JP4553403B2 - 膜電極複合体 - Google Patents
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Description
本発明は、外部への燃料漏洩を効果的に抑制可能な膜電極複合体に関する。
燃料電池は、ユーザが1回燃料補充することで電子機器を従来よりも長く利用できる長時間駆動の点や、ユーザが外出先で電池を使い切ってしまっても、電池の充電を待たずに燃料を購入し補充することで直ぐに電子機器が利用できる利便性の点から、情報化社会を支える携帯用電子機器の新規電源として実用化の期待が高まっている。
燃料電池は一般的に、燃料極で炭化水素系ガスや水素ガス、アルコール水溶液等の燃料を酸化し、空気極で空気中の酸素を還元する酸化還元反応を利用することで電子機器に電力を供給する。
燃料電池は、使用する電解質材料や燃料の分類から、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体電解質型、固体高分子型、ダイレクトアルコール型等に分類される。特に、電解質材料に固体高分子であるイオン交換膜を用いる固体高分子型燃料電池やダイレクトアルコール型燃料電池は、電解質膜がサブミリ以下の薄膜であり、常温で高い発電効率が得られることから、携帯電子機器への応用を目的とした小型燃料電池としての実用化が検討されている。
特に、電解質膜としてカチオン交換膜を使用するダイレクトアルコール型燃料電池は、燃料極にアルコール水溶液を供給すると、燃料極に接触したアルコール水溶液が酸化されて、二酸化炭素等のガスおよびプロトンに分離される。
たとえば、アルコールとしてメタノールを用いた場合では、
CH3OH+H2O → CO2↑+6H++6e-
の酸化反応により、二酸化炭素が燃料極側で発生する。
CH3OH+H2O → CO2↑+6H++6e-
の酸化反応により、二酸化炭素が燃料極側で発生する。
燃料極側で発生したプロトンは、電解質膜を介して空気極側に伝達される。空気極に該プロトンと空気中の酸素が供給され、
3/2O2+6H++6e- → 3H2O
の還元反応により水が生成する。このときに電子が外部の電子機器(負荷)を通過して燃料極から空気極に移動し、電力が取り出される。
3/2O2+6H++6e- → 3H2O
の還元反応により水が生成する。このときに電子が外部の電子機器(負荷)を通過して燃料極から空気極に移動し、電力が取り出される。
このような電力を取り出すための中心部材となる、燃料極と電解質膜と空気極とを接合した複合体を膜電極複合体と呼んでいる。
ここで、ダイレクトアルコール型燃料電池などに用いられる膜電極複合体においては、膜電極複合体に供給された燃料が該複合体外部へ漏洩することを抑制、防止するための適切な手段が施されている必要がある。たとえば、特許文献1には、電解質膜の両側に一対の電極を配置した接合体(膜電極複合体)を、燃料ガスおよび酸化性ガスがそれぞれ供給されるガス流路を備えた一対のセパレータで挟持固定するとともに、この一対のセパレータの外周縁部相互間にシール材を配置し、シール材とセパレータとの間に、水分を吸収して膨潤する膨潤部材と、この膨潤部材の膨潤によってシール材を押圧する面圧伝達部材とを設けてなる燃料電池が開示されている。
しかし、上記燃料電池においては、電解質膜とセパレータとの間にシール材を設けるために、電解質膜を、その両側に配置される電極よりも大きく構成する、すなわち、電解質膜外周部に、電極が形成されない領域を設ける必要がある(特許文献1の図1等参照)。このような電解質膜の外周部分、すなわち電極(燃料極および空気極)が形成されていない電解質膜部分は、燃料および酸化性ガスが供給されても酸化還元反応に寄与できないため、数ワットクラスの消費電力である携帯電子機器、特に、携帯電子機器への搭載用途の燃料電池においては、膜電極複合体の総面積に対する電解質膜の外周部分の面積が相対的に大きくなり、燃料電池の設置面積に対して電極の面積を大きく設定することができず、必要な電力を供給することができない等の問題が顕著となる。
また、特許文献2には、燃料等の漏洩を防止するための手段として、電極構成部材にポリイソブチレン系樹脂などからなるシール剤を格子状に塗布、浸透させることによりシール部を形成した後、該シール部の上から電極構成部材を裁断して電極を得ること、および、膜電極複合体の側面全体にポリイソブチレン系樹脂などからなるシール部を形成することが記載されている(特許文献2の図3参照)。
特開2002−151109号公報
特開2001−93548号公報
従来のように、単に膜電極複合体の側面に、封止層(シール部)を形成するだけでは、製造直後や発電直後には燃料漏洩が起こらない場合であっても、長期的に発電を続けることにより、封止層表面は温度や湿度等の外部環境変化に曝されるため、各部材界面における局所的な剥離や、部分的に封止層に漏洩孔(ピンホール)が形成され、徐々に燃料漏洩が増加する場合があった。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、数ワットクラスの消費電力である携帯電子機器への応用、特に、携帯電子機器搭載型の燃料電池への応用を目的とした膜電極複合体において、長期的に発電を続けた場合であっても、外部への燃料漏洩を効果的に抑制することができる膜電極複合体を提供することである。
