JP4198333B2 - グロープラグ及びグロープラグの製造方法 - Google Patents

グロープラグ及びグロープラグの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジン予熱用のグロープラグに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、絶縁性のセラミック基体に導電性セラミックからなる抵抗発熱体を埋設した構造を有するセラミックヒータを用いたグロープラグが広く知られている。このようなグロープラグにおいては、抵抗発熱体を含むセラミックヒータを金属外筒を介して主体金具にて保持する方法が提供されている。例えばセラミックヒータと金属外筒をろう材により接合するとともに金属外筒と主体金具をろう付けにより接合することにより、セラミックヒータ、金属外筒及び主体金具を一体的に構成する方法等が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなセラミックヒータを用いたグロープラグにおいては、ろう材により金属外筒にセラミックヒータを接合するため、ろう材の用意、ろう付けに伴う熱処理、表面加工等を要し、構造上或いは工程上の問題から工程数の増大、製造の複雑化が避けられないものであった。また、セラミックヒータ、金属外筒及び主体金具をそれぞれろう付けによって接合する方法を用いると、それらセラミックヒータ、金属外筒、主体金具の同心性を確保することが難しいといった精度上の問題もあった。
【0004】
本発明の課題は、セラミックヒータを用いたグロープラグにおいて、セラミックヒータ、金属外筒及び主体金具等の組み付けが容易となる構成とすることにある。加えて、組付け後においては緩みのない強固な結合をなし得るグロープラグを提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記課題を解決するために、本発明は、
絶縁性セラミックからなるセラミック基体中に導電性セラミックからなるセラミック抵抗体が埋設された棒状のセラミックヒータを有するグロープラグであって、
該セラミックヒータを周方向に取り囲むとともに、軸線方向においてセラミックヒータの先端部を突出させる形にて配置される金属外筒と、
軸線方向におけるセラミックヒータの先端部側を前方側とした場合に、その金属外筒の軸線方向後端部に結合され、外周面に内燃機関への取付部が形成された主体金具と、
を備え、
金属外筒内部においてセラミックヒータがしまりばめ嵌合される一方、金属外筒内周面とセラミックヒータ外周面の各々の嵌合面により形成される隙間(嵌合部隙間)に滑材が残存し、さらに、金属外筒の前端部のほうが後端部より嵌合面間の摩擦係数が大きくなるように設定されることを特徴とするグロープラグを提供する。
【0006】
セラミックヒータと金属外筒の接合、金属外筒と主体金具の接合をそれぞれしまりばめ嵌合することにより、これら部材間のろう付けによる接合を廃することができるため、製造工程の簡素化を図ることができ、加えて、しまりばめ嵌合の際に滑材を用いることにより圧入時の荷重を低減し、組み付けの容易化を図ることができる。このように最終的に嵌合部隙間に滑材が残存するような圧入形態とすれば、これらの接合体において芯ずれ、傾き等が抑制されたものとなり、形状精度の高いものとなる。また、熱分解性の滑材を用いれば、圧入時においては挿入が行い易く、使用が進むにつれてセラミックヒータの発熱により滑材が分解されて緊束力が高まる構成となる。特に、圧入対象物の一方がこのような発熱体の場合において熱分解性の滑材を用いると極めて有効である。
【0007】
