤が知られている。例えば、特許文献1に記載されたシーリング剤は、主に水性媒質中のコロイド分散系ポリマー(ラテックス)を含むものであり、該ラテックスとしては、ポリエチレン−ブタジエンラテックス、ポリ酢酸ビニルラテックス、アクリリック共重合体ラテックス、ニトリルラテックス、ポリクロロプレンラテックス等が用いられている。
このようなパンクシーリング剤をタイヤの内部に導きかつ走行できるように内圧を充填するために、従来、圧力源として液化ガスを含むパンクシーリング剤を収納する耐圧容器を具えた装置、例えばスプレー缶が用いられている。ここでの液化ガスとしては、主にプロパンやブタン混合ガスが使用される。まれに、フッ化クロロ炭化水素も用いられることがある。
このスプレー缶には、その出口バルブにホースの一端が接続されるとともに、ホースの他端は、タイヤバルブ用のねじアダプタを介してタイヤバルブに接続される。そして、タイヤがパンク状態となったとき、パンクシーリング剤を、スプレー缶からタイヤバルブを経てタイヤの内部に供給する。その際、高圧力の燃料ガスによってタイヤ内圧の減少分が補填される。同時に、タイヤの損傷の程度にもよるが、その内部にパンクシーリング剤を散布して損傷をシールしながら数km走行を必要とする。
また、他の装置では、パンクシーリング剤を、予めバルブ挿入物が抜き取られたタイヤバルブにアダプタを介して接続される圧縮フラスコ内に収納し、このフラスコの圧縮作用によって、パンクシーリング剤をタイヤの内部に吹込む。シーリング剤を供給後、タイヤは、二酸化炭素カートリッジの助けをかりて特定の内圧まで再膨張される。
しかしながら、以上の在来技術で使用されているパンクシーリング剤は、完全に満足のいくものではなかった。すなわち、シーリング剤は、粘稠物であるためタイヤの傷口を塞ぐまでに長時間を要するため、傷口のシールを完了して走行可能にするための予備走行にかなりの時間を要していた。
また一方で、パンクシーリング剤には、(1)傷口シール性、(2)注入容易性(バルブ等からパンクシーリング剤を注入しやすいこと)、(3)ある程度の不凍性(低温使用下で凍らないこと)、(4)長期に保存しても分離しない分離安定性、等が要求される。
従来のパンクシーリング剤では、主成分のラテックスによりシール性を確保し、また凍結防止剤により不凍性を確保し、さらに増粘剤およびpH調整剤により注入容易性および分離安定性を確保している。
しかし、上記の(1)〜(4)の特性は、二律背反の関係にあり、例えば、パンクシーリング剤中の凍結防止剤であるグリコール含量を多くすると不凍性は十分となるが、ラテックス含量が相対的に減少するため、シール性が低下してしまう。すなわち、これらすべての特性を十分に具備するパンクシーリング剤を作製することは困難といえる。
ここで、上記の(1)〜(4)の特性の中で、最も重要な特性はシール性である。近年、このシール性を向上させるため、繊維を含有したパンクシーリング剤が実用化されるようになった(特許文献2参照)。
特許第3210863号明細書 特開平10−71806号公報
この繊維を混入することによって、パンクシーリング剤におけるシール性を向上することができたが、一方で繊維を多量に含有させることによってシーリング剤の粘性が増加し、特に流動性が著しく劣るものとなっていた。すなわち、シーリング剤の粘性が増加すると、特に傷口がタイヤの上方にある場合にシーリング剤を傷口へ到達させることが難しく、例えばシーリング剤注入後にタイヤを回転する予備走行が必要であったり、タイヤを回転させつつシールを完了するまでの間に傷口から漏洩した空気圧を補充するために、再度空気の充填が必要であったり、シーリング剤が傷口に到達してこれを封止するまでに長時間を要する、などの不利がある。
そこで、本発明は、タイヤに外傷を受けて内圧が低下したタイヤを、走行可能な状態に短時間で確実に復帰させるための修理方法について提案することを目的とする。
また、本発明では、高いシール性を維持することが可能で、実用性に優れたパンクシーリング剤を提供することを目的とする。
発明者らは、上記の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、パンクの原因となった傷口を、樹脂による連続相と独立気泡とからなる中空粒子を活用することによって瞬時に塞ぐことが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
(1)車両にリムを介して装着したタイヤが受傷して内圧が大気圧まで低下した際、該車両装着状態のタイヤとリムとで区画されたタイヤ気室に、ラテックス、凍結防止剤、そして熱膨張が可能な樹脂による連続相と独立気泡とからなる中空粒子を含むシーリング剤を充填し、該シーリング剤にて傷口を塞いだ上で気体の充填によって使用内圧を付与することを特徴とするパンクタイヤの修理方法。
