JP4549455B2 - ブロックコンバータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロックコンバータに関し、特に、通信衛星から送信される放送信号を弁別して得られる水平偏波信号及び垂直偏波信号の周波数を変換して、FM、VHF、UHF等の既存の放送信号とともに、1本の同軸ケーブルを介して受信端末に供給するブロックコンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
通信衛星(Communication Satellite:CS)を利用したCSデジタル放送は、通信衛星の12GHz帯の信号を使い、水平、垂直両偏波により1衛星当り約100チャンネルのテレビ放送とラジオ放送を実現している。このような通信衛星を利用した放送技術により、今後、放送データサービスに通信機能を付加して、双方向のコミュニケーションを実現するインタラクティブTVや、衛星インターネット、データ伝送等の多彩なマルチメディアサービスが予定されている。このような放送環境の変化に伴って、ビルやマンション等の共同住宅において、FM、VHF、UHF等の既存の地上波放送や、放送衛星(Broadcasting Satellite:BS)による放送だけでなく、上記CSデジタル放送も受信可能なシステムの実現が希求されている。
【0003】
しかしながら、通信衛星から送信される放送信号を弁別して得られる水平偏波信号及び垂直偏波信号は、略同一の周波数帯域を使って多チャンネル送信を行っているため、1本の伝送ケーブルによっては両偏波信号を同時に伝送することができない。そこで、1本の伝送ケーブルによって効率よく両偏波を伝送するために、CSブロックコンバータ(周波数変換器)を使用して、それぞれ別の帯域に置き換えて、周波数帯域が重ならないようにする必要がある。
CSブロックコンバータは、複数の放送チャンネルをひとまとめにしたブロック単位で、周波数帯域を水平偏波信号及び垂直偏波信号毎に、互いに周波数帯域が重なり合わないように変換するとともに、既存の他の放送信号の周波数帯域にも重ならないようにして、1本の伝送ケーブルで同時に伝送できるようにしたものである。
【0004】
以下に、CSブロックコンバータを適用した共同受信システムについて、図面を参照して説明する。
図4に示すように、共同受信システムは、通信衛星CSから送信される放送信号101を受信するCSアンテナ102と、放送衛星BSから送信される放送信号111を受信するBSアンテナ112と、BSアンテナ112により受信した放送信号に、FM、VHF、UHF等の既存の地上波放送信号、又は、ケーブルテレビ(Cable Television:CATV)等による放送信号を合成する混合器113と、CSアンテナ102により受信され、弁別された水平偏波信号及び垂直偏波信号、並びに、既存の放送信号を個別の入力として、上述したように周波数変換を行うCSブロックコンバータ120とを有して構成されている。なお、CSブロックコンバータ120により周波数変換された各放送信号は、1本の同軸ケーブル121に同時に送出され、各住戸に設置されたテレビジョン等の受信端末に供給される。
【0005】
ここで、通信衛星CSから送信される放送信号101は直線偏波であって、同じ周波数帯域で90度角度がついた水平偏波信号及び垂直偏波信号を使い分けることにより多チャンネル化を図っている。一方、放送衛星BSから送信される放送信号111は円偏波であって、相互に重ならない周波数を各チャンネルに割り当てる方式が採用されている。
【0006】
次に、上述したCSブロックコンバータ120の周波数変換処理について、図面を参照して詳しく説明する。
周波数変換処理について、図面を参照して説明する。
図5に示すように、各放送信号の伝送時の周波数割り当ては、FM(76〜90MHz)、VHF(90〜222MHz)、UHF(470〜770MHz)、BS(1035〜1335MHz)であるのに対して、CS放送信号における垂直偏波信号CS(V)の受信時の周波数帯域は1293〜1533MHz、また、水平偏波信号CS(H)の周波数帯域は1308〜1548MHzであって、BSの周波数帯域(BS1〜BS15)と部分的に重なっている。
