JP4548734B2 - 車両用駆動装置及びその制御方法 - Google Patents

車両用駆動装置及びその制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、ハイブリッド車や電気自動車等、車両の駆動源として回転電機を備えた車両に適用可能な車両用駆動装置及びその制御方法に関し、特に、トランスファや変速機等であって噛み合い式の係合切替手段を有する動力伝達装置を備えた車両に適用可能な車両用駆動装置及びその制御方法に関する。
ハイブリッド車用駆動装置を四輪駆動方式の車両に適用するために、ハイブリッド車用駆動装置の出力軸側の端部に、前輪と後輪とに駆動力を分配するためのトランスファを設けた構成が既に知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1に記載されているトランスファは、摩擦係合式の多板クラッチを係合切替手段として有する構成となっている。ところで、このようなトランスファとしてドグクラッチ等の噛み合い式の係合切替手段を有するものが用いられる場合もある(例えば特許文献2参照)。
特開2005−162002号公報(第7−8頁、第1−2図) 特許3620605号公報(第4−6頁、第1図、第3−4図)
上記のような噛み合い式の係合切替手段を有するトランスファ等の動力伝達装置を、ハイブリッド車や電気自動車等、車両の駆動源として回転電機を備えた車両に適用する場合には、以下のような特有の課題が生じる。
すなわち、ドグクラッチ等の噛み合い式の係合切替手段の係合状態を切り替える際には、新たに係合しようとする両部材のそれぞれに設けられた噛合い部同士の位相が合致している必要がある。すなわち、例えば本発明に係る説明のための図6に示すように、係合切替手段が、内歯(It)が形成されたスリーブ(SA)と外歯(Et)が形成されたギヤ(Gc4)とで構成されている場合、これらの噛合い部としての内歯(It)と外歯(Et)との位相が合致していなければ、スリーブ(SA)とギヤ(Gc4)とを係合させることはできない。しかし、ハイブリッド車や電気自動車等、車両の駆動源としての回転電機を備えた車両では、通常の車両の停止状態でエンジン及び回転電機を停止させる。したがって、このような車両停止状態では、出力軸側のトランスファに回転駆動力が伝達されないため、内歯(It)と外歯(Et)との位相を合わせることができず、係合切替手段の係合状態を切り替える操作を容易に行うことができないという問題が生じる。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の駆動源として回転電機を備えた車両において、噛み合い式の係合切替手段を有する動力伝達装置の切り替え動作を容易に行うことができる車両用駆動装置及びその制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る車両用駆動装置の特徴構成は、回転電機と、この回転電機に駆動連結された伝動軸と、車輪に駆動連結された1又は2以上の出力軸と、前記伝動軸を介して伝達される駆動力を前記出力軸側へ伝達する動力伝達装置と、前記伝動軸と前記動力伝達装置との間の駆動伝達経路内に設けられた変速機と、前記回転電機及び前記動力伝達装置の制御を行う制御手段と、車両が略停止状態にあることを判定する停止判定手段と、を備え、前記変速機は、係合又は係合解除により前記伝動軸を介して伝達される駆動力を前記動力伝達装置側へ選択的に伝達するクラッチを備え、前記動力伝達装置は、噛み合い式の係合切替手段を有し、前記係合切替手段の係合状態を切り替えることにより複数の動力伝達状態間を切り替え可能に構成され、前記制御手段は、車両が略停止状態にあることを条件として、前記動力伝達装置の係合切り替え動作中に、前記回転電機を所定の目標回転速度で回転駆動する切替時制御を行うと共に、当該切替時制御において、前記変速機の状態に応じて前記目標回転速度を決定する点にある。
この特徴構成によれば、車両の略停止状態で、前記動力伝達装置の係合切り替え動作中に前記回転電機を回転駆動する制御を行い、前記伝動軸に回転駆動力を伝達することができる。これにより、通常の車両の略停止状態では前記動力伝達装置に駆動力が伝達されない制御が行われる車両であっても、前記動力伝達装置の噛合い式の係合切替手段の係合状態を切り替える際に、新たに係合しようとする両部材の少なくとも一方を回転させることができる。したがって、噛合い係合しようとする両部材のそれぞれに設けられた噛合い部同士の位相を合わせることができ、係合切替手段の係合状態を切り替える操作を容易に行うことが可能になる。
また、クラッチを備えた変速機により、回転電機の回転を所定の変速比で変速して車輪側に出力することができる。したがって、回転電機の回転駆動力を有効に利用して走行可能な車両を実現することができる。
また、切替時制御において、変速機の状態に応じて回転電機の目標回転速度を決定するので、変速機の状態によらずに動力伝達装置の入力軸を所定の速度範囲内で回転させることが容易となる。よって、係合切替手段の係合状態を切り替える操作を容易に行うことが可能になる。
なお、本願において「略停止状態」は、車両が完全に停止している場合だけでなく、例えばアクセルペダルが操作されていない状態で微速走行している状態等のように所定速度以下の低速で走行している状態も含むものとする。また、本願において、「駆動連結」とは、駆動力の伝達を直接的に行うように連結された構造を含むほか、1又は2以上の部材を介して間接的に駆動力の伝達を行うように連結された構造も含むものとする。また、本願において、「回転電機」は、電動モータ、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
ここで、前記制御手段は、前記クラッチの係合解除状態における目標回転速度を、前記クラッチの係合状態における目標回転速度よりも大きい値に設定する構成とすると好適である。
このように、クラッチの係合解除状態における目標回転速度を、クラッチの係合状態における目標回転速度よりも大きい値に設定する構成とすることにより、変速機が有するクラッチにおける回転速度の損失の度合いを考慮して、変速機の状態によらずに動力伝達装置の入力軸を所定の速度範囲内で回転させることが容易となる。
また、前記制御手段は、前記切替時制御中は、前記回転電機を所定の上限トルク以下の回転トルクで回転駆動すると共に、当該切替時制御において、前記変速機の状態に応じて前記上限トルクを決定し、前記制御手段は、更に、前記クラッチの係合解除状態における上限トルクを、前記クラッチの係合状態における上限トルクよりも大きい値に設定する構成とすると好適である。
このように構成すれば、回転電機を変速機の状態に応じた所定の上限トルク以下の回転トルクで回転駆動するので、出力軸を介して車輪に必要以上の大きな駆動力が伝達されることがなく、切替時制御中の車両の状態を安定的に維持することができる。
ここで、前記制御手段は、前記切替時制御として、前記クラッチの係合解除状態で、前記クラッチ内の油の粘性抵抗を利用した駆動力の伝達により前記動力伝達装置の入力軸が所定速度で回転するように前記回転電機を回転駆動する制御を行い、前記クラッチの係合状態で、前記動力伝達装置の入力軸が所定速度で回転するように前記回転電機を回転駆動する制御を行う構成とすると好適である。
このように構成すれば、前記クラッチの係合解除状態では、前記回転電機を、エンジンのアイドリング回転程度の比較的制御が容易な回転数で回転駆動するだけで、前記クラッチ内の油の粘性抵抗を利用して前記動力伝達装置の入力軸に適切な大きさの回転駆動力を伝達することができる。したがって、前記動力伝達装置の係合切替手段の係合状態を切り替える際に、前記動力伝達装置の入力軸を、前記係合切替手段の係合状態の切り替えを容易にするための適切な回転速度で回転させることができる。
また、前記クラッチの係合状態では、前記変速機のクラッチを係合したままの状態で前記動力伝達装置の入力軸に適切な大きさの回転駆動力を伝達することができる。したがって、前記動力伝達装置の係合切替手段の係合状態を切り替える際に、前記動力伝達装置の入力軸を、前記係合切替手段の係合状態の切り替えを容易にするための適切な回転速度で回転させることができる。また、前記変速機のクラッチを係合したままの状態であるので、前記動力伝達装置の係合状態の切り替えの後すぐに車両を発進させる操作が運転者により行われた場合にも、その操作に応じて迅速に車両を発進させることが可能となる。
また、前記変速機の変速指示手段の選択位置を検出するシフト位置検出手段を更に備え、前記制御手段は、前記変速指示手段の選択位置が停止レンジにある場合に、前記クラッチの係合解除状態における前記切替時制御を行い、前記変速指示手段の選択位置が走行レンジにある場合に、前記クラッチの係合状態における前記切替時制御を行う構成とすると好適である。
なお、本願における「変速指示手段」には、シフトレバー(変速レバー)、変速スイッチ、変速操作の入力が可能なタッチパネル等、変速機の変速状態を指示することが可能な全ての手段が含まれる。
ここで、前記動力伝達装置は、例えば、車両の前輪及び後輪への駆動力の伝達状態を切り替え可能なトランスファとすることができる。
また、前記動力伝達装置の前記係合切り替えのための操作を受け付け可能とする受付状態変更手段を更に備え、前記制御手段は、前記受付状態変更手段により前記動力伝達装置が操作可能となったときに前記切替時制御を開始する構成とすると好適である。
このように構成すれば、前記切替時制御を誤りなく確実に実行することができる。
また、前記係合切替手段の係合状態を検出する係合状態検出手段を更に備え、前記制御手段は、前記係合切替手段の係合が解除されたことを検出したときに前記切替時制御を開始する構成としても好適である。
このように構成すれば、運転者が前記動力伝達装置の操作レバー等による前記係合切り替えの操作を行うだけで前記切替時制御を開始することができる。したがって、運転者が行う操作をより簡便にすることができる。
また、本発明は、前記回転電機を第二回転電機とし、これとは異なる第一回転電機と、エンジンに駆動連結されたエンジン側軸と、このエンジン側軸から伝達される駆動力を前記第一回転電機と前記伝動軸とに分配する動力分配機構と、を更に備えたハイブリッド車用の駆動装置にも適用することができる。
