JP4553530B2 - セラミックヒータの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックヒータの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンの予熱に使用されるグロープラグには、耐熱性の高いセラミックヒータが広く使用されている。該セラミックヒータは、絶縁性のセラミック基体中に導電性セラミックあるいは高融点金属からなる抵抗発熱体と、これに通電するための金属あるいは導電性セラミックからなる1対の導通経路部とが埋設された構造を有する。そして、セラミック基体の表面には導通経路部の末端が露出して、露出端子部が形成され、ここにろう付けされた電極端子部材に、リード線等が接続されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年、ディーゼルエンジンの多バルブ化及び部品の軽量化を図るために、グロープラグ用のセラミックヒータに関しても小型化あるいは細径化の要請が高まりつつある。したがって、セラミック基体の表面積ひいては電極端子部材の接合スペースも縮小を余儀なくされている。これに対応するため、電極端子部材の寸法も小型化せざるを得ないが、該小型化に伴い接合工程における電極端子部材のハンドリングが困難となり、製造能率の低下を招く問題がある。また、対をなす電極端子部材間の距離も小さくならざるを得ないから、接合時の電極端子部材のわずかな位置決めミスが部材の短絡につながり、不良発生を招きやすい。
【0004】
本発明の課題は、小型化したセラミックヒータにおいて、電極端子部材の接合工程におけるハンドリングを容易に行なうことができ、不良発生も起こしにくいセラミックヒータの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記の課題を解決するために本発明のセラミックヒータの製造方法は、絶縁性セラミックからなるセラミック基体中に抵抗発熱体が埋設されるととともに、該抵抗発熱体に通電するための1対の露出端子部がセラミック基体の表面に形成されたヒータ本体に対し、露出端子部に互いに絶縁形態にて1対の電極取出部材を接合したセラミックヒータの製造方法であって、各々前記電極取出部材となるべき電極予定部位を、連結部により電気的に短絡させる形で、通電のためのリード部が予め曲げ返されて一体化した単一の板状部材として構成される一体電極体を用意し、該一体電極体の各電極予定部位を、1対の前記露出端子部のそれぞれに導通する形にて前記ヒータ本体に接合する接合工程と、その接合工程の終了後に、前記一体電極体を前記連結部において分断することにより、前記電極予定部位を、前記電極取出部材となす分断工程と、を含むことを特徴とするセラミックヒータの製造方法。
【0006】
上記本発明のセラミックヒータの製造方法によると、ヒータ本体に接合すべき1対の電極取出部材を、各々電極予定部位とする形でこれを連結部より導通形態にて一体化した一体電極体として作製し、その一体電極体の状態でヒータ本体に接合してから、連結部において分断することにより各電極予定部位を電極取出部材となす。これにより、セラミックヒータが小型化して電極取出部材の寸法が縮小した場合でも、2つの電極取出部材を一体化することにより全体としての部品寸法はそれ程小さくならない。また、2つの電極予定部位が一体化されることで両部位間の相対的な位置ずれが生じない。その結果、接合工程における電極取出部材(正確には一体電極体)のハンドリングが極めて容易となり、製造能率の大幅な向上に寄与する。また、電極予定部位は、当初導通した形でヒータ本体に接合され、接合後の分断により絶縁を確保するようにしたから、従来の製法の欠点である、接合時の位置決めミスに原因した電極取出部材の短絡に関しても心配する必要がなくなる。また、ヒータ本体の面積的に限られたその後端面に露出端子部が形成されているから、電極取出部材の寸法が極めて小さく、通常の方法ではその接合は容易ではない。しかしながら、本発明では、上記の一体電極体を用いることにより、小面積の後端面への接合も簡単に行なうことができる。また、一体の板状部材としているため、一体電極体を板金素材からの打抜加工等により簡単に製造できる利点がある。