したがって、CSブロックコンバータによる周波数変換処理は、CS放送信号を単純に水平偏波信号及び垂直偏波信号に分波して異なる周波数帯域に割り当てれば良いのではなく、BS放送信号の周波数帯域をも避けるように変換処理を行う必要がある。具体的には、垂直偏波信号CS(V)は92MHz、水平偏波信号CS(H)は347MHzだけ高周波側にシフトした形で置き換える処理が行われる。
【0007】
なお、上述したようなブロックコンバータの機能(周波数変換処理)を用い、VHF、UHF、BS、CS等の放送信号を1本の同軸ケーブルを介して伝送する共同受信システムについては、特開平10−190505号公報、特開平10−200437号公報、特開平10−294673号公報等に記載されている。
ところで、上述したような共同受信システムにおいては、一般に伝送ケーブルとして同軸ケーブルが使用されている。同軸ケーブルは、広帯域特性を有し、分岐や分配が容易であるため、共同受信システムやCATVを始め、様々なケーブルネットワークに使用されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、共同受信システムに多用されている同軸ケーブルは、広帯域特性を有し、分岐や分配が容易という特徴を有しているが、図6に示すように、伝送する信号の周波数に依存して伝送損失が増大するという特徴も有している。
そのため、同軸ケーブルを共同受信システムに使用した場合、ケーブル長数十m程度の施工であっても、数dB程度の信号の減衰が生じて、放送信号の品質が劣化するという問題を有している。
【0009】
特に、CS放送信号を他の地上波放送信号やBS放送信号等とともに1本の同軸ケーブルを介して伝送する場合には、CS放送信号から得られる水平偏波信号及び垂直偏波信号の周波数帯域が、相互に、かつ、他の放送信号(BS)と重ならないように、高周波側に広帯域で変換されることにより、帯域幅が受信時の250MHz程度(1293〜1548MHz)から500MHz以上(1385〜1895MHz)にも広がってしまうため、図6に示した周波数特性における伝送損失(信号減衰量)の影響を受けやすくなり、低周波側の信号レベルとの間に差が生じて信号品質が著しく劣化するという問題を有している。
なお、図6に示した同軸ケーブルにおける伝送損失(信号減衰量)の周波数特性は、衛星放送受信設備において多用される周知の同軸ケーブルの概略傾向を示したものである。
【0010】
そこで、本発明は、上述した問題を解決することを目的とし、伝送損失によって生じるレベル差を補正して、良好な伝送を実現し、信号品質の向上を図ることができるブロックコンバータを提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のブロックコンバータは、通信衛星から送信される放送信号を弁別して得られる水平偏波信号と垂直偏波信号の周波数帯域が互いに重なり合わないように、且つ、前記水平偏波信号及び前記垂直偏波信号の全周波数帯域が第1の中間周波数帯域となるように、前記水平偏波信号と前記垂直偏波信号との周波数帯域を別個にそれぞれ変換する第1の信号処理手段と、
前記第1の信号処理手段により変換された前記水平偏波信号と前記垂直偏波信号とを合成する第1の信号合成手段と、
前記第1の合成手段により合成された前記水平偏波信号及び前記垂直偏波信号からなる前記第1の中間周波数帯域の前記放送信号を、該第1の中間周波数帯域より高い第2の中間周波数帯域に変換する第2の信号処理手段と、
を備え、
前記第1の中間周波数帯域の前記放送信号の低周波側と高周波側との信号レベルの差が無くなるように該放送信号を補正する信号レベル補正手段を、前記第1の信号合成手段と前記第2の信号処理手段との間の経路に設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載のブロックコンバータは、請求項1記載のブロックコンバータにおいて、前記第2の信号処理手段により変換された前記第2の中間周波数帯域の放送信号に、他の放送信号を合成して、1本の伝送ケーブルに送出する第2の信号合成手段を備えたことを特徴とする。
請求項3記載のブロックコンバータは、請求項1又は2記載のブロックコンバータにおいて、前記信号レベル補正手段は、
前記第1の中間周波数帯域の放送信号の低い周波数における信号レベルを基準として固定し、より高い周波数における信号レベルを変換して、周波数に依存しない均一な信号レベルに補正する逆チルト特性を有するチルト回路であることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載のブロックコンバータは、請求項1乃至3の何れかに記載のブロックコンバータにおいて、前記信号レベル補正手段は、
