JP4548952B2 - 酸化物単結晶の製造方法および装置 - Google Patents

酸化物単結晶の製造方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化物単結晶の製造方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ニオブ酸リチウムカリウム単結晶やニオブ酸リチウムカリウム−タンタル酸リチウムカリウム固溶体単結晶は、特に半導体レーザー用の青色光第二高調波発生(SHG)素子用の単結晶として注目されている。これは、390nmの紫外光領域まで発生することが可能であるので、こうした短波長の光を利用することで、光ディスクメモリー用、医学用、光化学用、各種光計測用等の幅広い応用が可能である。また、前記の単結晶は、電気光学効果も大きいので、そのフォトリフラクティブ効果を利用した光記憶素子等にも適用できる。
【0003】
しかし、例えば第二高調波発生素子用途においては、単結晶の組成が僅かでも変動すると、素子から発振する第二高調波の波長が変動する。このため、上記単結晶に要求される組成範囲の仕様は厳しいものであり、組成変動を狭い範囲に抑える必要がある。しかし、構成成分が3成分あるいは4成分と多いので、各構成成分の割合を一定に制御しつつ、単結晶を高速度で育成することは一般的に極めて困難である。
【0004】
その上、光学用途、特に第二高調波発生用途においては、単結晶内に例えば400nm近辺の短波長のレーザー光を、できる限り高い出力密度で伝搬させる必要がある。しかも、このときに光損傷を最小限に抑制する必要がある。このように光損傷を抑制することは必須であるが、このためには単結晶の結晶性が良好なものである必要がある。
【0005】
本出願人は、前記のような単結晶を、一定した組成比率で育成する方法として、例えば特開平8−319191号公報において、μ引き下げ法を提案した。この方法では、例えばニオブ酸リチウムカリウムからなる原料を白金ルツボ内に収容し、溶融させ、ルツボの底面に取り付けたノズルの開口から、溶融物を下方へと向かって徐々に連続的に引き出す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
こうしたμ引き下げ技術は、前記した成分の多い酸化物単結晶を育成する上で有用な方法であった。しかし、前記単結晶を普及させるためには、工業的な生産能力を一層増大させることが必要不可欠である。このためには、ルツボの容積を大きくし、できるだけ多量の単結晶を育成する必要がある。このためには、ルツボの下に駆動装置を設け、駆動装置の上端に種結晶を接着し、種結晶をルツボ内の溶融物に接触させた後、できるだけ真っ直ぐに高精度で種結晶を引き下げる必要がある。こうした高精度の引き下げ機構としては、例えばレールを利用した駆動装置を利用できる。
【0007】
ところが、本発明者が量産実験を行ってみると、種結晶を真っ直ぐに下方へと高精度で引き下げることで、当初は良好な結晶性の単結晶を育成することに成功していても、酸化物単結晶の育成長さが大きくするのにつれて(時間が経過するのにつれて)、酸化物単結晶の結晶性が劣化し、歩留りが低下することがあった。
【0008】
本発明の課題は、酸化物単結晶の原料をルツボ内で溶融させ、この溶融物に対して種結晶を接触させ、溶融物をルツボの開口から所定の引き下げ軸の方向に引下げながら酸化物単結晶を育成するのに際して、単結晶の育成長さが大きくなるのに付随した単結晶結晶性の劣化を防止することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、酸化物単結晶の原料をルツボ内で溶融させ、この溶融物に対して種結晶を接触させ、前記溶融物を前記ルツボの開口から所定の引き下げ軸の方向に引き下げることによって、前記酸化物単結晶を育成する酸化物単結晶の製造方法であって、前記種結晶を固定保持し、その後前記単結晶を成長するために選ばれた前記種結晶の所定の結晶方位の前記引き下げ軸に対する角度を縮小させ、当該角度を0.5°以下に制御することを特徴とする、酸化物単結晶の製造方法に関する。