【0007】
なお、本明細書の特許請求の範囲において各要件に付与した符号は、添付の図面の対応部分に付された符号を援用して用いたものであるが、あくまで発明の理解を容易にするために付与したものであり、特許請求の範囲における各構成要件の概念を何ら限定するものではない。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の適用対象となるセラミックヒータを使用したグロープラグの一例を、その内部構造とともに示すものである。該グロープラグ50はセラミックヒータ1を有する。具体的には、筒状の主体金具4と、主体金具4の軸線O方向における先端部内側に、自身の先端部を突出させる形で配置された棒状のヒータ本体2と、該ヒータ本体2に通電するために、主体金具4の後端部内側に軸線O方向に挿入された金属軸6とを備えている。また、金属軸6の先端部と、ヒータ本体2の後端部に形成された露出端子部12a(図3参照)とを接続するリード部17が設けられている。本実施形態では、ヒータ本体2の先端部が突出するようにその外周面を覆う金属外筒3が設けられ、主体金具4は、その金属外筒3を外側から覆うものとされている。
【0009】
主体金具4の外周面には、図示しないエンジンブロックにグロープラグ50を固定するための、取付部としてのねじ部5が形成されている。なお、主体金具4は金属外筒3に対し、例えば両者の内外周面の隙間を充填する形でろう付けするか、あるいは主体金具4の先端側開口内縁と金属外筒3の外周面とを全周レーザー溶接する形で固定される。
【0010】
図2に示すように、ヒータ本体2は、絶縁性セラミックからなるセラミック基体13中に抵抗発熱体11が埋設された棒状のセラミックヒータ素子として構成されている。抵抗発熱体11はヒータ本体2に対し、軸線O方向において先端部に埋設される。また、通電経路部12,12は、抵抗発熱体11に先端が導通し、後端が該ヒータ本体2の後端面2rに露出する形で軸線O方向に埋設される。
そして、金属製の電極取出部材26,27が、通電経路部12,12の露出領域を包含する形でヒータ本体2の後端面2rの一部を覆い、かつヒータ本体2の周側面部2sは覆わない形で、該後端面2rにおいて通電経路部12,12に対し面接触形態により導通接合されてなる。
【0011】
抵抗発熱体11は通電経路部12,12が対をなす形で設けられ、それら通電経路部12,12の各後端が該ヒータ本体2の後端面2rに露出してなり、電極取出部材26,27は、該通電経路部12,12のそれぞれに対応するものが、互いに絶縁された状態にて後端面2rに接合されてなる。このうち一方のものに電極取出部材27が接合され、リード部17を介して金属軸6に電気的に接続されている。また、他方のものには電極取出部材26が接合され、リード部16を介して金属外筒3に電気的に接合されている。
【0012】
電極取出部材26,27はいずれも板状に構成されてなる。本実施形態では、いずれも通電のためのリード部17,16が一体化された単一の板状部材として構成され、部品点数の削減が図られている。図2に示す実施形態では、電極取出部材26,27はいずれも半月状に形成され、その外形線の一部をなす直線状の弦部26y,27y間に一定の間隔を形成した状態にて対向配置されてなる。そして、電極取出部材27は、その円弧状の外縁部に長い板状のリード部17の先端部が一体化され、電極取出部材27との接続位置にて後方側に曲げ返されるとともに、軸線O方向に沿って延び、図1に示すように末端が金属軸6の前端部に抵抗溶接等により接合されている。
【0013】
他方、電極取出部材26の円弧状の外縁部からは、リード部16が半径方向外向きに延出し、金属外筒3にその末端部が抵抗溶接等により接合されている。本実施形態では金属外筒3は、内周面が後端部において拡径されることにより、ヒータ本体2の後端部外周面と金属外筒3の後端部内周面との間にはクリアランスGが形成されている。そして、リード部16はこのクリアランスGを経て側方に延び、後方側に曲げ返された末端部の外周面にて金属外筒3の内周面に固着されている。
【0014】
