JP4548687B2 - 壁付け用折り畳み椅子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マンション、家屋などの玄関、廊下及び台所などの壁に後付けで付設できる壁付け用折り畳み椅子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
人はマンション、家屋などの玄関先で靴を脱いだり履いたりする際、玄関先で座ったり、屈み込み姿勢をとったりする。このような動作は高齢者などには負担がかかるものであり、改善が望まれている。
【0003】
このような要望を満たすものとして、特開2000−60674号公報には、平行な一対の縦柱部材を有する枠体と、前記一対の縦柱部材間に一端側を枢支連結し、上下方向に回動自在とした座板と、該座板の裏面側且つ回動自由端側に上端部分を枢支連結した一対の脚部材と、一端側を前記枠体側に枢支連結し、他端側を前記一対の脚部材に枢支連結し、前記座板と常時平行を維持する一対の横桟部材とからなる壁備付け用折り畳み椅子が開示されている。このような構成を採る壁備付け用折り畳み椅子は、例えば、玄関に装着し、靴を履いたり、脱いだりする作業を行い易くするのに好適で、且つ非常時には玄関壁面に収容し、玄関スペースを最大限に利用することができる点で都合がよい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示すように、前記の壁備付け用折り畳み椅子50は、マンションや家屋施工当初より、壁に枠体収納用の壁穴55を設置しておく必要があり、既存のマンションや家屋玄関などに後付けするには不向きである。また、図6(A)の収納状態において、水平方向に配置される二つのリンク51、52のうち、下方のリンク52の上方側枢支連結部53の中心より下方向(図6中、B側)に把手がある場合、可動部はパンタグラフ状の平行リンクであるため、座板を手前に引き出す操作は正常に行われ、図6(B)に示すような椅子に展開できるものの、図中、A側に把手がある場合、座板の正常な引き出しが行われない場合がある。これは、平行リンク自体回転するため、軸と軸穴に僅かな遊びが必要となり、A側にある把手を手前に引くと、上部リンク51が下部リンク52よりリンク軸の遊びの分早く動いてしまい、リンク同士の平行が崩れて遊びが無くなった時点で動かなくなることに起因するものである。このような問題は、軸と軸穴の精度を高めて、遊びを極力零にすることで解決できるものの、製作コストが嵩み実際的ではない。
【0005】
従って、本発明の目的は、フロント板兼用脚部材のいずれの場所に把手を設置しても、該把手を手前に引くことで正常な動作を確実に行うことができると共に、既設マンションや家屋の玄関などの壁に後付け可能な壁付け用折り畳み椅子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者は鋭意検討を行った結果、壁又は壁に付設される支持部材に基板を取付け、該基板を固定リンクとし、他の3つのリンク、すなわち、座板支持部材、横桟部材及びフロント板兼用脚部材を可動リンクとし、座板支持部材と横桟部材とは互いに平行ではなく、且つ収納状態において、横桟部材の上方の枢支連結部の中心位置は、座板支持部材の両枢支連結部間を結ぶ中心線より前方側にあるような構成の壁付け用折り畳み椅子とすれば、フロント板兼用脚部材のいずれの場所に把手を設置しても、該把手を手前に引くことで正常な動作を確実に行うことができ、且つ既設マンションや家屋の玄関などの壁に後付け可能であることなどを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、請求項1記載の発明は、略平板状の座板の両側部に取り付けられて座板を支持する座板支持部材の一端を壁面に取付けられる基板の上方に枢支連結し、他端をフロント板兼用脚部材の上方部に枢支連結すると共に、前記一対の座板支持部材の下方に位置する一対の横桟部材の一端を前記基板の下方に枢支連結し、他端を前記フロント板兼用脚部材に枢支連結するものであって、前記フロント板兼用脚部材における横桟部材を枢支連結する軸の前記フロント板兼用脚部材の前面からの高さが、前記フロント板兼用脚部材における座板支持部材を枢支連結する軸の前記フロント板兼用脚部材の前面からの高さより低く、当該折り畳み椅子の収納状態及び回動状態において、前記座板支持部材と前記横桟部材とは互いに平行ではなく、展開状態において、前記基板と前記フロント板兼用脚部材は平行であり、且つ収納状態において、前記横桟部材の上方の枢支連結部の中心位置は、前記座板支持部材の両枢支連結部間を結ぶ中心線より前方側にある壁付け用折り畳み椅子を提供するものである。