JP2001253792A - 酸化物単結晶の板状体の製造方法 - Google Patents
酸化物単結晶の板状体の製造方法Info
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Abstract
よって育成するのに際して、良好な結晶性を有する板状
体を、連続的に安定して育成する。 【解決手段】酸化物単結晶の原料をルツボ7内で溶融さ
せ、溶融物に対して板状種結晶15を接触させる。種結
晶15を引き下げることによって溶融物18をルツボ7
の開口13cから引下げ、種結晶15に続いて板状体1
4を生成させる。この際、種結晶15の各結晶軸の各格
子定数と板状体14の対応する各結晶軸の各格子定数と
の差をそれぞれ0.1%以下に制御する。
Description
状体の製造方法に関するものである。
ブ酸リチウムカリウム−タンタル酸リチウムカリウム固
溶体単結晶は、特に半導体レーザー用の青色光第二高調
波発生(SHG)素子用の単結晶として注目されてい
る。これは、390nmの紫外光領域まで発生すること
が可能であるので、こうした短波長の光を利用すること
で、光ディスクメモリー用、医学用、光化学用、各種光
計測用等の幅広い応用が可能である。また、前記の単結
晶は、電気光学効果も大きいので、そのフォトリフラク
ティブ効果を利用した光記憶素子等にも適用できる。
おいては、単結晶の組成が僅かでも変動すると、素子か
ら発振する第二高調波の波長が変動する。このため、上
記単結晶に要求される組成範囲の仕様は厳しいものであ
り、組成変動を狭い範囲に抑える必要がある。しかし、
構成成分が3成分あるいは4成分と多いので、各構成成
分の割合を一定に制御しつつ、単結晶を高速度で育成す
ることは一般的に極めて困難である。
途においては、単結晶内に例えば400nm近辺の短波
長のレーザー光を、できる限り高い出力密度で伝搬させ
る必要がある。しかも、このときに光損傷を最小限に抑
制する必要がある。このように光損傷を抑制することは
必須であるが、このためには単結晶の結晶性が良好なも
のである必要がある。
ムカリウムは、陽イオン間の置換が可能であり、これに
よって陽イオンが固溶した固溶体を生成する。このた
め、特定組成の単結晶を育成するためには、溶融物の組
成を制御する必要がある。こうした背景から、二重ルツ
ボ法や、原料供給を行いながら結晶を育成する方法が、
CZ法やTSSG法を中心に検討されている。例えば、
北村らは、二重ルツボCZ法に対して自動粉末供給装置
を組み合わせ、化学量論組成のニオブ酸リチウム単結晶
の育成を試みている(J. Crystal Growth, 116(1992),3
27頁)。しかしながら、これらの方法では、結晶育成速
度を大きくすることが困難であった。
した組成比率で育成する方法として、例えば特開平8−
319191号公報において、μ引き下げ法を提案し
た。この方法では、例えばニオブ酸リチウムカリウムか
らなる原料を白金ルツボ内に収容し、溶融させ、ルツボ
の底面に取り付けたノズルの開口から、溶融物を下方へ
と向かって徐々に連続的に引き出す。また、μ引き下げ
法は、CZ法やTSSG法と比較して速い速度での単結
晶育成が可能である。また、原料溶融ルツボに単結晶育
成用の原料を追加しながら単結晶を連続的に育成するこ
とによって、溶融物の組成や、育成される単結晶の組成
を制御できる。
術を使用して、良質の単結晶プレート(単結晶の板状
体)を連続的に高速度で育成することには未だ限界があ
った。なぜなら、プレート状の種結晶を用いて単結晶の
板状体を引き下げると、種結晶と板状体との境界面付近
でクラックが発生し易い。これは、種結晶の格子定数と
板状体の格子定数との差が大きいためと推定された。
マイクロ引き下げ法によって育成するのに際して、種結
晶と板状体との格子定数を制御し、その境界面付近のク