(2)車両にリムを介して装着したタイヤが受傷して内圧が大気圧まで低下した際、該車両装着状態のタイヤとリムとで区画されたタイヤ気室に、ラテックス、凍結防止剤およびガス成分を液体状態の発泡剤として樹脂に封じ込めた膨張性樹脂粒子を含むシーリング剤を加熱しながら充填し、該充填過程において前記膨張性樹脂粒子を加熱膨張させて、熱膨張が可能な樹脂による連続相と独立気泡とからなる中空粒子としてタイヤ気室内に供給し、該中空粒子を含むシーリング剤にて傷口を塞いだ上で気体の充填によって使用内圧を付与することを特徴とするパンクタイヤの修理方法。
(3)シーリング剤における中空粒子の含有率が1vol%以上20vol%以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のパンクタイヤの修理方法。
(4)タイヤ気室に充填する中空粒子群の平均粒径が40〜200μmの範囲にあり、かつ該中空粒子群の平均真比重が0.01〜0.06g/cmの範囲にあることを特徴とする上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のパンクタイヤの修理方法。
(5)ラテックスは、SBRラテックス、NBRラテックス、MBRラテックス、カルボキシル変性SBRラテックスおよびカルボキシル変性NBRラテックスのいずれか1種以上からなることを特徴とする上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のパンクタイヤの修理方法。
(6)中空粒子は、中空部内の圧力を大気圧以上に調整して用いることを特徴とする上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のパンクタイヤの修理方法。
(7)中空粒子の中空部内の気体が、窒素、空気、炭素数2から8の直鎖状及び分岐状の脂肪族炭化水素およびそのフルオロ化物、炭素数2から8の脂環式炭化水素およびそのフルオロ化物、そして次の一般式(III):
−O−R ---- (III)
(式中のRおよびRは、それぞれ独立に炭素数が1から5の一価の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子の一部をフッ素原子に置き換えても良い)にて表されるエーテル化合物、からなる群の中から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のパンクタイヤの修理方法。
(8)中空粒子の連続相である樹脂が、ポリビニルアルコール樹脂、アクリロニトリル系重合体、アクリル系重合体および塩化ビニリデン系重合体のいずれか少なくとも1種から成ることを特徴とする上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のパンクタイヤの修理方法。
(9)中空粒子の連続相がアクリロニトリル系重合体から成り、該アクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリル重合体、アクリロニトリル/メタアクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル/メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル/メタアクリロニトリル/メチルメタクリレート3元共重合体およびアクリロニトリル/メタアクリロニトリル/メタクリル酸3元共重合体から選ばれた少なくとも1種であるであることを特徴とする上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のパンクタイヤの修理方法。
(10)受傷したタイヤの傷口を閉塞する際に用いるシーリング剤であって、ラテックス、凍結防止剤、そして熱膨張が可能な樹脂による連続相と独立気泡とからなる中空粒子を含有することを特徴とするパンクタイヤ修理用シーリング剤。
本発明によれば、パンクの原因となった傷口は、加熱しながら中空粒子を含むシーリング剤により瞬時に塞がれるため、タイヤに外傷を受けて内圧が低下したタイヤを、走行可能な状態に短時間で確実に復帰させることができる。
さらに、中空粒子を含むシーリング剤は、この種シーリング剤の問題であった流動性が改善されるため、シーリング剤が傷口に到達するまでの時間が大幅に短縮することができる。
次に、本発明の方法について、詳しく説明する。
まず、本発明の方法で用いるシーリング剤の成分組成から順に説明する。すなわち、本発明のシーリング剤は、ラテックス、凍結防止剤、そして熱膨張が可能な樹脂による連続相と独立気泡とからなる中空粒子を含有するものである。
(ラテックス)
ここで、シーリング剤の主成分となるラテックスとしては、良好なシール性を確保する観点から、SBRラテックス、NBRラテックス、カルボキシル変性SBRラテックスおよびカルボキシル変性NBRラテックスのいずれか1種以上からなるものを用いることが好ましい。その含有量は、他の成分および添加剤を以下に示す好適含有量で含有させた残部とする。
(凍結防止剤)
