JP4632281B2 - 燃料電池システム用燃料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池システムに用いられる燃料に関する。
【0002】
【従来技術】
近年、将来の地球環境に対する危機感の高まりから、地球にやさしいエネルギー供給システムの開発が求められている。特に、地球温暖化防止のためのCO2 低減、THC(排出ガス中の未反応の炭化水素)、NOx、PM(排出ガス中の粒子状物質:すす、燃料・潤滑油の高沸点・高分子の未燃成分)等有害物質の低減を、高度に達成することが要求されている。そのシステムの具体例としては、従来のオットー・ディーゼルシステムに代わる自動車動力システム、あるいは火力に代わる発電システムが挙げられる。
【0003】
そこで、理想に近いエネルギー効率を持ち、基本的にはH2 OとCO2 しか排出しない燃料電池が、社会の要望に応えるにもっとも有望なシステムと期待されている。そして、このようなシステムの達成のためには、機器の技術開発だけではなく、それに最適な燃料の開発が必要不可欠である。
【0004】
従来、燃料電池システム用の燃料としては、水素、メタノール、炭化水素系燃料が考えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
燃料電池システム用の燃料として、水素は、特別の改質装置を必要としない点で有利であるが、常温で気体のため、貯蔵性並びに車両等への搭載性に問題があり、供給に特別な設備が必要である。また引火の危険性も高く取り扱いに注意が必要である。
【0006】
一方、メタノールは、水素への改質が比較的容易である点で有利であるが、重量あたりの発電量が小さく、有毒のため取り扱いにも注意が必要である。また、腐食性があるため、貯蔵・供給に特殊な設備が必要である。
【0007】
このように、燃料電池システムの能力を充分に発揮させるための燃料は未だ開発されていない。特に、燃料電池システム用燃料としては、重量当たりの発電量が多いこと、CO2 発生量当たりの発電量が多いこと、燃料電池システム全体としての燃費が良いこと、蒸発ガス(エバポエミッション)が少ないこと、改質触媒、水性ガスシフト反応触媒、一酸化炭素除去触媒、燃料電池スタック等、燃料電池システムの劣化が小さく初期性能が長時間持続できること、システムの起動時間が短いこと、貯蔵安定性や引火点など取り扱い性が良好なことなどが求められる。
【0008】
なお、燃料電池システムでは、燃料および改質器を所定の温度に保つことが必要なため、発電量からそれに必要な熱量(予熱及び反応に伴う吸発熱をバランスさせる熱量)を差し引いた発電量が、燃料電池システム全体の発電量となる。したがって、燃料を改質させるために必要な温度が低い方が予熱量が小さく有利になり、システムの起動時間も短く有利になり、また燃料の予熱に必要な重量当りの熱量が小さいことも必要である。予熱が十分でない場合、排出ガス中に未反応の炭化水素(THC)が多くなり、重量当りの発電量を低下させるだけでなく、大気汚染の原因となる可能性がある。逆に言えば、同一システムを同一温度で稼働させた場合に、排出ガス中のTHCが少なく、水素への変換率が高い方が有利である。
【0009】
本発明は、このような状況を鑑み、上記したような要求性状をバランス良く満たした燃料電池システムに適した燃料を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定の組成を有する炭化水素化合物からなる燃料が、燃料電池システムに適していることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明に係る燃料電池システム用燃料は、
(1)飽和分が50容量%以上、芳香族分が50容量%以下、1環芳香族が30容量%以下、2環芳香族が15容量%以下、3環以上芳香族が10容量%以下、オレフィン分が5容量%以下であり、蒸留初留点が160℃以上250℃以下、硫黄分含有量が84質量ppm以下、セタン指数が30以上、セタン価が20以上である炭化水素化合物からなる。
【0012】
上記特定の組成の炭化水素化合物からなる燃料は、更に、以下のような付加的要件を満たすものがより好ましい。