また、セラミックヒータは先端側が高温となるため、その高温部に近い金属外筒の前端部はその熱に起因して径方向に膨張、収縮が起こりやすく、その結果、変形等が生じて前端部が緩みやすくなる可能性がある。従って、それを補うために前端部の摩擦係数が後端部より大きくなるように設定すれば、このような局所的な緩みを抑制でき、より強固な嵌合を実現できる。さらには、上記のように熱分解性の滑材を残存させるようにすれば、セラミックヒータの発熱に起因して前端部のほうが滑材が分解されやすくなるから、使用が進むにつれて前端部の滑材がより分解されることとなる。通常であると使用の進行に伴って、熱に起因する前端部嵌合面間の緩みが徐々に顕著となる可能性があるが、一方では滑材が徐々に分解されて摩擦係数が増大してゆくため、前端部の緊束力が効果的に補われることとなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明のセラミックヒータを使用したグロープラグを、その内部構造とともに示すものである。該グロープラグ50はセラミックヒータ1を有し、そのセラミックヒータ1の先端部が突出するようにその外周面を覆う金属外筒3、さらにその金属外筒3を外側から覆う筒状の主体金具4等を備えている。主体金具4の外周面には、図示しないエンジンブロックにグロープラグ50を固定するための、取付部としてのねじ部5が形成されている。なお、主体金具4は金属外筒3に対し、例えば両者の内外周面の隙間を充填する形でろう付けするか、あるいは主体金具4の先端側開口内縁と、金属外筒3の外周面とを全周レーザー溶接する形で固定される。また、主体金具4と金属外筒3をしまりばめ嵌合するようにしてもよい。
【0009】
図2はセラミックヒータ1を拡大して示す断面図である。セラミックヒータ1は、絶縁性セラミックからなるセラミック基体13中に導電性セラミックからなるセラミック抵抗体10が埋設された棒状の形態を有する。そして、セラミック抵抗体10は、セラミックヒータ1の先端部に配置される第一導電性セラミックからなる第一抵抗体部分11と、各々該第一抵抗体部分11の後方側において、セラミックヒータ1の軸線Oの方向に沿って延伸する形で配置され、先端部が第一抵抗体部分11の通電方向における両端部にそれぞれ接合されるとともに、第一導電性セラミックよりも抵抗率が低い第二導電性セラミックからなる1対の第二抵抗体部分12,12とを有する。
【0010】
セラミック基体13を構成する絶縁性セラミックとして、本実施形態では窒化珪素質セラミックが採用されている。窒化珪素質セラミックの組織は、窒化珪素(Si)を主成分とする主相粒子が、後述の焼結助剤成分等に由来した粒界相により結合された形態のものである。なお、主相は、SiあるいはNの一部が、AlあるいはOで置換されたもの、さらには、相中にLi、Ca、Mg、Y等の金属原子が固溶したものであってもよい。
【0011】
窒化珪素質セラミックには、周期律表の3A、4A、5A、3B(例えばAl)及び4B(例えばSi)の各族の元素群及びMgから選ばれる少なくとも1種を前記のカチオン元素として、焼結体全体における含有量にて、酸化物換算で1〜10質量%含有させることができる。これら成分は主に酸化物の形で添加され、焼結体中においては、主に酸化物あるいはシリケートなどの複合酸化物の形態にて含有される。焼結助剤成分が1質量%未満では緻密な焼結体が得にくくなり、10質量%を超えると強度や靭性あるいは耐熱性の不足を招く。焼結助剤成分の含有量は、望ましくは2〜8質量%とするのがよい。焼結助剤成分として希土類成分を使用する場合、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luを用いることができる。これらのうちでもTb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybは、粒界相の結晶化を促進し、高温強度を向上させる効果があるので好適に使用できる。
【0012】
次に、抵抗発熱体10を構成する第一抵抗体部分11及び第二抵抗体部分12,12は、前記した通り電気抵抗率の異なる導電性セラミックにて構成されている。両導電性セラミックの電気抵抗率を互いに異なるものとする方法は特に限定されず、例えば、
▲1▼同種の導電性セラミック相を用いつつ、その含有量を互いに異ならせる方法;
▲2▼電気抵抗率の異なる異種の導電性セラミック相を採用する方法;
▲3▼▲1▼と▲2▼の組合せによる方法;
