JP4548765B2 - 燃料電池システム用燃料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池システム用燃料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、将来の地球環境に対する危機感の高まりから、地球にやさしいエネルギー供給システムの開発が求められ、エネルギー効率が高いこと及び排出ガスがクリーンである点から、燃料電池、水素エンジン等の水素を燃料とするシステムが脚光を浴びている。なかでも、燃料電池への水素の供給方法としては、圧縮あるいは液化といった形で直接水素を供給する方法の他、メタノール等の含酸素燃料、及びナフサ等の炭化水素系燃料の改質による供給方法が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。このうち、直接水素を供給する方法は、そのまま燃料として利用できる利点はあるが、常温で気体のため貯蔵性並びに車両等に用いた場合の搭載性に問題がある。また、メタノールはシステム内での改質による水素の製造が比較的容易であるが、重量当たりのエネルギー効率が低く、有毒かつ腐食性を持つために、取り扱い性、貯蔵性にも難点がある。一方、ナフサ、灯油等の炭化水素系燃料の改質による水素の製造は、既存の燃料供給インフラが使用できること、トータルでのエネルギー効率が高いこと等により注目を集めている。こうした炭化水素燃料は水素発生のために動力システム内での改質工程が必要となる。しかしながら、炭化水素系燃料によっては、必ずしも改質工程において十分な反応性が得られず、また改質触媒の耐久性に問題が生じ、高い水素発生効率の得られない場合があった。
【0003】
【非特許文献1】
池松正樹,「エンジンテクノロジー」,山海堂社,2001年1月,第3巻,第1号,p.35
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況に鑑み、高効率で水素発生並びに発電することができ、また改質触媒の劣化等によるシステムの耐久性の低下も少ない、燃料電池システムに適した燃料を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題について鋭意研究した結果、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、沸点範囲が100〜320℃で、蒸留初留点(IBP)が100℃以上190℃以下で、終点が230℃以上320℃以下で、15℃における密度が0.8102g/cm3以上0.8127g/cm 3 以下、イソパラフィン/ノルマルパラフィン容量比が1.5以上、そしてナフテン分が40容量%以上であることを特徴とする燃料電池システム用燃料である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の燃料電池システム用燃料(以下、本発明の燃料ともいう。)は、沸点範囲が100℃〜320℃であることが必要である。
沸点範囲は、引火性が高くなる、蒸発ガス(THC)が発生しやすくなる、取扱性に問題が生じる等の観点から、100℃以上であることが必要であり、重量当りの発電量が多い、排出ガス中のTHCが少ない、システムの起動時間が短い、改質触媒の劣化が小さく初期性能を持続できる点から、320℃以下であることが必要である。
【0007】
本発明の燃料は、15℃における密度が0.8100g/cm3以上であることが必要である。15℃における密度が0.8100g/cm3よりも低くなると、発電エネルギーの低下、発電効率の低下という問題が生じるので好ましくない。15℃における密度は、発電エネルギー、発電効率の点から0.8100g/cm3以上が最も好ましい。
なお、ここでいう15℃における密度は、JIS K2249「原油及び石油製品の密度試験方法並びに密度・質量・容量換算表」により測定される値である。
【0008】
本発明の燃料のノルマルパラフィン分には特に制限はないが、低温流動性確保の点から、20容量%以下が好ましく、15容量%以下がさらに好ましく、10容量%以下が最も好ましい。
なお、ここでいうノルマルパラフィン分はGC−FID(FID検出器つきガスクロマトグラフ)を用いて測定される値(容量%)をいう。