この場合、前記制御手段は、前記切替時制御として、前記エンジン側軸に駆動力が伝達されないように前記第一回転電機を制御しつつ、前記第二回転電機を回転駆動する構成とすると好適である。
このように構成すれば、前記第二回転電機の回転駆動力がエンジン側に伝達され、無駄な動力が消費されることを抑制できる。
また、本発明は、エンジンに駆動連結されたエンジン側軸と、係合又は係合解除により前記エンジン側軸と前記伝動軸との間で駆動力を選択的に伝達する伝動クラッチと、を更に備えたハイブリッド車用の駆動装置にも適用することができる。
この場合、前記制御手段は、前記切替時制御として、前記伝動クラッチの係合解除状態で、前記回転電機を回転駆動する構成とすると好適である。
このように構成すれば、前記第二回転電機の回転駆動力がエンジン側に伝達され、無駄な動力が消費されることを抑制できる。
本発明に係る、回転電機と、この回転電機に駆動連結された伝動軸と、車輪に駆動連結された1又は2以上の出力軸と、前記伝動軸を介して伝達される駆動力を前記出力軸側へ伝達する動力伝達装置と、前記伝動軸と前記動力伝達装置との間の駆動伝達経路内に設けられた変速機と、前記回転電機及び前記動力伝達装置の制御を行う制御手段と、車両が略停止状態にあることを判定する停止判定手段と、を備え、前記変速機は、係合又は係合解除により前記伝動軸を介して伝達される駆動力を前記動力伝達装置側へ選択的に伝達するクラッチを備え、前記動力伝達装置は、噛み合い式の係合切替手段を有し、前記係合切替手段の係合状態を切り替えることにより複数の動力伝達状態間を切り替え可能に構成された車両用駆動装置の制御方法の特徴構成は、車両が略停止状態にあることを条件として、前記動力伝達装置の係合切り替え動作中に、前記回転電機を所定の目標回転速度で回転駆動する切替時制御を行うと共に、当該切替時制御において、前記変速機の状態に応じて前記目標回転速度を決定する点にある。
この特徴構成によれば、車両の略停止状態で、前記動力伝達装置の係合切り替え動作中に前記回転電機を回転駆動する制御を行い、前記伝動軸に回転駆動力を伝達することができる。これにより、通常の車両の略停止状態では前記動力伝達装置に駆動力が伝達されない制御が行われる車両であっても、前記動力伝達装置の噛合い式の係合切替手段の係合状態を切り替える際に、新たに係合しようとする両部材の少なくとも一方を回転させることができる。したがって、噛合い係合しようとする両部材のそれぞれに設けられた噛合い部同士の位相を合わせることができ、係合切替手段の係合状態を切り替える操作を容易に行うことが可能なる。
また、切替時制御において、変速機の状態に応じて回転電機の目標回転速度を決定するので、変速機の状態によらずに動力伝達装置の入力軸を所定の速度範囲内で回転させることが容易となる。よって、係合切替手段の係合状態を切り替える操作を容易に行うことが可能になる。
ここで、前記切替時制御において、前記クラッチの係合解除状態における目標回転速度を、前記クラッチの係合状態における目標回転速度よりも大きい値に設定する構成とすると好適である。
このように構成すれば、変速機が有するクラッチにおける回転速度の損失の度合いを考慮して、変速機の状態によらずに動力伝達装置の入力軸を所定の速度範囲内で回転させることが容易となる。
また、前記切替時制御において、前記回転電機を所定の上限トルク以下の回転トルクで回転駆動すると共に、当該切替時制御において、前記変速機の状態に応じて前記上限トルクを決定し、更に、前記クラッチの係合解除状態における上限トルクを、前記クラッチの係合状態における上限トルクよりも大きい値に設定する構成とすると好適である。
このように構成すれば、回転電機を変速機の状態に応じた所定の上限トルク以下の回転トルクで回転駆動するので、出力軸を介して車輪に必要以上の大きな駆動力が伝達されることがなく、切替時制御中の車両の状態を安定的に維持することができる。
また、前記切替時制御として、前記クラッチの係合解除状態で、前記クラッチ内の油の粘性抵抗を利用した駆動力の伝達により前記動力伝達装置の入力軸が所定速度で回転するように前記回転電機を回転駆動し、前記クラッチの係合状態で、前記動力伝達装置の入力軸が所定速度で回転するように前記回転電機を回転駆動する構成とすると好適である。
このように構成すれば、前記クラッチの係合解除状態では、前記回転電機を、エンジンのアイドリング回転程度の比較的制御が容易な回転数で回転駆動するだけで、前記クラッチ内の油の粘性抵抗を利用して前記動力伝達装置の入力軸に適切な大きさの回転駆動力を伝達することができる。したがって、前記動力伝達装置の係合切替手段の係合状態を切り替える際に、前記動力伝達装置の入力軸を、前記係合切替手段の係合状態の切り替えを容易にするための適切な回転速度で回転させることができる。
また、前記クラッチの係合状態では、前記変速機のクラッチを係合したままの状態で前記動力伝達装置の入力軸に適切な大きさの回転駆動力を伝達することができる。したがって、前記動力伝達装置の係合切替手段の係合状態を切り替える際に、前記動力伝達装置の入力軸を、前記係合切替手段の係合状態の切り替えを容易にするための適切な回転速度で回転させることができる。また、前記変速機のクラッチを係合したままの状態であるので、前記動力伝達装置の係合状態の切り替えの後すぐに車両を発進させる操作が運転者により行われた場合にも、その操作に応じて迅速に車両を発進させることが可能となる。
〔第一の実施形態〕
以下に、本発明の第一の実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態においては、本発明をハイブリッド車両用の駆動装置に適用した場合を例として説明する。図1は、本実施形態に係る車両用駆動装置1を含む車両の構成を模式的に示すブロック図である。この図に示すように、車両用駆動装置1は、エンジンEと前輪Wf及び後輪Wrとの間の駆動力の伝達経路中に設けられている。また図2は、本実施形態に係る車両用駆動装置1の駆動伝達構造を示すスケルトン図である。
1.車両用駆動装置1の駆動伝達構造
まず、図2を用いて本実施形態に係る車両用駆動装置1の駆動伝達構造について説明する。この図に示すように、車両用駆動装置1は、主な構成として、第一モータ・ジェネレータMG1、第二モータ・ジェネレータMG2、動力分配機構PG0、変速機SC、及びトランスファTFを備えている。また、車両用駆動装置1は、エンジンEに駆動連結された入力軸Iと、第二モータ・ジェネレータMG2に駆動連結された第一中間軸M1と、前輪用ディファレンシャル装置DIfを介して前輪Wf(図1参照)に駆動連結された前輪出力軸Ofと、後輪用ディファレンシャル装置DIrを介して後輪Wr(図1参照)に駆動連結された後輪出力軸Orとを備えている。また、車両用駆動装置1は、変速機SCの内部に第二中間軸M2、トランスファTFの内部に第三中間軸M3を備え、更にこれら変速機SCとトランスファTFとの間を接続して駆動連結する接続軸Mcを備えている。本例では、これらの軸は、前側から入力軸I、第一中間軸M1、第二中間軸M2、接続軸Mc、第三中間軸M3、後輪出力軸Orの順に、エンジンEの駆動力が出力される駆動軸(クランク軸)Ecと同軸に配置されている。また、前輪出力軸Ofは、これらの軸と平行に配置されている。なお、本実施形態の説明では、エンジンE側を前側(図1における左側)、後輪出力軸Or側を後側(図1における右側)として説明する。本実施形態においては、トランスファTFが本発明における「動力伝達装置」に相当する。
駆動軸Ecと入力軸Iとの間には、ダンパ装置Dが設けられている。このダンパ装置Dは、エンジンEの出力の変動を吸収して入力軸Iに伝達する。なお、ダンパ装置Dを備えず、駆動軸Ecと入力軸Iとを一体とした構成とすることも可能である。また、入力軸Iと第一中間軸M1との間には、動力分配機構PG0が設けられている。この動力分配機構PG0は、エンジンEからダンパ装置D及び入力軸Iを介して伝達されてきた駆動力を、第一モータ・ジェネレータMG1と第一中間軸M1とに必要に応じて分配して伝達する。これにより、この車両用駆動装置1は、2個のモータ・ジェネレータMG1及びMG2を有するスプリット方式として構成されている。なお、動力分配機構PG0の図2における下方には、機械式オイルポンプOPmが配置されている。また、第一中間軸M1の後方には、変速機SC及びトランスファTFが設けられている。
以上の車両用駆動装置1の各構成はケースCASの内部に収納されている。なお、図2に、ケースCASの一部のみを模式的に表している。また、この車両用駆動装置1は、機械式オイルポンプOPm及び電動オイルポンプOPe(図1参照)から供給された油の各部への供給を制御する油圧制御装置HCを有している。なお、エンジンEの動作中は機械式オイルポンプOPmにより油圧制御装置HCに油が供給され、エンジンEの停止中は電動オイルポンプOPeにより油圧制御装置HCに油が供給される。
なお、本実施形態においては、第一中間軸M1が本発明における「伝動軸」に相当し、入力軸Iが本発明における「エンジン側軸」に相当し、接続軸Mcが本発明における「動力伝達装置の入力軸」に相当する。また、第一モータ・ジェネレータMG1が本発明における「第一回転電機」に相当し、第二モータ・ジェネレータMG2が本発明における「第二回転電機」又は「回転電機」に相当する。
2.車両用駆動装置1の各部の構成
動力分配機構PG0は、入力軸Iと同軸状に配置されたシングルピニオン式の遊星歯車機構により構成されている。すなわち、動力分配機構PG0は、複数のピニオンギヤを支持するキャリアca0と、前記ピニオンギヤにそれぞれ噛み合うサンギヤs0及びリングギヤr0とを回転要素として有している。この動力分配機構PG0は、キャリアca0が入力軸Iと一体回転するように連結され、サンギヤs0が第一モータ・ジェネレータMG1のロータRo1と一体回転するように連結され、リングギヤr0が第一中間軸M1と一体回転するように連結されている。これにより、動力分配機構PG0は、エンジンEから入力軸Iを介してキャリアca0に伝達された駆動力を、第一モータ・ジェネレータMG1の回転制御によって、第一モータ・ジェネレータMG1側と第一中間軸M1側とに分配する。なお、第一モータ・ジェネレータMG1に分配された駆動力は主に発電用に供され、第一中間軸M1に伝達された駆動力は主に車両の走行用に供される。また、動力分配機構PG0のキャリアca0には、機械式オイルポンプOPmを駆動するための駆動ギヤg0が一体回転するように連結されている。この駆動ギヤg0は、機械式オイルポンプOPmの回転軸と一体回転する従動ギヤgmに噛み合うように設けられている。
