JP4549474B2 - ランドリーバッグ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリビニルアルコール系重合体からなるランドリーバッグに関する。さらに詳しくは、耐冷水性、耐湿性、温水溶解性、耐久性、強度に優れ、かつ熱溶融成形が可能なランドリーバッグに関する。
【0002】
【従来の技術】
血液、体液、排泄物などによって汚染された医療器具類やリネン類は、再使用を目的に洗浄、殺菌することが日常的に行われている。しかし、これらの汚染された医療器具類やリネン類の回収、運搬、洗浄、殺菌工程において、それに携わる従事者が、汚染された医療器具やリネン類に付着した汚染物質に、直接的または間接的に接触することがあり、それによる二次感染が引き起こされることが、問題になっている。
【0003】
このような問題を解決するため、従来水溶性フィルムを基材としたランドリーバッグで、使用後の汚染された医療器具類やリネン類を密封包装し、洗浄場まで運搬後、該バッグごと汚染医療器具類やリネン類を洗浄、殺菌することが行われている。
【0004】
ランドリーバッグに用いられる水溶性フィルムの樹脂として、コストや加工性の点から、ポリビニルアルコールが用いられてきた。しかし、従来のポリビニルアルコールからなるフィルムを用いて製造されたランドリーバッグは耐冷水性、耐湿性が問題であった。即ち、医療器具類やリネン類に付着している血液や体液や排泄物等の水分によって、フィルムが破れたり溶出したりすることがあり、さらにはランドリーバッグをぶら下げたり、吊したりした際に、特に高湿度下において、フィルムが破れたりすることがあり、大きな問題となっていた。これらの問題を解決するため、ポリビニルアルコールのけん化度や重合度を上げたり、フィルムの厚みを増やしたりすることが行われてきたが、未だ耐冷水性や耐湿性は満足できるレベルではなく、さらにけん化度を上げたり重合度を上げた場合は、特に熱溶融成形において、融点や粘度が高くなるためフィルムを製造することが困難となる。また単にフィルムの厚みを増やした場合は、そのコストが高くなるばかりか、取り扱い性、輸送、運搬に、より労力を要したり、洗浄、殺菌する際に、ランドリーバッグが溶解する時間が長くなる等の問題があった。
【0005】
またポリビニルアルコールは融点と熱分解温度が接近しており、熱溶融成形によるフィルム化が困難であった。これを改良するため、ポリビニルアルコールのけん化度を下げたり、コモノマーを共重合したり、可塑剤を添加することにより融点や溶融粘度を下げて、フィルムを成形する試みがなされている。しかし、けん化度を下げたフィルムは、先に述べたのと同様耐冷水性や耐湿性が低下するばかりか、ポリビニルアルコールの熱安定性が低下し、熱溶融成形時に酢酸臭が発生する等の問題を有している。また可塑剤を添加して融点を下げる場合も、耐冷水性や耐湿性が低下するばかりか、可塑剤がフィルム表面に滲み出す、いわゆるブリードの問題があり、現実的ではない。また特開平8−258145には、ポリビニルアルコールに水を配合し、ダイス温度180℃以下でインフレーション成形する方法も開示されている。しかし、この方法では水の発泡により、インフレーション成形時にフィルムに穴が空いたり、フィルムに気泡が目立つ等の問題があった。さらに先に述べた耐冷水性や耐湿性に対しては未だ問題を有していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このような背景下において、常温付近の温度では耐冷水性、耐湿性を有し、洗浄、殺菌する際の温水または熱水に対しては溶解し、かつ耐久性、強度に優れたランドリーバッグを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、エチレン1〜19モル%を主鎖に含有し、カルボキシル基およびラクトン環を合計で0.02〜0.4モル%含有する、重合度200〜3000、けん化度95〜100モル%のポリビニルアルコール系重合体からなるランドリーバッグを提供することにより達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるビニルアルコール系重合体は、ビニルエステルと炭素数4以下のα−オレフィンとの共重合体のけん化物である。ここでビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表例として挙げられるが、その他にプロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステルも挙げられる。これらのビニルエステルは一種あるいは二種以上混合して使用してもよい。
