JP4214918B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池に関する。
燃料電池は、燃料極及び酸化剤極(以下、これらをあわせて触媒電極とも呼ぶ。)と、これらの間に設けられた電解質膜から構成され、燃料極には燃料が、酸化剤極には酸化剤が供給されて電気化学反応により発電する。燃料としては、一般的には水素が用いられていたが、近年、安価で取り扱いの容易なメタノールを燃料として直接使用する直接型の燃料電池の開発も盛んに行われている。
燃料としてメタノールを用いた場合、燃料極での反応は以下の式(1)のようになる。
CH3OH + H2O → 6H+ + CO2 + 6e- (1)
また、酸化剤極での反応は以下の式(2)のようになる。
3/2O2 + 6H+ + 6e- → 3H2O (2)
このように、直接型の燃料電池では、メタノール水溶液からプロトンを得ることができるので、改質器などが不要になり、小型化及び軽量化を図ることができる。また、液体のメタノール水溶液を燃料とするため、エネルギー密度が非常に高いという特徴がある。
一般的に、有機液体燃料を使用する燃料電池においては、電解質として固体高分子イオン交換樹脂からなる固体高分子電解質膜が用いられる。ここで、燃料電池が機能するためには、プロトンがこの膜中を燃料極から酸化剤極へ移動することが必要であるが、このプロトンの移動には水の移動が伴うことが知られており、当該膜には一定の水分が含まれていることが必要である。
ところが、水に対して親和性の高いメタノールなどの有機液体燃料を用いる場合、当該有機液体燃料は水分を含んだ固体高分子電解質膜に拡散し、さらには、酸化剤極まで到達するクロスオーバーが生じる。このクロスオーバーは、本来燃料極において電子を提供すべき有機液体燃料が酸化剤極側で酸化されてしまい、燃料として有効に使用されないことから、電圧や出力の低下、燃料効率の低下を引き起こす。
そこで、燃料電池の出力特性を向上させるべく、こうしたクロスオーバーの発生を抑制する技術が検討されている(特許文献1)。特許文献1には、イオン導電性を維持しながらメタノールのクロスオーバーを抑制することを可能にするイオン導電性膜に関する技術が開示されている。ここでは、ナフィオン(登録商標)等のフッ素樹脂を基本構造とするイオン導電性膜の表面層を電子線照射等により改質して導電性が内部の導電性に比較して低くなるようにしている。このような膜を用いることにより、燃料電池の出力特性の向上に一定の効果があるとされている。
特開2001−167775号公報
ところが、従来の技術によってもなお、燃料電池の出力特性には改善の余地があった。このため、単にクロスオーバーを抑制するという観点以外の新たな思想に基づく技術が求められていた。
本発明は上記事情を踏まえてなされたものであり、その目的は、燃料極に液体燃料が直接供給される燃料電池の出力特性を向上させる技術を提供することにある。
本発明者は、液体燃料が燃料極に直接供給される燃料電池の出力特性を向上させるべく鋭意検討を行った。その結果、以下の知見が見出された。すなわち、液体燃料が燃料極に直接供給される燃料電池においては、供給される液体燃料により燃料極の湿潤度が酸化剤極に比べて高くなる。このため、電池反応に必要不可欠なプロトン伝導が容易となり、また、物質移動に対する物理的な抵抗が酸化剤極に比べて小さくなる。一方、酸化剤極は、燃料極と比較すると乾燥した状態であり、プロトン伝導が生じにくい。
そこで、本発明者は、燃料極でのプロトン伝導性を良好に保持しつつ、酸化剤極におけるプロトン伝導性を向上させることにより液体燃料直接供給型の燃料電池の出力特性が可能であると考え検討を行った。本発明は、以上の知見に基づき完成されたものである。
本発明によれば、固体電解質膜と、該固体電解質膜を挟持する燃料極および酸化剤極と、を含み、前記燃料極に液体燃料が供給される燃料電池であって、前記燃料極は、第一の固体高分子電解質および第一の触媒物質を含み、前記酸化剤極は、第二の固体高分子電解質および第二の触媒物質を含み、前記第二の固体高分子電解質のプロトン伝導度が前記第一の固体高分子電解質のプロトン伝導度よりも大きいことを特徴とする燃料電池が提供される。
本発明に係る燃料電池は、燃料極に液体燃料が供給されるため、酸化剤極よりも湿潤した状態である。このため、第一の固体高分子電解質の液体燃料への溶解を抑制する必要がある。固体高分子電解質のプロトン伝導度とその液体燃料への溶解性には正の相関関係がある。よって、プロトン伝導度には上限が生じる。一方、酸化剤極は、燃料極と比較すると乾燥した状態であり、プロトン伝導が生じにくい。そこで、本発明に係る燃料電池において、第二の固体高分子電解質のプロトン伝導度が第一の固体高分子電解質のプロトン伝導度よりも大きい構成とすることにより、固体高分子電解質の液体燃料への溶解を抑制しつつ、酸化剤極側のプロトン伝導度を好適に増加させることができる。このため、燃料極に比べて乾燥した状態の酸化剤極においても、上記プロトンの移動が効率よく行われる構成とすることができる。このため、電池反応が効率よく行われる燃料電池を安定的に供給することができる。また、第一の固体高分子電解質の溶解を抑制することができるため、燃料電池を長期間安定的に運転することができる。
本発明によれば、固体電解質膜と、該固体電解質膜を挟持する燃料極および酸化剤極と、を含み、前記燃料極に液体燃料が供給される燃料電池であって、前記燃料極は、第一の固体高分子電解質および第一の触媒物質を含み、前記酸化剤極は、第二の固体高分子電解質および第二の触媒物質を含み、前記第二の固体高分子電解質のイオン交換容量が前記第一の固体高分子電解質のイオン交換容量よりも大きいことを特徴とする燃料電池が提供される。