すなわち、カラムにはメチルシリコンのキャピラリーカラム(ULTRAALLOY−1)、キャリアガスにはヘリウムを、検出器には水素イオン化検出器(FID)を用い、カラム長30m、キャリアガス流量1.0mL/min、分割比1:79、注入口温度360℃、カラム昇温条件140℃→8℃/min→355℃、検出器温度360℃の条件で測定された値である。
【0009】
本発明の燃料のイソパラフィン分には特に制限はないが、燃料電池システム全体としての燃費・エネルギー効率が良いこと、排出ガス中の未反応物が少ない、システムの起動時間が短い、改質触媒の劣化が少なく初期性能を維持できるなどの点から、25容量%以上が好ましく、30容量%以上がさらに好ましく、35容量%以上が最も好ましい。
なお、ここでいうイソパラフィン分は、上述のノルマルパラフィン分(容量%)をAとし、ASTM D2425(Standard Test Method for Hydrocarbon Types in Middle Distillates by Mass Spectrometry )に準拠した方法にて測定されるパラフィン分(容量%)をBとして、下式により求められる値(容量%)のことをいう。
イソパラフィン分=B−A(容量%)
【0010】
本発明の燃料のイソパラフィン/ノルマルパラフィン容量比は1.5以上であることが必要である。イソパラフィン/ノルマルパラフィン容量比が1.5よりも低くなると、改質反応性の低下、一酸化炭素浄化触媒の耐久性の低下、一酸化炭素除去率の低下、発電エネルギーの低下、燃料電池スタック触媒の耐久性の低下、発電効率の低下、二酸化炭素(CO2)発生量あたり発電量の低下という問題が生じるので好ましくない。イソパラフィン/ノルマルパラフィン容量比は、改質反応性、一酸化炭素浄化触媒の耐久性、一酸化炭素除去率、発電エネルギー、燃料電池スタック触媒の耐久性、発電効率、CO2発生量あたり発電量の点から2.0以上が好ましく、3.0以上がより好ましく、4.0以上が最も好ましい。イソパラフィン/ノルマルパラフィン容量比は、上述のノルマルパラフィン分:A(容量%)、イソパラフィン分:B−A(容量%)を用い、下式により求める。
イソパラフィン/ノルマルパラフィン容量比=(B−A)/A
なお、本発明の燃料は、発電エネルギー、発電効率の点から、上記の密度とイソパラフィン/ノルマルパラフィン容量比を二つながらに満足していることが必要である。
【0011】
本発明の燃料の炭素数13以上のノルマルパラフィン分の合計量は、脱硫率、脱硫触媒の耐久性、改質触媒の耐久性、改質反応性、一酸化炭素浄化触媒の耐久性、一酸化炭素除去率、発電エネルギー、燃料電池スタック触媒の耐久性、発電効率、CO2発生量あたり発電量の点から7容量%以下が好ましく、5容量%以下が更に好ましく、3容量%以下が最も好ましい。
なお、ここでいう炭素数13以上のノルマルパラフィン分はGC−FID(FID検出器つきガスクロマトグラフ)を用いて測定される。
すなわち、カラムにはメチルシリコンのキャピラリーカラム(ULTRAALLOY−1)、キャリアガスにはヘリウムを、検出器には水素イオン化検出器(FID)を用い、カラム長30m、キャリアガス流量1.0mL/min、分割比1:79、注入口温度360℃、カラム昇温条件140℃→8℃/min→355℃、検出器温度360℃の条件で測定された値である。
【0012】
本発明の燃料の硫黄分含有量は、脱硫率、脱硫触媒の耐久性、改質触媒の耐久性、改質反応性の低下、発電エネルギー、燃料電池スタック触媒の耐久性、発電効率、CO2発生量あたり発電量の点から1質量ppm未満であることが好ましく、0.5質量ppm以下がより好ましく、0.1質量ppm以下が最も好ましい。ここで、硫黄分とは、1質量ppm以上の場合、JIS K 2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」により測定される硫黄分であり、1質量ppm未満の場合、ASTM D4045−96 「Standard Test Method for Sulfur in Petroleum Products by Hydrogenolysis and Rateometric Colorimetry」により測定される値である。
【0013】
本発明の燃料のナフテン含有量は、脱硫率、脱硫触媒の耐久性、改質触媒の耐久性、改質反応性、一酸化炭素浄化触媒の耐久性、一酸化炭素除去率、発電エネルギー、燃料電池スタック触媒の耐久性、発電効率、CO2発生量あたり発電量の点から30容量%以上が好ましく、35容量%以上が更に好ましく、40容量%以上が最も好ましい。ナフテン系炭化水素の含有量は、ASTM D2425(Standard Test Method for Hydrocarbon Types in Middle Distillates by Mass Spectrometry )に準拠した方法にて測定される。