凍結防止剤としては、特定のものを使用する必要はないが、例えばエチレングリコールやプロピレングリコール等を使用することができる。そして、凍結防止剤の含有量は、5〜50質量%であることが好ましい。すなわち、5質量%未満では、低温での凍結防止性が十分に得られないことがある。一方、50質量%を超えると、ラテックス量に対して凍結防止剤量が多くなるため、パンク補修時に凝集したラテックスの粒が凍結防止剤中に分散する可能性があり、その場合に十分なシール特性が得られないことになる。より好ましい凍結防止剤の含有量は、10〜40質量%である。
(中空粒子)
本発明のシーリング剤では、中空粒子を添加することに必須であり、この中空粒子によってシール性および流動性の改善をはかるところに特徴がある。ここに、中空粒子は、略球形状の樹脂による連続相で囲まれた独立気泡を有する、平均粒径が20μm〜500μm程度の範囲で粒径分布を持った中空体、あるいは独立気泡による小部屋の多数を含む海綿状構造体である。すなわち、中空粒子は、外部と連通せずに密閉された独立気泡を内包する粒子であり、該独立気泡の数は単数であってもよいし、複数であってもよい。ここでは、『中空粒子群の独立気泡内部』を総称して『中空部』と表現する。また、この中空粒子が独立気泡を有することは、該粒子が独立気泡を密閉状態で内包するための『樹脂製の殻』を有することを指す。さらに、上記の樹脂による連続相とは、この『樹脂製の殻を構成する成分組成上の連続相』を指す。なお、この樹脂製の殻の組成は後述のとおりである。
この中空粒子の所定量を含有したシーリング剤によるパンクの修理方法としては、公知の方法を適用することができる。すなわち、シーリング剤が充填された容器をタイヤのバルブ口に連結し適量を注入する。その後、シーリング剤がタイヤ内面に広がり傷口をシールできるようにタイヤを回転させればよい。
例えば、空気とともにパンクタイヤの気室内にシーリング剤を充填しシーリング剤がタイヤ内面に広がると、同時に供給される空気がタイヤ気室内から傷口を介してタイヤ外に漏れ出る際の気流にも案内されてシーリング剤が傷口に達し、ここを封止することになる。すなわち、傷口はタイヤ気室内の気体が漏れ出る流路となるが、その流路長さは、タイヤの肉厚分にほぼ相当する。本発明のシーリング剤に含有させた中空粒子は、上記流路内にて「圧密」という作用により、多数の中空粒子によって流路を詰まらせることができるため、ラテックスと協働して流路を閉塞する。したがって、パンクの原因となった傷口は、瞬時にかつ確実にラテックスおよび中空粒子によって塞ぐことができるのである。
一方で、中空粒子は略球形状であるために、等方的に粘度が増加し、またラテックスにブレンドした場合の粘度増加が小さいために、シーリング剤としての流動性を損なわない長所がある。これに対して、在来の短繊維をブレンドした場合は、短繊維がシーリング剤の流れに対して平行に配列されるために粘度の増加が異方性を示し、シーリング剤自身の流れ方向に対する流動性が大きく損なわれてしまう。よって、リムに配置したバルブのような小さい断面積の管内を通して流し込む場合、管内が容易に閉塞してしまい、短時間での充填が難しい。中空粒子を混合した場合は、流動性が損なわれないために、閉塞が起こりにくく短時間で容易に充填が可能となる。
かように、中空粒子の助力によって傷口を確実に塞ぎ、さらにシーリング剤の流動性を改善するには、シーリング剤中の中空粒子の含有量をラテックス部に対して1vol%以上20vol%以下とすることが好ましい。より好ましくは、3〜15vol%、さらには5〜15vol%である。
なぜなら、0.1vol%未満では、中空粒子を添加したことによるシール性を十分に発揮することができないからである。また、20vol%を超えると、中空粒子の絡み合いが発生し、粘性が増加して注入容易性が低下すると共に、既述の役割を十分に発揮することが難しくなるため、シール性も低下してしまうことがある。
次に、中空粒子の中空部(独立気泡)を構成する気体としては、窒素、空気、炭素数2から8の直鎖状及び分岐状の脂肪族炭化水素およびそのフルオロ化物、炭素数2から8の脂環式炭化水素およびそのフルオロ化物、そして次の一般式(III):
−O−R---- (III)
(式中のRおよびRは、それぞれ独立に炭素数が1から5の一価の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子の一部をフッ素原子に置き換えても良い)にて表されるエーテル化合物、からなる群の中から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。また、タイヤ気室内に充填する気体は空気でも良いが、上記粒子中の気体がフルオロ化物でない場合には、安全性の面から酸素を含まない気体、たとえば窒素や不活性ガス等が好ましい。
ところで、傷口の封止機構については前述の通りであるが、本発明の中空粒子は、ラテックスとともに該傷口流路内にて「圧密」し、多数の中空粒子によって流路を詰まらせた状態となる。ここで、中空部圧力が高い中空粒子である場合、以下の効果が発揮できる。すなわちシーリング剤充填後に、タイヤ気室内に気体をコンプレッサー等で送り込むと、傷口にシーリング剤が移動し傷口を封止するが、それと同時にタイヤ骨格に張力が与えられることにより、傷口の内径は絞り込まれる様に減少し、圧密した中空粒子に対して圧縮力が働く。このとき中空部圧力が高い場合では、この圧縮力に対して中空部圧力に起因する反力が発生するため、圧密の度合いを高めることができ、より大きな内径の傷口まで封止できるのである。