また、本発明の他の目的は、数ワットクラスの消費電力である携帯電子機器への応用、特に、携帯電子機器搭載型の燃料電池への応用を目的とした膜電極複合体において、長期的に発電を続けた場合であっても、外部への燃料漏洩を効果的に抑制することができるとともに、制限された燃料電池の設置面積に対して電極(燃料極および空気極)の面積を大きく設計することができ、所望される電力を十分に供給することができる膜電極複合体を提供することである。
本発明は、電解質膜と、電解質膜の一方の表面に積層された燃料極と、電解質膜の他方の表面に積層された空気極と、燃料極における電解質膜側とは反対側に配置された流路板とを備え、少なくとも燃料極、電解質膜および流路板の側面を被覆する、水膨潤性粒子を含有する絶縁封止層をさらに備える膜電極複合体を提供する。絶縁封止層によって被覆される側面である、上記少なくとも燃料極、電解質膜および流路板の側面は、1つの連続面を形成していることが好ましい。
本発明において、水膨潤性粒子は、吸水性高分子からなることが好ましく、水膨潤性粒子の水浸漬時の膨潤率は、150%〜400%であることが好ましい。吸収性高分子としては、ポリアクリル酸およびポリビニルアルコールを好ましく用いることができる。
また、水膨潤性粒子の平均粒子径は10〜500μmであることが好ましく、絶縁封止層の厚みは、水膨潤性粒子の平均粒子径に対して10倍以上であることが好ましい。絶縁封止層を構成する基材の水浸漬時の膨潤率は、10%以下であることが好ましい。
本発明の膜電極複合体が備える少なくとも燃料極、電解質膜および流路板の側面に設けられた絶縁封止層は、燃料漏洩箇所を自己修復する機能を有するものである。このような絶縁封止層を備える本発明の膜電極複合体によれば、長時間の発電による膜電極複合体構成部材界面における局所的な剥離や、絶縁封止層に部分的に漏洩孔(ピンホール)が発生した場合であっても、効果的に燃料漏洩を抑制することができる。
また、上記自己修復機能を有する絶縁封止層を備えることにより、電解質膜外周部に、必ずしも、電極が形成されない領域を設ける必要がないため、限られた搭載面積しか許されない携帯電子機器へ搭載する場合であっても、燃料極および空気極の面積を可能な限り大きく設計でき、消費電力に必要な数ワットクラスの電力を供給することができる。
<実施の形態1>
図1は、本発明の膜電極複合体の好ましい一例を模式的に示す断面図である。図1に示される膜電極複合体100は、電解質膜101と、電解質膜101の一方の表面に積層された燃料極102と、電解質膜101の他方の表面に積層された空気極103と、燃料極102における電解質膜101側とは反対側に積層された、燃料流路を構成する凹部(溝)106が一方の表面に形成された流路板104と、膜電極複合体100の対向する2つの側面を被覆する絶縁封止層105とを備える。より具体的には、膜電極複合体100における絶縁防止層105が形成される側面は、空気極103端面(側面)と電解質膜101端面と燃料極102端面と流路板104端面から構成される連続面からなり、該連続面からなる側面全体を被覆するように絶縁封止層105が形成されている。燃料流路は、燃料極102の流路板104側表面と、燃料極102に隣接する流路板104が備える凹部106とによって構成されている。ここで、本発明において、絶縁封止層105には、水により膨潤する水膨潤性粒子が分散されている。
図1は、本発明の膜電極複合体の好ましい一例を模式的に示す断面図である。図1に示される膜電極複合体100は、電解質膜101と、電解質膜101の一方の表面に積層された燃料極102と、電解質膜101の他方の表面に積層された空気極103と、燃料極102における電解質膜101側とは反対側に積層された、燃料流路を構成する凹部(溝)106が一方の表面に形成された流路板104と、膜電極複合体100の対向する2つの側面を被覆する絶縁封止層105とを備える。より具体的には、膜電極複合体100における絶縁防止層105が形成される側面は、空気極103端面(側面)と電解質膜101端面と燃料極102端面と流路板104端面から構成される連続面からなり、該連続面からなる側面全体を被覆するように絶縁封止層105が形成されている。燃料流路は、燃料極102の流路板104側表面と、燃料極102に隣接する流路板104が備える凹部106とによって構成されている。ここで、本発明において、絶縁封止層105には、水により膨潤する水膨潤性粒子が分散されている。
このように、少なくとも電解質膜と燃料極と流路板の側面に、水膨潤性粒子が分散された絶縁封止層を形成することにより、該絶縁封止層は燃料漏洩箇所を自己修復する機能を示すため、長時間の発電による膜電極複合体構成部材界面における局所的な剥離や、絶縁封止層に部分的に漏洩孔(ピンホール)が発生した場合であっても、効果的に燃料漏洩を抑制・防止することができ、また、膜電極複合体に供給される燃料と空気との混合を抑制・防止することができる。
