JP4227930B2 - 炭化水素油及び該炭化水素油の脱硫方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭化水素油及び該炭化水素油の脱硫方法に関する。
近年、将来の地球環境に対する危機感の高まりから、地球にやさしいエネルギー供給システムの開発が求められ、エネルギー効率が高いこと及び排出ガスがクリーンである点から、燃料電池、水素エンジン等の水素を燃料とするシステムが脚光を浴びている。なかでも、燃料電池への水素の供給方法としては、圧縮あるいは液化といった形で直接水素を供給する方法の他、メタノール等の含酸素燃料、及びナフサ、灯油等の炭化水素の改質による供給方法が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。このうち、直接水素を供給する方法は、そのまま燃料として利用できる利点はあるが、常温で気体のため貯蔵性および車両等に用いた場合の搭載性に問題がある。また、メタノールはシステム内での改質による水素の製造が比較的容易であるが、重量当たりのエネルギー効率が低く、有毒かつ腐食性を持つために、取り扱い性、貯蔵性にも難点がある。一方、ナフサ、灯油等の炭化水素の改質による水素の製造は、既存の燃料供給インフラが使用できること、トータルでのエネルギー効率が高いこと等により注目を集めている。これら炭化水素中に含まれる硫黄分は、水素を発生される改質工程に使用される触媒や、燃料電池、特に固体高分子型燃料電池の性能を劣化させることが一般的に知られている。そこで、燃料電池システム内に設置される水素製造においては、炭化水素中に含まれる微量硫黄の脱硫工程が必要である。一般的に燃料電池システムの運転圧力は、定置式燃料電池の家庭や商業地への設置等の理由により、常圧(大気圧)近傍であることが求められている。しかしながら、常圧(大気圧)近傍の脱硫工程では炭化水素の種類によっては、安定した十分な脱硫効率が得られない場合があった。
池松正樹,「エンジンテクノロジー」,山海堂社,2001年1月,第3巻,第1号,p.35
本発明はこのような状況に鑑み、安定した高い脱硫率を得ることが可能な炭化水素油を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究した結果、特定性状を有する炭化水素油が前記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、初留点が140〜180℃、90容量%留出温度が200〜270℃、芳香族含有量が20容量%以下、直鎖飽和炭化水素含有量が25質量%以上、炭素数10〜15の直鎖飽和炭化水素含有量が20質量%以上、硫黄含有量が300質量ppm以下である炭化水素混合物を原料油として、下記工程(1)〜(3)を経て得られる炭化水素基材を含有してなる、初留点が160℃以上200℃以下、50容量%留出温度が200℃以上220℃以下、90容量%留出温度が220℃以上245℃以下、芳香族分が10容量%以下、硫黄含有量が0.3質量ppm以下、ナフテン分が40容量%以上、酸化開始温度が210℃以上,炭素数13の炭化水素の割合が20質量%以上であることを特徴とする脱硫性能に優れた炭化水素油に関する。
工程(1):原料油を、反応温度250〜310℃、水素圧力5〜10MPa、LHSV 0.5〜3.0h-1、水素/炭化水素容量比0.15〜0.6の条件で、Ni−W、Ni−Mo、Co−Mo、Co−W、およびNi−Co−Moから選択されるいずれかを含有する触媒により水素化脱硫処理する工程
工程(2):工程(1)で得られた水素化脱硫処理油から軽質分の1〜35容量%をストリップする工程
工程(3):軽質分をストリップした後、温度150℃〜250℃、圧力1〜5MPaの条件下でゼオライトにより直鎖飽和炭化水素を10容量%以上抽出除去する工程
また、本発明は、前記記載の炭化水素油を、脱硫反応器の反応圧力(絶対圧)1MPa未満において、脱硫触媒層の最高温度を炭化水素油の初留点温度−50℃から炭化水素油の初留点温度+100℃の範囲に制御して脱硫することを特徴とする炭化水素油の脱硫方法に関する。