前記放送信号の信号レベルの補正量を可変的に設定可能であることを特徴とする。
請求項5記載のブロックコンバータは、請求項1乃至4の何れかに記載のブロックコンバータにおいて、前記信号レベル補正手段の前段に、前記放送信号の信号対雑音比を補正するために信号レベルをアンプするS/N補正手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るブロックコンバータについて、実施の形態を示して具体的に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るブロックコンバータの概略構成を示すブロック図である。
図1において、ブロックコンバータは、ハイパスフィルタ(HPF)11a又は11b、アンプ12a又は12b、ゲインコントローラ(GC)13a又は13b、ダウンコンバータ(第1の信号処理手段)14a又は14b、及び、バンドパスフィルタ(BPF)15a又は15bを各々直列に配置して構成される2組の信号処理経路と、2組の信号処理経路により個別に第1の中間周波数にダウンコンバートされた水平偏波信号及び垂直偏波信号を合成するミキサ(MIX;第1の信号合成手段)16と、合成された両偏波信号の信号レベルを補正するチルト回路(信号レベル補正手段)17と、信号レベルが補正された両偏波信号を第2の中間周波数にアップコンバートするアップコンバータ(第2の信号処理手段)18と、両偏波信号を所定の信号レベルに増幅するアンプ19と、両偏波信号に、FM、VHF、UHF、BS放送信号を合成して1本の同軸ケーブルに送出するミキサ(MIX;第2の信号合成手段)20とを有して構成されている。
【0015】
なお、IN1は水平偏波信号CS(H)の入力端子、IN2は垂直偏波信号CS(V)の入力端子、IN3は既存の放送信号、すなわち、FM、VHF、UHF、BS等の放送信号の入力端子、OUTはブロックコンバータの出力端子であって、同軸ケーブルを介して受信端末に接続されている。また、Dfa、Dfbはそれぞれダウンコンバータの局部発振源、Ufはアップコンバータの局部発振源である。
【0016】
以下、各構成及び機能について詳しく説明する。
HPF11a、11bは、図示を省略したCSアンテナにより受信され、偏波分波器により分波されるとともに、1GHz帯の周波数に変換されて入力される放送信号の入力フィルタとして機能し、水平偏波信号CS(H)及び垂直偏波信号CS(V)の高帯域の周波数成分のみを通過させる。ここで、従来技術において説明したように、水平偏波信号CS(H)の周波数帯域は1308〜1548MHzであって、また、垂直偏波信号CS(V)の周波数帯域は、1293〜1533MHzである。
【0017】
アンプ12a、12bは、入力された水平偏波信号CS(H)及び垂直偏波信号CS(V)の信号レベルを所定のレベルまで増幅する機能を有し、また、GC13a、13bは、入力される水平偏波信号CS(H)及び垂直偏波信号CS(V)の信号レベルが変動した場合に信号レベルを調整する機能を有している。
ダウンコンバータ14a、14bは、局部発振源Dfa、Dfbからの発振周波数に基づいて、水平偏波信号CS(H)及び垂直偏波信号CS(V)の周波数帯域をダウンコンバートすることによって、次式のように反転変換するとともに、BPF15a、15bにより所定の周波数帯域の信号のみを通過させ、帯域外の信号を減衰させて、他の周波数帯域を使用する信号への受信妨害等を排除する。ここで、水平偏波信号CS(H)側の局部発振源Dfaからの発振周波数を1818MHz、垂直偏波信号CS(V)側の局部発振源Dfbからの発振周波数を2073MHzとする。
1818−(1308〜1548)=270〜510[MHz] ・・(1)
2073−(1293〜1533)=540〜780[MHz] ・・(2)
すなわち、ダウンコンバータ14a、14bによって、低い周波数が高く、また、高い周波数が低くなるように反転変換され、さらに、ミキサ16により水平偏波信号CS(H)及び垂直偏波信号CS(V)の周波数帯域を合成して、第1の中間周波数(270〜780MHz)に置き換えられる。
【0018】
