JP4551532B2 - 中耕ローターにおける踏圧防止装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタの車輪により踏圧された土壌を破砕するコールタ状の刃体を有する中耕ローターにおける踏圧防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トラクタの後部にヒッチ機構を介して装着される中耕ローターが周知であり、また、この中耕ローターに、耕深を調節するためのホイルゲージを有する耕深調節装置を設けたものも周知である。
【0003】
この従来の中耕ローターによる圃場作物の中耕管理作業は、トラクタの車輪がシーズン中に作物畝間の同一部分を何回も通って中耕ローターにより作業が行われるので、トラクタの車輪が通った部分の土壌は踏圧されて固く締まったり、また、窪みができたりしている。このようなトラクタの車輪による踏圧に対して、従来の中耕ローターには踏圧防止装置が設けられていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の中耕ローターには踏圧防止装置が設けられていないので、トラクタの車輪により踏み固められた土壌は、別の作業機を用いて破砕する必要があり、余分な作業機や時間を必要とする、という問題点があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、中耕ローターに踏圧防止装置を設けて、作物畝間の中耕作業と同時に、トラクタの車輪により踏圧された土壌を破砕する,中耕ローターにおける踏圧防止装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、トラクタの後部にヒッチ機構を介して装着され、複数の中耕ユニットが挟持フレームを介して主フレームに左右スライド可能に支持されている中耕ローターにおいて、前記中耕ローターの前部に、トラクタの車輪により踏圧された土壌を破砕するコールタ状の刃体を有する踏圧防止装置を、耕深を調節するためのホイルゲージを有する耕深調節装置と接近させて並設し、
前記刃体の先端部と前記ホイルゲージを前記トラクタの車輪の後方で、その車輪の幅の範囲内に位置させてあり、
前記踏圧防止装置を支持する支持フレームと前記耕深調節装置を支持するホルダが共に、前記挟持フレームにより前記主フレームに対して左右に移動可能に支持されていることを特徴としている。
【0007】
【作用】
上記の構成により本発明の中耕ローターにおける踏圧防止装置は、以下の作用を行う。
(1).上記の構成により、中耕ローターに踏圧防止装置を設けることで、中耕ローターによる中耕作業と同時に、トラクタの車輪により踏圧された土壌を踏圧防止装置により破砕して膨軟にし、整地性を向上させる。また、踏圧防止装置を耕深調節装置と接近させて並設することで、踏圧防止作業が安定して行われる。
【0008】
(2).また踏圧防止装置(刃体)と耕深調節装置(ホイルゲージ)が共に、トラクタの車輪の幅の範囲内に位置するため、両者が接近することによる踏圧防止作業の安定性が向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面を参照して具体的に説明する。
図1ないし図3において、符号1は左右方向の長さが長く、複数列(5列)の作物畝間の中耕を行うロータリ式の「カセットローター」と称される中耕ローターである。この中耕ローター1は、前部に、図示しないトラクタの後部に設けられた周知の3点リンクヒッチ機構に連結されるトップマスト2及びロアーリンク連結部3,3が設けられ、トラクタの後部に昇降可能に装着される。また、トラクタのPTO軸から、ユニバーサルジョイント、伝動シャフト等の伝動系を介して、機体の前側左右ほぼ中央部に設けられた変速ギヤボックス4から前方に突出している入力軸5に動力が伝達される。
【0010】
中耕ローター1は、機体幅方向に延びる断面が正方形をなす主フレーム6に、挟持フレーム7を介して5個の中耕ユニット1a〜1eが、それぞれ左右スライド、かつ固定可能に支持されている。上記ギヤボックス4から左右両側に、本体フレーム6と平行に延び、伝動シャフトを内装した伝動フレーム8が設けられている。
この伝動フレーム8には中耕ユニット1a〜1eのチェン伝動ケース9の基部が軸装され、中耕ユニット1a〜1eが主フレーム6に沿って左右移動するとき、同時に伝動関係を保持したまま左右移動するようになっている。また、中耕ユニット1a〜1eは、チェン伝動ケース9の基部、即ち、伝動フレーム8への軸支部を中心に前後方向に回動可能であり、機体から後方に突出した支持アーム10とチェン伝動ケース9の上側との間にコンプレッションロッド11が介装され、各中耕ユニット1a〜1eを弾持している。各中耕ユニット1a〜1eの左右両側には、移動時に作物を分草する分草体12が設けられている。
【0011】
中耕ローター1の前部には、左右一対のホイルゲージ13がホルダ14を介して上下調節可能に支持され、耕深調節装置を構成している。この耕深調節装置と接近させて、トラクタの車輪Wにより踏圧された土壌を破砕するコールタ状の刃体15を支持フレーム16により支持した踏圧防止装置を並設している。前記ホルダ14及び支持フレーム16は、主フレーム6に対して中耕ユニット1b及び1dの挟持フレーム7により左右移動可能であり、耕深調節装置、踏圧防止装置及び中耕ユニット1b、1dがトラクタの車輪Wの後方に位置するように左右移動調節が可能となっている。