以下、本発明について詳述する。
原料油となる炭化水素混合物は、初留点が140〜180℃、90容量%留出温度が200〜270℃、芳香族含有量が20容量%以下、直鎖飽和炭化水素含有量が25質量%以上、炭素数10〜15の直鎖飽和炭化水素含有量が20質量%以上、硫黄含有量が300質量ppm以下であることが必要である。好ましくは、初留点が150〜170℃、90容量%留出温度が225〜245℃、芳香族含有量が15容量%以下、直鎖飽和炭化水素含有量が35容量%以上、炭素数10〜15の直鎖飽和炭化水素含有量が25容量%以上、硫黄含有量が200質量ppm以下である。原料油の性状が上述の範囲を外れると、本発明の炭化水素油が得にくくなるため好ましくない。
ここでいう、初留点、90容量%留出温度は、JIS K2254「石油製品−蒸留試験方法−常圧法蒸留試験方法」により、芳香族含有量は、JIS K2536「石油製品−炭化水素タイプ試験方法」の蛍光指示薬吸着法により測定される値、直鎖飽和炭化水素含有量、炭素数10〜15の直鎖飽和炭化水素含有量は、GC−FIDを用いて測定される値(質量%)である。すなわち、カラムにはメチルシリコンのキャピラリーカラム(ULTRAALLOY−1)、キャリアガスにはヘリウムを、検出器には水素イオン検出器(FID)を用い、カラム長30m、キャリアガス流量1.0mL/min、分割比1:79、試料注入温度360℃、カラム昇温条件140℃→(8℃/min)→355℃、検出器温度360℃の条件で測定された値である。
硫黄含有量は、JIS K 2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」により測定される値である。
原料油は、以下の工程(1)〜(3)にて処理される。
工程(1)においては、前記原料油を、反応温度250〜310℃、水素圧力5〜10MPa、LHSV0.5〜3.0h-1、水素/炭化水素容量比0.15〜0.6の条件で、Ni−W、Ni−Mo、Co−Mo、Co−W、およびNi−Co−Moから選択されるいずれかを含有する触媒により水素化脱硫処理を行う。
水素化脱硫処理の反応温度は、250〜310℃であり、好ましくは280〜305℃である。反応温度が250℃未満であると十分な水素化脱硫反応速度が得られず、一方、310℃を超えると水素化脱硫反応が反応平衡の点で不十分となる。
水素化脱硫処理における水素圧力は、5〜10MPaであり、好ましくは7〜9MPaである。
水素化脱硫処理におけるLHSVは0.5〜3.0h-1であり、好ましくは1〜2h-1である。LHSVは低いほど反応に有利であるが、0.5h-1未満の場合には、極めて大きな反応塔容積が必要となる。
また、水素/炭化水素容量比は、0.15〜0.6であり、好ましくは0.2〜0.4である。
水素圧力が5MPa未満の場合、及び水素/炭化水素容量比が0.15未満の場合には、脱硫反応又は水素化反応の促進効果が不十分となる。また、水素圧力が10MPaを超える場合、及び水素/炭化水素容量比が0.6を超える場合には、装置コストが増大してしまう。
水素化脱硫処理に用いる触媒は、活性金属としてNi−W、Ni−Mo、Co−Mo、Co−W、およびNi−Co−Moから選択されるいずれかを含有することが必要である。前記活性金属は、好ましくは多孔質担体に担持して使用される。多孔質担体としては無機酸化物が好ましく用いられる。具体的な無機酸化物としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ボリア、シリカ、あるいはゼオライトが挙げられ、このうちチタニア、ジルコニア、ボリア、シリカ、ゼオライトのうち少なくとも1種類とアルミナによって構成されているものが本発明において好適に用いられる。上述の活性金属の担持量は特に限定されないが、触媒全量に対し、金属酸化物量合計で20〜35質量%であることが望ましい。