チルト回路17は、ダウンコンバータ14a、14bにより第1の中間周波数にダウンコンバートされた水平偏波信号CS(H)及び垂直偏波信号CS(V)の、所定の信号レベルを基準として固定し、他の信号レベルを基準レベルに近似させるように調整する機能を有し、例えば周知のゲインコントローラを基本構成とし、所定の周波数領域(点)における利得を固定して変動しないようにした回路を付加して構成される。詳しくは後述する。
【0019】
アップコンバータ18は、局部発振源からの発振周波数に基づいて、信号レベルがチルト補正された水平偏波信号CS(H)及び垂直偏波信号CS(V)の周波数をアップコンバートして、次式のように高周波に反転変換するとともに、アンプ19により同軸ケーブルを介しての伝送に必要な信号レベルに増幅する。ここで、局部発振源からの発振周波数を2165MHzとする。
2165−(270〜780)=1385〜1895[MHz] ・・(3)
すなわち、アップコンバータ18によって、低い周波数が高く、また、高い周波数が低くなるように反転変換して第2の中間周波数帯域(1385〜1895MHz)に置き換えられる。
ミキサ20は、第2の中間周波数に変換された水平偏波信号CS(H)及び垂直偏波信号CS(V)に、既存の放送信号を合成して、同軸ケーブルを介して受信端末に伝送する。具体的には、図5に示したように、FM(76〜90MHz)、VHF(90〜222MHz)、UHF(470〜770MHz)、BS(1035〜1335MHz)よりも高周波側に、かつ、周波数帯域が重なることなく、第2の中間周波数を有する水平偏波信号CS(H)及び垂直偏波信号CS(V)が合成される。
【0020】
ここで、本実施形態に適用されるチルト回路について、図面を参照して説明する。
図2は、チルト回路のチルト特性を示す概念図である。
本実施形態に適用されるチルト回路は、周波数の高い領域の信号レベルを固定して、周波数のより低い領域の信号レベルの傾斜を変更する一般的なチルト回路とは逆の特性(逆チルト特性)を有するものである。すなわち、図2に示すように、ダウンコンバータ14a、14bにより変換された、第1の中間周波数帯域(270〜780MHz)において、周波数の低い領域(270MHz付近)の信号レベルを基準として固定し、周波数のより高い領域の信号レベルの傾斜をチルトすることにより、伝送損失に伴って高周波側ほど減衰量が増大する信号レベルの周波数特性(図中実線で図示)を補正して、周波数依存性を抑制したフラットな信号レベル(図中破線で図示)を有する放送信号を出力するものである。
【0021】
特に、ダウンコンバートした後の第1の中間周波数帯域(270〜780MHz)において信号レベルのチルト補正を行うことにより、比較的低い周波数で信号処理を行えばよいため、チルト回路を構成する各部品の特性を揃えやすく、所望のチルト特性を制御性良く簡易に実現することができる。これに対して、高い周波数帯域、例えば同軸ケーブルに放送信号を送出する際の周波数(第2の周波数;1385〜1895MHz)において同様のチルト補正を行う場合、信号の周波数が高く、かつ、周波数帯域が広いため、チルト回路を構成する各部品の定数に加え、回路パターン等の集中定数を考慮して特性を設定しなければならず、所望のチルト特性を簡易に実現することができないという問題を有している。
また、周波数の低い領域の信号レベルを固定し、周波数のより高い領域の信号レベルを調整して信号レベルをフラット化するチルト機能は、周波数の低い領域の信号レベルを補正する場合に比較して、回路的に簡易に実現することができる。
【0022】
さらに、ダウンコンバートされた水平偏波信号及び垂直偏波信号の合成後、アップコンバートまでの経路にチルト回路を設けることにより、唯一のチルト回路により同時に水平偏波信号及び垂直偏波信号に同じ特性でチルト補正を施すことができるため、簡略化された回路構成で良好に信号レベルをフラット化することができる。
なお、本実施形態において示した局部発振源Dfa、Dfb、Ufの周波数は、説明の都合上、便宜的に示した一例であって、本発明を何ら限定するものではない。要するに、チルト回路の構成及び機能を簡易に設定することができる第2の中間周波数にダウンコンバートすることができるものであれば、他の発振周波数であっても良い。
また、本実施形態に係るブロックコンバータを共同受信システムに適用した場合の概略構成は、図4に示したものと同等である。
【0023】
また、チルト回路が有する逆チルト特性は、固定された一定の補正量だけチルトするものに限らず、スイッチ機構等により所定の特性のチルト機能をON、OFFする構成(チルトあり、なしの切り替え)であってもよいし、段階的にチルト量を切り替えるもの、あるいは、ボリューム機構等により連続的にチルト量を変更するものであってもよい。