ラックの発生を抑制することである。また、これによ
り、良好な結晶性を有する板状体を、連続的に安定して
育成できるようにすることである。
き下げ法によって酸化物単結晶の板状体を育成する方法
を種々探索した結果、溶融物に対して板状種結晶を接触
させ、この種結晶を引き下げることによって溶融物をル
ツボの開口から引下げ、種結晶に続いて板状体を生成さ
せ、この際板状種結晶の各結晶軸の各格子定数と酸化物
単結晶の板状体の対応する各結晶軸の各格子定数との差
が0.1%以下になるように制御することで、種結晶と
板状体との境界面付近のクラックの発生が抑制され、良
質な結晶性を有する板状体を連続的に生成させ得ること
を見出し、本発明に到達した。
は、ルツボ内の各成分の割合を制御することによって調
節できる。例えば、ニオブ酸リチウムカリウムにおいて
は、ルツボ内におけるニオブとリチウムとカリウムとの
相対比率を僅かに変更することによって、育成された板
状体中の各結晶軸の格子定数を変更することができる。
と板状種結晶との間の格子定数の差を更に低減すること
が好ましい。具体的には、板状体の幅が30mm−50
mmである場合には、格子定数の差を0.06%以下に
制御することが一層好ましく、板状体の幅が50mm以
上である場合には、格子定数の差を0.04%以下に制
御することが一層好ましい。
略断面図である。図2(a)−(b)は、単結晶の板状
体を引き出していくプロセスの各段階を模式的に示す図
である。
る。ルツボ7およびその上側空間5を包囲するように、
上側炉1が設置されており、上側炉1内にはヒーター2
が埋設されている。ルツボ7の下端部から下方向へと向
かってノズル部13が延びている。ノズル部13は、細
長い連結管部13aと、連結管部13aの下端部にある
細長い拡張された板状拡張部13bとを備えている。た
だし、図1には、板状拡張部13bの横断面を示してい
る。連結管部13aおよび板状拡張部13bの形状は種
々に変更可能である。また、両者の組み合わせも自由に
変更できる。板状拡張部13bの下端部には、細長い開
口13cが形成されており、開口13cの近辺が単結晶
育成部19となる。ノズル部13およびその周囲の空間
6を包囲するように下側炉3が設置されており、下側炉
3の中にヒーター4が埋設されている。ルツボ7および
ノズル部13は、いずれも耐食性の導電性材料によって
形成されている。
方の電極が電線9によって接続されており、ルツボ7の
下端Bに対して、電源10の他方の電極が接続されてい
る。連結管部13aの位置Cに対して、電源10の一方
の電極が電線9によって接続されており、板状拡張部1
3bの下端Dに対して他方の電極が接続されている。こ
れらの各通電機構は、共に分離されており、独立してそ
の電圧を制御できるように構成されている。
いて、空間6内にアフターヒーター12が設けられてい
る。ルツボ7内で、取り入れ管11が上方向へと向かっ
て延びており、この取り入れ管11の上端に取り入れ口
22が設けられている。この取り入れ口22は、溶融物
8の底部から若干突き出している。
ー12を発熱させて空間5、6の温度分布を適切に定
め、溶融物の原料をルツボ7内に供給し、ルツボ7、ノ
ズル部13に電力を供給して発熱させる。この状態で
は、単結晶育成部19では、開口13cから溶融物が僅
かに突出する。
状種結晶15の両側面を保持具21によって保持し、板
状種結晶15を上方向へと移動させ、種結晶15の上面
を、開口13cから突出した溶融物に対して接触させ
る。この際、種結晶15の上端部と、ノズル部13から
下方向へと引き出されてくる溶融物18との間には、均
一な固相液相界面(メニスカス)が形成される。次い
で、図2(b)に示すように、種結晶15を下方向へと
引下げる。この結果、種結晶15の上側に板状体14が
連続的に形成され、下方向へと向かって引き出されてく
る。