尚、独立気泡を有する中空粒子を得る方法は特に限定されないが、発泡剤を用いて『膨張性樹脂粒子』を作製し、これを加熱膨張させる方法が一般的である。この発泡剤としては、高圧圧縮ガス及び液化ガスなどの蒸気圧を活用する手法、熱分解によって気体を発生する熱分解性発泡剤を活用する手法などを挙げることができる。
後者の熱分解性発泡剤には窒素を発生させる特徴のあるものが多く、これらによる発泡によって得られる膨張性樹脂粒子の反応を適宜制御することによって得た粒子は気泡内に主に窒素を有するものとなる。この熱分解性発泡剤としては特に限定されないがジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、パラトルエンスルフォニルヒドラジンおよびその誘導体、そしてオキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジンを好適に挙げることができる。
次に、前者の高圧圧縮ガス及び液化ガスなどの蒸気圧を活用して中空粒子となる『膨張性樹脂粒子』を得る手法を説明する。
中空粒子を形成する前記樹脂による連続相を重合する際、炭素数2から8の直鎖状及び分岐状の脂肪族炭化水素およびそのフルオロ化物、炭素数2から8の脂環式炭化水素およびそのフルオロ化物、そして次の一般式(III):
−O−R---- (III)
(式中のRおよびRは、それぞれ独立に炭素数が1から5の一価の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子の一部をフッ素原子に置き換えても良い)にて表されるエーテル化合物、からなる群の中から選ばれた少なくとも1種を発泡剤として高圧下で液化させ、反応溶媒中に分散させつつ、乳化重合させる手法である。これにより上記に示されるガス成分を液体状態の発泡剤として前述の樹脂連続相にて封じ込めた『膨張性樹脂粒子』を得ることができ、これを加熱膨張させる事によって、所望の中空粒子を得る事が出来る。
また、前記『膨張性樹脂粒子』の表面に、シリカ粒子等のアンチブロッキング剤、カーボンブラック微粉、帯電防止剤、界面活性剤、油剤等をコーティングした上で加熱膨張させることにより、目的の中空粒子を得ることができる。
また、該シーリング剤によって傷口を塞ぐに際し、シーリング剤中の中空粒子の中空部内に所定圧力で封入された気体が、粒子外部へ漏れ出ないこと、換言すると、中空粒子の殻の部分に相当する樹脂による連続相が気体を透過し難い性質を有することが肝要である。すなわち、連続相を構成する樹脂はガス透過性の低い材質によること、具体的には、アクリロニトリル系共重合体、アクリル系共重合体、塩化ビニリデン系共重合体のいずれか少なくとも1種から成ることが肝要である。これらの材料は、タイヤ変形による入力に対して中空粒子としての柔軟性を有するため、本発明に特に有効である。
とりわけ、中空粒子の連続相には、アクリロニトリル系重合体、アクリル系重合体および塩化ビニリデン系重合体のいずれかを適用することが好ましい。さらに詳しくは、重合体を構成するモノマーが、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、メチルメタクリレート、メタクリル酸、塩化ビニリデンから選択される重合体であり、好ましくはアクリロニトリル/メタアクリロニトリル/メチルメタクリレート3元共重合体、アクリロニトリル/メタアクリロニトリル/メタクリル酸3元共重合体から選ばれた少なくとも1種がそれぞれ有利に適合する。これらの材料は、いずれもガス透過係数が小さくて気体が透過し難いために、中空粒子の中空部内の気体が外部に漏れ難く、中空部内の圧力を適切に保持することができる。
さらに、中空粒子の連続相は、30℃におけるガス透過係数が300×10-12 (cc・cm/cm2 ・s・cmHg)以下、好ましくは30℃におけるガス透過係数が20×10-12(cc・cm/cm2・s・cmHg)以下、さらに好ましくは30℃におけるガス透過係数が2×10-12(cc・cm/cm2・s・cmHg)以下であることが推奨される。なぜなら、通常の空気入りタイヤにおけるインナーライナー層のガス透過係数は300×10-12(cc・cm/cm2・s・cmHg)以下のレベルにあって十分な内圧保持機能を有している実績を鑑み、粒子の連続相についても、30℃におけるガス透過係数を300×10-12(cc・cm/cm2 ・s・cmHg)以下とした。ただし、このガス透過係数のレベルでは、3〜6カ月に1度程度の内圧補充が必要であるから、そのメンテナンス性の点からも、20×10-12 (cc・cm/cm2 ・s・cmHg)以下、さらに好ましくは2×10-12(cc・cm/cm2・s・cmHg)以下とすることが推奨される。