次に、ヒータ本体2は、絶縁性セラミックからなるセラミック基体13中に導電性セラミックからなるセラミック抵抗体ユニット10が埋設されている。セラミック抵抗体ユニット10は、第一導電性セラミックからなり、ヒータ本体2の先端部に配置される第一抵抗体部分11と、各々該第一抵抗体部分11の後方側において、ヒータ本体2の軸線O方向に延伸する形で配置され、先端部が第一抵抗体部分11の通電方向における両端部にそれぞれ接合されるとともに、第一導電性セラミックよりも抵抗率が低い第二導電性セラミックからなる1対の第二抵抗体部分12,12とを有する。そして、第一抵抗体部分11が抵抗発熱体を、第二抵抗体部分12,12が通電経路部をそれぞれ構成する。
【0015】
セラミック基体13を構成する絶縁性セラミックとして、本実施形態では窒化珪素質セラミックが採用されている。他方、セラミック抵抗体ユニット10を構成する第一抵抗体部分11及び第二抵抗体部分12,12は、前記した通り電気抵抗率の異なる導電性セラミックにて構成されている。両導電性セラミックの電気抵抗率を互いに異なるものとする方法は特に限定されず、例えば、
▲1▼同種の導電性セラミック相を用いつつ、その含有量を互いに異ならせる方法;▲2▼電気抵抗率の異なる異種の導電性セラミック相を採用する方法;
▲3▼▲1▼と▲2▼の組合せによる方法;
等、種々例示できるが、本実施形態では▲1▼の方法を採用している。導電性セラミック相としては、例えば、炭化タングステン(WC)、二珪化モリブデン(MoSi)及び二珪化タングステン(WSi)等、周知のものを採用できる。
【0016】
本実施形態においてセラミック抵抗体ユニット10は、第一抵抗体部分11がU字形状をなし、そのU字底部がヒータ本体2の先端側に位置するように配置され、第二抵抗体部分12,12は、該U字形状の第一抵抗体部分11の両端部からそれぞれ軸線O方向に沿って後方に延伸する、互いに略平行な棒状部とされている。第一抵抗体部分11は、動作時に最も高温となるべき先端部11aに対して電流を集中するために、該先端部11aを両端部11b,11bよりも細径としている。そして、第二抵抗体部分12,12との接合面15は、その先端部11aよりも径大となった両端部11b,11bに形成されている。第二抵抗体部分12,12の後端面はヒータ本体2の後端面2rに露出して、露出端子部12a,12aを形成している。
【0017】
次に、図1に示すように、主体金具4の内側において金属軸6は主体金具4と絶縁状態にて配置されている。本実施形態では、金属軸6の後端側外周面と主体金具4の内周面との間にセラミックリング31を配置し、その後方側にガラス充填層32を形成して固定する形としている。なお、セラミックリング31の外周面には、径大部の形でリング側係合部31aが形成され、主体金具4の内周面後端寄りに、周方向段部の形で形成された金具側係合部4eに係合することで、軸線方向前方側への抜け止めがなされている。また、金属軸6のガラス充填層32と接触する外周面部分には、ローレット加工等による凹凸が施されている(図では網掛けを描いた領域)。さらに、金属軸6の後端部は主体金具4の後方に延出し、その延出部に絶縁ブッシュ8を介して端子金具7がはめ込まれている。該端子金具7は、周方向の加締め部9により、金属軸6の外周面に対して導通状態で固定されている。
【0018】
電極取出部材26,27は、ヒータ本体2の後端面に対しろう材層36,37を介して接合されている。このろう付けは、金属/セラミック接合のため、これに適した活性ろう材を用いるか、あるいはその活性金属成分を蒸着等によりセラミック側に付着させてメタライズし、その後通常のろう材を用いて接合する手法を採用することが望ましい。ろう材としてはAg系あるいはCu系の公知のものが使用でき、活性金属成分としてはTi、Zr及びHfの1種又は2種以上を使用することができる。例えば、Cu系活性ろう材の組成としてCu―5質量%Si−3質量%Pb−2質量%Tiを例示できる。
【0019】
上記グロープラグ50は、ねじ部5においてディーゼルエンジンのエンジンブロックに取り付けられる。このときに、ヒータ本体2の発熱部となる先端部は、例えばエンジンの燃焼室に連通する渦流室内に位置決めされる。そして、端子金具7をバッテリーに接続することにより、金属軸6→リード部17→ヒータ本体2→リード部16→金属外筒3→主体金具4→エンジンブロック(→接地)の経路により通電され、抵抗発熱体11が赤熱して渦流室の暖機を行なう。