(2)蒸留初留点が160℃以上250℃以下、10容量%留出温度が184.5℃以上290℃以下、90容量%留出温度が240℃以上390℃以下、95容量%留出温度が250℃以上400℃以下、蒸留終点が260℃以上410℃以下の蒸留性状である。
(3)15℃での密度が、0.89g/cm3 以下である。
(4)引火点が20℃以上である。
(5)10%残油残留炭素分が1.0%以下である。
(6)30℃での動粘度が1.5〜8.0cstである。
(7)曇り点が+10℃以下、流動点が+5℃以下、目詰まり点が+10℃以下である。
(8)液体で、1気圧、15℃における熱容量が、2.5kJ/kg・℃以下である。
(9)蒸発潜熱が、350kJ/kg以下である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内容をさらに詳細に説明する。
本発明において、特定の組成を有し、かつ特定の蒸留性状を有する炭化水素化合物とは、飽和分(V(S))が50容量%以上、全芳香族分(V(T−Ar))が50容量%以下、1環芳香族(V(1−Ar))が30容量%以下、2環芳香族(V(2−Ar))が15容量%以下、3環以上芳香族(V(3−Ar))が10容量%以下、オレフィン分(V(O))が5容量%以下であり、蒸留初留点が130℃以上の炭化水素化合物である。以下、これらを個別に説明する。
【0014】
V(S)は、重量当りの発電量が多いこと、CO2 発生量当たりの発電量が多いこと、燃料電池システム全体としての燃費が良いこと、排出ガス中のTHCが少ないこと、システムの起動時間が短いことなどから、50容量%以上であり、70容量%以上であることが好ましく、80容量%以上であることが最も好ましい。
【0015】
V(T−Ar)は、重量当りの発電量が多いこと、CO2 発生量当たりの発電量が多いこと、燃料電池システム全体としての燃費が良いこと、排出ガス中のTHCが少ないこと、システムの起動時間が短いこと、改質触媒の劣化が小さく初期性能が長時間持続できることなどから、50容量%以下であり、40容量%以下であることが好ましく、30容量%以下であることがより好ましく、20容量%以下であることが最も好ましい。
【0016】
V(1−Ar)は、重量当りの発電量が多いこと、CO2 発生量当たりの発電量が多いこと、燃料電池システム全体としての燃費が良いこと、排出ガス中のTHCが少ないこと、システムの起動時間が短いこと、改質触媒の劣化が小さく初期性能が長時間持続できることなどから、30容量%以下であり、20容量%以下であることが好ましく、15容量%以下であることが最も好ましい。
【0017】
V(2−Ar)は、重量当りの発電量が多いこと、CO2 発生量当たりの発電量が多いこと、燃料電池システム全体としての燃費が良いこと、排出ガス中のTHCが少ないこと、システムの起動時間が短いこと、改質触媒の劣化が小さく初期性能が長時間持続できることなどから、15容量%以下であり、10容量%以下であることが好ましく、5容量%以下であることがより好ましく、3容量%以下であることが最も好ましい。
【0018】
V(3−Ar)は、重量当りの発電量が多いこと、CO2 発生量当たりの発電量が多いこと、燃料電池システム全体としての燃費が良いこと、排出ガス中のTHCが少ないこと、システムの起動時間が短いこと、改質触媒の劣化が小さく初期性能が長時間持続できることなどから、10容量%以下であり、5容量%以下であることが好ましく、3容量%以下であり、1容量%以下であることが最も好ましい。
【0019】
V(O)は、重量当りの発電量が多いこと、CO2 発生量当たりの発電量が多いこと、燃料電池システム全体としての燃費が良いこと、排出ガス中のTHCが少ないこと、システムの起動時間が短いこと、貯蔵安定性に優れることなどから、5容量%以下であり、1容量%以下であることが好ましく、1容量%以下であることがより好ましく、0.5容量%以下であることが最も好ましい。
【0020】
上記のV(S)、V(T−Ar)、V(1−Ar)、V(2−Ar)、V(3−Ar)、及びV(O)は、全てJPI−5S−49−97に定めるHPLC法により測定される値である。