触媒は水素および硫黄化合物により予備硫化処理を施した後に用いるのが好ましい。一般的には水素および硫黄化合物を含むガスを流通し、200℃以上の熱を所定の手順に従って与えることにより触媒上の活性金属を予備硫化し、水素化および脱硫活性を発現することになる。
工程(2)では、工程(1)で得られた水素化脱硫処理油から軽質分(一般的には沸点200℃以下)をストリップ(除去)する。ストリップ量は、水素化脱硫処理油を基準として、1〜35容量%であり、好ましくは10〜35容量%であり、より好ましくは20〜35容量%である。ストリップを行わない場合、またはストリップ量が十分でない場合、後段の直鎖飽和炭化水素の除去装置の負荷が上がり、除去効率が低下する。また、ストリップ量が過大(35容量%超)な場合、ストリップ処理に要する時間が増加する。
工程(3)では、工程(2)で軽質分をストリップ(除去)した炭化水素油を、温度150℃〜250℃、圧力1〜5MPaの条件下でゼオライトにより直鎖飽和炭化水素を10容量%以上抽出除去する。
直鎖飽和炭化水素の除去の温度は150℃〜250℃であり、好ましくは180〜200℃である。温度が150℃未満の場合、十分な直鎖飽和炭化水素の除去速度が得られない。一方、250℃を超えると、直鎖飽和炭化水素の除去効率が低下する。また、この時の圧力は1〜5MPaであり、好ましくは1.5〜3MPaである。圧力が1MPa未満であると十分な直鎖飽和炭化水素の除去速度が得られない。一方、5MPaを超えると十分な直鎖飽和炭化水素の除去速度が得られない。直鎖飽和炭化水素の除去に使用するゼオライトは特には限定されないが一般的にはA型ゼオライトが使用され、その中でもモレキュラーシーブ5Aが好ましい。以上の条件で、直鎖飽和炭化水素を10容量%以上、好ましくは20容量%以上抽出除去することが必要である。好ましい。
本発明の炭化水素油は、上記の原料油を工程(1)〜(3)を経て得られる炭化水素基材を含有してなる、以下の特定性状を有する炭化水素油である。
本発明の炭化水素油の初留点(IBP)の下限は、安定した高い脱硫率を得るために、160℃以上であることが必要であり、170℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましい。一方、上限は、脱硫システムの起動性の観点から、200℃以下であることが必要であり、190℃以下が好ましい。
本発明の炭化水素油の50容量%留出温度(T50)の下限は、安定した高い脱硫率を得るために、200℃以上であることが必要であり、205℃以上が好ましく、210℃以上がより好ましい。一方、上限は、脱硫システムの起動性の観点から、220℃以下であることが必要である。
本発明の炭化水素油の90容量%留出温度(T90)の下限は、脱硫システムの耐久性の観点から、220℃以上であることが必要であり、225℃以上が好ましく、230℃以上がより好ましい。一方、上限は、改質反応をした際の改質ガス中の炭化水素成分が増加してしまうため、245℃以下であることが必要であり、240℃以下が好ましい。
また、本発明の炭化水素油のIBP、T50、T90以外の蒸留性状は特に制限はないが、10容量%留出温度(T10)は170℃以上220℃以下が好ましい。T10の下限は蒸発ガス(THC)が発生しやすくなるため、180℃以上がより好ましく、190℃以上がさらに好ましく、195℃以上が最も好ましい。一方、脱硫システムの起動性の観点から、210℃以下がより好ましく、200℃以下がさらに好ましい。
終点(EP)は230℃以上280℃以下が好ましい。脱硫システムの耐久性の観点から、240℃以上がより好ましく、250℃以上がさらに好ましい。脱硫システムの起動性の観点から、270℃以下がより好ましく、260℃以下がさらに好ましい。
なお、ここでいうIBP、T10、T50、T90及びEPは、JIS K2254「石油製品−蒸留試験方法−常圧法蒸留試験方法」によって測定される値である。