【0010】
また、酸化物単結晶の原料をルツボ内で溶融させ、この溶融物に対して種結晶を接触させ、前記溶融物を前記ルツボの開口から所定の引き下げ軸の方向に引き下げながら前記単結晶を育成する、酸化物単結晶の製造装置であって、
前記酸化物単結晶の原料を溶融するルツボと、前記種結晶を保持する架台とを有し、前記架台が、前記種結晶を固定保持するための保持部材と、この保持部材の下方に取り付けられた、前記引き下げ軸に対する前記単結晶を成長するために選ばれた前記種結晶の所定の結晶方位の角度を0.5°以下に傾斜させるための傾斜機構とを備えていることを特徴とする、酸化物単結晶の製造装置に関する。
【0011】
本発明者は、前述したように、単結晶の育成長さが大きくなるのにつれて、単結晶の結晶性が徐々に劣化するような場合について、得られた単結晶ファイバーやプレートの状態を詳細に観察した。この結果、単結晶ファイバーの一端から他端へと向かって、若干、直径の縮小が見られることが分かった。言い換えると、単結晶ファイバーの育成開始端から育成終了端へと向かって、直径が若干縮小する傾向が見られた。また、単結晶プレートには、若干のねじれ変形が見られることが分かった。
【0012】
本発明者は、こうした発見に基づき更に検討した結果、種結晶の保持形態に原因があるのではないかと考えた。即ち、種結晶を保持部材に対して接着してから下方へと引き下げる必要がある。種結晶を保持部材に対して接着する際には、種結晶の持つ特定の結晶方位を結晶育成の方向として選択した後、この結晶方位を引き下げ軸の方位と合わせる必要がある。そして、この選択した結晶方位は、通常種結晶の外形をなす特定辺の方向と平行である。従って、種結晶をこの特定辺を基準にして真っ直ぐに保持部材に対して接着すると、種結晶の特定辺の方向(即ち種結晶の前記結晶方位)が、引き下げ軸と一致するはずである。
【0013】
しかし、実際には、種結晶の前記結晶方位を引き下げ軸と一致させた状態で種結晶を保持部材に対して接着したとしても、接着剤が硬化する過程で不均等収縮等の不特定な原因によって、種結晶の前記結晶方位が引き下げ軸に対してずれることがあったものと思われる。この場合には、種結晶を引き下げ軸の方向へと引き下げたとしても、種結晶の前記結晶方位は引き下げ軸に対して傾斜している。そして、種結晶の前記結晶方位の方向へと向かって酸化物単結晶が成長していく。従って、単結晶が成長する方向と引き下げ軸とは、互いに若干傾斜することになる。この結果、単結晶の育成を開始した時点では問題は少ないが、単結晶が長くなるのにつれて、単結晶ファイバーの直径が徐々に小さくなり、あるいは単結晶プレートの幅が徐々に小さくなるものと思われる。
【0014】
本発明者は、この仮説に立脚し、引き下げ軸に対する保持部材の角度を傾斜させるための傾斜機構を設け、種結晶を保持部材によって保持した後、引き下げ軸に対する保持部材の角度を変化させることで、引き下げ軸と、結晶育成のために選択した結晶方位との角度を縮小させることを試みた。この結果、単結晶ファイバーの直径の縮小を防止し、あるいは単結晶プレートの幅の縮小を防止することに成功し、しかもこれらの結晶性が成長開始時点に比べて劣化しないことを発見した。
【0015】
本発明において特に好ましくは、種結晶の結晶育成のために選ばれた結晶方位の引き下げ軸に対する角度を0.5°以下(特に好ましくは0.2°以下)に制御する。
【0016】