第一モータ・ジェネレータMG1は、ケースCASに固定されたステータSt1と、このステータSt1の径方向内側に回転自在に支持されたロータRo1と、を有している。この第一モータ・ジェネレータMG1のロータRo1は、動力分配機構PG0のサンギヤs0と一体回転するように連結されている。また、第二モータ・ジェネレータMG2は、ケースCASに固定されたステータSt2と、このステータSt2の径方向内側に回転自在に支持されたロータRo2と、を有している。この第二モータ・ジェネレータMG2のロータRo2は、第一中間軸M1と一体回転するように連結されている。第1モータ・ジェネレータMG1及び第2モータ・ジェネレータMG2は、それぞれインバータInを介して蓄電装置としてのバッテリBaに電気的に接続されている。そして、第1モータ・ジェネレータMG1及び第2モータ・ジェネレータMG2は、それぞれ電力の供給を受けて動力を発生するモータとしての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータとしての機能を果すことが可能とされている。
本例では、第一モータ・ジェネレータMG1は、主にサンギヤs0を介して入力された駆動力により発電を行い、バッテリBaを充電し、或いは第二モータ・ジェネレータMG2を駆動する。ただし、車両の高速走行時には第一モータ・ジェネレータMG1はモータとして機能する場合もある。一方、第二モータ・ジェネレータMG2は、主に車両の走行用の駆動力を補助する駆動モータとして機能する。ただし、車両の減速時等には第二モータ・ジェネレータMG2は発電機として機能し、車両の慣性力を電気エネルギとして回生する。これら第一モータ・ジェネレータMG1及び第二モータ・ジェネレータMG2の動作は、制御装置ECUから制御指令に従って行われる。
変速機SCは、1組の遊星歯車機構又は複数組の遊星歯車機構の組み合わせにより構成されおり、第一中間軸M1とトランスファTFとの間の駆動伝達経路内に配置されている。この変速機SCは、複数の変速段を有し、選択された変速段に応じた変速比で第一中間軸M1と接続軸Mcとの間の回転の伝達を行う。図3は、本実施形態に係る変速機SCのスケルトン図である。この図に示すように、変速機SCは、2組の遊星歯車機構PG1、PG2を組み合わせてなる遊星歯車装置PGSを備えて構成される。また、変速機SCは、この遊星歯車装置PGSを構成する回転要素に対応して複数の摩擦係合要素C1、C2、C3、B1、B2、F1を備えている。具体的には、変速機SCは、これらの摩擦係合要素として、第一クラッチC1、第二クラッチC2、第三クラッチC3、第一ブレーキB1、第二ブレーキB2、及び一方向クラッチF1を備えている。
ここでは、変速機SCの遊星歯車装置PGSを構成する2組の遊星歯車機構のうち、第一中間軸M1側(前側)を第一遊星歯車機構PG1、トランスファTF側(後側)を第二遊星歯車機構PG2とする。図3からも明らかなように、第一遊星歯車機構PG1は、複数のピニオンギヤを支持するキャリアca1と、前記ピニオンギヤにそれぞれ噛み合うサンギヤs1及びリングギヤr1とを回転要素として有するシングルピニオン式の遊星歯車機構である。また、第二遊星歯車機構PG2も同様に、複数のピニオンギヤを支持するキャリアca2と、前記ピニオンギヤにそれぞれ噛み合うサンギヤs2及びリングギヤr2とを回転要素として有するシングルピニオン式の遊星歯車機構である。
次に、第一遊星歯車機構PG1及び第二遊星歯車機構PG2の各回転要素と摩擦係合要素C1、C2、C3、B1、B2、F1との関係について説明する。第一遊星歯車機構PG1のサンギヤs1は、第三クラッチC3により第一中間軸M1の回転が選択的に伝達されるとともに、第一ブレーキB1によりケースCASに選択的に固定される。第一遊星歯車機構PG1のキャリアca1は、第二遊星歯車機構PG2のリングギヤr2に連結され、第二クラッチC2により第一中間軸M1の回転が選択的に伝達されるとともに、第二ブレーキB2によりケースCASに選択的に固定される。また、このキャリアca1の回転は、一方向クラッチF1によりその逆転が止められる。第一遊星歯車機構PG1のリングギヤr1は、第二遊星歯車機構PG2のキャリアca2に連結されるとともに、接続軸Mcに連結されている。第二遊星歯車機構PG2のサンギヤs2は、第一クラッチC1により第一中間軸M1の回転が選択的に伝達される。したがって、本例では、第一クラッチC1、第二クラッチC2、及び第三クラッチC3が、その係合又は係合解除により第一中間軸M1を介して伝達される駆動力を動力伝達装置としてのトランスファTFへ選択的に伝達する本発明に係る「クラッチ」となる。
図4は、これらの摩擦係合要素C1、C2、C3、B1、B2、F1の作動表を示す図である。この図に示す作動表において、「○」は各摩擦係合要素が係合状態にあることを示している。また「無印」は、各摩擦係合要素が係合解除状態にあること示している。なお「(○)」は、一方向クラッチF1が働くことにより、実現される状態と同じ状態が摩擦係合要素B2の係合で実現することを示している。この作動表に示すように、変速機SCでは、各変速段においていずれか2つの摩擦係合要素が係合状態とされ、残りの摩擦係合要素が係合解除状態とされることで、各変速段を選択する。なお、図示は省略するが、第一クラッチC1、第二クラッチC2、及び第三クラッチC3は、例えば、多板式クラッチとし、第一ブレーキB1及び第二ブレーキB2は、多板式ブレーキとすることができる。また、一方向クラッチF1は、例えば、ケースCASに固定されたアウターレースと、第一遊星歯車機構PG1のキャリアca1と一体回転するように連結されたインナーレースとの間にスプラグを備えたスプラグタイプの一方向クラッチとすることができる。
図2に示すように、トランスファTFは、第一中間軸M1及び変速機SCを介して伝達される駆動力を出力軸側へ伝達する動力伝達装置であって、ここでは、トランスファTFは、前輪出力軸Of及び後輪出力軸Orの一方又は双方への駆動力の伝達状態を切り替えることにより、前輪Wf及び後輪Wrへの駆動力の伝達状態を切り替える。具体的には、トランスファTFは、後輪Wrのみを駆動する二輪駆動状態と、前輪Wf及び後輪Wrの両方を駆動する四輪駆動状態とを切り替える動作と、減速比が大きいローギヤ状態と、減速比が小さいハイギヤ状態とを切り替える動作とを行うことができる構成となっている。そのため、本例では、トランスファTFは、ハイ・ロー切替機構CM1と、二駆・四駆切替機構CM2と、センターディファレンシャル装置PG3と、ビスカスカップリングVCとを有して構成されている。ここではハイ・ロー切替機構CM1及び二駆・四駆切替機構CM2は、いわゆるドグクラッチと称される噛み合い式の係合切替手段30となっている。そして、トランスファTFは、これらのハイ・ロー切替機構CM1及び二駆・四駆切替機構CM2の係合状態を切り替えることにより、複数の動力伝達状態間を切り替え可能に構成されている。このトランスファTFの詳細な構成については以下に説明する。
3.トランスファTFの詳細な構成
次に、本実施形態に係るトランスファTFのスケルトン図である図5を用いて、本実施形態に係るトランスファTFの詳細な構成について説明する。この図に示すように、本実施形態においては、トランスファTFは、接続軸Mc側(前側)から、ハイ・ロー切替機構CM1、二駆・四駆切替機構CM2、ビスカスカップリングVC、センターディファレンシャル装置PG3の順に、同軸上に配置されて構成されている。これらのトランスファTFを構成する各部は、図示しないケース内に収められている。
ハイ・ロー切替機構CM1は、第一入力ギヤGa1及び第二入力ギヤGa2と、第一から第四減速ギヤGc1〜Gc4と、第一伝動ギヤGb1と、ハイ・ロー切替用スリーブSAとを有して構成されている。ここで、第一入力ギヤGa1及び第二入力ギヤGa2は、ともに接続軸Mcと一体回転するように設けられている。第一減速ギヤGc1及び第二減速ギヤGc2は、接続軸Mc及び第三中間軸M3等に平行な軸により一体回転するように連結されている。そして、第一減速ギヤGc1は第一入力ギヤGa1に噛み合い、第二減速ギヤGc2は第三減速ギヤGc3に噛み合うように設けられている。第三減速ギヤGc3及び第四減速ギヤGc4は、第三中間軸M3と同軸上に配置され、この第三中間軸M3とは独立に回転可能に設けられた軸により一体回転するように連結されている。そして、第一から第四減速ギヤGc1〜Gc4の歯数は、第一入力ギヤGa1の回転が所定の減速比で減速されて第四減速ギヤGc4に伝達されるように設定されている。また、第一伝動ギヤGb1は、第三中間軸M3と一体回転するように設けられている。そして、これらの各ギヤは、接続軸Mc及び第三中間軸M3と同軸上に、前側から後側に向かって、第一入力ギヤGa1、第二入力ギヤGa2、第一伝動ギヤGb1、第四減速ギヤGc4、第三減速ギヤGc3の順に配置されている。
ハイ・ロー切替用スリーブSAは、その軸方向に移動することにより、図5に(a)位置(ハイ・ロー切替用スリーブSAが実線で表されている位置)で示す、第一伝動ギヤGb1と第二入力ギヤGa2とを係合させた「ハイギヤ状態」と、図5に(b)位置で示す、第一伝動ギヤGb1と第四減速ギヤGc4とを係合させた「ローギヤ状態」との切り替えを行う。また、本例では、「ハイギヤ状態」と「ローギヤ状態」との間(図5における(a)位置と(b)位置との間)に、ハイ・ロー切替用スリーブSAが第一伝動ギヤGb1のみに係合し、第二入力ギヤGa2及び第四減速ギヤGc4のいずれにも係合しない「ニュートラル状態」となる位置を有している。図6は、ハイ・ロー切替用スリーブSAが、第一伝動ギヤGb1と第二入力ギヤGa2とを係合させたハイギヤ状態から、第一伝動ギヤGb1と第四減速ギヤGc4とを係合させたローギヤ状態に切り替える際の状態を示す部分斜視図である。この図に示すように、ハイ・ロー切替用スリーブSAは、その内周面に内歯Itが形成された略円筒状部材で構成されている。この内歯Itは、第一伝動ギヤGb1、第二入力ギヤGa2、及び第四減速ギヤGc4の外周面に形成された外歯Etに係合可能に構成されている。なお、このハイ・ロー切替用スリーブSAの軸方向への移動は、外周面に設けられた凹部SAaに係合される図示しないシフトフォーク等の切替用部材が、運転者により操作されるトランスファTFの操作手段としての操作レバーTLに連動して動作することにより行われる。
