JP4549586B2 - 鋼製支承及び橋梁の支承装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、橋梁の下部構造物と上部構造物との間に設置される鋼製支承、及びこの鋼製支承と弾性ダンパーを用いた橋梁の支承装置に関すものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、橋梁の支承としては、一般に鋼製支承が用いられていたが、先般の兵庫県南部地震において、予期しない過大な地震力(水平力)によりこれに対抗する鋼製支承が損傷を受け、同時に鉛直方向の支持力も喪失したことにより路面に大きな段差が生じたり、落橋に至ったことがあった。そのため、これを教訓として鋼製支承に代えて弾性ダンパーを用いるようになった。
【0003】
ところが、弾性ダンパーを用いた場合、弾性ダンパー、特に端支点に設けられた弾性ダンパーは、鉛直方向にたわみが生じるため、常時において振動が生じたり、鉛直剛性が低いため路面に段差が生じることによる走行性の悪化及び騒音の発生などが問題になり、このような問題を解決するために、水平力を支持する弾性ダンパーと、鉛直力を支持する支承としての鋼製支承とを併用することにより、水平力支持機能と鉛直力支持機能を分離する機能分離型支承装置の実施化が考えられている。
【0004】
図8は一部を断面で示した従来の鋼製支承の一例の正面図(橋軸直角方向)図9は同じく側面図(橋軸方向)である。
両図において、61は上面中心部に円形の凹部62が設けられた下沓で、両側(橋軸直角方向)にはブラケット63が設けられており、凹部62内にはゴムプレート66、このゴムプレート66の膨出現象を防止し、耐荷重力を増加させるための鋼板の如き金属板からなる中間プレート67が収容されており、中間プレート67の上面に設けた凹部内には、フッ素樹脂の如き合成樹脂板からなるすべり板68が収容されている。69は中間プレート67の外周に装着されたシールリングである。
【0005】
64は平面ほぼH字状の上沓で、橋軸直角方向の中央部が高く、その両側が一段低く形成されかつ橋軸方向の両側が外方に突出して、その間にそれぞれ係止部65が形成されている。
そして、上沓64は係止部65が下沓61のブラケット63の間に挿入されて下沓61上に載置され、一方の片が下沓61のブラケット63にボルト71で固定されたL字状のサイドブロック70の他方の片を、上沓64の係止部65上に位置させてこれらを一体に結合したものである。
【0006】
上記のように構成した鋼製支承は、下部構造物である橋脚(橋台)と、上部構造物である橋桁との間に設置され、鉛直荷重は上沓64と下沓61のすべり板68との間で伝達され、水平荷重は上沓64の係止部65と下沓61のブラケット63との間で伝達される。また、橋軸方向の水平移動に対してはすべり板68によって対応し、回転に対してはゴムプレート66によって対応する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように構成した鉛直力支持機能を負担する鋼製支承は、橋軸方向に水平移動可能に構成されているが、橋軸直角方向には水平移動不可能に構成されているため、橋軸及び橋軸直角方向に水平力支持機能を負担する弾性ダンパーを設けても、大地震時における橋軸直角方向の水平力に対しては追従できなかった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、常時及び震度法地震時には橋軸方向のみに移動可能で、保耐法地震時には橋軸と直角方向にも移動可能な鋼製支承を提供することを目的としたものである。
また、本発明は、上記の鋼製支承と弾性ダンパーを併用した機能分離型の橋梁の支承装置を提供することを目的としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る鋼製支承は、中心部に設けた凹部にゴムプレート、中間プレート等が収容され、ベースプレートに直接又は固定部材を介してボルトによって固定された下沓と、前記ベースプレートの橋軸方向側に設けられ、前記下沓をガイドする下沓ガイドブロックと、すべり板を介して前記下沓上に橋軸方向に移動可能に保持された上沓とを有し、前記下沓に設けたボルト挿通穴に挿通されて該下沓をベースプレートに直接又は固定部材を介して固定するボルトを、震度法地震時の水平荷重を超える水平荷重が作用したときは破断する強度に設定すると共に、前記ボルトと前記ボルト挿通穴の橋軸方向との間に形成されるすき間t 1 を、前記下沓の側面と下沓ガイドブロックの側面との間に形成されるすき間t 2 より大きく形成したものである。