種結晶は、ノズル部の底面の形状と同一の断面形状を有するか、あるいはノズル部の底面形状と類似かつそれよりは小さい断面形状を有するか、あるいはノズル部の底面形状のいずれの方向に対しても何らか寸法を小さくした断面形状を有することが好ましい。言い換えると、ノズル部の底面が多角断面形状、例えば、矩形断面形状、を有する場合、種結晶は、ノズル部の底面の形状と同一の多角断面形状、例えば、矩形断面形状を有するか、あるいはノズル部の底面形状と類似かつそれよりは小さい多角断面形状、例えば、矩形断面形状を有するか、あるいはノズル部の底面形状のいずれの方向に対しても何らか寸法を小さくした多角断面形状、例えば、矩形断面形状を有する。最後の場合、ノズル部の底部が50mmx2mm幅とすると、種結晶の断面形状を、例えば30mmx1mm幅とすることができる。
【0017】
また、本発明の好適な実施形態においては、架台が、保持部材を引き下げ軸を中心として回転させるための回転機構を備えており、種結晶を保持部材によって保持した後、保持部材を回転させることによって、ノズル部の底面の形状に対して種結晶の横断面形状が合うようにする。「種結晶の横断面形状をノズル部の底面の形状に合わせる」ということは、種結晶の断面形状の各辺がノズル部の底面の対応する辺と合致するか、あるいは互いに向き合うように配置することを意味する。種結晶を引下げ軸の周りに回転させることによって、ノズル部の底面の各辺と種結晶の横断面形状の各辺とがなす角度を縮小させる。この角度は、0.5°以下(特に好ましくは0.3°以下)とすることが特に好ましい。
【0018】
この実施形態について説明する。例えば単結晶プレートを育成する場合には、前述の問題に加えて、育成された単結晶プレートに若干のねじれ変形が伴っていた。本発明者は、これを防止するために、前述のように、種結晶を引き下げ軸を中心として回転させる機構を設け、保持部材を回転させることによって、種結晶の横断面の形状を、ノズル部の底面の形状に近づけることを試みた。この結果、育成された単結晶プレートのねじれ変形は縮小し、あるいはほぼ見られなくなり、単結晶プレートの全長にわたって結晶性が一層良好となることを発見した。
【0019】
ノズル部の底面の形状および種結晶の横断面形状は、正方形または長方形であることが特に好ましい。この際には、長方形の短辺と長辺との割合は、1:1−100であることが特に好ましい。
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る製造装置を例示する。図1は、単結晶育成用の製造装置を示す概略断面図であり、図2は、種結晶を保持するための架台30を示す正面図である。
【0021】
炉体の内部にはルツボ7が設置されている。ルツボ7およびその上側空間5を包囲するように、上側炉1が設置されており、上側炉1内にはヒーター2が埋設されている。ルツボ7の下端部から下方向へと向かってノズル部13が延びており、ノズル部13の下端部に開口13aが形成されている。ノズル部13およびその周囲の空間6を包囲するように下側炉3が設置されており、下側炉3の中にヒーター4が埋設されている。ルツボ7およびノズル部13は、いずれも耐食性の導電性材料によって形成されている。
【0022】
ルツボ7の位置Aに対して、電源10の一方の電極が電線9によって接続されており、ルツボ7の下端Bに対して、電源10の他方の電極が接続されている。ノズル部13の位置Cに対して、電源10の一方の電極が電線9によって接続されており、ノズル部13の下端Dに対して他方の電極が接続されている。これらの各通電機構は、共に分離されており、独立してその電圧を制御できるように構成されている。
【0023】
更にノズル部13を包囲するように、間隔を置いて、空間6内にアフターヒーター12が設けられている。ルツボ7内で、取り入れ管11が上方向へと向かって延びており、この取り入れ管11の上端に取り入れ口22が設けられている。この取り入れ口22は、溶融物8の底部から若干突き出している。
【0024】