【0021】
また、本発明の燃料の硫黄分含有量については何ら制限はないが、改質触媒、水性ガスシフト反応触媒、一酸化炭素除去触媒、燃料電池スタック等、燃料電池システムの劣化が小さく初期性能が長時間持続できることなどから、燃料全量基準で、500質量ppm以下であることが好ましく、300質量ppm以下であることがより好ましく、50質量ppm以下であることがさらにより好ましく、10質量ppm以下であることがさらにより好ましく、1質量ppm未満であることが最も好ましい。
【0022】
そして、上記硫黄分の好ましい範囲と上記特定の組成の好ましい範囲が二つながらに満足することが、改質触媒、水性ガスシフト反応触媒、一酸化炭素除去触媒、燃料電池スタック等、燃料電池システムの劣化が小さく初期性能が長時間持続できることから、最も好ましい。
【0023】
ここで、硫黄分とは、1質量ppm以上の場合、JIS K 2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」により測定される硫黄分を、1質量ppm未満の場合、ASTM D4045−96 「Standard Test Method for Sulfur in Petroleum Products by Hydrogenolysis and Rateometric Colorimetry 」により測定される硫黄分を意味している。
【0024】
また、本発明において、蒸留性状は蒸留初留点が130℃以上である点を除いて何ら制限されないが、蒸留初留点が130℃以上であることが好ましく、130℃以上250℃以下がより好ましく、145℃以上250℃以下が最も好ましい。
【0025】
蒸留初留点が低いと、引火性が高くなり、また蒸発ガス(THC)が発生し易くなり、取扱性に問題がある。上記規定値より低いと、引火性が高くなり、また蒸発ガス(THC)が発生し易くなり、取扱性に問題がある。
【0026】
また、本発明の燃料の炭化水素化合物分の蒸留初留点以外の蒸留性状は、10容量%留出温度(T10)が140℃以上290℃以下が好ましく、50容量%留出温度(T50)が210℃以上300℃以下がより好ましく、90容量%留出温度(T90)が240℃以上390℃以下が好ましく、240℃以上360℃以下がより好ましく、240℃以上330℃以下がさらにより好ましく、240℃以上310℃以下が最も好ましく、95容量%留出温度(T95)が250℃以上400℃以下が好ましく、250℃以上380℃以下がより好ましく、250℃以上320℃以下が最も好ましく、蒸留終点が260℃以上410℃以下が好ましく、260℃以上390℃以下がより好ましく、260℃以上340℃以下が最も好ましい。
10容量%留出温度(T10)が低いと、引火性が高くなり、また蒸発ガス(THC)が発生し易くなり、取扱性に問題がある。
【0027】
一方、90容量%留出温度(T90)、95容量%留出温度(T95)及び蒸留終点の上限値は、重量当りの発電量が多い、CO2 発生量当たりの発電量が多い、燃料電池システム全体としての燃費が良い、排出ガス中のTHCが少ない、システムの起動時間が短い、改質触媒の劣化が小さく初期性能が持続できるなどの点から規定される。
【0028】
なお、上記した蒸留初留点(初留点0)、10容量%留出温度(T10)、50容量%留出温度(T50)、90容量%留出温度(T90)、95容量%留出温度(T95)、及び蒸留終点は、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」によって測定される蒸留性状である。
【0029】
また、本発明の密度については何ら制限はないが、重量当りの発電量が多く、CO2 発生量当たりの発電量が多く、燃料電池システム全体としての燃費が良いこと、排出ガス中のTHCが少ないこと、システムの起動時間が短いことなどから、改質触媒の劣化が小さく初期性能が長時間持続できるなどの点から、15℃で0.89g/cm3 以下のものが好ましく、0.87g/cm3 以下のものがより好ましく、0.85g/cm3 以下のものがさらにより好ましく、0.83g/cm3 以下のものが最も好ましい。