ここで、ハイ・ロー切替用スリーブSAの軸方向の移動による「ハイギヤ状態」と「ローギヤ状態」との切り替えに際しては、ハイ・ロー切替用スリーブSAの内歯Itと、係合しようとするギヤ(第二入力ギヤGa2又は第四減速ギヤGc4)の外歯Etとの位相が合致しなければならない。すなわち、それらの位相が合っていない状態でハイ・ロー切替用スリーブSAを軸方向に移動させても、ハイ・ロー切替用スリーブSAの側面と前記係合しようとするギヤの側面とが当接するだけで、ハイ・ロー切替用スリーブSAの内歯Itを前記ギヤの外歯Etに係合させることができない。よって、車両が停止状態にあるために、ハイ・ロー切替用スリーブSAと、それが係合しようとする第二入力ギヤGa2又は第四減速ギヤGc4との双方が回転停止状態にある場合には、内歯Itと外歯Etとの位相を合わせることができず、係合を切り替えることが非常に困難となる。そこで、本発明に係る車両用駆動装置1では、後述するように、車両の停止状態で接続軸Mcを所定速度で回転させることにより、内歯Itと外歯Etとの位相を合わせることを可能とし、係合の切り替えを容易に行い得るようにしている。
センターディファレンシャル装置PG3は、シングルピニオン式の遊星歯車機構により構成されている。すなわち、センターディファレンシャル装置PG3は、複数のピニオンギヤを支持するキャリアca3と、前記ピニオンギヤにそれぞれ噛み合うサンギヤs3及びリングギヤr3とを回転要素として有している。このセンターディファレンシャル装置PG3は、キャリアca3が第三中間軸M3と一体回転するように連結され、サンギヤs3が二駆・四駆切替機構CM2を構成する分配ギヤGd及びビスカスカップリングVCのインナープレートVCiと一体回転するように連結され、リングギヤr3が後輪出力軸Or及びビスカスカップリングVCのアウタープレートVCoと一体回転するように連結されている。これにより、センターディファレンシャル装置PG3は、後述するように二駆・四駆切替機構CM2において「四輪駆動・デフアンロック状態」が選択されている状態で、前輪出力軸Of及び後輪出力軸Orに必要に応じて駆動力を分配する差動装置として機能する。この際、ビスカスカップリングVCは、インナープレートVCiとアウタープレートVCoとの間の油の粘性により、前輪出力軸Of側へ駆動力を伝達するサンギヤs3と、後輪出力軸Or側へ駆動力を伝達するリングギヤr3との回転差を制限する差動制限装置として機能する。
二駆・四駆切替機構CM2は、第二伝動ギヤGb2と、分配ギヤGdと、前輪用駆動ギヤGe1と、二駆・四駆切替用スリーブSBとを有して構成されている。ここで、第二伝動ギヤGb2は、第一伝動ギヤGb1とともに第三中間軸M3と一体回転するように設けられている。分配ギヤGdは、第三中間軸M3と同軸上に配置され、この第三中間軸M3とは独立に回転可能に設けられた軸により、センターディファレンシャル装置PG3のサンギヤs3と一体回転するように連結されている。前輪用駆動ギヤGe1は、第三中間軸M3と同軸上に配置され、この第三中間軸M3とは独立に回転可能に設けられた軸により、前輪用駆動スプロケットGe2と一体回転するように連結されている。そして、これらの各ギヤは、第三中間軸M3と同軸上に、前側から後側に向かって、第二伝動ギヤGb2、分配ギヤGd、前輪用駆動ギヤGe1、前輪用駆動スプロケットGe2の順に配置されている。また、前輪用駆動スプロケットGe2は、チェーンchを介して前輪用従動スプロケットGfと一体回転するように駆動連結されている。この前輪用従動スプロケットGfは、前輪出力軸Ofと一体回転するように連結されている。
二駆・四駆切替用スリーブSBは、その軸方向に移動することにより、図5に(c)位置で示す、第二伝動ギヤGb2と分配ギヤGdとを係合させた「二輪駆動状態」と、図5に(d)位置(二駆・四駆切替用スリーブSBが実線で表されている位置)で示す、分配ギヤGdと前輪用駆動ギヤGe1とを係合させた「四輪駆動・デフアンロック状態」と、図5に(e)位置で示す、第二伝動ギヤGb2と分配ギヤGdと前輪用駆動ギヤGe1とを全て係合させた「四輪駆動・デフロック状態」との切り替えを行う。また、本例では、「二輪駆動状態」と「四輪駆動・デフアンロック状態」との間(図5における(c)位置と(d)位置との間)に、二駆・四駆切替用スリーブSBが分配ギヤGdのみに係合し、第二伝動ギヤGb2及び前輪用駆動ギヤGe1のいずれにも係合しない「ニュートラル状態」となる位置を有している。この二駆・四駆切替用スリーブSBの構成は、上記ハイ・ロー切替用スリーブSAと同様であり、図示は省略するが、その内周面に内歯が形成された略円筒状部材で構成されている。この内歯は、第二伝動ギヤGb2、分配ギヤGd、及び前輪用駆動ギヤGe1の外周面に形成された図示しない外歯に係合可能に構成されている。ただし、この二駆・四駆切替用スリーブSBでは、「四輪駆動・デフアンロック状態」を実現するために、図5の(d)位置で第二伝動ギヤGb2に係合しないように、内周面の当該部分には内歯が形成されていない。なお、この二駆・四駆切替用スリーブSBの軸方向への移動は、外周面に設けられた凹部SBaに係合される図示しないシフトフォーク等の切替用部材が、運転者により操作されるトランスファTFの操作レバーTLに連動して動作することにより行われる。
ここで、二駆・四駆切替機構CM2においても、上記ハイ・ロー切替機構CM1と同様の課題が存在する。すなわち、二駆・四駆切替用スリーブSBの軸方向の移動による「二輪駆動状態」と「四輪駆動・デフアンロック状態」と「四輪駆動・デフロック状態」との間の切り替えに際しては、二駆・四駆切替用スリーブSBの内歯と、係合しようとするギヤ(第二伝動ギヤGb2又は前輪用駆動ギヤGe1)の外歯との位相が合致しなければならない。すなわち、それらの位相が合っていない状態で二駆・四駆切替用スリーブSBを軸方向に移動させても、二駆・四駆切替用スリーブSBの側面と前記係合しようとするギヤの側面とが当接するだけで、二駆・四駆切替用スリーブSBの内歯を前記ギヤの外歯に係合させることができない。よって、車両が停止状態にあるために、二駆・四駆切替用スリーブSBと、それが係合しようとする第二伝動ギヤGb2又は前輪用駆動ギヤGe1との双方が回転停止状態にある場合には、内歯と外歯との位相を合わせることができず、係合を切り替えることが非常に困難となる。そこで、本発明に係る車両用駆動装置1では、後述するように、車両の停止状態で接続軸Mcを所定速度で回転させることにより、内歯と外歯との位相を合わせることを可能とし、係合の切り替えを容易に行い得るようにしている。
以上のように、トランスファTFは、ハイ・ロー切替機構CM1及び二駆・四駆切替機構CM2の係合状態を切り替えることにより、複数の駆動伝達状態を切り替え可能に構成されている。本実施形態においては、トランスファTFは、ハイ・ロー切替機構CM1を「ハイギヤ状態」として二駆・四駆切替機構CM2を「二輪駆動状態」とすることによる(1)二輪駆動・ハイギヤ状態、ハイ・ロー切替機構CM1を「ハイギヤ状態」として二駆・四駆切替機構CM2を「四輪駆動・デフアンロック状態」とすることによる(2)四輪駆動・ハイギヤ・デフアンロック状態、ハイ・ロー切替機構CM1を「ハイギヤ状態」として二駆・四駆切替機構CM2を「四輪駆動・デフロック状態」とすることによる(3)四輪駆動・ハイギヤ・デフロック状態、及びハイ・ロー切替機構CM1を「ローギヤ状態」として二駆・四駆切替機構CM2を「四輪駆動・デフロック状態」とすることによる(4)四輪駆動・ローギヤ・デフロック状態等の複数の動力伝達状態間を切り替え可能としている。これらの動力伝達状態の切り替えは、運転者により操作されるトランスファTFの操作レバーTLに連動して行われる。
4.制御装置ECUの構成
次に、本実施形態に係る車両用駆動装置1の制御手段としての制御装置ECUの構成について図1に基づいて説明する。なお、この図1において、二重の実線は駆動力の伝達経路を示し、二重の破線は電力の伝達経路を示し、白抜きの矢印は油の流れを示している。また、実線の矢印は各種情報の伝達経路を示している。
この制御装置ECUは、車両の各部に設けられたセンサSe1〜Se11で取得される情報を用いて、エンジンE、第一モータ・ジェネレータMG1、第二モータ・ジェネレータMG2、油圧制御装置HCを介して変速機SCの各摩擦係合要素、及び電動オイルポンプ等の動作制御を行う。特に、この車両用駆動装置1においては、車両が停止状態にあることを条件として、トランスファTFの係合切り替え動作中に、第二モータ・ジェネレータMG2を回転駆動する切替時制御を行う。センサSe1〜Se11として、本例では、第一モータ・ジェネレータ回転速度センサSe1、第二モータ・ジェネレータ回転速度センサSe2、油圧センサSe3、油温センサSe4、出力軸回転速度センサSe5、エンジン回転速度センサSe6、シフト位置検出センサSe7、ブレーキ操作検出センサSe8、蓄電量検出センサSe9、接続軸回転速度検出センサSe10、及びトランスファ係合状態検出センサSe11が設けられている。