本発明に係る燃料電池において、固体高分子電解質のイオン交換容量が大きければ、プロトンのキャリアー密度が増す。このため、固体高分子電解質のプロトン伝導度が大きくなる。第二の固体高分子電解質のイオン交換容量を第一の固体高分子電解質のイオン交換容量よりも大きくすることにより、燃料極よりも乾燥した状態の酸化剤極についても、良好なプロトン伝導性を確保することができる。このため、燃料電池の出力特性を向上させることができる。
本発明において、前記第一の固体高分子電解質と前記第二の固体高分子電解質が同種の高分子であってもよい。また、本発明において、前記第一の固体高分子電解質と前記第二の固体高分子電解質は、互いに類似する分子構造を有する化合物とすることができる。こうすることにより、燃料極と固体電解質膜との間の接着性と、酸化剤極と固体電解質膜との間の接着性をほぼ同等のものにすることができる。このため、膜−で電解質複合体内の内部応力を小さくすることができる。よって、すぐれた出力特性を安定的に発揮する構成とすることができる。
本発明の燃料電池において、前記第一の固体高分子電解質および前記第二の固体高分子電解質が、いずれもフッ素を含む高分子からなる構成とすることができる。また、本発明の燃料電池において、前記第一の固体高分子電解質および前記第二の固体高分子電解質は、いずれも、主鎖の炭素が主としてフッ素に結合した高分子からなる構成としてもよい。
たとえば、本発明の燃料電池において、前記第一の固体高分子電解質および前記第二の固体高分子電解質が、いずれもプロトン酸基含有パーフルオロカーボンまたはその誘導体であってもよい。
本発明の燃料電池において、前記第一の固体高分子電解質および前記第二の固体高分子電解質が、いずれもプロトン酸基を含有する炭化水素系の高分子からなる構成とすることができる。また、本発明の燃料電池において、前記第一の固体高分子電解質および前記第二の固体高分子電解質が、いずれも、主鎖の炭素が主として水素に結合した高分子からなる構成としてもよい。
本発明の燃料電池において、前記第一の固体高分子電解質および前記第二の固体高分子電解質が、いずれも、プロトン酸基含有ポリエーテルケトン、プロトン酸基含有ポリエーテルエーテルケトン、プロトン酸基含有ポリエーテルスルホン、プロトン酸基含有ポリエーテルエーテルスルホン、プロトン酸基含有ポリスルホン、プロトン酸基含有ポリスルフィド、およびプロトン酸基含有ポリフェニレンからなる群から選択される1または2以上の高分子またはその誘導体であってもよい。
また、本発明において、前記第一の固体高分子電解質および前記第二の固体高分子電解質を、フッ素を含まない高分子からなる構成とすることができる。
本発明の燃料電池において、前記第一の固体高分子電解質および前記第二の固体高分子電解質が、いずれもプロトン酸基および芳香族を含む高分子からなる構成とすることができる。
本発明において、前記第一の固体高分子電解質および前記第二の固体高分子電解質がいずれもプロトン酸基を含み、前記第二の固体高分子電解質は、前記第一の固体高分子電解質よりも前記プロトン酸基の含有密度が高い構成とすることができる。こうすることにより、第二の固体高分子電解質のプロトン伝導度が第一の固体高分子電解質のプロトン伝導度よりも大きい構成とすることができる。ここで、プロトン酸基とは、たとえば、スルホン基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基およびホスフィン酸基からなる群から選択される一または二以上の極性基である。
また、本発明において、前記第一の固体高分子電解質と前記第二の固体高分子電解質とが、異種の高分子であってもよい。こうすることにより、燃料極と酸化剤極とのイオン交換容量の差をさらに大きくすることができる。
なお、これらの各構成の任意の組み合わせや、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた本発明の態様として有効である。
以上説明したように、本発明によれば、酸化剤極の固体高分子電解質のプロトン伝導度を燃料極の固体高分子電解質のプロトン伝導度より大きくすることにより、燃料極に液体燃料が直接供給される燃料電池の出力特性を向上させる技術が実現される。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宣説明を省略する。
図1は本実施形態の燃料電池の構造を模式的に表した断面図である。単セル構造101は、燃料極102、酸化剤極108、固体電解質膜114から構成される。燃料極102は基体104および燃料極側触媒層106から構成される。酸化剤極108は基体110および酸化剤極側触媒層112から構成される。燃料極側触媒層106と酸化剤極側触媒層112には、それぞれプロトン伝導度またはイオン交換容量の異なる固体高分子電解質を用いる。これらの固体高分子電解質を構成する具体的材料については後述する。
燃料電池100は、単数または複数の単セル構造101を含むことができる。たとえば、図1では、一つの単セル構造101を示しているが、複数の単セル構造101が、燃料極側セパレータ120および酸化剤極側セパレータ122を介して電気的に接続される構成としてもよい。