なお、15℃での密度は、JIS K 2249「原油及び石油製品の密度試験方法並びに密度・質量・容量換算表」により測定される。
【0030】
また、本発明の引火点については何ら制限はないが、引火性の点から、20℃以上であるものが好ましく、45℃以上であるものがより好ましく、60℃以上であるものがより好ましい。
なお、引火点は、JIS K 2265の「原油及び石油製品−引火点試験方法」によって測定される。
【0031】
また、本発明のセタン指数、及びセタン価については何ら制限はないが、重量当りの発電量が多いこと、CO2 発生量当たりの発電量が多いこと、燃料電池システム全体としての燃費が良いこと、排出ガス中のTHCが少ないこと、システムの起動時間が短いこと、改質触媒の劣化が小さく初期性能が長時間持続できることなどから、セタン指数は30以上であるものが好ましく、45以上であるものがより好ましく、50以上であるものがさらに好ましく、55以上であるものが最も好ましい。また、セタン価は20以上であるものが好ましく、46以上であるものがより好ましく、50以上であるものが最も好ましい。
なお、セタン指数、及びセタン価は、JIS K 2280「セタン価試験方法、セタン指数の算出方法」によって測定・算出される。
【0032】
また、本発明の残留炭素分については何ら制限はないが、改質触媒の劣化が小さく初期性能が長時間持続できることなどから、10%残油残留炭素分が1.0%以下であるものが好ましく、0.10%以下であるものがより好ましく、0.05%以下であるものが最も好ましい。
なお、残留炭素分は、JIS K 2270「残留炭素分試験方法」によって測定される。
【0033】
また、本発明の動粘度については何ら制限はないが、30℃での動粘度が1.5〜8.0cstであるものが好ましく、1.5〜5.0cstであるものが最も好ましい。
なお、動粘度は、JIS K 2283「動粘度試験方法」によって測定される。
【0034】
また、本発明の低温流動性については何ら制限はないが、取り扱い性などから、曇り点は+10℃以下であるものが好ましく、+5℃以下であるものがより好ましく、0℃以下であるものがさらに好ましく、−5℃以下であるものが更に好ましく、−10℃以下であるものが最も好ましい。また、流動点は+5℃以下であるものが好ましく、−2.5℃以下であるものがより好ましく、−7.5℃以下であるものがさらに好ましく、−20℃以下であるものが更に好ましく、−30℃以下であるものが最も好ましい。また、目詰まり点は+10℃以下であるものが好ましく、−1℃以下であるであるものがより好ましく、−5℃以下であるものが更に好ましく、−12℃以下であるものが更に好ましく、−19℃以下であるものが最も好ましい。
【0035】
なお、曇り点、流動点は、JIS K 2269「曇り点試験方法、流動点試験方法」によって測定され、目詰まり点は、JIS K 2288「目詰まり点試験方法」によって測定される。
【0036】
また、本発明において、燃料の熱容量については何ら制限はないが、燃料電池システム全体としての燃費が良いことから、液体で、1気圧、15℃における熱容量が、2.5kJ/kg・℃以下が好ましい。
【0037】
また、本発明において、燃料の蒸発潜熱については何ら制限はないが、燃料電池システム全体としての燃費が良いことから、蒸発潜熱が、350kJ/kg以下が好ましい。
【0038】
これら熱容量及び蒸発潜熱は、水熱量計、氷熱量計、真空熱量計、断熱熱量計等の熱量計によって測定される。
【0039】
本発明の燃料の製造方法については、特に制限はない。具体的には例えば、原油を蒸留して得られる軽油留分を脱硫した脱硫軽油、原油を蒸留して得られる重質軽油、天然ガス等を一酸化炭素と水素に分解した後にF−T(Fischer-Tropsch )合成で得られるGTL(Gas to Liquids)軽油、減圧留出油等を水素化脱硫・分解して得られる軽油相当留分、減圧留出油を水素化脱硫・分解して得られる水素化分解軽油、重油・残油等を直接脱硫の後に得られる重油直接脱硫軽油、残油・減圧留出油等を接触分解して得られる接触分解軽油、等の基材を1 種または2種以上を用いて製造される。