ここで、第一モータ・ジェネレータ回転速度センサSe1は、第一モータ・ジェネレータMG1のロータRo1の回転速度を検出するためのセンサである。第二モータ・ジェネレータ回転速度センサSe2は、第二モータ・ジェネレータMG2のロータRo2の回転速度を検出するためのセンサである。油圧センサSe3は、油圧制御装置HCに供給される油の油圧である元油圧を検出するためのセンサである。油温センサSe4は、油圧制御装置HCから供給される油の温度である油温を検出するためのセンサである。出力軸回転速度センサSe5は、後輪出力軸Orの回転速度を検出するためのセンサである。なお、出力軸回転速度センサSe5が前輪出力軸Ofの回転速度を検出し、或いは前輪出力軸Of及び後輪出力軸Orの両方の回転速度を検出する構成としてもよい。エンジン回転速度センサSe6は、エンジンEの駆動軸Ecの回転速度を検出するためのセンサである。シフト位置検出センサSe7は、変速機SCを操作するためのシフトレバーSLの選択位置を検出するためのセンサである。ブレーキ操作検出センサSe8は、ブレーキペダルbpの操作の有無を検出するためのセンサである。蓄電量検出センサSe9は、バッテリBaの蓄電量を検出するためのセンサである。接続軸回転速度検出センサSe10は、変速機SCとトランスファTFとの間を連結する接続軸Mc(図2参照)の回転速度を検出するためのセンサである。トランスファ係合状態検出センサSe11は、トランスファTFのハイ・ロー切替機構CM1及び二駆・四駆切替機構CM2の係合状態を検出するセンサである。なお、本実施形態では、シフトレバーSLが本発明における「変速指示手段」に相当する。
また、制御装置ECUは、エンジン制御手段3、モータ・ジェネレータ制御手段4、蓄電量検出手段5、モータ・ジェネレータ回転検出手段6、接続軸回転速度検出手段7、トランスファ係合状態検出手段8、油圧検出手段9、油温検出手段10、変速機制御手段11、電動オイルポンプ制御手段12、エンジン回転検出手段13、出力軸回転速度検出手段14、シフト位置検出手段15、ブレーキ操作検出手段16、スイッチ位置検出手段17、回転速度決定手段18、回転トルク決定手段19、及び停止判定手段20を備えている。制御装置ECUにおけるこれらの各手段は、CPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウエア又はソフトウエア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。
エンジン制御手段3は、エンジンEの動作開始、停止、回転速度制御、出力トルク制御等の動作制御を行う。モータ・ジェネレータ制御手段4は、インバータInを介して、第一モータ・ジェネレータMG1及び第二モータ・ジェネレータMG2の回転速度制御、回転トルク制御等の動作制御を行う。具体的には、回転速度制御は、第一モータ・ジェネレータMG1又は第二モータ・ジェネレータMG2に供給する電力の周波数を制御することにより行う。また、回転トルク制御は、第一モータ・ジェネレータMG1又は第二モータ・ジェネレータMG2に供給する電流又は電圧を制御することにより行う。蓄電量検出手段5は、蓄電量検出センサSe9からの出力に基づいてバッテリBaの蓄電量を検出する処理を行う。モータ・ジェネレータ回転検出手段6は、第一モータ・ジェネレータ回転速度センサSe1、及び第二モータ・ジェネレータ回転速度センサSe2の出力に基づいて、第一モータ・ジェネレータMG1及び第二モータ・ジェネレータMG2の回転速度を検出する。
接続軸回転速度検出手段7は、接続軸回転速度検出センサSe10からの出力に基づいて、変速機SCとトランスファTFとの間を連結する接続軸Mc(図2参照)の回転速度を検出する。トランスファ係合状態検出手段8は、トランスファ係合状態検出センサSe11からの出力に基づいて、トランスファTFのハイ・ロー切替機構CM1及び二駆・四駆切替機構CM2の係合状態を検出する。油圧検出手段9は、油圧センサSe3からの出力に基づいて、油圧制御装置HCに供給される油の圧力である元油圧を検出する。油温検出手段10は、油温センサSe4からの出力に基づいて、油圧制御装置HCから変速機SCの各部へ供給される油の温度である油温を検出する。変速機制御手段11は、油圧制御装置HCの動作を制御することにより、変速機SCの各摩擦係合要素、本例では、第一クラッチC1、第二クラッチC2、及び第三クラッチC3、並びに第一ブレーキB1及び第二ブレーキB2(図2参照)のそれぞれの係合又は係合解除を行い、変速機SCの変速段を選択する制御を行う。電動オイルポンプ制御手段12は、電動オイルポンプ用インバータInopを介して電動オイルポンプOPeの回転速度制御等の動作制御を行う。エンジン回転検出手段13は、エンジン回転速度センサSe6からの出力に基づいて、エンジンEの駆動軸Ecの回転速度を検出する。出力軸回転速度検出手段14は、出力軸回転速度センサSe5からの出力に基づいて、車両用駆動装置1の出力軸(前輪出力軸Of及び後輪出力軸Orの一方又は双方)の回転速度を検出する。
シフト位置検出手段15は、シフト位置検出センサSe7からの出力に基づいて、変速機SCを操作するためのシフトレバーSLの選択位置を検出する。本例では、「P(パーキング)」、「R(リバース)」、「N(ニュートラル)」、「D(ドライブ)」、「2(セカンド)」、「L(ロー)」のいずれのレンジが選択されているかを検出する。本例では、「N」レンジが車両を停止状態に維持するための停止レンジであり、「R」、「D」、「2」、及び「L」レンジが、車両を走行可能な状態とする走行レンジである。なお、「P」は一般的には停止レンジに含まれるが、本例では、「P」レンジでは変速機SCの出力軸となる接続軸Mcが回転しないように拘束されるため、接続軸Mcに駆動連結された第二モータ・ジェネレータMG2を回転駆動する切替時制御は行わない。したがって、本例では「P」レンジは「拘束レンジ」とし、「停止レンジ」には含まないこととする。ブレーキ操作検出手段16は、ブレーキ操作検出センサSe8からの出力に基づいて、車両の運転者によるブレーキペダルbpの操作状態を検出する。スイッチ位置検出手段17は、トランスファTFの係合状態の切り替えのための操作を受け付け可能とする受付状態変更手段としての操作スイッチSWの位置が、ON位置にあるかOFF位置にあるかを検出する。このスイッチSWがON位置にされると、トランスファTFの操作レバーTLが運転者により操作可能な状態となる。なお、この操作スイッチSWは、車両の運転者により操作可能な位置に設けられている。
回転速度決定手段18は、後述する切替時制御に際して、トランスファTFの入力軸となる接続軸Mcが所定速度で回転するように、変速機SCの状態に応じて第二モータ・ジェネレータMG2の目標回転速度を決定する。ここで、接続軸Mcの前記所定速度は、ハイ・ロー切替機構CM1及び二駆・四駆切替機構CM2の切替用スリーブSA又はSB及びそれが係合しようとするギヤの少なくとも一方を回転させることにより、これらの係合を容易にするための接続軸Mcの回転速度である。このような目的が達成される接続軸Mcの回転速度としては、例えば0.05〜5〔回転/分〕程度の範囲内の速度であればよい。したがって、回転速度決定手段18は、このような範囲内の速度で接続軸Mcが回転するように、変速機SCの状態に応じて第二モータ・ジェネレータMG2の目標回転速度を決定する。また、回転トルク決定手段19は、切替時制御に際して、第二モータ・ジェネレータMG2を目標回転速度で回転駆動する際の回転トルクの上限値を決定する。
ここで、この目標回転速度及び回転トルクの上限値の決定に関わる変速機SCの状態としては、各摩擦係合要素の係合状態、油温、油圧等が含まれる。本実施形態においては、変速機SCのクラッチC1、C2、C3の係合状態に応じて目標回転速度及び回転トルクの上限値を決定することとしている。より具体的には、本例では、クラッチC1、C2、C3の係合状態を決定するシフトレバーSLの選択位置に応じて、クラッチC1、C2、C3が係合解除状態となる「N」レンジ(すなわち停止レンジ)が選択されている場合には、停止レンジ用の目標回転速度Ntn及び回転トルクの上限値Ttnに決定する。一方、車両停止状態で第一クラッチC1が係合状態となる「D」レンジや第三クラッチが係合状態となる「R」レンジ等の走行レンジが選択されている場合には、走行レンジ用の目標回転速度Ntd及び回転トルクの上限値Ttdに決定する。なお、本例では「P」レンジ(すなわち拘束レンジ)で変速機SCの出力軸となる接続軸Mcが回転しないように拘束されるため、接続軸Mcに駆動連結された第二モータ・ジェネレータMG2を回転駆動する切替時制御は行わない。したがって、目標回転速度及び回転トルクの上限値の決定も行わない。
停止判定手段20は、出力軸回転速度検出手段14により検出される出力軸(前輪出力軸Of及び後輪出力軸Orの一方又は双方)の回転速度、及びブレーキ操作検出手段16により検出されるブレーキペダルbpの操作状態に基づいて、車両が停止状態にあるか否かの判定を行う。具体的には、出力軸回転速度検出手段14により検出される後輪出力軸Orの回転速度がゼロである場合には車両が停止状態であると判定することができる。本例では、更にブレーキペダルbpが操作されている状態、すなわちホイールブレーキが効いている状態にあるときに車両が停止状態にあると判定することとしている。なお、出力軸回転速度検出手段14による検出結果のみに基づいて車両の停止状態の判定を行う構成とすることも可能である。
5.制御装置ECUによる動作制御
次に、制御装置ECUによる車両用駆動装置1の切替時制御の際の動作について説明する。図7は、本実施形態に係る車両用駆動装置1の切替時制御の際の動作の流れを示すフローチャートである。この切替時制御は、車両が停止状態にあることを条件として、トランスファTFの係合切替手段30の切り替え動作中に、第二モータ・ジェネレータMG2を回転駆動する制御である。
この図7に示すように、制御装置ECUは、まず操作スイッチSWがON位置にあるか否かを判定する(ステップ#01)。この判定は、スイッチ位置検出手段17による検出結果に基づいて行う。操作スイッチSWがON位置にない場合、すなわちOFF位置にある場合には(ステップ#01:NO)、トランスファTFの操作が受け付けられない状態にあることから、トランスファTFの係合切り替え動作が行われることはなく、したがって、処理は終了する。