また、図2は、本実施形態に係る燃料電池の他の構成を示す断面図である。図2の燃料電池においては、1枚の固体電解質膜114の一方の面に複数の燃料極102が設けられ、他方の面に複数の酸化剤極108が設けられており、複数の単セル構造101が固体電解質膜114を共有し、同一の平面内に配置された構成となっている。また、燃料容器811が燃料極102の外側を覆い囲うように設けられており、燃料容器811中に収容または供給された液体燃料が燃料極102に直接供給される。なお、燃料容器811は、燃料極102に燃料124を供給する燃料供給系の一部であってもよく、燃料供給系は、たとえば、燃料供給管、燃料排出管、燃料カートリッジ等を有することができる。
図1にもどり、以上のように構成された燃料電池100において、各単セル構造101の燃料極102には、燃料極側セパレータ120を介して燃料124が供給される。また、各単セル構造101の酸化剤極108には、酸化剤極側セパレータ122を介して酸化剤126が供給される。燃料124としては、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、または他のアルコール類、シクロパラフィン等の液体炭化水素等、ホルマリン、ギ酸、あるいはヒドラジン等の液体燃料を用いることができる。液体燃料は、水溶液とすることができる。また、燃料124にはアルカリを加えることもできる。これにより、プロトンのイオン伝導性を高めることができる。酸化剤126としては、通常、空気を用いることができるが、酸素ガスを供給してもよい。
図3および図4は、単セル構造101の構成を模式的に示す断面図である。図3に示したように、本実施形態における燃料極102および酸化剤極108は、それぞれ、触媒を担持した炭素粒子と固体高分子電解質の微粒子とを含む膜である燃料極側触媒層106および酸化剤極側触媒層112をそれぞれ基体104および基体110上に形成した構成となっている。基体104または基体110の表面は撥水処理してもよい。
また、図4に示したように、燃料極側触媒層106は炭素粒子140および第一の固体高分子電解質150を含む。また、酸化剤極側触媒層112は、炭素粒子140および第二の固体高分子電解質151を含む。
ここで、酸化剤極108を構成する第二の固体高分子電解質151の材料として、燃料極102を構成する第一の固体高分子電解質150よりもプロトン伝導度の大きい材料を用いる。ここで、第一の固体高分子電解質150および第二の固体高分子電解質151は同種の高分子により構成することもできるし、異種の高分子により構成してもよい。
第二の固体高分子電解質151を、第一の固体高分子電解質150よりもプロトン伝導度の大きい材料とすることにより、酸化剤極108のプロトン伝導度を好適に増加させることができる。このため、燃料極に比べて乾燥した状態の酸化剤極においても、プロトンの移動が効率よく行われる構成とすることができる。このため、上記(2)式で示される電池反応が効率よく行われる。よって、燃料電池100の出力特性を向上させることができる。また、電池反応により水が生成するため、酸化剤極108を湿潤しやすくすることができる。このため、酸化剤極108の乾燥を好適に抑制することができる。よって、酸化剤極108における物質移動を促進させることができる。したがって、燃料電池100の信頼性を向上させることができる。
また、本実施形態において、燃料極102は酸化剤極108よりも湿潤していることから、第一の固体高分子電解質150の液体燃料への溶解を抑制する必要がある。このため、第一の固体高分子電解質150のプロトン伝導度には、その材料および液体燃料の種類に応じた上限が存在する。一方、酸化剤極108は燃料極102よりも乾燥しており、第一の固体高分子電解質150のプロトン伝導度の上限よりもプロトン伝導度の大きい材料を用いることができる。本実施形態では、第二の固体高分子電解質151の材料を、第一の固体高分子電解質150の材料よりもプロトン伝導度の大きい材料とすることにより、第一の固体高分子電解質150のプロトン伝導度を上限以下としつつ、酸化剤極108におけるプロトンの移動を効率よく行わせることができる。このため、出力特性にすぐれた燃料電池100を長期間安定的に使用することができる。
第一の固体高分子電解質150および第二の固体高分子電解質151のプロトン伝導度の差を、たとえば0.1mS/cm以上、好ましくは0.5mS/cm以上とすることができる。こうすることにより、酸化剤極108におけるプロトン伝導性を好適に増すことができる。また、両者のプロトン伝導度の差を、たとえば1.0mS/cm以下、好ましくは0.8mS/cm以下とすることができる。こうすることにより、燃料電池100を長期間使用した際の第一の固体高分子電解質150および第二の固体高分子電解質151の劣化を抑制することができる。
また、たとえば、第二の固体高分子電解質151のプロトン伝導度を0.7mS/cm以上1.25mS/cm以下とし、第一の固体高分子電解質150のプロトン伝導度を第二の固体高分子電解質151のプロトン伝導度より小さくしてもよい。第二の固体高分子電解質151のプロトン伝導度を0.7mS/cm以上とすることにより、燃料電池100の出力特性を安定的に向上させることができる。また、第二の固体高分子電解質151のプロトン伝導度を1.25mS/cm以下とすることにより、第二の固体高分子電解質151の溶出等を抑制し、燃料電池100を長期間安定的に運転させることが可能となる。
なお、本実施形態において、第一の固体高分子電解質150または第二の固体高分子電解質151のプロトン伝導度は、たとえば交流インピーダンス法を用いて測定することができる。このとき、第一の固体高分子電解質150または第二の固体高分子電解質151を成膜し、膜の表面に垂直方向について測定される抵抗値から計算し、プロトン伝導度を得ることができる。なお、プロトン伝導度の具体的な測定方法については、後述する実施例において詳細に説明する。