図2は、図1に示される膜電極複合体100の絶縁封止層105を拡大して示す概略断面図であり、燃料漏洩を起こす前における絶縁封止層105に発生した漏洩孔201の状態を示す図である。また、図3は、図1に示される膜電極複合体100の絶縁封止層105を拡大して示す概略断面図であり、燃料漏洩を起こした結果、絶縁封止層105に発生した漏洩孔201近傍の水膨潤性粒子105aが膨潤した状態を示す図である。
上記のように、本発明の膜電極複合体における絶縁封止層105には、水により膨潤する水膨潤性粒子105aが分散されている。図2に示されるように、絶縁封止層105には、発電に伴う温度や湿度等の外部環境変化により、漏洩孔201が予測不可能で形成され得る。図2においては、燃料極102の側面を被覆する部分の絶縁封止層に漏洩孔が発生した状態を示している。絶縁封止層に漏洩孔が形成された場合、本発明の膜電極複合体においては、その漏洩孔が絶縁封止層の不特定箇所に形成されても、その漏洩孔の内壁には、絶縁封止層に分散されている水膨潤性粒子が表面に露出されることとなる(図2参照)。
図2に示される状態において、漏洩孔201に燃料(たとえば、メタノール水溶液等)が漏洩すると、水膨潤性粒子105aが、燃料に接触し吸収することで体積の膨潤が起こり、これにより、漏洩孔201が塞がれるため、あらかじめ漏洩箇所が特定できない場合においても、燃料漏洩を自己修復的に抑制することができる(図3参照)。
同様に、図4は、図1に示される膜電極複合体100の絶縁封止層105を拡大して示す概略断面図であり、燃料漏洩を起こした結果、絶縁封止層105に発生した漏洩孔401近傍の水膨潤性粒子105aが膨潤した状態を示す図である。図4においては、漏洩孔401の発生により、燃料極102および流路板104と絶縁封止層105との間に一部剥離が生じている状態を示している。このような状態においても、本発明によれば、漏洩孔401に漏洩した燃料により、水膨潤性粒子105aが膨潤し、燃料漏洩を自己修復的に抑制することができる。
なお、図2に示される状態のように、漏洩孔が形成されたものの、燃料が漏洩しない状態においては、該漏洩孔は水膨潤性粒子により閉塞していないため、燃料極で発生した二酸化炭素等の生成ガスを排出させるための排出孔として機能することができる。これにより、燃料流路の下流側で燃料体積に対する生成ガス(二酸化炭素)体積の比率が大きくなってしまうために起きる燃料不足を抑制することができ、燃料電池全体にわたって均一な発電を行なうことが可能となる。
また、少なくとも電解質膜と燃料極と流路板の側面に、水膨潤性粒子が分散された絶縁封止層を形成することにより、電解質膜の外周部分を隔膜として用いずとも(すなわち、電解質膜外周部に、燃料極および空気極が形成されない領域を設けなくとも)、安定して燃料極と空気極との間の電気的短絡を防止することができる。したがって、電解質膜外周部に、必ずしも、電極が形成されない領域を設ける必要がないため、限られた搭載面積しか許されない携帯電子機器へ搭載する場合であっても、燃料極および空気極の面積を可能な限り大きく設計でき、消費電力に必要な数ワットクラスの電力を供給することが可能となる。
ここで、本発明の膜電極複合体の側面のうち、絶縁封止層が形成される側面(少なくとも電解質膜端面と燃料極端面と流路板端面から構成される側面)は、突起部等を有しない連続面となっていることが好ましい。これにより、該側面を被覆するように配置される絶縁封止層を均一な厚みで形成できるため、外部環境の変化による絶縁封止層の膨潤や収縮による該側面における局所的な応力集中が起こりにくく、該側面に対する絶縁防止層の接着強度を向上させることができる。ただし、本発明において、絶縁封止層が形成される側面は、たとえば電解質膜外周部に、燃料極および空気極が形成されない領域を設ける場合などのように、非連続面となっていてもよい。
本発明の膜電極複合体の側面のうち、絶縁封止層が形成される側面は、少なくとも電解質膜端面と燃料極端面と流路板端面から構成される側面であればよいが、絶縁防止層の形成プロセスを簡略化し、製造コストを低減する観点からは、図1に示されるように、空気極端面をも絶縁封止層で被覆することが好ましい。すなわち、後述するように、燃料極、電解質膜および空気極の側面が1つの連続面を形成している複合体(第2複合体)は、燃料極と電解質膜と空気極との積層構造を有する第1複合体を切断することにより効率的に製造することができる。
また、鉄イオン、カルシウムイオン等のカチオンや、塩化物イオン、フッ素イオン等のアニオンが、電解質膜の表面に接触してしまうと、電解質膜に含まれるプロトン(水素イオン)やオキソニウムイオンと、イオン交換が生じ、該カチオンや該アニオンが電解質膜中に取り込まれてしまう。一般に、プロトンやオキソニウムイオンに比べ、金属イオンや塩化物イオンは移動度が低いことが知られており、不純物イオンの混入により電解質膜のプロトンを伝導する機能(プロトン伝導性)が低下するため、膜電極複合体の内部抵抗が高くなり出力が低下してしまう。本発明においては、電解質膜の外周部分(燃料極および空気極が形成されない領域)を必ずしも必要とせず、さらに絶縁封止層により電解質膜側面の露出面積が減少するため、電解質膜への不純物イオンの混入が抑制され、膜電極複合体の出力の長期信頼性を得ることができる。