一方、操作スイッチSWがON位置とされた場合には(ステップ#01:YES)、トランスファTFが操作可能な状態となる。そこで次に、停止判定手段20により車両停止状態であるか否かを判定する(ステップ#02)。車両停止状態でない場合には(ステップ#02:NO)、切替時制御を行う必要がないため、処理は終了する。すなわち、車両が移動している場合には、後輪出力軸Or及び前輪出力軸Ofが回転することにより、ハイ・ロー切替機構CM1及び二駆・四駆切替機構CM2の切替用スリーブSA又はSB及びそれが係合しようとするギヤの少なくとも一方が回転している状態にあることから、切替時制御を行う必要がない。また、車両が走行中の場合には、通常はトランスファTFの操作を行うことができないことから、切替時制御を行う必要がない。よって、本発明では、車両の停止状態でのみ切替時制御を行う。
車両停止状態である場合には(ステップ#02:YES)、次に、シフト位置検出手段15によりシフトレバーSLの選択位置が「P」レンジ(すなわち拘束レンジ)であるか否かを判定する。シフトレバーSLの選択位置が「P」レンジである場合には(ステップ#03:YES)、変速機SCの出力軸となる接続軸Mcが回転しないように拘束されるため、接続軸Mcに駆動連結された第二モータ・ジェネレータMG2を回転駆動する切替時制御は行わない。したがって、処理は終了する。
シフトレバーSLの選択位置が「P」レンジでない場合には(ステップ#03:NO)、次に、シフト位置検出手段15によりシフトレバーSLの選択位置が「N」レンジ(すなわち停止レンジ)であるか否かを判定する(ステップ#04)。シフトレバーSLの選択位置が「N」レンジである場合には(ステップ#04:YES)、回転速度決定手段18及び回転トルク決定手段19により、第二モータ・ジェネレータMG2の目標回転速度及び回転トルクの上限値を、停止レンジ用の目標回転速度Ntn及び回転トルクの上限値Ttnに決定する。そして、それに従って第二モータ・ジェネレータMG2を回転駆動する制御を行う(ステップ#05)。一方、シフトレバーSLの選択位置が「N」レンジでない場合には(ステップ#04:NO)、走行レンジ、すなわち「D」、「2」、「L」又は「R」のいずれかのレンジが選択されていると判断できる。そこで、回転速度決定手段18及び回転トルク決定手段19により、第二モータ・ジェネレータMG2の目標回転速度及び回転トルクの上限値を、走行レンジ用の目標回転速度Ntd及び回転トルクの上限値Ttdに決定する。そして、それに従って第二モータ・ジェネレータMG2を回転駆動する制御を行う(ステップ#06)。この際、第二モータ・ジェネレータMG2の回転駆動力が停止中のエンジンEに伝達されると、その分のエネルギが無駄に消費されることになる。そこで、制御装置ECUは、モータ・ジェネレータ制御手段4により、第一中間軸M1の回転が入力軸I側に伝達されないように第一モータ・ジェネレータMG1を制御する。具体的には、第一モータ・ジェネレータMG1が抵抗なく自由に回転する状態となるように制御する。
ここで、停止レンジ用の目標回転速度Ntnは、走行レンジ用の目標回転速度Ntdよりも高い回転速度に設定されている。また、停止レンジ用の回転トルクの上限値Ttnは、走行レンジ用の回転トルクの上限値Ttdよりも高いトルクに設定されている。すなわち、停止レンジである「N」レンジでは、第一クラッチC1、第二クラッチC2、及び第三クラッチC3がいずれも係合解除状態となっていることから、接続軸Mcは、クラッチC1、C2、C3内の油の粘性抵抗を利用した駆動力の伝達により回転することになる。これに対して、「D」や「R」等の走行レンジでは、第一クラッチC1、第二クラッチC2、及び第三クラッチC3の少なくとも一つが係合状態となっていることから、接続軸Mcは、係合状態のクラッチC1、C2、C3を介した直接の駆動力の伝達により回転することになる。したがって、停止レンジが選択されている場合と走行レンジが選択されている場合とのいずれにおいても、上記のようにトランスファTFの入力軸となる接続軸Mcを所定の速度範囲内(例えば0.05〜5〔回転/分〕)で回転させるためには、クラッチC1、C2、C3における回転速度及び回転トルクの損失が大きくなる分に応じて、停止レンジ用の目標回転速度Ntn及び回転トルクの上限値Ttnを、走行レンジ用の目標回転速度Ntd及び回転トルクの上限値Ttdより高く設定する必要がある。一方、走行レンジ用の回転トルクの上限値Ttdは、トランスファTFが駆動力を伝達する状態となった際にも車両が停止状態を維持できる程度の低い値に設定すると好適である。
その後、スイッチ位置検出手段17による検出結果に基づいて、操作スイッチSWがOFF位置とされたか否かを判定する(ステップ#07)。操作スイッチSWがOFF位置とされるまでは(ステップ#07:NO)、上記ステップ#04〜#06の処理を継続する。そして、操作スイッチSWがOFF位置とされた場合には(ステップ#07:YES)、処理は終了する。
次に、本実施形態に係る車両用駆動装置1の切替時制御の際の第二モータ・ジェネレータMG2の動作について、図8及び図9に示すタイミングチャートに従って説明する。これらのタイミングチャートは、車両の停止状態において、操作スイッチSWがOFF位置からON位置に操作され、トランスファTFの操作レバーTLが操作されてハイ・ロー切替機構CM1の係合状態が「ローギヤ状態」、「ニュートラル状態」、「ハイギヤ状態」の順に切り替えられ、その後、操作スイッチSWがON位置からOFF位置に操作された場合における、第二モータ・ジェネレータMG2の回転トルク及び回転速度の状態を示している。ここで、図8は、シフトレバーSLの選択位置が「N」レンジ(停止レンジ)である場合の動作を示している。一方、図9は、シフトレバーSLの選択位置が「D」レンジ(走行レンジ)である場合の動作を示している。なお、ここでは、トランスファTFの二駆・四駆切替機構CM2は、「四輪駆動・デフアンロック状態」で固定されているものとする。
まず、図8に基づいて、シフトレバーSLの選択位置が「N」レンジである場合の動作について説明する。この場合、第一クラッチC1、第二クラッチC2、及び第三クラッチC3はいずれも係合解除状態(図8には「OFF」として示す)であるが、図8には、第一クラッチC1の状態のみを示している。
図8の左端の領域(1)では、操作スイッチSWがOFF位置にあるので、切替時制御は開始されていない。したがって、第二モータ・ジェネレータMG2は回転していない停止状態となっている。そして、領域(2)に入り、操作スイッチSWがON位置になると、第二モータ・ジェネレータMG2の回転駆動が開始される。この回転の開始時には、第二モータ・ジェネレータMG2のロータRo2及び第一中間軸M1等を停止状態から回転させるために、第二モータ・ジェネレータMG2により一時的に大きな回転トルクが出力される。ここでは、停止レンジ用の回転トルクの上限値Ttnまで出力トルクが上昇している。その後、第二モータ・ジェネレータMG2が停止レンジ用の目標回転速度Ntnで回転駆動される。
この間、トランスファTFのハイ・ロー切替機構CM1は、領域(2)の「ローギヤ状態」から、領域(3)の「ニュートラル状態」に切り替えられ、更に領域(4)の「ハイギヤ状態」に切り替えられる。その間も第二モータ・ジェネレータMG2は停止レンジ用の目標回転速度Ntnで回転駆動され、接続軸Mcは、クラッチC1、C2、C3内の油の粘性抵抗を利用した駆動力の伝達により所定速度で回転する。これにより、ハイ・ロー切替機構CM1のハイ・ロー切替用スリーブSAを、第四減速ギヤGc4に係合させた「ローギヤ状態」(図5に(b)位置で示す)から第二入力ギヤGa2に係合させて「ハイギヤ状態」(図5に(a)位置で示す)に切り替える操作を容易に行うことができる。その後、領域(5)に入り、操作スイッチSWがOFF位置になると、第二モータ・ジェネレータMG2の回転トルクをゼロとして回転駆動を停止する。
次に、図9に基づいて、シフトレバーSLの選択位置が「D」レンジである場合の動作について説明する。この場合、車両の停止状態であるので、変速機SCでは第1速が選択されており、図4に示すように第一クラッチC1が係合状態(図9には「ON」として示す)となっている。なお、第二クラッチC2及び第三クラッチC3は係合解除状態であるがその図示は省略する。
図9の左端の領域(1)では、操作スイッチSWがOFF位置にあるので、切替時制御は開始されていない。したがって、第二モータ・ジェネレータMG2は回転していない停止状態となっている。そして、領域(2)に入り、操作スイッチSWがON位置になると、第二モータ・ジェネレータMG2の回転駆動が開始される。しかし、ここでは第一クラッチC1が係合状態であるので、トランスファTFが「ニュートラル状態」以外の駆動伝達状態である場合には、第二モータ・ジェネレータMG2のロータRo2は車輪(後輪Wr及び前輪Wfの一方又は双方)に駆動連結された状態となるので、回転することができない。したがって、ハイ・ロー切替機構CM1が「ローギヤ状態」にある領域(2)では、回転トルクが上限値Ttdまで上昇しているが、回転速度はゼロのままである。
そして、領域(3)に入り、ハイ・ロー切替機構CM1が「ニュートラル状態」となった後は、第二モータ・ジェネレータMG2の回転速度は走行レンジ用の目標回転速度Ntdまで上昇する。これに伴って第二モータ・ジェネレータMG2に必要な出力トルクは減少するので、その回転トルクは低下する。このように第二モータ・ジェネレータMG2が走行レンジ用の目標回転速度Ntdで回転駆動されることにより、接続軸Mcは係合状態の第一クラッチC1を介して伝達される駆動力により所定速度で回転する。これにより、ハイ・ロー切替機構CM1のハイ・ロー切替用スリーブSAを、第四減速ギヤGc4に係合させた「ローギヤ状態」(図5に(b)位置で示す)から第二入力ギヤGa2に係合させて「ハイギヤ状態」(図5に(a)位置で示す)に切り替える操作を容易に行うことができる。
そして、領域(4)に入り、ハイ・ロー切替機構CM1が「ハイギヤ状態」となると、領域(2)のときと同様に、第二モータ・ジェネレータMG2のロータRo2は回転できない状態となるので、回転速度がゼロとなり、回転トルクが上限値Ttdまで上昇する。その後、領域(5)に入り、操作スイッチSWがOFF位置になると、第二モータ・ジェネレータMG2の回転トルクはゼロとして回転駆動を停止する。