また、第二の固体高分子電解質151の材料として、第一の固体高分子電解質150よりもイオン交換容量の高い材料を用いることができる。
本実施形態において、第一の固体高分子電解質150および第二の固体高分子電解質151のイオン交換容量の差を、たとえば、0.05ミリ等量/g乾燥質量以上、好ましくは0.1ミリ等量/g乾燥質量以上としてもよい。こうすることにより、酸化剤極108におけるイオン交換容量を好適に増加させることができる。このため、燃料極102に比べて乾燥した状態の酸化剤極108においても、プロトン伝導性を好適に確保することができる。よって、燃料電池100の出力特性を向上させることができる。また、両者のイオン交換容量の差を1ミリ等量/g乾燥質量以下、好ましくは0.5ミリ等量/g乾燥質量以下とすることができる。こうすることにより、固体電解質膜114の劣化を好適に抑制することができる。
なお、本実施形態において、第一の固体高分子電解質150または第二の固体高分子電解質151のイオン交換容量は、たとえば中和滴定法により測定することができる。
また、第一の固体高分子電解質150および第二の固体高分子電解質151は、触媒電極の表面において、触媒を担持した炭素粒子140と固体電解質膜114を電気的に接続する役割を有しており、プロトン伝導性が良好であることが求められ、さらに、燃料極102においてはメタノール等の有機液体燃料透過性が求められ、酸化剤極108においては酸素透過性が求められる。
このような材料として、プロトン伝導性や、メタノール等の有機液体燃料透過性に優れる材料が好ましく用いられる。具体的には、スルホン基、リン酸基などの強酸基や、カルボキシル基などの弱酸基などのプロトン酸基を極性基として有する有機高分子が好ましく用いられる。こうした有機高分子として、具体的には、フッ素樹脂骨格およびプロトン酸基を有するフッ素含有高分子などを用いることができる。また、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリフェニレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスチレン、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミド等を用いることができる。また、メタノール等の液体燃料のクロスオーバーを低減する観点からは、ポリマーとして、フッ素を含まない炭化水素系の材料を用いることができる。さらに、基体のポリマーとして、芳香族を含むポリマーを用いることもできる。
また、プロトン酸基が結合する対象の基体のポリマーとしては、
ポリベンゾイミダゾール誘導体、ポリベンゾオキサゾール誘導体、ポリエチレンイミン架橋体、ポリサイラミン誘導体、ポリジエチルアミノエチルスチレン等のアミン置換ポリスチレン、ポリジエチルアミノエチルメタクリレート等の窒素置換ポリアクリレート等の窒素または水酸基を有する樹脂;
シラノール含有ポリシロキサン、ヒドロキシエチルポリメチルアクリレートに代表される水酸基含有ポリアクリル樹脂;
パラヒドロキシポリスチレンに代表される水酸基含有ポリスチレン樹脂;
等を用いることもできる。
また、上に例示したポリマーに対して、適宜、架橋性の置換基、たとえば、ビニル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、シンナモイル基、メチロール基、アジド基、ナフトキノンジアジド基を導入したものを用いることもできる。また、これらの置換基が架橋されたものを用いることもできる。
具体的には、第一の固体高分子電解質150または第二の固体高分子電解質151として、たとえば、
スルホン化ポリエーテルケトン;
スルホン化ポリエーテルエーテルケトン;
スルホン化ポリエーテルスルホン;
スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン;
スルホン化ポリスルホン;
スルホン化ポリスルフィド;
スルホン化ポリフェニレン;
スルホン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)、アルキルスルホン化ポリベンゾイミダゾール等の芳香族含有高分子;
スルホアルキル化ポリエーテルエーテルケトン;
スルホアルキル化ポリエーテルスルホン;
スルホアルキル化ポリエーテルエーテルスルホン;
スルホアルキル化ポリスルホン;
スルホアルキル化ポリスルフィド;
スルホアルキル化ポリフェニレン;
スルホン酸基含有パーフルオロカーボン(ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(旭化成社製)等);
カルボキシル基含有パーフルオロカーボン(フレミオン(登録商標)S膜(旭硝子社製)等);
ポリスチレンスルホン酸共重合体、ポリビニルスルホン酸共重合体、架橋アルキルスルホン酸誘導体、フッ素樹脂骨格およびスルホン酸からなるフッ素含有高分子等の共重合体;
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のようなアクリルアミド類とn−ブチルメタクリレートのようなアクリレート類とを共重合させて得られる共重合体;
等を用いることができる。また、芳香族ポリエーテルエーテルケトンや芳香族ポリエーテルケトンを用いることもできる。