かかる構成を採ることにより、基板は既設の平面状の壁などに着脱自在又は着脱不能に取付けできるから、既設マンションや家屋の玄関などの壁に後付け設置が可能である。また、収納状態において、動きの悪い下方のリンクである横桟部材は上方のリンクである座板支持部材より手前側に予め傾斜しているから、フロント板兼用脚部材の把手の設置位置に関わらず、該把手を手前に引けば、必ず横桟部材が先に動きだし、リンクの動作が停止することはなく、確実に展開して椅子になる。この椅子として使用できる状態において、基板とフロント板兼用脚部材とは平行であり、安定である。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、前記フロント板兼用脚部材の下面に耐腐食性の幅木を付設した壁付け用折り畳み椅子を提供するものである。かかる構成を採ることにより、フロント板兼用脚部材が木製であっても、水などで濡れることが多い玄関の床面と接するのはステンレス製の幅木であり、フロント板兼用脚部材の耐久性を高めることができる。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、前記フロント板兼用脚部材の下面両側部に高さ調整機能を設けた壁付け用折り畳み椅子を提供するものである。かかる構成を採ることにより、フロント板兼用脚部材の微小な高さ調整が可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態における壁付け用折り畳み椅子について、図1〜図5を参照して説明する。図1(A)は壁付け用折り畳み椅子を展開し人が座れる状態にした図、(B)は折り畳み状態を示す図、図2は壁付け用折り畳み椅子の主要部品の分解図、図3(A)〜(C)は収納状態から使用状態までの各部材の動きを説明する図、図4は図3の各リンクの関係を説明する図、図5は壁面への他の設置形態を説明する図である。
【0011】
本実施の形態例の壁付け用折り畳み椅子10は、基板1と、座板5と座板支持部材2、2からなる座板部2Aと、横桟部材3、3と、フロント板兼用脚部材6の4部材を主構成部材とし、これら4つの部材は非平行リンク機構を形成する。但し、展開後の椅子の状態では基板である固定リンクとこれに対向するフロント板兼用脚部材6とは平行となる。
【0012】
基板1は箱状の横置き形態で、両側面上方には座板支持部材2、2が枢支連結される軸穴15、15と、両側面下方には横桟部材3、3が枢支連結される軸16、16が形成され、表側面上方にはねじり型ダンパー13、13を固定するネジ穴1b、1bが、表側面の両側には基板1を支持部材11に固定する4個のネジ穴1aがそれぞれ形成されている。
【0013】
座板部2Aは座板5と、座板5の両側部に取付けられて座板を支持する座板支持部材2、2とからなる。座板部2Aは座板支持部材2、2の一端側の枢支連結穴2a、2aを基板1の軸穴15、15に貫通して突出するねじり型ダンパー13の軸13a、13aに固定することにより基板1に枢支連結される。ねじり型ダンパー13、13は金具14、14で基板1の裏面に固定される。ねじり型ダンパー13は座板5が上方に回動する場合は負荷なしで行わせ、下方に回動する場合に負荷が掛り座板5の回動速度を減少させるものである。次に、座板支持部材2、2の他端側の軸穴2b、2bをフロント板兼用脚部材6の上方側に形成された取付部材の第1軸61に枢支連結する。なお、座板5の中央の3つの穴5aは収納状態において、支持部材上方にある左右のネジ1c及び中央のラッチ113との接触を避けるために設けたものである。
【0014】