【0009】
炭素数4以下のα−オレフィンとして、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレン等が挙げられるが、得られるランドリーバッグの耐冷水性、耐湿性の点で、特にエチレンが好ましい。α−オレフィンを特定量共重合することで、ランドリーバッグの耐冷水性や耐湿性を向上させ、かつフィルムを作製する際の成形性を向上させることができる。α−オレフィンの含有量は1〜19モル%であることが必要であり、2〜15モル%であることが好ましく、3〜12モル%であることが特に好ましい。α−オレフィンの含有量が1モル%未満では、共重合による効果が顕著に現れず、耐冷水性、耐湿性、成形性が低下する。一方、α−オレフィンの含有量が19モル%を超えると、得られたランドリーバッグは温水または熱水に対しても溶解しにくくなる。
【0010】
本発明に用いられるポリビニルアルコール系重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、α−オレフィン以外の変性がなされていてもよい。ビニルエステルと共重合可能なビニルモノマーとしてはアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド系単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体;アリルアルコール;ビニルトリメトキシシラン;N−ビニル−2−ピロリドン、イソプロペニルアルコール、7−オクテン−1−オール、アリルアセテート、イソプロペニルアセテート等が挙げられる。
【0011】
本発明に用いられるビニルアルコール系重合体の重合度は200〜3000であることが必要であり、250〜2500であることが好ましく、300〜2000であることが特に好ましい。重合度が200より低いと得られたランドリーバッグの物性、特に強度や耐衝撃性が低下する。一方、重合度が3000より高いと粘度が高くなり、フィルム成形が著しく困難となる。
【0012】
本発明に用いられるビニルアルコール系重合体のけん化度は、95〜100モル%であることが必要であ。けん化度が80モル%未満では、フィルムの耐冷水性、耐湿性が低下するばかりか、熱溶融成形時においては、熱安定性が悪くなり、酢酸臭を発生したり、フィルムにブツやゲルを多量に生じることがある。さらに本発明に用いるビニルアルコール系重合体は、これらのコモノマーの種類や量、けん化度、重合度のうち少なくともひとつが異なるビニルアルコール系重合体を混合して使用してもよい。
【0013】
本発明に使用するビニルアルコール系重合体は、熱溶融性であることが好ましい。熱溶融性とは、熱溶融成形時において著しい劣化やゲル化等の変質をきたさないような成形条件を設定し得るものであり、融点が170〜230℃のビニルアルコール系重合体が一般に用いられることが多い。融点が170℃未満の場合は、ビニルアルコール系重合体の熱安定性や耐熱性、さらには耐冷水性、耐湿性が低下し、問題となることがある。一方、融点が230℃を超えると、ビニルアルコール系重合体の熱分解温度と近くなるため、成形が困難となる場合がある。
また、190℃〜230℃の範囲のいずれかの温度で2160g荷重おけるメルトフローインデックスが0.1〜500g/10分のものが一般的に用いられる。
【0014】
さらに、本発明者らは、本発明に用いるビニルアルコール系重合体のカルボキシル基およびラクトン環の合計含有量は0.02〜0.4モル%であることが必要であり、0.024〜0.33モル%が好ましく、0.025〜0.3モル%が特に好ましいことを見出した。本発明におけるカルボキシル基は、カルボキシル基またはそのアルカリ金属塩を包含し、アルカリ金属としてはカリウム、ナトリウムなどがあげられる。カルボキシル基およびラクトン環の合計含有量が0.02モル%未満の場合には、ビニルアルコール系重合体をフィルムに成形する際の、増粘、ゲル化が顕著となり、溶融成形性が低下することがある。一方、カルボキシル基およびラクトン環の合計含有量が0.4モル%を超えると、ビニルアルコール系重合体の熱分解により溶融成形性が悪くなることがあるばかりか、得られたフィルムの耐冷水性、耐湿性が低下するため使用が制限されることがある。