以下、膜電極複合体を構成する各部材の典型的な態様について説明する。
(絶縁封止層)
本発明の膜電極複合体における絶縁封止層は、燃料と空気との混合や、燃料漏洩を抑制・防止し、燃料極と空気極との電気的絶縁性を保ち、短絡を防止する機能を有する絶縁性を備える層からなる。少なくとも電解質膜端面と燃料極端面と流路板端面とから構成される側面に、絶縁封止層を形成する方法としては、特に制限されないが、絶縁封止層の前駆体液を該側面に塗布し、必要に応じて乾燥または硬化させる方法を好ましく採用することができる。前駆体液の塗布により絶縁封止層を形成することで、絶縁封止層の膜厚をサブミリオーダで制御することができる。このため、絶縁封止層を1mm以下の膜厚で制御し、燃料の漏洩を防止しつつ、膜電極複合体の表面積をより小さくすることができる。
(絶縁封止層)
本発明の膜電極複合体における絶縁封止層は、燃料と空気との混合や、燃料漏洩を抑制・防止し、燃料極と空気極との電気的絶縁性を保ち、短絡を防止する機能を有する絶縁性を備える層からなる。少なくとも電解質膜端面と燃料極端面と流路板端面とから構成される側面に、絶縁封止層を形成する方法としては、特に制限されないが、絶縁封止層の前駆体液を該側面に塗布し、必要に応じて乾燥または硬化させる方法を好ましく採用することができる。前駆体液の塗布により絶縁封止層を形成することで、絶縁封止層の膜厚をサブミリオーダで制御することができる。このため、絶縁封止層を1mm以下の膜厚で制御し、燃料の漏洩を防止しつつ、膜電極複合体の表面積をより小さくすることができる。
絶縁封止層の前駆体液としては、たとえば、絶縁封止層を構成する基材(たとえば、各種高分子材料や、感光または重合開始剤の添加等により硬化するモノマー樹脂など)と、水膨潤性粒子とを含有する組成物(たとえば溶液)を用いることができる。
水膨潤性粒子を前駆体液中に分散させる方法は、特に制限されないが、超音波プローブによる分散が好ましい。超音波プローブを用いることにより、水膨潤性粒子は一次粒子まで十分に均一に分散させることができ、絶縁封止層に漏洩孔が発生した場合に、漏洩孔に水膨潤性粒子を十分に存在させることができる。
上記基材としては、電解質膜および流路板との接合性のよい材質であれば特に限定されず、有機高分子や無機高分子を用いることができる。有機高分子としては、たとえばエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、フッ素系樹脂等を用いることができ、無機高分子としては、シリコーン樹脂等を用いることができる。特に、水膨潤性粒子を十分に固定できる点で、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂が好ましく、水に対する膨潤率が小さいエポキシ系樹脂であることがより好ましい。
また、絶縁封止層と電解質膜および流路板との界面にかかる応力を小さくし、漏洩孔の形成を抑制するために、絶縁封止層を構成する基材の水浸漬時の膨潤率は、20%以下であることが好ましい。特に水浸漬時の膨潤率が10%以下の材質を用いることにより、漏洩孔から燃料漏洩が起こったときに、絶縁封止層はほとんど体積変化を起こさずに、水膨潤性粒子のみが体積増加を起こすため、効果的に漏洩孔を閉塞することができる。なお、本発明において、絶縁封止層を構成する基材の水浸漬時の膨潤率は、下記式(1)で表される。
基材の膨潤率=(V1−V0)/V0×100(%) (1)
ここで、V0とは、乾燥状態の基材(固体状態)の体積であり、V1とは、乾燥状態の基材を、40℃において純水に完全に浸漬させ、24時間経過した後の基材の体積である。水浸漬前後の基材の体積は、評価サンプルとして板状の基材を用い、水浸漬前後の長さ、幅、厚さから測定される。
基材の膨潤率=(V1−V0)/V0×100(%) (1)
ここで、V0とは、乾燥状態の基材(固体状態)の体積であり、V1とは、乾燥状態の基材を、40℃において純水に完全に浸漬させ、24時間経過した後の基材の体積である。水浸漬前後の基材の体積は、評価サンプルとして板状の基材を用い、水浸漬前後の長さ、幅、厚さから測定される。
上記絶縁封止層の前駆体液には、電解質膜を溶解または軟化させる有機溶媒が含まれていることが好ましい。電解質膜として、後述するパーフルオロスルホン酸系ポリマを用いる場合には、有機溶媒として、メタノールやエタノール等のアルコール溶媒を用いることにより、電解質膜を軟化させることができ、軟化した電解質膜により絶縁封止層との接合面積が増加するため、電解質膜と絶縁封止層とを強固に接着することができる。一方、電解質膜として後述する炭化水素系ポリマを用いる場合には、アルコール溶媒よりもさらに溶解性の高い、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン等の有機溶媒を用いることにより、電解質膜を一旦溶解させ、絶縁封止層の形成とともに再固化させることで、電解質膜と絶縁封止層とを強固に接着することができる。