これらのうち、イオン伝導性等の観点からは、スルホン基含有パーフルオロカーボン(ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(旭化成社製)など)、カルボキシル基含有パーフルオロカーボン(フレミオン(登録商標)S膜(旭硝子社製)など)などが好ましく用いられる。
また、第一の固体高分子電解質150および第二の固体高分子電解質151は、プロトン酸基の導入量が異なる同種の材料としてもよい。たとえば、第二の固体高分子電解質151の基体のポリマーを、第一の固体高分子電解質150の基体のポリマーと同じものとし、第二の固体高分子電解質151が第一の固体高分子電解質150よりもプロトン酸基の導入量が多い材料とすることができる。また、第二の固体高分子電解質151の基体のポリマーを、第一の固体高分子電解質150の基体のポリマーと同じものとし、第一の固体高分子電解質150よりもイオン交換容量が大きい材料とすることができる。
また、たとえば、第一の固体高分子電解質150および第二の固体高分子電解質151の材料を、いずれもフッ素を含む高分子とすることができる。また、これらをいずれもフッ素を含まない炭化水素系の材料とすることができる。さらに、これらをいずれも、芳香族を含むポリマーとすることができる。
具体的には、たとえば、第一の固体高分子電解質150および第二の固体高分子電解質151の基体のポリマーを、いずれもパーフルオロカーボン、いずれもポリエーテルケトン、いずれもポリエーテルエーテルケトン、いずれもポリエーテルスルホン、いずれもポリエーテルエーテルスルホン、いずれもポリスルホン、いずれもポリスルフィド、およびいずれもポリフェニレン、いずれも芳香族ポリエーテルエーテルケトン、または、いずれも芳香族ポリエーテルケトンとすることができる。
第一の固体高分子電解質150と第二の固体高分子電解質151とを同種の材料とすることにより、燃料極102と固体電解質膜114との間の接着性と、酸化剤極108と固体電解質膜114との間の接着性をほぼ同等のものにすることができる。このため、単セル構造101の内部応力を小さくすることができる。よって、すぐれた出力を長期間安定的に発揮する燃料電池100を得ることができる。
さらに、燃料極102を構成する第一の固体高分子電解質150または酸化剤極108を構成する第二の固体高分子電解質151を、固体電解質膜114の材料と共通または類似する材料とすることができる。こうすることにより、触媒電極と固体電解質膜114との界面が強固に密着する。この結果、界面の剥離によりプロトンの移動が阻害され電池性能が劣化することを抑制できるほか、電池の物理的強度が増し、耐久性が向上する。
また、第一の固体高分子電解質150または第二の固体高分子電解質151には、固体電解質膜114に対する密着性の良好な材料を用いることが好ましい。たとえば、固体電解質膜114を有機高分子で構成した場合、第一の固体高分子電解質150または第二の固体高分子電解質151として、当該有機高分子と類似の構造を有する高分子や、極性、濡れ性、SP値等の物性値が類似する高分子を選択することにより、電極と固体電解質膜114の間の密着性を向上させることができる。たとえば、固体電解質膜114材料としてフッ素を含まない高分子を用いた場合、第一の固体高分子電解質150または第二の固体高分子電解質151としてフッ素を含まない高分子を選択することが好ましい。また、固体電解質膜114の材料として芳香族系高分子を用いた場合、第一の固体高分子電解質150または第二の固体高分子電解質151として芳香族系高分子を選択することが好ましい。
また、第一の固体高分子電解質150と第二の固体高分子電解質151に、異種の材料を用いてもよい。こうすれば、第二の固体高分子電解質151のプロトン伝導度を第一の固体高分子電解質150よりもさらに大きくすることができる。たとえば、第一の固体高分子電解質150の材料をフッ素を含まない高分子とし、第二の固体高分子電解質151の材料を、フッ素を含む高分子とすることができる。また、第一の固体高分子電解質150にフッ素を含む高分子を、第二の固体高分子電解質151にフッ素を含まない高分子を用いることもできる。
固体電解質膜114としては、種々のものを用いることができるが、イオン伝導性の高い材料を用いることが好ましい。固体電解質膜114を燃料電池100に組み込む場合、固体電解質膜114は、燃料極102と酸化剤極108とを隔てるとともに、両者の間でプロトン等を移動させる役割を有する。このため、固体高分子電解質膜は、プロトンの伝導性が高いことが好ましい。また、化学的に安定であって機械的強度が高いことが好ましい。
固体電解質膜114を構成する材料としては、たとえば、スルホン酸基、スルホアルキル基、リン酸基、ホスホン基、ホスフィン基、カルボキシル基、スルホンイミド基等のプロトン酸基を含むものを用いることができる。このようなプロトン酸基が結合する対象の基体のポリマーとしては、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリフェニレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスチレン、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミド等の膜を用いることができる。また、メタノール等の液体燃料のクロスオーバーを低減する観点からは、ポリマーとしては、フッ素を含まない炭化水素系の膜を用いることができる。さらに、基体のポリマーとして、芳香族を含むポリマーを用いることもできる。
また、プロトン酸基が結合する対象の基体のポリマーとしては、