本発明の炭化水素油の芳香族分は、脱硫率の低下、脱硫システムの耐久性の低下の観点から10容量%以下であることが必要であり、8容量%以下が好ましい。
本発明の炭化水素油のオレフィン分については何ら制限はないが、脱硫システムの耐久性の観点から、5容量%以下であることが好ましく、1容量%以下がより好ましく、0.1容量%以下が最も好ましい。
本発明の炭化水素油の飽和分については何ら制限はないが、脱硫システム起動時間が短い点から、85容量%以上であることが好ましく、90容量%以上がより好ましい。
なお、上述の芳香族分、オレフィン分、飽和分は、JIS K2536「石油製品−炭化水素タイプ試験方法」の蛍光指示薬吸着法により測定される芳香族含有量、オレフィン含有量、飽和炭化水素含有量の値である。
本発明の炭化水素油の硫黄含有量は、脱硫率、脱硫触媒の耐久性の点から0.3質量ppm以下であることが必要であり、0.2質量ppm以下が好ましい。
ここで、硫黄含有量とは、ASTM D4045−96「Standard Test Method for Sulfur in Petroleum Products by Hydrogenolysis and Rateometric Colorimetry」により測定される値である。
本発明の炭化水素油のナフテン分は、脱硫率の低下、脱硫触媒の耐久性の低下抑制の点から40容量%以上であることが必要であり、45容量%以上が好ましい。
なお、ここでいうナフテン分は、ASTM D2425(Test Method for Instrumental Determination of Carbon, Hydrogen, and Nitrogen in Petroleum Products and Lubricants)に準拠した方法にて測定されるナフテン系炭化水素の含有量のことである。
本発明の炭化水素油の酸化開始温度は、210℃以上であることが必要であり、212℃以上であることが好ましく、215℃以上がより好ましい。酸化開始温度が210℃未満の場合、触媒のコーキングによる脱硫システムの耐久性悪化の点から好ましくない。
ここでいう酸化開始温度は、高圧示差走査熱量計(High-Pressure Differential Scanning Calorimeter、以下、「高圧DSC」という。)を用いて測定されるものである。より具体的には、DSC加圧セル(例えばメトラードレド社製)に試料を導入し、4MPaの空気雰囲気下、試料を30℃から500℃まで20℃/分で昇温することにより、発熱量と温度との相関曲線が得られる。そして、かかる相関曲線の最初に発現する発熱ピークに基づいて酸化開始温度が決定される。
図1は高圧DSCを用いて測定される発熱量と温度との相関曲線の一例を示すグラフであり、後述する炭化水素油Aについての測定結果を示したものである。図1中、縦軸は発熱量、横軸は温度である。また、図2は図1に示した曲線の微分曲線を示すグラフである。図1中、直線l1は単位時間当たりの発熱量が最大となる点(図2中の点Bに相当する点)における接線を示している。また、図1中のl2は発熱の開始点(曲線が立ち上がる点)における接線を示している。そして、l1とl2との交点Aに対応する温度が本発明で規定する酸化開始温度である。
本発明の炭化水素油の炭素数13の炭化水素の成分割合は、脱硫システムの耐久性の観点から、20質量%以上であることが必要であり、25質量%以上が好ましい。
ここで、炭素数13の炭化水素含有量とは、GC−FIDを用いて測定される値(質量%)である。すなわち、カラムにはメチルシリコンのキャピラリーカラム(ULTRAALLOY−1、0.25mmφ、30m)、キャリアガスにはヘリウムを、検出器には水素イオン検出器(FID)を用い、キャリアガス流量1.0mL/min、分割比1:79、試料注入温度280℃、カラム昇温条件50℃(5分)→(5℃/min)→280℃(10分)、検出器温度300℃の条件で測定されたクロマトより、炭素数13の炭化水素の面積積分を行った値である。