上側炉1、下側炉3およびアフターヒーター12を発熱させて空間5、6の温度分布を適切に定め、溶融物の原料をルツボ7内に供給し、ルツボ7およびノズル部13に電力を供給して発熱させる。この状態では、ノズル部13の下端部にある単結晶育成部35では、開口13aから溶融物8が僅かに突出する。
【0025】
この状態で、種結晶15を上方向へと移動させ、種結晶15の上面15cを溶融物8に対して接触させる。次いで、種結晶15を下方向へと引下げる。この際、種結晶15の上端部と、ノズル部13から下方向へと引き出されてくる溶融物8との間には、均一な固相液相界面(メニスカス)が形成される。この結果、種結晶15の上側に単結晶14が連続的に形成され、下方向へと向かって引き出されてくる。
【0026】
種結晶としては、種々の形状の種結晶を使用することができる。本例の種結晶15は、例えば平板状の種結晶、即ち単結晶プレートとする。種結晶15は、図2、図3に示すように、一対の幅広い主面15aと、側面15bと、溶融物に接触する上面15cと、この反対側の底面15dとを備えている。
【0027】
架台30は、取付台24の上に配設されている。取付台24は、図示しない外部の駆動機構に取り付けられており、この駆動機構によって架台30の全体を引き下げ軸Pの方向へと引き下げる。
【0028】
底面15dを接着剤16によって棒状の保持部材17の上端に接着する。保持部材17の下端は、チャック18を介して、その下の調節機構にチャックされている。この調節機構の全体は、取付台24上に取り付けられている。調節機構は、上から順番に、回転機構19、傾斜機構20、および水平移動機構25を備えている。
【0029】
回転機構19においては、保持部材17を、引き下げ軸Pの周りに回転させることができる。傾斜機構20においては、保持部材17を、引き下げ軸Pに対して任意の方向に傾斜させることができる。水平移動機構25は、X軸移動機構23とY軸移動機構21とからなる。X軸移動機構23では、図3(b)に示すX軸方向に保持部材を任意に移動させることができる。Y軸移動機構21では、Y軸方向に保持部材を任意に移動させることができる。なお、図3(b)においてZ軸はP(引き下げ軸)のことである。
【0030】
本発明の好適な実施形態においては、一個の種結晶15を保持部材17に対して接着した後、複数本、例えば10本の単結晶を順次育成する。従って、本発明を実施する際には、例えば、最初の一本の単結晶ファイバーやプレートを育成し終わった後、この単結晶の横断面の直径、幅等の寸法変化を詳細に調査し、変形が見られた場合には、その変形に応じて機構19、20を操作する。その後に次の育成を行う。
【0031】
例えば、単結晶ファイバーの直径が、一端から他端へと向かって縮小していた場合には、育成方向として選択された結晶方位L(図3(a)参照)と引き下げ軸Pとの角度θが増大しているものと考えられる。従って、この単結晶ファイバーの成長面の角度を測定し、この成長面の角度から結晶方位Lを割り出す。そして、この結晶方位Lと引き下げ軸Pの方向とを比較し、この角度θを算出する。そして、この角度θに見合うだけ傾斜機構20を傾斜させ、次の育成を行う。単結晶プレートの幅が一端から他端へと向かって縮小していた場合も同様である。
【0032】
また、単結晶プレートにねじれ変形が見られる場合には、図3(b)に示すように、X−Y平面内(引き下げ軸に対して垂直な平面内)でαのように引き下げ軸P(z軸)の周りに保持部材を回転させ、次いで次の育成を行う。
【0033】
酸化物単結晶は特に限定されないが、例えば、ニオブ酸リチウムカリウム(KLN)、ニオブ酸リチウムカリウム−タンタル酸リチウムカリウム固溶体(KLTN:〔K3 Li2-x (Tay Nb1-y )5+x O15+2x 〕)、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体、Ba1-X SrX Nb2 O6 、Mn−Znフェライト、Nd、Er、Ybによって置換されたイットリウムアルミニウムガーネット、YAG、Nd、Er、Ybによって置換されたYVO4 を例示できる。