【0011】
また、本発明に係る橋梁の支承装置は、下部構造物と上部構造物との間に支承が設置された橋梁において、前記下部構造物と上部構造物の間に上記の鋼製支承を設置すると共に、これら鋼製支承の間に弾性ダンパーを設置したものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係る鋼製支承の橋軸直角方向の一部断面図、図2はその橋軸方向の一部断面図、図3は図1の分解斜視図である。なお、図3にはボルト・ナット類は省略してある。
図において、1は下面が平坦に形成された下沓で、上面中央部は高く形成されて円形の凹部2が設けられており、四隅にはボルト挿通穴3が設けられている。
また、凹部2の両側(橋軸直角方向)には間隔Lを隔てて上部及び両側に突設されたブラケット4a,4bが設けられており、このブラケット4a,4bの両外側面4にはねじ穴5が設けられている。6は凹部2の両側(橋軸方向)に設けられた係止段部である。
【0013】
8は上沓で、橋軸直角方向の中央部が高く形成されて複数のねじ穴9が設けられて六角ボルト44が螺入されており、その両側(橋軸直角方向)が一段低く形成されて係止段部10が形成されている。11は上沓8の下面の橋軸方向に形成された嵌合凸部で、その幅L1 は下沓1のブラケット4a,4bの間隔Lより若干狭く形成されている。12は嵌合凸部11の下面に一体に取付けられたステンレス板等からなるすべり部材である。
【0014】
15はゴムプレート、16はゴムプレート15の外周に装着される圧縮リング、17は上面が凹状に形成され、ゴムプレート15の膨出を防止して耐荷重力を増加させるための鋼板の如き金属板からなる中間プレートで、これらゴムプレート15、圧縮リング16及び中間プレート17は、下沓1の凹部2内に収容されている。そして、中間プレート17の上面に設けた凹部内には、フッ素樹脂の如き合成樹脂材からなるすべり板18が収容されている。なお、このすべり板18の上部は下沓1の凹部2から上方に突出しており、中間プレート17及びすべり板18の外周にはシールリング19が装着されている。
【0015】
21はアンカーボルト挿通穴22を有する第1のベースプレート、23は第1のベースプレート21上に溶接等により一体に接合された上面が平坦な第2のベースプレートで、第2のベースプレート23の下沓1のボルト挿通穴3と対応した位置にはねじ穴24が設けられており、また、その両縁部側には、複数のねじ穴25が設けられている。なお、第2のベースプレート23を省略し、第1のベースプレート21に複数のねじ穴24,25を設けてもよく、以下の説明では、第1,第2のベースプレート21,23を併せて、ベースプレート20と記す。
【0016】
31a,31bは側壁に下沓1のブラケット4a,4bのねじ穴5に対応してボルト挿通穴32を有するコ字状のサイドブロックで、下方の片が下沓1のブラケット4a,4bの下端部に係止し、上方の片が上沓8の係止段部10上に位置する。33a,33bはベースプレート20のねじ穴25に対応して設けられたボルト挿通穴34を有する逆L字状の下沓ガイドブロックで、段部35を備えている。
【0017】
次に、上記のような部材からなる鋼製支承の組立手順の一例について説明する。
先ず、下沓1をベースプレート20上に載置し、ボルト挿通穴3に挿通したボルト41をベースプレート20に設けたねじ穴24に螺入して、ベースプレート20に固定する。次に、係止段部6上に下沓ガイドブロック33a,33bの段部35を位置させ、そのボルト挿通穴34に挿通したボルト42をベースプレート20のねじ穴25に螺入してベースプレート20に固定する。このとき、下沓1の係止段部6の上面及び側面と下沓ガイドブロック33a,33bの段部35の下面及び側面との間には、僅かなすき間が形成される。なお、下沓1をベースプレート20に固定するボルト41は、震度法地震(中小規模の地震)時の水平荷重を超える水平荷重が作用したときは、破断する強度のものが使用される。
【0018】
ついで、下沓1の凹部2の内にゴムプレート15、圧縮リング16及び中間プレート17を収容し、中間プレート17の凹部内にすべり板18を収容して、その外周にシールリング19を配設する。