【0015】
カルボキシル基およびラクトン環を有するα−オレフィン変性ビニルアルコール系重合体の製法としては、<1>酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体とα−オレフィンとカルボキシル基およびラクトン環を生成する能力を有する単量体とを共重合して得られたビニルエステル系重合体を、アルコールあるいはジメチルスルホキシド溶液中でけん化する方法、<2>メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸などのカルボキシル基を含有するチオール化合物の存在下で、α−オレフィンとビニルエステル系単量体を重合した後それをけん化する方法、<3>酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体を重合する際に、ビニルエステル系単量体およびビニルエステル系重合体のアルキル基への連鎖移動反応を起こし、高分岐ビニルエステル系重合体を得た後にけん化する方法、<4>エポキシ基を有する単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をカルボキシル基を有するチオール化合物と反応させた後けん化する方法、<5>PVAとカルボキシル基を有するアルデヒド類とのアセタール化反応による方法などが挙げられる。
【0016】
PVA系重合体のカルボキシル基およびラクトン環の含有量はプロトンNMRのピークから求めることができる。けん化度99.95モル%以上に完全にけん化後、十分にメタノール洗浄を行い、次いで90℃減圧乾燥を2日間して分析用のPVAを作した。
上記<1>の場合、作した分析用PVAをDMSO−Dに溶解し、500MHzのプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて60℃で測定した。アクリル酸、アクリル酸エステル類、アクリルアミドおよびアクリルアミド誘導体の単量体は、主鎖メチンに由来するピーク(2.0ppm)を用いて、メタクリル酸、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミドおよびメタクリルアミド誘導体の単量体は、主鎖に直結するメチル基に由来するピーク(0.6〜1.1ppm)を用いて、常法により含有量を算出した。フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸または無水イタコン酸等に由来するカルボキシル基を有する単量体は、作した分析用PVAをDMSO−Dに溶解後トリフルオロ酢酸を数滴加え、500MHzのプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて60℃で測定した。定量は4.6〜5.2ppmに帰属されるラクトン環のメチンピークを用いて常法により含有量を算出した。
<2>および<4>の場合、硫黄原子に結合するメチレンに由来するピーク(2.8ppm)を用いて含有量を算出した
<3>の場合、作した分析用PVAをメタノール−D/DO=2/8に溶解し、500MHzのプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて80℃で測定した。末端のカルボン酸もしくはそのアルカリ金属塩のメチレン由来ピーク(下記の化1および化2)は2.2ppm(積分値A)および2.3ppm(積分値B)に帰属し、末端のラクトン環のメチレン由来ピーク(下記の化3)は2.6ppm(積分値C)、ビニルアルコール単位のメチン由来ピークは3.5〜4.15ppm(積分値D)に帰属し、下記の式でカルボキシル基およびラクトン環の合計含有量を算出する。ここで△は変性量(モル%)を表す。
カルボキシル基およびラクトン環の合計含有量(モル%)
=50×(A+B+C)×(100−△)/(100×D)
【0017】
【化1】
Figure 0004549474
【0018】
【化2】
Figure 0004549474
【0019】
【化3】
Figure 0004549474
【0020】