【0014】
本発明の燃料の芳香族分については何ら制限はないが、重量当りの発電量が多いこと、CO2発生量当りの発電量が多いこと、燃料電池システム全体としての燃費が良いこと、排出ガス中のTHCが少ないこと、システム起動時間が短いこと、改質触媒の劣化が小さく初期性能が長時間持続できることなどの点から、25容量%以下が好ましく、20容量%以下がより好ましく、15容量%以下がさらに好ましく、10容量%以下がさらにより好ましく、5容量%以下が最も好ましい。
【0015】
本発明の燃料のオレフィン分については何ら制限はないが、重量当りの発電量が多いこと、CO2発生量当りの発電量が多いこと、燃料電池システム全体としての燃費が良いこと、排出ガス中のTHCが少ないこと、システム起動時間が短いこと、改質触媒の劣化が小さく初期性能が長時間持続できること、貯蔵安定性が良いことなどの点から、5容量%以下が好ましく、1容量%以下がより好ましい。
【0016】
本発明の燃料の飽和分については何ら制限はないが、重量当りの発電量が多いこと、CO2発生量当りの発電量が多いこと、燃料電池システム全体としての燃費が良いこと、排出ガス中のTHCが少ないこと、システム起動時間が短いことなどの点から、75容量%以上が好ましく、80容量%以上がより好ましく、85容量%以上がさらに好ましく、90容量%以上がさらにより好ましく、95容量%以上が最も好ましい。
なお、上述の芳香族分、オレフィン分、飽和分は、JIS K2536「石油製品−炭化水素タイプ試験方法」の蛍光指示薬吸着法により測定される値である。
【0017】
本発明の燃料の蒸留性状については蒸留初留点(IBP)の下限及び蒸留終点(EP)の上限以外は何ら制限はないが、IBPは、引火性、蒸発ガス(THC)の発生、取扱性の問題から、前述のとおり100℃以上であることが必要であり、130℃以上が好ましく、145℃以上が最も好ましく、上限は190℃以下が好ましい。
10容量%留出温度(T10)の下限は120℃以上が好ましく、140℃以上がより好ましく、160℃以上が最も好ましい。また、上限は230℃以下が好ましく、220℃以下がより好ましい。T10が低いと、引火性が高くなり、蒸発ガス(THC)が発生しやすくなり、取扱性に問題が生じる。
【0018】
30容量%留出温度(T30)は160℃以上220℃以下が好ましく、50容量%留出温度(T50)は180℃以上230℃以下が好ましく、70容量%留出温度(T70)は200℃以上250℃以下が好ましく、90容量%留出温度(T90)は210℃以上270℃以下が好ましく、95容量%留出温度(T95)は220℃以上300℃以下が好ましく、220℃以上270℃以下がより好ましく、220℃以上250℃以下が最も好ましい。T95の上限値は、重量当りの発電量が多い、CO2発生量当りの発電量が多い、燃料電池システム全体としての燃費が良い、排出ガス中のTHCが少ない、システムの起動時間が短い、改質触媒の劣化が小さく初期性能が持続できる点から規定できる。
【0019】
EPは230℃以上であることが好ましく、前述のとおり320℃以下であることが必要である。重量当りの発電量が多い、CO2発生量当りの発電量が多い、燃料電池システム全体としての燃費が良い、排出ガス中のTHCが少ない、システム起動時間が短い、改質触媒の劣化が小さく初期性能が持続できるなどの点から、290℃以下が好ましく、265℃以下がより好ましい。
なお、ここでいうIBP、T10、T30、T50、T70、T90、T95、及びEPは、JIS K2254「石油製品−蒸留試験方法」によって測定される値である。
【0020】
本発明の燃料は、特に水素化分解灯油を用いることが好ましい。水素化分解灯油とは、具体的には、原油の常圧蒸留装置から得られる直留軽油、常圧蒸留装置から得られる直留重質油や残査油を減圧蒸留装置で処理して得られる減圧軽油、脱硫又は未脱硫の減圧軽油、減圧重質軽油あるいは脱硫重油を接触分解して得られる接触分解軽油、上記の軽油を水素化処理して得られる水素化精製軽油及び水素化脱硫軽油等を水素化分解処理する際に水素化分解軽油と共に製造される水素化分解灯油のことをいう。