そして、下沓1のブラケット4a,4bの間に上沓8の嵌合凸部11を嵌入して下沓1の上に上沓8を載置し、そのすべり部材12をすべり板18に当接させる。次に、下沓1のブラケット4a,4bの下部と、上沓8の係止段部10との間にサイドブロック31a,31bを配設し、ボルト挿通穴32に挿通したボルト43をブラケット4a,4bのねじ穴5に螺入して下沓1に固定する。このとき、サイドブロック31a,31bの上片と上沓8との間には、僅かなすき間が形成される。これにより、上沓8は、橋軸方向にはブラケット4a,4bに沿って移動できるが、橋軸直角方向にはサイドブロック31a,31bに拘束されて移動できないように保持されており、かつサイドブロック31a,31bにより浮き上りが阻止される。
【0019】
上記のように構成した鋼製支承は、下部はベースプレート20に設けたアンカーボルト挿通穴22を、下部構造物である橋脚又は橋台に設けたアンカーボルト45に嵌合してナットで固定され、上部は上沓8のねじ穴9に螺入した六角ボルト44を介して上部構造物である橋桁に固定されて、定着される。
【0020】
次に、上記のように構成され、下部構造物と上部構造物との間に定着された鋼製支承の作用について説明する。
橋梁に作用する鉛直荷重に対しては、下沓1、上沓8などの鋼材と、すべり板18、ゴムプレート15などとの平面接触によって支持する。
また、上揚力は、サイドブロック31a,31b、下沓ガイドブロック33a,33bとベースプレート20とで支持し、六角ボルト44とアンカーボルト45により上下の構造物に定着する。
さらに、回転に対しては、下沓1の凹部2内に収容され、中間プレート17によって密封されたゴムプレート15の変形によって支持される。
【0021】
温度の変化や活荷重の作用あるいは地震などによる橋梁の橋軸方向の変位に対しては、上沓8に設けたすべり部材12と、下沓1に設けたすべり板18との間のすべり作用により、上沓8が下沓1のブラケット4a,4bにガイドされて橋軸方向に移動することにより追随する。このとき、下沓1はボルト41によりベースプレート20に固定されており、かつ、下沓ガイドブロック33a,33bに拘束されているため、橋軸方向にはほとんど移動しない。上沓8の橋軸方向への移動量は、すべり部材12の長さ、したがって上沓8の長さを変えるこにより調整される。
【0022】
ところで、橋梁は活荷重により橋軸方向への繰返し変位が発生しており、この繰返し変位が上沓1に伝達されるため、これを固定するボルト41に活荷重による繰返し水平力が作用して疲労し、切断するおそれがある。
そこで、本実施の形態においては、図4に示すように、下沓1に設けたボルト挿通穴3と、これに挿通されるボルト41との間の橋軸方向に形成されるすき間t1 を、下沓1の係止段部6の側面と下沓ガイドブロック33a,33aの段部35の側面との間に形成されるすき間t2 より大きく、t1 >t2 に形成した。
この場合、ボルト挿通穴3を長軸を橋軸方向とする楕円形に形成してもよい。
【0023】
このように構成したことにより、下沓1が橋軸方向に変位しても、下沓ガイドブロック33a,33bに当ってそれ以上の変位が阻止されてボルト41には当らないため、ボルト41に水平荷重が載荷されることがなく、疲労を防止することができる。
【0024】
このように、本実施の形態に係る鋼製支承は、常時及び地震時には橋軸方向のみに移動し、橋軸直角方向には移動しない。しかし、震度法地震時の水平荷重を超える水平荷重が作用したときは、下沓1をベースプレート20に固定するボルト41が破断するような強度に選ばれているため、保耐法地震(大地震)時にはその水平荷重によりボルト41が破断し、下沓1は下沓ガイドブロック33a,33bに沿ってベースプレート20上を橋軸直角方向に移動する。このとき、下沓ガイドブロック33a,33bにより下沓1の浮き上りが阻止される。なお、下沓1の橋軸直角方向への移動量は、ベースプレート20(図では第2のベースプレート23)の橋軸直角方向の長さを変えることにより調整することができる。
【0025】
[実施の形態2]
実施の形態1では、下沓1を、そのボルト挿通穴3に挿通した震度法地震時の水平荷重を超える水平荷重が作用したときは破断するボルト41によりベースプレート20に固定した場合を示したが、本実施の形態においては、図5に示すように、下沓1をボルト41により直接ベースプレート20に固定することなく、下沓1の橋軸直角方向の両側壁に沿って鋼板からなる固定部材36を配設し、この固定部材36に設けた複数のボルト挿通穴34に上述のボルト41を挿通し、ベースプレート20に設けたねじ穴24に螺入して固定したものである。
【0026】