等、種々例示できるが、本実施形態では▲1▼の方法を採用している。
【0013】
導電性セラミック相としては、例えば、炭化タングステン(WC)、二珪化モリブデン(MoSi)及び二珪化タングステン(WSi)等、周知のものを採用できる。本実施形態ではWCを採用している。なお、セラミック基体13との線膨張係数差を縮小して耐熱衝撃性を高めるために、セラミック基体13の主成分となる絶縁性セラミック相、ここでは窒化珪素質セラミック相を配合することができる。従って、絶縁性セラミック相と導電性セラミック相との含有比率を変化させることにより、抵抗体部分を構成する導電性セラミックの電気抵抗率を所望の値に調整することができる。
【0014】
具体的には、抵抗発熱部をなす第一抵抗体部分11の材質である第一導電性セラミックは、導電性セラミック相の含有率を10〜25体積%、残部を絶縁性セラミック相とするのがよい。導電性セラミック相の含有率が25体積%を超えると、導電率が高くなりすぎて十分な発熱量が期待できなくなり、10体積%未満になると逆に導電率が低くなりすぎ、同様に発熱量が十分に確保できなくなる。
【0015】
他方、第二抵抗体部分12,12は、その第一抵抗体部分11に対する導通経路となるものであり、その材質である第二導電性セラミックは導電性セラミック相の含有率を10〜30体積%、残部を絶縁性セラミック相とするのがよい。導電性セラミック相の含有率が30体積%を超えると焼成による緻密化が困難となり、強度不足を招きやすくなるほか、エンジン予熱のために通常使用される温度域に到達しても電気抵抗率の上昇が不十分となり、電流密度を安定化させるための自己飽和機能が実現できなくなる場合がある。他方、15体積%未満では第二抵抗体部分12,12での発熱が大きくなりすぎて、第一抵抗体部分11の発熱効率が悪化することにつながる。本実施形態では、第一導電性セラミック中のWCの含有率が16体積%(55質量%)、第二導電性セラミック中のWCの含有率が20体積%(70質量%)としている(残部いずれも窒化珪素質セラミック(焼結助剤含む)。
【0016】
本実施形態においてセラミック抵抗体10は、第一抵抗体部分11がU字形状をなし、そのU字底部がセラミックヒータ1の先端側に位置するように配置され、第二抵抗体部分12,12は、該U字形状の第一抵抗体部分11の両端部からそれぞれ軸線O方向に沿って後方に延伸する、互いに略平行な棒状部とされている。
【0017】
セラミック抵抗体10において第一抵抗体部分11は、動作時に最も高温となるべき先端部11aに対して電流を集中するために、該先端部11aを両端部11b、11bよりも細径としている。そして、第二抵抗体部分12,12との接合面15は、その先端部11aよりも径大となった両端部11b、11bに形成されるとともに、第二抵抗体部分12,12の軸断面積自体が、第一抵抗体部分11の先端部11aの断面積よりも大きく設定されている。
【0018】
また、セラミック抵抗体10の1対の第二抵抗体部分12,12は、それぞれ軸線方向後端部においてセラミックヒータ1の表面に露出しており、その露出部12a,12aが該セラミック抵抗体10への通電端子部16,17の接合領域とされて電気接続部として機能している。この構造では、セラミックヒータ1に通電用のリード線が埋設する必要がなく、該セラミックヒータ1をオールセラミックにて構成できるので、製造工数の削減を図ることができる。また、金属リード線をセラミック中に埋設する構造では、高温下でヒータ駆動用の電圧を印加したときに、金属リード線を構成する金属原子が、その電界勾配による電気化学的な駆動力を受けてセラミック側に強制拡散する、いわゆるエレクトロマイグレーション効果によって消耗し、断線等を生じやすくなることがある。しかし、上記構造では通電端子部16,17が、導通路を形成する第二抵抗体部分12,12の露出部12a,12aに接合されるのみで埋設形態とならないことから、上記エレクトロマイグレーション効果の影響を本質的に受けにくい利点もある。
【0019】