【0021】
水素化分解灯油を製造する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、重質軽油、減圧軽油等の重質な原料油を、高温高圧水素条件下で、分解と水素化の二元機能を持つ触媒上に通し、水素化分解と共に脱硫、脱窒素等を行う水素化分解する方法が挙げられる。触媒の分解能は、多孔性の固体酸担体に起因する傾向にある。固体酸担体としては、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニア等のアモルファス系担体、各種の改質や変性が施されたゼオライト等の結晶系担体が用いられる。水素化能は、Ni、Co、Mo、W、Pd、Pt等の金属を2〜3種類組み合わせて担持されることにより発揮されるが、中でもCo−Mo、Ni−Mo、Ni−Wの組み合わせが好ましい。
【0022】
水素化分解における水素圧力は、通常、5MPa以上20MPa、好ましくは8MPa以上15MPa以下である。また、反応温度は、通常、350℃以上430℃以下である。液空間速度は、通常、0.1/h以上1.0/h以下、好ましくは0.2/h以上0.4/h以下である。
【0023】
本発明の燃料は、上述の水素化分解灯油以外に、原油蒸留装置から得られる灯油留分を脱硫した脱硫灯油、脱硫灯油を更に厳しい条件で脱硫した深度脱硫灯油、脱硫灯油または深度脱硫灯油より抽出によりノルマルパラフィン分を除去した残分である脱ノルマルパラフィン脱硫灯油、また除去された脱硫ノルマルパラフィン分、及び天然ガス等を一酸化炭素と水素に分解した後にF−T(Fischer−Tropsch)合成で得られるGTL(Gas to Liquids)の灯油留分等の基材を1種又は2種以上を混合することで製造することができる。本発明の燃料の調製には、原油蒸留装置等から得られた減圧軽油留分を水素化分解した水素化分解灯油を主たる基材として用いることが好ましい。
【0024】
本発明の燃料には、クマリン等の識別剤を添加することができる。改質触媒の劣化が小さく、初期性能を長く維持できることから、識別剤は1mg/L以下が好ましい。
【0025】
本発明の燃料は、燃料電池システム用の燃料として使用される。燃料電池システムは例えば、脱硫器、改質器、及び一酸化炭素浄化装置等と燃料電池を組み合わせたシステムが用いられる。これらを配置した主なシステムとしては、例えば、(1)脱硫器、改質器、一酸化炭素浄化装置及び燃料電池からなるシステム、(2)脱硫器、改質器、脱硫器(再脱硫)、一酸化炭素浄化装置及び燃料電池からなるシステム、及び(3)改質器、脱硫器、一酸化炭素浄化装置及び燃料電池からなるシステムを挙げることができる。燃料電池としては、固体高分子型燃料電池(PEFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)、及び固体酸化物型燃料電池(SOFC)を挙げることができる。
【0026】
改質器は、燃料を改質して水素を得るための装置であり、具体的に例えば、下記の改質器を挙げることができる。
(1)加熱気化した燃料と水蒸気とを混合し、銅、ニッケル、白金、ルテニウム等の触媒中で加熱反応させることにより、水素を主成分とする生成物を得る水蒸気改質型改質器
(2)加熱気化した燃料を空気と混合し、銅、ニッケル、白金、ルテニウム等の触媒中又は無触媒で加熱反応させることにより、水素を主成分とする生成物を得る部分酸化型改質器
(3)加熱気化した燃料を水蒸気及び空気と混合し、銅、ニッケル、白金、ルテニウム等の触媒層前段にて、(2)の部分酸化型改質を行い、後段にて部分酸化反応により発生した熱を利用して、(1)の水蒸気改質型改質を行うことにより、水素を主成分とする生成物を得る部分酸化・水蒸気改質型(オートサーマル型)改質器
【0027】
一酸化炭素浄化装置は、上記改質装置で生成したガスに含まれ、燃料電池の触媒毒となる一酸化炭素の除去を行うものであり、具体的には、下記の装置を挙げることができる。これらの装置は単独で又は組み合わせて使用することができる。
(1)改質ガスと加熱気化した水蒸気を混合し、銅、ニッケル、白金、ルテニウム等の触媒中で反応させることにより、一酸化炭素と水蒸気より二酸化炭素と水素を生成物として得る水性ガスシフト反応器
(2)改質ガスを圧縮空気と混合し、白金、ルテニウム等の触媒中で反応させることにより、一酸化炭素を二酸化炭素に変換する選択酸化反応器
【0028】