このようなチルト特性を可変する構成によれば、ブロックコンバータに適用される回路構成や特性等により伝送損失の傾向が異なる場合であっても、適切なチルト量を任意に選択して信号レベルをフラット化することができるため、良好な信号特性を実現することができる。
【0024】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係るブロックコンバータの第2の実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態は、チルト回路により補正する信号レベルのチルト量が増大した場合に、チルト回路の出力レベル、すなわちアップコンバータへの入力レベルが低下してSN比が悪化することを防止するために、補正用のアンプを設けたことを特徴としている。
図3は、第2の実施形態のブロックコンバータを示す概略図である。ここで、図1と同等の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態においては、ミキサ16とチルト回路17の間の経路にSN補正用アンプ21が設けられ、水平偏波信号CS(H)及び垂直偏波信号CS(V)をダウンコンバータ14a、14bにより第1の中間周波数へダウンコンバートし、ミキサ16により両者を合成した後、SN補正用アンプ21により信号レベルを増幅して、後段のチルト回路17に入力される。
【0025】
上述した第1の実施形態において、チルト回路17により伝送損失を補正する目的で信号レベルをチルトする際、ブロックコンバータの回路部品の特性や補正処理される信号レベル等によっては、後段のアップコンバータ18への入力レベルが低下してSN比(信号対雑音特性)が悪化して信号の品質が劣化する場合がある。
そのため、チルト回路17の前段にSN補正用のアンプ21を設けて、あらかじめ信号レベルを上昇させておくことにより、信号レベルのチルト補正によってアップコンバータへの入力レベルが低下しても、SN比の悪化を抑制することができる。
【0026】
なお、上述した各実施形態においては、通信衛星から送信されるCS放送信号を弁別して得られる2信号、すなわち、水平偏波信号及び垂直偏波信号を個別に周波数変換して合成する場合についてのみ示したが、本発明に係るブロックコンバータはこれに限定されるものではなく、単一の放送信号を周波数変換する場合であっても良好に適用することができる。ここで、単一の放送信号を周波数変換する例としては、たとえば、UHF放送信号をVHF放送信号にコンバートする場合や、CS放送信号のうち1系統の信号(水平偏波信号あるいは垂直偏波信号のいずれか)をブロックコンバートする場合等がある。
【0027】
このような周波数変換処理に本発明に係るブロックコンバータを適用した場合においても、上述した各実施形態と同様に、第1の信号処理手段(ダウンコンバータ)と第2の信号処理手段(アップコンバータ)の間にチルト回路を設けることにより、比較的低い周波数帯域で信号レベルを均一化する補正処理を行うことができるため、良好な信号伝送を簡易な回路構成で実現することができる。
また、上述した各実施形態においては、信号レベル補正手段として、逆チルト特性を有するチルト回路を適用した構成についてのみ示したが、本発明に係るブロックコンバータはこれに限定されるものではなく、チルト回路に替えてイコライザ等を用いるものであってもよい。要するに、放送信号の伝送時に生じる損失を補正して信号レベルを均一化するものであれば良好に適用することができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明に係るブロックコンバータによれば、水平偏波信号及び垂直偏波信号を第1の中間周波数に変換する処理(ダウンコンバート)から第2の中間周波数に変換する処理(アップコンバート)までの間の経路に、両偏波信号の信号レベルをフラット化する補正手段を設けているため、同軸ケーブルを介して放送信号を伝送する際に生じる伝送損失(ケーブルロス)を補正して、良好な信号品質を補償することができる。
特に、第1の中間周波数として、受信した放送信号の周波数よりも低い周波数を設定し、補正手段をダウンコンバートの後段に設けることにより、両偏波信号が低い周波数の状態で信号レベルの周波数特性を補正することができるため、回路構成を簡素化、小型化することができるとともに、安定した回路特性を実現することができる。