本実施形態では、セラミックヒータ1の軸線O方向後端部において、セラミック基体13の一部を切り欠き形態とし、その切欠部13aに第二抵抗体部分12の後端部を露出させている。これにより、上記の露出部12a,12aを簡単に形成することができる。このような切欠部13aは、成形体の段階で形成しておいてもよいし、焼成後にグラインダ研削加工等により後形成しても、いずれでもよい。
【0020】
また、通電端子部16,17は、例えばNiあるいはNi合金等の金属製であり、第二抵抗体部分12,12に対し露出部12a,12aにおいてろう付け接合されている。このろう付けは、金属−セラミック接合のため、これに適した活性ろう材を用いるか、あるいはその活性金属成分を蒸着等によりセラミック側に付着させてメタライズし、その後通常のろう材を用いて接合する手法を採用することが望ましい。ろう材としてはAg系あるいはCu系の公知のものが使用でき、活性金属成分としてはTi、Zr及びHfの1種又は2種以上を使用することができる。
【0021】
図1に示すように、主体金具4の内側には、その軸線O方向において後端側から、セラミックヒータ1に電力を供給するための金属軸6が主体金具4と絶縁状態にて配置されている。本実施形態では、金属軸6の後端側外周面と主体金具4の内周面との間にセラミックリング31を配置し、その後方側にガラス充填層32を形成して固定する形としている。なお、セラミックリング31の外周面には、径大部の形でリング側係合部31aが形成され、主体金具4の内周面後端寄りに、周方向段部の形で形成された金具側係合部4eに係合することで、軸線方向前方側への抜け止めがなされている。また、金属軸6のガラス充填層32と接触する外周面部分には、ローレット加工等による凹凸が施されている(図では網掛けを描いた領域)。さらに、金属軸6の後端部は主体金具4の後方に延出し、その延出部に絶縁ブッシュ8を介して端子金具7がはめ込まれている。該端子金具7は、周方向の加締め部9により、金属軸6の外周面に対して導通状態で固定されている。
【0022】
また、セラミック抵抗体10の第二抵抗体部分12,12は、露出部12a,12aにおいて、その一方が接地用通電端子部16により金属外筒3を介して主体金具4に電気的に接続され、同じく他方が電源側通電端子部17により金属軸6に電気的に接続されている。本実施形態では、図2のように第二抵抗体部分12はセラミックヒータ1の外周面後端部に露出部12aを形成しており、セラミックヒータ1は、軸線O方向において、後端面2rが金属外筒3の後端面3rよりも前方側に位置している。換言すれば、セラミックヒータ1の軸線方向において、金属外筒3の後端が、セラミックヒータ1の後端より後方に突出するよう構成される。このように、金属外筒3の後端がセラミックヒータ12の後端より後方に突出するようにすると、セラミックヒータ1を金属外筒3に組付けた際に、接地用通電端子部16と金属外筒3の接合が行いやすくなる。
【0023】
金属リード線により構成される接地用通電端子部16は、セラミックヒータ1の露出部12aと金属外筒3の内周面後端部とをつなぐ形で配置され、さらに金属外筒3の拡径部59(図3:後述)の内側が(具体的には、切欠部13aから後方に位置する部分の内側が)ガラス30にて充填され、ガラス充填層が形成されている。これにより、接地用通電端子部16は略全体がガラス30内に埋没するので、振動等が加わっても断線や接触不良等を生じにくい。本実施形態では、接地用通電端子部16は帯状の金属部材とされ、その一方の板面16aの前端部が、対応する第二抵抗体部分12にろう付けにより接合される一方、他方の板面16bの後端部が金属外筒3の内周面後端部に、例えばろう付けやスポット溶接等の抵抗溶接により接合されている。これにより、接地用通電端子部16の接合をより簡便に行なうことができる。なお、スポット溶接を用いることにより、ろう付けのような熱処理を不要として加工を容易化し、かつ接合強度を高めることができる。
【0024】