絶縁封止層に分散される水膨潤性粒子は、上記したように、燃料(たとえば、メタノール水溶液等)中に含まれる水分などの水を吸収することにより体積が膨潤する粒子である。水膨潤性粒子を構成する材料は、水膨潤性を示す限り特に制限されるものではないが、絶縁封止層を構成する基材として上述の有機または無機高分子を用いる場合には、該基材との接合性が良好であることから、吸水性高分子を好適に用いることができる。吸水性高分子としては、たとえば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、アセチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸ビニル・アクリル酸メチル共重合体ケン化物等の親水性官能基を有する高分子などを用いることができる。
上記親水性官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等が好ましく、より好ましくは、金属塩を形成していない水酸基、カルボキシル基、アミノ基等である。吸水性高分子としては、ナトリウムイオンやカリウムイオン、カルシウムイオン等により官能基末端のプロトンが金属イオンにより交換され、金属塩を形成しているものも一般的に知られているが、本発明においては、金属イオンが漏洩した燃料を介して電解質膜中のプロトンとイオン交換することを抑制することができることから、金属を含有しない吸水性高分子を用いることがより好ましい。このような観点から、吸収性高分子としては、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール等を用いることがより好ましい。
また、水膨潤性粒子が大きく体積膨潤を起こし、漏洩孔を十分に閉塞させるために、水膨潤性粒子の水浸漬時の膨潤率は、150%以上であることが好ましく、250%以上であることがより好ましい。一方で、水膨潤性粒子の水浸漬時の膨潤率は、400%以下であることが好ましく、300%以下であることがより好ましい。水膨潤性粒子の膨潤率が400%より大きくなると、含水時の水膨潤性粒子の形状が十分に維持できなくなり、いったんは漏洩孔を閉塞したとしても、燃料極で発生する二酸化炭素による流路内の内圧上昇により、水膨潤性粒子が変形し燃料漏洩を適切に防止できなくなるおそれがある。なお、本発明において、水膨潤性粒子の水浸漬時の膨潤率は、下記式(2)で表される。
水膨潤性粒子の膨潤率=(V3−V2)/V2×100(%) (2)
ここで、V2とは、乾燥状態の水膨潤性粒子の体積であり、V3とは、乾燥状態の水膨潤性粒子を、40℃において純水に完全に浸漬させ、24時間経過した後の水膨潤性粒子の体積である。水浸漬前後の水膨潤性粒子の体積とは、下記する水膨潤性粒子の平均粒子径を粒子の「直径」とみなし、また、粒子を球形と仮定したときに算出される体積である。
水膨潤性粒子の膨潤率=(V3−V2)/V2×100(%) (2)
ここで、V2とは、乾燥状態の水膨潤性粒子の体積であり、V3とは、乾燥状態の水膨潤性粒子を、40℃において純水に完全に浸漬させ、24時間経過した後の水膨潤性粒子の体積である。水浸漬前後の水膨潤性粒子の体積とは、下記する水膨潤性粒子の平均粒子径を粒子の「直径」とみなし、また、粒子を球形と仮定したときに算出される体積である。
水膨潤性粒子を構成する材料は、水に溶解しない、または溶解しにくい材料(非水溶性材料)であることが好ましい。水溶性高分子材料を用いて水膨潤性粒子を調製する場合には、水溶性高分子の一部を架橋して分子量を増加させることにより、非水溶性とすることができる。
水膨潤性粒子の平均粒子経は、10〜500μmであることが好ましく、20〜200μmであることがより好ましい。平均粒子径が500μm以下であることにより、絶縁封止層の前駆体液中に均一に分散させることができるため、形成された絶縁封止層の内部にも水膨潤性粒子を均一に存在させることができ、絶縁封止層の不特定箇所に漏洩孔が形成しても、その漏洩孔の内壁面に必ず水膨潤性粒子が存在するようにすることができる。このため、燃料漏洩を有効に抑制することができる。また、本発明における絶縁封止層に不特定に形成される漏洩孔の直径は、通常、数μm前後であるため、平均粒子径が10μm以上の場合に、膨潤により十分に漏洩孔を閉塞することができる。なお、本発明において、水膨潤性粒子の平均粒子経は、光学または電子顕微鏡等により拡大像を得、無作為に抽出した100個の粒子の粒径を算出し、これらを平均することにより求められる。
水膨潤性粒子の平均粒子径に対して、絶縁封止層の厚みは10倍以上であることが好ましく、20倍以上であることがより好ましい。これにより、絶縁封止層の厚み方向に関して、漏洩孔に、少なくとも数個以上の水膨潤性粒子を存在させることができ、燃料漏洩を十分に抑制することが可能となる。
(電解質膜)