ポリベンゾイミダゾール誘導体、ポリベンゾオキサゾール誘導体、ポリエチレンイミン架橋体、ポリサイラミン誘導体、ポリジエチルアミノエチルスチレン等のアミン置換ポリスチレン、ポリジエチルアミノエチルメタクリレート等の窒素置換ポリアクリレート等の窒素または水酸基を有する樹脂;
シラノール含有ポリシロキサン、ヒドロキシエチルポリメチルアクリレートに代表される水酸基含有ポリアクリル樹脂;
パラヒドロキシポリスチレンに代表される水酸基含有ポリスチレン樹脂;
等を用いることもできる。
また、上記したポリマーに対して、適宜、架橋性の置換基、たとえば、ビニル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、シンナモイル基、メチロール基、アジド基、ナフトキノンジアジド基を導入したものを用いることもできる。また、これらの置換基が架橋されたものを用いることもできる。
具体的には、固体電解質膜114として、たとえば、
スルホン化ポリエーテルエーテルケトン;
スルホン化ポリエーテルスルホン;
スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン;
スルホン化ポリスルホン;
スルホン化ポリスルフィド;
スルホン化ポリフェニレン;
スルホン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)、アルキルスルホン化ポリベンゾイミダゾール等の芳香族含有高分子;
スルホアルキル化ポリエーテルエーテルケトン;
スルホアルキル化ポリエーテルスルホン;
スルホアルキル化ポリエーテルエーテルスルホン;
スルホアルキル化ポリスルホン;
スルホアルキル化ポリスルフィド;
スルホアルキル化ポリフェニレン;
スルホン酸基含有パーフルオロカーボン(ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(旭化成社製)等);
カルボキシル基含有パーフルオロカーボン(フレミオン(登録商標)S膜(旭硝子社製)等);
ポリスチレンスルホン酸共重合体、ポリビニルスルホン酸共重合体、架橋アルキルスルホン酸誘導体、フッ素樹脂骨格およびスルホン酸からなるフッ素含有高分子等の共重合体;
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のようなアクリルアミド類とn−ブチルメタクリレートのようなアクリレート類とを共重合させて得られる共重合体;
等を用いることができる。また、芳香族ポリエーテルエーテルケトンまたは芳香族ポリエーテルケトンを用いることもできる。
なお、本実施形態において、クロスオーバー抑制の観点からは、固体電解質膜114および第一の固体高分子電解質150または第二の固体高分子電解質151を、いずれも、有機液体燃料の透過性の低い材料を用いることが好ましい。たとえば、スルホン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)、アルキルスルホン化ポリベンゾイミダゾールなどの芳香族縮合系高分子により構成することが好ましい。また、固体電解質膜114および第二の固体高分子電解質151は、たとえばメタノールによる膨潤性が50%以下、より望ましくは20%以下(70vol%MeOH水溶液に対する膨潤性)とするのがよい。こうすることにより、特に良好な界面密着性およびプロトン伝導性が得られる。
基体104および基体110としては、カーボンペーパー、カーボンの成形体、カーボンの焼結体、焼結金属、発泡金属などの多孔性基体を用いることができる。また、基体104または基体110の撥水処理にはポリテトラフルオロエチレンなどの撥水剤を用いることができる。
燃料極側触媒層106の触媒としては、白金、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、コバルト、ニッケル、レニウム、リチウム、ランタン、ストロンチウム、イットリウム等の金属、またはこれらの合金、たとえば白金とルテニウムとの合金等が例示される。一方、酸化剤極側触媒層112の触媒としては、燃料極側触媒層106と同様のものを用いることができ、上記例示物質を使用することができる。なお、燃料極側触媒層106および酸化剤極側触媒層112の触媒は同じものを用いても異なるものを用いてもどちらでもよい。
単セル構造101の作製方法は特に制限がないが、たとえば以下のようにして作製することができる。
触媒電極は、たとえば、カーボンペーパーなどの基体上に、触媒物質と第一の固体高分子電解質150または第二の固体高分子電解質151とを含む触媒層が形成することにより得られる。ここで、触媒物質は触媒金属と触媒金属を担持する導電粒子を含む。ここで、導電粒子としては炭素粒子等が用いられる。第一の固体高分子電解質150または第二の固体高分子電解質151は、導電粒子を基体104または基体110上に固定化するとともに、導電粒子と固体電解質膜114との間を電気的に接続する役割を果たす。
まず炭素粒子へ触媒を担持する。この工程は、一般的に用いられている含浸法によって行うことができる。次に触媒を担持させた炭素粒子と上記第一の固体高分子電解質150または第二の固体高分子電解質151の粒子を溶媒に分散させ、ペースト状とした後、これを基体104または基体110に塗布、乾燥させることによって燃料極側触媒層106または酸化剤極側触媒層112が形成された燃料極102および酸化剤極108を作製することができる。