また、セラミックヒータ1は、金属外筒3内部においてしまりばめ嵌合される一方、その金属外筒3の後端部において、金属外筒3の内周面3aとセラミックヒータ1の外周面との間に一定量の隙間を形成する拡径部59が設けられ、その隙間を主体金具4が軸線に関して半径方向外側を取り囲むように、それら金属外筒3と主体金具4が接合される。拡径部59は、金属外筒3におけるセラミックヒータ1との嵌合部における嵌合部内周面3bに続く形で設けられる。
【0025】
また、図3のように、金属外筒内周面3aとセラミックヒータ外周面2aとの隙間60(以下、拡径部隙間60ともいう)内において、金属外筒3に一端が接合される接地用通電端子部16(金属リード線)の他端がセラミックヒータ1(具体的には第二抵抗体部分12における露出部12a)と、上記のごとくろう付けにより接合される。また、その拡径部隙間60と、その拡径部隙間60に続く隙間であって、金属外筒内周面3aとセラミックヒータ外周面2aの各々の嵌合面(具体的には金属外筒側嵌合部内周面3b(単に、嵌合部内周面3bともいう)、及びセラミックヒータ嵌合部外周面2b(単に嵌合部外周面2bともいう))により形成される隙間62(以下、「嵌合部隙間62」ともいう)においてそれぞれ滑材70が備えられる。なお、図3においては、滑材を概念的に太線にて示している。また、上記したようにセラミック基体13の一部を切り欠き形態とすることにより後端側において縮径部が形成される一方、金属外筒3の後端部においては、軸線方向におけるその縮径部の位置に対応して拡径部が位置するようになっており、これら縮径部と拡径部59が拡径部隙間60を構成するようになっている。
【0026】
また、ここでいう滑材とは、金属部材の滑性を向上させる(即ち摩擦係数を低下する)機能を有するものが使用されるが、そのような滑性を向上させる材質であって、所定条件下(例えば、所定温度条件の熱処理が行われた場合)において滑性を消失するものをも含み、さらにはその滑性を消失した状態のものも(即ち、熱処理による分解後の生成物についても)広義に滑材と称する。
【0027】
また、接合後において、滑材としてC−O結合,C−C結合及びC=O結合のうち少なくとも一つを含む物質が残存するような構成とすることができる。この滑材については、例えば、ステアリン酸、カルボン酸、カルボン酸塩を含む物質である脂肪酸ナトリウム、酸化マイクロワックス等の、熱処理によって分解、揮発又は低滑性物質に変化して摩擦係数の増大作用を生じさせる物質が望ましい。このような熱分解性の物質を用いることにより、図3のような組立て後において滑材70をセラミックヒータ1の発熱により低滑性に変化、又は消失させることができ、嵌合面間の摩擦係数を極めて高くすることができる。
【0028】
また、図2のように、金属外筒3において、軸線方向前端側に位置する前端部101の方が後端側に位置する後端部103より摩擦係数が大きくなるように設定される。本発明においては、嵌合部の軸線方向全長をLとした場合、その軸線方向において前端から距離Lまでの部分を前端部101、同じく後端から距離Lまでの部分を後端部103として規定する。距離L及びLは等しいものとし、距離L及びLはともに全長Lの10%の長さとする(即ち、0.1×L=L=Lとする)。このように規定された、前端部101及び後端部103において前端部101のほうが摩擦係数が高くなるように設定される。また、前端部101における摩擦係数は0.1〜0.5の範囲に、後端部103における摩擦係数は0.01〜0.2の範囲に設定されることとなる。前端部101の摩擦係数は後端部103の摩擦係数の2〜10倍に設定するとよい。また、嵌合部全体の摩擦係数は0.01〜0.5の範囲に設定される。
【0029】
また、上記のごとく前端部101の摩擦係数を大きく設定するためには、嵌合部隙間62に残存する滑材の残存量を、前端部101のほうが後端部103より少なくなるように設定することが効果的である。例えば、グロープラグの完成品において、軸線方向において前端部101に対応する区間の嵌合部隙間62に存在する滑材の量より、後端部103に対応する区間の嵌合部隙間62に存在する滑材の量のほうが大きくなるようにすることが望ましい。
【0030】