【0040】
これらの中でも、本発明の燃料の製造基材として好ましいものとしては、脱硫灯油、脱硫軽油、GTL軽油、水素化分解軽油等が挙げられる。
【0041】
本発明の燃料電池システム用燃料には、低温流動性の改善のために流動性向上剤、セタン価の向上のためにセタン価向上剤、潤滑性の向上のために潤滑性向上剤等の添加剤を添加することもできる。
【0042】
改質触媒の劣化が小さく初期性能が長時間維持できることから、流動性向上剤は1000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましく、300ppm以下がより好ましく、200ppm以下が最も好ましい。同様の理由により、セタン価向上剤は5000ppm以下が好ましく、3000ppm以下がより好ましく、1000ppm以下が最も好ましい。同様の理由により潤滑性向上剤は200ppm以下が好ましく、100ppm以下がより好ましく、50ppm以下が最も好ましい。
【0043】
本発明の燃料は、燃料電池システム用燃料として用いられる。本発明でいう燃料電池システムには、燃料の改質器、一酸化炭素浄化装置、燃料電池等が含まれるが、本発明の燃料は如何なる燃料電池システムにも好適に用いられる。
【0044】
燃料の改質器は、燃料を改質して燃料電池の燃料である水素を得るためのものである。改質器としては、具体的には、例えば、
(1)加熱気化した燃料と水蒸気を混合し、銅、ニッケル、白金、ルテニウム等の触媒中で加熱反応させることにより、水素を主成分とする生成物を得る水蒸気改質型改質器、
(2)加熱気化した燃料を空気と混合し、銅、ニッケル、白金、ルテニウム等の触媒中または無触媒で反応させることにより、水素を主成分とする生成物を得る部分酸化型改質器、
(3)加熱気化した燃料を水蒸気及び空気と混合し、銅、ニッケル、白金、ルテニウム等の触媒層前段にて、(2)の部分酸化型改質を行ない、後段にて部分酸化反応の熱発生を利用して、(1)の水蒸気型改質を行なうことにより、水素を主成分とする生成物を得る部分酸化・水蒸気改質型改質器、
等が挙げられる。
【0045】
一酸化炭素浄化装置とは、上記の改質装置で生成されたガスに含まれ、燃料電池の触媒毒となる一酸化炭素の除去を行なうものであり、具体的には、
(1)改質ガスと加熱気化した水蒸気を混合し、銅、ニッケル、白金、ルテニウム等の触媒中で反応させることにより、一酸化炭素と水蒸気より二酸化炭素と水素を生成物として得る水性ガスシフト反応器、
(2)改質ガスを圧縮空気と混合し、白金、ルテニウム等の触媒中で反応させることにより、一酸化炭素を二酸化炭素に変換する選択酸化反応器等が挙げられ、これらを単独または組み合わせて使用される。
【0046】
燃料電池としては、具体的には、例えば、固体高分子型燃料電池(PEFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)、固体酸化物型燃料電池(SOFC)等が挙げられる。
【0047】
また、上記したような燃料電池システムは、電気自動車、従来エンジンと電気のハイブリッド自動車、可搬型電源、分散型電源、家庭用電源、コージェネレーションシステム等に用いられる。
【0048】
【実施例】
実施例および比較例の各燃料に用いた基材(軽油)の性状等を表1に示す。
【0049】
【表1】
Figure 0004632281
実施例および比較例に用いた各燃料の組成と性状等を表2及び表3に示す。
【0050】
【表2】
Figure 0004632281
【0051】
【表3】
Figure 0004632281
これら各燃料について、燃料電池システム評価試験、蒸発ガス試験、貯蔵安定性試験を行なった。
【0052】
燃料電池システム評価試験
(1)水蒸気改質型
燃料と水を電気加熱により気化させ、貴金属系触媒を充填し電気ヒーターで所定の温度に維持した改質器に導き、水素分に富む改質ガスを発生させた。
改質器の温度は、試験の初期段階において改質が完全に行なわれる最低の温度(改質ガスにTHCが含まれない最低温度)とした。