本発明の膜電極複合体における電解質膜は、燃料極から空気極へプロトンを伝達する機能と、燃料極と空気極との電気的絶縁性を保ち、短絡を防止する機能を有する。電解質膜の材質は、プロトン伝導性を有し、かつ電気的絶縁性を有する材質であれば特に限定されず、高分子膜、無機膜またはコンポジット膜を用いることができる。高分子膜としては、たとえば、パーフルオロスルホン酸系電解質膜である、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子社製)などが挙げられる。また、スチレン系グラフト重合体、トリフルオロスチレン誘導体共重合体、スルホン化ポリアリーレンエーテル、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリベンゾイミダゾール、ホスホン化ポリベンゾイミダゾール、スルホン化ポリフォスファゼンなどの炭化水素系電解質膜なども挙げられる。
本発明の膜電極複合体における電解質膜は、燃料極から空気極へプロトンを伝達する機能と、燃料極と空気極との電気的絶縁性を保ち、短絡を防止する機能を有する。電解質膜の材質は、プロトン伝導性を有し、かつ電気的絶縁性を有する材質であれば特に限定されず、高分子膜、無機膜またはコンポジット膜を用いることができる。高分子膜としては、たとえば、パーフルオロスルホン酸系電解質膜である、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子社製)などが挙げられる。また、スチレン系グラフト重合体、トリフルオロスチレン誘導体共重合体、スルホン化ポリアリーレンエーテル、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリベンゾイミダゾール、ホスホン化ポリベンゾイミダゾール、スルホン化ポリフォスファゼンなどの炭化水素系電解質膜なども挙げられる。
無機膜としては、たとえばリン酸ガラス、硫酸水素セシウム、ポリタングストリン酸、ポリリン酸アンモニウムなどが挙げられる。コンポジット膜としては、タングステン酸、硫酸水素セシウム、ポリタングストリン酸等の無機物とポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、パーフルオロスルホン酸等の有機物とのコンポジットなどが挙げられる。
(燃料極、空気極)
本発明の膜電極複合体における燃料極および空気極には、少なくとも触媒と電解質とを有する多孔質層からなる触媒層が設けられる。燃料極用の触媒は、メタノール水溶液、水素ガス等の燃料をプロトンと電子に分解し、電解質は、生成した該プロトンを電解質膜へ伝導する機能を有する。空気極用の触媒は、電解質を伝導してきたプロトンと空気中の酸素から水を生成する機能を有する。
本発明の膜電極複合体における燃料極および空気極には、少なくとも触媒と電解質とを有する多孔質層からなる触媒層が設けられる。燃料極用の触媒は、メタノール水溶液、水素ガス等の燃料をプロトンと電子に分解し、電解質は、生成した該プロトンを電解質膜へ伝導する機能を有する。空気極用の触媒は、電解質を伝導してきたプロトンと空気中の酸素から水を生成する機能を有する。
燃料極および空気極用の触媒は、カーボンやチタン等の導電体の表面に担持されていてもよいが、この場合、該触媒や導電体は、サブミクロンオーダであることが好ましく、また、燃料極および空気極用の電解質は、有機高分子材料であることが好ましい。これは、後述する燃料極と電解質膜と空気極とを備える第1複合体を切断して、膜電極複合体の構成部材である燃料極と電解質膜と空気極との第2複合体を得る製造プロセスにおいて、触媒層を構成する触媒および導電体部材がサブミクロンオーダであると、切断歯に対して触媒層はほぼ均一層として扱うことができ、燃料極および空気極を切断しても、両極の電気的短絡を起こさずに膜電極複合体を得ることができるためである。
(流路板)
本発明の膜電極複合体における流路板は、燃料極に燃料を供給する機能を有する。流路板の材質は、アクリル、ABS、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリエーテルエーテルケトン、テフロン等の高分子材料(プラスチック材料)や、銅、ステンレス、チタン等の金属材料を用いることができる。特に、流路板の材質に金属材料を用いることが好ましく、さらには、ステンレスやチタン等の耐腐食性金属材料を用いることがより好ましい。これは、流路板の材質が金属であることにより、燃料極からの電子を集電する効果が付与され、膜電極複合体の内部抵抗を低下し、出力の低下を抑制できるためである。また、耐腐食性金属材料を用いることにより、流路板からの金属イオンの溶出が抑制され、膜電極複合体へのイオン交換を抑制できるため、同様に膜電極複合体の内部抵抗の低下を抑制でき、これにより、出力低下を抑制できる。流路板としてアクリル、ABS、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート等のプラスチック材料を用いる場合には、絶縁封止層の前駆体液には、流路板を溶解または軟化させるジエチルエーテル、酢酸エチル等のエーテルまたはエステル化合物や、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物や、トルエン、ベンゼン等の芳香族化合物の有機溶剤が含まれていることが好ましい。このような有機溶媒を用いることにより、流路板を一旦溶解させ、絶縁封止層の形成とともに再固化させることで、流路板を強固に接着することができる。