本実施の形態においても、実施の形態1の場合と同様に、鋼製支承は常時及び地震時には橋軸方向のみに移動し、橋軸直角方向には移動せず、震度法地震時の水平荷重を超える水平荷重が作用したときは、固定部材36をベースプレート20に固定するボルト41が破断して固定部材36が離脱し、下沓1はベースプレート20上を橋軸直角方向に移動する。
【0027】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る鋼製支承は、温度の変化による路面の伸縮や活荷重の作用あるいは地震時には、上沓8が橋軸方向に移動してこれらに通随し、橋軸直角方向の保耐法地震時には下沓1が橋軸直角方向に移動しうるようにすべり面を分離して、全方向の変位に追随できるように構成したので、保耐法地震時の橋軸直角方向の水平変位にも確実に追随することができる。このため、路面に段差が発生したり、落橋したりする橋梁の損傷を防止することができる。
【0028】
[実施の形態3]
図6は本発明の実施の形態3に係る橋梁の支承装置の橋軸と直角方向の模式的断面図である。
図において、50は下部構造物である橋脚又は橋台(以下、橋脚という)、51は上部構造物である橋桁で、52は主桁、53は横桁である。Aは橋脚50と橋桁51との間に定着された実施の形態1に係る鋼製支承、Bは橋脚50と橋桁51との間に定着された鋼製支承Aとは別の弾性ダンパーである。
【0029】
図7に弾性ダンパーBの一例を示す。52は円柱状又は角柱状の本体で、上下方向に所定の間隔で複数の鋼板53を配設し、この鋼板53の間及び周囲を例えばゴムの如き弾性体54で一体に固めたもである。この弾性体54は水平ばね機能を備えている。また、減衰性の高い材料が用いられる場合もある。なお、下端部及び上端部の鋼板53には板厚の厚いものが用いられており、それぞれ複数のねじ穴が設けられている。
【0030】
そして、この本体52を下部プレート55上に載置して、下部プレート55に設けたねじ挿通穴に挿通したボルト57を、本体52の下端部の鋼板53に設けたねじ穴に螺入し、一体に結合する。また、本体52の上端部に上部プレート56を載置し、上部プレート56に設けたねじ挿通穴に挿通したボルト57を、本体52の上端部の鋼板53に設けたねじ穴に螺入して、一体に結合する。58は上部プレート56の上面に螺入した複数の六角ボルト、59は橋脚50に設けられ、下部プレート55に設けた複数のボルト挿通穴に挿通されるアンカーボルトである。
【0031】
上記のように構成した弾性ダンパーBは、鋼製支承Aの場合と同様に、下部プレート55を橋脚50に設けたアンカーボルト59により固定し、また、上部プレート56を六角ボルト58を介して橋桁51に固定して、両者の間に定着される。そして、この弾性ダンパーBは、鉛直荷重は支持せず、水平荷重のみ支持する。
【0032】
次に、上記のように構成した本実施の形態の作用を説明する。温度の変化や活荷重の作用あるいは地震などによる橋桁51の橋軸方向への変位に対しては、鋼製支承Aは前述のように上沓8が橋軸方向に移動し、また、弾性ダンパーBも弾性変形してこれに追随する。なお、橋軸直角方向の地震による橋桁51の橋軸直角方向への変位に対しては、鋼製支承Aは前述のように震度法地震に対して変位しない。
【0033】
また、大地震(保耐法地震)時において橋桁51が橋軸方向に変位した場合は、上記と同様の作用によりこれに追随する。橋軸直角方向の変位に対しては、鋼製支承Aは下沓1をベースプレート20に直接又は固定部材36を介して固定したボルト41が破断して橋軸直角方向に移動し、弾性ダンパーBも弾性変形してこれに追随する。
【0034】
以上の説明から明らかなように、本実施の形態は、死荷重や活荷重などの主として鉛直荷重は、鉛直方向の剛性が非常に高い鋼製支承Aが支持し、地震時の変形やエネルギーの吸収などの主として水平荷重に対しては、減衰性能及び水平ばね特性(水平ダンパー機能)を有する弾性ダンパーBが支持するように構成し、それぞれの状態を分離して機能を発揮させるようにしたものである。
【0035】
そして、橋梁の橋脚、橋台上に鋼製支承Aを設置し、それとは別に弾性ダンパーBを設置するようにしたので、地震時の全方向の水平荷重に確実に追従することができ、また、水平荷重が消滅したときは、元の状態に戻ることができる。
さらに、端支点に剛性の高い鋼製支承を設置すれば、常時において路面に段差が生じて走行性が低下したり、騒音を発するなどの問題の発生を防止することができる。
【0036】
上記の説明では、図7に示すような弾性ダンパーを用いた場合を示したが、これに限定するものではなく、他の構造の弾性ダンパーを用いてもよい。