【0029】
また、本発明に係るブロックコンバータによれば、同軸ケーブルを介して両偏波信号を伝送する際に生じる信号レベルの伝送損失を、逆チルト特性を有するチルト回路により補正することができるため、信号レベルを適正にフラット化することができ、簡易な回路構成で信号品質の向上を図ることができる。
【0030】
また、本発明に係るブロックコンバータによれば、両偏波信号の信号レベルの補正量を、スイッチ機構やボリューム機構等を使用して、可変的に設定できるようにすることにより、ブロックコンバータの回路特性や、取り扱う信号の周波数等に依存して異なる伝送損失の傾向に応じて補正を行うことができ、信号レベルを適正にフラット化することができる。また、本発明に係るブロックコンバータによれば、信号レベル補正手段の前段にアンプ等のS/N補正手段を設けることにより、チルト回路による信号レベルの補正の際に、第2の信号処理手段(アップコンバート)への入力レベルが低下してSN比が悪化するという現象を抑制することができ、信号品質の高い良好な信号伝送を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係るブロックコンバータの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に適用されるチルト回路のチルト特性を示す概念図である。
【図3】第2の実施形態に係るブロックコンバータの概略構成を示すブロック図である。
【図4】CSブロックコンバータを適用した共同受信システムの概略構成図である。
【図5】CSブロックコンバータの周波数変換処理を示す概念図でる。
【図6】同軸ケーブルにおける伝送損失の周波数特性を示す図である。
【符号の説明】
11a、11b HPF
12a、12b、19 アンプ
13a、13b GC
14a、14b ダウンコンバータ
15a、15b BPF
16、20 ミキサ
17 チルト回路
18 アップコンバータ
21 SN補正用アンプ
Claims (5)
- 通信衛星から送信される放送信号を弁別して得られる水平偏波信号と垂直偏波信号の周波数帯域が互いに重なり合わないように、且つ、前記水平偏波信号及び前記垂直偏波信号の全周波数帯域が第1の中間周波数帯域となるように、前記水平偏波信号と前記垂直偏波信号との周波数帯域を別個にそれぞれ変換する第1の信号処理手段と、
前記第1の信号処理手段により変換された前記水平偏波信号と前記垂直偏波信号とを合成する第1の信号合成手段と、
前記第1の合成手段により合成された前記水平偏波信号及び前記垂直偏波信号からなる前記第1の中間周波数帯域の前記放送信号を、該第1の中間周波数帯域より高い第2の中間周波数帯域に変換する第2の信号処理手段と、
を備え、
前記第1の中間周波数帯域の前記放送信号の低周波側と高周波側との信号レベルの差が無くなるように該放送信号を補正する信号レベル補正手段を、前記第1の信号合成手段と前記第2の信号処理手段との間の経路に設けたことを特徴とするブロックコンバータ。 - 前記第2の信号処理手段により変換された前記第2の中間周波数帯域の放送信号に、他の放送信号を合成して、1本の伝送ケーブルに送出する第2の信号合成手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のブロックコンバータ。
- 前記信号レベル補正手段は、
前記第1の中間周波数帯域の放送信号の低い周波数における信号レベルを基準として固定し、より高い周波数における信号レベルを変換して、周波数に依存しない均一な信号レベルに補正する逆チルト特性を有するチルト回路であることを特徴とする請求項1又は2記載のブロックコンバータ。 - 前記信号レベル補正手段は、
前記放送信号の信号レベルの補正量を可変的に設定可能であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のブロックコンバータ。 - 前記信号レベル補正手段の前段に、前記放送信号の信号対雑音比を補正するために信号レベルをアンプするS/N補正手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のブロックコンバータ。
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