プス社製MRD回折計)によって測定する。また、酸化
物単結晶に等価でない結晶軸がある場合には、各結晶軸
に対応する各格子定数の差がそれぞれ0.1%以下であ
る必要がある。
ば、ニオブ酸リチウムカリウム(KLN)、ニオブ酸リ
チウムカリウム−タンタル酸リチウムカリウム固溶体
(KLTN:〔K3 Li2-x (Tay Nb1-y )5+x O
15+2x 〕)、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、
ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体、Ba
1-X SrX Nb2 O6 、Mn−Znフェライト、Nd、
Er、Ybによって置換されたイットリウムアルミニウ
ムガーネット、YAG、Nd、Er、Ybによって置換
されたYVO4 を例示できる。
置を使用し、本発明に従ってニオブ酸リチウムカリウム
単結晶の板状体を製造した。具体的には、上側炉1と下
側炉3とによって炉内全体の温度を制御した。ノズル部
13に対する電力供給とアフターヒーター12の発熱と
によって、単結晶育成部19近辺の温度勾配を制御でき
るように構成した。単結晶プレートの引下げ機構として
は、垂直方向に2〜100mm/時間の範囲内で、引下
げ速度を均一に制御しながら、単結晶プレートを引き下
げる機構を搭載した。
結晶15を使用した。種結晶15の寸法は、断面30m
m×1mm、長さ5mmとした。種結晶15の格子定数
は、a軸の長さは12.568オングストロームであ
り、c軸の長さは4.031オングストロームであっ
た。カリウムとリチウムとニオブとの比率は、mol比
で、30:18.2:51.8であった。種結晶の0
0 4反射のX線ロッキングカーブの半値幅は60秒で
あった(測定装置:フィリップス社製MRD回折計)。
ニオブを、mol比で、30:26:44の比率で調合
し、原料粉末を製造した。この原料粉末を、白金製のル
ツボ7内に供給し、このルツボ7を所定位置に設置し
た。上側炉1内の空間5の温度を1100〜1200℃
の範囲に調整し、ルツボ7内の原料を融解させた。下側
炉3内の空間6の温度は、500〜1000℃に均一に
制御した。ルツボ7、ノズル部13およびアフターヒー
ター12に対して所定の電力を供給し、単結晶成長を実
施した。この際、単結晶育成部の温度を980℃〜11
50℃とすることができ、単結晶育成部における温度勾
配を10〜150℃/mmに制御することができた。
径は50mmとし、その短径は10mmとし、その高さ
は10mmとした。連結管部の長さは5mmとした。板
状拡張部13bの横断面寸法は1mm×50mmとし
た。開口13cの寸法は、縦1mm×横50mmとし
た。この状態で、10mm/時間の速度で種結晶15を
引き下げた。
に供給しながら結晶育成を継続し、板状体14の長さが
50mmに達したところで、板状体14をノズル部13
から切り離し、冷却した。回収した板状体14の格子定
数を測定したところ、a軸長さは12.569オングス
トロームであり、c軸長さは4.029オングストロー
ムであった。カリウムとリチウムとニオブとの比率は、
mol比で、30:18.1:51.9であった。板状
種結晶15と板状体14の格子定数の相違(格子ミスマ
ッチ)は、a軸で0.01%以下であり、c軸で0.0
5%であった。しかし、板状種結晶15と種結晶14と
の接合部分でのクラックは発生しなかった。また、板状
体における0 0 4反射のX線ロッキングカーブの半
値幅は40秒であった。
タンタル酸リチウムカリウム固溶体単結晶のプレートに
ついても、実施例1と同様の結果を得た。
酸リチウムの板状体を育成した。ただし、ニオブ酸リチ
ウムからなる板状種結晶15を使用した。種結晶15の
寸法は、断面50mm×1mm、長さ5mmとした。種
結晶15は、チョクラルスキー法によって育成された化