横桟部材3、3は位置固定部材12に固定され、且つ横桟部材の一端部の軸穴3a、3aを基板の軸16、16に枢支連結し、横桟部材の他端部の軸穴3b、3bをフロント板兼用脚部材6の取付部材の第2軸62に枢支連結して設置される。この座板支持部材2、2の取付部材の第1軸61への連結及び横桟部材3、3の取付部材の第2軸62への連結は、図4(B)に示すように、椅子使用状態において、フロント板兼用脚部材6の第2軸62の設置高さが、第1軸61の設置高さに比べてm寸法分低い、すなわち、横桟部材3、3は座板支持部材2、2よりm寸法分長くなるように行う。また、第1軸61と第2軸62間の長さは、基板1の軸穴15と軸16間の長さよりn寸法分短くなるように行う。このため、収納状態では、横桟部材3、3の上方の枢支連結部(第2軸62)の中心位置は、座板支持部材2の両枢支連結部15、61間を結ぶ中心線より前方側にある。すなわち、横桟部材3は座板支持部材2に対して、角度α分前方へ傾斜している(図4(A))。
【0015】
フロント板兼用脚部材6は箱状の縦置き形態で、下方は強度がいるため肉厚としている。フロント板兼用脚部材6の表側面の上方中央には把手8を形成している。また、下側面にはステンレス製や樹脂製の耐腐食性の幅木9を付設し、フロント板兼用脚部材6が木製であっても、水などで濡れることが多い玄関の床面との接触を防止して、フロント板兼用脚部材の耐久性を高めている。また、耐腐食性の幅木9の下面両側部に高さ調整用アジャスター18、18を設け、フロント板兼用脚部材6の高さ調整を可能にしている。
【0016】
このように形成された非平行リンク機構の構造体を、壁7の基板支持部材11に取り付ける。基板支持部材11は壁7に固定されると共に、基板1を固定するものである。支持部材11は基板1が取付けられる鍔を有する凸状の取付部112と、取付部112に連続する平板状の壁取付け部111とからなる。壁への固定は壁取付け部111に形成される2個のビス穴1cと、取付部112の鍔に形成される4個のビス穴1eが使用され、基板1の固定は凸状の取付部112に形成される4個のビス穴1dが使用される。
【0017】
次に、本実施の形態例の壁付け用折り畳み椅子を使用する方法を図3及び図4を参照して説明する。当該壁付け用折り畳み椅子10は、マンションや家屋の玄関などの壁7に後付けで設置される。このため、フロント板兼用脚部材6の厚み分が壁7から突出する(図3(A))。次に、例えば人が椅子に腰を掛けて靴の紐を結びたい場合、フロント板兼用脚部材6の把手8を手前に引きだすと、収納状態において、動きの悪い下方のリンクである横桟部材3は上方のリンクである座板支持部材2より手前側に予め傾斜しているから、必ず横桟部材3が先に動きだし、座板支持部材2、2と横桟部材3、3は非平行状態を維持して回動しつつ、その自由端が降下する。そして、座板支持部材2、2と横桟部材3、3の自由端に枢支連結したフロント板兼用脚部材6は回動時、非垂直姿勢を保持しつつ回動する(図3(B))。ねじり型ダンパー18の作用により回動速度は減じられ、フロント板兼用脚部材6の下面に取付けられた高さ調整用のアジャスター18の下端が緩やかに床に着地した状態で、基板1とフロント板兼用脚部材6、及び座板部2Aと床はそれぞれ平行となり安定する。従って、人はこの座板5に安心して腰掛けることができる(図3(C))。
【0018】
次に、座板5の使用が終了した場合、フロント板兼用脚部材6の把手8を上方に持ち上げることにより、フロント板兼用脚部材6が上昇し、これにより、座板支持部材2、2と横桟部材3、3は非平行状態を維持して壁7の方向に回動していく。フロント板兼用脚部材6の壁7への固定は、基板支持部材11の上方にあるラッチ113とフロント板兼用脚部材6の裏面に設けれた係合片(不図示)との係合により行われる。当該固定はその他、マグネットなどにによる係合方法などの公知の方法が採用できる。この状態では、横桟部材3の上方の枢支連結部62の中心位置は、座板支持部材2の両枢支連結部15、61間を結ぶ中心線より前方側にあるように収納される。
【0019】
次に、本実施の形態例における壁付け用折り畳み椅子の変形例を図5を参照して説明する。図5において、図1と異なる点は図1が既設の壁7に直接基板支持部材11を取付けたのに対して、図5では既設の壁7に折り畳み椅子10a全体が収納できる凹部30を形成し、その後、凹部30の中に折り畳み椅子10aを設置したものである。かかる構成を採ることにより、収納後は壁付け用折り畳み椅子の出っ張りが消え、玄関スペース等が広く採れると共に、外観がすっきりする。