〔第二の実施形態〕
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。上記第一の実施形態では、シフトレバーSLの選択位置が「D」レンジ(走行レンジ)である場合、切替時制御中も第一クラッチC1が係合状態のままである制御の例について説明した。これに対して、本実施形態では、シフトレバーSLの選択位置が「D」レンジ(走行レンジ)である場合、切替時制御中に第一クラッチC1を係合解除状態とする制御を行う。また、切替時制御中に第一クラッチC1を係合解除状態とすることに伴い、第二モータ・ジェネレータMG2の目標回転速度及び回転トルクの上限値として、上記第一の実施形態における停止レンジ用の目標回転速度Ntn及び回転トルクの上限値Ttnと同じ値を用いることができる。なお、シフトレバーSLの選択位置が「N」レンジ(停止レンジ)である場合の制御は、上記第一の実施形態と同様である。また、その他の構成についても、上記第一の実施形態と同様とすることができる。したがって、上記第一の実施形態との相違点について以下に説明する。
図10は、本実施形態における車両用駆動装置1の切替時制御の際の第二モータ・ジェネレータMG2の動作を示すタイミングチャートである。このタイミングチャートは、上記第一の実施形態に係る図8及び図9と同様に、シフトレバーSLの選択位置が「D」レンジにある場合の車両の停止状態において、操作スイッチSWがOFF位置からON位置に操作され、トランスファTFの操作レバーTLが操作されてハイ・ロー切替機構CM1の係合状態が「ローギヤ状態」、「ニュートラル状態」、「ハイギヤ状態」の順に切り替えられ、その後、操作スイッチSWがON位置からOFF位置に操作された場合における、第二モータ・ジェネレータMG2の回転トルク及び回転速度の状態を示している。なお、トランスファTFの二駆・四駆切替機構CM2は、「四輪駆動・デフアンロック状態」で固定されているものとする。
この場合、車両の停止状態であるので、変速機SCでは第1速が選択されており、通常の制御では、図4に示すように第一クラッチC1が係合状態(図9には「ON」として示す)となる。なお、第二クラッチC2及び第三クラッチC3は係合解除状態であるがその図示は省略する。
図10の左端の領域(1)では、操作スイッチSWがOFF位置にあるので、切替時制御は開始されていない。したがって、第二モータ・ジェネレータMG2は回転していない停止状態となっている。また、第一クラッチC1は、通常の制御状態である係合状態となっている。そして、領域(2)に入り、操作スイッチSWがON位置になると、第一クラッチC1が係合解除状態とされ、第二モータ・ジェネレータMG2の回転駆動が開始される。この回転の開始時には、第二モータ・ジェネレータMG2のロータRo2及び第一中間軸M1等を停止状態から回転させるために、第二モータ・ジェネレータMG2により一時的に大きな回転トルクが出力される。ここでは、回転トルクの上限値Ttnまで出力トルクが上昇している。その後、第二モータ・ジェネレータMG2が目標回転速度Ntnで回転駆動される。
この間、トランスファTFのハイ・ロー切替機構CM1は、領域(2)の「ローギヤ状態」から、領域(3)の「ニュートラル状態」に切り替えられ、更に領域(4)の「ハイギヤ状態」に切り替えられる。その間も第二モータ・ジェネレータMG2は目標回転速度Ntnで回転駆動され、接続軸Mcは、クラッチC1、C2、C3内の油の粘性抵抗を利用した駆動力の伝達により所定速度で回転する。これにより、ハイ・ロー切替機構CM1のハイ・ロー切替用スリーブSAを、第四減速ギヤGc4に係合させた「ローギヤ状態」(図5に(b)位置で示す)から第二入力ギヤGa2に係合させて「ハイギヤ状態」(図5に(a)位置で示す)に切り替える操作を容易に行うことができる。その後、領域(5)に入り、操作スイッチSWがOFF位置になると、第二モータ・ジェネレータMG2の回転トルクをゼロとして回転駆動を停止する。
〔第三の実施形態〕
次に、本発明の第三の実施形態について説明する。図11は、本実施形態に係る車両用駆動装置1を含む車両の構成を模式的に示すブロック図である。この図に示すように、本実施形態に係る車両用駆動装置1は、エンジンE及び第一モータ・ジェネレータMG1に駆動連結された入力軸Iと、第二モータ・ジェネレータMG2に駆動連結された中間軸M1との間に、係合又は係合解除により入力軸Iと中間軸M1との間で駆動力を選択的に伝達する伝動クラッチC0を備えた構成となっている。この構成によると、伝動クラッチC0を係合した状態では、エンジンE、第一モータ・ジェネレータMG1、及び第二モータ・ジェネレータMG2のいずれもが車輪(後輪Wr及び前輪Wfの一方又は双方)に駆動連結された状態のパラレル方式のハイブリッド車両用駆動装置として機能する。一方、伝動クラッチC0を係合解除した状態では、エンジンEは第一モータ・ジェネレータMG1に駆動連結され、第二モータ・ジェネレータMG2が車輪(後輪Wr及び前輪Wfの一方又は双方)に駆動連結された状態のシリーズ方式のハイブリッド車両用駆動装置として機能する。
また、本実施形態に係る車両用駆動装置1は、変速機SC(図1参照)を備えていない点でも上記第一の実施形態と相違する。これに伴い、制御装置ECUは、変速機制御手段11(図1参照)も備えていない。また、変速機SC(図1参照)を備えていないことに伴い、トランスファTFはクラッチを介さずに第二モータ・ジェネレータMG2に駆動連結された状態となる。すなわち、本実施形態においては、上記第一の実施形態においてシフトレバーSLの選択位置が常に走行レンジにある場合と同様に考えられる。したがって、第二モータ・ジェネレータMG2の目標回転速度及び回転トルクの上限値は、常に走行レンジ用の目標回転速度Ntd及び回転トルクの上限値Ttdと同じ値となる。このように第二モータ・ジェネレータMG2の目標回転速度及び回転トルクの上限値が変化することがないので、ここでは、回転速度決定手段18及び回転トルク決定手段19は備えていない。また、本実施形態では、トランスファTFの入力軸となるのは中間軸M1であるので、接続軸回転速度検出手段7に代えて、中間軸回転速度検出手段21を備えている。
また、本実施形態に係る車両用駆動装置1の切替時制御の際の第二モータ・ジェネレータMG2の動作は、上記第一の実施形態に係る図9のタイミングチャートと同様となる。ただし、本実施形態では、切替時制御の間は、第二モータ・ジェネレータMG2の回転駆動力が停止中のエンジンEに伝達されることを防止するため、伝動クラッチ制御手段22により伝動クラッチC0は係合解除状態として、第二モータ・ジェネレータMG2を回転駆動する制御が行われる。
〔その他の実施形態〕
(1)上記第一の実施形態では、第二モータ・ジェネレータMG2に駆動連結された第一中間軸M1とトランスファTFとの間に変速機SCを備える構成を例として説明した。しかし、本発明の適用範囲はこれに限定されず、上記第一の実施形態に係る構成で変速機SCを備えない構成とすることも好適な実施形態の一つである。また、上記第三の実施形態に係る構成で変速機を備える構成とすることも好適な実施形態の一つである。
(2)上記第一の実施形態では、切替時制御における第二モータ・ジェネレータMG2の目標回転速度及び回転トルクの上限値を、変速機SCのクラッチC1、C2、C3の係合状態に応じて決定する場合を例として説明した。しかし、目標回転速度及び回転トルクの上限値の決定方法はこれに限定されない。例えば、変速機SCに供給される油の油温や油圧等に応じて目標回転速度及び回転トルクの上限値を決定する構成とすることも好適な実施形態の一つである。この場合、例えば、油温及び油圧に応じた適切な目標回転速度及び回転トルクの上限値を規定したマップ等を用いて、目標回転速度及び回転トルクの上限値を決定する構成とすることが可能である。
(3)上記の各実施形態では、スイッチ位置検出手段17により操作スイッチSWが操作されてON位置となり、トランスファTFが操作可能となったときに制御装置ECUが切替時制御を開始する制御を行う場合を例として説明した。しかし、本発明の適用範囲はこれに限定されない。すなわち、例えば制御装置ECUは、トランスファ係合状態検出手段8により、係合切替手段30としてのハイ・ロー切替機構CM1及び二駆・四駆切替機構CM2の係合が解除されたこと、具体的にはハイ・ロー切替機構CM1及び二駆・四駆切替機構CM2一方又は双方が「ニュートラル状態」となったことを検出したときに切替時制御を開始する構成とすることも好適な実施形態の一つである。
(4)上記の各実施形態では、本発明に係る「動力伝達装置」がトランスファTFである場合を例として説明した。しかし、本発明に係る「動力伝達装置」はこれに限定されず、トランスファTF以外にも、例えば噛みあい式の係合切替手段を有する変速機等、他の動力伝達装置を用いるにも本発明は適用することができる。
(5)上記の第一の実施形態では、入力軸I、第一中間軸M1、及び後輪出力軸Orが、同軸上に配置される場合を例として説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。したがって、例えば、第一中間軸M1及び後輪出力軸Orの一方又は双方が、入力軸Iに対して並列に配置された構成とすることも好適な実施形態の一つである。また、これらの軸が交差する方向に配置された構成とすることも可能である。
(6)上記の各実施形態では、「P」レンジで変速機SCの出力軸となる接続軸Mcが回転しないように拘束される場合を例として説明した。しかし、例えば、「P」レンジでトランスファTFの出力軸となる前輪出力軸Of及び後輪出力軸Orが拘束される構成もあり得る。このような場合は、「P」レンジでも、接続軸Mcに駆動連結された第二モータ・ジェネレータMG2を回転駆動する切替時制御を行うことが可能である。したがって、そのような場合には、「P」レンジは本発明の「停止レンジ」に含まれる。