<5>の場合、作した分析用PVAをDMSO−Dに溶解し、500MHzのプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて60℃で測定した。アセタール部分のメチンに由来するピーク4.8〜5.2ppm(下記の化4)を用いて、常法により含有量を算出した。
【0021】
【化4】
Figure 0004549474
【0022】
尚、本発明のランドリーバッグには特定量の可塑剤が配合されていることが、より好ましい。可塑剤の添加により、フィルムの成形性を向上させ、得られたフィルムならびにランドリーバッグを柔軟化することで、耐衝撃性や耐屈曲性等を向上させることができる。可塑剤の種類には特に限定はなく、公知の可塑剤が使用可能であり、グリセリン、ジグリセリン等のグリセリン誘導体、1,3ブタンジオール、2,3ブタンジオールなどのジオール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;ソルビトール、グリセリンおよびジグリセリンなどの多価アルコールへエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどが付加したグリセリン誘導体、ソルビトール、ペンタエリスリトール、糖類、ポリエーテル類、ビスフェノールAおよびビスフェノールSなどのフェノール誘導体、N−メチルピロリドンなどのアミド化合物、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、水等の可塑剤が一例として挙げられるが、中でもグリセリン、ジグリセリン及びそれらの誘導体が、可塑効果、耐ブリード性等の点で好んで用いられ、高温で成形した時の耐揮発性を考慮すると、ジグリセリンが最も好ましい。可塑剤の添加量はビニルアルコール系重合体100重量部に対し、1〜30重量部であることが好ましく、3〜25重量部であることがさらに好ましい。可塑剤の添加量が30部を超えると、得られたランドリーバッグの耐冷水性や耐湿性が低下したり、可塑剤が表面ににじみ出たりして問題になることがある。また添加量が1部より少ないと、ランドリーバッグを成形したり、使用する際に割れたりして問題になることがある。
【0023】
また本発明のランドリーバッグには、アンチブロッキング材が特定量配合されていてもよい。アンチブロッキング材とは、フィルムあるいはそれから作製されたランドリーバッグを、特に高湿度下で長期保存した際にフィルム同士の密着や開口不良を防止することができるものである。さらには表面を不透明化したり、印刷適性を向上させる効果を有する場合もある。アンチブロッキング材としては、フィルムの密着や開口不良を防止しうるものであれば特に制限はなく、公知のものが使用可能である。一例として、カオリン、クレー、タルク、酸性白土、シリカ、アルミナ、珪草土、ベントナイト、モンモリロナイト、木節粘土、蛙目粘土、ロウ石、ミョウバン石、陶土、長石、石綿、パーライト、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、カーボンブラック、酸化チタン、マイカ、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、シラス、ガラス、ガラス繊維などの公知の無機充填剤、尿素−ホルマリン系樹脂、メラミン−ホルマリン系樹脂などの有機充填剤が挙げられる。これらの平均粒子径としては特に制限はないが、0.1〜100μmのものが一般に用いられることが多い。アンチブロッキング材の添加量はビニルアルコール系重合体100重量部に対し、0.01〜20重量部配合されることが多い。アンチブロッキング材の添加量が20重量部を超えると、これらの水不溶物の存在により、ランドリーバッグ使用後の排水やアンチブロッキング材の除去が問題となることがある。一方添加量が0.1重量部より少ないと、ブロッキング防止効果が顕著でなくなり、使用が制限される場合がある。また、他の添加剤(熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、滑剤、離型剤、フィラー、界面活性剤など)や他の熱可塑性樹脂、澱粉、さらにはおからや木屑、紙屑などの有機性廃材を本発明の目的が阻害されない範囲で使用できる。
【0024】