【0020】
以下、上記グロープラグ50におけるセラミックヒータ1の製造方法について説明する。まず、図3(a)に示すように、各々電極取出部材26,27となるべき電極予定部位26’,27’を、連結部201,201により電気的に短絡させる形で一体化した一体電極体200を用意する。本実施形態では、一体電極体200には、さらにリード部16,17となるべきリード予定部16’,17’も一体化されている。
【0021】
これを用いた電極取出部材26,27の形成工程の概略は以下の通りである。
まず、図3(b)に示すように、一体電極体200の各電極予定部位26’,27’を、1対の露出端子部12a,12aのそれぞれに導通する形にてヒータ本体2に、前記した活性ろう材を用いてろう付け接合する(接合工程)。その接合工程の終了後に、図3(c)に示すように、一体電極体200を連結部201,201において分断することにより、電極予定部位26’,27’を、互いに絶縁された電極取出部材26,27となす(分断工程)。また、リード予定部16’,17’はそれぞれリード部16,17となる。
【0022】
上記のような工程を採用することにより、2つの電極取出部材26,27は、電極予定部位26’,27’の形で一体化された状態でヒータ本体2に接合されるから、小型化した場合でもハンドリングがきわめて容易である。また、電極予定部位26’,27’が一体化されることで両部位間の相対的な位置ずれが生じず、接合時の位置決めミスに原因した電極取出部材26,27の短絡に関しても心配する必要がなくなる。特に、本実施形態では、ヒータ本体2が細長い棒状形態をなし、面積的に限られたその後端面2rに露出端子部12a,12aが形成されているから、電極取出部材26,27の寸法が極めて小さく、通常の方法ではその接合は容易ではない。しかしながら、本発明では、上記の一体電極体200を用いることにより、小面積の後端面2rへの接合も簡単に行なうことができる。
【0023】
以下、さらに詳しく説明する。図3(a)に示すように、一体電極体200は、連結部201,201と電極予定部位26’,27’(さらにはリード予定部16’、17’)とを、板面方向に結合した一体の板状部材として形成している。このようにすると、一体電極体200を板金素材からの打抜加工等により簡単に製造できる利点がある。
【0024】
一体電極体200は、電極予定部位26’,27’が隙間203を挟んで対向配置され、連結部201,201は、各電極予定部位26’,27’との結合位置に、電極予定部位26’,27’の隙間203に臨む対向縁26y’,27y’の長さよりも狭幅となる狭幅部を有している(本実施形態では、連結部201,201の全体が狭幅部となっている)。そして、図3(c)に示すように、その狭幅部を切断することにより各電極予定部位26’,27’が分離され、それぞれ電極取出部材26,27となる。連結部201,201に狭幅部を形成しておき、そこで電極予定部位26’,27’を分断するための切断を行なうようにすることで、切断距離が短くなり、分断工程の能率化を図ることができる。
【0025】
また、本実施形態の一体電極体200においては、1対の連結部201,201が、隙間203の長手方向における各端部において、電極予定部位26’,27’をそれぞれ連結する形で形成されている。このようにすると、電極予定部位26’,27が隙間両端の比較的距離の離れた2ヶ所にて連結部201,201により結合されるから、結合状態が安定でありハンドリングを一層容易に行なうことができる。また、隙間203の両側が連結部201,201によりふさがれるので、電極予定部位26’,27’の対向縁26y’,27y’の両端に鋭い角部が形成されることが防止され、ハンドリング時に引っ掛かり等の不具合が生じにくいほか、打抜加工も容易に行なうことができる。
【0026】
図3(a)に示すように、一体電極体200の電極予定部位26’,27’は電極取出部材26,27に対応してそれぞれ半月状に形成され、その弦部をなす外縁が対向縁26y’,27y’とされて両者の間に隙間203が形成される。