(7)上記の各実施形態では、車両の停止状態として、基本的に車両が完全に停止している状態を前提として説明した。しかし、本発明の適用範囲はこれに限定されない。すなわち、例えばアクセルペダルが操作されていない状態で微速走行している状態等のように所定速度以下の低速で走行している状態でも、上記の各実施形態と同様の動作制御を行う構成とすることは本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、停止判定手段20は、車両が完全停止状態又は車両が所定速度以下の低速で走行している状態である場合に、車両が略停止状態にあると判定する。そして、制御装置ECUは、停止判定手段20により略停止状態にあると判定された場合に、上記の各実施形態において停止状態と判定した場合(図7のステップ#02参照)と同様の処理を行う。これにより、係合切替手段30における噛合い係合しようとする両部材のそれぞれに設けられた噛合い部同士の位相を迅速に合わせることができ、係合切替手段30の係合状態を切り替える操作を容易に行うことが可能になる。
(8)上記の各実施形態では、本発明をハイブリッド車両用の駆動装置に適用した場合を例として説明した。しかし、本発明に係る車両用駆動装置1は、電気自動車等のハイブリッド車両以外の回転電機を備えた車両に同様に適用することが可能である。
本発明に係る車両用駆動装置及びその制御方法は、ハイブリッド車や電気自動車等、車両の駆動源として回転電機を備えた車両に利用することが可能である。
本発明の第一の実施形態に係る車両用駆動装置を含む車両の構成を模式的に示すブロック図 本発明の第一の実施形態に係る車両用駆動装置の駆動伝達構造を示すスケルトン図 本発明の第一の実施形態に係る変速機のスケルトン図 本発明の第一の実施形態に係る変速機の作動表を示す図 本発明の第一の実施形態に係るトランスファのスケルトン図 ハイ・ロー切替用スリーブ及びと第四減速ギヤを示す部分斜視図 本発明の第一の実施形態に係る車両用駆動装置の切替時制御の際の動作の流れを示すフローチャート シフトレバーの選択位置が「N」レンジである場合の切替時制御の際の第二モータ・ジェネレータの動作を示すタイミングチャート シフトレバーの選択位置が「D」レンジである場合の切替時制御の際の第二モータ・ジェネレータの動作を示すタイミングチャート 本発明の第二の実施形態に係る、シフトレバーの選択位置が「D」レンジである場合の切替時制御の際の第二モータ・ジェネレータの動作を示すタイミングチャート 本発明の第三の実施形態に係る車両用駆動装置を含む車両の構成を模式的に示すブロック図
1:車両用駆動装置
15:シフト位置検出手段
MG1:第一モータ・ジェネレータ(第一回転電機)
MG2:第二モータ・ジェネレータ(回転電機、第二回転電機)
I:入力軸(エンジン側軸)
M1:第一中間軸(伝動軸)
Of:前輪出力軸Or:後輪出力軸
Mc:接続軸(動力伝達装置の入力軸)
Wf:前輪
Wr:後輪
TF:トランスファ(動力伝達装置)
ECU:制御装置(制御手段)
20:停止判定手段
30:係合切替手段
SC:変速機
C1:第一クラッチ(クラッチ)
C2:第二クラッチ(クラッチ)
C3:第三クラッチ(クラッチ)
SL:シフトレバー(変速指示手段)
SW:操作スイッチ(受付状態変更手段)
E:エンジン
C0:伝動クラッチ
PG0:動力分配機構

Claims (14)

  1. 回転電機と、この回転電機に駆動連結された伝動軸と、車輪に駆動連結された1又は2以上の出力軸と、前記伝動軸を介して伝達される駆動力を前記出力軸側へ伝達する動力伝達装置と、前記伝動軸と前記動力伝達装置との間の駆動伝達経路内に設けられた変速機と、前記回転電機及び前記動力伝達装置の制御を行う制御手段と、車両が略停止状態にあることを判定する停止判定手段と、を備え、
    前記変速機は、係合又は係合解除により前記伝動軸を介して伝達される駆動力を前記動力伝達装置側へ選択的に伝達するクラッチを備え、
    前記動力伝達装置は、噛み合い式の係合切替手段を有し、前記係合切替手段の係合状態を切り替えることにより複数の動力伝達状態間を切り替え可能に構成され、
    前記制御手段は、車両が略停止状態にあることを条件として、前記動力伝達装置の係合切り替え動作中に、前記回転電機を所定の目標回転速度で回転駆動する切替時制御を行うと共に、当該切替時制御において、前記変速機の状態に応じて前記目標回転速度を決定する車両用駆動装置。
  2. 前記制御手段は、前記クラッチの係合解除状態における目標回転速度を、前記クラッチの係合状態における目標回転速度よりも大きい値に設定する請求項1に記載の車両用駆動装置。
  3. 前記制御手段は、前記切替時制御中は、前記回転電機を所定の上限トルク以下の回転トルクで回転駆動すると共に、当該切替時制御において、前記変速機の状態に応じて前記上限トルクを決定し、
    前記制御手段は、更に、前記クラッチの係合解除状態における上限トルクを、前記クラッチの係合状態における上限トルクよりも大きい値に設定する請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
  4. 前記制御手段は、前記切替時制御として、
    前記クラッチの係合解除状態で、前記クラッチ内の油の粘性抵抗を利用した駆動力の伝達により前記動力伝達装置の入力軸が所定速度で回転するように前記回転電機を回転駆動する制御を行い、
    記クラッチの係合状態で、前記動力伝達装置の入力軸が所定速度で回転するように前記回転電機を回転駆動する制御を行う請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
  5. 前記変速機の変速指示手段の選択位置を検出するシフト位置検出手段を更に備え、
    前記制御手段は、
    前記変速指示手段の選択位置が停止レンジにある場合に、前記クラッチの係合解除状態における前記切替時制御を行い、
    記変速指示手段の選択位置が走行レンジにある場合に、前記クラッチの係合状態における前記切替時制御を行う請求項に記載の車両用駆動装置。
  6. 前記動力伝達装置は、車両の前輪及び後輪への駆動力の伝達状態を切り替え可能なトランスファである請求項1からのいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
  7. 前記動力伝達装置の前記係合切り替えのための操作を受け付け可能とする受付状態変更手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記受付状態変更手段により前記動力伝達装置が操作可能となったときに前記切替時制御を開始する請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
  8. 前記係合切替手段の係合状態を検出する係合状態検出手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記係合切替手段の係合が解除されたことを検出したときに前記切替時制御を開始する請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
  9. 前記回転電機を第二回転電機とし、これとは異なる第一回転電機と、エンジンに駆動連結されたエンジン側軸と、このエンジン側軸から伝達される駆動力を前記第一回転電機と前記伝動軸とに分配する動力分配機構と、を更に備え、
    前記制御手段は、前記切替時制御として、前記エンジン側軸に駆動力が伝達されないように前記第一回転電機を制御しつつ、前記第二回転電機を回転駆動する請求項1からのいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
  10. エンジンに駆動連結されたエンジン側軸と、係合又は係合解除により前記エンジン側軸と前記伝動軸との間で駆動力を選択的に伝達する伝動クラッチと、を更に備え、
    前記制御手段は、前記切替時制御として、前記伝動クラッチの係合解除状態で、前記回転電機を回転駆動する請求項1からのいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
  11. 回転電機と、この回転電機に駆動連結された伝動軸と、車輪に駆動連結された1又は2以上の出力軸と、前記伝動軸を介して伝達される駆動力を前記出力軸側へ伝達する動力伝達装置と、前記伝動軸と前記動力伝達装置との間の駆動伝達経路内に設けられた変速機と、前記回転電機及び前記動力伝達装置の制御を行う制御手段と、車両が略停止状態にあることを判定する停止判定手段と、を備え、前記変速機は、係合又は係合解除により前記伝動軸を介して伝達される駆動力を前記動力伝達装置側へ選択的に伝達するクラッチを備え、前記動力伝達装置は、噛み合い式の係合切替手段を有し、前記係合切替手段の係合状態を切り替えることにより複数の動力伝達状態間を切り替え可能に構成された車両用駆動装置の制御方法であって、
    車両が略停止状態にあることを条件として、前記動力伝達装置の係合切り替え動作中に、前記回転電機を所定の目標回転速度で回転駆動する切替時制御を行うと共に、当該切替時制御において、前記変速機の状態に応じて前記目標回転速度を決定する車両用駆動装置の制御方法。
  12. 前記切替時制御において、前記クラッチの係合解除状態における目標回転速度を、前記クラッチの係合状態における目標回転速度よりも大きい値に設定する請求項11に記載の車両用駆動装置の制御方法。
  13. 前記切替時制御において、前記回転電機を所定の上限トルク以下の回転トルクで回転駆動すると共に、当該切替時制御において、前記変速機の状態に応じて前記上限トルクを決定し、更に、
    前記クラッチの係合解除状態における上限トルクを、前記クラッチの係合状態における上限トルクよりも大きい値に設定する請求項11又は12に記載の車両用駆動装置の制御方法。
  14. 前記切替時制御として、
    前記クラッチの係合解除状態で、前記クラッチ内の油の粘性抵抗を利用した駆動力の伝達により前記動力伝達装置の入力軸が所定速度で回転するように前記回転電機を回転駆動し、
    記クラッチの係合状態で、前記動力伝達装置の入力軸が所定速度で回転するように前記回転電機を回転駆動する請求項11から13のいずれか一項に記載の車両用駆動装置の制御方法。
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