改質ガスを水蒸気と共に一酸化炭素処理装置(水性ガスシフト反応)に導き、改質ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に変換した後、生成したガスを固体高分子型燃料電池に導き発電を行なった。
評価に用いた水蒸気改質型の燃料電池システムのフローチャートを図1に示す。
【0053】
(2)部分酸化型
燃料を電気加熱により気化させ、予熱した空気と共に貴金属系触媒を充填し電気ヒーターで1250℃に維持した改質器に導き、水素分に富む改質ガスを発生させた。
改質ガスを水蒸気と共に一酸化炭素処理装置(水性ガスシフト反応)に導き、改質ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に変換した後、生成したガスを固体高分子型燃料電池に導き発電を行なった。
評価に用いた部分酸化型の燃料電池システムのフローチャートを図2に示す。
【0054】
(3)評価方法
評価試験開始直後に改質器から発生する改質ガス中のH2 、CO、CO2 、THC量について測定を行った。同じく、評価試験開始直後に一酸化炭素処理装置から発生する改質ガス中のH2 、CO、CO2 、THC量について測定を行った。
評価試験開始直後および開始24時間後の燃料電池における発電量、燃料消費量、並びに燃料電池から排出されるCO2 量について測定を行なった。
各燃料を所定の改質器温度にまで導くために要する熱量(予熱量)は、熱容量、蒸発潜熱から計算した。
また、これら測定値・計算値および燃料発熱量から、改質触媒の性能劣化割合(試験開始24時間後の発電量/試験開始直後の発電量)、熱効率(試験開始直後の発電量/燃料発熱量)、予熱量割合(予熱量/発電量)を計算した。
【0055】
貯蔵安定度試験
各燃料を149℃に加熱、全酸価、ASTM色の評価を行なった。
各測定値・計算値を表4に示す。
【0056】
【表4】
Figure 0004632281
【0057】
【発明の効果】
上記の通り、特定の組成と蒸留性状の炭化水素化合物からなる燃料を燃料電池に用いることにより、性能劣化割合の少ない電気エネルギーを高出力で得ることができる他、燃料電池用として各種性能を満足する燃料であることが分る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の燃料電池システム用燃料の評価に用いた水蒸気改質型燃料電池システムのフローチャート。
【図2】 本発明の燃料電池システム用燃料の評価に用いた部分酸化型燃料電池システムのフローチャート。

Claims (9)

  1. 飽和分が50容量%以上、芳香族分が50容量%以下、1環芳香族が30容量%以下、2環芳香族が15容量%以下、3環以上芳香族が10容量%以下、オレフィン分が5容量%以下であり、蒸留初留点が160℃以上250℃以下、硫黄分含有量が84質量ppm以下、セタン指数が30以上、セタン価が20以上である炭化水素化合物からなる燃料電池システム用燃料。
  2. 蒸留初留点が160℃以上250℃以下、10容量%留出温度が184.5℃以上290℃以下、90容量%留出温度が240℃以上390℃以下、95容量%留出温度が250℃以上400℃以下、蒸留終点が260℃以上410℃以下の蒸留性状である請求項1に記載の燃料電池システム用燃料。
  3. 15℃での密度が、0.89g/cm3 以下である請求項1又は2に記載の燃料電池システム用燃料。
  4. 引火点が20℃以上である請求項1〜3何れかに記載の燃料電池システム用燃料。
  5. 10%残油残留炭素分が1.0%以下である請求項1〜何れかに記載の燃料電池システム用燃料。
  6. 30℃での動粘度が1.5〜8.0cstである請求項1〜何れかに記載の燃料電池システム用燃料。
  7. 曇り点が+10℃以下、流動点が+5℃以下、目詰まり点が+10℃以下である請求項1〜何れかに記載の燃料電池システム用燃料。
  8. 液体で、1気圧、15℃における熱容量が、2.5kJ/kg・℃以下である請求項1〜何れかに記載の燃料電池システム用燃料。
  9. 蒸発潜熱が、350kJ/kg以下である請求項1〜何れかに記載の燃料電池システム用燃料。
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