ここで、炭素粒子の粒径は、たとえば0.001〜0.1μmとする。触媒粒子の粒径は、たとえば0.1nm〜100nmとする。また、第一の固体高分子電解質150および第二の固体高分子電解質151粒子の粒径は、たとえば0.05〜100μmとする。炭素粒子と固体高分子電解質の粒子とは、たとえば、重量比で1:5〜40:1の範囲で用いられる。また、ペースト中の水と溶質との重量比は、たとえば、1:2〜10:1程度とする。
基体104または基体110へのペーストの塗布方法については特に制限がないが、たとえば、刷毛塗り、スプレー塗布、およびスクリーン印刷等の方法を用いることができる。ペーストは、約1μm〜2mmの厚さで塗布される。ペーストを塗布した後、使用する第一の固体高分子電解質150または第二の固体高分子電解質151に応じた加熱温度および加熱時間で加熱して乾燥させる。加熱温度および加熱時間は、用いる材料によって適宜に選択されるが、たとえば、加熱温度100℃〜250℃、加熱時間30秒間〜30分とすることができる。
固体電解質膜114は、用いる材料に応じて適当な方法を採用して作製することができる。たとえば、有機高分子材料を溶媒に溶解ないし分散した液体を、ポリテトラフルオロエチレン等の剥離性シート等の上にキャストして乾燥させることにより得ることができる。
以上のようにして作製した固体電解質膜114を、燃料極102および酸化剤極108で挟み、ホットプレスし、単セル構造101を得る。このとき、両電極の触媒が設けられた面と固体電解質膜114とが対向するようにする。ホットプレスの条件は、材料に応じて選択されるが、たとえば、第一の固体高分子電解質150や第二の固体高分子電解質151の軟化温度やガラス転位温度を超える温度とする。具体的には、たとえば、温度100〜250℃、圧力5〜100kgf/cm2、時間10秒〜300秒とする。
なお、本実施形態において、極性基の含有密度は、官能基の種類に応じ、所定の方法を用いて測定することができる。スルホン基の場合、たとえば、酸素燃焼フラスコ法等によりスルホン基を硫酸イオンに変換した後、イオンクロマトグラフィーまたは滴定で定量することができる。滴定はカルボキシアルセナゾを指示薬とし、0.01M過塩素酸バリウムで滴定し、青から紫の変色点を求める。また、フッ素含有率は、蛍光X線分析等により定量することができる。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
たとえば、本発明における触媒層は、第一の固体高分子電解質150または第二の固体高分子電解質151以外の他の固体高分子電解質を含んでもいてもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の態様はこれに限定されるものではない。本実施例では、燃料極および酸化剤極の固体高分子電解質にスルホン基含有パーフルオロカーボンを用いて燃料電池を作製し、その評価を行った。そして、燃料極および酸化剤極において、固体高分子電解質のプロトン伝導度を異ならせた場合とそうでない場合の比較を行った。
(固体高分子電解質のプロトン伝導度測定)
まず、固体高分子電解質のプロトン伝導度の測定方法を説明する。本実施例において、燃料極または酸化剤極に用いる固体高分子電解質のプロトン伝導度は、以下の手順により測定される。まず、測定対象の固体高分子電解質溶液を、基板上にスプレー塗布した後、乾燥させる。基板として、固体高分子電解質との親和性の低い材料を用いるとよい。乾燥物を基板から剥離し、140℃程度の温度でプレスを行う。こうして、プロトン伝導度測定用の膜が得られる。
作製した膜のプロトン伝導度を、膜の表面に垂直な方向について測定する。まず、膜をたとえば1Mの硫酸に、たとえば12時間以上浸漬させる。こうすることにより、膜を十分に湿潤させることができる。また、膜中のカチオンをプロトンに交換することができる。次に、中央部がたとえば1cm2程度切り取られたシリコンゴムシートに湿潤させた膜を挟み込む。
そして、膜を挟んだシリコンゴムシートを中央部の1cm2に流路が切られたカーボンセルに挟む。次いで、カーボンセルを閉じ、両側のカーボンセルに1M硫酸を流し込み、膜の両面を1M硫酸で満たす。
そして、カーボンセルの電極端子から交流インピーダンスアナライザで膜を挟んだカーボンセルの抵抗値を測定する。測定された膜(カーボンセル込み)の抵抗値から膜を入れずにシリコンゴムシートを挟み、硫酸を満たして測定したカーボンセルのみの抵抗値をさし引き、膜のみの抵抗値を算出する。こうして得られた抵抗値から計算によりプロトン伝導度を得られる。
以上に説明した手順で、3種類のスルホン基含有パーフルオロカーボンの膜厚方向のプロトン伝導度を測定した。固体高分子電解質として、具体的には、デュポン社製Nafion(登録商標)溶液であるDE521、DE520、およびDE2029を用いた。測定結果を表1に示す。
Figure 0004214918
(燃料電池の作製)
ルテニウム−白金合金を担持したケッチェンブラック100mgを水で失活させた後、デュポン社製5%ナフィオン溶液3mlを加え、超音波混合器で50℃にて3時間攪拌して触媒ペーストとした。ナフィオン溶液として、DE521を用いた。
上で用いた合金組成は50atom%Ruで、合金と炭素微粉末の重量比は1:1とした。このペーストを1cm×1cmのカーボンペーパー(TGP−H−120:東レ社製)上に2mg/cm塗布し、130℃で乾燥させ、燃料極とした。
また、触媒金属に白金を用い、燃料極と同様の方法を用いて酸化剤極を作製した。このとき、ナフィオン溶液としてDE521を用いた触媒電極およびDE520を用いた触媒電極をそれぞれ作製した。