【0012】
また、コールタ状の刃体15は、支持フレーム16に対して上下の支持ボルト17及びシァーボルト18により支持され、該刃体15に過負荷が掛かったときにシァーボルト18が切断されて支持ボルト17を中心に後方に向け回動するように後部が開放されている。この場合、コールタ状の刃体15がトラクタの車輪Wにより踏圧された土壌を破砕しているときに、土中の石等の障害物により過負荷が掛かると、シァーボルト18が剪断されて後方に向け回動することにより破損が回避される。
【0013】
次に、上記中耕ローター1の動作について説明する。中耕ローター1は、図示しないトラクタの後部に設けられた3点リンクヒッチ機構を介して、トップマスト2及びロアーリンク連結部3が連結されて昇降可能の状態で牽引される。また、トラクタのPTO軸から、ユニバーサルジョイント、伝動シャフト等の伝動系を介して入力軸5に動力が伝達され、この動力は、変速ギヤボックス4内で変速されて伝動フレーム8内の伝動シャフトを介してチェン伝動ケース9に伝達され、各中耕ユニット1a〜1eのロータリ作業部を回転駆動して作物畝間の中耕作業を行う。
【0014】
中耕ローター1による中耕作業を開始する前に、耕深調節装置、踏圧防止装置及び各中耕ユニット1a〜1eは、主フレーム6に対して挟持フレーム7により作物畝の幅に合わせて左右移動調節される。従って、各中耕ユニット1a〜1eは作物畝の畝間に位置することになり、耕深調節装置のホイルゲージ13及び踏圧防止装置のコールタ状の刃体15は、中耕ユニット1b、1dと共にトラクタの車輪Wの後方の畝間に位置することになる(図1参照)。
【0015】
この状態で中耕ローター1をセットしたトラクタを走行させ、圃場の作物畝間を中耕ローター1の中耕ユニット1a〜1eにより中耕する。このとき、トラクタの車輪Wが走行する畝間は、トラクタ自体の重量及び中耕ローター1の牽引荷重により踏圧されて車輪跡が形成され、土壌が固く締まったり、また、窪みができたりする。この車輪跡は、踏圧防止装置のコールタ状の刃体15により破砕されて膨軟となり、その跡が中耕ユニット1b、1dにより中耕され、整地性が良好となる。
【0016】
踏圧防止装置のコールタ状の刃体15により固まった土壌が破砕されるとき、刃体15に土壌中の石等が衝突して過負荷が掛かったときには、図3に示すように、シァーボルト18が切断されて刃体15は支持ボルト17を中心に後方に向け回動して損傷が回避される。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の中耕ローターにおける踏圧防止装置によれば、以下の作用効果を奏することができる。
【0018】
(1).中耕ローターの前部に、トラクタの車輪により踏圧された土壌を破砕するコールタ状の刃体を有する踏圧防止装置を、耕深を調節するためのホイルゲージを有する耕深調節装置と接近させて並設したので、中耕ローターによる中耕作業と同時に、トラクタの車輪により踏圧された土壌を踏圧防止装置のコールタ状の刃体により破砕して膨軟にし、整地性を向上させる。また、踏圧防止装置を耕深調節装置と接近させて並設することによって、踏圧防止作業を安定して行うことができる。
【0019】
(2).踏圧防止装置(刃体)と耕深調節装置(ホイルゲージ)が共に、トラクタの車輪の幅の範囲内に位置するため、両者が接近することによる踏圧防止作業の安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による中耕ローター(カセットローター)全体の平面図である。
【図2】同正面図である。
【図3】同側面図である。
【符号の説明】
1 中耕ローター(カセットローター) 1a〜1e 中耕ユニット
2 トップマスト
3 ロアーリンク連結部
4 変速ギヤボックス
5 入力軸
6 主フレーム
7 挟持フレーム
8 伝動フレーム
9 チェン伝動ケース
10 支持アーム
11 コンプレッションロッド
12 分草体
13 ホイルゲージ
14 ホルダ
15 コールタ状の刃体
16 支持フレーム
17 支持ボルト
18 シァーボルト
W トラクタの車輪
Claims (1)
- トラクタの後部にヒッチ機構を介して装着され、複数の中耕ユニットが挟持フレームを介して主フレームに左右スライド可能に支持されている中耕ローターにおいて、前記中耕ローターの前部に、トラクタの車輪により踏圧された土壌を破砕するコールタ状の刃体を有する踏圧防止装置を、耕深を調節するためのホイルゲージを有する耕深調節装置と接近させて並設し、
前記刃体の先端部と前記ホイルゲージを前記トラクタの車輪の後方で、その車輪の幅の範囲内に位置させてあり、
前記踏圧防止装置を支持する支持フレームと前記耕深調節装置を支持するホルダが共に、前記挟持フレームにより前記主フレームに対して左右に移動可能に支持されていることを特徴とする中耕ローターにおける踏圧防止装置。
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