本発明の膜電極複合体における流路板は、燃料極に燃料を供給する機能を有する。流路板の材質は、アクリル、ABS、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリエーテルエーテルケトン、テフロン等の高分子材料(プラスチック材料)や、銅、ステンレス、チタン等の金属材料を用いることができる。特に、流路板の材質に金属材料を用いることが好ましく、さらには、ステンレスやチタン等の耐腐食性金属材料を用いることがより好ましい。これは、流路板の材質が金属であることにより、燃料極からの電子を集電する効果が付与され、膜電極複合体の内部抵抗を低下し、出力の低下を抑制できるためである。また、耐腐食性金属材料を用いることにより、流路板からの金属イオンの溶出が抑制され、膜電極複合体へのイオン交換を抑制できるため、同様に膜電極複合体の内部抵抗の低下を抑制でき、これにより、出力低下を抑制できる。流路板としてアクリル、ABS、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート等のプラスチック材料を用いる場合には、絶縁封止層の前駆体液には、流路板を溶解または軟化させるジエチルエーテル、酢酸エチル等のエーテルまたはエステル化合物や、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物や、トルエン、ベンゼン等の芳香族化合物の有機溶剤が含まれていることが好ましい。このような有機溶媒を用いることにより、流路板を一旦溶解させ、絶縁封止層の形成とともに再固化させることで、流路板を強固に接着することができる。
本発明の膜電極複合体の製造方法は特に制限されるものではないが、膜電極複合体側面が、各構成部材端面(側面)から構成される連続面からなる膜電極複合体を製造する効率的な方法として、以下の工程(A)〜(C)を含む製造方法を好ましく適用することができる。
(A)燃料極と電解質膜と空気極との積層構造を有する第1複合体の当該燃料極と電解質膜と空気極とを切断することで、第1複合体より面積の小さい第2複合体を作製する工程、
(B)上記第2複合体の燃料極側に、流路板を配置する工程、および、
(C)第2複合体の切断面および流路板側面に、絶縁封止層の前駆体液を塗布し、絶縁封止層を形成する工程。
(A)燃料極と電解質膜と空気極との積層構造を有する第1複合体の当該燃料極と電解質膜と空気極とを切断することで、第1複合体より面積の小さい第2複合体を作製する工程、
(B)上記第2複合体の燃料極側に、流路板を配置する工程、および、
(C)第2複合体の切断面および流路板側面に、絶縁封止層の前駆体液を塗布し、絶縁封止層を形成する工程。
第1複合体を切断して燃料極と電解質膜と空気極とからなる接合体(第2複合体)を作製することにより、燃料極端面と電解質膜端面と空気極端面とから構成される連続面からなる側面を容易に形成することができる。また、十分に大きなサイズの第1複合体を製造した後に、所望のサイズの第2複合体に切り分けるため、様々な消費電力の携帯電子機器に搭載するために、サイズの異なる膜電極複合体の製造ラインを設ける必要がなくなる。このため、複雑な燃料極、空気極の製造や複合体の製造ラインを1つに集約することができ、製造コストを大幅に削減することができる。
上記第2複合体に積層される流路板の大きさは特に制限されないが、好ましくは、第2複合体の側面(切断面)と流路板側面とから構成される、膜電極複合体の絶縁封止層が形成される側面が連続面となるよう、第2複合体と略同じ大きさとされる。第2複合体上に流路板を配置し(工程(B))、得られる積層体側面に絶縁封止層を形成することにより(工程(C))、第2複合体と流路板とが接合される。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、絶縁封止層を構成する基材および水膨潤性粒子の水浸漬時の膨潤率は、上記の方法により測定した。
<実施例1>
電解質膜として、サイズ40×40mm、厚さ約175μmのナフィオン(登録商標)117(デュポン社製)を用いた。
電解質膜として、サイズ40×40mm、厚さ約175μmのナフィオン(登録商標)117(デュポン社製)を用いた。
触媒ペーストは以下の手順で作成した。Pt粒子とRu粒子とカーボン粒子とからなる、Pt担持量が32.5wt%、Ru担持量が16.9wt%の触媒担持カーボン粒子(TEC66E50、田中貴金属社製)と、20wt%のナフィオンのアルコール溶液(アルドリッチ社製)と、n−プロパノールと、イソプロパノールと、ジルコニアボールとを、所定の割合でフッ素系ポリマ製の容器に入れ、攪拌機を用いて500rpmで50分間の混合を行なうことにより、燃料極用の触媒ペーストを作製した。一方、Pt粒子とカーボン粒子とからなるPt担持量が46.8wt%の触媒担持カーボン粒子(TEC10E50E、田中貴金属社製)を用いて、燃料極用の触媒ペーストの作製条件と同様に、空気極用の触媒ペーストを作製した。