本発明のランドリーバッグの作製方法には特に限定はなく、必要な厚み、用途、目的により適宜選択され、通常、熱溶融成形法、溶液からのキャスト製膜法、ゲル製膜法、湿式製膜法など公知の製膜法法が用いられるが、特に熱溶融成形法が好ましい。熱溶融成形法は他の成形法と比較して、比較的製造コストが安価であるばかりか、溶融状態から冷却される過程においてフィルムが結晶化することにより、耐冷水性、耐湿性、強度等が向上するためランドリーバッグとして好適な成形方法である。ここで、熱溶融成形法の種類には特に限定が無く、樹脂を融点または軟化点以上の温度に加熱し、フィルムに賦形する方法であれば公知の方法が使用できる。一例として、Tダイ押出成形、インフレーション成形、カレンダー成形などが挙げられるが、耐冷水性、耐湿性、製造コスト等の点からインフレーション成形法が特に好ましい。またランドリーバッグの厚みに特に制限は無く、用途により適宜選択できるが、通常5〜200μmの範囲で使用されることが多い。またその形状にも特に制限はないが、通常幅5〜200cm、長さ10〜500cmの範囲で使用されることが多い。また本発明のランドリーバッグには袋の口を縛るひもを付けてもよく、その場合、ひもは水溶性であることがより好ましく、特にビニルアルコール系重合体であることが好ましい。さらにこのビニルアルコール系重合体は本発明のランドリーバッグの袋と同じものでも良く、異なっていても良い。好ましくは袋に使用するビニルアルコール系重合体と比較して、より低温で水溶性を示し、溶解速度がはやいことが望ましい。洗浄、殺菌の際に、ひもの部分がより早く溶解し、口が開くことで、ランドリーバッグ全体の溶解時間が短くできる。
【0025】
本発明のランドリーバッグは耐冷水性、耐湿性に優れており、常温付近の温度の冷水には溶解したり破断したりすることがほとんどなく、洗浄、殺菌する際の温度、即ち温水または熱水には溶解する特徴がある。具体的には、30℃の冷水に10分間浸した時の溶出率が40%以下、好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下のランドリーバッグであることが好ましく、10分間浸した後、引き上げる際に、破断、溶断しないことが好ましい。かつ80℃の温水に10分間浸したときの溶出率が70%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上であることが好ましい。
【0026】
本発明のランドリーバッグは、ポリビニルアルコールの持つ優れた耐久性、強度を保持し、常温付近の温度では耐冷水性、耐湿性を有し、洗浄、殺菌する際の温水または熱水に対しては溶解し、かつ熱溶融成形にて作製可能であり、はさみ、メス、鉗子、開創器等の手術器具類、腹腔鏡、間接鏡、膀胱鏡、気管支鏡等の生体内に挿入する内視鏡類、およびその付属品、マイクロ手術器械類、手術着等の衣類、手術室の器械台シーツ、病棟シーツ、枕カバー等のリネン類をはじめとする医療器具やその付属品等の回収、洗浄、殺菌等の際に用いられる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例および比較例において「部」および「%」は、特に断らない限り重量基準を意味する。また、PVAの分析方法は下記の要領で測定した。
【0028】
<1>PVAの分析方法
PVAの分析方法は特に記載のない限りはJIS−K6726に従った。
エチレンの含有量は、該PVAの前駆体であるエチレン含有ビニルエステル重合体のプロトンNMRから求めることができる。すなわち、得られたポリビニルエステルをn−ヘキサン/アセトンで再沈精製を3回以上十分に行った後、80℃減圧乾燥を3日間して分析用のビニルエステル重合体を作した。該ポリマーをDMSO−Dに溶解し、500MHzのプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて80℃で測定した。ビニルエステルの主鎖メチンに由来するピーク(4.7〜5.2ppm)とエチレン、ビニルエステルおよび第3成分の主鎖メチレンに由来するピーク(0.8〜1.6ppm)を用いてエチレンの含有量を算出した。カルボキシル基およびラクトン環の合計含有量はPVAを用いて、NMR装置による測定から前述のとおり求めた。
PVAの融点は、DSC(メトラー社、TA3000)を用いて、窒素中、昇温速度10℃/分で250℃まで昇温後室温まで冷却し、再度昇温速度10℃/分で250℃まで昇温した場合のPVAの融点を示す吸熱ピークのピークトップの温度を調べた。