また、セラミックヒータ1と金属外筒3の嵌合部と、金属外筒3と主体金具4の嵌合部とが、軸線方向における所定区間において重なるように構成される。具体的には、セラミックヒータ1と金属外筒3の嵌合面(セラミックヒータ嵌合部外周面2b及び金属外筒嵌合部内周面3b)と、金属外筒3と主体金具4の嵌合面(金属外筒嵌合部外周面3c及び主体金具嵌合部内周面4c)とが、軸線方向における所定区間において重なるように構成される。このように重なりをもって構成することにより、金属外筒3におけるセラミックヒータ1との嵌合部に対応した位置(具体的には嵌合面の裏側)に、主体金具4との嵌合部が設けられることとなるため、熱引きの良好な構成となり、セラミックヒータ1からの発熱に起因する金属外筒3の温度上昇を極めて効果的に抑制できる。従って、金属外筒の熱膨張等を抑えることができ、セラミックヒータ1と金属外筒3との嵌合状態、及び金属外筒3と主体金具4との嵌合状態が良好に維持され、緩みにくい構成となる。また、セラミックヒータ1と金属外筒3のしまりばめ嵌合に加え、さらに金属外筒3の外部より主体金具4による緊束力が加わるため、セラミックヒータ1、金属外筒3、及び主体金具4の接合がより強固なものとなり、熱衝撃、振動等の外的負荷に極めて強い構成となる。なお、本実施例のごとく、嵌合部隙間60を設けた場合に、嵌合面が重なりをもつ構成を採用すれば、嵌合面積(軸線方向における圧入長さ)を小さくしつつも十分な接合強度を発揮することが可能であるため、一層効果的である。また、このように後端部において重なりをもたせ、緊束力を向上するようにすれば、前端部及び後端部において共に緊束力向上効果が得られるため、極めて強力なしまりばめ嵌合が実現する。
【0031】
次に、グロープラグの製造方法について説明する。
図4のように、絶縁性セラミックからなるセラミック基体13中に導電性セラミックからなるセラミック抵抗体10が埋設された棒状のセラミックヒータ1を形成した後に、その形成されたセラミックヒータ1及び金属外筒3の少なくともいずれかに対し、セラミックヒータ1の外周面及び金属外筒3の内周面の少なくともいずれかの面に熱分解性の滑材を塗布する塗布工程を行う。なお、本実施例においては、セラミックヒータ1の外周面に上述した物質からなる滑材70が塗布される。
【0032】
その塗布工程後に、金属外筒3の内部にセラミックヒータ1を圧入させて接合体100(図5参照)を形成する圧入工程をおこなう。図4のごとく、拡径部隙間60はこの圧入工程においてセラミックヒータ1を金属外筒3にしまりばめ嵌合する際の滑材収容部としての機能を果たすこととなる。即ち、セラミックヒータ1の嵌合部外周面2bに滑材70が塗布された状態において、拡径部の前端面3hにおいて滑材が堆積しやすくなり、嵌合面間に効果的に滑材を流入させることができる。特に、破線部のような挿入状態においては、拡径部隙間60内部に滑材が一層溜まった状態となり、圧入時におけるセラミックヒータ外周面2aの塗布状態が極めて良好となる。このように、拡径部隙間60において滑材を収容しつつしまりばめ嵌合を行うことにより、荷重を抑えつつ嵌合させることができ、かつ組立て後においては接地用通電端子部16の一部を収容する収容部とすることができるため、極めて効果的な構成となる。
【0033】
そして、圧入工程後において得られた接合体100に対して熱処理を行うことにより滑材の滑性を低下させる熱処理工程を行う。熱処理工程としては、図5(a)のように接合された接合体100においてセラミックヒータ1を通電手段201(電圧印加装置等)により通電発熱させる通電発熱工程を行うことができる。この熱処理工程においては、セラミックヒータ1の先端部を特に高温とすることにより、前端部101(図2)の滑材を局所的に分解、揮発、又は低滑性物質に変化させて処理後の摩擦係数が上記範囲となるようにする。また、後端部の滑材にも影響が及ぶように、セラミックヒータの温度又は通電時間を調節しても良いが、前端部101と後端部103の滑性に差がでる程度に(即ち、前端部101と後端部103の摩擦係数の差がでる程度に)通電時間を調節すれば、前端部101の嵌合力向上という目的を達しつつも、通電時間を短時間とすることができる。なお、このように差をもたせず、滑材を全て分解、揮発等により除去するようにしてもよい。