また、片面に撥水層が形成された一組のカーボンペーパ(25BC、SGL社製、縦23mm×横23mm)のそれぞれの撥水層上に、上記の燃料極用の触媒ペーストと、空気極用の触媒ペーストを、それぞれ触媒担持量が約3mg/cm2、1mg/cm2となるように、23×23mmのウィンドウを有したスクリーン印刷版を用いて、塗布し乾燥させることで、約300μmの厚みの燃料極と、空気極とを形成した。
次に、燃料極および空気極の触媒ペーストを塗布した面を電解質膜と接するように、電解質膜の表裏の中心に、それぞれ燃料極と空気極の位置が重なるように合わせ、130℃で、2分間のホットプレスを行なうことで、燃料極と空気極とを電解質膜に張り合わせて、燃料極と電解質膜と空気極との積層体からなる第1複合体を作製した。
上記第1複合体の対向する2辺と平行に、2mm間隔で切断部以外の膜電極複合体表面をアクリル板で押さえつけながら、ステンレス製の刃先で第1複合体表面に対して垂直に切断することで、複数の幅2mm、長さ40mmの第2複合体を得た。
次に、平均粒子径30μm、水浸漬時の膨潤率が約300%のポリアクリル酸粒子0.5gを、水浸漬時の膨潤率が約5%であるエポキシ樹脂に混合し、超音波プローブを用いて10分間分散させ、絶縁封止層の前駆体液を調製した。
次に、深さ0.2mm、幅1.0mmの溝からなり、流路板長手方向と略平行に延びる燃料流路を備える、幅2.0mm×長さ27mmの流路板に、上記第2複合体を、その燃料極側が流路板に対向するように積層した後、該積層体をアクリル板2枚で挟持し、その後、該積層体の対向する2つの側面(流路板と燃料極と電解質膜と空気極とからなる側面であって、第2複合体の切断面を含む側面)に、上記前駆体液を塗布することにより、厚さ約500μmの絶縁封止層を形成し、膜電極複合体を得た。
得られた膜電極複合体の燃料流路の一端にシリコンチューブをつなぎ、0.1ml/minの流量で3mol/Lのメタノール水溶液を送液ポンプで供給した。このとき、絶縁封止層により流路板と第2複合体を接着した部位からの燃料漏洩は認められなかった。また、100mA/cm2の負荷電流で、1日あたり1時間の発電を繰り返したところ、10日間繰り返しても、特に燃料漏洩は認められなかった。
また、上記発電試験中に石鹸水をなじませた布で絶縁封止層の表面を濡らしたところ、泡の成長が認められた。このことより、絶縁封止層に形成された一部の漏洩孔が、生成した二酸化炭素の排出孔として機能していることがわかった。
<比較例1>
絶縁封止層の前駆体液として、ポリアクリル酸粒子を含有しないエポキシ樹脂を用いたこと以外は、実施例1と同様にして膜電極複合体を作製した。
絶縁封止層の前駆体液として、ポリアクリル酸粒子を含有しないエポキシ樹脂を用いたこと以外は、実施例1と同様にして膜電極複合体を作製した。
実施例1と同様にして、3mol/Lのメタノール水溶液を送液ポンプで供給したところ、絶縁封止層により流路板と第2複合体を接着した部位からの燃料漏洩は認められなかった。しかしながら、100mA/cm2の負荷電流で、1日あたり1時間の発電を繰り返したところ、3日目に燃料漏洩が認められた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
制限された燃料電池の設置面積に対して燃料極および空気極の面積を大きく設計でき、燃料と空気の混合や外部へ燃料漏洩を防止できる本発明の膜電極複合体は、携帯電子機器に対して好適に適用され得る。
100 膜電極複合体、101 電解質膜、102 燃料極、103 空気極、104 流路板、105 絶縁封止層、105a 水膨潤性粒子、106 燃料流路を構成する凹部、201,401 漏洩孔。
Claims (8)
- 電解質膜と、
前記電解質膜の一方の表面に積層された燃料極と、
前記電解質膜の他方の表面に積層された空気極と、
前記燃料極における前記電解質膜側とは反対側に配置され、前記燃料極に水溶液からなる燃料を供給するための流路板と、
を備え、
少なくとも前記燃料極、前記電解質膜および前記流路板の側面を被覆する、水膨潤性粒子を含有する絶縁封止層をさらに備える膜電極複合体。 - 前記燃料極、前記電解質膜および前記流路板の側面は、1つの連続面を形成している請求項1に記載の膜電極複合体。
- 前記水膨潤性粒子は、吸水性高分子からなる請求項1または2に記載の膜電極複合体。
- 前記水膨潤性粒子の水浸漬時の膨潤率は、150%〜400%である請求項1〜3のいずれかに記載の膜電極複合体。
- 前記吸収性高分子は、ポリアクリル酸またはポリビニルアルコールである請求項3または4に記載の膜電極複合体。
- 前記水膨潤性粒子の平均粒子径は10〜500μmであり、
前記絶縁封止層の厚みは、前記水膨潤性粒子の平均粒子径に対して10倍以上である請求項1〜5のいずれかに記載の膜電極複合体。 - 前記絶縁封止層を構成する基材の水浸漬時の膨潤率は、10%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の膜電極複合体。
- ダイレクトアルコール型燃料電池に用いられる請求項1〜7のいずれかに記載の膜電極複合体。
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