【0034】
【実施例】
(比較例1)
図1に示すような単結晶製造装置を使用し、本発明に従ってニオブ酸リチウムカリウム単結晶プレートを製造した。具体的には、上側炉1と下側炉3とによって炉内全体の温度を制御した。ノズル部13に対する電力供給とアフターヒーター12の発熱とによって、単結晶育成部35近辺の温度勾配を制御できるように構成した。単結晶プレートの引下げ機構としては、垂直方向に2〜100mm/時間の範囲内で、引下げ速度を均一に制御しながら、単結晶プレートを引き下げる機構を搭載した。
【0035】
炭酸カリウム、炭酸リチウムおよび酸化ニオブを、30:25:45のモル比率で調合して育成開始用原料を製造した。この育成開始用原料約10gを、白金製のルツボ7内に充填し、このルツボ7を所定位置に設置した。上側炉1内の空間5の温度を1100〜1200℃の範囲に調整し、ルツボ7内の原料を融解させた。下側炉3内の空間6の温度は、500〜1000℃に均一に制御した。ルツボ7、ノズル部13およびアフターヒーター12に対して所定の電力を供給し、単結晶成長を実施した。この際、単結晶育成部の温度を980℃〜1150℃とすることができ、単結晶育成部における温度勾配を10〜150℃/mmに制御することができた。単結晶育成中は、図示しない外部の原料供給機からルツボ7へ連続して原料粉末を供給した。この原料粉末は炭酸カリウム、炭酸リチウムおよび酸化ニオブを30:19:51のモル比率で調合して製造したものを用いた。
【0036】
ノズル部13としては、白金製の平板形状のノズル部を使用した。ノズル部の内側空間の横断面の寸法は1mm×50mmとし、長さは10mmとした。ルツボの形状は直方体形状とし、ルツボの内側空間の幅は10mmとし、長さは50mmとし、深さは10mmとした。この状態で、20mm/時間の速度で<110>(育成のために選択された結晶方位)方向に単結晶プレートを引き下げた。単結晶プレートの横断面形状は、1mm×30mmの長方形である。
【0037】
種結晶としては、ニオブ酸リチウムカリウム単結晶からなる板状の結晶を使用した。この種結晶の横断面は、1mm×30mmの長方形である。種結晶のX線ロッキングカーブの半値幅は50秒であった(測定装置:フィリップス社製 MRD回折計、測定反射:004)。
【0038】
そして、図2において、種結晶15の底面15dを、耐熱性無機接着剤によって保持部材17へと接着した。チャック18の下には水平移動機構25と取付台24のみを設けた。
【0039】
この結果、長さ100mmの単結晶プレートを育成した。この単結晶プレートにおいては、成長開始点における幅は30mm、厚さは1.0mmであり、成長終了点における幅は20mm、厚さは0.7mmであった。また、若干のねじれ変形が見られた。この単結晶プレートの成長開始点から50mmの部位から試料を切断し、X線回折法によって観測したところ、X線ロッキングカーブの半値幅は100秒以上であった。
【0040】
(実施例1)
比較例1を実施した後に、単結晶プレートを種結晶から除去した。この時点では、いまだ保持部材17に種結晶15が接着されたままである。続いて、保持部材17から種結晶15を取り除くことなく、図2に示す架台30に対して保持部材を取り付けた。次いで、比較例1における<110>の方向と引き下げ軸との方向との角度が0.5°以下となるように傾斜機構20を傾斜させた。また、単結晶プレートのねじれ変形を消去するような方向に、回転機構19を1°回転させておいた。この後、再び比較例1と同様に、図1の装置を使用して、ニオブ酸リチウムカリウム単結晶プレートを育成した。
【0041】