また、リード予定部17’及び16’は、弧部をなす外縁の各中間位置から半径方向に延出する直線状の板状部とされている。図3(b)に示すように、リード予定部17’を各々電極予定部位27’との接続位置にて略直角に曲げ返し、リード予定部16’は末端部をリード予定部17’と同方向に曲げ返す。他方、ヒータ本体2の後端面2rには、各露出端子部12a,12aを包含し、かつ互いに絶縁された形でろう材層210,210により被覆する。このろう材層210,210は、活性ろう材箔にて構成してもよいが、活性ろう材粉末を用いたペーストを用いてスクリーン印刷等により後端面2rに印刷形成するようにすれば、互いに絶縁された小面積のろう材層210,210を能率よく確実に形成することができる。
【0027】
そして、ろう材層210,210の形成されたヒータ本体2の後端面2rに、リード予定部16’及び17’に上記曲げ加工を施した一体電極体200の各電極予定部位26’,27’が、それぞれろう材層210,210に重なるように配置する。その状態でろう付け熱処理を施すことにより、ヒータ本体2への一体電極体200の接合がなされる。
【0028】
接合が終了すれば、連結部201,201を切断して除去する。この切断は、例えばカッター切断により行なってもよいが、部品寸法が小さいため、微細加工に適した加工方法、例えばレーザービームあるいはウォータージェットにより行なうことが能率的であり、周囲の部分に加工の影響が及ぶ不具合も生じにくい。
また、本実施形態においては、連結部201,201の少なくとも一部が、棒状のヒータ本体2の後端面2rに沿う向きにおいて外側に延出した形態にて配置されている。そして、分断工程においては、その延出部にて該連結部201,201の切断を行なうことにより、切断の影響が下地をなすヒータ本体2に及びにくくなる。以上の工程が終了すれば、ヒータ本体2に対し図1に示す各部分を組み付けることにより、グロープラグ50が完成する。
【0029】
以下、本発明の変形例について説明する。
まず、図4に示すように、隙間を有さない一体電極体220を使用してセラミックヒータ1を製造することも可能である。例えば、図4(a)に示すように、電極予定部位26’,27’は円板状の一体部位221として形成する。この一体部位221を、図4(b)に示すように、ヒータ本体2の後端2rに図3と同様の方法により接合する。その後、一体部位221の直径方向に除去予定部221mを設定し、該除去予定部221mを、図4(c)に示すように、レーザービームLB(あるいはウォータージェット)により除去することにより、一体部位221が分断されてそれぞれ電極取出部材26,27となる。ここで、除去予定部221mが本発明でいう連結部に相当し、該除去予定部221mの両側に隣接する部分がそれぞれ電極予定部位26’,27’に相当する。
【0030】
図1のグロープラグ50において、接地側のリード部16は、末端の曲げ部において金属外筒3の後端部内周面に接合されていたが、図6(c)に示すように、金属外筒3の後端面3rに接合することも可能である。このような態様を採用すれば、グロープラグ50の組み立て工程をより簡略化することが可能である。
以下、図5及び図6を用いて、その工程の一例を説明する。
【0031】
図5は、該工程に使用する一体電極体230を示すものである。該一体電極体230は、電極予定部位26’,27’が連結部231,16’とともに板面方向に結合された一体の板状部材である。図5(a)に示すように、電極予定部位26’,27’は1対の連結部231,16’により、隙間233の長手方向における各端部においてそれぞれ連結されている。各連結部231,16’は、電極予定部位26’,27との結合位置に、各電極予定部位26’,27’の隙間233に臨む対向縁27y’、26y’の長さよりも狭幅となる4つの狭幅部ETを有してなり、それら狭幅部ETを切断することにより電極予定部位26’,27は、電極取出部材26,27として分離される。
【0032】