ここで、シーリング剤中に中空粒子を含有させて傷口の閉塞に役立てるに当たり、上記した膨張性樹脂粒子を含むシーリング剤を加熱しながらタイヤ内に充填し、この充填過程において膨張性樹脂粒子を加熱膨張させて中空粒子としてタイヤ気室内に供給することも可能である。そのためには、充填時の加熱温度を、60〜200℃とすることが好ましい。
(樹脂系接着剤)
さらに、本発明のシーリング剤では、樹脂系接着剤を添加することが好ましい。
樹脂系接着剤としては、既述のゴムラテックスに適合するものを使用する。当該樹脂系接着剤としては、テルペンフェノール樹脂等のテルペン樹脂やポリイソブチレン等のブチルゴム系材料を使用することができる。
ここで、樹脂系接着剤がゴムラテックスに「適合」するということは、樹脂系接着剤がゴムラテックスを少しも凝固させるものではないことを意味し、樹脂系接着剤が、ゴムラテックスのタイヤヘの接着カを向上するものとして用いられることを示す。例えば、樹脂はゴム皮膜の粘着性付与剤としてのエラストマーに加えられて用いられる。
本発明のシーリング剤は、ゴムラテックス中に天然ゴムを含まないゴムラテックスを使用することが好ましく、パンクしたタイヤの補修時に誤ってシーリング剤が作業者の手、顔等に付着したり、ガスと共に飛散したシーリング剤を作業者が吸引してしまっても、アレルギー反応による健康障害を引き起こすおそれがなく、作業者が安全にタイヤの補修作業を行えることが望ましい。また、樹脂系接着剤もアレルギーとなる成分を含まないことが、作業者が安全にタイヤの補修作業を行うのに好ましい。
また、上記組成のパンクシーリング剤では、アンモニア等の刺激臭の発生がある薬剤をpH調整剤としてゴムラテックスに添加しなくても、十分な安定性を得られるので、パンク修理時にシーリング剤から強い刺激臭が発生することがなく、作業者に対する作業環境を良好にできると共に、刺激臭による健康への影響も防止できる。
さらに、本発明のシーリング剤は、発明者等の比較試験の結果、天然ゴムのみからなるゴムラテックスを含むシーリング剤と同様に、高温及び低温の条件下やウェット条件下でも、パンクしたタイヤに対して優れたシール性能を発揮できる。
ここで、テルペンフェノール樹脂としては、α−ピネンフェノール樹脂、ジペンテンフェノール樹脂、テルペンビスフェノール樹脂、またはこれらを水素添化したものなどが使用できる。また、市販のものを使用することもできる。
樹脂系接着剤の含有量は3〜30質量%の範囲であることが好ましく、5〜25質量%の範囲であることがより好ましく、7〜20質量%の範囲であることがさらに好ましい。3〜30質量%の範囲とすることで、実用的で良好なシール性を発揮することができる。
樹脂系接着剤は、シール性の向上を考慮して、前記ゴムラテックスの水性分散剤または前記ゴムラテックスの水性乳剤の状態で加えられてなることが好ましい
以上のシーリング剤において、当該シーリング剤中の固体成分(以下、「固形分」ということがある)の含有量は、5〜70質量%であることが好ましい。
「固形分の含有量」は、以下のようにして求めることができる。まず、シーリング剤を構成する成分のうち中空粒子または膨張性樹脂粒子を混合する前のラテックス部100gを30分間、200℃の状態で放置する。放置後の残留分の質量を測定し、当該残留分の質量を該ラテックス部の質量で除する(残留分の質量/放置前のラテックス部の質量)ことで求めることができる。
固形分の含有量が5質量%未満だと、ゴムラテックスの割合が低くなり、十分なシール性を確保することが不可能となることがある。また、70質量%を超えると、シール性以外の特性を十分に確保することができないことがある。
上記範囲内での固形分含有量のより好ましい上限は60質量%であり、さらに好ましくは50質量%であり、特に好ましくは40質量%である。また、上記範囲内で固形分の含有量のより好ましい下限は8質量%であり、さらに好ましくは10質量%である。
また、シーリング剤の粘度は、実際の使用条件として想定される条件(少なくとも、タイヤヘの充填前であって60℃〜−30℃の範囲)において、3〜6000mPa・sであること好ましく、5〜4500mPa・sであることがより好ましく、8〜3000mPa・sであることがさらに好ましく、10〜3000mPa・sであることが特に好ましく、15〜1500mPa・sであることが最も好ましい。
3mPa・s未満では、粘度が低すぎてバルブヘの注入時に液漏れが発生することがある。6000mPa・sを超えると、注入時の抵抗が強くなって注入容易性が低下する場合があり、また、タイヤ内面への広がりも十分でなく、高いシール性が得られない場合がある。なお、当該粘度は、B型粘度計等により測定することができる。また、粘度を高くしたい場合は増粘剤を添加し、粘度を低くしたい場合はラテックス成分を減少させ水を増量させることにより、当該粘度を所望の範囲とすることができる。
本発明のシーリング剤では、粘度調整や希薄化のために水を含有させることができる。さらにパンクシーリング剤に、通常の分散剤、乳化剤、発泡安定剤、又は苛性ソーダ等のpH調整剤を添加してもよい。