学量論組成のニオブ酸リチウム単結晶から切り出して得
たものである。この際、種結晶15の引き下げ方位がX
軸に平行となり、成長面方位がZ軸に平行となるように
切り出した。種結晶の格子定数は、a軸の長さは5.1
48オングストロームであり、c軸の長さは13.85
7オングストロームであった。リチウムとニオブとの比
率は、mol比で、50:50であった。種結晶の00
12反射のX線ロッキングカーブの半値幅は12秒で
あった。
l比で、58:42の比率で調合し、原料粉末を製造し
た。この原料粉末を、白金製のルツボ7内に供給し、こ
のルツボ7を所定位置に設置した。上側炉1の空間5の
温度を1200−1300℃の範囲に調整し、ルツボ7
内の原料を融解させた。下側炉3内の空間6の温度は、
500−1000℃に均一に制御した。ルツボ7、ノズ
ル部13およびアフターヒーター12に対して所定の電
力を供給し、単結晶成長を実施した。この際、単結晶育
成部の温度を1200−1250℃とすることができ、
単結晶育成部における温度勾配を10−150℃/mm
に制御することができた。また、種結晶の引き下げ速度
は30mm/時間とした。結晶化したニオブ酸リチウム
の体積を単位時間ごとに測定し、この体積を重量に換算
し、この換算重量と等しい重量のニオブ酸リチウムの原
料粉末をルツボ内に供給した。ただし、このようにして
後で供給するニオブ酸リチウム粉末は、最初に融解した
原料粉末とは異なり、リチウムとニオブとの比率がmo
l比で50:50となるように調合されている。
経由することなく形成された。板状体の長さが50mm
に達するまで、ニオブ酸リチウムの原料粉末を供給しな
がら、育成を継続した。次いで、板状体を種結晶15か
ら切り離し、冷却した。
プラズマ法によって分析したところ、リチウムとニオブ
との比率はmol比で50:50であり、化学両論組成
と一致した。板状体の格子定数を測定したところ、a軸
長さは5.148オングストロームであり、c軸長さは
13.858オングストロームであった。板状体と種結
晶との間の格子定数の相違(格子ミスマッチ)は、a軸
で0.01%以下であり、c軸で0.01%以下であっ
た。種結晶15と板状体14との間の接合部分でのクラ
ックは発生しなかった。また、板状体における0 0
12反射のX線ロッキングカーブの半値幅は12秒であ
った。
(X板)を育成した。ただし、板状種結晶の引き下げ方
位がZ軸に平行となり、成長面の方位がX軸に平行とな
るように、種結晶を加工した。種結晶、板状体における
各a軸長さ、c軸長さ、およびX線ロッキングカーブの
半値幅は、いずれも実施例3と同様であった。また、板
状体と種結晶との接合面でクラックは発生しなかった。
化物単結晶の板状体をマイクロ引き下げ法によって育成
するのに際して、種結晶と板状体との境界面付近でのク
ラックの発生が抑制され、良好な結晶性を有する板状体
を、連続的に安定して育成できる。
式的に示す断面図である。
す模式図である。
ノズル部 13b ノズル部の板状拡張部
13c 板状拡張部13bの開口 14 酸
化物単結晶からなる板状体 15 板状種結晶 18 ノズル部の開口より引き出された溶融物
21 種結晶保持具
Claims (1)
- 【請求項1】酸化物単結晶の板状体を製造する方法であ
って、 前記酸化物単結晶の原料をルツボ内で溶融させ、この溶
融物に対して板状種結晶を接触させ、この板状種結晶を
引き下げることによって前記溶融物を前記ルツボの開口
から引下げ、前記板状種結晶に続いて前記板状体を生成
させ、この際前記板状種結晶の各結晶軸の各格子定数と
前記板状体の対応する各結晶軸の各格子定数との差をそ
れぞれ0.1%以下に制御することを特徴とする、酸化
物単結晶の板状体の製造方法。
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