【0029】
実施例1〜8および参考例1〜4
重合度、けん化度、変性度、カルボキシル基およびラクトン環の合計含有量が異なる種々のポリビニルアルコール系重合体に、所定量の可塑剤、さらに、アンチブロッキング材としてタルクを3重量部添加後、2軸押出機を用い、225℃で溶融混練することでペレットを作製した。さらに、ペレットからシリンダー温度225℃でインフレーション成形を行い、厚さ25μm、折り幅30cmのフィルムを得た。45cm長さに切断後、一辺をヒートシールして製袋し、ランドリーバッグを得た。成形性、フィルム物性を以下の基準で評価した。結果を表1〜2に示す。
【0030】
評価方法
(1)成形性
インフレーション成形後のフィルムの外観や、成形中の分解、発煙の程度から、以下の基準で評価した。
◎:フィルムにゲルがほとんど認められず、樹脂の劣化による発煙や分解臭もない。
○:フィルムにゲルがわずかに認められるが、樹脂の劣化による発煙や分解臭はほとんどない。
△:フィルムにかなりゲルが認められ、樹脂の劣化による発煙や分解臭が認められる。
×:樹脂の劣化が激しい、または樹脂の融点が高いため溶融成形できない。もしくは得られたフィルムが脆いため、巻き取る際にフィルムが割れてしまい、連続してフィルムを得ることが出来ない。
(2)耐冷水性
ランドリーバッグに、水で濡らした40cm角の布を丸めて袋に入れ、20℃、65%RHに保った部屋内に袋をつるした。3日後袋の外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎:袋が破れておらず、またいずれの部分もほとんど膨潤していない。
○:袋が破れていないが、布が接触していた部分はやや膨潤している。
△:袋は破れていないが、布が接触していた部分はかなり膨潤している。
×:袋が破れている。
(3)熱水溶解性
ランドリーバッグから40mm×40mmの正方形のフィルムを切り出し、これをスライドマウントにはさんで固定した。300mlビーカーに水250mlを入れ、水温を80℃に保ちながら長さ5cmのマグネットスターラーチップを用いて280rpmで攪拌し、その中に、スライドマウントで固定したフィルムを浸漬し、フィルムが完全に溶解するまでの時間(秒数)を測定し評価した。
(4)強度
ランドリバッグから試験片を切り出し、20℃、65%RHで7日間調湿後、オートグラフを用い、引張強度を測定した。
(5)耐ブリード性
ランドリーバッグを、20℃、65%RHで28日間放置後、可塑剤の滲み出しを目視で観察し、評価した。
【0031】
比較例1〜3
ポリビニルアルコール系重合体の重合度、けん化度、変性度、カルボキシル基およびラクトン環の合計含有量が異なる以外は実施例1と同様に成形したが、樹脂の劣化が激しい、または樹脂の融点が高いため溶融成形できないか、もしくは得られたフィルムが脆いため、フィルムを得ることが出来なかった。
【0032】
比較例4〜5
ポリビニルアルコール系重合体の重合度、けん化度、変性度、カルボキシル基およびラクトン環の合計含有量が異なる以外は、実施例1と同様にフィルムを作製し、成形性、水溶性を評価した。結果を表1〜2に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0004549474
【0034】
【表2】
Figure 0004549474
【0035】
【発明の効果】
常温付近の温度では耐冷水性、耐湿性を有し、洗浄、殺菌する際の温水または熱水に対しては溶解し、かつ耐久性、強度に優れたランドリーバッグを提供できる。

Claims (4)

  1. エチレン1〜19モル%を主鎖に含有し、カルボキシル基およびラクトン環を合計で0.02〜0.4モル%含有する、重合度200〜3000、けん化度95〜100モル%のポリビニルアルコール系重合体からなるランドリーバッグ
  2. ポリビニルアルコール系重合体100重量部に対し、可塑剤が1〜30重量部配合されている請求項1に記載のランドリーバッグ。
  3. 熱溶融成形して得た請求項1または2に記載のランドリーバッグ。
  4. インフレーション成形して得た請求項1または2に記載のランドリーバッグ。
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