本発明のシーリング剤によれば、アンモニア等の刺激臭の発生がある薬剤をpH調整剤としてゴムラテックスに添加しなくても、十分な安定性を得られる。
ここで、タイヤが損傷した際のタイヤ受傷部の封止機能を高めるために、予めタイヤ気室内に発泡体の多数を配置しておき、パンク後に該シーリング剤を充填する、またはシーリング剤を充填する直前または直後に該発泡体を配置する手段が有効である。具体的には、直径が1〜15mmの略球体形状または一辺が1〜15mmの立方体形状であり独立または連通気泡を有し、平均嵩比重が0.06〜0.3g/ccである発泡体の多数を加えることにより、シーリング剤単独では、封止することが難しい大きな傷口をも封止することが可能となり、該内圧復活機能の発現期間を延ばし、タイヤ受傷後の走行能力を増大させることが可能である。
すなわち、受傷部の傷の大きさが、極端に大きい場合には、シーリング剤のみによる暫定的封止が不完全な場合があり、シーリング剤がタイヤ外部に漏れ出してしまう場合がある。このような場合において、上述した発泡体の多数を加えておくことにより、次のように封止のレベルを向上させることができる。
まず、上述の発泡体の多数をあらかじめタイヤ気室内に配置しておけば、パンクによるタイヤ気室内の気体の漏洩と共に、該発泡体が傷口内面に密着し、タイヤ気室内の圧力と回転に伴う遠心力とによって、さらに傷口内部に潜り込んだ様態となる。その後の修理により、シーリング剤を充填すると、発泡体が潜り込んだ傷口を封止する形となり、極めて確実な封止状態を得ることができる。
一方、修理後のタイヤにおいては、転動中のタイヤ気室内において、速度に応じた遠心力が発生しており、その遠心力下において該発泡体はシーリング剤と混合されながらタイヤのインナーライナー側へ偏在する。この状態においては、もしシーリング剤のみでは封止できない程の大きさの傷を再度受けたとしても、タイヤ内面のインナーライナー面近傍に、該発泡体とシーリング剤の混合物が偏在しているため、タイヤ外部へ吹き出ようとして、受傷部の傷口内面にいち早く密着することによって受傷部を封止する事となり、極めて有効である。
特に、該発泡体が連通気泡を持つ発泡体の場合、圧縮性が高く、傷口の形状に密着しやすく、傷口内部まで潜り込み易い事と、結果的に大きな傷口を該発泡体により極めて複雑かつ微細化できる事によって、その複雑・微細化された気体の散逸流路を該シーリング剤にて封止するに最も適した様態へ変化させることが出来るため、大変有効な手段となる。
また、シーリング剤の液体成分として、樹脂系接着剤用の分散剤又は乳化剤、好ましくは水が添加されてもよく、必要により液状樹脂系接着剤を用いてもよい。
シーリング剤は、既述の材料を公知の方法で混合等して製造することができる。また、シーリング剤の製造、保管、充填は、酸化等を避けるため、好ましくは窒素又は希ガスの雰囲気で行われる。
以上のようなシーリング剤を用いてパンクタイヤの修理を行うには、シーリング剤が充填された容器をタイヤのバルブ口に差し込み適量を注入する。その後、シーリング剤がタイヤ内面に広がり傷口を閉塞することになる。
かようにシーリング剤をタイヤ内に供給するには、例えば燃料ガスとしてプロパン・ブタン混合ガスを含むスプレー缶を用いてタイヤの内部に導入して、シーリング剤の注入とタイヤの再膨張とを実現することができるが、図1に示すポンプアップ装置20を使用することが、より好ましい。
すなわち、図1に示すポンプアップ装置20は、シーリング剤注入時の圧力源として小型のエアコンプレッサ1を用いる。このエアコンプレッサ1は、ホース2を介して耐圧容器4のガス導入部3に接続されている。該ガス導入部3は、栓バルブ5で閉止できかつ耐圧容器4に収納されたシーリング剤6の液面上まで延びている。
また、耐圧容器4は、シーリング剤6を取出すための出口バルブ7を有し、この出口バルブ7にホース8の一端を接続するとともに、該ホース8の他端には、タイヤバルブ10にねじ止めされるねじアダプタ9を取付けてなる。
また、エアコンプレッサ1には、電気ケーブル13が接続され、そのプラグ14は、例えば、シガレットライターに差込まれて電源が供給される。
ここで、タイヤにパンクが発生した際、前記ねじアダプタ9をタイヤバルブ10にねじ止めし、かつエアコンプレッサ1をシガレットライターに接続するとともに、耐圧容器4のガス導入部3において前記栓バルブ5を開放する。すると、エアコンプレッサ1から耐圧容器4内にガス導入部3を経て圧縮空気が導入され、この圧縮空気が出口バルブ7からシーリング剤6を押出す結果、タイヤバルブ10からタイヤの内部にシーリング剤6が注入される。然る後、空気がタイヤの内部に再充填され、タイヤを所定内圧まで膨張させる。その後、ねじアダプタ9をタイヤバルブ10から取外し、エアコンプレッサ1を止める。この直後に、一定距離に亘って予備走行すれば、タイヤ内面にシーリング剤6が移動して傷口を閉塞する。次いで、走行を停止し、必要があれば再びポンプアップ装置20を接続してタイヤに要求される指定内圧まで再度空気の充填を行うが、基本的には再度の空気充填は不要である。