また、上記の説明では、両端支点に鋼製支承を設置し、これら鋼製支承の間に1つのゴム支承を設置した場合を示したが、鋼製支承と弾性ダンパーの設置場所及び設置数も適宜変更することができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明に係る鋼製支承は、中心部に設けた凹部にゴムプレート、中間プレート等が収容され、ベースプレートに直接又は固定部材を介してボルトによって固定された下沓と、ベースプレートの橋軸方向側に設けられ、下沓をガイドする下沓ガイドブロックと、すべり板を介して下沓上に橋軸方向に移動可能に保持された上沓とを有し、下沓をベースプレートに直接又は固定部材を介して固定するボルトを、震度法地震時の水平荷重を超える水平荷重が作用したときは破断する強度に設定したので、次のような効果を得ることができる。
【0038】
すなわち、温度の変化による路面の伸縮や活荷重の作用あるいは地震時には、上沓が橋軸方向に移動してこれらに追随し、橋軸直角方向の保耐法地震時には下沓が橋軸直角方向に移動しうるようにすべり面を分離して、全方向の変位に追随できるように構成したので、保耐法地震時の橋軸と直角方向の水平荷重にも確実に追随することができる。このため、路面に段差が発生したり、落橋したりする橋梁の損傷を防止することができる。
【0039】
また、上記の下沓に設けたボルト挿通穴に挿通されて該下沓をベースプレートに直接又は固定部材を介して固定するボルトと、前記ボルト挿通穴の橋軸方向との間に形成されるすき間t1 を、前記下沓の側面と下沓ガイドブロックの側面との間に形成されるすき間t2 より大きく形成したので、繰返し水平荷重によるボルトの疲労を防止することができる。
【0040】
また、本発明に係る橋梁の支承装置は、下部構造物と上部構造物との間に支承が設置された橋梁において、下部構造物と上部構造物との間に上記の鋼製支承を設置すると共に、これら鋼製支承とは別に弾性ダンパーを設置したので、全方向の水平荷重に確実に追随することができ、また、端支点に剛性の高い鋼製支承を設置することにより、常時において路面に段差が生じて走行性が低下したり、騒音が発するなどの問題を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る鋼製支承の橋軸直角方向の一部断面図である。
【図2】図1の橋軸方向の一部断面図である。
【図3】図1の分解斜視図である。
【図4】図2の要部の拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る鋼製支承の橋軸直角方向の要部を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る橋梁の支承装置の橋軸直角方向の模式的断面図である。
【図7】図6の弾性ダンパーの一例の縦断面図である。
【図8】従来の鋼製支承の一例の橋軸直角方向の一部断面図である。
【図9】図8の橋軸方向の一部断面図である。
【符号の説明】
A 鋼製支承
B 弾性ダンパー
1 下沓
2 凹部
4a,4b ブラケット
6 係止段部
8 上沓
11 嵌合凸部
12 すべり部材
15 ゴムプレート
17 中間プレート
18 すべり板
20 ベースプレート
31a,31b サイドブロック
33a,33b 下沓ガイドブロック
36 固定部材
41 ボルト
50 橋脚
51 橋桁
Claims (2)
- 中心部に設けた凹部にゴムプレート、中間プレート等が収容され、ベースプレートに直接又は固定部材を介してボルトによって固定された下沓と、前記ベースプレートの橋軸方向側に設けられ、前記下沓をガイドする下沓ガイドブロックと、すべり板を介して前記下沓上に橋軸方向に移動可能に保持された上沓とを有し、
前記下沓に設けたボルト挿通穴に挿通されて該下沓をベースプレートに直接又は固定部材を介して固定するボルトを、震度法地震時の水平荷重を超える水平荷重が作用したときは破断する強度に設定すると共に、前記ボルトと前記ボルト挿通穴の橋軸方向との間に形成されるすき間t 1 を、前記下沓の側面と下沓ガイドブロックの側面との間に形成されるすき間t 2 より大きく形成したことを特徴とする鋼製支承。 - 下部構造物と上部構造物との間に支承が設置された橋梁において、
前記下部構造物と上部構造物との間に請求項1に記載の鋼製支承を設置すると共に、これら鋼製支承の間に弾性ダンパーを設置したことを特徴とする橋梁の支承装置。
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