この結果、横断面形状が1mm×30mmの長方形である単結晶プレートを育成した。この長さは100mmである。この単結晶プレートの育成開始点における幅は30mm、厚さは1.0mmであり、育成終了点における幅は30mm、厚さは1.0mmである。また単結晶プレートにねじれ変形は見られなかった。また、この単結晶プレートの育成開始点から50mmの部位から試料を採取し、X線回折法によって測定したところ、X線ロッキングカーブの半値幅は40秒であった。
【0042】
また、ニオブ酸リチウムカリウム−タンタル酸リチウムカリウム固溶体単結晶のプレートについても、上記と同様の結果を得た。
【0043】
(比較例2)
次に、種結晶として、ニオブ酸リチウムカリウム単結晶からなるファイバー状の結晶を使用し、ニオブ酸リチウムカリウム単結晶プレートを育成した。この種結晶の横断面は1mm×1mmの正方形である。ファイバーの長軸方向は<110>方向であり、育成のための結晶方位と一致している。種結晶のX線ロッキングカーブの半値幅は80秒であった。
【0044】
比較例1と同様に単結晶製造装置を準備し、単結晶プレートの育成を開始した。種結晶の引き下げ速度は20mm/時間である。成長開始点における育成単結晶の幅と厚さとは、種結晶の幅と厚さとに等しく、即ち1mm×1mmであった。種結晶を引き下げるのに伴い、単結晶の育成が進行し、結晶の幅が徐々に拡大し、肩部が形成された。結晶の幅が15mmに達した付近で、結晶端部とノズル部の底面との位置ずれが大きくなり、ねじれが発生した。この結果、それ以上結晶の幅を増大させることは困難であった。この状態で長さが100mmになるまで結晶育成を継続したところ、成長終了点における幅は10mmであり、厚さは0.7mmであった。単結晶プレートの全体に、ねじれ変形が見られた。この単結晶プレートの成長開始点から50mmの部位から試料を切断によって採取し、X線回折法によって観測したところ、X線ロッキングカーブの半値幅は100秒以上であった。
【0045】
(実施例2)
比較例2を実施した後に、単結晶プレートを種結晶から除去し、実施例1と同様にして図2に示す架台30に対して保持部材を取り付けた。次いで、比較例2における<110>の方向と引き下げ軸の方向との角度が0.5°以下となるように傾斜機構20を傾斜させた。また、単結晶プレートのねじれ変形を消去するような方向に、回転機構19を1°回転させておいた。このあと、再び比較例2と同様に、図1の装置を使用して、ニオブ酸リチウムカリウム単結晶プレートを育成した。
【0046】
実施例2においては、肩部において結晶の幅が増大してもねじれ変形が発生することはなく、結晶の幅は30mmに到達した。この状態で、長さが100mmになるまで結晶育成を継続したところ、成長終了点における幅は30mmであり、厚さは1.0mmであった。また、単結晶プレートにねじれ変形は見られなかった。また、この単結晶プレートの成長開始点から50mmの部位から試料を切断によって採取し、X線回折方によって測定したところ、X線ロッキングカーブの半値幅は40秒であった。
【0047】

【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、酸化物単結晶の原料をルツボ内で溶融させ、この溶融物に対して種結晶を接触させ、溶融物をルツボの開口から所定の引き下げ軸の方向に引下げながら酸化物単結晶を育成するのに際して、単結晶の育成長さが大きくなるのに付随した単結晶結晶性の劣化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態において使用できる酸化物単結晶製造装置を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明において好適に使用できる架台30を示す正面図である。
【図3】(a)は、単結晶プレート15の接着状態を示す正面図であり、(b)は、単結晶プレート15を示す平面図である。
【符号の説明】