なお、図3のリード部17に相当する部分は、参考例として図5(b)に示すように、リード線66に置き換えられている。該リード線66の先端部は側方に曲げ返されて接合端部66aを形成してなり、該接合端部66aにおいて電極予定部位27’の板面に抵抗溶接等により接合されている。また、連結部16は’、電極予定部位26’との接続部である狭幅部ETの位置から、隙間232を挟んで電極予定部位26’の周方向に沿って延出し、その延長部分の末端が結合部234により電極予定部位26’に結合されている。
【0033】
図6(a)に示すように、上記の一体電極体230は、図3の一体電極体200と同様にヒータ本体2の後端面に重ね合わされ、図6(b)に示すようにろう付け接合される。なお、ヒータ本体2には、金属外筒3を予め組みつけておく。
その後、連結部231及び16’を切断して電極予定部位26’,27の分離を行なう。ここで、連結部231及び16’は各狭幅部ETを含めて、いずれも棒状のヒータ本体2の後端面2rに沿う向きにおいて外側に延出した形態にて配置され、分断工程においては、各狭幅部ETにて切断を行なう。図5(c)に示すように、連結部16’,231は、その一部をなす狭幅部ETにおいて化学エッチング等により、残余の部分よりも薄肉とされている。この薄肉部(狭幅部ET)を厚さ方向に剪断することにより、連結部16’,231の切断を容易に行なうことができる。この剪断は、例えば、ヒータ本体2の後端面2rに一体電極体230を接合した状態で、図示しないパンチにより連結部16’,231を厚さ方向に押圧することにより行なうことができる。
【0034】
上記の分断工程において連結部16’は、少なくとも一部が、電極予定部位26’,27’の一方のもの(ここでは26’)に対し結合状態にて残留し、その残留部分が当該電極予定部位26’に結合されるリード部16として使用される。具体的には、図6(c)に示すように、連結部16’の2つの狭幅部ETを剪断し、結合部234を支点として連結部16’の先端側を金属外筒3の後端面3rに向けて押し付ける。その状態で、該押し付けられた先端部を抵抗溶接部WPにより後端面3rに固着する。これにより、金属外筒3は、その後端面3rにおいて、連結部16’に基づくリード部16により、電極取出部材26を介してヒータ本体2の後端面と接続された状態が得られる。
【0035】
次に、図1及び図2のグロープラグ50においては、セラミックヒータ1への通電経路が主体金具4を介してエンジンブロックに接地する形で形成されていたが、主体金具4を通電経路形成に関与させない形で設けることもできる。図7はその参考例を示すもので、主体金具4は、セラミックヒータ1を電気的に絶縁された形で保持するものとされる。図7においては、2つの通電経路部12,12に対し各々板状の電極取出部材126,126がろう材層36,36を介して接合され、互いに電気的に絶縁された2本のリード部66,66の先端がそれぞれ接続されている。これら2本のリード部66,66は、主体金具4の後端に形成された図示しない端子部につながっており、それら端子部を介してバッテリーから受電する。
【0036】
この参考例は図8(a)に示すように、各電極取出部材126,126は板状に形成され、その第一主表面においてヒータ本体2の後端面2rに接合される。リード線66,66は先端部が側方に曲げ返されて接合端部66a,66aとされ、該接合端部66a,66aの側面において電極取出部材126,126の第二主表面に抵抗溶接等により接合されるとともに、リード線66,66の残余の本体部分が後方に延出する形で配置されてなる。
【0037】
なお、電極取出部材126,126は、いずれも金属/セラミック接合形態によりヒータ本体2にろう付け接合されてなり、活性ろう材を用いているとはいえ、あまり大きな接合強度は期待できない。この場合、接合端部66a,66aの一部が電極取出部材126,126の外縁からはみ出していると、リード線66,66に引張力が作用したとき、接合端部66a,66aは、電極取出部材126,126に対し片側の縁から順次めくり上げるような剥がし力を作用させることになる(以下、これを順次剥離モードという)。その結果、電極取出部材126,126のヒータ本体2からの剥がれ落ちが生じやすくなる。
【0038】