【0034】
また、図5(b)のように、参考例としての熱処理工程として接合体100全体に対して外部熱源202を用いて外部より加熱する加熱工程を行ってもよい。即ち、接合体100全体を外部熱源202により加熱し、嵌合部隙間62に残存する滑材を分解、揮発、又は低滑性物質に変化させる。加熱については、一部が残存する程度に温度、時間等を調節してもよく、全ての滑材を分解又は揮発させてもよい。なお、これら熱処理工程(通電発熱工程、参考例としての加熱工程)は、図5のようにセラミックヒータ1及び金属外筒3が接合された時点で行ってもよく、図1のように、これらセラミックヒータ1及び金属外筒3からなる接合体100に加え、さらに主体金具4が接合された後に行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のグロープラグの一実施例を示す縦断面図。
【図2】そのセラミックヒータを拡大して示す縦断面図。
【図3】図1の要部を拡大して示す要部拡大図。
【図4】グロープラグの製造方法における一部工程について説明する説明図。
【図5】熱処理工程について説明する説明図。
【符号の説明】
1 セラミックヒータ
2a セラミックヒータ外周面
3 金属外筒
3a 金属外筒内周面
4 主体金具
10 セラミック抵抗体
13 セラミック基体
50 グロープラグ
62 嵌合部隙間
70 滑材
100 接合体

Claims (4)

  1. 絶縁性セラミックからなるセラミック基体中に導電性セラミックからなるセラミック抵抗体が埋設された棒状のセラミックヒータを有するグロープラグであって、
    該セラミックヒータを周方向に取り囲むとともに、軸線方向において前記セラミックヒータの先端部を突出させる形にて配置される金属外筒と、
    前記軸線方向における前記セラミックヒータの先端部側を前方側とした場合に、その金属外筒の軸線方向後端部に結合され、外周面に内燃機関への取付部が形成された主体金具と、
    を備え、
    前記金属外筒内部において前記セラミックヒータがしまりばめ嵌合される一方、前記金属外筒内周面と前記セラミックヒータ外周面の各々の嵌合面により形成される隙間(以下、「嵌合部隙間」ともいう)に滑材が残存し、さらに、前記金属外筒の前端部のほうが後端部より嵌合面間の摩擦係数が大きくなるように設定されることを特徴とするグロープラグ。
  2. 前記嵌合部隙間に残存する滑材は、前記金属外筒の前記後端部に対応する軸線方向区間より、前記前端部に対応する軸線方向区間のほうが残存量が少なくなっている請求項1に記載のグロープラグ。
  3. 前記軸線方向における所定区間において、前記セラミックヒータと前記金属外筒との嵌合部が、前記金属外筒と前記主体金具との嵌合部に重なるように構成される請求項1又は2に記載のグロープラグ。
  4. 絶縁性セラミックからなるセラミック基体中に導電性セラミックからなるセラミック抵抗体が埋設されたセラミックヒータと、該セラミックヒータを周方向に取り囲むとともに、軸線方向において前記セラミックヒータの先端部を突出させる形にて配置される金属外筒と、その金属外筒の軸線方向後端部に結合され、外周面に内燃機関への取付部が形成された主体金具を備えたグロープラグを製造する製造方法であって、
    前記セラミックヒータの外周面及び/又は前記金属外筒の内周面に熱分解性の滑材を塗布する塗布工程と、
    その塗布された状態にて、前記金属外筒内部に前記セラミックヒータを圧入させて接合体を形成する圧入工程と、
    その接合体に対して熱処理を行うことにより、前記滑材の滑性を低下させる熱処理工程とを含み、前記熱処理工程は、前記セラミックヒータを通電発熱させる通電発熱工程によることを特徴とするグロープラグの製造方法。
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