7 ルツボ 8 溶融物 13 ノズル部 13aノズル部13の開口 14 酸化物単結晶 15 種結晶 15a 種結晶の一対の主面 15b 種結晶の一対の側面 15c 種結晶の上面 15d 種結晶の底面 16 接着剤 17 棒状の保持部材 18 チャック 19 保持部材17を引き下げ軸Pの周りに回転させるための回転機構 20 保持部材17を傾斜させるための傾斜機構
21 保持部材17を引き下げ軸Pに垂直な平面内のY軸に沿って移動させるためのY軸移動機構 23 保持部材17を引き下げ軸Pに垂直な平面内のX軸に沿って移動させるためのX軸移動機構 24 取付台 L 育成のために選択された結晶方位 P 引き下げ軸 X、Y 引き下げ軸Pに垂直な平面内の軸 α 回転の方向 θ 引き下げ軸Pと、育成のために選択された結晶方位Lとがなす角度

Claims (10)

  1. 酸化物単結晶の原料をルツボ内で溶融させ、この溶融物に対して種結晶を接触させ、前記溶融物を前記ルツボの開口から所定の引き下げ軸の方向に引き下げることによって、前記酸化物単結晶を育成する酸化物単結晶の製造方法であって、前記種結晶を固定保持し、その後前記単結晶を成長するために選ばれた前記種結晶の所定の結晶方位の前記引き下げ軸に対する角度を縮小させ、当該角度を0.5°以下に制御することを特徴とする、酸化物単結晶の製造方法。
  2. 前記ルツボがノズル部を備えており、前記種結晶を固定保持した後、前記種結晶を前記引き下げ軸の周りに回転させることによって、前記種結晶の横断面形状を前記ノズル部の底面の形状に合わせることを特徴とする、請求項1記載の酸化物単結晶の製造方法。
  3. 前記種結晶の横断面形状が多角形であり、前記ノズル部の底面が種結晶の多角形横断面形状と同一または類似形状を有し、前記種結晶を固定保持した後、前記種結晶を引き下げ軸の周りに回転させることによって、前記種結晶の多角横断面形状の辺と前記ノズル底面の多角形状の対応する辺との複数対の辺によってそれぞれ形成される角度を縮小させることを特徴とする、請求項2記載の酸化物単結晶の製造方法。
  4. 前記種結晶の多角横断面形状の辺と前記ノズル部の底面の多角形状の対応する辺との複数対の辺によってそれぞれ形成される角度が0.5°以下であることを特徴とする、請求項2または3に記載の酸化物単結晶の製造方法。
  5. 前記種結晶の横断面形状および前記ノズル部の底面の形状が矩形形状であることを特徴とする、請求項2乃至4のいずれかに記載の酸化物単結晶の製造方法。
  6. 酸化物単結晶の原料をルツボ内で溶融させ、この溶融物に対して種結晶を接触させ、前記溶融物を前記ルツボの開口から所定の引き下げ軸の方向に引き下げながら前記単結晶を育成する、酸化物単結晶の製造装置であって、
    前記酸化物単結晶の原料を溶融するルツボと、前記種結晶を保持する架台とを有し、前記架台が、前記種結晶を固定保持するための保持部材と、この保持部材の下方に取り付けられた、前記引き下げ軸に対する前記単結晶を成長するために選ばれた前記種結晶の所定の結晶方位の角度を0.5°以下に傾斜させるための傾斜機構とを備えていることを特徴とする、酸化物単結晶の製造装置。
  7. 前記ルツボがノズル部を有し、前記開口がノズル部の底面に設けられ、前記架台が、さらに引き下げ軸の周りに保持部材を回転させるための回転機構を備えていることを特徴とする、請求項6に記載の酸化物単結晶の製造装置。
  8. 前記ノズル部の底面が、多角形状を有することを特徴とする、請求項7に記載の酸化物単結晶の製造装置。
  9. 前記ノズル部の底面が、矩形形状であることを特徴とする、請求項8に記載の酸化物単結晶の製造装置。
  10. 前記架台が、さらに前記保持部材を前記引き下げ軸に対して垂直な平面内で移動させるための水平移動機構を備えていることを特徴とする、請求項6乃至9のいずれかの請求項に記載の酸化物単結晶の製造装置。
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