そこで、図8(b)に示すように、リード線66,66の接合端部66a,66aを、電極取出部材126,126の第二主表面内に収まる形(つまり、接合端部66a,66aが電極取出部材126,126の外縁からはみ出さない形)で溶接接合しておくと、上記のような順次剥離モードが生じにくくなり、電極取出部材126,126の剥がれ落ちを効果的に抑制することができる。この場合、図6(b)に示すように、接合端部66a,66aの長手方向において、該接合端部66aと電極取り出し部材126との溶接部Wは、リード線66の本体部分が曲げ起こされている側の端縁が、第二主表面の外縁からの最短距離が0.3mm以上確保されるように位置調整しておくことが、上記順次剥離モードの発生抑制を図る上でより有効である。
【0039】
なお、図8においても、電極取出部材126,126が図2と同様の半月型に形成され、接合端部66a,66aは、対向する弦部126y,126yと略直交する向きに配置されている。他方、図11に示すように、接合端部66a,66aを弦部126y,126yと略平行な向きに配置すれば、各接合端部66a,66aの長さ、ひいては溶接部の長さをより長くでき、リード線66,66と電極取出部材126,126との接合強度をより高めることができる。ここでも、その製造に際しては、電極取出部材126,126を連結部251,251で接続した一体電極体250を使用することができる。
【0040】
上記グロープラグも、基本的には図3を用いて説明したものと類似の方法により製造することができる。すなわち、図9に示すように、電極予定部位126’,126’が1対の連結部242,242により、隙間241の長手方向における各端部においてそれぞれ連結された一体電極体240を用いる。これをヒータ本体2の後端面2rにろう付け接合した後、連結部242,242を切断して、電極予定部位126’,126’を電極取出部材126,126となす。
【0041】
なお、一体電極体としては、図10に示す参考例の一体電極体245のように、電極予定部位126’,126’のそれぞれにまたがるリード部166,166が結合されることにより、連結部166aがリード部166,166によって形成されたものを使用することもできる。図10(a)においては、細長い金属板を長手方向においてコの字状に曲げ加工し、曲げ起こされた両端部分がリード部166,166とされ、中央部分が連結部166aとされている。この連結部166aを抵抗溶接等により、隙間246を空けて対向配置した電極予定部位126’,126’にまず接合し、一体電極体245を作る。次いで、その電極予定部位126’,126’をヒータ本体2の後端面2rにろう付け接合する。そして、図10(b)に示すように、連結部166aを隙間246に沿って切断することにより、電極予定部位126’,126’は互いに絶縁された電極取出部材126,126となる。
【0042】
次に、図12に示す参考例では、ヒータ本体2は、抵抗発熱体11への通電高融点金属線材からなる埋設リード線51,51を介して行なわれるようになっており、該埋設リード線51,51の各後端部がヒータ本体2の後端部側面に露出して露出端子部51a,51aを形成している。また、一体電極体260として、細長い金属板を長手方向においてコの字状に曲げ加工した、図10と同様の形態のものが使用されるが、ここでは、リード部166,166の先端部がそれぞれ電極予定部位166c,166cとして使用される。そして、図12(b)に示すように、これら電極予定部位166c,166cを露出端子部51a,51aに対応する位置にてヒータ本体2の側面にろう付けした後、一体電極体260の中央部分をなす連結部166bを切断により除去することにより、電極予定部位166c,166cはそれぞれ電極取出部として絶縁分離される。なお、ヒータ本体2の側面は、電極予定部位166c,166cの接合領域2pを平面状に形成しておくと、平板状に形成された電極予定部位166c,166cの接合を容易に行なうことができる。
【0043】