本発明の炭化水素油としては、前述の工程(1)〜(3)を経て得られる炭化水素基材を使用することができる。また、前記した性状が維持される範囲で、当該炭化水素基材に、他の基材を適宜混合することもできる。混合できる他の基材の配合割合は、炭化水素油全量基準で20容量%以下であることが好ましく、15容量%以下であることがより好ましく、10容量%以下であることがさらに好ましい。他の基材の含有量が20容量%を超えると、脱硫触媒の耐久性悪化の観点から好ましくない。
本発明に用いる脱硫反応器(以下、脱硫器という。)は、炭化水素油中の硫黄分を除去する装置であり、具体的には、触媒として銅−亜鉛系、ニッケル系、モリブデン系、ニッケル−モリブデン系、コバルト−モリブデン系、コバルト−ニッケル−モリブデン系等を用いる。特に、脱硫性能の点から、触媒は銅−亜鉛系、ニッケル系が好ましい。反応条件としては、触媒層の最高温度を炭化水素油の初留点温度−50℃から炭化水素油の初留点温度+100℃の範囲内に制御して行うことが必要である。触媒層の最高温度は、脱硫性能の点から、炭化水素油の初留点温度−30℃以上が好ましく、脱硫触媒の耐久性の点から炭化水素油の初留点温度+90℃以下が好ましく、炭化水素油の初留点温度+80℃以下がさらに好ましい。LHSVは、脱硫器の大きさへの影響の点から、0.1h-1以上が好ましく、0.3h-1以上がさらに好ましく、脱硫性能の点から10h-1以下が好ましく、5h-1以下がさらに好ましい。反応圧力(絶対圧)は、定置式燃料電池の家庭や商業地への設置等の点により1MPa未満が好ましく、0.1MPa以下がさらに好ましい。また、脱硫器への水素の同伴は、水素製造システム(脱硫器も含む)を含む燃料電池システムの効率の面から無い方が好ましい。これらの脱硫操作を実施した後の、炭化水素油の硫黄含有量が、好ましくは0.1質量ppm以下、より好ましくは0.05質量ppm以下となるように行うことが好ましい。
本発明の炭化水素油を用いることで、安定した高い脱硫率を得ることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
[実施例1〜2および比較例1〜3]
表1に示すような条件で炭化水素基材(1)〜(3)を製造し、基材(1)〜(3)を配合して表2に示す炭化水素油A〜Dを製造した。その性状を表2に示す。
(性状測定)
炭化水素油A〜Dの一般性状は、以下の試験法により測定した。
密度は、JIS K 2249「原油及び石油製品の密度試験方法並びに密度・質量・容量換算表」により測定される密度を指す。
引火点は、JIS K 2265「原油及び石油製品−引火点試験方法」によって測定される引火点を指す。
蒸留性状(IBP、T10、T50、T90、T95、EP)は、全てJIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法-常圧法蒸留試験方法」によって測定される値である。
硫黄分は、ASTM D4045−96「Standard Test Method for Sulfur in Petroleum Products by Hydrogenolysis and Rateometric Colorimetry」により測定される硫黄分含有量を指す。
芳香族分、オレフィン分、飽和分は、JIS K2536「石油製品−炭化水素タイプ試験方法」の蛍光指示薬吸着法により測定される芳香族分含有量、オレフィン分含有量、飽和炭化水素(ナフテン系炭化水素を含む)含有量を指す。
ナフテン分は、ASTM D2425(Standard Test Method for Hydrocarbon Types in Middle Distillates by Mass Spectrometry)に準拠した方法にて測定されるナフテン系炭化水素含有量を指す。
酸化開始温度は、前述のとおり、高圧示差走査熱量計(High-Pressure Differential Scanning Calorimeter)を用いて測定される温度を指す。