得られた触媒電極を、ナフィオン117(デュポン社製、登録商標)膜の両面に温度150℃、圧力10kgf/cm(10秒間)の条件でヒートプレスし、得られた触媒電極−固体電解質膜接合体を燃料電池の単位セルとした。燃料極にDE521を用い、酸化剤極にDE520を用いた単位セルを電池1とした。また、燃料極および酸化剤極にともにDE521を用いた単位セルを電池2とした。
(電池特性の評価)
電池1および電池2の電流−電圧特性および電流−電力特性を評価した。得られた単位セルの燃料極に30v/v%メタノール水溶液を、酸化剤極には空気(1.1気圧、25℃)を、セル温度40℃にてそれぞれ供給した。燃料および酸素の流速はそれぞれ100ml/min、および100ml/minとした。それぞれの電池を電池性能評価装置にセットして電池特性を評価した。
図5および図6は、電池1および電池2の出力特性を示す図である。図5は、電流対電圧の関係を示し、図6は、電流対電力の関係を示す。また、これらの図において、「DE520」はは電池1の結果を示し、「DE521」は電池2の結果を示す。図5より、燃料極と酸化剤極にともにDE521を用いた電池2に対し、酸化剤極に燃料極よりもプロトン伝導度およびイオン交換容量の大きいDE520を適用した電池1では、高電流領域での電池の電圧および電力が向上することがわかる。
本実施例では、酸化剤極の固体高分子電解質のスルホン基の密度が燃料極の固体高分子電解質のスルホン基の密度よりも大きくすることにより、酸化剤極の固体高分子電解質のイオン交換容量を燃料極のそれよりも向上させた。このように、燃料極と酸化剤極にプロトン伝導度およびイオン交換容量の異なる同種の固体高分子電解質を用いることにより、燃料電池の出力特性を向上させることができた。
なお、本実施例において、酸化剤極の固体高分子電解質にDE2029を用いた電池についても、電池1に対する出力特性の向上が認められた。また、以上の実施例では、燃料極および酸化剤極の固体高分子電解質に、いずれもスルホン基含有パーフルオロカーボンを用いたが、燃料電池の構成はこれに限定されず、他の構成の同種の固体高分子電解質を用いることもできる。具体的には、たとえば、固体高分子電解質を炭化水素系の高分子とすることができる。また、燃料極および酸化剤極の固体高分子電解質に、他の構成の固体高分子電解質を用いてもよい。
本実施形態に係る燃料電池の構成を示す断面図である。 本実施形態に係る燃料電池の構成を示す断面図である。 本実施形態に係る燃料電池の単セル構造の構成を模式的に示す断面図である。 本実施形態に係る燃料電池の単セル構造の構成を模式的に示す断面図である。 実施例に係る燃料電池の出力特性を示す図である。 実施例に係る燃料電池の出力特性を示す図である。
符号の説明
100 燃料電池
101 単セル構造
102 燃料極
104 基体
106 燃料極側触媒層
108 酸化剤極
110 基体
112 酸化剤極側触媒層
114 固体電解質膜
120 燃料極側セパレータ
122 酸化剤極側セパレータ
124 燃料
126 酸化剤
140 炭素粒子
150 固体高分子電解質
151 固体高分子電解質
811 燃料容器

Claims (7)

  1. 固体電解質膜と、該固体電解質膜を挟持する燃料極および酸化剤極と、を含み、前記燃料極に液体燃料が供給される燃料電池であって、
    前記燃料極は、第一の固体高分子電解質および第一の触媒物質を含み、
    前記酸化剤極は、第二の固体高分子電解質および第二の触媒物質を含み、
    前記第二の固体高分子電解質のプロトン伝導度が前記第一の固体高分子電解質のプロトン伝導度よりも大きいことを特徴とする燃料電池。
  2. 固体電解質膜と、該固体電解質膜を挟持する燃料極および酸化剤極と、を含み、前記燃料極に液体燃料が供給される燃料電池であって、
    前記燃料極は、第一の固体高分子電解質および第一の触媒物質を含み、
    前記酸化剤極は、第二の固体高分子電解質および第二の触媒物質を含み、
    前記第二の固体高分子電解質のイオン交換容量が前記第一の固体高分子電解質のイオン交換容量よりも大きいことを特徴とする燃料電池。
  3. 請求項1または2に記載の燃料電池において、前記第一の固体高分子電解質および前記第二の固体高分子電解質が、いずれもフッ素を含む高分子からなることを特徴とする燃料電池。
  4. 請求項3に記載の燃料電池において、前記第一の固体高分子電解質および前記第二の固体高分子電解質が、いずれもプロトン酸基含有パーフルオロカーボンまたはその誘導体であることを特徴とする燃料電池。
  5. 請求項1または2に記載の燃料電池において、前記第一の固体高分子電解質および前記第二の固体高分子電解質が、いずれもプロトン酸基を含有する炭化水素系の高分子からなることを特徴とする燃料電池。
  6. 請求項5に記載の燃料電池において、前記第一の固体高分子電解質および前記第二の固体高分子電解質が、いずれも、プロトン酸基含有ポリエーテルケトン、プロトン酸基含有ポリエーテルエーテルケトン、プロトン酸基含有ポリエーテルスルホン、プロトン酸基含有ポリエーテルエーテルスルホン、プロトン酸基含有ポリスルホン、プロトン酸基含有ポリスルフィド、およびプロトン酸基含有ポリフェニレンからなる群から選択される1または2以上の高分子またはその誘導体であることを特徴とする燃料電池。
  7. 請求項1または2に記載の燃料電池において、前記第一の固体高分子電解質および前記第二の固体高分子電解質が、いずれもプロトン酸基および芳香族を含む高分子からなることを特徴とする燃料電池。
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