上記の燃料電池システムを用いて発電を実施する場合、脱硫器における脱硫操作を、脱硫後の燃料の硫黄含有量が、好ましくは0.1質量ppm以下、より好ましくは0.05質量ppm以下となるように行うことが好ましい。
また改質操作は、エネルギー効率、実用性の観点から、改質器入口温度で750℃以下、LHSVが3h-1以上の条件で行うことが好ましい。
【0029】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0030】
[実施例1〜2および比較例1〜2]
表1に示すように本発明の燃料(実施例1〜2)及び比較用の燃料(比較例1〜2)を調製した。
得られた各燃料を下記の二つの燃料電池システムに用いて評価した。
【0031】
(1)水蒸気改質型システム
脱硫器により脱硫した燃料と水を電気加熱によりそれぞれ気化させ、貴金属系触媒を充填し、電気ヒーターで所定の温度に維持した改質器に導き、水素分に富む改質ガスを発生させた。改質器の温度は、試験初期段階において改質が完全に行われる最低の温度(改質ガスにHCが含まれない最低温度)とした。
改質ガスを水蒸気と共に一酸化炭素浄化装置に導き、改質ガスの中の一酸化炭素を二酸化炭素に変換した後、生成したガスを固体高分子型燃料電池に導き、発電を行った。
水蒸気改質型改質器を含む固体高分子型燃料電池システム(水蒸気改質型システム)を用いた発電のフローチャートを図1に示す。
【0032】
(2)部分酸化型システム
脱硫器により脱硫した燃料を電気加熱により気化させ、予熱した空気と共に貴金属系触媒を充填し、電気ヒーターで1200℃に維持した改質器に導き、水素分に富む改質ガスを発生させた。
改質ガスを水蒸気と共に一酸化炭素浄化装置に導き、改質ガスの中の一酸化炭素を二酸化炭素に変換した後、生成したガスを固体高分子型燃料電池に導き、発電を行った。
部分酸化型改質器を含む固体高分子型燃料電池システム(部分酸化型システム)を用いた発電のフローチャートを図2に示す。
【0033】
上記二つの燃料電池システムを用いた場合の燃料の性能を下記の方法で評価した。
まず、システムの試験開始直後に改質器から発生する改質ガス中の水素、一酸化炭素、二酸化炭素、及び炭化水素(HC)の各量を測定した。
また、試験開始直後及び開始24時間後の燃料電池における発電量、燃料消費量、及び燃料電池から排出される二酸化炭素量を測定した。得られた測定値、及び燃料発熱量から、改質触媒の性能劣化割合(試験開始24時間後の発電量/試験開始直後の発電量)、及び熱効率(試験開始直後の電気エネルギー/燃料発熱量)を計算し、評価した。以上の評価結果を表2に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
表2に示す結果から、本発明の燃料(実施例1〜2)を用いた場合には、比較例1〜2の燃料に比べて、脱硫後の硫黄含有率が低く、高い発電量が得られ、しかも長時間安定して高発電量を持続できることがわかる。
【0037】
【発明の効果】
本発明の燃料電池システム用燃料を用いることで、水素を効率良く発生させることができ、また改質触媒の劣化も少なく、長時間安定して水素を発生させることができる。従って本発明の燃料を用いることで高い発電量を長時間安定して供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水蒸気改質型改質器を含む固体高分子型燃料電池システムを用いた発電のフローチャートである。
【図2】部分酸化型改質器を含む固体高分子型燃料電池システムを用いた発電のフローチャートである。
Claims (3)
- 沸点範囲が100℃〜320℃で、蒸留初留点(IBP)が100℃以上190℃以下で、終点が230℃以上320℃以下で、15℃における密度が0.8102g/cm3以上0.8127g/cm 3 以下、イソパラフィン/ノルマルパラフィン容量比が1.5以上、そしてナフテン分が40容量%以上であることを特徴とする燃料電池システム用燃料。
- 硫黄分が1質量%ppm未満であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム用燃料。
- 炭素数13以上のノルマルパラフィン分の合計量が7容量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システム用燃料。
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