炭素数13の炭化水素の成分の割合は、前記のガスクロマトグラフ法により、GC−FIDを用いて測定される値を指す。
得られた炭化水素油A〜Dを図3に示した脱硫評価装置により評価した。
炭化水素油をポンプにて、脱硫触媒(ニッケル系、φ2mm、50mL充填)が充填された反応管へと導入した。
まず、はじめに反応条件<S>下にて、脱硫後の炭化水素油中硫黄分を測定し、脱硫率を算出した。その後、反応条件<A>下にて、200時間運転を行い、再び、反応条件Sへ戻し、脱硫後の炭化水素油中硫黄分を測定し、脱硫率を算出した。そして、200時間運転前後での脱硫率の変化を比較した。
反応条件<S>
触媒層最高温度:炭化水素油の初留点温度−10℃、LHSV:1h-1
反応圧力(絶対圧):0.05MPa
反応条件<A>
触媒層最高温度:炭化水素油の初留点温度+10℃、LHSV:5h-1
反応圧力(絶対圧):0.05MPa
また、反応条件の比較例(比較例3)として、以下の反応条件<A’>および<S’>にて脱硫反応を行ない、脱硫率の変化を比較した。
反応条件<S’>
触媒層最高温度:炭化水素油の初留点温度+110℃、LHSV:0.5h-1
反応圧力(絶対圧):0.05MPa
反応条件<A’>
触媒層最高温度:炭化水素油の初留点温度+130℃、LHSV:5h-1
反応圧力(絶対圧):0.05MPa
炭化水素油A〜Dについて、上述の評価を行い、その評価結果を表3に示す。
表3に示す結果から、本発明の炭化水素油を用いた場合(実施例1、2)には、比較例の炭化水素油に比べて、運転初期および200時間運転後の脱硫率が高く、かつ200時間運転後の脱硫率の低下割合も小さいことがわかる。
なお、脱硫率の低下割合は、(運転初期の脱硫率−200時間後の脱硫率)×100/運転初期の脱硫率(%)により算出した。
Figure 0004227930
Figure 0004227930
Figure 0004227930
高圧示差走査熱量計を用いて測定される炭化水素油の発熱量と温度との相関曲線の一例を示すグラフである。 図1に示した相関曲線の微分曲線を示すグラフである。 脱硫器を含む評価システムのフローチャートである。

Claims (2)

  1. 初留点が140〜180℃、90容量%留出温度が200〜270℃、芳香族含有量が20容量%以下、直鎖飽和炭化水素含有量が25質量%以上、炭素数10〜15の直鎖飽和炭化水素含有量が20質量%以上、硫黄含有量が300質量ppm以下である炭化水素混合物を原料油として、下記工程(1)〜(3)を経て得られる炭化水素基材を含有してなる、初留点が160℃以上200℃以下、50容量%留出温度が200℃以上220℃以下、90容量%留出温度が220℃以上245℃以下、芳香族分が10容量%以下、硫黄含有量が0.3質量ppm以下、ナフテン分が40容量%以上、酸化開始温度が210℃以上,炭素数13の炭化水素の割合が20質量%以上であることを特徴とする脱硫性能に優れた炭化水素油。
    工程(1):原料油を、反応温度250〜310℃、水素圧力5〜10MPa、LHSV 0.5〜3.0h-1、水素/炭化水素容量比0.15〜0.6の条件で、Ni−W、Ni−Mo、Co−Mo、Co−W、およびNi−Co−Moから選択されるいずれかを含有する触媒により水素化脱硫処理する工程
    工程(2):工程(1)で得られた水素化脱硫処理油から軽質分の1〜35容量%をストリップする工程
    工程(3):軽質分をストリップした後、温度150℃〜250℃、圧力1〜5MPaの条件下でゼオライトにより直鎖飽和炭化水素を10容量%以上抽出除去する工程
  2. 請求項1記載の炭化水素油を、脱硫反応器の反応圧力(絶対圧)1MPa未満において、脱硫触媒層の最高温度を炭化水素油の初留点温度−50℃から炭化水素油の初留点温度+100℃の範囲に制御して脱硫することを特徴とする炭化水素油の脱硫方法。

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