また、シーリング剤の注入は、図2(A)および(B)に示すポンプアップ装置30によっても実現できる。なお、図2(A)および(B)に示すポンプアップ装置において、図1に示したポンプアップ装置20と共通の部分には同一符号を付して説明を省略する。
このポンプアップ装置30は、図2(A)に示すパンクシーリング剤6の収納容器である樹脂製のボトル22と、図2(B)に示す圧力源としてのエアコンプレッサ1とを備えている。ボトル22には、1回のパンク修理に必要なシーリング剤6が収容されている。さらに、ボトル22には、先端部にアダプタ26を有するホース24が接続され、同様にエアコンプレッサ1にも、先端部にアダプタ9を有するホース2が接続されている。但し、ボトル22のホース24については、タイヤバルブ26に直接接続可能なものであるならばアダプタ9を省略しても良い。
そして、パンク発生時には、ボトル22のアダプタ26をタイヤバルブ10にねじ止めして、ホース24及びアダプタ26を通してボトル22とタイヤ内とを連通する。この状態で、作業者は、図2(A)に2点鎖線で示したように、ボトル22を握り潰してシーリング剤6をボトル22内から搾り出すことにより、ホース24を通してシーリング剤6をタイヤ内へ注入する。
ボトル22内からタイヤ内へのシーリング剤6の注入が完了したならば、作業者は、アダプタ26をタイヤバルブ10から取り外してボトル22をタイヤから切り離す。
次いで、作業者は、エアコンプレッサ1のアダプタ9をタイヤバルブ10にねじ止めし、アダプタ9及びホース2を通してエアコンプレッサ1をタイヤ内に連通させる。この状態で、作業者は、エアコンプレッサ1を作動させて加圧空気をタイヤ内へ充填し、タイヤを所定内圧で膨張させる。その後、アダプタ9をタイヤバルブ10から取外し、エアコンプレッサ1を止める。この直後に、一定距離に亘って予備走行すれば、タイヤ内面にシーリング剤6が移動して傷口を閉塞する。次いで、走行を停止し、必要があれば再びポンプアップ装置20を接続してタイヤに要求される指定内圧まで再度空気の充填を行う。
NBRラテックス(日本ゼオン製 Nipole)中に、以下の表1に示す材料を混合してラテックス部を調製しさらに表1に示す中空粒子を混合させてシーリング剤を作製し、パンクタイヤの気室内にシーリング剤を注入してタイヤの修理を行った。ここで、タイヤには、排気量3000ccの乗用車に、245/45R18のタイヤと7.5J−18のリムとの組立体を装置し、使用内圧200kPa下にて、6mmφの釘を踏み抜き受傷させたものを用いた。
なお、表1における、中空粒子の連続相を構成する組成物の種類は表2に示すとおりである。この表2に示す膨張性樹脂粒子を加熱して膨張させることによって中空粒子とし、得られた粒子群の平均粒径および平均真比重を測定した結果は表3に示した。表3に示した中空粒子または表2に示した膨張性樹脂粒子を表1に示す配合の下でシーリング剤を作製した。
また、作製したラテックス部を100g採取し、これを200℃で30分間保持し、その保持後の質量から、固形分含量を算出した。それぞれの固形分含量を表1に示す。なお、表1中、特筆しない限り、単位は質量%を示す。
以上のパンクタイヤの修理に使用したシーリング剤の流動性および各修理における傷口の閉塞性について調査した結果を、表1に併記する。
ここで、シーリング剤の流動性は、各タイヤにシーリング剤を注入するに要した時間にて比較した。比較例1のシーリング剤を使用した際に注入に要した時間を基準として当該注入時間の±20%以内に収まる場合を合格とした。
また、傷口の閉塞性は、所定量のシーリング剤をタイヤ気室内に注入し、20l/minの流量で内圧200kPaとなるまで空気を充填後、速度50km/hにて10km走行した後のタイヤ内圧を比較した。タイヤ内圧が200kPaに保たれているほど傷口閉塞性に優れていることを示す。なお、シーリング剤を注入する時の受傷部の位置は、(1)0°(接地面内)、(2)90°(0°位置から90°離間した位置)、(3)180°(接地面のタイヤ軸を挟む反対側)の3水準にて実施した。また、走行後の傷口に石鹸水をつけ、空気の漏洩が無く封止ができているかを確認した。
Figure 0004553712
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表1に示した結果より、比較例1〜3においては、受傷部位置が異なっても10km走行後のタイヤ内圧が低いことがわかる。発明例1ないし5においては、いずれも早期に受傷部封止を完了しており、内圧保持性が高い。なお、発明例6は、中空粒子の混合割合が高すぎために注入時の流動性が悪化し、注入時間が長くなる不利があるものの、受傷部の封止は確実に行われていることが判る。
本発明のシーリング剤によれば、高いシール性を維持することが可能で、優れた実用性を発揮することができる。従って、本発明のパンクシーリング剤は、種々の空気入りタイヤのパンク修理に適用することができる。例えば、自動車用タイヤ、二輪車用タイヤ、一輪事用タイヤ、車いす用タイヤ、農地作業や庭園作業に使用する車両用タイヤ等が挙げられる。