図13に示す参考例では、ヒータ本体2として、図12と略同様に構成されたものを使用しており、金属外筒3が予め組み付けられている。また、ヒータ本体2の後端部は金属外筒3の後端面3rから突出した状態とする。そして、図13(a)に示すように、一体電極体270として、金属線材をコイル状に巻きまわしたものを使用する。ヒータ本体2の後端部には活性ろう材を用いてメタライズ処理を施しておき、図13(b)に示すように、上記コイル状の一体電極体270を、その外周面を覆うように嵌め入れる。その状態で、ろう付け熱処理して一体電極体270をヒータ本体2の後端部にろう付けする。そして、図13(c)に示すように、露出端子部51a,51aが互いに絶縁されるように、一体電極体270の周方向の2箇所(270m)を、レーザービーム等により切除し、軸線方向の切断部273を形成して一体電極体270を2つの電極取出部271,272に分離する。このうち一方の電極取出部271は、金属外筒3にろう付けにより接合することで、接地側の電極取出部として機能する。また、他方の電極取出部272は、ろう流れ防止剤(ストップオフ)を塗布することにより金属外筒3の後端面3rから離間することにより絶縁され、電源側のリード部17の末端が抵抗溶接等により接合される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の適用対象となるセラミックヒータを用いたグロープラグの一実施例を示す縦断面図。
【図2】 図1の要部を示す説明図。
【図3】 図2のグロープラグにて使用するセラミックヒータの製造工程説明図。
【図4】 図3の製造工程の変形態様を示す説明図。
【図5】 図3の工程に使用する一体電極体の変形例を示す説明図。
【図6】 図5の一体電極体を用いたセラミックヒータの製造工程説明図。
【図7】 セラミックヒータと主体金具とを絶縁形態にて配置したグロープラグの参考例を示す要部縦断面図。
【図8】 図7の電極取出部材とリード線との接合形態の一例を示す説明図。
【図9】 図7のグロープラグにて使用するセラミックヒータの製造工程説明図。
【図10】 図9の製造工程の参考変形態様を示す説明図。
【図11】 電極取出部材とリード線との接合形態の参考例を示す説明図。
【図12】 一体電極体の参考態様を用いたセラミックヒータの製造工程説明図。
【図13】 一体電極体の別の参考態様を用いたセラミックヒータの製造工程説明図。

Claims (6)

  1. 絶縁性セラミックからなるセラミック基体に抵抗発熱体埋設されるととともに、該抵抗発熱体通電するための1対の露出端子部前記セラミック基体表面に形成されたヒータ本体対し、前記露出端子部互いに絶縁形態にて1対の電極取出部材接合したセラミックヒータ製造方法であって、
    各々前記電極取出部材なるべき電極予定部位、連結部より電気的に短絡させる形で、通電のためのリード部(17)が予め曲げ返されて一体化した単一の板状部材として構成される一体電極体用意し、
    該一体電極体各電極予定部位、1対の前記露出端子部それぞれに導通する形にて前記ヒータ本体接合する接合工程と、
    その接合工程の終了後に、前記一体電極体前記連結部おいて分断することにより、前記電極予定部位、前記電極取出部材なす分断工程と、
    を含むことを特徴とするセラミックヒータの製造方法。
  2. 前記リード部(17)は、前記連結部と異なる位置にある請求項1記載のセラミックヒータの製造方法。
  3. ろう付けよって前記露出端子部が露出した前記ヒータ本体の後端面に対して前記電極取出部材が接合されるろう付け工程を含む請求項1又は2に記載のセラミックヒータの製造方法。
  4. 前記ろう付け工程は、前記リード部(17)の曲げ返し後、前記連結部の分断に先立って行われる請求項2又は3に記載のセラミックヒータの製造方法。
  5. 前記一体電極体として、前記電極予定部位が隙間を挟んで対向配置され、前記隙間の長手方向における各端部において、前記電極予定部位をそれぞれ連結する形で前記連結部が形成されたものである請求項1ないし4のいずれかに記載のセラミックヒータの製造方法。
  6. 前記連結部の少なくとも一部を、棒状の前記ヒータ本体の前記後端面に沿う向きにおいて外側に延出した形態にて配置し、前記分断工程において、その延出部にて該連結部の切断を行なう請求項に記載のセラミックヒータの製造方法。
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