【0020】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、基板は既設の平面状の壁などに着脱自在又は着脱不能に取付けできるから、既設マンションや家屋の玄関などの壁に後付け設置が可能である。また、収納状態において、動きの悪い下方のリンクである横桟部材は上方のリンクである座板支持部材より手前側に予め傾斜しているから、フロント板兼用脚部材の把手の設置位置に関わらず、該把手を手前に引けば、必ず横桟部材が先に動きだし、リンクの動作が停止することはなく、確実に展開して椅子になる。この椅子として使用できる状態において、基板とフロント板兼用脚部材とは平行であり、安定である。
【0021】
請求項2の発明によれば、フロント板兼用脚部材が木製であっても、水などで濡れることが多い玄関の床面と接するのは耐腐食性の幅木であり、フロント板兼用脚部材の耐久性を高めることができる。請求項3の発明によれば、フロント板兼用脚部材の微小な高さ調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は壁付け用折り畳み椅子を展開し人が座れる状態にした図、(B)は折り畳み状態を示す図である。
【図2】壁付け用折り畳み椅子の主要部品の分解図である。
【図3】(A)〜(C)は収納状態から使用状態までの各部材の動きを説明する図である。
【図4】図3の各リンクの関係を説明する図である。
【図5】壁面への他の設置形態を説明する図である。
【図6】従来の壁付け用折り畳み椅子各リンクの関係を説明する図である。
【符号の説明】
1 基板
2 座板支持部材
2A、51 座板部
3、52 横桟部材
4、53 枢支連結部(取付け部材)
5 座板
6 フロント板兼用脚部材
7 壁
8 把手
9 耐腐食性幅木
10、10a、50 壁付け用折り畳み椅子
11 基板支持部材
12 位置固定部材
13 ねじり型ダンパー
14 止め金具
15 枢支軸穴
16 枢支軸
18 高さ調整用アジャスター
30、55 壁の凹部

Claims (5)

  1. 略平板状の座板の両側部に取り付けられて座板を支持する座板支持部材の一端を壁面に取付けられる基板の上方に枢支連結し、他端をフロント板兼用脚部材の上方部に枢支連結すると共に、前記一対の座板支持部材の下方に位置する一対の横桟部材の一端を前記基板の下方に枢支連結し、他端を前記フロント板兼用脚部材に枢支連結するものであって、
    前記フロント板兼用脚部材における横桟部材を枢支連結する軸の前記フロント板兼用脚部材の前面からの高さが、前記フロント板兼用脚部材における座板支持部材を枢支連結する軸の前記フロント板兼用脚部材の前面からの高さより低く、
    当該折り畳み椅子の収納状態及び回動状態において、前記座板支持部材と前記横桟部材とは互いに平行ではなく、
    展開状態において、前記基板と前記フロント板兼用脚部材は平行であり、
    且つ収納状態において、前記横桟部材の上方の枢支連結部の中心位置は、前記座板支持部材の両枢支連結部間を結ぶ中心線より前方側にあることを特徴とする壁付け用折り畳み椅子。
  2. 前記フロント板兼用脚部材の下面に耐腐食性の幅木を付設したことを特徴とする請求項1記載の壁付け用折り畳み椅子。
  3. 前記フロント板兼用脚部材の下面両側部に高さ調整機能を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の壁付け用折り畳み椅子。
  4. 展開状態において、前記基板の上下の両枢支連結部(15,16)を結んだ線と、前記フロント板兼用脚部材の上下の両枢支連結部(61,62)を結んだ線は互いに平行ではないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の壁付け用折り畳み椅子。
  5. 前記横桟部材における前後の両枢支連結部(16,62)間は、前記座板支持部材における両枢支連結部(15,61)間より長いものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の壁付け用折り畳み椅子。
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