本発明に従ってシーリング剤をタイヤに注入するために用いられるポンプアップ装置の一例を示す図である。 本発明に従ってシーリング剤をタイヤに注入するために用いられるポンプアップ装置の他の例を示す図である。
符号の説明
1 エアコンプレッサ
2 ホース
3 ガス導入部
4 耐圧容器
5 栓バルブ
6 シーリング剤
7 出口バルブ
8 ホース
9 ねじアダプタ
10 タイヤバルブ
22 ボトル

Claims (10)

  1. 車両にリムを介して装着したタイヤが受傷して内圧が大気圧まで低下した際、該車両装着状態のタイヤとリムとで区画されたタイヤ気室に、ラテックス、凍結防止剤、そして熱膨張が可能な樹脂による連続相と独立気泡とからなる中空粒子を含むシーリング剤を充填し、該シーリング剤にて傷口を塞いだ上で気体の充填によって使用内圧を付与することを特徴とするパンクタイヤの修理方法。
  2. 車両にリムを介して装着したタイヤが受傷して内圧が大気圧まで低下した際、該車両装着状態のタイヤとリムとで区画されたタイヤ気室に、ラテックス、凍結防止剤およびガス成分を液体状態の発泡剤として樹脂に封じ込めた膨張性樹脂粒子を含むシーリング剤を加熱しながら充填し、該充填過程において前記膨張性樹脂粒子を加熱膨張させて、熱膨張が可能な樹脂による連続相と独立気泡とからなる中空粒子としてタイヤ気室内に供給し、該中空粒子を含むシーリング剤にて傷口を塞いだ上で気体の充填によって使用内圧を付与することを特徴とするパンクタイヤの修理方法。
  3. シーリング剤における中空粒子の含有率が1vol%以上20vol%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のパンクタイヤの修理方法。
  4. タイヤ気室に充填する中空粒子群の平均粒径が40〜200μmの範囲にあり、かつ該中空粒子群の平均真比重が0.01〜0.06g/cmの範囲にあることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のパンクタイヤの修理方法。
  5. ラテックスは、SBRラテックス、NBRラテックス、MBRラテックス、カルボキシル変性SBRラテックスおよびカルボキシル変性NBRラテックスのいずれか1種以上からなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のパンクタイヤの修理方法。
  6. 中空粒子は、中空部内の圧力を大気圧以上に調整して用いることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のパンクタイヤの修理方法。
  7. 中空粒子の中空部内の気体が、窒素、空気、炭素数2から8の直鎖状及び分岐状の脂肪族炭化水素およびそのフルオロ化物、炭素数2から8の脂環式炭化水素およびそのフルオロ化物、そして次の一般式(III):
    −O−R ---- (III)
    (式中のRおよびRは、それぞれ独立に炭素数が1から5の一価の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子の一部をフッ素原子に置き換えても良い)にて表されるエーテル化合物、からなる群の中から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のパンクタイヤの修理方法。
  8. 中空粒子の連続相である樹脂が、ポリビニルアルコール樹脂、アクリロニトリル系重合体、アクリル系重合体および塩化ビニリデン系重合体のいずれか少なくとも1種から成ることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のパンクタイヤの修理方法。
  9. 中空粒子の連続相がアクリロニトリル系重合体から成り、該アクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリル重合体、アクリロニトリル/メタアクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル/メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル/メタアクリロニトリル/メチルメタクリレート3元共重合体およびアクリロニトリル/メタアクリロニトリル/メタクリル酸3元共重合体から選ばれた少なくとも1種であるであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のパンクタイヤの修理方法。
  10. 受傷したタイヤの傷口を閉塞する際に用いるシーリング剤であって、ラテックス、凍結防止剤、そして熱膨張が可能な樹脂による連続相と独立気泡とからなる中空粒子を含有することを特徴とするパンクタイヤ修理用シーリング剤。

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